特許第6703984号(P6703984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イエフペ エネルジ ヌヴェルの特許一覧 ▶ サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィクの特許一覧 ▶ ユニヴェルシテ クロード ベルナール リヨン プルミエの特許一覧

特許6703984金属粒子および酸化セリウムからなるものを含む2種の半導体を含む光触媒組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703984
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】金属粒子および酸化セリウムからなるものを含む2種の半導体を含む光触媒組成物
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20200525BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20200525BHJP
   B01J 35/08 20060101ALI20200525BHJP
   B01J 37/34 20060101ALI20200525BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B01J23/63 M
   B01J35/02 J
   B01J35/02 H
   B01J35/08 B
   B01J37/34
   B01J37/03 A
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-519277(P2017-519277)
(86)(22)【出願日】2015年10月6日
(65)【公表番号】特表2017-533816(P2017-533816A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】EP2015072995
(87)【国際公開番号】WO2016058861
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2018年9月14日
(31)【優先権主張番号】14/59846
(32)【優先日】2014年10月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(73)【特許権者】
【識別番号】500049369
【氏名又は名称】サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク
(73)【特許権者】
【識別番号】512061294
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ クロード ベルナール リヨン プルミエ
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】ロフィシャル ディナ
(72)【発明者】
【氏名】フェカン アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ウジオ ドゥニ
(72)【発明者】
【氏名】ピュズナ エリック
(72)【発明者】
【氏名】ジャンテ クリストフ
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−046236(JP,A)
【文献】 特開2006−198594(JP,A)
【文献】 特開2003−080077(JP,A)
【文献】 特表2006−528056(JP,A)
【文献】 特開平08−059235(JP,A)
【文献】 特開2011−178596(JP,A)
【文献】 特開2004−261755(JP,A)
【文献】 特開2006−247621(JP,A)
【文献】 特開2002−110261(JP,A)
【文献】 特表2006−508793(JP,A)
【文献】 特開2012−091143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00− 38/74
C01G 1/00− 23/08
B82Y 5/00−
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1) 第1の半導体SC1と、周期律表の族IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB、IIIA、IVAおよびVAの元素の中から選択される1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子と、酸化セリウムを含む第2の半導体SC2とを含有する組成物であって、前記第1の半導体SC1は、1種以上の金属状態の元素Mを含む前記粒子と直接接触しており、前記粒子は、第2の半導体SC2が、1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子の表面の少なくとも50%を被覆するように、酸化セリウムを含む前記第2の半導体SC2と直接接触しており、この被覆率はX線光電子分光法によって測定され、元素Mを含む前記粒子について前記第1の半導体SC1との接触面を除いた全表面が前記第2の半導体SC2によって被覆された状態を被覆率100%とするものであり、前記半導体SC1は、TiO、Bi、Bi3、Fe、ZnO、WO、CuO、ZnFe、MoSおよびIn(OH)の中から選択され、前記酸化セリウムは大部分Ceからなる、光触媒用組成物。
【請求項2】
前記第1の半導体SC1が、第2の半導体SC2と直接接触している、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1の半導体SC1が基材(substrate)を形成し、前記基材がその表面上にコア−シェル型粒子を含有し、前記シェルが、酸化セリウムを含む前記半導体SC2によって形成され、前記コアが、1種以上の金属状態の元素Mを含む前記粒子によって形成される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記金属状態の元素Mが、白金、パラジウム、金、ニッケル、コバルト、ルテニウム、銀、銅、レニウムまたはロジウムの中から選択される、請求項1からいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記半導体SC2の酸化セリウム含量が、元素Ceとして表して、前記組成物の総重量との関係において0.01から50重量%の間である、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記金属状態の元素Mの含量が、前記組成物の総重量との関係において0.001から20重量%の間である、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
1種以上の金属状態の元素Mを含む前記粒子が、0.5nmから1000nmの間の大きさの粒子の形態でもたらされる、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ナノメートル粉末の形態でもたらされる、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記シェルが、1nm〜1000nmの厚さを有する、請求項3からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
以下のステップ:
a)撹拌しながら、水および/または1種以上の有機化合物と、周期律表の族IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB、IIIA、IVAおよびVAの元素の中から選択される少なくとも1種の金属状態の元素Mの前駆体とからなる液体混合物中に第1の半導体SC1を含有する懸濁液を調製し、放射源によって前記懸濁液に照射し、前記放射源は、その発光スペクトルの少なくとも一部が、前記半導体SC1の禁制帯幅を超えるエネルギーを有する光子からなるようなものである、ステップと、
b)次いで、ステップa)で得られる懸濁液に、撹拌下でおよび前記放射源による照射下で、+3の酸化度を有する可溶性セリウム前駆体を導入するステップと、
c)次いで、撹拌下でおよび前記放射源による照射下で、塩基性薬剤または酸性薬剤を、酸化セリウムの沈殿をもたらすように、導入するステップと、
d)ステップc)の懸濁液から組成物を分離するステップと、
e)ステップd)で得られる組成物を乾燥させるステップと
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項11】
金属前駆体が、白金、パラジウム、金、ニッケル、コバルト、ルテニウム、銀、銅、レニウムまたはロジウムの前駆体の中から選択される、請求項10に記載の調製方法。
【請求項12】
ステップc)において、塩基性薬剤または酸性薬剤が導入された後のpHが、9から13の間である、請求項10または11に記載の調製方法。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物の光触媒としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、複合材料のものおよび光触媒におけるその適用である。複合材料は、異なる化学的性質の少なくとも2種の化合物からなる固体として定義される。
【0002】
以下、化学元素の族は、CAS分類に従って提供される(CRC Handbook of Chemistry and Physics、CRC Press編、編集主幹D.R. Lide、第81版、2000〜2001年)。例えば、CAS分類に従う第VIII族は、新規IUPAC分類に従う列8、9および10の金属に対応する。
【背景技術】
【0003】
文献に、半導体を含有する複合材料、特に、半導体基板の表面上のコア−シェル型粒子からなる複合材料の例が記載されている。この種の固体は、特に、光触媒適用において開発されている。
【0004】
C.Liら、(J.Hydrogen Energy、第37巻、6431〜6437頁、2012年)(非特許文献1)は、表面上の金属酸化銅の粒子が、フォトアシストによって蒸着されるTiOナノチューブをベースとする固体の合成を示した。
【0005】
H.Linら(Catal.Comm.,第21巻、91〜95頁、2012年)(非特許文献2)は、両方とも半導体であるAgBr/Ag/AgIと、AgBrおよびAgIとからなる共沈殿物によって調製される複合材料を提案している。
【0006】
C.Wangら(Chem.Eng.J.,第237巻、29〜37頁、2014年)(非特許文献3)は、連続含浸によって、共沈殿によって調製された、一方では、WOおよびPtの間の、他方では、PtおよびTiOの間の接触を含む材料を調製した。
【0007】
最後に、H.Tada(Nature Materials、第5巻、782〜786頁、2006年)(非特許文献4)は、TiO半導体上に蒸着されている、Auコアの周囲のCdSの層を有する半球状粒子をベースとする固体を提案している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】C.Liら、(J.Hydrogen Energy、第37巻、6431〜6437頁、2012年)
【非特許文献2】H.Linら(Catal.Comm.,第21巻、91〜95頁、2012年)
【非特許文献3】C.Wangら(Chem.Eng.J.,第237巻、29〜37頁、2014年)
【非特許文献4】H.Tada(Nature Materials、第5巻、782〜786頁、2006年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、金属粒子および酸化セリウムからなるものを含む2種の半導体を含む光触媒組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、第1の半導体SC1と、周期律表の族IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB、IIIA、IVAおよびVAの元素の中から選択される1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子と、酸化セリウムを含む第2の半導体SC2とを含有し、前記第1の半導体SC1が、1種以上の金属状態の元素Mを含む前記粒子と直接接触しており、前記粒子が、酸化セリウムを含む前記第2の半導体SC2に、1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子の表面の少なくとも50%を第2の半導体SC2が覆うような状態で、直接接触している組成物を提案することである。
【0011】
驚くべきことに、半導体SC2を構成する酸化セリウムの使用は、現時点の技術水準(the state of the art)の既知光触媒との関係において、増強される光触媒性能を有する光触媒を得ることを十分に可能にする。
【0012】
好ましい変法によれば、第1の半導体SC1はまた、第2の半導体SC2と直接接触している。
【0013】
好ましい変法によれば、前記第1の半導体SC1は、基板を形成し、前記基板は、その表面にコア−シェル型粒子を含有し、前記シェルは、酸化セリウムを含む前記半導体SC2によって形成され、前記コアは、1種以上の金属状態の元素Mを含む前記粒子によって形成される。
【0014】
変法によれば、酸化セリウムは、大部分は、Ceからなる。
【0015】
変法によれば、金属状態の元素Mは、白金、パラジウム、金、ニッケル、コバルト、ルテニウム、銀、銅、レニウムまたはロジウムの中から選択される。
【0016】
変法によれば、元素Ceとして表される半導体SC2の酸化セリウム含量は、組成物の総重量との関係において0.01から50重量%の間である。
【0017】
変法によれば、金属状態の元素Mの含量は、組成物の総重量との関係において0.001から20重量%の間である。
【0018】
変法によれば、1種以上の金属状態の元素Mを含む前記粒子は、0.5nmから1000nmの間の大きさの粒子の形態でもたらされる。
【0019】
変法によれば、組成物は、ナノメートル粉末の形態でもたらされる。
【0020】
変法によれば、半導体SC1は、TiO、Bi、Bi、Fe、ZnO、WO、CuO、ZnFe、MoSおよびIn(OH)の中から選択される。
【0021】
変法によれば、シェルは、1nm〜1000nmの厚さを有する。
【0022】
本発明はまた、以下のステップを含むその調製方法に関する:
a)撹拌しながら、水および/または1種以上の有機化合物ならびに周期律表の族IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB、IIIA、IVAおよびVAの元素の中から選択される少なくとも1種の金属前駆体からなる液体混合物中に第1の半導体SC1を含有する懸濁液を調製し、放射源の発光スペクトルの少なくとも一部が、半導体SC1の禁制帯幅を超えるエネルギーを有する光子からなるような放射源によって懸濁液に照射するステップと、
b)次いで、ステップa)で得られる懸濁液に、撹拌および前記放射源の照射下で、+3の酸化度を有する可溶性セリウム前駆体を入れるステップと、
c)次いで、撹拌および前記放射源の照射下で、塩基性薬剤または酸性薬剤を、酸化セリウムの沈殿をもたらすような方法で入れるステップと、
d)次いで、ステップc)の懸濁液から組成物を分離するステップと、
e)ステップd)で得られる組成物を乾燥させるステップと
f)場合によっては、ステップe)で得られる乾燥した組成物を、熱処理に付すステップ。
【0023】
変法によれば、金属前駆体は、白金、パラジウム、金、ニッケル、コバルト、ルテニウム、銀、銅、レニウムまたはロジウムの前駆体の中から選択される。
【0024】
変法によれば、ステップc)において、塩基性薬剤または酸性薬剤が入れられた後のpHは、9から13の間である。
【0025】
本発明はまた、本発明による組成物、または、本発明による調製方法に従って調製される組成物を光触媒として使用する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の組成物
本発明は、第1の半導体SC1と、周期律表の族IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB、IIIA、IVAおよびVAの元素の中から選択される1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子と、酸化セリウムを含む第2の半導体SC2とを含有し、前記第1の半導体SC1が、1種以上の金属状態の元素Mを含む前記粒子と直接接触しており、前記粒子が、酸化セリウムを含む前記第2の半導体SC2に、1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子の表面の少なくとも50%を第2の半導体SC2が覆うような状態で、直接接触している組成物に関する。
【0027】
好ましくは、組成物は、第1の半導体SC1と、周期律表の族IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB、IIIA、IVAおよびVAの元素の中から選択される1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子と、酸化セリウムを含む第2の半導体SC2とから構成されている。
【0028】
本発明の重要な態様によれば、第1の半導体SC1は、1種以上の金属状態の元素Mを含む前記粒子と直接接触しており、前記粒子は、酸化セリウムを含む第2の半導体SC2と直接接触している。好ましくは、第1の半導体SC1は、さらに、第2の半導体SC2と直接接触している。
【0029】
本発明の好ましい変法によれば、前記第1の半導体SC1は、基板を形成し、前記基板は、その表面にコア−シェル型粒子を含有し、前記シェルは、酸化セリウムを含む前記半導体SC2によって形成され、前記コアは、1種以上の金属状態の元素Mを含む前記粒子によって形成される。驚くべきことに、本発明の半導体基板SC1の表面上のコア−シェル型粒子のシェルを構成する酸化セリウムの使用は、コア−シェル型基板構造を含有しない現時点での技術水準の既知光触媒との関係において、向上された光触媒性能を有する光触媒を得ることを可能にする。
【0030】
第2の半導体SC2は、1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子の表面の少なくとも50%、好ましくは60%超、極めて好ましくは75%超を覆う。被覆率は、例えば、1486.6eVのAl単色源および40eVの通過エネルギーを備えたESCA KRATOS(登録商標)Axis UltraデバイスでXPS(英語の技術用語でX線光電子分光法(X−ray photoelectron spectrometry))によって測定され、1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子の総表面に対する被覆を表す。
【0031】
シェルは、1nm〜1000nm、好ましくは1nm〜500nm、特に好ましくは2〜50nmの厚さを有する。
【0032】
組成物は、第1の半導体SC1を含有する。本発明に従って使用される半導体SC1は、少なくとも1種の無機、有機または有機−無機複合材料半導体を含む。無機、有機または有機−無機半導体の禁制帯幅は、一般に、0.1から5.5eVの間である。
【0033】
第1の変法によれば、半導体SC1は、少なくとも1種の無機固体を含む。無機半導体は、ケイ素、ゲルマニウム、炭化ケイ素(シリコンカーバイド)またはケイ素−ゲルマニウムなどの族IVAの元素の中から選択される元素の1種以上を含み得る。また、GaP、GaN、InPおよびInGaAsなどの族IIIAおよびVAの元素またはCdS、ZnOおよびZnSなどの族IIBおよびVIAの元素またはCuClおよびAgBrなどの族IBおよびVIIAの元素またはPbS、PbO、SnSおよびPbSnTeなどの族IVAおよびVIAの元素またはBiTeおよびBiなどの族VAおよびVIAの元素またはCd、ZnおよびZnAsなどの族IIBおよびVAの元素またはCuO、CuOおよびAgSなどの族IBおよびVIAの元素またはCoO、PdO、FeおよびNiOなどの族VIIIおよびVIAの元素またはMoSおよびWOなどの族VIBおよびVIAの元素またはVおよびNbなどの族VBおよびVIAの元素またはTiOおよびHfSなどの族IVBおよびVIAの元素またはIn、InもしくはIn(OH)などの族IIIAおよびVIAの元素またはCe、Pr、Sm、TbおよびLaなどの族VIAおよびランタニドの元素またはUOおよびUOなどの族VIAおよびアクチニドの元素からなり得る。好ましくは、半導体は、TiO、Bi、Bi、CdO、Ce、CeO2、CoO、CuO、Fe、FeTiO、In、In(OH)、NiO、PbO、ZnO、WO、CuO、ZnFe、MoS、AgS、CdS、Ce、CuS、CuInS、In、ZnFe、ZnSおよびZrSおよびIn(OH)の中から選択される。極めて好ましくは、半導体は、TiO、Bi、Bi、Fe、ZnO、WO、CuO、ZnFe、MoSおよびIn(OH)の中から選択される。
【0034】
別の変法によれば、半導体SC1は、少なくとも1種の有機半導体を含む。有機半導体の中でも、テトラセン、アントラセン、ポリチオフェン、ポリスチレンスルホネート、ホスフィレンおよびフラーレンを挙げることができる。
【0035】
別の変法によれば、半導体SC1は、少なくとも1種の有機−無機半導体を含む。有機−無機半導体の中でも、MOF型(英語の技術用語で金属有機構造体(Metal Organic Frameworks)の)結晶化固体を挙げることができる。MOFは、無機サブユニット(遷移金属、ランタニド…)からなり、有機リガンド(カルボキシレート、ホスホネート、イミダゾレート…)によって互いに接続しており、したがって、結晶化された、時には多孔性のハイブリッドネットワークを画定する(define)。
【0036】
半導体SC1は、場合によっては、例えば、V、Ni、Cr、Mo、Fe、Sn、Mn、Co、Re、Nb、Sb、La、Ce、Ta、Tiのイオンなどの金属イオン、例えば、C、N、S、F、Pなどの非金属イオンの中から選択される1種以上のイオンを用いて、または金属および非金属イオンの混合物によってドープされてもよい。
【0037】
別の変法によれば、半導体SC1は、光子を吸収し得るすべての有機分子でその表面で増感されてもよい。
【0038】
半導体SC1は、種々の形態(空洞を含む場合も含まない場合もある、ナノメートル粉末、ナノオブジェクト、…)または成形物(フィルム、モノリス、ミクロンボールまたはミリメートルボール、…)をなしていてよい。
【0039】
組成物は、第2の半導体SC2を含有する。半導体SC2は、酸化セリウムを含む。好ましくは、元素セリウムは、+3および/または+4の酸化度を有する。極めて好ましくは、酸化セリウムは、大部分は、Ceからなる。「大部分はCeからなる」は、半導体SC2の総重量の50重量%を超える、好ましくは60重量%を超える、特に好ましくは70%を超えるCe含量と定義される。場合によっては、半導体SC2は、水酸化セリウムをさらに含有し得る。半導体SC2は、好ましくは、セリウム以外の金属の族の元素を含有しない。
【0040】
元素Ceの点で表される酸化セリウムの含量は、組成物の総重量に対して0.01から50重量%の間、好ましくは、0.5から20重量%の間である。
【0041】
組成物は、周期律表の族IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB、IIIA、IVAおよびVAの元素の中から選択される、1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子を含む。1種以上の元素Mを含む前記粒子は、前記半導体SC1およびSC2とそれぞれ直接接触している。前記粒子は、金属状態の単一元素または合金を形成し得る金属状態のいくつかの元素からなり得る。
【0042】
「金属状態の元素」は、金属の族に属する元素と定義され、前記元素は、酸化度ゼロを有する(したがって、金属の形態にある)。
【0043】
好ましくは、金属状態の元素(単数または複数)Mは、周期律表の族VIIB、VIIIB、IBおよびIIBの金属元素の中から、特に好ましくは、白金、パラジウム、金、ニッケル、コバルト、ルテニウム、銀、銅、レニウムまたはロジウムの中から選択される。1種以上の金属状態の元素Mを含む前記粒子は、好ましくは、0.5nmから1000nmの間、極めて好ましくは、0.5nmから100nmの間の大きさの粒子の形態をなす。
【0044】
金属状態の元素Mの含量は、組成物の総重量との関係において0.001から20重量%の間、好ましくは、0.01から10重量%の間である。
【0045】
本発明の組成物は、種々の形態(空洞を含む場合も含まない場合もある、ナノメートル粉末、ナノオブジェクト、…)または成形物(フィルム、モノリス、ミクロンボールまたはミリメートルボール、…)をなしていてよい。本発明の組成物は、ナノメートル粉末の形態をなしていることが有利である。
固体の調製
本発明の組成物は、当業者に公知の任意の方法に従って調製され得る。実施形態によれば、組成物は、金属粒子(従って、コア−シェル基板構造中のコア)を形成する金属元素(単数または複数)Mの光析出(photodeposition)によって、次いで、その表面上に金属粒子を含有する半導体SC1(コア−シェル基板構造中の基板を形成する)上での酸化度+3のセリウム前駆体による、照射中における沈殿によって誘導される縮合(コア−シェル基板構造中のシェルを形成する)によって得られる。
【0046】
注目すべきは、銅前駆体の乾式含浸技術(一般に、基板上の金属の高分散を求める)による調製は、酸化銅を含む第2の半導体SC2が、1種以上の金属状態の元素Mを含む粒子の表面の少なくとも50%を覆う本発明の組成物を得ることを可能にしないということである。
【0047】
より詳しくは、本発明の組成物の調製方法は、以下のステップを含む:
a)撹拌しながら、水および/または1種以上の有機化合物と、周期律表の族IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB、IIIA、IVAおよびVAの元素の中から選択される少なくとも1種の金属前駆体とからなる液体混合物中に第1の半導体SC1を含有する懸濁液を調製し、放射源の発光スペクトルの少なくとも一部が、半導体SC1の禁制帯幅を超えるエネルギーを有する光子からなるような放射源によって懸濁液に照射するステップと、
b)次いで、ステップa)で得られる懸濁液に、撹拌および前記放射源の照射下で、+3の酸化度を有する可溶性セリウム前駆体を入れるステップと、
c)次いで、撹拌および前記放射源の照射下で、塩基性薬剤または酸性薬剤を、酸化セリウムの沈殿をもたらすような方法で入れるステップと、
d)次いで、ステップc)の懸濁液から組成物を分離するステップと、
e)ステップd)で得られる組成物を乾燥させるステップと、
f)場合によっては、ステップe)で得られる乾燥した組成物を、熱処理に付すステップ。
【0048】
したがって、ステップa)では、撹拌しながら、水および/または1種以上の有機化合物ならびに周期律表の族IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB、IIIA、IVAおよびVAの元素の中から選択される少なくとも1種の金属前駆体からなる液体混合物中に、好ましくは、ナノメートル粉末の形態の半導体SC1を含有する懸濁液を調製し、放射源の発光スペクトルの少なくとも一部が、半導体SC1の禁制帯幅を超えるエネルギーを有する光子からなるような放射源によって懸濁液に照射する。
【0049】
懸濁液中に含有される有機化合物のパーセンテージは、0〜100容量%で変わる。有機化合物は、一般に、第1級または第2級アルコールであり、好ましくは、有機化合物は、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールの単独またはこれらの混合物である。
【0050】
金属前駆体を可溶性粉末の形態、または溶液で、好ましくは、水溶液で、混合物中に入れる。金属前駆体は、一般に、酢酸塩、アセチルアセトネート、塩化物、硝酸塩または硫酸塩をベースとする。好ましくは、金属前駆体は、塩化物または硝酸塩をベースとする。
【0051】
金属前駆体は、周期律表の族IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IB、IIB、IIIA、IVAおよびVAの元素の中から、好ましくは、周期律表の族VIIB、VIIIB、IBおよびIIBのものの中から選択される。極めて好ましくは、前駆体は、白金、パラジウム、金、ニッケル、コバルト、ルテニウム、銀、銅、レニウムまたはロジウムの前駆体である。
【0052】
懸濁液中に入れられる金属前駆体の量は、金属状態の元素(単数または複数)Mの含量が、組成物の総重量との関係において0.001から20重量%の間、好ましくは、0.01から10重量%の間であるような方法で選択される。
【0053】
ステップa)において入れられる半導体SC1は、先に記載された半導体のうち1種である。
【0054】
好ましくは、混合は、好ましくは機械的にまたはバブリングによって、撹拌されながら周囲温度で実施される。
【0055】
混合物は、発光スペクトルの少なくとも一部が、使用される半導体の禁制帯幅を超えるエネルギーを有する光子からなるように、放射源によって照射される。好ましくは、放射源は、280nmを超える、極めて好ましくは、315nm〜800nmの、UVスペクトルおよび/または可視スペクトルを含む、少なくとも1つの波長範囲で発する。放射源は、太陽からの自然光、Hg型ランプ、Xe型ランプまたはLED型ランプなどの任意の人工または天然電磁放射源であり得る。
【0056】
このステップの期間は、好ましくは、照射されている1分から20時間の間、より好ましくは、1分から5時間の間である。
【0057】
ステップa)の間に、前駆体の金属イオンMδ+は、前記半導体による光子の吸収によって生じる電子の作用の下、半導体SC1の表面上で金属粒子M°の形態に還元される。組成物が、コア−シェル型基板構造の形態にある場合には、これらの金属粒子は、本発明の組成物のコアを形成する。
【0058】
ステップb)では、次いで、撹拌および前記放射源の照射下で、ステップa)で得られる懸濁液中に酸化度+3を有する可溶性セリウム前駆体を入れる。
【0059】
セリウム前駆体は、一般に、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、臭化物、フッ化物、アセチルアセトネート、硝酸塩、水酸化物および炭酸塩をベースとする。好ましくは、前駆体は、塩化セリウムまたは硝酸セリウムである。
【0060】
セリウム前駆体は、可溶化されてもよく、その後、水または、水と第1級もしくは第2級アルコールなどの1種以上の有機化合物(好ましくは、メタノール、エタノールもしくはイソプロパノールの単独またはこれらの混合物)とからなる液体混合物中に入れられる。
【0061】
場合によっては、セリウム前駆体の溶解性を確実にするために、溶液のpHを調節するために混合物中に酸性薬剤が添加され得る。酸性薬剤は、好ましくは、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸もしくは臭化水素酸などの無機酸、またはカルボン酸などの有機酸、またはスルホン酸の中から選択される。溶液のpHは、7未満、好ましくは、5未満である。
【0062】
懸濁液中に入れられるセリウム前駆体の量は、元素Ceとして表される酸化セリウムの含量が、組成物の総重量との関係において0.01から50重量%の間、好ましくは、0.5から20重量%の間であるように選択される。
【0063】
撹拌および照射条件は、ステップa)に記載されるものである。撹拌および照射条件は、好ましくは、ステップa)のものと同一である。このステップの期間は、好ましくは、1分から20時間の間、好ましくは、1分から5時間の間である。
【0064】
ステップc)では、撹拌および前記放射源の照射下で、塩基性薬剤または酸性薬剤を、酸化セリウム、特に、Ceの沈殿を引き起こすような方法で入れる。好ましくは、薬剤が添加された後にpHが9から13の間の範囲内になるように、塩基性薬剤または酸性薬剤を添加することによってpHを調節する。
【0065】
塩基性薬剤を入れる場合には、好ましくは、アルカリまたはアルカリ土類水酸化物、アミンまたはアンモニアなどの有機塩基の中から選択される。酸性薬剤を入れる場合には、好ましくは、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸もしくは臭化水素酸などの無機酸、またはカルボン酸などの有機酸、またはスルホン酸の中から選択される。
【0066】
ステップc)の撹拌および照射条件は、ステップa)について記載されるものである。撹拌および照射条件は、好ましくは、ステップa)のものと同一である。このステップの期間は、好ましくは、1分から20時間の間、好ましくは、1分から5時間の間である。
【0067】
ステップc)の間に、金属イオンCe3+は、入れられる塩基性薬剤または酸性薬剤の作用の下、ステップa)において蒸着した金属粒子Mの表面上に酸化金属Ceのシェルの形態で沈殿する。M/半導体SC1界面は、金属粒子Mの表面上で前記半導体SC1において光子吸収によって光発生される電子の局在(locating)を促進し、従って、前記金属粒子Mの表面上に負の部分電荷を誘導し、Ce3+およびM(δ−)の間の静電気引力のために金属粒子上の酸化物シェルCeの好ましい局在をもたらす。
【0068】
ステップd)では、組成物を、ステップc)の懸濁液から分離する。分離は、濾過することによって、または遠心分離することによって実施され得る。好ましくは、遠心分離によって実施される。一般に、この遠心分離は、2000〜10000rpmで10〜60分間実施される。好ましくは、1〜3サイクルの水での洗浄が次いで実施される。
【0069】
ステップe)では、ステップd)において得られる組成物を乾燥させる。乾燥は、30℃から200℃の間で、一般に、1〜48時間、好ましくは、空気中で実施される。場合によっては、この乾燥は、不活性雰囲気下で行われ得る。乾燥は、場合によっては、オーブンまたはロータリーエバポレーター中で実施され得る。乾燥ステップは、場合によっては、部分真空下で行われ得る。
【0070】
一実施形態によれば、ステップa)とb)の間に、好ましくは、遠心分離することによる分離のためのステップ、場合によっては、洗浄ステップおよび上記の条件下での乾燥ステップを実施することが可能である。
【0071】
場合によっては、ステップe)において得られた乾燥組成物を、熱処理(ステップf)に付す。熱処理は、空気、窒素、水素の流れの下で、または部分真空下で、一般に、50℃から500℃の間の温度で、好ましくは、1から16時間の間の期間実施される。
光触媒における使用
本発明はまた、光触媒として、特に、例えば、ギ酸などの有機化合物の分解のための光触媒としての本発明の組成物の使用に関する。
【0072】
例えば、ギ酸の光触媒分解などの有機化合物の分解のための光触媒法は、有機化合物を含有する流れを、本発明の前記組成物と接触させることによって実行される。次いで、組成物は、有機化合物、例えば、ギ酸を水素におよびCOに分解するような方法で、前記組成物を活性化するのに適している少なくとも1つの波長を生成する少なくとも1つの放射源によって照射される。
【0073】
組成物は、液体またはガス状媒体における光触媒法において使用され得る。光触媒法の実施は、フロースルー固定層において、スウィーピング固定層において、または懸濁液(英語技術用語で「スラリー」とも呼ばれる)において行われ得る。また、完全にガラスで作られている、または照射が固体の表面に到達することを可能にするように非吸収材光学窓を使用する反応器において行われ得る。固体を使用するための反応器の技術の種類は、一般に、懸濁液に適している。この種の技術はまた、英語の技術用語で「スラリー」とも呼ばれる。反応器の技術の種類はまた、多孔性または非多孔性基板上にスウィーピングまたはフロースルー層を備えたソーラーパネルの種類のものでもあり得る。光触媒はまた、光ファイバー上に直接蒸着され得る。
【0074】
前記組成物の活性化に適している、すなわち、組成物によって吸収可能な少なくとも1つの波長を発する任意の放射源が、本発明に従って使用され得る。したがって、放射源の照射は、前記放射源の発光スペクトルの少なくとも一部が、本発明の組成物の禁制帯幅を超えるエネルギーを有する光子からなるようなものである。好ましくは、放射源は、280nmを超える、極めて好ましくは、315nm〜800nmの、UVスペクトルおよび/または可視スペクトルを含む、少なくとも1つの波長範囲で発する。放射源は、太陽からの自然光、Hg型ランプ、Xe型ランプまたはLED型ランプなどの任意の人工または天然電磁放射源であり得る。
【0075】
組成物の使用は、問題の反応のための光触媒系に適している光子の提供によって条件付けされ、それによって、生成物(単数または複数)の安定性を確実にすることを可能にするものの外側である圧力または温度の特定の範囲に制限されない。組成物の使用のために使用される温度範囲は、一般に、−10℃〜+200°C、好ましくは、0〜150°C、極めて好ましくは、0〜50℃である。組成物の使用のために使用される圧力範囲は、一般に、0.01MPa〜70MPa(0.1〜700バール)、好ましくは、0.1MPa〜2MPa(1〜20バール)である。
【0076】
本発明を、いずれの場合においても全く制限ではない以下の実施例によって例示する。
【実施例】
【0077】
【実施例1】
【0078】
固体A(本発明に従う)Ce/Pt/TiO
0.0712gのHPtCl・6HO(金属の質量で37.5%)を、500mlの蒸留水中に入れる。50mlのこの溶液を取り出し、ガラスダブルジャケット反応器中に入れる。次いで、3mlのメタノール、次いで、250mgのTiO(P25、Degussa(商標))を、撹拌しながら添加して、懸濁液を形成する。
【0079】
次いで、混合物を撹拌されるままにし、UV照射に2時間曝露されるままにする。UV照射を提供するために使用するランプは、125W水銀蒸気ランプHPK(商標)とする。
【0080】
次いで、混合物を3000rpmで10分間遠心分離して、固体を回収する。次いで、2サイクルの水での洗浄を実施し、各洗浄サイクルに遠心分離を続ける。回収される粉末を、最終的に、70℃のオーブン中に24時間入れる。
【0081】
その結果、固体A’ Pt/TiOが得られる。元素Ptの含量を、質量で0.93%で、プラズマ源を用いる原子発光分光法(または英語の技術用語で誘導結合プラズマ原子発光分光法(inductively−coupled plasma atomic emission spectroscopy)「ICP−AES」)によって測定する。
【0082】
50mlのHO中に0.05gのCe(NO・6HO(Sigma−Aldrich(商標)、99%)を溶解することによって、Ce(NOの溶液を調製する、すなわち、2.3mmol/LのCe3+の濃度。
【0083】
反応器中に以下を入れる:0.10gの固体A’、25mlの蒸留水、最後に、25mlのイソプロパノール。系を暗所で、アルゴン流(100ml/分)下で2時間パージする。反応器を、全合成の間25℃で恒温にする。
【0084】
次いで、アルゴン流を30ml/分に減速し、反応混合物の照射を開始する。UV照射を提供するために使用するランプは、125W水銀蒸気ランプHPK(商標)とする。次いで、混合物に5mlの上記硝酸セリウム溶液を添加する。混合物を1時間撹拌および照射されるままにする。次いで、1mlの30% NH溶液を添加する。再度、混合物を1時間撹拌および照射されるままにする。
【0085】
次いで、混合物を、3000rpmで10分間遠心分離して、固体を回収する。次いで、2サイクルの水での洗浄を実施し、各洗浄サイクルに遠心分離を続ける。回収された粉末を、最後に、70℃のオーブン中に24時間入れる。
【0086】
その結果、固体A Ce/Pt/TiOが得られる。元素Ceの含量を、1.7質量%で、ICP−AESによって測定する。XPS(英語の技術用語でX線光電分光法(X−Ray Photoelectron Spectrometry))測定によって、83%を超える白金粒子の被覆ならびに74%のCeおよび26%のCeOを有する酸化セリウム相が測定される。透過型電子顕微鏡によって、金属粒子の周囲の4nmの酸化セリウムのシェルの平均厚が測定される。
【実施例2】
【0087】
固体B(本発明に従う)Ce/Pt/TiO
0.0710gのHPtCl・6HO(金属の質量で37.5%)を、500mlの蒸留水中に入れる。50mlのこの溶液を取り出し、ガラスダブルジャケット反応器中に入れる。次いで、3mlのメタノール、次いで、250mgのTiO(P25、Degussa(商標))を撹拌しながら添加して、懸濁液を形成する。
【0088】
次いで、混合物を撹拌されるままに、UV照射に2時間曝露されるままにする。UV照射を提供するために使用するランプは、125W水銀蒸気ランプHPK(商標)とする。
【0089】
次いで、混合物を3000rpmで10分間遠心分離して、固体を回収する。次いで、2サイクルの水での洗浄を実施し、各洗浄サイクルに遠心分離を続ける。回収される粉末を、最終的に、70℃のオーブン中に24時間入れる。
【0090】
その結果、固体B’ Pt/TiOが得られる。元素Ptの含量を、質量で0.92%で、ICP−AESによって測定する。
【0091】
50mlのHO中に0.05gのCe(NO・6HO(Sigma−Aldrich(商標)、99%)を溶解することによって、Ce(NOの溶液を調製する、すなわち、2.3mmol/LのCe3+の濃度。
【0092】
反応器中に以下を入れる:0.10gの固体B’、25mlの蒸留水、最後に、25mlのイソプロパノール。系を暗所で、アルゴン流(100ml/分)下で2時間パージする。反応器を、全合成の間25℃で恒温にする。
【0093】
次いで、アルゴン流を30ml/分に減速し、反応混合物の照射を開始する。UV照射を提供するために使用するランプは、125W水銀蒸気ランプHPK(商標)とする。次いで、混合物に10mlの上記硝酸セリウム溶液を添加する。混合物を1時間撹拌および照射されるままにする。次いで、1mlのNHの30%溶液を添加する。再度、混合物を1時間撹拌および照射されるままにする。
【0094】
次いで、混合物を、3000rpmで10分間遠心分離して、固体を回収する。次いで、2サイクルの水での洗浄を実施し、各洗浄サイクルに遠心分離を続ける。回収された粉末を、最後に、70℃のオーブン中に24時間入れる。
【0095】
その結果、固体B Ce/Pt/TiOが得られる。元素Ceの含量を、3.8質量%で、ICP−AESによって測定する。XPS測定によって、90%を超える白金粒子の被覆ならびに77%のCeおよび23%のCeOを有する酸化セリウムが測定される。透過型電子顕微鏡によって、金属粒子の周囲の11nmの酸化セリウムのシェルの平均厚が測定される。
【実施例3】
【0096】
固体C(本発明に従う)Ce/Pt/ZnO
0.0710gのHPtCl・6HO(金属の質量で37.5%)を、500mlの蒸留水中に入れる。50mlのこの溶液を取り出し、ガラスダブルジャケット反応器中に入れる。次いで、3mlのメタノール、次いで、250mgのZnO(Lotus Synthesis(商標)、50m/gの比表面積)を撹拌しながら添加して、懸濁液を形成する。
【0097】
次いで、混合物を撹拌されるままに、UV照射に2時間曝露されるままにする。UV照射を提供するために使用するランプは、125W水銀蒸気ランプHPK(商標)とする。
【0098】
次いで、混合物を3000rpmで10分間遠心分離して、固体を回収する。次いで、2サイクルの水での洗浄を実施し、各洗浄サイクルに遠心分離を続ける。回収される粉末を、最終的に、70℃のオーブン中に24時間入れる。
【0099】
その結果、固体C’ Pt/ZnOが得られる。元素Ptの含量を、0.80質量%で、ICP−AESによって測定する。
【0100】
50mlのHO中に0.05gのCe(NO・6HO(Sigma−Aldrich(商標)、99%)を溶解することによって、Ce(NOの溶液を調製する、すなわち、2.3mmol/LのCe3+の濃度。
【0101】
反応器中に以下を入れる:0.10gの固体C’、25mlの蒸留水、最後に、25mlのイソプロパノール。系を暗所で、アルゴン流(100ml/分)下で2時間パージする。反応器を、全合成の間25℃で恒温にする。
【0102】
次いで、アルゴン流を30ml/分に減速し、反応混合物の照射を開始する。UV照射を提供するために使用するランプは、125W水銀蒸気ランプHPK(商標)とする。次いで、混合物に10mlの上記硝酸セリウム溶液を添加する。混合物を1時間撹拌および照射されるままにする。次いで、1mlの30%NH溶液を添加する。再度、混合物を1時間撹拌および照射されるままにする。
【0103】
次いで、混合物を、3000rpmで10分間遠心分離して、固体を回収する。次いで、2サイクルの水での洗浄を実施し、各洗浄サイクルに遠心分離を続ける。回収された粉末を、最後に、70℃のオーブン中に24時間入れる。
【0104】
その結果、固体C Ce/Pt/ZnOが得られる。元素Ceの含量を、3.7質量%で、ICP−AESによって測定する。XPS測定によって、89%を超える白金粒子の被覆ならびに81%のCeおよび19%のCeOを有する酸化セリウムの相が測定される。透過型電子顕微鏡によって、金属粒子の周囲の12nmの酸化セリウムのシェルの平均厚が測定される。
【実施例4】
【0105】
固体D(本発明に従う)Ce/Au/TiO
0.0472gのHAuCl・xHO(金属の質量で52%、Aldrich(商標))を、500mlの蒸留水中に入れる。50mlのこの溶液を取り出し、ガラスダブルジャケット反応器中に入れる。次いで、3mlのメタノール、次いで、250mgのTiO(P25、Degussa(商標))を撹拌しながら添加して、懸濁液を形成する。
【0106】
次いで、混合物を撹拌されるままに、UV照射に2時間曝露されるままにする。UV照射を提供するために使用するランプは、125W水銀蒸気ランプHPK(商標)とする。
【0107】
次いで、混合物を3000rpmで10分間遠心分離して、固体を回収する。次いで、2サイクルの水での洗浄を実施し、各洗浄サイクルに遠心分離を続ける。回収される粉末を、最終的に、70℃のオーブン中に24時間入れる。
【0108】
その結果、固体D’ Au/TiOが得られる。元素Auの含量を、0.95質量%でICP−AESによって測定する。
【0109】
50mlのHO中に0.05gのCe(NO・6HO(Sigma−Aldrich(商標)、99%)を溶解することによって、Ce(NOの溶液を調製する、すなわち、2.3mmol/LのCe3+の濃度。
【0110】
反応器中に以下を入れる:0.10gの固体D’、25mlの蒸留水、最後に、25mlのイソプロパノール。系を暗所で、アルゴン流(100ml/分)下で2時間パージする。反応器を、全合成の間25℃で恒温にする。
【0111】
次いで、アルゴン流を30ml/分に減速し、反応混合物の照射を開始する。UV照射を提供するために使用するランプは、125W水銀蒸気ランプHPK(商標)とする。次いで、混合物に10mlの上記硝酸セリウム溶液を添加する。混合物を1時間撹拌および照射されるままにする。次いで、1mlのNHの30%溶液を添加する。再度、混合物を1時間撹拌および照射されるままにする。
【0112】
次いで、混合物を、3000rpmで10分間遠心分離して、固体を回収する。次いで、2サイクルの水での洗浄を実施し、各洗浄サイクルに遠心分離を続ける。回収された粉末を、最後に、70℃のオーブン中に24時間入れる。
【0113】
その結果、固体D Ce/Au/TiOが得られる。元素Ceの含量を、3.6質量%で、ICP−AESによって測定する。XPS測定によって、90%を超える金粒子の被覆ならびに75%のCeおよび25%のCeOを有する酸化セリウム相が測定される。透過型電子顕微鏡によって、金属粒子の周囲の14nmの酸化セリウムのシェルの平均厚が測定される。
【実施例5】
【0114】
固体E(本発明に従わない)Ce/Pt/TiO
0.0710gのHPtCl・6HO(金属の質量で37.5%、Aldrich(商標))を、500mlの蒸留水中に入れる。50mlのこの溶液を取り出し、ガラスダブルジャケット反応器中に入れる。次いで、3mlのメタノール、次いで、250mgのTiO(P25、Degussa(商標))を撹拌しながら添加して、懸濁液を形成する。
【0115】
次いで、混合物を撹拌されるままに、UV照射に2時間曝露されるままにする。UV照射を提供するために使用するランプは、125W水銀蒸気ランプHPK(商標)とする。
【0116】
次いで、混合物を3000rpmで10分間遠心分離して、固体を回収する。次いで、2サイクルの水での洗浄を実施し、各洗浄サイクルに遠心分離を続ける。回収される粉末を、最終的に、70℃のオーブン中に24時間入れる。
【0117】
その結果、固体E’ Pt/TiOが得られる。元素Ptの含量を、0.94質量%で、ICP−AESによって測定する。
【0118】
50mlのHO中に0.05gのCe(NO・6HO(Sigma−Aldrich(商標)、99%)を溶解することによって、Ce(NOの溶液を調製する、すなわち、2.3mmol/LのCe3+の濃度。
【0119】
反応器中に以下を入れる:0.10gの固体E’、25mlの蒸留水、最後に、25mlのイソプロパノール。系を暗所で、アルゴン流(100ml/分)下で2時間パージする。反応器を、全合成の間25℃で恒温にする。
【0120】
次いで、アルゴン流を30ml/分に減速する。次いで、混合物に10mlの硝酸セリウム溶液を添加する。混合物を、照射を伴わずに1時間撹拌されるままにする。次いで、1mlのNHの30%溶液を添加する。再度、混合物を、照射を伴わずに1時間撹拌されるままにする。
【0121】
次いで、混合物を、3000rpmで10分間遠心分離して、固体を回収する。次いで、2サイクルの水での洗浄を実施し、各洗浄サイクルに遠心分離を続ける。回収された粉末を、最後に、70℃のオーブン中に24時間入れる。
【0122】
その結果、固体E Ce/Pt/TiOが得られる。元素Ceの含量を、3.8質量%で、ICP−AESによって測定する。XPS測定によって、21%程度の白金粒子の被覆ならびに76%のCeおよび24%のCeOを有する酸化セリウム相が測定される。透過型電子顕微鏡によって、金属粒子の周囲の酸化セリウムのシェルは、分布の不均一性のために、平均厚の測定を実施することなく識別されることがある。
【実施例6】
【0123】
固体F(本発明に従わない)TiO
固体Fは、市販の二酸化チタンTiO P25、Degussa(商標)である。
【実施例7】
【0124】
ギ酸の光触媒分解による固体の評価
固体A、B、C、D、EおよびFを、撹拌され、石英光学窓および試験温度を調節するためのダブルジャケットを備えたセミオープンPyrex反応器中におけるギ酸の分解による二水素の生成についての光触媒試験に付す。
【0125】
100mgの固体を、60mlの0.5mol/Lのギ酸の水溶液中に懸濁する。5ml/分のアルゴンの流速で周囲圧下で25℃で試験を実施し、二水素ガス(生成し、ガス相クロマトグラフィーによって分析される)を同伴するようにする。可視UV照射源は、Xe−Hgランプ(Asahi(商標)、MAX302(商標))によって提供される。照射力は、常に100%で維持される。試験の期間は、20時間である。
【0126】
光触媒活性は、1時間当たり、1グラムの光触媒あたりに生成する二水素のμmolの点で表される。結果は、表1に記録されている。活性値は、本発明の固体が、最良の光触媒性能を系統的に提供することを示す。
【0127】
【表1】