(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0015】
以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。また、本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の駆動装置1の例示的かつ模式的な斜視図である。
図2は、本実施形態の駆動装置1の例示的かつ模式的な正面図である。
図1,2に示されるように、駆動装置1は、モータ2と、減速装置3と、を備えている。駆動装置1は、モータ2の回転を、減速装置3によって減速して、減速装置3に設けられたピニオン4を回転させる。駆動装置1は、例えば、車両のシートのリフタ装置(いずれも不図示)に設けられ、シートクッションの後端部を上下方向に移動させる。なお、駆動装置1は、他の装置に設けられてもよい。
【0017】
図3は、本実施形態の駆動装置1の例示的かつ模式的な分解斜視図である。
図3に示されるように、モータ2は、ケース11と、ケース11内に収容された収容部品と、を有している。収容部品には、例えば、モータシャフトや、ステータ、ロータ、コイル、磁石(不図示)等が含まれる。モータ2は、電力によって駆動され、回転中心軸Ax1周りにモータシャフトを回転させる。モータシャフトには、ウォーム20が結合されており、ウォーム20は、モータシャフトと一体に回転中心軸Ax1周りに回転する。モータ2は、駆動機構の一例である。
【0018】
図4は、
図2のIV-IV線に沿った断面図である。
図5は、
図2のV-V線に沿った断面図である。
図6は、
図2のVI-VI線に沿った断面図である。
図3〜6に示されるように、減速装置3は、ハウジング21と、出力シャフト22と、二つの減速部23,24と、ストッパ部25と、を有している。出力シャフト22、減速部23,24、およびストッパ部25は、ハウジング21に収容されている。モータ2の駆動力は、減速部23を介して減速部24に伝達される。すなわち、減速部23は、上段の減速部であり、減速部24は、下段の減速部である。
【0019】
図3〜6に示されるように、ハウジング21は、複数の部材、具体的には、第一ハウジング部材26および第二ハウジング部材27の組み合わせとして構成されている。第一ハウジング部材26と第二ハウジング部材27とは、ネジ等の結合具28によって互いに結合されている。また、第一ハウジング部材26には、モータ2のケース11が結合具28によって固定されている。
【0020】
図4〜6に示されるように、出力シャフト22は、モータ2の回転中心軸Ax1と交差する方向に延びた回転中心軸Ax2周りに回転可能に、ハウジング21に支持されている。具体的には、出力シャフト22は、第一ハウジング部材26に設けられた孔26aと、第二ハウジング部材27に設けられた孔27aと、に挿入された状態で、第一ハウジング部材26および第二ハウジング部材27によって、支持されている。出力シャフト22の一部は、第二ハウジング部材27から突出してハウジング21の外部に位置されている。ハウジング21の外部に位置された出力シャフト22には、ピニオン4が一体に設けられている。したがって、ピニオン4は、出力シャフト22と一体に回転中心軸Ax2周りに回転する。
【0021】
図3に示されるように、減速部23は、ウォーム20と、ウォーム20と噛み合うウォームホイール29と、を有している。ウォームホイール29は、回転中心軸Ax2周りに回転可能且つ出力シャフト22に対して回転可能に、出力シャフト22に支持されている。減速部23では、モータ2の駆動力によってウォーム20が回転中心軸Ax1周りに回転すると、ウォームホイール29が回転中心軸Ax2周りに回転する。減速部23は、モータ2のモータシャフトに対して減速してウォームホイール29を回転させる。ウォームホイール29は、従動ギヤの一例である。
【0022】
また、ウォームホイール29には、出力シャフト22(回転中心軸Ax2)に対して偏心した偏心シャフト30が設けられている。偏心シャフト30には、回転中心軸Ax2を中心とした孔30aが設けられ、この孔30aに出力シャフト22が挿入されている。偏心シャフト30は、ウォームホイール29と一体に回転する。
【0023】
図7は、本実施形態の駆動装置1に含まれる減速装置3の一部の例示的かつ模式的な側面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図3,4,7,8等に示されるように、減速部24は、外歯ギヤ31と、外歯ギヤ31と噛み合う内歯ギヤ32と、を有している。外歯ギヤ31は、第一ギヤの一例であり、内歯ギヤ32は、第二ギヤの一例である。
【0024】
外歯ギヤ31は、ウォームホイール29によって回転中心軸Ax2周りに回転(公転)する。詳細には、外歯ギヤ31には、孔31aが設けられている。孔31aに、出力シャフト22および偏心シャフト30が挿入されている。外歯ギヤ31は、偏心シャフト30に対して相対回転可能に支持されている。したがって、ウォームホイール29と一体に偏心シャフト30が回転すると、外歯ギヤ31の中心が当該中心と回転中心軸Ax2との間の距離を半径とした円軌跡を描きながら、外歯ギヤ31が回転中心軸Ax2周りに回転(公転)する。
【0025】
外歯ギヤ31、外歯ギヤ34、およびフランジ35は、一体に一つの回転体36を構成している。外歯ギヤ34の中心は、外歯ギヤ31の中心と同じである。このような外歯ギヤ34は、外歯ギヤ31と一体に回転中心軸Ax2周りに回転(公転)する。なお、外歯ギヤ31と外歯ギヤ34とは、別体であってもよい。また、外歯ギヤ31の歯数と外歯ギヤ34の歯数とは、異なっていてもよいし、同じであってもよい。外歯ギヤ34は、第三ギヤの一例である。
【0026】
図9は、本実施形態の駆動装置1に含まれる減速装置3の一部の例示的かつ模式的な正面図である。
図10は、
図9のX-X線に沿った断面図である。
図11は、
図9のXI-XI線に沿った断面図である。
図3,9〜11等に示されるように、外歯ギヤ31(回転体36)は、ガイドプレート33によって自転が制限されている。ガイドプレート33には、一対の凸部33aが設けられている。一対の凸部33aは、回転中心軸Ax2と直交する第一直交方向D1(
図9)且つ相互に反対方向に突出している。一対の凸部33aは、第一ハウジング部材26に設けられた一対の凹部26b(
図3)に、入れられている。一対の凸部33aは、第一直交方向D1に移動可能に凹部26bに支持されるとともに、凹部26bによって回転中心軸Ax2回りの移動を制限される。また、ガイドプレート33には、回転中心軸Ax2と直交し且つ第一直交方向D1と交差(一例として、直交)する方向に凹んだ凹部33bが設けられている。一方、外歯ギヤ31に設けられたフランジ35には、一対の凹部33bに入れられた一対の凸部35aが設けられている。一対の凸部35aは、一対の凹部33bに第二直交方向D2に移動可能に支持されている。また、一対の凸部35aの回転中心軸Ax2回りの回転は、一対の凹部33bによって制限されている。上記構成により、外歯ギヤ31(回転体36、外歯ギヤ34)は、ガイドプレート33に自転を制限される。すなわち、外歯ギヤ31(回転体36、外歯ギヤ34)は、自転不可の状態で、回転中心軸Ax2周りに回転(公転)する。また、ガイドプレート33には、出力シャフト22および偏心シャフト30が挿入された孔33cが設けられている。
【0027】
図3,8に示されるように、内歯ギヤ32は、出力シャフト22に結合され、出力シャフト22と一体に回転中心軸Ax2周りに回転(自転)する。内歯ギヤ32の歯数は、外歯ギヤ31の歯数よりも多い。例えば、内歯ギヤ32の歯数は、外歯ギヤ31の歯数よりも一つまたは二つ多い。内歯ギヤ32は、外歯ギヤ31と1箇所で噛み合う(
図8)。したがって、外歯ギヤ31の公転に伴って、内歯ギヤ32と外歯ギヤ31との噛み合い部が、回転中心軸Ax2周りに移動しながら、内歯ギヤ32が回転(自転)する。
【0028】
上記構成の減速部24では、内歯ギヤ32の歯数が外歯ギヤ31の歯数よりも多いので、内歯ギヤ32が、ウォームホイール29に対して減速して回転(自転)する。また、内歯ギヤ32が結合された出力シャフト22および出力シャフト22に設けられたピニオン4は、内歯ギヤ32と一体に回転する。
【0029】
図3〜6に示されるように、ストッパ部25は、内歯ギヤ32に設けられた複数の第一当接部32aと、ストッパ部材40と、を有している。
【0030】
複数の第一当接部32aは、内歯ギヤ32の外周部に設けられ、回転中心軸Ax2と直交する方向(内歯ギヤ32の径方向外側)に突出している。複数の第一当接部32aは、回転中心軸Ax2周りに等間隔に設けられている。複数の第一当接部32aは、内歯ギヤ32と一体に回転中心軸Ax2周りに回転する。第一当接部32aは、凸部とも称される。なお、第一当接部32aは、図中では複数設けられているが一つであってもよい。また、第一当接部32aは、内歯ギヤ32と別体であってもよい。
【0031】
ストッパ部材40は、内歯ギヤ40aと、複数の第二当接部40bと、を有している。ストッパ部材40(内歯ギヤ40a)は、回転中心軸Ax2周りに回転(自転)可能に、第一ハウジング部材26の軸受部26cに支持されている。内歯ギヤ40aは、例えば、板部材を歯型で全抜きすることで形成される。このような構成では、半抜きに形成される場合に比べて、内歯ギヤ40aの歯の有効幅を広くしやすい。内歯ギヤ40aは、第四ギヤの一例である。
【0032】
図12は、
図7のXII-XII線に沿った断面図である。
図12に示されるように、内歯ギヤ40aは、外歯ギヤ34と噛み合っている。内歯ギヤ40aの歯数は、外歯ギヤ34の歯数よりも多い。例えば、内歯ギヤ40aの歯数は、外歯ギヤ34の歯数よりも一つまたは二つ多い。内歯ギヤ40aは、外歯ギヤ34と1箇所で噛み合う。したがって、外歯ギヤ34の公転に伴って、内歯ギヤ40aと外歯ギヤ34との噛み合い部が、回転中心軸Ax2周りに移動しながら、内歯ギヤ40aが回転(自転)する。このような構成では、内歯ギヤ40a(ストッパ部材40)は、ウォームホイール29(外歯ギヤ34)に対して減速して回転(自転)する。
【0033】
図3に示されるように、複数の第二当接部40bは、内歯ギヤ32の外周部、すなわちストッパ部材40の外周部に設けられ、回転中心軸Ax2の軸方向且つ内歯ギヤ32側に突出している。複数の第二当接部40bは、内歯ギヤ32の外周部と、回転中心軸Ax2の軸方向と直交する方向に重ねられている(
図7)。複数の第二当接部40bは、回転中心軸Ax2の周方向に、第一当接部32aと当接することが可能である。複数の第二当接部40bは、回転中心軸Ax2周りに略等間隔に設けられている。詳細には、隣り合う二つの第一当接部32aの間に一つの第二当接部40bが配置されている。第二当接部40bは、内歯ギヤ32と一体に回転中心軸Ax2周りに回転する。第二当接部40bは、凸部とも称される。
【0034】
第一当接部32aと第二当接部40bとは、互いに回転中心軸Ax2の周方向に当接することにより、ウォームホイール29、外歯ギヤ31、および内歯ギヤ32の回転を停止させることができる。
【0035】
また、
図10に示されるように、外歯ギヤ31の歯31bの回転中心軸Ax2の軸方向に沿った厚さT1が、外歯ギヤ34の歯34aの回転中心軸Ax2の軸方向に沿った厚さT2よりも厚い。なお、理解のために、
図10では、厚さT1が他の図面に対して誇張されている。このように、外歯ギヤ31の歯31bの厚さT1を、外歯ギヤ34の歯34aの厚さT2よりも厚くするのは、シートから乗員の荷重が内歯ギヤ32を介して入力される外歯ギヤ31の強度を高くするためである。
【0036】
次に、減速装置3の動作を説明する。モータ2の駆動力によって、モータ2のモータシャフトと一体にウォーム20が回転すると、ウォーム20と噛み合ったウォームホイール29が回転中心軸Ax2周りに回転する。これにより、ウォームホイール29に設けられた偏心シャフト30が回転し、偏心シャフト30に支持された外歯ギヤ31が、ガイドプレート33によって自転を制限されながら、回転中心軸Ax2回りを公転する。外歯ギヤ31の公転により、内歯ギヤ32が、ウォームホイール29に対して減速された回転速度で、回転中心軸Ax2周りに回転する。これにより、内歯ギヤ32に出力シャフト22を介して結合されたピニオン4が、内歯ギヤ32と一体に回転する。
【0037】
また、上記動作では、外歯ギヤ34が、外歯ギヤ31と一体に回転中心軸Ax2周りに回転(公転)する。この外歯ギヤ34の回転(公転)により、内歯ギヤ40a(ストッパ部材40)が、ウォームホイール29に対して減速された回転速度で、回転中心軸Ax2周りに回転(自転)する。
【0038】
また、上記動作では、第一当接部32aは、内歯ギヤ32と一体に回転し、第二当接部40bは、ストッパ部材40(内歯ギヤ40a)と一体に回転する。このとき、ストッパ部材40の回転態様と内歯ギヤ32の回転態様とが、異なる。具体的には、ストッパ部材40の回転方向と内歯ギヤ32の回転方向とは、同じであるが、ストッパ部材40の回転速度と内歯ギヤ32の回転速度とが、異なる。ストッパ部材40の回転速度の方が速くてもよいし、内歯ギヤ32の回転速度の方が速くてもよい。これらの回転速度は、ストッパ部材40の内歯ギヤ40a、外歯ギヤ31、内歯ギヤ32、外歯ギヤ34のそれぞれの歯数によって、適宜設定される。このようにストッパ部材40および内歯ギヤ32の回転速度が異なるため、第一当接部32aと第二当接部40bとは、互いが回転中心軸Ax2回りの一方向に回転すると、速度の速い方が速度の遅い方に追いつき、互いに回転中心軸Ax2の周方向に当接する(引っ掛かる)。これにより、各ギヤ(内歯ギヤ40a、外歯ギヤ31、内歯ギヤ32、外歯ギヤ34)の力が釣り合った状態になり、各ギヤ(内歯ギヤ40a、外歯ギヤ31、内歯ギヤ32、外歯ギヤ34)が停止する(第一停止状態)。この第一停止状態から、第一当接部32aと第二当接部40bとが、回転中心軸Ax2の他方向に回転(逆回転)すると、速度の速い方が速度の遅い方に追いつき、互いに回転中心軸Ax2の周方向に当接し、各ギヤ(内歯ギヤ40a、外歯ギヤ31、内歯ギヤ32、外歯ギヤ34)が停止する(第二停止状態)。第一停止状態および第二停止状態によって、シートの上下動の範囲が決定される。第一停止状態から第二停止状態への動作において、内歯ギヤ32の回転量(回転角度)、ひいてはピニオン4の回転量(回転角度)は、ストッパ部材40と内歯ギヤ32との回転速度差に応じて決定される。本実施形態では、上記回転量は、例えば、360度(1回転)以上に設定されている。なお、回転量は、360度(1回転)未満であってもよい。
【0039】
以上のように、本実施形態の減速装置3は、第一当接部32aと第二当接部40bとが、互いに回転中心軸Ax2の周方向に当接することにより、内歯ギヤ32の回転を停止させる。そして、第二当接部40bが、ウォームホイール29および減速部24の複数のギヤ(外歯ギヤ31、内歯ギヤ32)とは別体に設けられている。よって、例えば、シートの上下方向の移動量の仕様に応じて、内歯ギヤ32の回転量を複数種類設定する場合、第二当接部40bが設けられた部材(本実施形態では、ストッパ部材40)を、第二当接部40bの位置や大きさが異なる複数種類設定すればよい。したがって、内歯ギヤ32や外歯ギヤ31を、シートの上下方向の移動量の仕様に応じて、複数種類設定する必要がないので、内歯ギヤ32や外歯ギヤ31の種類が増えるのを抑制しやすい。すなわち、比較的高い寸法精度が要求される部材の種類が増えるのを抑制しやすい。
【0040】
また、本実施形態では、ウォームホイール29と内歯ギヤ32とが、同じ回転中心軸Ax2周りに回転する。すなわち、ウォームホイール29と内歯ギヤ32とが、同軸上に配置されている。よって、例えば、ウォームホイール29と内歯ギヤ32とが、同軸上に配置されていない場合に比べて、減速装置3の小型化がしやすい。
【0041】
また、本実施形態では、減速装置3は、外歯ギヤ34と、ストッパ部材40と、を備えている。外歯ギヤ34は、ウォームホイール29を介して伝達される駆動力によって回転する。ストッパ部材40は、第二当接部40bと、外歯ギヤ34から駆動力が伝達される内歯ギヤ40aと、を有し、駆動力によって回転中心軸Ax2周りに回転する。そして、ストッパ部材40の回転態様と内歯ギヤ32の回転態様とが、異なる。よって、例えば、ストッパ部材40の回転態様と内歯ギヤ32の回転態様との設定によって、内歯ギヤ32の回転量が決まる。したがって、例えば、第二当接部40bが回転しない構成に比べて、内歯ギヤ32の回転量の設定の自由度が大きい。
【0042】
また、本実施形態では、ストッパ部材40の回転方向と内歯ギヤ32の回転方向とが、同じであり、ストッパ部材40の回転速度と内歯ギヤ32の回転速度とが、異なる。よって、ストッパ部材40の回転速度と内歯ギヤ32の回転速度との設定によって、内歯ギヤ32(ピニオン4)を360度以上回転させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、ストッパ部材40は、外歯ギヤ34と内歯ギヤ40aとによって、ウォームホイール29に対して減速して回転される。よって、例えば、第二当接部40bは、ウォームホイール29に対して減速された状態で回転する。また、第一当接部32aも、減速部24によりウォームホイール29に対して減速された状態で回転する。したがって、ウォームホイール29に対してそれぞれが減速された第一当接部32aおよび第二当接部40bが互いに当接する。よって、例えば、第二当接部40bが減速されない構成に比べて、第一当接部32aおよび第二当接部40bが当接した時の衝撃が少なくなり、衝突音が小さくなりやすい。
【0044】
また、本実施形態では、減速装置3は、減速部24の複数のギヤ(外歯ギヤ31、内歯ギヤ32)のうち、内歯ギヤ32と噛み合う外歯ギヤ31と、外歯ギヤ34と、を有した回転体36を備えている。よって、例えば、一つの回転体36が二つのギヤ(外歯ギヤ31、外歯ギヤ34)を有しているので、部品点数が削減される。また、内歯ギヤ32と外歯ギヤ34との相対的な位置決めが不要となる。
【0045】
また、本実施形態では、内歯ギヤ32と噛み合う外歯ギヤ31の歯31bの回転中心軸Ax2の軸方向に沿った厚さT1が、外歯ギヤ34の歯34aの回転中心軸Ax2の軸方向に沿った厚さT2よりも厚い。よって、シートから乗員の荷重が内歯ギヤ32を介して入力される外歯ギヤ31の強度が高い。
【0046】
また、本実施形態では、第一当接部32aが回転中心軸Ax2と直交する方向に突出し、第二当接部40bは、回転中心軸Ax2の軸方向且つ内歯ギヤ32側に突出し、内歯ギヤ32の外周部と、回転中心軸Ax2の軸方向と直交する方向に重ねられている。よって、減速装置3の回転中心軸Ax2の軸方向の小型化がしやすい。
【0047】
なお、第二当接部40bが回転中心軸Ax2と直交する方向に突出し、第一当接部32aが、回転中心軸Ax2の軸方向且つストッパ部材40側に突出し、ストッパ部材40の外周部と、回転中心軸Ax2の軸方向と直交する方向に重ねられていてもよい。また、第一当接部32aと第二当接部40bとのうち一方が、他方を収容する凹部であってもよい。
【0048】
また、第二当接部40bは、ハウジング21に固定されていてもよい。この場合、第二当接部40bは、ハウジング21に一体成形されていてもよい。
【0049】
また、回転体36(外歯ギヤ31、外歯ギヤ34)が公転に加えて自転する構成であってもよい。この場合、例えば、外歯ギヤ34よりも歯数が多い固定内歯ギヤをハウジング21に固定し、当該固定内歯ギヤと外歯ギヤ34とを噛み合わせた構成であってよい。
【0050】
<第2実施形態>
図13は、本実施形態の駆動装置1Aの例示的かつ模式的な斜視図である。
図14は、本実施形態の駆動装置1Aの例示的かつ模式的な正面図である。
図15は、本実施形態の駆動装置1Aの例示的かつ模式的な分解斜視図である。
図13〜15に示される本実施形態の駆動装置1Aは、第1実施形態の駆動装置1と同様に、モータ2と、減速装置3Aを備えている。よって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の結果が得られる。
【0051】
ただし、本実施形態では、
図15に示されるように、減速装置3Aの後段の減速部24Aおよびストッパ部25Aが、第1実施形態に対して主に異なる。以下では、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0052】
図16は、
図14のXVI-XVI線に沿った断面図である。
図17は、
図14のXVII-XVII線に沿った断面図である。
図15〜17に示されるように、減速部24Aは、遊星歯車減速機として構成されている。すなわち、減速部24Aは、太陽ギヤ50と、遊星キャリア51と、複数の遊星ギヤ52と、内歯ギヤ32と、を有している。
【0053】
太陽ギヤ50は、ウォームホイール29に一体に設けられ、ウォームホイール29と一体に回転中心軸Ax2周りに回転する。太陽ギヤ50の中心孔に出力シャフト22が挿入されている。太陽ギヤ50は、第一ギヤの一例である。
【0054】
図18は、本実施形態の駆動装置1Aに含まれる減速装置3Aの一部の例示的かつ模式的な側面図である。
図18に示されるように、遊星キャリア51は、ストッパ部材40と重ねられている。また、
図15,18に示されるように、遊星キャリア51は、プレート51aと、複数のシャフト51bと、を有している。
図15から理解できるように、プレート51aは、第一ハウジング部材26と第二ハウジング部材27とに挟まれた状態で、ネジ等の結合具によって、第一ハウジング部材26と第二ハウジング部材27とに締結(固定)されている。プレート51aには、出力シャフト22が挿入された孔51cが設けられている。
【0055】
また、
図15〜17に示されるように、複数のシャフト51bは、回転中心軸Ax2に沿って延びている。複数のシャフト51bは、太陽ギヤ50の周りに互いに間隔を空けて配置され、プレート51aに支持されている。
【0056】
図19は、
図18のXIX-XIX線に沿った断面図である。
図20は、
図18のXX-XX線に沿った断面図である。
図21は、
図18のXXI-XXI線に沿った断面図である。
図19〜21に示されるように、複数の遊星ギヤ52は、複数のシャフト51bに支持され、太陽ギヤ50(回転中心軸Ax2)の周りに互いに間隔を空けて配置されている。遊星ギヤ52は、シャフト51bの中心周りに回転(自転)可能に支持されている。また、
図15,19,20に示されるように、各遊星ギヤ52は、太陽ギヤ50と噛み合う外歯ギヤ52aと、内歯ギヤ32と噛み合う外歯ギヤ52bと、を含む。遊星ギヤ52の外歯ギヤ52a,52bは、ギヤの一例であり、内歯ギヤ32は、第二ギヤの一例である。
【0057】
上記構成の減速部24Aでは、ウォームホイール29の回転によって、太陽ギヤ50が回転中心軸Ax2周りに回転すると、複数の遊星ギヤ52がシャフト51bの中心周りに回転(自転)する。これにより、遊星ギヤ52の外歯ギヤ52aと噛み合った内歯ギヤ32が回転(自転)する。内歯ギヤ32は、ウォームホイール29に対して減速して回転(自転)する。また、内歯ギヤ32が結合された出力シャフト22および出力シャフト22に設けられたピニオン4は、内歯ギヤ32と一体に回転する。
【0058】
また、
図16,19に示されるように、各遊星ギヤ52の外歯ギヤ52aは、ストッパ部材40の内歯ギヤ40aとも噛み合っている。したがって、ウォームホイール29の回転によって、太陽ギヤ50が回転し、複数の遊星ギヤ52がシャフト51bの中心周りに回転(自転)すると、内歯ギヤ40a(ストッパ部材40)が、回転中心軸Ax2周りに回転(自転)する。
【0059】
また、
図15,21に示されるように、本実施形態では、ストッパ部25Aは、一つの第一当接部32aと、一つの第二当接部40bと、を有する。
【0060】
また、本実施形態は、第1実施形態と同様に、ストッパ部材40の回転態様と内歯ギヤ32の回転態様とが、異なる。具体的には、ストッパ部材40の回転方向と内歯ギヤ32の回転方向とは、同じであるが、ストッパ部材40の回転速度と内歯ギヤ32の回転速度とが、異なる。ストッパ部材40の回転速度の方が速くてもよいし、内歯ギヤ32の回転速度の方が速くてもよい。これらの回転速度は、ストッパ部材40の内歯ギヤ40a、外歯ギヤ52a、内歯ギヤ32、外歯ギヤ52bのそれぞれの歯数によって、適宜設定される。このような構成の本実施形態では、第1実施形態と同様に、第一当接部32aと第二当接部40bとは、互いが回転中心軸Ax2回りの一方向に回転すると、速度の速い方が速度の遅い方に追いつき、互いに回転中心軸Ax2の周方向に当接する。これにより、各ギヤ(内歯ギヤ40a、外歯ギヤ52a、内歯ギヤ32、外歯ギヤ52b)の力が釣り合った状態になり、各ギヤが停止する(第一停止状態)。この第一停止状態から、第一当接部32aと第二当接部40bとが、回転中心軸Ax2の他方向に回転(逆回転)すると、速度の速い方が速度の遅い方に追いつき、互いに回転中心軸Ax2の周方向に当接し、各ギヤが停止する(第二停止状態)。
【0061】
なお、本実施形態では、例えば、遊星ギヤ52と、内歯ギヤ40aまたは内歯ギヤ32との間にギヤを介在させることにより、ストッパ部材40の回転方向と内歯ギヤ32の回転方向とを、反対方向にすることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。