【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の側面によれば、美容用物質の局所適用のための装置であって、該装置は、ヒト又は動物被験体の皮膚の特性を測定するように構成された、測定装置と、測定された皮膚の特性に応じて、ヒト又は動物被験体の皮膚の浸透性を変化させるように構成された、作動装置と、実質的に、イオントフォレシス電流が皮膚を通って流れず、皮膚の浸透性が変化した後に、美容用物質を皮膚に塗布するように構成された、塗布装置と、を備える装置が提供される。
【0007】
美容用物質の局所適用のための装置は、ヒト又は動物被験体の皮膚の特性を測定するように構成された測定装置を含む。皮膚の浸透性は、例えば、測定された特性に応じて判定されてもよい。局所適用のための装置は、さらに、測定された皮膚の特性に応じてヒト又は動物被験体の皮膚の浸透性を変化させるように構成される、作動装置を含む。測定される特性は、例えば、浸透性の増加が望まれるように決定されるのがよく、作動装置はそれに応じて皮膚の浸透性を増加させるように作動する。本装置は、さらにまた、皮膚にイオントフォレシス電流(iontophoretic current)が実質的に流れず、皮膚の浸透性が変化した後に、皮膚に美容用物質を塗布するように構成された塗布装置を備える。従って、物質の局所適用のための装置は、それ自体で、皮膚の特性を測定し、それに基づいて皮膚の浸透性を変化させてから、皮膚へ物質を塗布することが可能である。一例として、物質の局所適用のための装置は、作動後に皮膚の特性を測定し、美容用物質の塗布前に、作動装置のさらなる作動が必要であるかを判断するよう作動することができる。前記従来技術とは対照的に、本発明による装置は、物質が皮膚に塗布される前の皮膚の特性の測定に応じて皮膚の浸透性を変化させるように作動する。国際公開第2004/112689号の装置は、皮膚の特性とは無関係に皮膚の浸透性を変化させるように作動し、従って、例えば、浸透性の増加が必要とされていないときに浸透性が増加するかもしれず、又は、必要とされる以上又は以下に、浸透性が増加するかもしれない。
【0008】
本発明による装置は、美容用物質の局所適用のためのものである。従って、美容用物質の局所適用のための装置は、美容用物質を局所的に適用するように構成することができる。さらに、本装置は、皮膚の外表面に美容用物質を塗布するように構成されてもよい。作動装置は、測定装置による測定の対象とされた皮膚の領域等の、皮膚の浸透性を変化させるように構成することができる。代替的に、又は、加えて、塗布装置は、測定装置による測定の対象、及び、作動装置による浸透性の変化の対象となるうちの少なくとも1つの、皮膚領域などの皮膚に、物質を塗布するように構成されてもよい。
【0009】
上述したように、作動装置は、皮膚の浸透性を変化させるように構成される。皮膚の浸透性の変化は、塗布された物質の皮膚への浸透率、皮膚の外表面から、塗布された物質が浸透しているところまでの深さ、皮膚の表面と直交する方向において、塗布された物質が皮膚の表面下に入り込む度合い、及び特定のサイズよりも大きい粒子又は分子を含む特定組成物の物質のような、塗布された物質が、皮膚の表面から皮膚内部に入るか否かの、少なくとも1つに影響を及ぼすかもしれない。皮膚の浸透性の変化は、皮膚の物理的浸透性の変化であり得る。
【0010】
作動装置は、皮膚への電気信号の印加によって、皮膚の浸透性を変化させるように構成することができる。電気信号は、実質的に一定の信号及び少なくとも1パルスのような、可変信号の少なくとも1つとすることができる。作動装置は、電位信号及び電流信号の少なくとも1つを皮膚に印加することによって、皮膚の浸透性を変化させるように構成することができる。以下にさらに説明するように、電位信号及び電流信号は、異なる時間か、及び実質的に同時かのいずれかで、皮膚に印加されてもよい。特定の形態では、電位信号を印加して経路を作成し、次に電流信号を印加して経路を維持することができる。従って、作動装置は、電位信号を印加し、次に、電流信号を印加するように構成するのがよい。
【0011】
電位の皮膚への印加は、皮膚の浸透性を増加させることがわかっている。さらに、浸透性の増加は、電位印加の停止後に、浸透性が、電位印加前のレベルに実質的に戻るように、通常は可逆的である。作動装置は、電流を流しやすく、それらの間に電位を発現するように作動する、離間した部材を備えることができる。各離間部材は電極の形態を有してもよい。電極は、実質的に同じ平面内に配置され、それにより、電極は、皮膚に当接し得る実質的に平坦な表面を呈することができる。離間した部材は、銅から形成することができる。離間した部材は、亜鉛及び特に金によって少なくとも一部を被覆することができる。作動装置は、これが皮膚に当接すると、離間した部材が、皮膚から電気的に絶縁されるように構成することができる。従って、作動装置は、離間した部材を被覆して、電気的に絶縁する、ポリエチレンのような電気絶縁素材を備えることができる。
【0012】
浸透性を増加させるために皮膚に電位を印加することは、電気浸透化(electropermeabilisation)、又は、時には電気穿孔化(electroporation)と称される。電気浸透化は、十分に大きい膜貫通電位が印加されるときに発生する、皮膚細胞の膜における変化を伴う。0.5〜1ボルトの範囲における電位は、多くの状況において細胞膜にとって十分であることが分かっている。印加電位は、細胞の膜貫通電位を上回り、それによって経路を形成するために、細胞膜の構造上の再配列及び細胞膜の半透過性の喪失を誘発し、それにより浸透性を増加させる。上述したように、経路形成は通常、印加電位の除去後に、元に戻ってしまう。従って、本発明によるアプローチは、実質上、浸透性の不可逆的な変化をもたらし、国際公開第2004/112689号のアプローチとは対照的に、細胞への破壊又は目立つ損傷を与えることがない。
【0013】
角質層は、典型的には、約100までの多層の二重層を有し、従って、各二重層が、電気浸透化を達成するのに1ボルトの電位を必要とする場合に、電気浸透化を達成するには、100ボルトの電位を必要とする。従って、作動装置は、少なくとも20ボルト、30ボルト、40ボルト、50ボルト、60ボルト、70ボルト、80ボルト、90ボルト、100ボルト、110ボルト、120ボルト、130ボルト又は140ボルトの電位を印加するように構成することができる。一定レベル以上の電位の印加は、特定の状況下では望ましくない場合がある。より具体的には、角質層は、より少ない二重層を含むことがあり、過度に高い電位は、可逆性の度合いを低減させるか又は、細胞にかなりの損傷をもたらすことがある。さらに、本発明による装置は、物質の美容的観点から、物質の経皮送達をもたらすように構成することができ、物質の経皮送達が望まれる、他の潜在的な適用とは対照的である。従って、作動装置は、150ボルト、140ボルト、130ボルト、120ボルト、110ボルト、100ボルト、90ボルト、80ボルト、70ボルト、60ボルト、50ボルト又は40ボルト以下の電位を印加するように構成することができる。作動装置は、印加電位のレベルを変化させるように構成することができる。印加電位のレベルは、例えば、異なる皮膚の厚さやタイプを考慮して変化させることができる。或いは、印加電位のレベルは、本明細書のほかのところでも述べるように、皮膚の特性の測定に応じて変化させることができる。
【0014】
皮膚に送達されるエネルギーは、電位と、その皮膚への印加期間との関数である。所定レベルのエネルギーが皮膚に送達されることが望ましい場合がある。所望の電気浸透化を達成するためには、十分に高いレベルの電位、従って、高レベルのエネルギーが必要とされる。一方で、過度に高いレベルのエネルギーは、不快感を招くか、ことによると細胞損傷をもたらすことからして、望ましくない場合がある。作動装置は、皮膚に電位信号をパルスとして印加するように構成してもよい。パルスの印加は、エネルギーのレベルを制限しながら、十分なレベルの電位を提供する。パルスの幅は、少なくとも2μs、5μs、10μs、20μs、50μs、100μs、250μs、500μs、1ms、10ms、25ms、50ms、75ms又は100msとすることができる。パルスの幅は、125ms、100ms、75ms、50ms、25ms、10ms、1ms、500μs、250μs、100μs、50μs、20μs、10μs又は5μs以下であってもよい。作動装置は、印加パルスの持続時間と、印加パルスの間の時間との少なくとも一方を変えるように構成してもよい。印加パルスの持続時間は、例えば、異なる皮膚の厚さやタイプを考慮して変えることができる。印加されるパルス間の周期は、例えば、異なる皮膚の厚みや種類を考慮して変化させることができる。或いは、印加パルスの持続時間及び印加パルス間の時間のうちの少なくとも一方は、本明細書のほかのところでも説明するように、皮膚の特性の測定に応じて変えることができる。パルスの持続時間、印加パルス間の時間間隔、及び、ことによると上述したようなパルスのレベルも、皮膚に形成される経路の直径又は皮膚に形成される経路の密度といったような、所望の効果を提供するように決定することができる。
【0015】
作動装置が、パルスの形態で、電位信号を発生するように構成される場合、作動装置は、パルスがピーク値から次第に減衰するように構成されてもよい。より具体的には、パルスは指数関数的に減衰する。漸次減衰する、より具体的には、指数関数的に減衰するパルスによれば、逆戻りの経路形成を遅らせ、それにより皮膚の浸透性の増加を延長することができる。代替的に又は追加的に、以下に説明するように、作動装置は、皮膚に電流信号を印加するように構成されてもよい。
【0016】
作動装置の、離間した部材間の間隔は、作動装置によって生成される電界の大きさを決定する。電界の大きさは、電界が貫通する皮膚の深さを決定する。間隔は、少なくとも、5μm、10μm、20μm、50μm、100μm、200μm、400μm、600μm、800μm、900μm又は1mmとすることができる。離間した部材の幅は、直前の文で特定した数値に従うものとしてよい。間隔は、1.1mm、1mm、900μm、800μm、600μm、400μm、200μm、100μm、50μm、20μm、10μm又は5μm以下とすることができる。離間した部材の幅は、直前の文で特定された数値に従うものとしてよい。離間した部材は、細長くすることができる。離間した部材は、蛇行経路のような、非線形経路を画定してもよい。離間した部材は、互いにかみ合った構造とすることができる。上述したように、各離間した部材は、電極の形状を有することができる。
【0017】
電位の皮膚への印加は、皮膚の浸透性を増加させることが分かっている。さらに、浸透性の増加は、通常、電位の印加の停止の後に、浸透性が、実質上、電位の印加前のレベルに戻るように可逆的である。作動装置は、離間した電流印加部材を備え、これは電流を流し、皮膚に接触させた際に、皮膚を介してそれらの間に電流を流すように作動する。作動装置は、電流が皮膚に印加されている間、その電流が実質的に一定であるように構成することができる。各離間した電流印加部材は、電極の形状を有することができる。各電極は、電位印加につき、上述した絶縁層を無しにして、それにより電極と皮膚との間に導電路を提供することができる。電流印加電極は、実質的に同じ平面内に配置されてもよく、それにより電流印加電極は、皮膚に当接し得る実質的に平坦な表面を呈する。離間した電流印加部材は、銅から形成することができる。離間した電流印加部材は、亜鉛や、具体的には金によって少なくとも一部を被覆することができる。各印加した電流印加部材は、丸みを帯びた非線形輪郭を有する領域を画定してもよい。従って、離間した電流印加部材は、シャープな縁部をなくすことができる。各離間した電流印加部材は、実質的に半円形の領域を画定することができる。
【0018】
皮膚への電流の印加は、典型的には、皮膚のインピーダンスを低減させ、インピーダンスは、電流の印加期間と電流の密度との関数である。皮膚インピーダンスの低下は、通常、電流の流れによってもたらされる皮膚の変化による皮膚の浸透性の増加に反映する。浸透性の増加とインピーダンスの低減は、付属器経路(appendageal pathway)を輸送経路として回復させるからであると理解される。この現象は、通常、イオントフォレシスと称されている。イオントフォレシス中に流れる電流はイオントフォレシス電流と称される。電位の印加とは対照的に、電流の印加は、美容用物質の経路に沿う移動を提供する。
【0019】
作動装置は、離間した電流印加部材を介してその間に50ボルト、40ボルト、30ボルト、20ボルト、10ボルト、5ボルト、2ボルト又は1ボルト以下の電位を発現するように構成することができる。作動装置は、離間した電流印加部材を介してその間に少なくとも、0.5ボルト、1ボルト、2ボルト、5ボルト、10ボルト、20ボルト、30ボルト又は40ボルトの電位を発現するように構成されてもよい。作動装置は、500μA/cm
2、400μA/cm
2、300μA/cm
2、200μA/cm
2、175μA/cm
2、150μA/cm
2、125μA/cm
2、100μA/cm
2、75μA/cm
2、50μA/cm
2、25μA/cm
2、10μA/cm
2、又は5μA/cm
2以下の電流が皮膚に流れるように構成することができる。作動装置は、少なくとも、1μA/cm
2、5μA/cm
2、10μA/cm
2、25μA/cm
2、50μA/cm
2、75μA/cm
2、100μA/cm
2、125μA/cm
2、150μA/cm
2、175μA/cm
2、200μA/cm
2、300μA/cm
2、又は400μA/cm
2の電流が皮膚に流れるように構成されてもよい。
【0020】
ある実施形態では、皮膚への電位及び電流の印加は、有利な効果を得るために、装置において併用することができる。電位を皮膚に印加して皮膚内に経路を作り、次に皮膚に電流を印加している間、電位の印加を停止して、電位によって形成された経路を維持するのがよい。作動装置は、それに応じて構成することができる。より具体的には、作動装置は、電位を印加するように作動する、離間した部材と、電流を印加するように作動する、離間した電流印加部材とを備えることができる。離間した電位印加部材は、離間した電流印加部材間、例えば一対の電流印加部材間に配置することができる。代替的に又は追加的に、作動装置は、電位及び電流のうちの一方を皮膚に選択的に印加するように構成されてもよい。例えば、ある状況下では、角質層を通る経路と皮膚付属器を通る経路のうちの一方が、他方よりも好ましい場合がある。
【0021】
上述したように、美容用物質の局所適用のための装置は、ヒト又は動物被験体の皮膚の特性を測定するように構成された測定装置を備える。より具体的には、測定装置は、ヒト又は動物被験体の皮膚の電気的特性を測定するように構成することができる。
【0022】
測定装置は、皮膚のインピーダンスを測定するように構成することができる。本発明による装置は、測定されたインピーダンスに応じて、測定された皮膚の浸透性について判定を行うように作動することができる。より具体的には、本装置は、測定されたインピーダンスの実数部に応じて、浸透性について判定を行うように作動することができる。本装置は、測定されたインピーダンスと浸透性とを互いに関連付けるモデルに応じて判定を行うように作動することができる。従って、測定される皮膚の特性は、インピーダンス、より具体的にはインピーダンスの実数部を含む。測定装置は、離間した測定部材と信号発生器とを備え、信号発生器は、離間した測定部材に信号を印加するように作動する。離間した測定装置は、上述の、離間した電流印加部材の1つ以上の特徴を有することができる。従って、例えば、離間した測定部材は、半円形で、絶縁層がなくてもよく、離間した測定部材は両方とも実質的に同じ平面内にあることで、離間した測定部材は皮膚に当接させることができる。美容用物質の局所適用のための装置は、離間した測定部材及び離間した電流印加部材が同じコンポーネントで形成されるように構成することができる。従って、美容用物質の局所適用のための装置は、これらの同じコンポーネントを選択的に作動させて、測定及び作動のいずれかを行わせることができる。
【0023】
信号発生器は、交流電位信号等の可変信号(即ち、第1の信号)を発生するように構成することができる。より具体的には、信号発生器は、生成される可変信号の周波数を変えるように構成されてもよい。従って、信号発生器は、低い値と高い値との間で周波数を変えるように作動させることができる。周波数は、少なくとも、1Hz、10Hz、50Hz、100Hz、250Hz、500Hz、1kHz、10kHz、50kHz、100kHz、250kHz、又は500kHzとすることができる。周波数は、1MHz、500kHz、250kHz、100kHz、50kHz、10kHz、1kHz、500Hz、250Hz、100Hz、50Hz、又は10Hz以下とすることができる。信号発生器は、複数の範囲にわたって周波数を変化させるように作動させてもよい。代替的に又は追加的に、信号発生器は同時に複数の周波数を含む可変信号を発生するように構成してもよい。信号のピークツーピーク電圧は、少なくとも、5mV、10mV、25mV、50mV、100mV、150mV、200mV又は250mVとすることができる。信号のピークツーピーク電圧は、500mV、250mV、200mV、150mV、100mV、50mV、25mV又は10mV以下としてもよい。従って、測定装置は、皮膚に可変信号、より具体的には交流電流信号を、印加することができる。測定装置は、さらに、離間した測定部材間の電流信号を測定するように構成される、信号測定装置を備えることができる。信号測定装置は、測定される電流信号及び皮膚に印加される電圧信号に応じてインピーダンスを決定するように構成することができる。信号測定装置は、インピーダンスの大きさ及び位相と、インピーダンスの実数部及び虚数部との少なくとも一方を決定するように構成されてもよい。信号測定装置は、インピーダンスの虚数部、信号の周波数及び皮膚のモデルに応じて、皮膚の静電容量を決定するように構成されてもよい。より具体的には、皮膚のモデルは、抵抗値を含むことができる。抵抗値は、角質層の最外層の抵抗を表す。
【0024】
測定装置は、皮膚によって示される容量性リアクタンスを測定するように構成することができる。従って、測定装置は、離間した容量測定部材と、信号発生器とを備えるのがよく、信号発生器は、離間した容量測定部材に信号(即ち、第2の信号)を印加するように作動する。離間した容量測定部材は、これが、皮膚に当接したときに、皮膚から電気的に絶縁されるように構成することができる。従って、離間した容量測定部材は、電気絶縁材料を備えるのがよい。離間した容量測定部材は、上述した離間した部材の1つ以上の特徴を有することができる。従って、例えば、離間した容量測定部材は、櫛形電極構造を有することができる。美容用物質の局所適用のための装置は、離間した容量測定部材及び離間した部材が同じコンポーネントによって形成されるように構成することができる。従って、美容用物質の局所適用のための装置は、これらの同じコンポーネントを、選択的に作動させて、測定及び作動のいずれか一方を提供するように構成することができる。
【0025】
上述したように、信号発生器は、離間した容量測定部材に、可変形態の、より具体的には交流形態の可変周波数信号を印加するように構成することができる。測定装置は、離間した容量測定部材間のインピーダンス、より具体的には容量性リアクタンスを測定するように作動する、信号測定装置をさらに備えることができる。皮膚の測定される特性は、容量性リアクタンスを含むことができる。測定装置は、測定されたインピーダンスに応じて、静電容量及び比誘電率のうちの少なくとも1つを決定するように作動することができる。測定される皮膚の厚さは、以下に詳述するように、それに応じて決定されてもよい。
【0026】
本発明による装置は、比誘電率を決定するように作動することができる。比誘電率は、インピーダンス、より具体的には、容量性リアクタンス、周波数、コンデンサを画定するプレートの面積、及びコンデンサを画定するプレートを隔てる距離に応じて決定することができる。皮膚の浸透性は、比誘電率及びインピーダンスの少なくとも1つに応じて決定することができる。代替的に又は追加的に、皮膚の浸透性は、コンデンサを画定するプレートを隔てる距離に応じて決定することもできる。測定装置が、上述のアプロ―チ(即ち、絶縁された及び非絶縁の電極によって)の両方によって作動する場合、本発明による装置は、両方のアプローチによる測定に基づいて、さらなる決定を行うように作動することができる。より具体的には、さらなる決定は、プレートを隔てる距離等、測定に関するパラメータの、改善された決定に関して行うことができる。比誘電率等の、容量に対応する第1のパラメータの第1の値は、絶縁された電極によって行われる測定値に応じて決定することができる。容量の値(即ち、第2の値)は、非絶縁電極によって行われる測定値に基づいて決定することができる。プレートを隔てる距離等の、容量に対応するさらなる値は、第1および第2の値に応じて決定することができる。
【0027】
塗布装置は、物質の局所適用のための装置から、美容用物質を分配するように作動する物質アクチュエータを備えることができる。物質アクチュエータは、ポンプを備えることができる。塗布装置は、美容用物質を保持するように構成されたリザーバを備えることができる。物質アクチュエータは、リザーバから美容用物質を分配するように作動することができる。塗布装置は、美容用物質が、被験体の皮膚に塗布するための物質の局所適用のための装置から分配される、少なくとも1つの分配開口を含むことができる。少なくとも1つの分配開口は、測定装置及び作動装置のうちの少なくとも1つに隣接して配置することができる。
【0028】
物質は流動性の物質とすることもできる。物質は、液体、より具体的には、おそらく液体といっても、クリーム、ペースト、ゲル又はフォーム等の粘調液であってもよい。
【0029】
上述したような測定装置にさらに加えて、測定装置は、皮膚の少なくとも1つのさらなる特性を測定するように構成されてもよい。従って、測定装置は、皮膚の分光分析を行うように構成することができる。分光分析は、赤外光および紫外光の少なくとも1つを皮膚に当て、皮膚から反射および散乱された光の少なくとも1つを測定することを含むことができる。その後、測定された光を分析して、例えば、上述したような測定によって得られたデータを確認したり、相関付けたりするのに用いることができる、浸透性のような、皮膚の状態のデータを提供することができる。ある形態においては、測定装置は、上述のアプローチのうちの少なくとも1つに基づいて作動可能であってもよく、上述のアプローチに加えられなくてもよい。
【0030】
上述したような作動装置にさらに加えて、作動装置は、少なくとも1つのさらに異なるやり方で、皮膚上にて作動させることができる。1つのアプローチによれば、作動装置は、超音波信号を皮膚に当てるように構成することができる。従って、作動装置は、超音波トランスデューサを備えるのがよい。付加的又は代替的なアプローチによれば、作動装置は、赤外光及び紫外光のうちの少なくとも1つ等の光を皮膚に当てるように構成することができる。従って、作動装置は、光源を備えることができる。超音波又は光エネルギーは、浸透性をさらに増大させること、又は、血流を増大させること等の有益な効果をもたらす。ある形態において、作動装置は、上述のアプローチのうちの少なくとも1つに基づいて作動可能であってもよく、上述のアプローチに加えられなくてもよい。
【0031】
物質は、顔の肌のような美容的な外観に関する等の改善に効果があることを図るような特定の組成であってもよい。従って、物質は、材料であってもよい。美容用物質は、化粧剤であってもよい。美容用物質は、プライマ、コンシーラ、ファンデーション、ブロンザー、セッティングスプレー、クレンザー、トナー、スキンケアローション、モイスチャライザー、保湿剤、日焼け止め、日焼けオイル、日焼けローション、スキンライトナー及びエクスフォリエントの少なくとも1つを含むことができる。
【0032】
物質の局所適用のための装置は、携帯可能、より具体的には手持ち式であってもよい。物質の局所適用のための装置は、装置の他のコンポーネントを収容し、支持するハウジングを備えることができる。ハウジングは、一方の手で把持するように構成することができ、それにより、物質の局所適用のための装置は、片手で使用することができ、おそらく、装置内に備えられるような、ユーザ操作可能な制御を除けば、片手で操作することができる。ハウジングは、細長い形態であってもよい。測定装置、作動装置及び塗布装置のうちの少なくとも1つは、ハウジングの端部又は端部に向けて配置されてもよい。ハウジングは、ユーザの手のひらに収容されている間、ユーザがハウジングを把持できるような形状にすることができる。より具体的には、物質の局所適用のための装置は、そのように把持されている間に、測定装置、作動装置及び塗布装置のいずれか1つが、被験体の皮膚に隣接されるように構成することができる。
【0033】
物質の局所適用のための装置は、作動装置が作動する前及び/又は後に、測定装置によって皮膚の特性を測定するように構成されてもよい。従って、物質の局所適用のための装置は、皮膚の浸透性が作動装置によってどのように影響されたかを判定するために皮膚の特性を測定するように作動することができる。物質の局所適用のための装置は、作動装置が作動を停止した後に、測定装置が作動するように構成することができる。作動装置は、さらなる測定に応じてさらに作動させることができる。代替的に又は追加的に、物質の局所適用のための装置は、測定装置が、作動装置の作動中に作動するように構成されてもよい。
【0034】
物質の局所適用のための装置は、皮膚の特性を測定することと、塗布装置の作動後に皮膚の浸透性を変化させることの少なくとも1つを行うように構成されてもよい。従って、物質の局所適用のための装置は、測定装置が皮膚のさらなる測定を行うように作動する前に、皮膚に或る量の美容用物質を塗布するように作動し、例えば、皮膚の状態が美容用物質の塗布した量に応じてどのように変化したかを決定することができる。次に、作動装置は、さらなる測定に応じて皮膚の浸透性を変化させるように作動することができる。従って、測定装置、作動装置及び塗布装置のそれぞれの、間隔を空けた時間における複数の動作があり、それらの動作順序及びそれらの動作回数は状況に依存する。
【0035】
物質の局所適用のための装置は、データ記憶装置を備えていてもよい。物質の局所適用のための装置は、ユーザが操作可能な制御器及び、データ通信ポートの少なくとも1つを含むことができる。データ通信ポートは、WiFi標準に従うような無線通信、およびUSBポートなどの有線通信の少なくとも1つを提供することができる。ユーザが操作可能な制御器は、ユーザが操作するための構成とすることができ、それにより、物質の局所適用のための装置の操作をユーザが制御することができる。物質の局所適用のための装置は、データが、コンピュータ等のさらなる装置からデータ通信ポートを介して受信されるように構成することができる。受信したデータは、データ記憶装置に格納することができる。従って、コンピュータ等のさらなる装置に格納されたデータは、物質の局所適用のための装置にアップロードされてもよい。さらなる装置に格納されるデータは、測定装置による以前の測定、作動装置の作動の以前の特性、塗布装置の作動の以前の特性に関する、物質の局所適用のための装置の以前の作動からのデータの少なくとも1つを含むことができる。代替的に又は追加的に、さらなる装置に格納されるデータは、性別、年齢及び人種源等の表現型データを含むことができる。年齢群及び/又は認識された皮膚のタイプに関するような、複数の異なる分類の被験体の皮膚の特性のデータを格納することができる。装置のユーザは、自分自身の特性に最も近く適合する、複数の分類のうちの1つの分類のデータを選択することができる。代替的に又は追加的に、さらなる装置に格納されるデータは、特定の表現型に属する被験体に関して等、特定のやり方で作動装置及び塗布装置の少なくとも1つの作動を提供するように作動するデータを含むことができる。或いは、又は追加的に、さらなる装置に格納されるデータは、皮膚のインピーダンスデータ等の皮膚特性データを含むことができる。
【0036】
データ記憶装置は、物質の局所適用のための装置を所定のやり方で制御するためのデータを格納するように作動することができる。制御は、作動装置および塗布装置の少なくとも一方に対して行うことができる。データは、少なくとも1つの所定の状態、例えば、特定の表現型に属する被験体等の、特定の群に属する被験体を考慮に入れて制御を行うように構成することができる。塗布装置は、例えば、美容用物質を一定量塗布してもよく、又は、美容用物質をデータに応じて特定の割合で塗布してもよい。データは、物質の局所適用のための装置内に含まれるユーザ操作可能な制御器及びデータ通信ポートのうちの少なくとも1つの操作に応じてデータ記憶装置に格納されてもよい。
【0037】
物質の局所適用のための装置は、測定装置、作動装置、および塗布装置の少なくとも1つの作動に関するデータを、データ記憶装置などに格納するように構成されてもよい。従って、物質の局所適用のための装置は、該装置の操作のプロファイルを格納するように作動可能である。物質の局所適用のための装置は、該装置のその後の操作中に、そのような格納済みのデータを考慮するように構成されてもよい。物質の局所適用のための装置がデータ通信ポートを備える場合、物質の局所適用のための装置は、該装置から格納済みのデータをデータ通信ポートを介して、コンピュータなどの、さらなる装置に送信するように構成されてもよい。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、美容用物質を局所的に適用する方法であって、該方法は、測定装置によってヒト又は動物被験体の皮膚の特性を測定するステップと、
皮膚の測定された特性に応じて、作動装置によってヒト又は動物被験体の皮膚の浸透性を変化させるステップと、
実質的に、イオントフォレシス電流が皮膚を通って流れず、皮膚の浸透性が変化した後に、塗布装置によって皮膚に美容用物質を塗布するステップと、
を含む、方法が提供される。
【0039】
本方法は、皮膚の理学療法をさらに含むことができる。皮膚の理学療法は、皮膚擦過傷及び皮膚剥離の少なくとも1つを含むことができる。皮膚の特性を測定するステップの後に、理学療法を行ってもよい。本発明の第2の態様のさらなる実施形態は、本発明の第1の態様の1つ以上の特徴を含むことができる。
【0040】
本発明のさらなる態様によれば、物質の局所適用のための装置であって、該装置は、ヒト又は動物被験体の皮膚の特性を測定するように構成された測定装置と、皮膚の測定された特性に応じてヒト又は動物被験体の皮膚の特性を変化させるように構成された作動装置と、実質的に、イオントフォレシス電流が皮膚を通って流れず、皮膚の特性が変化した後に、皮膚に物質を塗布するように構成された塗布装置と、を備えている、装置が提供される。本発明のさらなる態様の実施形態は、本発明の上述したいずれかの態様の、1つ以上の特徴を含むことができる。
【0041】
本発明のさらに別の態様によれば、物質を局所的に適用する方法であって、該方法は、測定装置によってヒト又は動物被験体の皮膚の特性を測定するステップと、皮膚の測定された特性に応じて、作動装置によってヒト又は動物被験体の皮膚の特性を変化させるステップと、実質的に、イオントフォレシス電流が皮膚を通って流れず、皮膚の特性が変化した後に、塗布装置によって皮膚に物質を塗布するステップと、を含む方法が提供される。本発明のさらに別の態様の実施形態は、本発明の上述したいずれかの態様の1つ以上の特徴を含むことができる。
【0042】
本発明の別の態様によれば、物質の局所適用のための装置であって、該装置は、ヒト又は動物被験体の皮膚の特性を測定するように構成された測定装置と、ヒト又は動物被験体の皮膚の特性を変化させるように構成された作動装置と、皮膚に物質を塗布するように構成された塗布装置とを備える、装置が提供される。
本発明の別の態様によれば、物質を局所的に適用する方法であって、該方法は、測定装置によってヒト又は動物被験体の皮膚の特性を測定するステップと、作動装置によってヒト又は動物被験体の皮膚の特性を変化させるステップと、塗布装置によって皮膚に物質を塗布するステップと、と含む方法が提供される。本発明のこれらの態様のいずれか1つは、本発明の上述したいずれかの態様の1つ以上の特徴を含むことができる。
【0043】
本発明のさらなる特徴および利点は、単なる例示として与えられ、添付の図面を参照しての、以下の特定の説明から明らかになるであろう。