特許第6703910号(P6703910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703910
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】情報通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20200525BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20200525BHJP
【FI】
   H01Q1/22 Z
   H04B1/38
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-138197(P2016-138197)
(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公開番号】特開2018-11166(P2018-11166A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康智
【審査官】 赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−152820(JP,A)
【文献】 特開2004−015731(JP,A)
【文献】 特開2016−021617(JP,A)
【文献】 特開2015−154279(JP,A)
【文献】 特開昭54−122014(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0121390(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
H04B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に埋設して設置される本体ユニットを備え、アンテナ素子を駆動して無線信号の送受信を行うことで、外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、
前記設置面に埋設して設置された埋設設置状態の前記本体ユニットに対して着脱可能に構成され、前記アンテナ素子が設けられたアンテナユニットを備え、
前記アンテナユニットを前記本体ユニットに装着した装着状態において、前記アンテナ素子が前記本体ユニット側に接続され
前記本体ユニットが、前記埋設設置状態において前記設置面の取付口に挿入されて当該設置面よりも前方に膨出する膨出部を有し、
前記アンテナユニットが、アンテナ素子を内蔵するケーシングを有すると共に、当該ケーシングが、前記埋設設置状態の前記本体ユニットにおいて膨出部に前方側から直接的に着脱自在に構成されており、
前記アンテナユニットのケーシングが、前記本体ユニットの膨出部への装着時において、当該膨出部の前面部の外周縁側から後方に延出する周面部の外周を周面壁部で囲う構成を有すると共に、当該周面壁部の内壁面に前記アンテナ素子が配置されている情報通信装置。
【請求項2】
前記本体ユニットの前面部に、前記埋設設置状態において前記設置面の前方側の室内空間に臨むインターフェースが設けられ、
前記アンテナユニットが、前記本体ユニットへの装着時において、前記本体ユニットの前面部の少なくともインターフェースを前記室内空間に露出させる構成を有する請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項3】
仕様が異なる複数種の前記アンテナユニットを備えた請求項1又は2に記載の情報通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Wi−Fi(登録商標)やWiMAX(登録商標)などの無線LANを行うためのアンテナ素子を備えた情報通信装置であって、特に、設置面に埋設して設置される本体ユニットを備え、アンテナ素子を駆動して無線信号の送受信を行うことで、外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末のようなモバイル通信端末を用いて室内などで無線通信を行うために、無線LAN用のアンテナ素子を備えた情報通信装置が室内に設置される。従来の情報通信装置としては、アンテナ素子を本体ユニットに内蔵し、当該本体ユニットを室内に面する壁面などの設置面に設置可能なものが知られている(例えば特許文献1,2及び3を参照。)。
【0003】
上記特許文献3記載の情報通信装置は、設置面に対して本体ユニット全体を外部に露出させた姿勢で設置可能に構成されており、広範囲での無線通信を確立するべく、2つのアンテナ素子が本体ユニットに内蔵されている。
しかし、この種の情報通信装置では、設置面に対して本体ユニット全体が外部に露出していることから、設置面からの突出量が大きくなる。すると、設置箇所の美観が低下する上に、歩行の妨げになり易く、その歩行者との衝突などにより装置が損傷し易くなるという問題があった。
【0004】
そこで、上記特許文献1及び2に記載の情報通信装置は、本体ユニット全体を外部に露出させるのではなく、設置面に設けられたコンセント部に本体ユニットの一部を埋設して設置可能に構成されている。よって、設置面からの突出量が極力小さくなり、上記のような美観の低下や歩行の邪魔になるなどの問題が回避されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−021617号公報
【特許文献2】特開2013−157738号公報
【特許文献3】特開2006−050564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の情報通信装置において、安定且つ広範囲の無線通信を確立するためには、夫々のアンテナ素子を、送受信波の相互干渉が十分に抑制されるような配置状態で配置する必要がある。そして、上記特許文献3に記載の情報通信装置のように、本体ユニット全体が設置面から外部に露出する場合には、本体ユニットの大きさや形状に制限が略無いので、その内部において夫々のアンテナ素子を十分な離間距離を設けて略自由に配置することができる。しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の情報通信装置のように、本体ユニットの少なくとも一部が設置面に設けられたコンセント部に埋設される場合には、そのコンセント部が標準化された市販の資材を利用したものであるために、本体ユニットの大きさや形状に制限が生じる。そして、このような大きさなどに制限がある本体ユニット内では、アンテナ素子を適切に配置することは困難であった。
【0007】
また、このような情報通信装置では、例えば、無線LANの周波数帯域や通信距離などに応じて複数の無線通信規格が存在する。そして、情報通信装置において、複数の無線通信規格等の複数種の仕様に対応するためには、夫々の仕様に適した複数種の形態でアンテナ素子を備える必要がある。しかしながら、設置面に埋設して設置される本体ユニットにアンテナ素子を内蔵する構成では、アンテナ素子の設置範囲に制限があるため、複数種の形態でアンテナ素子を設置するのは困難であった。よって、適用する仕様を変更する場合には、本体ユニットを交換する必要があった。
【0008】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、コンセント部等の設置面に埋設して設置される本体ユニットを備えた情報通信装置において、無線通信用のアンテナ素子を設けるにあたり、アンテナ素子の配置の自由度を向上して、安定且つ広範囲の無線通信を確立すると共に、無線通信規格等の仕様変更に簡単に対応可能とする技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1特徴構成は、設置面に埋設して設置される本体ユニットを備え、アンテナ素子を駆動して無線信号の送受信を行うことで、外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、
前記設置面に埋設して設置された埋設設置状態の前記本体ユニットに対して着脱可能に構成され、前記アンテナ素子が設けられたアンテナユニットを備え、
前記アンテナユニットを前記本体ユニットに装着した装着状態において、前記アンテナ素子が前記本体ユニット側に接続され
前記本体ユニットが、前記埋設設置状態において前記設置面の取付口に挿入されて当該設置面よりも前方に膨出する膨出部を有し、
前記アンテナユニットが、アンテナ素子を内蔵するケーシングを有すると共に、当該ケーシングが、前記埋設設置状態の前記本体ユニットにおいて膨出部に前方側から直接的に着脱自在に構成されており、
前記アンテナユニットのケーシングが、前記本体ユニットの膨出部への装着時において、当該膨出部の前面部の外周縁側から後方に延出する周面部の外周を周面壁部で囲う構成を有すると共に、当該周面壁部の内壁面に前記アンテナ素子が配置されている点にある。
【0010】
本構成によれば、本体ユニットとは別に、埋設設置状態の本体ユニットに対して着脱自在なアンテナユニットを設け、そのアンテナユニットにアンテナ素子が設けられているので、アンテナ素子の設置範囲の制限が緩和される。よって、アンテナユニットにおいて、アンテナ素子の配置の自由度が向上し、例えばアンテナ素子を広範囲に設置して、安定且つ広範囲の無線通信を確立することができる。
更に、仕様変更に伴ってアンテナ素子の形態等を変更する場合であっても、本体ユニットの交換を必要とせずに、アンテナユニットに交換するだけで対応することができ、仕様変更に伴う本体ユニットの交換を回避することができる。
従って、本発明により、コンセント部等の設置面に埋設して設置される本体ユニットを備えた情報通信装置において、無線通信用のアンテナ素子を設けるにあたり、アンテナ素子の配置の自由度を向上して、安定且つ広範囲の無線通信を確立すると共に、無線通信規格等の仕様変更に簡単に対応可能とする技術を提供することができる。
また、本構成によれば、本体ユニットに上記膨出部を設けるという簡単な構成により、その膨出部に前方側から直接的にアンテナユニットを着脱可能とすることができる。また、設置面よりも前方に膨出する膨出部に前方側から直接的にアンテナユニットが着脱されるので、そのアンテナユニットの着脱作業を、設置面の前面側で行うことができる簡単な作業とすることができる。
また、本構成によれば、アンテナユニットが、本体ユニットへの装着時において本体ユニットの周面部(前方から見た正面視において本体ユニットの外周部)を囲う構成を有するので、アンテナユニットを比較的大きな環状のものとして構成することができる。このことで、例えばアンテナ素子を一層広範囲に設置して、一層安定且つ広範囲の無線通信を確立することができる。
更に、正面視において、アンテナユニットの中心部には本体ユニットが存在することになるので、複数のアンテナ素子を設ける場合において、本体ユニットを間に挟んで離間する位置に夫々のアンテナ素子を分配配置することができ、夫々のアンテナ素子における送受信波の相互干渉を抑制し、夫々のアンテナ素子による無線通信を安定して行うことができる。
【0013】
本発明の第特徴構成は、前記本体ユニットの前面部に、前記埋設設置状態において前記設置面の前方側の室内空間に臨むインターフェースが設けられ、
前記アンテナユニットが、前記本体ユニットへの装着時において、前記本体ユニットの前面部の少なくともインターフェースを前記室内空間に露出させる構成を有する点にある。
【0014】
本構成によれば、本体ユニットの前面部に設けられたインターフェースを設置面の前方側の室内空間に露出された状態を維持しながら、アンテナユニットを本体ユニットに装着することができる。このことにより、本体ユニットにアンテナユニットが装着された状態でも、当該本体ユニットの前面部のインターフェースに対する操作や視認などのアクセスを確保することができる。尚、本願においてインターフェースとは、状態の表示等を行うための表示部、状態の切り替え等を行うための操作部、有線通信用ケーブルの接続等を行うための接続部等がある。
【0017】
本発明の第特徴構成は、仕様が異なる複数種の前記アンテナユニットを備えた点にある。
【0018】
本構成によれば、仕様が異なる複数種のアンテナユニットを備えることで、その複数種のアンテナユニットから適当な一のアンテナユニットを選択して本体ユニットに装着すれば、状況や要望に応じた無線通信を行うための情報通信装置を構築することができる。即ち、本体ユニットを共通化し、複数種のアンテナユニットを準備するだけで、例えば無線通信規格等の複数種の仕様に対応した複数のバリエーションの情報通信装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】情報コンセントにて情報通信装置が設置された状態を示す正面図
図2】情報コンセントにて情報通信装置が設置された状態を示す左側面図
図3】情報コンセントにて情報通信装置が設置された状態を示す背面図
図4】本体ユニットに対しアンテナユニットを取り外した状態を示す情報通信装置の斜視図
図5】本体ユニットに対しアンテナユニットを装着した状態を示す情報通信装置の斜視図
図6】本体ユニットとアンテナユニットの接続状態を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る情報通信装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1図2、及び図3に示すように、コンセント1は、壁Wに貫通形成された矩形状(長方形状)の開口Waの後方側に設置したコンセントボックス2と、壁Wの前方側に配置されたコンセント1の外表面を覆うコンセントカバー3とを、それらの間において壁Wの前面部に当接する金属製の取付枠5を介して固定することにより構成されている。
【0021】
このコンセント1には、図1に示すように、本発明の情報通信装置K1を含めて2つの機器K1,K2が装備されている。
つまり、コンセント1の右方側には、本発明の情報通信装置K1が設けられている。また、前面視(図1参照)においてコンセント1の左方側(背面視(図3参照)においてコンセント1の右方側)には、上下に2つの電源コンセント差込口を備えた電源コンセント用機器K2が設けられている。
【0022】
コンセントボックス2には、図3に示すように、情報通信装置K1側の空間と電源コンセント用機器K2側の空間とを区画する区画壁2aが設けられている。更に、このコンセントボックス2の上下には、上記区画壁2aで区画された夫々の空間に対して、壁Wの後方側の空間に配線された電源ケーブル61,63や通信線の一例であるWAN側の通信ケーブル22や電話ケーブル25などを引き込むための挿入口2b,2cが形成されている。
【0023】
具体的に、情報通信装置K1側の空間では、上側挿入口2bを介して、通信ケーブル22や電話ケーブル25が引き込まれ、下側に形成された下側挿入口2cを介して、商用電力を情報通信装置K1に供給するための一対の電源ケーブル61からなる電源ケーブル61が引き込まれる。
一方、電源コンセント用機器K2側の空間では、図3に示すように、上側挿入口2bを介して、商用電力を電源コンセント用機器K2に供給するための電源ケーブル63が引き込まれ、下側に形成された下側挿入口2cを介して、商用電力を情報通信装置K1に供給するための電源ケーブル61が引き込まれる。
【0024】
更に、電源コンセント用機器K2の背面部には、電源線を着脱自在に差し込み接続可能な電源ケーブル接続部62と、同じく電源線を着脱自在に差し込み接続可能な電源ケーブル接続部60とが、上下に配置されており、これらは前面部に設けられた電源コンセント差込口(図1参照)に夫々が電気的に導通している。更に、夫々の電源ケーブル接続部60,62が電気的に導通している。
【0025】
そして、上側挿入口2bを介して引き込まれた電源ケーブル63が、電源コンセント用機器K2の背面部の上側に設けられた電源ケーブル接続部62に接続され、一方、下側挿入口2cを介して引き込まれた電源ケーブル61が、電源コンセント用機器K2の背面部の下側に設けられた電源ケーブル接続部60に接続される。そして、電源ケーブル61は、電源コンセント用機器K2から、コンセントボックス2の区画壁2aの下端部を迂回して、情報通信装置K1に案内されることになり、この電源ケーブル63を介して、電源コンセント用機器K2に供給された商用電力が、電源ケーブル61を介して情報通信装置K1に供給されることになる。
【0026】
図1及び図2に示すように、コンセントカバー3には、各機器K1,K2に対応した形状の取付口4が左右に並んで互いに隣接して形成されており、各取付口4を通して各機器K1,K2の前面部分が外部である室内に露出する形態で取り付けられている。よって、本実施形態では、このコンセントカバー3の前面部が、各機器K1,K2が埋設して設置される設置面Fに相当する。
【0027】
コンセント1は、情報通信装置K1に加えて、その情報通信装置K1とは異なる機器として、電源コンセント用機器K2が互いに隣接して設置面Fに埋設して設置された情報コンセントとして構成されている。尚、これら機器K1,K2以外に、テレビアンテナ用の同軸ケーブルを接続する同軸ケーブル接続用ユニットやその他の機器ユニットを設置しても構わず、また、このような情報通信装置K1以外の機器ユニットを配置することなく、情報通信装置K1のみを単独で設置しても構わない。
【0028】
以下、情報通信装置K1の構成について、図1図6に基づいて説明する。
情報通信装置K1は、詳細については後述するが、設置面Fに埋設して設置される本体ユニットU1と、設置面Fに埋設して設置された埋設設置状態の本体ユニットU1に対して着脱可能に構成されたアンテナユニットU2で構成されている。以下、本体ユニットU1とアンテナユニットU2の夫々構成について説明する。
【0029】
〔本体ユニット〕
本体ユニットU1は、図3等に示すように、設置面Fに埋設して設置可能に構成されたケーシング10を備える。そのケーシング10の背面部18側には、商用電力を供給する一対の電源ケーブル61が着脱自在に差し込み接続される一対の電源線接続口52が設けられている。
【0030】
本体ユニットU1のケーシング10は、図2及び図4等に示すように、設置面Fに対して直交する前後方向(壁Wの表裏方向)から互いに脱着自在に嵌合する前側分割ケーシング10Aと後側分割ケーシング10Bとで二分割されたケーシングである。また、前側分割ケーシング10Aは樹脂製の成形品であるが、後側分割ケーシング10Bは電波シールド性が良好なアルミニウムや亜鉛鋼製等のダイキャストによるものとして構成されている。
【0031】
また、この後側分割ケーシング10Bにおける背面部18及び周面部19の表面には複数の溝が形成されて、表面積が拡大されている。これらのことで、後側分割ケーシング10Bの表面から外部への放熱が促進され、内部の昇温が抑制されている。尚、ケーシング10の内部には、詳細な説明は割愛するが、各種アダプタやコネクタ以外に、無線LAN用アンテナ、コンバータ、各種回路基板などが実装されており、例えば、図6等に示すように、通信制御用の回路基板からなる通信制御部31やアンテナ制御用の回路基板からなるアンテナ制御部32等が設けられている。
【0032】
前側分割ケーシング10Aは、図2及び図4等に示すように、前方側に面する前面部11と、その前面部11の外周縁側から後方側に延出する周面部12とを有する。更に、周面部12の後方側には、側方側に延出して設置面Fの後方側(具体的にはコンセントカバー3の後方側)に設けられた取付枠5に固定されるフランジ部13が形成されている。そして、このフランジ部13が取付枠5に固定された状態では、取付口4に挿入された周面部12の前方側及び前面部11が、設置面Fよりも前方側(室内側)に膨出する膨出部Aとなる。
【0033】
図1及び図4等に示すように、前面部11は、コンセントカバー3の前面部に沿って上下方向に延びる略長方形の帯状に形成されており、詳しくは鉛直方向に沿った平面で構成されており、この前面部11には、設置面Fの前方側の室内空間に臨むインターフェースが設けられている。
【0034】
具体的に、上記インターフェースとしては、以下に示すものが設けられている。即ち、前面部11の上側には、電話回線用モジュラープラグが脱着自在に接続される電話回線用モジュラーアダプタの接続口14が設けられている。更に、同上側には、表示ランプ16やリセットボタン17などが設けられている。表示ランプ16としては、情報通信装置K1の電源の投入状態を示す電源インジケータや、ルーティング機能(有線LANや無線LANを利用した情報通信機能)の利用可能状態を示すLANインジケータやネットワークのアクセス状態を示すアクセスインジケータなどが設けられている。
一方、前面部11の下側には、LAN用モジュラーアダプタが脱着自在に接続されるLAN用モジュラーアダプタの接続口15が設けられている。
【0035】
後側分割ケーシング10Bは、図2図3及び図4等に示すように、後方に面する背面部18と、その背面部18の外周縁側から前方に延出する周面部19とを有し、この周面部19の前方側に、前側分割ケーシング10Aが組み付けられる。
【0036】
後側分割ケーシング10Bにおける背面部18の上方側の縁部には、WAN側の通信ケーブル22のモジュラージャック21が脱着自在に接続されるWAN用モジュラーアダプタ20が、その接続口を斜め上方に向けて露出開口させた姿勢で装備されている。また、同縁部には、6極2芯の電話ケーブル25の二本の芯線が脱着自在に差し込み接続される通信回線接続口23が、その縁部に形成された段部において上方に向けて露出開口させた姿勢で装備されている。
【0037】
更に、後側分割ケーシング10Bの背面部18の外周縁に形成された一対の凹部51の夫々には、商用電力を供給する一対の電源ケーブル61が着脱自在に差し込み接続される一対の電源線接続口52を有する電源線接続用アダプタが、それらの電源線接続口52を後方に向けて露出開口させた姿勢で装備されている。
【0038】
〔アンテナユニット〕
一方、アンテナユニットU2は、図1図2及び図4等に示すように、ケーシング26にアンテナ素子30を内蔵しており、そのケーシング26が、埋設設置状態の本体ユニットU1において設置面Fよりも前面側に膨出する膨出部Aに対して着脱自在に構成されている。
【0039】
更に、アンテナユニットU2のケーシング26は、本体ユニットU1への装着時において、本体ユニットの前面部11の外周縁側から後方に延出する周面部12を囲う構成、言い換えれば、周面部12全体に沿った矩形環状の構成を有するものとして構成されている。
具体的に、ケーシング26は、直方体の外形を有し、外周の4面を構成する周面壁部27と、その前方側に設けられた前面壁部28とからなる。そして、この前面壁部28は、本体ユニット11の膨出部Aが挿入される矩形の開口部29を有する環状に形成されている。アンテナ素子30は、ケーシング26の外周の4隅側に分散配置され、ケーシング26を構成する壁部27,28の内壁面に沿って設けられており、本実施形態では、各アンテナ素子30は、断面L字上に屈曲形成された板状に構成され、周面壁部27の内壁面と前面壁部28の内壁面とからなる4つの角部の夫々において、当該内壁面に当て付けた状態で配置されている。
【0040】
図6に示すように、アンテナユニットU2を本体ユニットU1に装着した装着状態において、本体ユニットの前面部11の上下縁部に設けられた接続端子33を通じて、アンテナユニットU2に設けられたアンテナ素子30が、本体ユニットU1に設けられたアンテナ制御部32に接続される。そして、本体ユニットU1のアンテナ制御部32は、アンテナユニットU2に設けられたアンテナ素子30を駆動して無線信号の送受信を行うことで、通信制御部31が外部の情報通信端末との間で無線通信を可能とする。
【0041】
以上のようにアンテナユニットU2を本体ユニットU1に対して着脱自在なものとして構成されているので、例えば4つのアンテナ素子30をアンテナユニットU2の4つの角部に配置するというように、アンテナ素子30を広範囲に設置することで、安定且つ広範囲の無線通信が確立されている。
【0042】
更に、仕様が異なる複数種のアンテナユニットU2が準備されており、これら複数種のアンテナユニットU2から一のアンテナユニットU2が選択され、当該選択されたアンテナユニットU2が本体ユニットU1に装着される。このことにより、状況や要望に応じた無線通信を行うための情報通信装置K1を構築することができる。即ち、本体ユニットU1については、コンセント1に対して埋設して設置される共通の形態のものとして構成し、アンテナユニットU2については例えば仕様毎に複数種のものを準備するだけで、複数の仕様に対応した複数のバリエーションの情報通信装置K1が実現されることになる。
【0043】
尚、アンテナユニットの仕様としては、無線LANの周波数帯域や通信距離などに応じた無線通信規格に関する仕様、アンテナ素子30と電波シールドとの相関配置状態等により設定されるアンテナ素子30の指向性に関する仕様、アンテナ素子30の大きさや形状等により設定されるアンテナ素子30のレベル(送受信強度)に関する仕様、その他のアンテナ素子30の配置状態や配置個数などに関する仕様等を挙げることができ、これらの仕様毎に複数種のアンテナユニットU2が製作される。
【0044】
また、アンテナユニットU2は、例えば周面部12全体に沿った矩形環状の構成を有することから、本体ユニットU1の前面部11を、設置面Fの前方側の室内空間に露出させる構成を有する。このことにより、本体ユニットU1にアンテナユニットU2が装着された状態でも、当該本体ユニットU1の前面部11のインターフェースに対する操作や視認などのアクセスが確保されている。
【0045】
また、図2に示すように、アンテナユニットU2の外底面には、スライド式の電源スイッチ40が設けられており、図示は省略するが、アンテナユニットU2を本体ユニットU1に装着した装着状態において、電源スイッチ40が本体ユニットU1の電源回路と接続され、電源スイッチ40のスライド操作により情報通信装置K1の電源の入切を操作することができる。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、アンテナユニットU2を、本体ユニットU1の膨出部Aに対して着脱自在に構成すると共に、本体ユニットU1への装着時において、当該本体ユニットU1の前面部11の外延部から後方に延出する周面部12を囲う構成としたが、アンテナユニットU2の本体ユニットU1への装着構造については適宜改変しても構わない。
例えば、アンテナユニットU2を、本体ユニットU1の周面部12の一部や前面部11に沿う形態で本体ユニットU1に装着される構成としたり、本体ユニットU1に設けた凹部や開口部にアンテナユニットU2の少なくとも一部を挿入する形態で本体ユニットU1に装着される構成とすることができる。
【0047】
(2)上記実施形態では、アンテナユニットU2を、本体ユニットU1への装着時において、本体ユニットU1の前面部11全体を設置面Fの前方側の室内空間に露出させる構成としたが、例えば、本体ユニットU1の前面部11の接続口14,15や表示ランプ16やリセットボタン17などのインターフェースの配置箇所のみを室内空間に露出させ、他の前面部11を覆う構成としても構わない。
【0048】
(3)上記実施形態では、アンテナ素子30の形状及び配置の一例を説明したが、当然、アンテナ素子30の形状及び配置は適宜改変しても構わない。
【0049】
(4)上記実施形態では、情報通信装置K1を、有線LAN用モジュラーアダプタ用及び電話回線用モジュラーアダプタ用の接続口14,15を備えたタイプとして構成したが、別に、これら接続口14,15を備えずに、無線LAN用アンテナによる無線通信のみを行うタイプとして構成しても構わない。
【符号の説明】
【0050】
14 接続口(インターフェース)
15 接続口(インターフェース)
16 表示ランプ(インターフェース)
17 リセットボタン(インターフェース)
30 アンテナ素子
A 膨出部
F 設置面
K1 情報通信装置
U1 本体ユニット
U2 アンテナユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6