(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記差分の数値データに対して、予め設定された比較対象外領域の画素における論理値を用いて、論理計算を行ない、比較対象外領域を除いた差分の数値データをビットマップ画像に変換した結果を生成することを特徴とする請求項4に記載のテスト支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1〜
図6を用いて、テスト支援システムの一実施形態を説明する。本実施形態では、金融機関に設置された取引端末において、現行システムと新規システムにおいて、取引に用いられる画像の同一性を確認するテストを行なう場合を想定する。
【0010】
図1に示すように、現金自動預払機10、HUB層110,111、サービス層120,121、評価装置20を用いる。ここで、HUB層110、サービス層120は現行システム(稼働システム)であり、HUB層111、サービス層121はテスト対象の新規システム(テスト対象システム)である。
【0011】
現金自動預払機10は、金融機関との取引を行なうために、利用者が用いる取引端末装置(ATM:automatic teller machine)である。この現金自動預払機10は、情報を入力したり出力したりするためのタッチパネルディスプレイ、利用者との間で現金を払い出したり、収納したりするための現金取扱部、取引結果等を印字するプリンタ等を備えている。このタッチパネルディスプレイ、プリンタが出力部として機能する。
【0012】
HUB層110,111は、現金自動預払機10とサービス層120,121との間で取引電文を中継するコンピュータ装置である。
サービス層120,121は、利用者に対してサービスを提供するコンピュータシステム(ホストシステム)である。本実施形態では、サービス層120,121は、金融機関に開設された利用者の口座を管理したり、利用者からの送金依頼や出金依頼等の取引電文に基づいて、各種サービスを提供したりする。
【0013】
評価装置20は、テスト対象のシステムを評価するためのコンピュータシステムである。本実施形態では、現行システム(HUB層110,サービス層120)について、新たに開発した新規システム(HUB層111,サービス層121)をテスト対象として、現行システムと同じ動作ができているかどうかを評価する。この評価装置20は、制御部21、テストケース記憶部22、比較領域情報記憶部23、現行出力情報記憶部24、テスト出力情報記憶部25を備えている。ここでは、現行出力情報記憶部24、テスト出力情報記憶部25が出力情報記憶部として機能する。
更に、評価装置20は、入力部31、出力部32に接続される。
【0014】
制御部21は、制御手段(CPU、RAM、ROM等)を備え、後述する処理(エミュレーション段階、評価段階等の各処理等)を行なう。そのための評価プログラムを実行することにより、制御部21は、エミュレータ211、評価部212として機能する。
【0015】
エミュレータ211は、現金自動預払機10における動作の模倣(エミュレーション)を行なう。そして、エミュレータ211は、現金自動預払機10のユーザインターフェースから出力される情報を予測して記録する処理を実行する。
評価部212は、記録されたエミュレーション結果を用いて、テスト対象を評価する処理を実行する。この評価部212は、現行システムの出力情報と新規システムの出力情報との差分を記録するメモリを備える。
【0016】
テストケース記憶部22には、テスト対象システムを評価するためのテストケースに関するデータが記録される。本実施形態では、現金自動預払機10を用いて行なわれる取引について、テスト対象の新規システム(HUB層111,サービス層121)をテストするためのテストデータ(要求電文、サービス層の設定値等)が記録される。このテストデータには、現金自動預払機10において出力される出力コードが記録される。
【0017】
比較領域情報記憶部23には、テストにおいて取得した画像において、比較する領域に関するデータが記録される。具体的には、出力画面において、評価対象から除外する比較対象外領域が、テストで取得する画面の出力コード毎に設定されている。例えば、出力画面において、取引毎に変化する画素領域や、変化してもよい画素領域を比較対象外領域と設定する。具体的には、比較対象外領域の画素には「0」が記録され、比較対象領域の画素には「1」が記録されたフィルタリングマスクを用いる。また、出力帳票において、画像比較のために画像を切り出すトリミング領域(比較領域)が、帳票の出力コード毎に設定されている。このトリミング領域は、現行システム、新規システム毎に、出力帳票のトリミング開始行、トリミング終了行により設定される。
【0018】
現行出力情報記憶部24には、現行システムにおいて出力される画面や帳票についての現行出力管理レコードが記録される。この現行出力管理レコードは、現行システムにおいてテストケースを実行した場合に記録される。現行出力管理レコードには、出力コード、出力所要時間に対して現行画像に関するデータが記録される。
【0019】
出力コードデータ領域には、テストケースにおいて、現金自動預払機10のタッチパネルやプリンタに出力される現行画像(画面や帳票等)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0020】
出力所要時間データ領域には、テストケースの実行開始から、現金自動預払機のタッチパネルやプリンタに画像(画面や帳票等)が出力されるまでの経過時間に関するデータが記録される。
現行画像データ領域には、現行システムにおいてテストケースを実行して取得した画像に関するデータが記録される。
【0021】
テスト出力情報記憶部25には、テスト対象の新規システムにおいて出力される画面や帳票についてのテスト出力管理レコードが記録される。このテスト出力管理レコードは、新規システムにおいてテストケースを実行した場合に記録される。テスト出力管理レコードには、出力コード、出力所要時間に対してテスト画像に関するデータが記録される。
【0022】
出力コードデータ領域には、テストケースにおいて、現金自動預払機10のタッチパネルやプリンタに出力されるテスト画像(画面や帳票等)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0023】
出力所要時間データ領域には、テストケースの実行開始から、現金自動預払機のタッチパネルやプリンタに画像(画面や帳票等)が出力されるまでの経過時間に関するデータが記録される。
テスト画像データ領域には、新規システムにおいてテストケースを実行して取得した画像に関するデータが記録される。
【0024】
入力部31は、キーボードやポインティングデバイス等、各種情報を入力するために用いられる。
出力部32は、ディスプレイやプリンタ等、各種情報を出力するために用いられる。
【0025】
(テスト支援処理)
次に、
図2〜
図6を用いて、評価装置20におけるテスト支援処理を説明する。
(現行出力取得処理)
まず、
図2(a)を用いて、現行出力取得処理を説明する。この処理においては、評価装置20を、現行システムのHUB層110に接続し、テストケースを実行する。
【0026】
まず、評価装置20は、エミュレート処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、入力部31を用いて、評価装置20にエミュレーションの実行を指示する。この場合、評価装置20のエミュレータ211は、テストケース記憶部22に記録されたテストケースの要求電文を、HUB層110を介してサービス層120に送信する。
【0027】
次に、評価装置20は、出力内容の取得処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、評価装置20のエミュレータ211は、HUB層110を介して、サービス層120からの応答電文を受信する。この応答電文には、現金自動預払機10の出力部に各種情報(画面、帳票内容)を出力するための内容が含まれる。そして、エミュレータ211は、受信した応答電文の出力内容を、テストケースの実行開始からの経過時間(出力所要時間)に関連付けて現行出力情報記憶部24に記録する。
【0028】
(テスト出力取得処理)
次に、
図2(b)を用いて、テスト出力取得処理を説明する。この場合には、評価装置20を、新規システムのHUB層111に接続し、テストケースを実行する。
【0029】
まず、評価装置20は、ステップS1−1と同様に、エミュレート処理を実行する(ステップS2−1)。
次に、評価装置20は、出力内容の取得処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、評価装置20のエミュレータ211は、HUB層111を介して、サービス層121からの応答電文を受信する。そして、エミュレータ211は、受信した応答電文の出力内容を、テストケースの実行開始からの経過時間(出力所要時間)に関連付けてテスト出力情報記憶部25に記録する。
【0030】
次に、評価装置20は、比較処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、評価装置20の評価部212は、現行出力情報記憶部24に記録された出力情報と、テスト出力情報記憶部25に記録された出力情報とを比較する。ここでは、出力画面、帳票内容の画像に含まれる画素毎に比較する。この場合、比較領域情報記憶部23に記録された比較対象外領域については、現行出力情報と新規出力情報とに違いがある場合でも、評価対象外とする。詳細は、後述する
図3を用いて説明する。
【0031】
次に、評価装置20は、比較結果の出力処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、評価装置20の評価部212は、出力部32に比較結果表を出力する。この比較結果表には、現行システムの出力情報と、新規システム(テスト対象システム)の出力情報とを対比した一覧が含まれる。詳細は、後述する
図6を用いて説明する。
【0032】
(比較処理)
図3を用いて、比較処理(ステップS2−3)を説明する。
ここでは、画面比較処理及び帳票比較処理を行なう。
(画面比較処理)
まず、
図3(a)を用いて、画面比較処理を説明する。
ここでは、評価装置20は、現行画面の取得処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、評価装置20の評価部212は、現行出力情報記憶部24に記録されている現行画面(現行画像)を取得する。
【0033】
次に、評価装置20は、現行画面のバイナリ化処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、評価装置20の評価部212は、現行画像の各画素をバイナリコードに変換してバイナリ化を行なう。ここでは、1画素あたり、RGB値を24ビットの数値データに変換する。
【0034】
次に、評価装置20は、テスト画面の取得処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、評価装置20の評価部212は、テスト出力情報記憶部25に記録されているテスト画面(テスト画像)を取得する。
【0035】
次に、評価装置20は、テスト画面のバイナリ化処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、評価装置20の評価部212は、テスト画像の各画素をバイナリコード(数値データ)に変換してバイナリ化を行なう。ここでも、1画素あたり、RGB値を24ビットの数値データに変換する。
【0036】
次に、評価装置20は、差分抽出処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、評価装置20の評価部212は、画素毎に、現行画像のバイナリコードと、テスト画像のバイナリコードとを比較して、差分の有無を確認する。ここでは、両画像の排他的論理和(XOR)を算出することにより、一致画素は論理値「0」が出力される。そして、評価部212は、画素毎の差分値(差分画像)をメモリに仮記憶する。
【0037】
次に、評価装置20は、フィルタリング処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、評価装置20の評価部212は、比較領域情報記憶部23から、出力コードに関連付けられた比較対象外領域を特定し、この比較対象外領域の差分のフィルタリングを行なう。ここでは、差分画像とフィルタリングマスクとの論理積(AND)を算出した乗算差分画像を生成し、更に、この乗算差分画像とフィルタリングマスクとの排他的論理和(XOR)を算出する。これにより、一致した画素は論理値「1」が算出され、不一致の画素は差分値が論理値として算出され、比較対象外の画素は論理値「0」が算出される。
【0038】
次に、評価装置20は、ビットマップ化処理を実行する(ステップS3−7)。具体的には、評価装置20の評価部212は、メモリに仮記憶された差分値を、画素を配置したビットマップに展開した差分画像(ビットマップ画像)を生成する。
【0039】
例えば、
図4(a)に示す現行画面500と、
図4(b)に示すテスト画面510とを比較した場合を説明する。
図4(c)に示すように、差分画像520において、差分領域521と比較対象外領域522とが表示される。この場合、現行画面500とテスト画面510で一致する画素は白色で出力され、比較対象外の画素は黒色で出力される。
【0040】
次に、評価装置20は、全画面について終了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−8)。具体的には、評価装置20の評価部212は、現行出力情報記憶部24、テスト出力情報記憶部25に記録され、未処理の出力コードを検索する。未処理の出力コードを特定した場合には、全画面について終了ではないと判定する。
【0041】
全画面について終了ではないと判定した場合(ステップS3−8において「NO」の場合)、評価装置20は、現行画面の取得処理(ステップS3−1)以降の処理を繰り返す。
一方、全画面について終了と判定した場合(ステップS3−8において「YES」の場合)、評価装置20は、画面比較処理を終了する。
【0042】
(帳票比較処理)
次に、
図3(b)を用いて、帳票比較処理を説明する。
ここでは、評価装置20は、現行印字画像の取得処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、評価装置20の評価部212は、現行出力情報記憶部24に記録されている現行印字画像を取得する。
【0043】
次に、評価装置20は、現行印字画像のバイナリ化処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、評価装置20の評価部212は、現行印字画像の各画素をバイナリコードに変換してバイナリ化を行なう。
【0044】
次に、評価装置20は、比較領域の切り出し処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、評価装置20の評価部212は、比較領域情報記憶部23から、出力コードに関連付けられた現行システムのトリミング領域を特定し、現行印字画像においてトリミング領域を切り出す。
【0045】
次に、評価装置20は、テスト印字画像の取得処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、評価装置20の評価部212は、テスト出力情報記憶部25に記録されているテスト印字画像を取得する。
【0046】
次に、評価装置20は、テスト印字画像のバイナリ化処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、評価装置20の評価部212は、テスト印字画像の各画素をバイナリコードに変換してバイナリ化を行なう。
【0047】
次に、評価装置20は、比較領域の切り出し処理を実行する(ステップS4−6)。具体的には、評価装置20の評価部212は、比較領域情報記憶部23から、出力コードに関連付けられた新規システムのトリミング領域を特定し、テスト印字画像においてトリミング領域を切り出す。
【0048】
次に、評価装置20は、ステップS3−5と同様に、差分抽出処理を実行する(ステップS4−7)。具体的には、評価装置20の評価部212は、現行印字画像のトリミング領域のバイナリコードと、テスト印字画像のトリミング領域のバイナリコードとを比較して、画素毎の差分値をメモリに仮記憶する。
【0049】
次に、評価装置20は、ビットマップ化処理を実行する(ステップS4−8)。具体的には、評価装置20の評価部212は、メモリに仮記憶された画素毎の差分値を、画素を配置したビットマップに展開した差分画像(ビットマップ画像)を生成する。
【0050】
例えば、
図5(a)に示す帳票の現行画像530と、
図5(b)に示す帳票のテスト画像540とを比較した場合を説明する。
図5(c)に示すように、差分画像550において、差分領域551と位置ずれ領域552とが表示される。
【0051】
次に、評価装置20は、全画像について処理終了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−9)。具体的には、評価装置20の評価部212は、現行出力情報記憶部24、テスト出力情報記憶部25に記録され、未処理の出力コードを検索する。未処理の出力コードを特定した場合には、全画面について終了ではないと判定する。
【0052】
全画像について終了ではないと判定した場合(ステップS4−9において「NO」の場合)、評価装置20は、現行印字画像の取得処理(ステップS4−1)以降の処理を繰り返す。
一方、全画像について終了と判定した場合(ステップS4−9において「YES」の場合)、評価装置20は、画面比較処理を終了する。
【0053】
(比較結果表)
次に、
図6を用いて、比較結果の出力処理(ステップS2−4)において出力される比較結果表を説明する。評価装置20の評価部212は、比較結果表600を生成する。比較結果表600においては、出力コード毎に、現行画像欄、テスト画像欄、突合結果欄が並べられている。突合結果欄においては、差分を検出した場合には差分画像が表示され、差分を検出しない場合には、「OK」が表示される。
【0054】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態によれば、評価装置20は、エミュレート処理(ステップS1−1,S2−1)、出力内容の取得処理(ステップS1−2,S2−2)を実行する。これにより、実際の現金自動預払機10を用いることなく、現行システムや新規システムの出力情報を、効率的に取得することができる。
【0055】
(2)本実施形態によれば、評価装置20は、比較処理(ステップS2−3)、比較結果の出力処理(ステップS2−4)を実行する。これにより、共通した出力が期待される2つのシステムにおいて、ユーザインターフェースの相違を把握することができる。この場合、比較結果表600を出力するので、相違点を一覧で把握することができる。また、現行システム、新規システムにおいて同じ情報が出力される場合にも、この情報が出力される画面(出力タイミング)の相違を、相違点として確認することができる。
【0056】
(3)本実施形態によれば、評価装置20は、現行画面のバイナリ化処理(ステップS3−2)、テスト画面のバイナリ化処理(ステップS3−4)を実行する。そして、評価装置20は、差分抽出処理(ステップS3−5)、ビットマップ化処理(ステップS3−7)を実行する。これにより、バイナリデータにより相違を検出し、相違点を画像により確認することができる。
【0057】
(4)本実施形態によれば、評価装置20は、フィルタリング処理を実行する(ステップS3−6)。これにより、現金自動預払機10における出力情報に変化が想定される領域を比較対象から除外することができる。
【0058】
(5)本実施形態によれば、評価装置20は、現行印字画像のバイナリ化処理(ステップS4−2)、テスト印字画像のバイナリ化処理(ステップS4−5)を実行する。そして評価装置20は、差分抽出処理を実行する(ステップS4−7)。これにより、印字により出力される帳票についても、相違点を画像により把握することができる。
【0059】
(6)本実施形態によれば、評価装置20は、比較領域の切り出し処理を実行する(ステップS4−6)。これにより、出力される帳票の相対的な位置を考慮して比較を行なうことができる。
【0060】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、評価装置20は、比較結果の出力処理(ステップS2−4)において、比較結果表600を作成し出力する。ここで、違いがある部分を明確に表示するようにしてもよい。
【0061】
図7に示すように、評価装置20は、現行画面500とテスト画面510を取得した場合、差分フィルタ700を生成する。この場合、差分フィルタ700は、差分領域の外縁のみを、現行画面500、テスト画面510の画素とは異なる配色で表示する透過フィルタである。そして、現行画面500、テスト画面510に、差分フィルタ700を重畳させて、比較結果表を生成する。これにより、現行及びテスト画面において、違いがある部分を明確にできる。
【0062】
・上記実施形態では、評価装置20は、画面比較処理及び帳票比較処理を行なう。評価装置20が比較する対象は、端末装置に出力されるものであれば、画像や帳票に限定されるものではない。例えば、出力される音声を比較してもよい。この場合、評価装置20には、音声の一致を判定するための許容範囲に関するデータを保持させておく。
【0063】
図8を用いて、音声比較処理を説明する。
まず、評価装置20は、現行画面に応じたガイド音声の取得処理を実行する(ステップS5−1)。具体的には、評価装置20のエミュレータ211は、現行システム(HUB層110,サービス層120)において、テストケースの実行により、現行画面に応じたガイド音声を取得する。
【0064】
次に、評価装置20は、現行画面に応じたガイド音声のフーリエ変換処理を実行する(ステップS5−2)。具体的には、評価装置20の評価部212は、取得したガイド音声を、単位時間毎にフーリエ変換を行なうことにより、単位時間毎の現行周波数分布を算出する。単位時間としては、例えば3秒間隔を用いる。
【0065】
次に、評価装置20は、テスト画面に応じたガイド音声の取得処理を実行する(ステップS5−3)。具体的には、評価装置20のエミュレータ211は、新規システム(HUB層111,サービス層121)において、テストケースの実行により、テスト画面に応じたガイド音声を取得する。
【0066】
次に、評価装置20は、テスト画面に応じたガイド音声のフーリエ変換処理を実行する(ステップS5−4)。具体的には、評価装置20の評価部212は、取得したガイド音声を、単位時間毎にフーリエ変換を行なうことにより、単位時間毎のテスト周波数分布を算出する。
【0067】
次に、評価装置20は、周波数分布の比較処理を実行する(ステップS5−5)。具体的には、評価装置20の評価部212は、単位時間毎に、現行周波数分布とテスト周波数分布とを比較する。
【0068】
次に、評価装置20は、一致かどうかについての判定処理を実行する(ステップS5−6)。具体的には、評価装置20の評価部212は、テスト周波数分布が、現行周波数分布の許容範囲を超えて相違がある場合には、不一致と判定する。
【0069】
不一致と判定した場合(ステップS5−6において「NO」の場合)、評価装置20は、画面に関連付けて音声相違の表示処理を実行する(ステップS5−7)。具体的には、評価装置20の評価部212は、出力画面の出力コードに関連付けてガイド音声について相違情報を出力する。この相違情報には、現行周波数分布とテスト周波数分布とが不一致となった時間帯(単位時間)に関する情報を含める。
【0070】
一方、一致と判定した場合(ステップS5−6において「YES」の場合)、評価装置20は、画面に関連付けて音声相違の表示処理(ステップS5−7)をスキップする。
次に、評価装置20は、ステップS3−8と同様に、全画面の終了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS5−8)。
【0071】
全画面の終了でないと判定した場合(ステップS5−8において「NO」の場合)、評価装置20は、現行画面の取得処理(ステップS5−1)以降の処理を繰り返す。
一方、全画面の終了と判定した場合(ステップS5−8において「YES」の場合)、評価装置20は、画面比較処理を終了する。
【0072】
・上記実施形態では、評価装置20は、比較処理を実行する(ステップS2−3)。ここでは、出力画面や出力帳票等の出力内容の比較を行なう。これに加えて、現金自動預払機10に出力されるタイミングを比較するようにしてもよい。この場合、評価装置20には、出力所要時間の一致を判定するための許容範囲に関するデータを保持させておく。そして、現行出力情報記憶部24及びテスト出力情報記憶部25に記録されている各出力コードに対応した出力所要時間を比較する。そして、出力所要時間が許容範囲を超えて異なる場合には、相違があると判定し、比較結果表に記録する。これにより、出力内容が同じであっても、タイミングが異なることにより、ユーザインターフェースに変化があることを把握することができる。
【0073】
・上記実施形態では、稼働システムとして現行システム(HUB層110、サービス層120)、テスト対象システムとして新規システム(HUB層111、サービス層121)を用いた。同じ出力が期待される二つのシステムであれば、現行システム、新規システムに限定されるものではない。例えば、異なる場所に配置された同一システムのテストに用いることも可能である。
・上記実施形態では、評価装置20は、テスト画面の取得処理(ステップS3−3)、テスト画面のバイナリ化処理(ステップS3−4)において、RGB値を用いる。画面の表示色を表現する表示出力値はRGB値に限定されるものではない。
【0074】
・上記実施形態では、現行出力取得処理において、エミュレート処理(ステップS1−1)、出力内容の取得処理(ステップS1−2)を実行する。出力の期待値の取得方法は、エミュレーションに限定されるものではない。例えば、テスト対象の出力の期待値を予め予測して用いてもよい。この場合には、出力の期待値を、期待画像として現行出力情報記憶部24に記憶させておく。
・上記実施形態では、稼働システムとして現行システム(HUB層110、サービス層120)、テスト対象システムとして新規システム(HUB層111、サービス層121)を用いた。テスト対象システムは、これらに限定されるものではない。HUB層やサービス層の一部や、現金自動預払機10を含めてテスト対象としてもよい。現金自動預払機10の変更をテスト対象とする場合には、現行の現金自動預払機10の第1のエミュレータと、テスト対象の新規の現金自動預払機10の第2のエミュレータとを準備する。そして、第1のエミュレータの出力と、第2のエミュレータの出力とを比較する。
更に、現金自動預払機10のみを変更した場合をテスト対象としてもよい。この場合には、稼働システムとして現行システム(HUB層110、サービス層120)に、現行の現金自動預払機10の第1のエミュレータと、テスト対象の新規の現金自動預払機10の第2のエミュレータを接続する。そして、第1のエミュレータの出力画像を期待画像として現行出力情報記憶部24に記録し、第2のエミュレータの出力画像をテスト画像としてテスト出力情報記憶部25に記録する。次に、評価装置20は、期待画像とテスト画像とを比較した結果を出力する。そして、現金自動預払機10の機能変更において出力される画面の変更を、画像により確認する。これにより、ハードウェア(制御部や記憶部等)に依存しない機能の確認を行なうことができる。例えば、現金自動預払機10の出力画面において、サービスフローの追加に対応した取引ボタンの追加や、表示する案内文言等の変更を確認することができる。
【0075】
・上記実施形態では、評価装置20の制御部21を、エミュレータ211、評価部212として機能させる。ハードウエア構成は、これに限定されるものではない。例えば、エミュレータ211と評価部212とを別個のハードウエアで構成したり、異なるオペレーションシステム(OS)で動作させたりすることも可能である。この場合も、エミュレータ211が、テストケース記憶部22を用いてエミュレーションした結果を、現行出力情報記憶部24、テスト出力情報記憶部25に記録し、評価部212は、比較領域情報記憶部23、現行出力情報記憶部24、テスト出力情報記憶部25を用いて評価を行なう。