(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703970
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20200525BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20200525BHJP
G09F 13/20 20060101ALN20200525BHJP
【FI】
H05K1/14 C
H05K1/02 D
H05K1/02 J
!G09F13/20 J
!G09F13/20 G
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-206653(P2017-206653)
(22)【出願日】2017年10月25日
(65)【公開番号】特開2018-85501(P2018-85501A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2017年10月25日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0156453
(32)【優先日】2016年11月23日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515198865
【氏名又は名称】ジースマット カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】G−SMATT CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100153268
【弁理士】
【氏名又は名称】吉原 朋重
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ソ
(72)【発明者】
【氏名】リ、ヨン ウ
(72)【発明者】
【氏名】リ、ホ シュン
【審査官】
ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−273476(JP,A)
【文献】
特開2005−243968(JP,A)
【文献】
特開平08−146451(JP,A)
【文献】
特開2006−140213(JP,A)
【文献】
特開平03−078286(JP,A)
【文献】
実開平07−029871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/14
G09F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面の透明電極をパターニングしてなる配線から伝達される電源及び制御信号によって発光する多数個の発光素子を備える透明板;
前記発光素子に制御信号を出力するコントローラと前記発光素子の電源を供給する電源部とのうちの少なくとも一つが実装されるドライバ基板;及び
前記ドライバ基板から前記透明板へ制御信号を出力する信号線と電源を供給する電源線とが一体に形成されるフレキシブル回路基板;を備え、
前記フレキシブル回路基板は、
透明板に制御信号を伝達する複数の信号接続端子;透明板に電源を伝達する少なくとも一つの電源接続端子;及び最外郭側に設置され、隣接した前記信号接続端子及び電源接続端子のうちいずれか一つに加わる圧力及び振動を支持する少なくとも一つのダミー端子(DUMMY);を備えて前記透明板に接着される電極接着部を含む、耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板であって、
前記フレキシブル回路基板は、
前記ドライバ基板から延長される電源線及び信号線が接続されるコネクタが実装されるコネクタ実装基板を備えたドライバ接続部;及び
軟性材質からなり、前記電極接着部と前記ドライバ接続部とを通電可能に接続させる軟性フィルム部;をさらに含み、
前記電極接着部は、前記電源接続端子、前記信号接続端子及び前記ダミー端子が形成されて前記軟性フィルム部に接着され、両側端部に前記ダミー端子が配置される電極端子基板を含み、
前記電極端子基板の両側端部に配置される2つの前記ダミー端子それぞれの幅方向最外部位間の長さと、前記軟性フィルム部における前記電極端子基板との接続部位である拡張部の幅方向の長さと、が同じとなるように形成され、それによって前記電極端子基板と前記軟性フィルム部との接合面積を拡張させ、前記電極端子基板と軟性フィルム部との結合力を増加させることによって、耐久性が強化され、超音波溶着時に加わる振動からの損傷が防止される透明電光板用フレキシブル回路基板。
【請求項2】
前記ドライバ接続部は、
前記軟性フィルム部との境界面をなすコネクタ実装基板の幅方向の長さが前記軟性フィルム部の幅方向の長さよりも長くなるように形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板。
【請求項3】
前記電極接着部は超音波で接着されたことを特徴とする、請求項1に記載の耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板。
【請求項4】
前記軟性フィルム部は、
軟性材質のベースフィルムの上面と下面に積層される第1金属層と、前記第1金属層に積層されてカバー層(COVER LAYER)をなす第1保護層とを備え、
前記電極接着部は、
前記軟性フィルム部の一側の上面と下面における前記第1保護層に積層されて硬さを強化させる第1強化樹脂層と、前記第1強化樹脂層に積層されて前記電極端子をなす第2金属層と、前記第2金属層に塗布されて外部の湿気及び異物の侵入を遮断する第1コーティング層と、第1コーティング層の上面に接着される、耐熱性樹脂からなる第2保護層とを備え、
前記第1コーティング層と前記第2保護層は、上側と下側の前記電極接着部のうちのいずれか一方にのみ形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、屋外で使用される発光装置としては、ネオン、冷陰極放電管(CCL:Cold Cathode Lamp)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いた電光板などが広く用いられている。また、屋内で使用される発光装置としては、外部電極蛍光ランプ(EEFL:External Electrode Fluorescent Lamp)、冷陰極蛍光ランプ(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)、発光ダイオード電光板などが用いられている。
【0003】
ここで、ネオンや冷陰極放電管は、高圧の電源を用いて電力消耗が多く、感電及び火災の危険があり、寿命が短いという欠点がある。また、EEFLやCCFLは、高周波を使用するから屋外での使用が困難であり、照度が低く、寿命も短いという欠点がある。
【0004】
また、LEDを用いる電光板の場合は、背面の電線処理や黒幕処理などにより発光する面の背面はカバーによって閉塞されており、一方向のみに発光する特徴がある。
【0005】
一方、近年では、発光装置を、単に照明の機能のみで使用するよりは広告看板として使用し、美的感覚が付加されたデザインでインテリアなどに広く用いられている。
ところが、前述したような発光装置は、ランプの大きさ、発光装置を支持するスタンドなどの大きさなどの制約により美的感覚の付与に制約がある。
【0006】
したがって、従来では、前述したような美的感覚の付与のために、透明電極に多数の発光素子を取り付け、コントローラによる制御で発光させて透明電極で文字や図形を表示し、さらに動画まで表現できるようにする透明電光板が発売された。このような透明電光板は、透明電極に多数個の発光素子が接続、パターニングされるものであって、通常、2電極を有する発光素子、3電極を有する発光素子、及び4電極を有する発光素子が適用された。
【0007】
このような従来の透明電光板は、発光素子の点灯を制御するコントローラの制御信号を、フレキシブル回路基板(FLEXIBLE CIRCUIT BOARD)を用いて、透明電極に形成されたパターンへ出力した。これは
図1を参照して説明する。
図1は従来の透明電光板用フレキシブル回路基板を簡略に示す平面図、
図2は従来のフレキシブル回路基板の設置例を説明するための図である。
【0008】
図1及び
図2を参照すると、従来の透明電光板は、発光素子(図示せず)の電極に接続される信号パターン11と、発光素子の共通電極に接続される電源パターン12、12’と、信号パターン11の開始点に形成される信号接続端子20と、電源パターン12、12’の開始点に形成される電源接続端子30、30’とが形成された透明板10を含む。
【0009】
さらに、従来の透明電光板は、コントローラ310から出力された制御信号を伝達するフレキシブル回路基板40、及び電源を供給する電源コネクタ50、50’を含む。すなわち、従来は、コントローラ310と透明板10との間に、制御信号を伝達するフレキシブル回路基板40と、電源を供給する電源線50、50’とが分離されて形成される。
【0010】
信号パターン11は、発光素子の電極のうち、例えば、R、G、B電極にそれぞれ接続されるように、透明電極に対するエッチングまたはその他の公知の技術で形成され、フレキシブル回路基板100から伝達された制御信号を発光素子のR、G、B電極にそれぞれ伝達する。
【0011】
電源パターン12、12’は、発光素子の電極のうち、R、G、B電極の他に、共通電極へ正または負の電源を出力する。例えば、発光素子のR、G、B電極がカソード電極であれば、電源パターン12、12’は発光素子のアノード電極に接続され、逆に発光素子のR、G、B電極がアノードであれば、電源パターン12、12’はカソード電極に接続される。
【0012】
ここで、電源パターン12、12’は一般に信号パターン11を挟んで形成され、信号パターン11に負の電源が出力されると、電源パターン12、12’は正の電源が出力される。
【0013】
接続端子20、30は、信号パターン11の開始点であってフレキシブル回路基板40が接着される複数の信号接続端子20と、電源パターン12、12’の開始点であって、例えば正の電源を透明電極に出力するために金属端子からなる電源接続端子30とを含む。
【0014】
フレキシブル回路基板40は、例えば、厚さが薄く、撓みと反りが自由な薄いフィルムに電源が通電するように配線を形成して、コントローラ310から出力された制御信号を透明板10に伝達する。
【0015】
このため、フレキシブル回路基板40は、透明板10の信号接続端子20に接着されるように端子が形成された透明電極接着部41と、コントローラ310に接続されるコネクタが備えられたコネクタ接続部42と、コネクタ接続部42と透明電極接着部41とを接続させる軟性部43とから構成される。
【0016】
ここで、透明電極接着部41とコネクタ接続部42は、硬い材質の基板に銅箔板が積層されて電源を通電させ、軟性部43は、透明電極接着部41とコネクタ接続部42との間に銅メッキの施された配線を形成して両方を通電させる。
【0017】
しかし、従来のフレキシブル回路基板40において透明電極接着部41をなす基板と軟性部43とが接する接着面積41aが透明電極接着部41の幅より狭く、コネクタ接続部42の基板の幅は軟性部43との接着面積42aと同一に形成される。
【0018】
したがって、従来のフレキシブル回路基板40は、透明電極接着部41またはコネクタ接続部42を引っ張る場合に軟性部の接着面積が狭くて破れ易いという問題点があった。
【0019】
また、従来の電源コネクタ50、50’は、電源部が実装されるドライバ基板から延長されて透明板の電源接続端子30、30’に接続される。ここで、従来の電源コネクタ50、50’は、例えば、金属端子からなる電源接続端子30、30’に接続されるテフロン(登録商標)電線であって、同じ色の発光素子が実装される製品に電源を印加するために1つまたは2つのフレキシブル回路基板を挟んで設置された。
【0020】
すなわち、従来の透明電光板は、電源を出力する電源コネクタ50、50’と、コントローラの制御信号を出力するフレキシブル回路基板40を別個に構成することにより、電源コネクタ50、50’の接続工程とフレキシブル回路基板40の接続工程が別個に行われた。よって、従来の透明電光板は、電源線と信号線(フレキシブル回路基板40)が互いに別個の工程で取り付けられるので工程が追加されるという問題点があった。
【0021】
また、従来の透明電光板は、別個の信号線で接続されるフレキシブル回路基板40が透明電極接着部41を介して直接透明板10に接続されることにより、電源接続端子30、30’を別途の金属端子として追加しなければならなかった。このような金属端子からなる電源接続端子30、30’は、信号パターン11及び電源パターン12、12’から形成された透明電極内で抵抗の不均一をもたらすので、金属材質の電源接続端子30、30’の位置に応じて輝度が不均一であるという問題点があった。
【0022】
また、上述したようにフレキシブル回路基板40と電源コネクタ50、50’を透明板10に接着するためには、透明板の透明電極の上面に導電フィルム(異方性導電フィルム(ACF、ANISOTROPIC CONDUCTIVE FILM))を位置させ、導電フィルムの上面にフレキシブル回路基板または電源コネクタを積層した後、高温に発熱するホットバー(HOT BAR)で加圧して接着させた。
【0023】
ホットバー(HOT BAR)は、高温の熱で加圧して、導電フィルムに備えられた導電ボールの周囲を包み込む接着剤を溶かして導電ボールとフレキシブル回路基板及び電源コネクタの端子との間に接続させた。
【0024】
従って、従来のフレキシブル回路基板の接着は、ホットバーで一定の温度以上を所定の時間だけ維持しなければならない条件が必須的に守られるべきなので、待機エネルギーが消費され、持続的な熱発生により周囲の温度を上昇させて作業現場の環境を悪化させ、ホットバーから発生した熱がフレキシブル回路基板を通過して導電フィルムまで伝達される時間が必要なので超音波接着に比べて作業時間が長い問題があって製造時間が延長されるという問題点があった。
【0025】
したがって、最近は、透明板の電極層の上側に導電フィルム(ACF)を位置させ、導電フィルム(ACF)の上側にフレキシブル回路基板を積層した後、超音波で接着させる方法が提案されたが、従来のフレキシブル回路基板に形成される信号接続端子は、超音波振動の際に均一な圧力が加わっても、構造的な問題により、フレキシブル回路基板に加わる圧力が均一に伝達できないため発熱温度に差が発生する。
【0026】
例えば、従来のフレキシブル回路基板は、中心部に位置した信号接続端子の両側に同じ高さの異なる信号接続端子が位置することにより、相互間の協業によって均一な圧力を形成することができるが、最外郭側は、一側で圧力を支持することが可能な信号接続端子がないため、中心側に比べて高い圧力が加えられる。
【0027】
また、超音波の特性上、圧力の高い部分は振動がうまく伝達されて温度が上昇するが、圧力の低い部分は振動伝達が低くて温度がうまく上昇しないため温度偏差が発生する。
【0028】
従って、従来の超音波を用いたフレキシブル回路基板は、中心側と最外郭側に加わる温度と圧力に対する偏差が存在して部分的な未硬化が発生することにより電気供給が中断するおそれがあり、接着力に劣るという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10−0893085号(2009年4月6日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その第一の目的は、透明電光板に制御信号を出力する信号線と電源を出力する電源線とが一体に構成された、耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板を提供することにある。
【0031】
また、本発明の第二の目的は、超音波接着の際に最外角側の端子と中心側の端子との温度及び圧力の偏差を減らすことができるため、安定した電源と信号の接続及び接着時間を短縮させることができ、接着力を強化させることができる、耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記の目的を達成するために、本発明は、一面に塗布された透明電極をパターニングしてなる配線によって伝達される電源及び制御信号によって発光する多数個の発光素子が実装される透明板と、発光素子に制御信号を出力するコントローラと前記発光素子の電源を供給する電源部とのうちの少なくとも一つが実装されるドライバ基板と、ドライバ基板と透明板との間に接続され、コントローラの制御信号が出力される信号線と電源を供給する電源線とが一体に形成されたフレキシブル回路基板とを備え、フレキシブル回路基板は、コントローラの制御信号を伝達する複数個の信号接続端子;電源を伝達する少なくとも一つの電源接続端子;及び最外郭側に設置され、信号接続端子及び電源接続端子に加わる圧力及び振動を支持する少なくとも一つのダミー端子(DUMMY);を備え、透明板に接着される電極接着部を含む、耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板を提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
したがって、本発明は、硬い材質からなる基板と軟性のフィルムとの接着面積を拡張させることができて耐久性を強化させることができ、超音波接着部に硬い材質を適用して超音波によるフレキシブル回路基板を接着することができるので生産性を向上させることができるという効果がある。
【0034】
また、本発明は、電源線と信号線を一つのフレキシブル回路基板に一体化させることができるから、透明板に別途の金属端子を備えなくてもよいため抵抗を均一化させることができて透明電光板の輝度を均一化させ、一度に電源線と信号線を取り付けることができて生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】従来の透明電光板用フレキシブル回路基板を示す平面図である。
【
図3】本発明に係る耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板が適用された透明電光板を簡略に示す図である。
【
図4】本発明に係る耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板を簡略に示す平面図である。
【
図6】
図4におけるドライバ接続部を拡大して示す図である。
【
図7】本発明に係る耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板の積層構造を示す断面図である。
【
図8】本発明に係る耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板の組立方法を示すフローチャートである。
【
図9】本発明に係る耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板の組立方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る電源線と一体化された信号伝達手段を備えた透明電光板の好適な実施例を説明する。
【0037】
図3は本発明に係る耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板が適用された透明電光板を簡略に示す図、
図4は本発明に係る耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板を簡略に示す平面図である。
【0038】
図3及び
図4を参照すると、本発明に係る耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板は、ドライバ基板300と、多数の発光素子が実装される透明板200と、ドライバ基板300と透明板200との間に接続されるフレキシブル回路基板100とを含む。
【0039】
ドライバ基板300は、透明板200に実装される多数の発光素子の制御信号を出力するコントローラ310と、発光素子の駆動電源を出力する電源部320とが実装される。ここで、電源部320は、ドライバ基板300の外側に別途設置されることも可能である。
【0040】
透明板200は、多数の発光素子が実装され、各発光素子に電源及び制御信号を伝達することができるように、透明電極に対するエッチングなどの工程によって形成される多数の信号パターン及び電源パターンを含む。また、透明板200は、信号パターン及び電源パターンにそれぞれ制御信号及び電源を供給することができるように、ドライバ基板300に接続されたフレキシブル回路基板100が接着される接続端子210を含む。
【0041】
ここで、接続端子210は信号パターンと電源パターンを備えるが、電源パターンは、従来とは異なり、金属端子ではない透明電極に対するエッチングによってパターン形成される。
【0042】
フレキシブル回路基板100は、透明板200の接続端子210に接着される電極接着部110と、ドライバ基板300に接続されるコネクタ330が実装されるドライバ接続部120と、電極接着部110とドライバ接続部120とを接続する軟性フィルム部130とを含む。
【0043】
ドライバ接続部120は、ドライバ基板300から接続されるコネクタ330が実装され、電極接着部110は、透明板200における信号パターン及び電源パターンに接続される接続端子210に接着される。軟性フィルム部130は、電極接着部110とドライバ接続部120との間からそれぞれ延長され、撓みと反りが可能な軟性のフィルムからなる。上述したようなフレキシブル回路基板100の詳細な説明は、
図5及び
図6を参照して説明し、
図7によってフレキシブル回路基板100の積層構造について説明する。
図4は本発明に係る耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板を簡略に示す平面図、
図5は電極接着部を示す平面図である。
【0044】
図4及び
図5を参照すると、電極接着部110は、硬い材質からなる電極端子基板111と、電極端子基板111の一面に設けられて電源の通電が可能な多数の電極端子112、113、114とを含む。
【0045】
電極端子112、113、114は、電極端子基板111に積層された金属層によって複数個が形成され、具体的には、コントローラ310の制御信号を出力する複数個の信号接続端子112と、信号接続端子112の両端で電源を通電させる一対の電源接続端子113と、両側の最外郭にそれぞれ形成されるダミー端子114(DUMMY)とを含む。
【0046】
一対の電源接続端子113は、電源部320を介して供給される電源を、透明板200の電源パターンに接続される接続端子210へ出力する。ここで、一対の電源接続端子113は、従来とは異なり、別途の電源線でなく、制御信号を伝達する信号接続端子112と一つのフレキシブル回路基板100によって一体化させたものである。すなわち、本発明のフレキシブル回路基板100は、信号線と電源線とが一体化された。
【0047】
ダミー端子114(DUMMY)は、電極端子基板111の両側の最外郭にそれぞれ位置して、信号接続端子112または電源接続端子113のうち最外郭に位置した端子の圧力と振動を支持し、当該端子に発生した熱が外部へ急激に流出することを防止する。さらに、ダミー端子114は、透明板の端面を介して加わる衝撃から内側の信号接続端子及び電源端子を保護することができる。
【0048】
ここで、
図5には最外郭側の端子に電源接続端子が表示されているが、他の実施例として、電源接続端子と信号接続端子との位置を変更させることができる。よって、信号接続端子112及び電源接続端子113の最外郭側の端子は、信号接続端子と電源接続端子の中からいずれか一つが選択できる。
【0049】
また、ダミー端子114は、電極端子基板の最外郭にそれぞれ形成され、信号接続端子112または電源接続端子のうち最外郭に位置した端子をより内側に位置させる。よって、ダミー端子114は、中心側の端子が相互隣接した端子同士の間で圧力を支持するのと同様に、最外郭側の端子に加わる圧力と振動を支持する。
【0050】
従って、信号接続端子112または電源接続端子113のうち最外郭に位置した端子は、ダミー端子114で圧力と振動を支持するので、中心側の端子と同じ範囲内の熱が発生する。
【0051】
また、信号接続端子112または電源接続端子113のうち最外郭に位置した端子は、ダミー端子113によって最外郭ではなく内側に位置することにより、該当端子に発生した熱が透明板200の端面を介して急激に流出することが防止され、従来のような熱損失が発生しない。
【0052】
つまり、ダミー端子114は、超音波融着時に発生する振動及び圧力が中心側と最外郭側に均一に加えられないために発生する接着力の不均一を防止することができる。
【0053】
電極端子基板111は、硬い材質の基板で製造され、横及び縦方向に設定された長さを持つように製造される。例えば、電極端子基板111は、軟性フィルム部130との境界面110aの長さl1(図中、「l」は筆記体で記されている。以下同様。)が軟性フィルム部130の幅方向の長さl2よりも長くなるように形成することにより、接合面積を増加させることが好ましい。
【0054】
このため、軟性フィルム部130は、電極端子基板111が位置した領域側の幅方向の長さが電極端子基板111の幅方向の長さよりもさらに長い長さを持つように幅方向に長さが拡張された拡張部131と、拡張部131に比べてより狭い幅に延長される延長部132とから形成される。
【0055】
このような電極端子基板111と軟性フィルム部130の拡張部131との接合面積の増加は、結合力を増加させることができるため、耐久性を向上させることができる。よって、本発明は、超音波溶着時に加わる振動からの損傷が防止される。
図6は本発明のドライバ接続部を示す平面図である。
【0056】
図6を参照すると、ドライバ接続部120は、軟性フィルム部130の他端において、硬い材質のコネクタ実装基板121と、軟性フィルム部130の配線に通電可能に接続されるコネクタ端子123と、コネクタ端子123に通電可能に接続され、ドライバ基板300から延長された配線が接続されるコネクタ330とを含む。
【0057】
コネクタ実装基板121は、軟性フィルム部130の上面と下面に積層され、撓みや反りがない強度を持つ。ここで、コネクタ実装基板121と軟性フィルム部130との境界面120aは、軟性フィルム部130の延長部132の幅方向の長さl2に比べて拡張された長さを持つように傾斜方向と水平方向との組み合わせから形成される。つまり、コネクタ実装基板121は、軟性フィルム部130の幅に比べて延長された長さをもって境界面120aを構成する。
【0058】
このような幅の長さの拡張は、軟性材質のフィルムからなる軟性フィルム部130と硬い材質のコネクタ実装基板121との接合面積を拡張させることができるため、外部からの力に対抗することが可能な耐久性を向上させることができる。
図7は本発明に係るフレキシブル回路基板100の積層構造を示す断面図である。
【0059】
図7を参照すると、本発明に係るフレキシブル回路基板100における軟性フィルム部130は、プラスチック素材のベースフィルム133と、ベースフィルム133の両面にそれぞれ積層されて配線を形成する第1金属層134と、第1金属層134に積層される第1保護層135とを含む。
ベースフィルム133は、例えば、ポリイミドからなる薄いフィルムに製造される。
【0060】
第1金属層134は、ベースフィルム133の上面と下面にそれぞれ積層され、上述した電極接着部110の電極端子とドライバ接続部120のコネクタ端子123とを通電させる配線として形成される。
【0061】
第1保護層135は、例えば、ポリイミドフィルムに熱硬化性難燃エポキシ系接着剤がコートされた複合フィルムであって、ベースフィルム133と第1金属層134との電気絶縁性、難燃性及び耐熱性を向上させることが可能なカバー層(COVER LAYER)をなす。
【0062】
すなわち、軟性フィルム部130は、ベースフィルム133、第1金属層134及び第1保護層135からなり、撓みと反りが可能な薄い厚さの軟性基板で形成される。
【0063】
また、電極接着部110は、上述したような構造で積層される軟性フィルム部130の一側における上面と下面にそれぞれ積層される。すなわち、電極接着部110は、第1保護層135にそれぞれ積層される第1強化樹脂層115と、第1強化樹脂層115に積層される第2金属層116と、第2金属層116に積層される第1コーティング層117と、第1コーティング層117に積層されて耐熱性を強化させる第2保護層118とを含む。
【0064】
第1強化樹脂層115は、上側と下側の電極接着部110においてそれぞれ第1保護層135に積層される。ここで、第1強化樹脂層115は、電極接着部110の耐久性を向上させることが可能な基材(例えば、不飽和ポリエステル樹脂、スチレンなどのビニル化合物を用いて製作された成形樹脂)の中から選択できる。
【0065】
第2金属層116は、上述した電極接着部110の電極端子112、113、144を形成する、銅メッキされた薄板で形成される。ここで、第2金属層116は、上側と下側にそれぞれ積層され、透明板200の接続端子210に密着する下側のもののみが晒されて電極端子112、113、114をなす。
【0066】
第1コーティング層117は第2金属層116に積層される。ここで、第1コーティング層117は、コーティング剤(例えば、PSRインク)が、電極端子112、113、114が露出していない上側で塗布されて一つの層を形成する。
【0067】
第2保護層118は、上側の電極接着部110においてのみ積層され、高温による損傷を防止する。例えば、第2保護層118は、第1コーティング層117の上面に接着剤で接着される耐熱テープ(例えば、カプトンテープ(KAPTON TAPE))であって、透明板200及び周辺の環境により発生した熱と冷気から保護することができる。
【0068】
すなわち、本発明において、電極接着部110は、上述したような目的を達成するために、第1強化樹脂層115と第2保護層118などの積層構造と、電極接着部110と軟性フィルム部130との拡張された境界面110a、120aの長さとが組み合わせられ、耐久性をより高めることができる。
【0069】
また、ドライバ接続部120は、電極接着部110の反対側で軟性フィルム部130の第1保護層135にそれぞれ積層された第2強化樹脂層124と、第2強化樹脂層124に積層される第3金属層125と、第3金属層125に積層される第2コーティング層126とを含む。
【0070】
第2強化樹脂層124は、軟性フィルム部130の上面と下面に位置した第1保護層135にそれぞれ積層される。例えば、第2強化樹脂層124は、プリプレグ(PRE−PREG)であって、耐久性を強化させる。
第3金属層125は、銅メッキが施され、ドライバ接続部120のコネクタ端子123を形成する。
【0071】
第2コーティング層126は、第3金属層125を保護するように上面に積層される。ここで、第2コーティング層126は、例えば、PSRインクが塗布され、第3金属層125を保護することが可能なコーティング層を形成する。
【0072】
したがって、ドライバ接続部120は、第2強化樹脂層124と第2コーティング層126を介して、ベースフィルム133と第1保護層135からなる軟性フィルム部130の上面と下面にそれぞれ積層されることにより、撓んでいないコネクタ実装基板121を形成する。さらに、コネクタ実装基板121は、幅方向の長さが軟性フィルム部130の幅よりも長い長さを持つことにより、従来に比べて接合面積が増加できる。
本発明は、上述したような構成を含み、以下では、上述したような構成を含むフレキシブル回路基板100の組立過程によって本発明の作用を説明する。
図8は本発明に係る耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板の組立方法を示すフローチャートである。
【0073】
図8を参照すると、本発明は、軟性フィルム部130を製作するS100段階と、軟性フィルム部130に電極接着部110を積層させるS200段階と、軟性フィルム部130にドライバ接続部120を積層させるS300段階と、透明板200の接続端子210に導電フィルム400を接着させるS400段階と、電極接着部110を導電フィルム400に積層させた後に超音波で融着させるS500段階とを含む。
【0074】
S100段階は、ベースフィルム133の上面と下面に第1金属層134を形成し、第1金属層134に第1保護層135を積層させて軟性フィルム部130を製作する段階である。ここで、第1金属層134は、銅メッキされた薄板であって、信号及び電源を提供する配線として形成される。また、ベースフィルム133と第1保護層135は薄い厚さに積層される。よって、撓みと反りが自由な軟性のフィルム基板として軟性フィルム部130が製作される。
【0075】
S200段階は、S100段階で製作された軟性フィルム部130の一側で電極接着部110を積層させる段階である。電極接着部110は、軟性フィルム部130の一側で上面と下面の第1保護層135に第1強化樹脂層115を積層した後、第1強化樹脂層115に第2金属層116を積層し、第2金属層116に第1コーティング層117を積層し、第1コーティング層117に第2保護層118を積層してなる。
【0076】
ここで、第1強化樹脂層115は、上述したようにプリプレグなどの複合繊維であって強度を強化させるための基材の中から選択されて剛性を補強するための役割を果たす。第1強化樹脂層115は電極端子基板111を形成する。
【0077】
第2金属層116は第1強化樹脂層115に積層され、特に下側で積層された第2金属層116は露出して電極端子を形成する。このとき、電極端子は、上述したようにダミー端子114、電源接続端子113及び信号接続端子112からなる。
【0078】
第1コーティング層117は、例えば、PSRインクが塗布されて光沢のあるように見えさせ、外部の湿気や異物の侵入を防止するように第2金属層116に積層される。
第2保護層118は、耐熱性を有するフィルムであって、接着剤によって第1コーティング層117に積層される。
【0079】
ここで、第1コーティング層117と第2保護層118は、透明板200の接続端子210に接触しない面に形成される。すなわち、
図7に示されていることを例として挙げると、上側と下側の電極接着部110のうちのいずれか一方のみが透明板200の接続端子210に接着され、もう一方は超音波装置500の超音波電極510が接触して加圧される。
【0080】
したがって、第1コーティング層117と第2保護層118は、超音波装置500の超音波電極510が接触及び加圧される一面に積層され、内側の軟性フィルム部130などの損傷を超音波溶着の際に加わる振動から防止する。
【0081】
S300段階は、軟性フィルム部130における電極接着部110と反対の位置にドライバ接続部120を積層する段階である。まず、第2強化樹脂層124は軟性フィルム部130の上面と下面の第1保護層135にそれぞれ積層され、第3金属層125は第2強化樹脂層124に積層され、第3保護層126は第3金属層125に積層される。
【0082】
ここで、第2強化樹脂層124はコネクタ実装基板121をなし、第3金属層125はコネクタ実装基板におけるコネクタ330に接続される配線の役割を果たすコネクタ端子123で形成される。第3保護層126は、コネクタ実装基板に塗布され、外部の湿気や異物の侵入を防止する。
【0083】
また、コネクタ330は、ドライバ接続部120が上述の過程によって積層された後、硬化剤または液状の接着剤を用いてコネクタ実装基板121に接着される。ここで、コネクタ330に対しては、硬化剤または接着剤が塗布された後にUV硬化装置による硬化過程を行う。
【0084】
S400段階は、透明板200の接続端子210に導電フィルム400を仮接着させる段階である。導電フィルム400(ACF)は、接着剤の塗布されたフィルムであって、複数個の導電ボール410が含まれている。ここで、導電フィルム400は、一面に塗布された接着液によって透明板200の接続端子210に仮接着される。
【0085】
ここで、上述したS400段階は、導電フィルム400を透明板200に接着させた後、S500段階を行うものと説明されたが、これは本発明の他の実施形態の応用が可能である。すなわち、本発明は、導電フィルム400とフレキシブル回路基板100とが仮接着された後、S500段階によって超音波溶着されることも可能である。仮接着は、導電フィルム400の接着力によってフレキシブル回路基板100と導電フィルム400とを仮接着させることができる。
【0086】
S500段階は、S100段階乃至S300段階で製作されたフレキシブル回路基板100を透明板200の接続端子210に超音波溶着させる段階である。電極接着部110は、第2金属層116が露出した下面を透明板200の接続端子210に密着させる。このとき、信号接続端子112は透明板200の信号パターン、電源接続端子113は透明板200の電源パターンにそれぞれ接続される接続端子210に密着する。また、ダミー端子114は電極端子のうち両側の最外郭にそれぞれ形成される。
【0087】
ここで、超音波装置500は、電極接着部110の上面(例えば、第2保護層118)にシリコーン材質の緩衝板(INTERPOSE、図示せず)を密着させた後に超音波を出力する。よって、超音波装置は、緩衝板(図示せず)を介して導電フィルム400とフレキシブル回路基板に振動及び圧力を発生させる。従って、導電フィルム400の接着剤は超音波による圧力及び振動により発生した熱で溶解し、導電ボール410は振動及び圧力によって潰されながらフレキシブル回路基板100の信号接続端子及び電源接続端子に接着される。
【0088】
この際、本発明は、上述したようにダミー端子114を備えることにより、従来に比べて最外郭側に位置した信号接続端子112または電源接続端子113の接着力をより強化させることができる。
【0089】
より詳細に説明すると、ダミー端子114は、最外郭側の信号接続端子112または電源接続端子113をフレキシブル回路基板100の最外郭側ではなく内側に位置させることにより、最外郭側の信号接続端子112または電源接続端子113に加わる圧力を支持することができ、最外郭側の端子113から透明板200の端面を介して排出される熱の損失を防ぐことができるため、中心側と最外郭側の端子112、113が相互均一な温度範囲に属するようにする。
【0090】
すなわち、ダミー端子114は、最外郭側の端子112、113と中心側の端子112、113との圧力及び温度が均一であることにより、溶解した接着剤の硬化が同じ時間内に行われるため、製造時間を短縮させることができ、結合力を強化させることができる。
【0091】
このような超音波溶着による透明板200のフレキシブル回路基板100は、従来のホットバーによる接着時よりも硬化時間と加熱時間を考慮する必要がないので、フレキシブル回路基板100を透明板200に接着させるのに必要な時間が非常に短いため、生産性を向上させることができる。
【0092】
以上で説明した本発明の耐久性が強化された透明電光板用フレキシブル回路基板の実施例は例示的なものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、これらの実施例から様々な変形及び均等な他の実施が可能であることが分かるだろう。
【0093】
よって、本発明は、添付された請求の範囲によって定義される本発明の精神とその範囲内にあるすべての変形物、均等物及び代替物を含むものと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0094】
100 フレキシブル回路基板
110 電極接着部
111 電極端子基板
110a 境界面
112 信号接続端子
113 電源接続端子
114 ダミー端子
115 第1強化樹脂層
116 第2金属層
117 第1コーティング層
118 第2保護層
120 ドライバ接続部
121 コネクタ実装基板
122 コネクタ
123 コネクタ端子
124 第2強化樹脂層
125 第3金属層
126 第3保護層
130 軟性フィルム部
131 拡張部
132 延長部
133 ベースフィルム
134 第1金属層
135 第1保護層
200 透明板
210 接続端子
300 ドライバ基板
310 コントローラ
320 電源部
330 コネクタ
400 導電フィルム
410 導電ボール
500 超音波装置
510 超音波電極