特許第6703943号(P6703943)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703943
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】自動遮断式カップリング
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/26 20060101AFI20200525BHJP
   A61J 15/00 20060101ALI20200525BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   A61M39/26
   A61J15/00 Z
   A61M39/10 110
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-537013(P2016-537013)
(86)(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-539715(P2016-539715A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】US2014067595
(87)【国際公開番号】WO2015088787
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2016年8月4日
【審判番号】不服2018-17399(P2018-17399/J1)
【審判請求日】2018年12月27日
(31)【優先権主張番号】61/914,039
(32)【優先日】2013年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505157979
【氏名又は名称】アプライド・メディカル・テクノロジー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, グラント ウェズリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, デレク エム.
【合議体】
【審判長】 林 茂樹
【審判官】 関谷 一夫
【審判官】 栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−504850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/26
A61M 39/10
A61J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブカップリングであって、
ソースチューブの第1の端部に一体的に取り付けられた雌アダプタであって、前記ソースチューブの第2の端部には供給ソースが接続されていて、前記供給ソースから前記ソースチューブの前記第1の端部を通る流体の流れを、雌アダプタの切断状態時に阻止する一方向弁を備える、雌アダプタと、
送り先チューブの第1の端部に取り付けられた雄アダプタであって、前記送り先チューブの第2の端部には送り先が接続されていて、前記送り先チューブから離れる方向に延びる中空ポストと前記中空ポストの後部に配置された一方向弁とを備え、前記送り先から前記送り先チューブの前記第1の端部を通る流体の逆流を雄アダプタの切断状態時に当該一方向弁により阻止する、雄アダプタと
を備え、
前記雄アダプタと雌アダプタとが互いに結合された状態で、前記雄アダプタの前記中空ポストが、前記雌アダプタの一方向弁を貫通して、前記雌アダプタの一方向弁を開き、前記供給ソースからの流れ圧力が、前記雄アダプタの一方向弁を開いて、前記供給ソースから前記ソースチューブおよび前記送り先チューブを通る前記送り先への途切れない流れを容易にし、
前記雌アダプタの一方向弁を貫通した前記中空ポストの端部は、前記中空ポストの後部に位置する一方向弁に対して遠位にあって、前記雄アダプタと前記雌アダプタの両者が結合された状態か結合されていない状態かによらず覆われていない開口を有し、
前記雌アダプタは、一方向弁がある部分の前後に内径を有し、前記雄アダプタは、一方向弁がある部分の前後に内径を有し、
前記雌アダプタの内径は一方向弁がある部分の前後で一定であり、前記雄アダプタの内径は一方向弁がある部分の前後で一定である、チューブカップリング。
【請求項2】
前記雌アダプタおよび雄アダプタの内径および外径は、それぞれ、前記ソースチューブおよび送り先チューブの内径および外径に等しいかそれ未満である、請求項1に記載のチューブカップリング。
【請求項3】
前記雌アダプタの前記一方向弁は、開弁のために、少なくとも約20psiの背圧を必要とする、請求項1に記載のチューブカップリング。
【請求項4】
前記雄アダプタの前記一方向弁は、開弁のために、少なくとも約30psiの背圧を必要とする、請求項1に記載のチューブカップリング。
【請求項5】
前記雌アダプタおよび雄アダプタの前記一方向弁は非機械的なものである、請求項1に記載のチューブカップリング。
【請求項6】
前記雌アダプタおよび前記雄アダプタの前記一方向弁は、ダックビル弁、スリット弁、またはそれらの組合せである、請求項5に記載のチューブカップリング。
【請求項7】
前記供給ソースは医療用流体を含み、また前記送り先は、前記医療用流体を受け取る患者である、請求項1に記載のチューブカップリング。
【請求項8】
前記雌アダプタおよび雄アダプタは、前記雌アダプタおよび雄アダプタを結合し、結合を解除するために所定量の力を必要とするロッキング機構をさらに備える、請求項1に記載のチューブカップリング。
【請求項9】
前記雄アダプタは、ロッキングリングをさらに備え、また前記雌アダプタは、保持リングをさらに備え、結合されたとき、前記ロッキングリングは、前記保持リングと嵌合する、請求項1に記載のチューブカップリング。
【請求項10】
前記雌アダプタを挟むと、前記ロッキングリングが前記保持リングから解放される、請求項9に記載のチューブカップリング。
【請求項11】
前記送り先チューブに接続された前記雄アダプタ、および前記ソースチューブに接続された前記雌アダプタは、互いに対して自由に回転する、請求項1に記載のチューブカップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年12月10日に出願された米国特許仮出願第61/914,039号の利益を主張するものであり、その全体を本書に参照により組み込む。
【0002】
本開示は、医療用流体用の離脱型カップリング(breakaway coupling)に関する。特に、カップリングの接続が切れた際に、弁を使用して剥き出しになったカップリングの各端部を弁によって封止する離脱型カップリングに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な医療処置や治療において、患者に、治療の一環として、薬、栄養、または他の流体を提供するのにチューブが使用される。このようなチューブを使用して、医療用流体供給装置が患者に接続されることになる。例えば、チューブを使用する栄養補給システムでは、必要栄養量を満たす栄養補給食品を必要とする患者や、食べ物を口から摂取できない患者のために、栄養剤が提供される。医療用栄養補給システムで使用されるフィードセットカップリングでは、栄養補給ソースから患者にチューブが接続される。通常、カップリングは、雌アダプタに雄アダプタが嵌合しただけのものである。(栄養補給システムの何らかの部分に偶発的な張力が掛るなどして、)カップリングの接続が切断してしまっても、供給ソースの内容物は、切断したカップリングを介してチューブ外に出て、途切れることなく流れ続ける可能性がある。さらに、患者の胃腸管からの内容物もまた、患者からチューブ外に出て途切れずに逆流するおそれもある。このような途切れのない、接続されない流れにより、栄養補給の喪失、薬物治療の喪失、患者に必要な栄養を供給する時間の損失、損なわれた患者の健康、清掃、湿気および空腹に起因する睡眠不足、およびこぼれたチューブの栄養補給を患者が吸引する可能性を含む様々な問題が生ずる。
【0004】
ある種の栄養補給システムは、供給流体が「フリーに流れている」ことを示すアラームを発生する。しかし、これらのアラームは、供給ポンプが切断された場合にだけ動作し、フィードセットカップリングが切断された場合には動作しない。このため、製造者は、フィードセットカップリングが切断状態にならないようにしようとした。しかし、これらのデバイスの場合、栄養補給チューブが患者から完全に外れた状態になる可能性があり、同様の問題や別の問題を生ずるおそれがある。
【発明の概要】
【0005】
後述の詳細な説明および添付図面に係る非限定的な実施形態の様々な特徴について、基本的な、または一般的な理解を助けるために、ここで、要約を簡単に述べる。もとよりこの要約は、広範囲な、または網羅的な概観としてのものではなく、要約の意図は、いくつかの非限定的な実施形態に関するいくつかの概念を簡略化して提示することであり、以下の各種実施形態の詳細な説明に対する前置きとすることに尽きる。
【0006】
非限定的な一例によれば、チューブカップリングは、ソースチューブの第1の端部に一体的に取り付けられた雌アダプタであって、ソースチューブの第2の端部には供給ソースが接続されていて、この供給ソースからソースチューブの第1の端部を通る流体の流れを、前記雌アダプタの切断状態時にさ阻止する一方向弁を備える、雌アダプタと、送り先チューブの第1の端部に取り付けられた雄アダプタであって、送り先チューブの第2の端部には送り先が接続されていて、送り先チューブから離れる方向に延びる中空ポストとこの中空ポストの後部に配置された一方向弁とを備え、送り先から送り先チューブの第1の端部を通る流体の逆流を雄アダプタの切断状態時に雄アダプタの一方向弁により阻止する、雄アダプタとを備えている。そして、雄アダプタと雌アダプタとが互いに結合されると、雄アダプタの中空ポストが、雌アダプタの一方向弁を貫通して、雌アダプタの一方向弁を開き、ソースからの流れ圧力が、雄アダプタの一方向弁を開いて、ソースからソースチューブおよび送り先チューブを通る送り先への途切れない流れを容易にする。
【0007】
上記の例の他の例によれば、雌アダプタと雄アダプタの内径および外径は、それぞれ、ソースチューブおよび送り先チューブの内径および外径のものに等しいかそれ未満である;雌アダプタの一方向弁は、開弁のために、少なくとも約20psiの背圧を必要とする;雄アダプタの一方向弁は、開弁のために、少なくとも約30psiの背圧を必要とする;雌アダプタおよび雄アダプタの一方向弁は非機械的なものである;雌アダプタおよび雄アダプタの一方向弁は、ダックビル弁、スリット弁、またはそれらの組合せである;ソースは医療用流体を含み、また送り先は、医療用流体を受け取る患者である;雌アダプタおよび雄アダプタは、雌アダプタおよび雄アダプタを結合し、結合を解除するために所定量の力を必要とするロッキング機構をさらに備える;雄アダプタは、ロッキングリングをさらに備え、また雌アダプタは、保持リングをさらに備え、結合されたとき、ロッキングリングは保持リングと嵌合する;雌アダプタを挟むと、ロッキングリングが保持リングから解放される;また雄アダプタと送り先チューブ、および雌アダプタとソースチューブは、互いに対して自由に回転する。
【0008】
これらの、および他の実施形態を、以下でより詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】栄養補給システムで使用されるカップリングの図である。
図2】結合が解除された状態のカップリングの斜視図である。
図3】結合が解除された状態のカップリングの拡大された斜視図である。
図4】結合が解除された状態のカップリングの横断面図である。
図5】結合が解除された状態のカップリングの拡大された横断面図である。
図6】結合された状態のカップリングの斜視図である。
図7】結合された状態のカップリングの拡大された斜視図である。
図8】結合された状態のカップリングの横断面図である。
図9】結合された状態のカップリングの拡大された横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、医療用流体を患者に供給するために一般に使用されるラインまたはチューブのための分離カップリングに関する。特に分離カップリングは、チューブの2つの端部を接続し、かつ一方向への流体の制御された流れを可能にする。カップリングの各端部は、両端を共に接続するのを容易にするために、チューブの各端部の中に組み込まれている。2つの端部が嵌め合わされてカップリングに係合したとき、流体は、カップリングを通って一定方向に向かって流れる。弁は、カップリングの各端部に配置され、カップリングが接続を解除されたとき、カップリングの各端部を封止する。したがって、カップリングの係合が解除されたとき、チューブの各端部の弁は、流体の流れを止める。
【0011】
図を次に参照すると、図1は、栄養補給システムで使用される本開示のカップリング100を示している。本開示の残りの部分は、栄養補給システムに関してカップリング100を示しているが、カップリング100は、ラインまたはチューブの接続を解除することが、流体の望ましくない流れを生ずる他のタイプのシステムに組み込むことも可能であることを理解されたい。例えば、医療分野では、カップリング100はまた、静脈内送達によるなど、患者に流体を供給する任意のシステムで有用性を有する。
【0012】
図示のように、栄養補給ソース102および関連する栄養補給ポンプ104は、ソースチューブ108および送り先チューブ110(この例では、チューブ108および110は、総称的に、栄養補給チューブと呼ぶことができる)を介して患者106に接続される。カップリング100は、患者106と栄養補給ソース102の間に位置し、ソースチューブ108および送り先チューブ110を共に接続するために使用される。
【0013】
カップリング100は、雌アダプタ200および雄アダプタ202を備える。雄アダプタ202は弁500を含み、雌アダプタ200はまた弁502を含む。雌アダプタは、ソースチューブ108の第1の端部に一体に取り付けられる。同様に、雄アダプタ202は、送り先チューブ110の第1の端部に一体に取り付けられる。ソースチューブ108の第2の端部は、ソース102に接続され、送り先チューブ110の第2の端部は、送り先106(例えば、患者)に接続される。図で示されているように、ポンプ104が存在してもよい。ポンプが存在し、かつ図示の構成と同様に接続される場合、ソースチューブ108の第2の端部は、ポンプ104に接続され得る。ソースチューブ108の第2の端部の構成は、カップリング100の動作に影響しないことを理解されたい。
【0014】
雌アダプタ200および雄アダプタ202が結合されたとき、栄養補給ソース102からの内容物は、ソース102およびポンプ104から患者106へと、制御された、一定方向に向かうように流れることができる。すなわち、流体は、雌アダプタおよび雄アダプタが互いに接続されたとき、カップリング100の弁500、502を通って邪魔されずに流れることができる。雌アダプタおよび雄アダプタが相互の接続を解除されたとき、カップリング100の雄アダプタ202内に位置する一方向弁などの弁500が、患者の胃液が、送り先チューブ110の接続されていない端部から外に(患者から外に)逆流するのを阻止する。同様に、雌アダプタ200内の弁502はまた、雄アダプタ202から接続が解除されたとき、動作または活動化される一方向弁となり得る。弁502が、動作または活動化された場合、栄養補給ソースからの流体の流れは、弁502を通ることはできない。その結果、カップリング100における偶発的な接続解除は、大きな混乱を生ずることがなく、あるいは患者の健康もしくは快適さが損なわれることもない。
【0015】
カップリング100は、栄養補給チューブまたはIVラインに関して使用される場合、患者が治療中または栄養補給中に座る、または横になる間、大きな可動性および移動の容易さを提供する。図2および図3は、結合が解除された状態、または接続が解除された状態のカップリング100の斜視図を示す。ソースチューブ108は、一端で、ソース、または関連するポンプ(図示せず)に接続される。ソースチューブ108は、反対側の端部に、チューブ108の一部として組み込まれた雌アダプタ200を備える。チューブ108の雌アダプタ200の端部は、カップリング100の一部、または半分である。同様に、送り先チューブ110は、一端で、送り先または患者(図示せず)に接続され、また他方の端部で、カップリング100の雄アダプタ202に接続される。雌アダプタおよび雄アダプタ、ならびに各ソースおよび送達チューブの内径および外径は同一である。しかし、いくつかの実施形態では、ソースからの内容物が、結果的に、チューブのいずれかの場所で滞留することがない限り、アダプタの外径は、各チューブの内径に等しいかそれ未満とすることができる、あるいはアダプタの内径が、各チューブの外径と等しいかそれを超えることができる。
【0016】
雄アダプタ202は、雌アダプタ200の保持リング206に嵌合したとき、雄アダプタ202および雌アダプタ200を共に係合させて、カップリング100を形成するロッキングリング204を備える。ロッキングリング204および保持リング206は、各チューブ110、108に対して遠位の端部付近のその各アダプタ202、200周りの円周に位置している。したがって、アダプタ200、202のカップリングは、ソースチューブ108と送達チューブ110のカップリングとなる。ロッキングリング204および保持リング206は、相補的に共に嵌合する1つまたは複数の溝および隆起部を含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、アダプタ200、202を所定量の力で共にスナップ嵌めするだけでロックすることができる。同様に、カップリング100は、雄アダプタ202および雌アダプタ200を、同じまたは同様の力で引っ張って離すことにより、接続を解除することができる。他の実施形態では、カップリングは、挟んで解放する(pinch and release)機構により行うことができる。このような実施形態では、雌アダプタは、さらにロッキングフィンガ208を備えることができる。ロッキングフィンガ208は、雌アダプタ200の周囲の別々の場所に位置することができるが、あるいは単一のロッキングフィンガが、雌アダプタ200の全体の円周方向に位置することもできる。ロッキングフィンガの後部にある開口部は、それらを半径方向内側に押下できるようにする。半径方向内側に押下されたとき、保持リング206は、半径方向外側に開き、それにより、ロッキングリング204を、より容易に挿入できるようにする、または保持リング206から外すことを可能にする。さらに、ロッキングリング204および保持リング206を使用することは、患者、栄養補給ソース、または両方が移動したとき、何らかのカップリング100の接続解除を生ずることなく、またはカップリングを通る流れに多少なりとも影響を与えることなく、ソースおよび送り先チューブ108、110が互いに回転できるようにする。雄アダプタ202および雌アダプタ200は共に、弁500、502を備えるが、それを、以下でより詳細に論ずるものとする。雄アダプタ202は、送り先チューブ110から離れる方向に延びる中空ポスト210をさらに備える。中空ポスト210の先端の開口部212は、ソースからの内容物の流れを可能にする。
【0018】
図4および図5は、各アダプタに関する弁500、502をより明確に示すために、結合が解除されたカップリング100の横断面を示している。示された例では、雌アダプタ200の弁502は、雌アダプタ200の内部に位置しており、弁502の凹形の側部は、結合が解除されたとき、周囲の空気に開放される。雄アダプタ202の弁500は、中空ポスト210の後部に置かれ、弁500の凹形の側部はまた、ポストの開口部212を介して周囲の空気に開放される。弁500、502は、一方向弁などの圧力弁である。弁はまた、広がって開き、次に閉じたとき折り畳まれる直角なスリットを含むように構成することができるが、あるいはダックビル弁とすることもできる。雌アダプタ200における弁502は、少なくとも30psiの背圧に耐えることができる。したがって、結合が解除されたとき、弁は、ソースまたは関連するポンプからの最高で30psiの流れに耐えることができる。雄アダプタ202の弁500は、少なくとも20psiの背圧に耐えることができ、また0〜1/4psiのクラッキング圧力の範囲で開弁することができる。すなわち、雄アダプタ202の弁500は、結合が解除された状態にあるとき、最高で30psiの患者からの胃腸逆流に耐えることができ、また結合状態にあるときは、ソースまたは関連するポンプからのせいぜい1/4psiの流れで開放されることになる。
【0019】
要約すると、上記の構成に基づくと、結合が解除された場合、ソースおよび送り先からの内容物の流れは、各チューブ108、110内に滞留する。当然であるが、上記の弁の逆流、およびクラッキング圧力は、限定するように意図されていないことに留意されたい。そうではなくて、弁500、502は、個々の用途に応じて、より大きい、またはより小さい逆流またはクラッキング圧力を有することができる。さらに2つの弁500、502の間の圧力比は、他の実施形態では変わり得ることに留意されたい。弁500、502は、エラストマー、プラスチック、シリコーン、または他の流体流れの制御材料とすることができる。例示的なカップリングで使用できる弁の一タイプは、弁設計に関するいくつかの特許を所有するAptar Group、Inc.の部門である、Midland、MichiganのLMSにより製作されたものである。様々な製造者による他の弁も代替的に使用することができる。
【0020】
図6および図7を次に参照すると、カップリング100が、接続された状態で示されている。上記で論じたように、雄アダプタ202のロッキングリング204は、接続された状態で、雌アダプタ200の保持リング206内に嵌合する。これは、患者、栄養補給ソース、またはその両方が動いたとき、カップリング100の望ましくない接続解除を生ずることなく、またはこのような動きにより、カップリング100を通るソースからの内容物の流れに悪影響を与えることなく、ソースチューブ108および送り先チューブ110を互いに対して回転できるようにする。
【0021】
図8および図9で示すように、雄アダプタ202および雌アダプタ200が結合されたとき、雄アダプタ202の中空ポスト210は、雌アダプタ200の弁502を貫通し、それにより、雌アダプタ200の弁502を開く。矢印で示されているように、ソースからの内容物の流れは、ソースチューブ108を通り、ポスト210の中へと進むことができ、かつ十分な圧力を用いて、雄アダプタ202の弁500を開き、送り先チューブ110を通って患者へと進む。雄アダプタ202が取り外されたとき、ポスト210がもはや弁502を貫通していないため、雌アダプタ200の弁502は閉じる。したがって、ポスト210を外すことは、ソースチューブ108外に、または雄アダプタ202および送り先チューブ110の中に、内容物がさらに流れることを阻止する。連続して流れることなく、雄アダプタ202の弁500は閉じ、それにより、送り先からの逆流が阻止される。
【0022】
本明細書で使用されるいくつかの専門用語は、便宜状使用されるだけであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で使用される相対的な文言は、図面を参照すれば最もよく理解される。図面中、同様の数字は、同様の、または類似の項目を識別するために使用される。さらに図面では、いくつかの機能が、幾分概略的な形で示される可能性がある。
【0023】
特許請求される発明の様々な特徴が上記で提示されているが、特徴は、個々に使用することができるが、あるいはそれらの任意の組合せで使用できることも理解されたい。したがって、特許請求される発明は、本明細書で示された特定の実施形態だけに限定されるものではない。
【0024】
さらに、特許請求される発明が属する分野の当業者であれば、諸変形形態および諸変更形態が想到されるはずであることを理解されたい。本明細書で述べた実施形態は、特許請求される発明を例示するものである。本開示は、特許請求の範囲で記載された本発明の要素に同様に対応する代替的な要素を有する実施形態を当業者が作成し、かつ使用できるようにする。本発明の意図された範囲は、したがって、特許請求の範囲の文言と異ならない、または非実質的に異なっている他の実施形態を含むことができる。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲で記載されたように定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9