(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る渦流量計の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る渦流量計1の断面図である。
図1に示すように、渦流量計1は、本体ケース2と制御部17がケーシング6に収容されている。本体ケース2は、略直方体形状をなし、対向する第1面2aと第2面2bに第1継手12と第2継手13がOリング14,15を介して接続されている。
【0019】
渦流量計1は、第1継手12に形成された第1ポート12a及び第1流路12bと、本体ケース2に形成された第1ノズル部24、本体流路23、及び、第2ノズル部25と、第2継手13に形成された第2ポート13a及び第2流路13bが、同軸上に設けられている。本体ケース2は、本体流路23に沿って上流側から順に、測温体40と、渦発生体16と、流量計測部30が設けられている。尚、本体ケース2とケーシング6は、耐腐食性、強度のある樹脂で形成されている。第1継手12と第2継手13は、金属で形成されている。
【0020】
渦発生体16は、本体流路23の軸心方向(
図1において左右方向)に対して直交する方向(
図1において上下方向)に柱状に設けられている。渦発生体16は、本体ケース2に一体成形されている。
【0021】
図2は、
図1のA−A断面図である。渦発生体16は、本体流路23の軸心方向に沿って切った断面の形状が六角形形状をなし、入力側(第1継手12側)から流れてきた被測定流体にカルマン渦K1,K2を非対称に発生させる。流量計測部30は、カルマン渦K1,K2の交番力が受圧部314に作用することによりカルマン渦K1,K2を検出し、被測定流体の流量を計測する。
【0022】
図1に戻り、本体ケース2は、制御部17が位置する側の面(
図1において上面)に、第1挿入穴27と第2挿入穴26が開設されている。第1挿入穴27は、渦発生体16より上流側の位置に、本体流路23に連通するように形成されている。測温体40は、本体流路23側に位置する先端面415が本体流路23側に突出しないように第1挿入穴27に挿入され、本体ケース2にネジ止めされている。第2挿入穴26は、渦発生体16より下流側の位置に、本体流路23に連通するように形成されている。流量計測部30は、先端部に設けられた受圧部314を本体流路23に突出させるように第2挿入穴26に挿入され、本体ケース2にネジ止めされている。
【0023】
流量計測部30は、圧電素子ケース31に圧電素子32を収容したものである。圧電素子32は、短冊形状の圧電板322の一端に電極部321を接続したものである。圧電素子32は、圧電板322の歪み変形に応じて電極部321から電圧を出力する。圧電素子32は、圧電素子ケース31の中央に軸線方向に沿って形成されたスリット318に圧電板322を挿入し、スリット318の開口部に設けられた大径孔部317内に電極部321を配置した状態で、紫外線硬化性接着剤を用いて圧電素子ケース31に接着されている。
【0024】
圧電素子ケース31は、ガラス繊維を含まない樹脂を、
図3〜
図8に示す形状に成形したものである。
図3は、圧電素子ケース31の正面図である。
図4は、
図3の上面図である。
図5は、
図3の下面図である。
図6は、
図3のB−B断面図である。
図7は、
図3のC−C断面図である。
図8は、
図5のD−D断面図である。
【0025】
図3に示すように、圧電素子ケース31は、嵌合部312と、受圧部314と、フランジ部311を備える。
【0026】
図3及び
図5に示すように、嵌合部312は、円柱形状をなす。嵌合部312は、本体流路23側に位置する端部(
図3において下端部)に、嵌合部312より小径の小径部312bを備え、段差部312cが外周面に沿って環状に形成されている。
図3に示すように、嵌合部312は、環状のシール部材51が小径部312bに装着され、段差部312cによりシール部材51の移動を制限する。
【0027】
図3に示すように、受圧部314は、嵌合部312の本体流路23側に位置する先端面312a(
図3において下端面)から軸線方向に沿って突出している。
図7に示すように、受圧部314は、圧電素子ケース31の軸線に対して直交する方向に切った断面が六角形になる板形状をなし、被測定流体に生じる抵抗を極力小さくするように本体流路23内に配置される。
【0028】
図6に示すように、嵌合部312は、先端面312aから圧電素子ケース31の軸方向(
図6において上下方向)に沿って、空間部319が形成されている。空間部319は、受圧部314の外周面に沿って形成されている。そのため、受圧部314は、嵌合部312の内部にて嵌合部312に接続し、片持ちされている。受圧部314の全長L1は、空間部319を形成されないで嵌合部の先端面に片持ちされる従来型の受圧部と比べ、空間部319の長さL2の分だけ長く、基端部314bを基点に撓み変形(振動)しやすい。
【0029】
空間部319は、小径部312bが形成される領域を超える位置まで、換言すると、段差部312cより本体流路23(嵌合部312の先端面312a)と反対側の位置まで形成されている。そのため、空間部319は、シール部材51を装着可能な領域に渡って形成され、シール部材51の応力が受圧部314に作用しないようにしている。
【0030】
スリット318は、受圧部314の内部に形成されている。圧電素子ケース31は、スリット318に圧電素子32の圧電板322が挿入され、圧電板322とスリット318の内壁とを隙間無く接着される。圧電素子32は、圧電板322が受圧部314の変形(振動)を伝達されて歪むことにより、カルマン渦K1,K2を検出する。よって、圧電素子32の感度は、受圧部314の振動の振り幅(変形量)が大きいほど、良くなる。
【0031】
しかし、受圧部314の振動の振り幅(変形量)が大き過ぎると、共振する恐れがある。圧電素子32は、例えば圧電板322が100分の5mm変形すれば、振動を検出できる。そこで、
図5及び
図8に示すように、圧電素子ケース31は、空間部319に一対のリブ313,313を設け、受圧部314の変形(振動)を抑制している。一対のリブ313,313は、受圧部314の横幅方向(本体流路23の軸心方向、圧電素子ケース31の軸線に対して直交する方向、
図5及び
図8において左右方向)に沿って対称に設けられ、空間部319を分割している。
図8に示すように、一対のリブ313,313の周縁部は、本体流路23側(嵌合部312の先端面312a側)に位置する面を除き、嵌合部312と受圧部314に接続している。一対のリブ313,313は、変形する受圧部314を引っ張って、受圧部314の変形量(振動の振り幅)を規制する。
【0032】
図6に示すように、受圧部314は、本体流路23内に配置される先端部314aの厚さが基端部314bの厚さより薄い。これにより、例えば、渦流量計1の測定可能範囲の下限値が低流量であるために、本体流路23の流路断面積が小さい場合でも、受圧部314と本体流路23の流路面23aとの間に形成される隙間を確保し、受圧部314がカルマン渦K1,K2の交番力を受けて変形できるようにしている。尚、例えば、渦流量計1の測定可能範囲の下限値が大流量であるために、本体流路23の流路断面積が大きい場合には、先端部314aと基端部314bの厚みが同じでも良い。
【0033】
フランジ部311は、嵌合部312の本体流路23と反対側に位置する後端部(
図3において上端部)に設けられ、流量計測部30を第2挿入穴26に挿入する挿入量を規定する。フランジ部311には、固定ねじを挿通するための貫通穴316,316が形成されている。
【0034】
図4及び
図5に示すように、フランジ部311の外縁部には、凹部315が設けられている。
図5に示すように、凹部315は、受圧部314及び一対のリブ313,313と同軸上に設けられ、本体流路23の軸心方向に沿って形成されている。
図1に示すように、本体ケース2は、第2挿入穴26の側方に、ガイド部28が設けられている。ガイド部28は、本体流路23の軸心方向に対して直交する方向(図中上下方向)に沿って形成され、第2挿入穴26と平行に設けられている。よって、圧電素子ケース31は、凹部315をガイド部28に係合させることにより、受圧部314を本体流路23の軸心に対して位置決めできる。
【0035】
図1に示すように、第2挿入穴26は、圧電素子ケース31の嵌合部312が嵌め合わされる嵌合凹部26aと、受圧部314を貫き通される連通部26dを備える。嵌合凹部26aは、嵌合部312が嵌合される嵌合孔部26bと、小径部312bが嵌合される小径孔部26cを備え、圧電素子ケース31を2点支持することにより流量計測部30のがたつきを抑制する。圧電素子ケース31と第2挿入穴26の内壁との間の隙間は、シール部材51によりシールされている。連通部26dは、受圧部314の変形可能領域より大きい円形又は楕円形状に形成され、受圧部314と接触しない。
【0036】
図1に示すように、測温体40は、測温ケース41に温度センサ42を収容したものである。
【0037】
図9は、
図1に示す測温ケース41の上面図である。
図10は、
図9のE−E断面図である。測温ケース41は、例えばステンレスなどの熱伝導性、耐腐食性の高い金属で形成されている。
【0038】
図10に示す測温ケース41の嵌合部412は、円柱形状をなす。嵌合部412は、本体流路23側に位置する端部(
図10において下端部)に、嵌合部412より小径に設けられた小径部414を備え、段差部413が外周面に沿って環状に形成されている。測温ケース41は、シール部材52が小径部414に装着され、段差部413によりシール部材52の移動を制限する。フランジ部411は、嵌合部412の本体流路23と反対側に位置する端部(
図10において上端部)に設けられ、測温体40を第1挿入穴27に挿入する挿入量を規定する。
図9に示すように、フランジ部411には、固定ねじを挿通するための貫通穴416,416が形成されている。測温ケース41は、先端面415と反対側の面(本体流路23と反対側に位置する面)に収容孔418が円柱形状に開設されている。
【0039】
図1に示すように、温度センサ42は、収容孔418の内壁に接するように収容孔418に挿入され、紫外線硬化性接着剤により測温ケース41に接着されている。
【0040】
図1に示すように、第1挿入穴27は、測温体40が嵌合する嵌合凹部27aと、嵌合凹部27aと本体流路23を連通させる連通部27dを備える。本体ケース2は、嵌合凹部27aの嵌合孔部27bと小径孔部27cに測温ケース41の嵌合部412と小径部414を挿入されることにより、測温体40を2点支持して測温体40のがたつきを抑制する。測温体40と第1挿入穴27の内壁との間は、シール部材52によりシールされている。
【0041】
制御部17は、センサ基板3とメイン基板4と表示装置5を備える。センサ基板3は、一対のリード線10を介して流量計測部30の圧電素子32に接続され、リード線11を介して測温体40の温度センサ42に接続されている。また、センサ基板3は、リード線9を介してメイン基板4に接続されている。メイン基板4は、表示装置5が搭載されている。また、メイン基板4は、リード線7を介してコネクタ8に接続され、図示しない外部装置と通信可能に接続される。
【0042】
続いて、渦流量計1の組立手順について説明する。先ず、本体ケース2に流量計測部30と測温体40を取り付ける。具体的に、流量計測部30の小径部312bに環状のシール部材51を装着する。そして、流量計測部30の凹部315を本体ケース2のガイド部28に係合させ、シール部材51を押し潰しながら流量計測部30を第2挿入穴26の嵌合凹部26aに押し込む。フランジ部311が本体ケース2に当接する位置まで流量計測部30を第2挿入穴26に挿入したら、フランジ部311の貫通穴316,316に図示しない固定ねじを挿通して本体ケース2に締結することにより、流量計測部30を本体ケース2に固定する。これと同様にして、測温体40を本体ケース2に固定する。
【0043】
それから、流量計測部30に接続する一対のリード線10と温度センサ42に接続するリード線11をセンサ基板3にそれぞれ接続する。ケーシング6の上部カバー6Aには、メイン基板4と表示装置5とコネクタ8が取り付けられている。リード線9を介してメイン基板4にセンサ基板3を接続したら、上部カバー6Aを本体ケース2の上端縁2dに合わせるように被せてネジで固定した後、本体ケース2をケーシング6の下部カバー6Bに収容する。その後、本体ケース2と下部カバー6Bを一体的に係合させる。
【0044】
その後、Oリング14,15を介して本体ケース2に第1継手12と第2継手13をネジ止めする。これにより、渦流量計1の組み立てが完了する。
【0045】
渦流量計1は、本体ケース2に対して、流量計測部30と測温体40とセンサ基板3とメイン基板4を図中上側から同一方向に取り付けることができるので、組み立てやすい。また、リード線10,11が、本体ケース2とケーシング6との間に形成される収容スペース内で配線されている。そのため、渦流量計1を組み立てる場合に、リード線10,11をシールする必要がなく、Oリング14,15とシール部材51,52により制御部17の防水性を確保できるので、組立作業が簡単である。更に、流量計測部30と測温体40を第2挿入穴26と第1挿入穴27に挿入する際に、シール部材51,52が段差部312c,413まで移動し、段差部312c,413に係止される。そのため、シール部材51,52の装着具合が安定する。
【0046】
続いて、渦流量計1が流量と温度を測定する手順を説明する。
図1に示すように、渦流量計1は、第1ポート12aから第1流路12bに入力した被測定流体が、第1ノズル部24により整流されて本体流路23を流れ、その後、第2ノズル部25により流速を減速されて第2流路13bへ流出し、第2ポート13aから出力される。
【0047】
被測定流体は、渦発生体16により、本体流路23の軸心方向に沿ってカルマン渦K1,K2を非対称に発生し、カルマン渦K1,K2の交番力が流量計測部30の受圧部314に作用する。受圧部314は、先端部314aに交番力が作用すると、基端部314bを基点に振動(撓み変形)する。圧電素子32は、受圧部314から伝達される振動によって圧電板322が撓み、圧電板322の歪み変形に応じて電極部321からセンサ基板3にアナログ信号を出力する。
【0048】
センサ基板3は、圧電素子32の電極部321から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換する。すなわち、センサ基板3は、しきい値を超えるアナログ信号は「1」に、しきい値を超えないアナログ信号は「0」に変換する。メイン基板4は、渦流量計1の電源がONされたことを契機に、マイコンのプログラムが実行されている。メイン基板4は、当該プログラムにより、センサ基板3からのデジタル信号を受信すると、当該デジタル信号の周波数を検出し、流量を数値化する。表示装置5は、メイン基板4からの数値化された流量を受信して表示する。
【0049】
渦流量計1は、流量測定の他、被測定流体の温度を測温体40により計測する。被測定流体の一部は、渦発生体16の上流側にて第1挿入穴27に流れ込み、測温体40の測温ケース41に接触する。測温ケース41は、熱伝導性の良い金属で形成されているため、被測定流体と同じ温度に加熱される。温度センサ42は、測温ケース41に接触して温度を計測する。よって、測温体40は、外気温等の影響を受けずに、被測定流体の温度を反応良く検出できる。センサ基板3は、温度センサ42から被測定流体の温度に関する情報を受信すると、メイン基板4にその情報を送信する。メイン基板4は、センサ基板3から受信した情報に基づいて、表示装置5に被測定流体の温度を表示させる。
【0050】
圧電素子32も温度センサ42も、圧電素子ケース31と測温ケース41にそれぞれ接着されている。そのため、渦流量計1は、使用期間や取付姿勢により、圧電素子32と圧電素子ケース31との間や、温度センサ42と測温ケース41との間に、隙間ができることがなく、流量計測機能と温度計測機能の信頼性を長期間維持できる。
【0051】
尚、表示装置5は、渦流量計1の取付姿勢に応じて、流量や温度の表示方向(例えば、縦書き、横書き)を変更できるようにすれば、使用者が表示内容を見やすくなり、便利である。
【0052】
以上説明したように、本形態の渦流量計1は、渦発生体16と、渦発生体16の下流側に配設され、渦発生体16により発生したカルマン渦K1,K2を検出することにより流量を計測する流量計測部30とを備える渦流量計1において、金属製の測温ケース41に温度センサ42を接着剤により接着した測温体40と、渦発生体16が配設される本体流路23と、測温体40を挿入される第1挿入穴27とを有し、本体流路23と第1挿入穴27とが連通している本体ケース2と、測温体40と第1挿入穴27の内壁との間をシールするシール部材52と、を有すること、第1挿入穴27に挿入された測温体40は、本体流路23側に位置する先端面415が、本体流路23の流路面23aより外側の位置に、配置されていること、を特徴とする。
【0053】
このような構成を有する渦流量計1は、測温体40が本体流路23内に突出しないように本体ケース2に取り付けられ、渦の発生や検出に影響を及ぼしにくいので、測温体40を本体流路23上に配置しても、流量計測機能に与える影響を抑制できる。また、渦流量計1は、金属製の測温ケース41に温度センサ42を接着剤で接着することにより、長期間使用されても、温度センサ42と測温ケース41との間に隙間ができにくく、測温体40が被測定流体の温度を反応良く検出するので、測温機能の信頼性を向上させることができる。
【0054】
また、本形態の渦流量計1は、測温ケース41は、温度センサ42を収容する収容孔418が軸線方向に形成されていること、温度センサ42を収容孔418の内壁に接触させた状態で温度センサ42と収容孔418の内壁が接着されていること、を特徴とする。このような渦流量計1は、温度センサ42を本体流路23に極力近づけて配置できるので、被測定流体の温度を反応良く検出できる。また、測温ケース41と収容孔418の内壁が接着剤で接着されているので、測温体40の使用期間や渦流量計1の取付姿勢等によって温度センサ42と測温ケース41との間に隙間ができることを回避できる。
【0055】
また、本形態の渦流量計1は、測温体40は、渦発生体16の上流側に配置されていること、を特徴とする。このような渦流量計1によれば、測温体40が、カルマン渦K1,K2の発生や検出に影響を与えないので、測温体40を備えない渦流量計と同様の流量計測精度を得ることができる。
【0056】
従って、本形態によれば、流量計測機能に与える影響を抑制しつつ、測温機能の信頼性を向上させることができる渦流量計を実現することができる。
【0057】
また、本形態の渦流量計1は、本体流路23を備える本体ケース2と、本体流路23に配置される渦発生体16と、渦発生体16の下流側に配設され、渦発生体16により発生したカルマン渦K1,K2を検出することにより流量を計測する流量計測部30とを備える渦流量計1において、流量計測部30は、圧電素子32と圧電素子ケース31を有すること、圧電素子ケース31は、本体ケース2に嵌合される嵌合部312と、嵌合部312の本体流路23側に位置する先端面312aから突出し、本体流路23内に配置される受圧部314と、嵌合部312に圧電素子ケース31の軸線方向に沿って形成され、嵌合部312と受圧部314との間を隔離する空間部319と、受圧部314の内部に形成され、圧電素子32を収容するスリット318と、を有すること、を特徴とする。
【0058】
上記構成の渦流量計1は、受圧部314が嵌合部312の先端面312aから突出する量を変えずに、受圧部314の長さL1を空間部319により長くできる。これにより、被測定流体が低流量で、カルマン渦K1,K2の交番力が小さい場合でも、受圧部314が渦発生体16により発生したカルマン渦K1,K2を受けて振動(撓み変形)しやすくなり、圧電素子32がカルマン渦K1,K2を検出できるようになる。このように、本形態の渦流量計1によれば、圧電素子ケース31に空間部319を設けるだけで圧電素子32の感度が向上するので、サイズの大型化を抑制しつつ、流量測定精度を向上させることができる。
【0059】
また、本形態の渦流量計1は、本体ケース2が、流量計測部30を挿入される第2挿入穴26を形成されていること、嵌合部312の外周面と第2挿入穴26の内壁との間をシールするシール部材51を有すること、空間部319は、シール部材51が配置される位置の径方向内側に設けられていること、を特徴とする。
【0060】
上記構成の渦流量計1は、シール部材51の応力が空間部319に遮断されて受圧部314に伝わらないので、流量計測部30がシール部材51の応力の影響を受けずにカルマン渦K1,K2を検出できる。
【0061】
また、本形態の渦流量計1では、圧電素子ケース31は、空間部319に架設される一対のリブ313,313を有すること、一対のリブ313,313は、本体流路23の軸心方向に沿って設けられていること、を特徴とする。
【0062】
上記構成の渦流量計1は、受圧部314がカルマン渦K1,K2を受けて振動する場合に、一対のリブ313,313が受圧部314を引っ張って受圧部314の振動の振り幅(変形量)を抑制するので、受圧部314が共振するのを防いで、流量計測精度を向上させることができる。
【0063】
ここで、発明者らは、本形態の渦流量計1に相当する実施例と、従来の渦流量計100に相当する比較例について、センサ特性を調べる試験を行った。
【0064】
実施例と比較例は、圧電素子ケース31,31Xの形状を除き、構成が同じである。実施例の圧電素子ケース31は、嵌合部312と受圧部314との間に空間部319を備えているのに対し、比較例の圧電素子ケース31Xは、嵌合部312Xと受圧部314Xとの間に空間部319を備えていない。この点を除き、実施例の圧電素子ケース31と比較例の圧電素子ケース31Xは構成が同じである。試験は、流量制御弁と、流量センサと、渦流量計と、制御装置とで構成した。そして、制御装置を用いて、流量センサの計測値を0.4L/minに一致させるように流量制御弁を制御し、実施例と比較例のセンサ基板3により整えられた電圧信号(デジタル信号)を計測した。
図11に実施例を用いて計測された電圧信号の電圧波形を示し、
図12に比較例を用いて計測された電圧信号の電圧波形を示す。
図11及び
図12において、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。
【0065】
例えば、
図11及び
図12に示すように、実施例は、比較例よりも、出力電圧の波形が均一であり、単位時間あたりの出力電圧の検出回数が多い。すなわち、
図11に示すように、実施例は、カルマン渦K1,K2の交番力が圧電素子ケース31の受圧部314に作用する度に、圧電素子32から出力されるアナログ信号がセンサ基板3のしきい値を超えるため、換言すると、アナログ信号がしきい値を超えないことがなくなるため、センサ基板3により整えられた電圧信号(デジタル信号)の電圧波形が周期的になる。これに対して、
図12に示すように、比較例は、カルマン渦K1,K2の交番力が圧電素子ケース31Xの受圧部314Xに作用しても、圧電素子32から出力されるアナログ信号がセンサ基板3のしきい値を超えない場合が生じ、センサ基板3により整えられた電圧信号(デジタル信号)の電圧波形が不均一になる。これらのことは、実施例は、比較例よりも、圧電素子ケース31の受圧部314がカルマン渦K1,K2の交番力を受けて変形しやすく、圧電素子32の反応が良いことを意味する。よって、圧電素子ケース31に空間部319を設けることにより、渦流量計1の感度が向上することがわかった。
【0066】
従って、本形態によれば、サイズの大型化を抑制しつつ、流量測定精度を向上させることができる渦流量計1を実現することができる。
【0067】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【0068】
(1)例えば、上記実施形態では、渦発生体16を断面六角形形状に形成したが、カルマン渦K1,K2を発生させることができるならば、例えば渦発生体16の上流側と下流側に位置する両端部を円弧形にしたり、渦発生体16の断面を他の形状(例えば断面五角形形状)にしたりしても良い。
【0069】
(2)例えば、圧電素子ケース31は、ガラス繊維を含んでいてもよい。ただし、ガラス繊維を含まない圧電素子ケース31は、ガラス繊維を含む圧電素子ケースと比べて柔らかく、撓み易い。そのため、ガラス繊維を含まない圧電素子ケース31は、低流量の被測定流体が発生するカルマン渦K1,K2を受けて変形しやすく、流量計測部30の感度上昇に寄与する。
【0070】
(3)上記形態では、カルマン渦K1,K2を検出する流量計測部30を、圧電素子32を用いた歪みセンサとしたが、熱センサ、光センサ、圧力センサ、超音波センサ等によりカルマン渦を検出して流量を計測するものでも良い。
【0071】
(4)上記形態では、測温体40の先端面415が本体流路23の流路面23aより径方向外側に位置するように第1挿入穴27に挿入されているが、先端面415が本体流路23の内壁と面一の位置となるように第1挿入穴27に挿入しても良い。この場合、先端面415は、本体流路23内に突出しないように、流路面23aの形状に合わせた形状とすることが好ましい。
【0072】
(5)例えば、一対のリブ313,313を設けなくても良い。