(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長手方向に延びた嵌合凹部と前記嵌合凹部の長手方向の壁部分とを有するハウジングと、前記壁部分の長手方向にそれぞれ等しい間隔で配列された同じ形状の複数の端子を含むプラグコネクタであって、
前記複数の端子の各々は、U字状に湾曲した部分の互いに向き合う位置に内側脚部及び外側脚部を備えており、基板と接続するための接続部と、前記内側脚部における相手側コネクタの端子と接触する位置及び前記外側脚部における相手側コネクタの端子と接触する位置に相手側コネクタの端子と接触するための接触部を備え、
前記接触部の幅は、隣り合う端子の接触部間の間隔よりも狭く、
前記複数の端子は、少なくとも第1の信号端子、該第1の信号端子に隣接する第2の信号端子、第1のグランド端子及び第2のグランド端子を含み、
長手方向に、前記第1のグランド端子、前記第1の信号端子、前記第2の信号端子、前記第2のグランド端子の順に等しい間隔で配列された端子群を少なくとも一組含むことを特徴とするプラグコネクタ。
長手方向に延びた嵌合凸部と前記嵌合凸部の長手方向の壁部分とを有するハウジングと、前記壁部分の長手方向にそれぞれ等しい間隔で配列された同じ形状の複数の端子を含むソケットコネクタであって、
前記複数の端子の各々は、U字状に湾曲した部分の互いに向き合う位置に内側脚部及び外側脚部を備えており、基板と接続するための接続部と、前記内側脚部における相手側コネクタの端子と接触する位置及び前記外側脚部における相手側コネクタの端子と接触する位置に相手側コネクタの端子と接触するための接触部を備え、
前記接触部の幅は、隣り合う端子の接触部間の間隔よりも狭く、
前記複数の端子は、少なくとも第1の信号端子、該第1の信号端子に隣接する第2の信号端子、第1のグランド端子及び第2のグランド端子を含み、
長手方向に、前記第1のグランド端子、前記第1の信号端子、前記第2の信号端子、前記第2のグランド端子の順に等しい間隔で配列された端子群を少なくとも一組含むことを特徴とするソケットコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のコネクタは、信号端子の接触部をグランド端子の接触部に近づける代りに、信号端子の接触部の幅をグランド端子側に向けて広げることにより、隣接する信号端子の接触部間のピッチ間隔が端子部間のピッチ間隔に対し広がるようにしたものである。つまり、隣接する端子の接触部間の間隔は、同じ間隔ではない。そのため、より小型化されたコネクタにおいて、より高周波の電気信号を伝送する場合等に、隣接する端子の接触部間の間隔の違いにより、クロストークの発生等の電気的悪影響によるインピーダンス整合の乱れを十分に防ぐことができない。
【0009】
以上のような課題を解決するために、同じ形状の複数の端子を長手方向に配列して保持した絶縁性のハウジングを含むコネクタにおいて、各端子は相手側コネクタの端子と接触するための同じ横幅(コネクタの長手方向の幅)の接触部を有し、一方の端子の接触部と、当該接触部に隣接する他方の端子の接触部の間の間隔が同じなるように端子をそれぞれ配列し、各端子の接触部の横幅を各端子の接触部間の間隔よりも狭くすることで、各端子の接触部の横幅及び各端子の接触部間の間隔を一定に保ちつつ、各端子間の間隔を十分にとることができ、それにより、端子同士が互いの容量あるいは誘導により生じ得るクロストーク等の電気的悪影響の発生を防止し、インピーダンス整合を適切に維持することが可能なコネクタを提供する。このようなコネクタは、長手方向での端子の間の間隔を大きくすることなく、すなわち、長手方向にコネクタが大型化することない狭ピッチ構造であっても、よい電気的特性を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの実施形態に係るコネクタは、長手方向にそれぞれ等しい間隔で配列された同じ形状の複数の端子を含むコネクタであって、
前記複数の端子の各々は、基板と接続するための接続部と、相手側コネクタの端子と接触するための接触部を備え、
前記接触部の幅は、隣り合う端子の接触部間の間隔よりも狭く、
前記複数の端子は、少なくとも第1の信号端子及び該第1の信号端子に隣接する第2の信号端子を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記複数の端子は、第1のグランド端子及び第2のグランド端子をさらに含み、
長手方向に、前記第1のグランド端子、前記第1の信号端子、前記第2の信号端子、前記第2のグランド端子の順に等しい間隔で配列された端子群を少なくとも一組含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記複数の端子の各々は、U字状に湾曲した部分の互いに向き合う位置に内側脚部及び外側脚部を備え、
前記接触部は、少なくとも前記内側脚部における相手側コネクタの端子と接触する位置及び前記外側脚部における相手側コネクタの端子と接触する位置に、それぞれ配置されたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記内側脚部における相手側コネクタの端子と接触する位置に配置された一方の接触部の幅は、前記外側脚部における相手側コネクタの端子と接触する位置に配置された他方の接触部の幅よりも狭いことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記内側脚部における相手側コネクタの端子と接触する位置に配置された前記一方の接触部の幅は、前記接続部の幅よりも広いことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記コネクタは、プラグコネクタであり、
前記プラグコネクタは、長手方向に延びた嵌合凹部を含み、
前記嵌合凹部の長手方向の壁部分に、前記複数の端子が等しい間隔でそれぞれ配列されたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記コネクタは、ソケットコネクタであり、
前記ソケットコネクタは、長手方向に延びた嵌合凸部を含み、
前記嵌合凸部の長手方向の壁部分に、前記複数の端子が等しい間隔でそれぞれ配列されたことを特徴とする。
【0017】
本発明の1つの実施形態に係るコネクタシステムは、前記プラグコネクタ及び前記ソケットコネクタを含み、
前記プラグコネクタ及び前記ソケットコネクタは、互いに電気的に接続可能であることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るコネクタシステムの好ましい実施形態として、
前記プラグコネクタの複数の端子に含まれる、第1のプラグ側信号端子と、該第1のプラグ側信号端子に隣接する第2のプラグ側信号端子と、
前記ソケットコネクタの複数の端子に含まれる、第1のソケット側信号端子と、該第1のソケット側信号端子に隣接する第2のソケット側信号端子と
からなる端子群を少なくとも一組含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の別の実施形態に係るコネクタシステムは、プラグコネクタと、該プラグコネクタと電気的に接続可能なソケットコネクタとからなり、
前記プラグコネクタは、長手方向にそれぞれ等しい間隔で配列された同じ形状の複数のプラグ側端子を含み、該複数のプラグ側端子の各々は、基板と接続するためのプラグ側接続部と、前記ソケットコネクタのソケット側端子と接触するためのプラグ側接触部を備え、
前記ソケットコネクタは、長手方向にそれぞれ等しい間隔で配列された同じ形状の複数のソケット側端子を含み、該複数のソケット側端子の各々は、基板と接続するためのソケット側接続部と、前記プラグコネクタの前記プラグ側端子と接触するためのソケット側接触部を備え、
前記複数のプラグ側端子は、第1のプラグ側信号端子と、該第1のプラグ側信号端子に隣接する第2のプラグ側信号端子を含み、
前記複数のソケット側端子は、第1のソケット側信号端子と、該第1のソケット側信号端子に隣接する第2のソケット側信号端子を含み、
前記プラグ側接触部の幅は、隣り合うプラグ側端子のプラグ側接触部間の間隔よりも狭く、かつ、前記ソケット側接触部の幅は、隣り合うソケット側端子のソケット側接触部間の間隔よりも狭いことを特徴とする。
【0020】
本発明に係るコネクタシステムの好ましい実施形態として、前記複数のプラグ側端子は、第1のプラグ側グランド端子及び第2のプラグ側グランド端子をさらに含み、
前記プラグコネクタは、長手方向に、前記第1のプラグ側グランド端子、前記第1のプラグ側信号端子、前記第2のプラグ側信号端子、前記第2のプラグ側グランド端子の順に等しい間隔で配列されたプラグ側端子群を少なくとも一組含み、
前記複数のソケット側端子は、第1のソケット側グランド端子及び第2のソケット側グランド端子をさらに含み、
前記ソケットコネクタは、長手方向に、前記第1のソケット側グランド端子、前記第1のソケット側信号端子、前記第2のソケット側信号端子、前記第2のソケット側グランド端子の順に等しい間隔で配列されたソケット側端子群を少なくとも一組含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るコネクタは、同じ形状の複数の端子を等間隔で長手方向に配列し、各端子に備えられた接触部の横幅を、端子間の間隔よりも狭くすることで、狭ピッチ構造であっても、各端子の接触部の横幅及び各端子の接触部間の間隔を一定に保ちつつ、各端子の接触部間の間隔を広くとることができ、端子同士が互いの容量あるいは誘導により生じ得るクロストーク等の電気的悪影響の発生を防止し、インピーダンス整合を適切に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、それぞれの実施形態は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせてコネクタを構成することを排除するものではない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るプラグコネクタ及びソケットコネクタからなるコネクタシステムの外観を示す図である。本コネクタシステムは、例えば、携帯電話やスマートフォン、デジタルカメラ、ノートパソコンなどの小型電子機器における内部部品として使用することができるものである。
図1では、プラグコネクタ1及びソケットコネクタ2の各々における複数の端子のうちの一部に符号「10」又は「20」を付し、その他の同じ形状の端子の符号を省略して示す。プラグコネクタ1は、破線で示される基板3に実装され、ソケットコネクタ2は、破線で示される基板4に実装される。
図1に示す実施例では、基板3はフレキシブルフラットケーブルであり、基板4はプリント配線基板であるが、当該実施例に限定されるものではない。ここでは、プリント配線基板及びフレキシブルフラットケーブル等、コネクタが実装されるものを、単に「基板」と呼ぶ。
【0025】
プラグコネクタ1及びソケットコネクタ2は、絶縁樹脂製のハウジングを長方形状に成形して構成され、該ハウジングの長手方向の側壁5及び6に配列された、複数の端子10及び20を有する。長方形状のプラグコネクタ1は、長手方向に延びた、両側の側壁5に、同じ形状の複数の端子10を等しい間隔で配列して保持することができる。また、プラグコネクタ1は、長手方向の両側側壁5に、複数の電源端子30を保持することができ、複数の電源端子30は、等間隔で長手方向に並べられた複数の端子10の配列に隣接する位置に配置される。
【0026】
長方形状のソケットコネクタ2は、長手方向に延出した嵌合凸部60を中央部分に備え、嵌合凸部60の長手方向の両端には、嵌合凹部80を備える。ソケットコネクタ2の嵌合凸部60及び嵌合凹部80は、プラグコネクタ1の嵌合凹部50及び嵌合凸部70(
図2参照)とそれぞれ嵌め合わされる。ソケットコネクタ2は、長手方向に延びた、両側の側壁6に、同じ形状の複数の端子20を等しい間隔で配列して保持することができる。また、ソケットコネクタ2は、長手方向の両側側壁6に、複数の電源端子40を保持することができ、複数の電源端子40は、等間隔で長手方向に並べられた複数の端子20の配列に隣接する位置に配置される。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係るプラグコネクタの端部分を示す図である。
図2(a)及び(b)は、それぞれ、プラグコネクタ1の端部分を、ソケットコネクタ2と嵌合する側からみた正面図と斜視図である。プラグコネクタ1の端部分以外の部分は、
図2では省略する。
【0028】
プラグコネクタ1に含まれる複数の端子のうち4つの端子10を一組の端子群100と見なすことができ、一組の端子群100に含まれる4つの端子10のうち、両端の端子10はグランド端子として機能し、グランド端子として機能する2つの端子10に挟まれた、残り2つの端子10が一対の信号端子(以下、「信号端子ペア」ともいう。)として機能する。なお、グランド端子をG、信号端子をSとすると、複数の端子10の配列は、GSSGSSGSSG…と信号端子ペアの間に挟まれてグランド端子が配置されるため、ある端子群に含まれるグランド端子は、当該端子群に近接する端子群と重複することとなる。
【0029】
プラグコネクタ1は、長手方向に延びる嵌合凹部50と嵌合凹部50の長手方向終端部分に嵌合凸部70を備える。複数の端子10は、圧入又は一体成形等の製造工程により、プラグコネクタ1の長手方向の側壁5に、互いに等しい間隔で配列して保持される。電源端子30は、圧入又は一体成形等の製造工程により、嵌合凸部70に隣接する、プラグコネクタ1の長手方向の側壁5に保持されているが、この位置に限定されるものではなく、プラグコネクタ1の長手方向の側壁5の任意の位置に保持することもできる。
【0030】
図3は、
図2に示すプラグコネクタに含まれる一組の端子群に含まれる4つの端子の配列を示す図である。
図3(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は、端子群100を上方からみた斜視図、端子群100を下方からみた斜視図、端子群100の側面図、嵌合凹部50側を正面としたときにその反対側から端子群100をみた背面図、及び、嵌合凹部50側(正面)から端子群100をみた正面図である。
【0031】
図3(a)及び(b)を参照すると、端子群100に含まれる4つの端子10は、長手方向において、端からグランド端子10a、信号端子10b、信号端子10c、グランド端子10dに対応する。つまり、4つの端子10のうち、両側の端子10a及び10dは、グランド端子であり、グランド端子10aとグランド端子10dの間に挟まれた、残り2つの端子10b及び10cが、一対の信号端子(信号端子ペア)である。プラグコネクタ1は、このような端子群100を少なくとも一組含むことができる。
【0032】
また、
図3(a)、(b)及び(c)に示されるように、一組の端子群100に含まれる4つの端子10(10a,10b,10c,10d)の各々は、U字状に湾曲した部分である嵌入部13と、U字状の嵌入部13の互いに向き合う位置に2つの脚部が形成され、嵌入部13の2つの脚部のうち嵌合凹部50側に位置する一方の脚部13A(以下、「内側脚部13A」という)から、屈曲された移行部12を経て、プラグコネクタ1の短手方向外側に延び、基板に実装される(半田接続される)接続部11とを有する。
図2に示されるように、端子10は、嵌入部13および移行部12で、プラグコネクタ1の長手方向の側壁5との一体モールド成形等により保持される。嵌入部13は、プラグコネクタ1の長手方向の側壁5を下方から跨ぐようにして、該側壁5に埋没されている。嵌入部13は、U字状部分の内側板面および側縁が側壁5に保持されていて、側壁5から露呈したU字状部分の外側板面が、側壁5の表面と同一の面をなすように位置している。
【0033】
嵌入部13は、内側脚部13Aの嵌合凹部50側の板面に形成された接触部13A−1を有し、接触部13A−1は、ソケットコネクタ2との嵌合状態にてソケットコネクタ2の端子20の接触部25A(
図5参照)と接圧をもって接触することができる。また、嵌入部13の他方の脚部13B(以下、「外側脚部13B」という)の嵌合凹部50から離れて位置する、外側脚部13Bの板面は、ソケットコネクタ2の端子20の凹状の接触部22A−1と係止する凸状の接触部13B−1として形成される。
【0034】
さらに、
図3(d)及び(e)に示されるように、端子10(例えば、端子10a)の接触部13A−1(内側脚部13A)の幅(プラグコネクタ1の長手方向の幅)をW
1とし、隣り合う端子(例えば、端子10aと端子10b)の接触部13A−1間の間隔をL
1とした場合、接触部13A−1の幅W
1と、隣り合う端子の接触部13A−1間の間隔L
1との間には、W
1<L
1の関係が成り立つように、同じ形状の端子10はそれぞれ等しい間隔で、プラグコネクタ1の長手方向の側壁5に配列されて保持される。
【0035】
一方、端子10(例えば、端子10a)の接触部13B−1(外側脚部13B)の幅(プラグコネクタ1の長手方向の幅)をW
2とし、隣り合う端子(例えば、端子10aと端子10b)の接触部13B−1間の間隔をL
2とした場合、接触部13B−1の幅W
2と、隣り合う端子の接触部13B−1間の間隔L
2との間には、W
2<L
2の関係が成り立つように、同じ形状の端子10はそれぞれ等しい間隔で、プラグコネクタ1の長手方向の側壁5に配列されて保持される。
【0036】
このような構成により、各端子の接触部13A−1の幅W
1及び各端子の接触部13A−1間の間隔L
1を一定に保つことができ、接触部13A−1の幅W
1よりも、接触部13A−1間の間隔L
1を広くすることで、複数の端子10の各々の間を十分にとることができる。同様に、各端子の接触部13B−1の幅W
2及び各端子の接触部13B−1間の間隔L
2を一定に保つことができ、接触部13B−1の幅W
2よりも、接触部13B−1間の間隔L
2を広くすることで、複数の端子10の各々の間を十分にとることができる。その結果として、プラグコネクタ1は、端子同士が互いの容量あるいは誘導により生じ得るクロストーク等の電気的悪影響の発生を防止し、インピーダンス整合を適切に維持することができる。言い換えると、プラグコネクタ1のピッチ構造が、長手方向での端子の間の間隔を大きくすることなく、すなわち、長手方向にコネクタが大型化することない狭ピッチ構造であっても、よい電気的特性を得ることができる。
【0037】
また、
図3(d)及び(e)に示す実施例では、端子10(例えば、端子10a)の接触部13A−1の幅W
1と、隣り合う端子(例えば、端子10aと端子10b)の接触部13B−1間の間隔L
2との間には、W
1<L
2の関係が成り立ち、端子10(例えば、端子10a)の接触部13B−1の幅W
2と、隣り合う端子(例えば、端子10aと端子10b)の接触部13A−1間の間隔L
1との間には、W
2<L
1の関係が成り立つ。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。本実施形態では、接続部11の幅を接触部13A−1の幅W
1より小さくすることにより、隣接する端子間での接続部11間の間隔を広くでき、基板に実装し易くしている。なお、接続部11の幅と接触部13A−1の幅W
1との関係はこれに限定されるものではなく、同一とすることも可能である。
【0038】
さらに、
図3(d)及び(e)に示す実施例では、1つの端子10(例えば、端子10a)において、一方の接触部13A−1の幅W
1は、他方の接触部13B−1の幅W
2よりも広いことからW
1>W
2の関係も成り立つ。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態に係るソケットコネクタの端部分を示す図である。
図4(a)及び(b)は、それぞれ、ソケットコネクタ2の端部分を、プラグコネクタ1と嵌合する側からみた正面図と斜視図である。ソケットコネクタ2の端部分以外の部分は、
図4では省略する。
【0040】
ソケットコネクタ2に含まれる複数の端子のうち4つの端子20を一組の端子群200と見なすことができ、一組の端子群200に含まれる4つの端子20のうち、両端の端子20はグランド端子として機能し、グランド端子として機能する2つの端子20に挟まれた、残り2つの端子20が一対の信号端子(以下、「信号端子ペア」ともいう。)として機能する。なお、上述した複数の端子10の配列と同様に、グランド端子をG、信号端子をSとすると、複数の端子20の配列は、GSSGSSGSSG…と信号端子ペアの間に挟まれてグランド端子が配置されるため、ある端子群に含まれるグランド端子は、当該端子群に近接する端子群と重複することとなる。
【0041】
ソケットコネクタ2は、長手方向に延びる嵌合凸部60と、嵌合凸部60の長手方向終端部分に嵌合凹部80を備える。複数の端子20は、圧入又は一体成形等の製造工程により、ソケットコネクタ2の長手方向の側壁6に、互いに等しい間隔で配列して保持される。電源端子40は、圧入又は一体成形等の製造工程により、嵌合凹部80に隣接する、ソケットコネクタ2の長手方向の側壁6に保持されているが、この位置に限定されるものではなく、ソケットコネクタ2の長手方向の側壁6の任意の位置に保持することもできる。
【0042】
図5は、
図4に示す
ソケットコネクタに含まれる一組の端子群に含まれる4つの端子の配列を示す図である。
図5(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は、端子群200を上方からみた斜視図、端子群200を下方からみた斜視図、端子群200の側面図、嵌合凸部60側を正面としたときにその反対側から端子群200をみた背面図、及び、嵌合凸部60側(正面)から端子群200をみた正面図である。
【0043】
図5(a)及び(b)を参照すると、端子群200に含まれる4つの端子20は、端からグランド端子20a、信号端子20b、信号端子20c、グランド端子20dに対応する。つまり、4つの端子20のうち、両側の端子20a及び20dは、グランド端子であり、グランド端子20aとグランド端子20dの間に挟まれた、残り2つの端子20b及び20cが、一対の信号端子(信号端子ペア)である。ソケットコネクタ2は、このような端子群200を少なくとも一組含むことができる。
【0044】
また、
図5(a)、(b)及び(c)に示されるように、一組の端子群200に含まれる4つの端子20(20a,20b,20c,20d)の各々は、嵌合凸部60側に上下方向に延び自由端を有する弾性脚部(以下、「内側脚部25」という)及びソケットコネクタ2の側壁6に保持される被保持部22に連結する脚部(以下、「外側脚部22A」という)といった2つの脚部を有する、U字状に湾曲した部分である被嵌入部23と、U字状の被嵌入部23の外側脚部22Aを一方の脚部として共有し、外側脚部22Aよりも外側の脚部(以下、「外側脚部22B」)を他方の脚部として有する逆U字状の被保持部22と、外側脚部22Bからソケットコネクタ2の短手方向外側に延び基板に実装される(半田接続される)接続部21とを有する。
図4に示されるように、端子20は、被嵌入部23、被保持部22、外側脚部22A及び22Bで、嵌合凹部50の長手方向の側壁6との一体モールド成形等により保持される。被保持部22は、ソケットコネクタ2の長手方向の側壁6を上方から跨ぐようにして、該側壁6に埋没されている。被嵌入部23の外側脚部22Aの外側(裏側)板面および側縁が側壁6に保持されていて、側壁6から露呈したU字状部分の内側板面が、側壁6の表面と同一の面をなすように位置している。
【0045】
被嵌入部23は、該被嵌入部23の底部から移行部24を介して垂直方向に延出した内側脚部25を有し、内側脚部25は、外側脚部22A側に突出させて形成された接触部25Aを先端部分に有し、接触部25Aは、プラグコネクタ1との嵌合状態にてプラグコネクタ1の端子10の接触部13A−1(
図3参照)と接圧をもって接触することができる。また、被嵌入部23の他方の脚部である外側脚部22Aは、内側脚部25側の板面上に凹状に形成された接触部22A−1を有し、凹状の接触部22A−1は、プラグコネクタ1との嵌合状態にてプラグコネクタ1の端子10の凸状の接触部13B−1(
図3参照)を係止することができ、接触部13B−1と接圧をもって接触することができる。
【0046】
さらに、
図5(d)及び(e)に示されるように、端子20(例えば、端子20a)の接触部22A−1(外側脚部22A)の幅(ソケットコネクタ2の長手方向の幅)をw
1とし、隣り合う端子(例えば、端子20aと端子20b)の接触部22A−1間の間隔をl
1とした場合、接触部22A−1の幅w
1と、隣り合う端子の接触部22A−1間の間隔l
1との間には、w
1<l
1の関係が成り立つように、同じ形状の端子20はそれぞれ等しい間隔でソケットコネクタ2の長手方向の側壁6に配列されて保持される。
【0047】
一方、端子20(例えば、端子20a)の接触部25Aの幅をw
2とし、隣り合う端子(例えば、端子20aと端子20b)の接触部25A間の間隔をl
2とした場合、接触部25Aの幅w
2と、隣り合う端子の接触部25A間の間隔
l2との間には、w
2<l
2の関係が成り立つように、同じ形状の端子20はそれぞれ等しい間隔でソケットコネクタ2の長手方向の側壁6に配列されて保持される。
【0048】
このような構成により、各端子の接触部22A−1の幅w
1及び各端子の接触部22A−1間の間隔l
1を一定に保つことができ、接触部22A−1の幅
w1よりも、接触部22A−1間の間隔l
1を広くすることで、複数の端子の各々の間を十分にとることができる。同様に、各端子の接触部25Aの幅w
2及び各端子の接触部
25A間の間隔l
2を一定に保つことができ、接触部
25Aの幅
w2よりも、接触部
25A間の間隔
l2を広くすることで、複数の端子の各々の間を十分にとることができる。その結果として、ソケットコネクタ2は、端子同士が互いの容量あるいは誘導により生じ得るクロストーク等の電気的悪影響の発生を防止し、インピーダンス整合を適切に維持することができる。言い換えると、ソケットコネクタ2のピッチ構造が、長手方向での端子の間の間隔を大きくすることなく、すなわち、長手方向にコネクタが大型化することない狭ピッチ構造であっても、よい電気的特性を得ることができる。
【0049】
また、
図5(d)及び(e)に示す実施例では、端子20(例えば、端子20a)の接触部22A−1(外側脚部22A)の幅w
1と、隣り合う端子(例えば、端子
20aと端子
20b)の接触部25A間の間隔l
2との間には、w
1<l
2の関係が成り立ち、端子20(例えば、端子20a)の接触部25Aの幅w
2と、隣り合う端子(例えば、端子
20aと端子
20b)の接触部22A−1間の間隔l
1との間には、w
2<l
1の関係が成り立つ。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。本実施形態では、接続部21の幅を接触部22A−1の幅w
1より小さくすることにより、隣接する端子間での接続部21間の間隔を広くでき、基板に実装し易くしている。なお、接続部21の幅と接触部22A−1の幅w
1との関係はこれに限定されるものではなく、同一とすることも可能である。
【0050】
さらに、
図5(d)及び(e)に示す実施例では、1つの端子20(例えば、端子20a)において、一方の接触部22A−1の幅w
1は、他方の接触部25Aの幅w
2よりも広いことからw
1>w
2の関係も成り立つ。
【0051】
図6は嵌合前の状態のプラグコネクタ及びソケットコネクタの断面図である。
図6(a)に示す切断線A−Aに沿って切断したプラグコネクタ1及びソケットコネクタ2の断面を
図6(b)に示す。端子10は、プラグコネクタ1の長手方向の側壁5の一部分である保持壁51を接続部11、移行部12、内側脚部13A及び外側脚部13Bを含むU字状の嵌入部13で包み込むようにして、保持壁51に保持される。これにより、内側脚部13Aと外側脚部13Bの間、すなわち、嵌入部13の内側には樹脂が存在し、若しくは充填されている。端子20は、ソケットコネクタ2の長手方向の側壁6の一部分である保持壁61に、外側脚部22Bが埋め込まれて保持される。つまり、外側脚部22Bが主保持壁61と副保持壁61Bの間で挟み込まれ、外側脚部22B及び外側脚部22Aを含む逆U字状の被保持部22が、主保持壁61Aを跨ぐように保持される。これにより、外側脚部22Bと外側脚部22Aの間には樹脂が存在し、若しくは充填されている。
【0052】
嵌合凸部60は、互いに向き合う端子20の内側脚部25の間に隔壁部62を有する。被嵌入部23の底部から移行部24、内側脚部25及び該内側脚部25の先端部分を屈曲させて形成した接触部25Aは、通常時には嵌合凸部60の隔壁部62に接触しない自由端である。
【0053】
図7は、嵌合後の状態のプラグコネクタ及びソケットコネクタの断面図である。
図7(a)に示す切断線B−Bに沿って切断したプラグコネクタ1及びソケットコネクタ2の断面を
図7(b)に示す。端子10の嵌入部13は、端子20の被嵌入部23に挿入され、端子10の外側脚部13Bの凸状の接触部13B−1は、端子20の外側脚部22Aの凹状の接触部22A−1に嵌め込まれて接触することで電気的に接続される。
【0054】
また、端子10の内側脚部13Aの接触部13A−1は、端子20の内側脚部25の接触部25Aと接触することで電気的に接続される。自由端である内側脚部25は、弾性を有しており、接触部25Aで端子10の接触部13A−1を押し付けることで、外側脚部22Aの接触部22A−1に、端子10の外側脚部13Bの接触部13B−1が押し込まれて、嵌め合わされる。
【0055】
このようにして、一組の端子群100に含まれるグランド端子10a、信号端子10b、信号端子10c、グランド端子10d(
図3参照)は、一組の端子群200に含まれるグランド端子20a、信号端子20b、信号端子20c、グランド端子20d(
図5参照)に、嵌め合わされて接触し、電気的に接続される。同様に、プラグコネクタ1の電源端子30(
図2参照)も、ソケットコネクタ2の電源端子40(
図4参照)に嵌め合わされて接触し、電気的に接続される。
【0056】
図8は、プラグコネクタに含まれる端子群の配列及びソケットコネクタに含まれる端子群の配列を示す図である。
図8(a)は、嵌合凹部50又は嵌合凸部60側を正面としたときにその反対側から端子群100と端子群200をみた背面図、及び、嵌合凹部50又は嵌合凸部60側(正面)から端子群100と端子群200をみた正面図である。上述したとおり、プラグコネクタ1は、4つの端子10を含む端子群100を少なくとも一組含み、ソケットコネクタ2は、4つの端子20を含む端子群200を少なくとも一組含む。
【0057】
本発明の別の実施形態として、プラグコネクタ1及びソケットコネクタ2からなるコネクタシステムは、端子10b(第1のプラグ側信号端子)と端子10c(第2のプラグ側信号端子)からなる信号端子ペア(プラグ側信号端子ペア)及び、端子20b(第1のソケット側信号端子)と端子20c(第2のソケット側信号端子)からなる信号端子ペア(ソケット側信号端子ペア)からなる端子群を少なくとも一組含むことができる。プラグ側信号端子ペアの信号端子10b及び10cは、ソケット側信号端子ペアの信号端子20b及び20cと電気的に接続可能なように、等しい間隔で配列される。
【0058】
上述したように、プラグコネクタ1における端子10の接触部13A−1の幅W
1及び接触部13B−1の幅W
2と、隣り合う端子の接触部13A−1間の間隔(例えば、プラグ側信号端子ペア間の間隔)L
1と、隣り合う端子の接触部13B−1間の間隔L
2との間には、W
1<L
1、W
2<L
1、W
2<W
1、L
1<L
2の関係が成り立ち、この関係と同様に、ソケットコネクタ2における端子20の接触部22A−1の幅w
1及び接触部25Aの幅w
2と、隣り合う端子の接触部22A−1間の間隔l
1と、隣り合う端子の接触部25A間の間隔l
2との間にも、w
1<l
1、w
2<l
1、w
2<w
1、l
1<l
2の関係が成り立つ。つまり、端子10と端子20は、形状は異なるが、一方の接触部の幅、他方の接触部の幅、隣り合う端子の一方の接触部の間隔、及び隣り合う端子の他方の接触部の間隔の大小関係は同じである。
【0059】
このような大小関係で、複数の端子10及び複数の端子20を、等しい間隔で配列することで、複数の端子10の各々の間隔及び複数の端子20の各々の間隔を十分に広くとることができることから、端子同士が互いの容量あるいは誘導により生じ得るクロストーク等の電気的悪影響の発生を防止し、インピーダンス整合を適切に維持することができる。
【0060】
本発明の個々の実施例は、独立したものではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。