特許第6703987号(P6703987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703987
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】噴霧可能な鎮痛剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20200525BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 31/405 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20200525BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20200525BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   A61K45/00
   A61K31/192
   A61K31/196
   A61K31/405
   A61K31/407
   A61K9/08
   A61K47/12
   A61K47/14
   A61K47/34
   A61K47/10
   A61P29/00
【請求項の数】2
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-525026(P2017-525026)
(86)(22)【出願日】2015年11月4日
(65)【公表番号】特表2017-533921(P2017-533921A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】US2015058927
(87)【国際公開番号】WO2016077111
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2018年10月29日
(31)【優先権主張番号】62/077,581
(32)【優先日】2014年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512159867
【氏名又は名称】アケリオス セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブユックティムキン,セルベット
(72)【発明者】
【氏名】ブユックティムキン,ナーディル
(72)【発明者】
【氏名】イェーガー,ジェームズ・エル
【審査官】 新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−532871(JP,A)
【文献】 特開2005−336063(JP,A)
【文献】 特開2003−306430(JP,A)
【文献】 特開2000−007584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00−45/08
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 29/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧可能な澄明溶液であって、溶液の総重量に対し、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を1ら10重量%の範囲の量、
乳酸ラウリルを1ら5重量%の範囲の量、
乳酸を0.5から5重量%の範囲の量、
モノラウリン酸グリセリルを2ら5重量%の範囲の量、
プロピレングリコールを5ら30重量%の範囲の量、
HLB値が12以上のアルコキシル化アルコールを0から7%の範囲の量、ならびに
残部として、水およびエタノールの混合物をそれぞれの重量比が0.3:1から2.6:1の範囲で含む噴霧可能な澄明溶液。
【請求項2】
ケトプロフェンを5重量%、
乳酸ラウリルを3重量%、
乳酸を1.5重量%、
モノラウリン酸グリセリルを3重量%、
HLB値が約15.7であり、且つ式CH(CH14CH(OCHCHOH(式中、nは平均値20である)で表される、セチルアルコールのポリエチレングリコールエーテルを3重量%、
プロピレングリコールを10重量%、および残部として水−エタノールの混合物をそれぞれの重量比が1.7で含む、請求項に記載の噴霧可能な澄明溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年11月10日に出願された米国仮出願第62/077,581号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、鎮痛剤組成物に関する。より詳細には、本発明は、非ステロイド性抗炎症薬を含有する噴霧可能な組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、鎮痛および解熱作用を持つ既知の医薬品である。NSAIDは、肉離れ/捻挫のような疼痛および不快感、発熱、関節リウマチのような炎症、関節痛などを治療するために使用される。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、噴霧剤またはエアゾール剤として適用可能なNSAIDの局所投与剤形を提供するものである。
【0005】
噴霧可能な鎮痛製剤は、乳酸ラウリル、乳酸およびモノラウリン酸グリセリルと共に、水およびエタノールの混合物に溶解した非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含有する。得られたエタノール水溶液は、長時間の鎮痛に有用である。
【0006】
任意選択的に、該エタノール水溶液は、プロピレングリコール、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤およびセルロースエーテル、架橋アクリル酸アルキルなどのような増粘剤を含有することができる。
【0007】
好ましいNSAIDは、プロピオン酸誘導体であるケトプロフェン、イブプロフェンおよびナプロキセンであり、同様に、酢酸誘導体であるジクロフェナク、インドメタシンおよびエトドラクである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるケトプロフェンの皮膚透過性および市販のケトプロフェン含有局所用ゲル(Profenid(登録商標)Sanofi−Aventis、2.5%ケトプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図2】噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるナプロキセンの皮膚透過性および市販のナプロキセン含有局所用ゲル(Naprosyn(登録商標)、Syntex、10%ナプロキセン遊離酸)との比較を示す棒グラフである。
図3】噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるイブプロフェンの皮膚透過性および市販のイブプロフェン含有局所用ゲル(Ibuleve(登録商標)、DDD ltd.、5%イブプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図4】噴霧用組成物として適用したジクロフェナクおよび医薬として許容し得るその塩の皮膚透過性、ならびに市販のジクロフェナクナトリウムゲル(Swiss Relief(商標)、Mika Pharma GmbH、Fug、スイス、4%ジクロフェナクナトリウム)との比較を示す棒グラフである。
図5】皮膚透過性に対するイブプロフェン含有噴霧用組成物中のプロピレングリコールの影響および市販のイブプロフェン含有局所用ゲル(Ibuleve(登録商標)、DDD ltd.、5%イブプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図6】透過促進剤としてBrij58を含有し、噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるケトプロフェンの皮膚透過性および市販のケトプロフェン含有局所用ゲル(Profenid(登録商標)Sanofi−Aventis、2.5%ケトプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図7】透過促進剤としてラウリン酸プロピレングリコールを含有し、噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるケトプロフェンの皮膚透過性および市販のケトプロフェン含有局所用ゲル(Profenid(登録商標)Sanofi−Aventis、2.5%ケトプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図8】透過促進剤としてカプリル酸プロピレングリコールを含有し、噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるケトプロフェンの皮膚透過性および市販のケトプロフェン含有局所用ゲル(Profenid(登録商標)Sanofi−Aventis、2.5%ケトプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図9】透過促進剤としてモノラウリン酸ソルビタンを含有し、噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるケトプロフェンの皮膚透過性および市販のケトプロフェン含有局所用ゲル(Profenid(登録商標)Sanofi−Aventis、2.5%ケトプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図10】透過促進剤として様々なBrij誘導体を含有し、噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるケトプロフェンの皮膚透過性および市販のケトプロフェン含有局所用ゲル(Profenid(登録商標)Sanofi−Aventis、2.5%ケトプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図11】25℃または40℃で3カ月間保存した後、噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるケトプロフェンの皮膚透過性および市販のケトプロフェン含有局所用ゲル(Profenid(登録商標)Sanofi−Aventis、2.5%ケトプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図12】5%ナプロキセンナトリウム塩およびBrij58を使用し、噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるナプロキセンの皮膚透過性および市販のナプロキセン含有局所用ゲル(Naprosyn(登録商標)、Syntex、10%ナプロキセン遊離酸)との比較を示す棒グラフである。
図13】2.5%ナプロキセンナトリウム塩およびBrij58を使用し、噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるナプロキセンの皮膚透過性および市販のナプロキセン含有局所用ゲル(Naprosyn(登録商標)、Syntex、10%ナプロキセン遊離酸)との比較を示す棒グラフである。
図14】ミリスチン酸イソプロピル(IPM)を含有または非含有にて、噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるイブプロフェンの皮膚透過性および市販のイブプロフェン含有局所用ゲル(Ibuleve(登録商標)、DDD ltd.、5%イブプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図15】ミリスチン酸イソプロピル(IPM)およびBrij58を含有し、噴霧用組成物として適用し、適用後の選択した時間間隔におけるイブプロフェンの皮膚透過性および市販のイブプロフェン含有局所用ゲル(Ibuleve(登録商標)、DDD ltd.、5%イブプロフェン)との比較を示す棒グラフである。
図16】クリーム状組成物として適用したジクロフェナクおよび医薬として許容し得るその塩の皮膚透過性ならびに市販のジクロフェナクナトリウムゲル(Voltaren(登録商標)、Novartis Pharma Productions GmbH、Wehr、ドイツ、1%ジクロフェナクナトリウム)との比較を示す棒グラフである。
図17】噴霧用組成物として適用したジクロフェナクおよび医薬として許容し得るその塩の皮膚透過性、ならびに市販のジクロフェナクナトリウムゲル(Swiss Relief(商標)、Mika Pharma GmbH、Fug、スイス、4%ジクロフェナクナトリウム)との比較を示す棒グラフである。
図18】Brij58ならびに様々な濃度でプロピレングリコールおよび乳酸を含有し、噴霧用組成物として適用したジクロフェナクナトリウムの皮膚透過性および市販のジクロフェナクナトリウムゲル(Voltaren(登録商標)、Novartis Pharma Productions GmbH、Wehr、ドイツ、1%ジクロフェナクナトリウム)との比較を示す棒グラフである。
図19】Brij58ならびに様々な濃度でプロピレングリコールおよび乳酸を含有し、噴霧用組成物として適用したジクロフェナクジエチルアミンの皮膚透過性および市販のジクロフェナクナトリウムゲル(Voltaren(登録商標)、Novartis Pharma Productions GmbH、Wehr、ドイツ、1%ジクロフェナクナトリウム)との比較を示す棒グラフである。
図20】様々な濃度のプロピレングリコールおよびヒドロキシプロピルセルロース系増粘剤を含有するケトプロフェン組成物の皮膚透過性を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の局所用組成物は、澄明で噴霧可能なエタノール水溶液であり、その中に溶解された非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含有する。好ましいNSAIDは、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、トルメチン、ケトロラック、ナブメトン、ジクロフェナクなどのような酢酸誘導体であり、医薬として許容し得るそれらの塩を含み、同様に、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジンなどのようなプロピオン酸誘導体であり、医薬として許容し得るそれらの塩を含む。
【0010】
噴霧用組成物中の活性成分として使用されるのに適当である例示的なNSAIDの塩は、前述の酢酸誘導体の医薬として許容し得る塩であり、例えば、インドメタシンナトリウム、インドメタシンメグルミンなどのようなインドメタシンの塩、トルメチンナトリウムなどのようなトルメチンの塩、ケトロラックトロメタミンなどのようなケトロラックの塩、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクジエチルアミン、ジクロフェナクエポラミンなどのようなジクロフェナクの塩であり、同様に、前述のプロピオン酸誘導体の医薬として許容し得る塩であり、例えば、イブプロフェンリシン、イブプロフェンメチルグルカミンなどのようなイブプロフェンの塩、ナプロキセンピペラジン、ナプロキセンナトリウムなどのようなナプロキセンの塩、フェノプロフェンカルシウムなどのようなフェノプロフェンの塩である。
【0011】
さらに、適当な例示は、アスピリンのようなNSAIDであり、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカムなどのようなエノール酸誘導体、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸などのようなフェナム酸誘導体およびセレコキシブなどのような選択的COX−2阻害剤のようなNSAIDであり、医薬として許容し得るそれらの塩を含む。
【0012】
好ましくは、前記エタノール水溶液は、前記NSAIDを、溶液の総重量に対し、約1から約10重量%の範囲の量で含有し、好ましくは約5重量%の量で含有する。
【0013】
また、該溶液中に存在する乳酸ラウリル(C1530)は、下記式のラウリルアルコールと乳酸とのエステルである。
【0014】
【化1】
【0015】
好ましくは、該溶液中の乳酸ラウリルは、溶液の総重量に対し、約1から約5重量%の範囲の量で存在し、より好ましくは約3重量%の量で存在する。
【0016】
さらに、前記エタノール水溶液は、乳酸(C;2−ヒドロキシプロパン酸)を、溶液の総重量に対し、好ましくは約0.5から約5重量%の範囲の量で含有し、より好ましくは約1.5重量%の量で含有し、モノラウリン酸グリセリル(C1530;ドデカン酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル)を、溶液の総重量に対し、好ましくは約2から約5重量%の範囲の量で含有し、より好ましくは約3重量%の量で含有する。任意選択的に、プロピレングリコール(C;プロパン−1,2−ジオール)が、溶液の総重量に対し、好ましくは約5から約30重量%の範囲の量で存在してよく、より好ましくは約10重量%の量で存在してよい。
【0017】
溶液の残部は、水およびエタノールで構成されており、好ましくはそれぞれの重量比が約0.3:1から約2.6:1で存在し、より好ましくはそれぞれの重量比が約1:1で存在する。
【0018】
前記エタノール水溶液は、任意の成分として、親水性−親油性バランス(HLB)値が12以上の非イオン性界面活性剤を含有してもよい。好ましい非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルコールである。特に好ましいものは、式:CH(CH14CH(OCHCHOH(式中、nは平均10である)と表記され、HLB値が約15.7のセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテルである。
【0019】
前述の澄明なエタノール水溶液は、最初にNSAIDと乳酸ラウリル、乳酸およびモノラウリン酸グリセリルとを混合し、その後、得られた混加物に室温でプロピレングリコールを徐々に加え、続いて水およびエタノールの分割量を交互に加えて溶解させて調製する。所望により、非イオン性界面活性剤は、水およびエタノールを加える前に混合物に加えられる。
【0020】
本発明を具体化する例示的な組成物の皮膚透過性試験は、ダーマトームで採取したヒト女性(46歳)死体の背部皮膚片(Science Care、Aurora、CO;厚さ250マイクロメートル)を取り付けたFranzセル(体積3.65mL、表面積0.55cm)を用い、加熱/撹拌ブロック(heating/stirring blocks)を使用して35℃にて実施された。レセプターコンパートメントにはアジ化ナトリウムを添加した生理食塩水(pH7.4)を満たした。各溶液に対し、2回または3回繰り返し試験を行った(25μLおよび対照25mg)。試料採取量は300μLであった。各試料の除去後、新たな緩衝液と入れ替えた。試料採取は、2、4、6および24時間の時点で行われた。試料の定量分析は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行われた。
【0021】
各対照は、NSAID含有ゲルであった:Profenid(登録商標)ゲル(2.5%ケトプロフェン;Sanofi Aventis、フランス)、Ibuleve(登録商標)ゲル(5%イブプロフェン;DDD Ltd.、英国)、Naprosyn(登録商標)ゲル(10%ナプロキセン遊離酸;Syntex、トルコ)、Swiss Relief(商標)噴霧用ゲル(4%ジクロフェナクナトリウム;Mika Pharma GmbH、スイス)およびVoltaren(登録商標)ゲル(1%ジクロフェナクナトリウム;Novartis Pharma Productions GmbH、Wehr、ドイツ)。
【0022】
ケトプロフェン噴霧用組成物を用いて得られた試験結果は、以下の表1および表2ならびに図1に示されている。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
上記データによって、噴霧用組成物はケトプロフェン含有ゲル組成物よりもケトプロフェンの皮膚透過性が良好であり、皮膚透過性はHLB値が15.7であるアルコキシル化アルコールによってさらに向上し得ることが示されている。
【0026】
ナプロキセン噴霧用組成物を用いて得られた試験結果は、以下の表3および表4ならびに図2に示されている。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
上記データによって、ナプロキセン含有噴霧用組成物はNaprosyn(登録商標)10%ナプロキセンゲルよりもナプロキセンの皮膚透過性が良好であることが示されている。水の含有率が増加してもナプロキセン透過性は低下しなかった。
【0030】
イブプロフェン噴霧用組成物を用いて得られた試験結果は、以下の表5および表6ならびに図3に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が72歳ヒト男性のものであったことを除き、ケトプロフェン噴霧用組成物およびナプロキセン噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
上記データによって、イブプロフェン含有噴霧用組成物はIbuleve(登録商標)イブプロフェンゲルよりもイブプロフェンの皮膚透過性が良好であることが示されている。
【0034】
ジクロフェナク噴霧用組成物を用いて得られた試験結果は、以下の表7および表8ならびに図4に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性のものであったことを除き、ケトプロフェン噴霧用組成物およびナプロキセン噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0035】
【表7】
【0036】
【表8】
【0037】
上記データによって、ジクロフェナク含有噴霧用組成物はジクロフェナクの濃度が比較的高い噴霧用ゲル組成物よりもジクロフェナクの皮膚透過性が良好であることが示されている。
【0038】
イブプロフェン噴霧用組成物におけるプロピレングリコールの影響は、72歳ヒト男性の死体の皮膚を用いて検討された。試験結果は、以下の表9および表10ならびに図5に示されている。
【0039】
【表9】
【0040】
【表10】
【0041】
上記データによって、噴霧用組成物中のプロピレングリコールはイブプロフェンの皮膚透過性を向上したことが示されている。
【0042】
ケトプロフェン噴霧用組成物および透過促進剤として非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(Brij58)を用いて得られた試験結果は、以下の表11および表12ならびに図6に示されている。
【0043】
【表11】
【0044】
【表12】
【0045】
上記データによって、Brij58の添加は水の含有率の増加に役立つことが示されている。すべての処方において同程度の透過挙動を認めたが、KeS73はわずかに高い透過性を示した。KeS73aはわずかに濁っていた。
【0046】
ケトプロフェン噴霧用組成物および透過促進剤としてラウリン酸プロピレングリコールを用いて得られた試験結果は、以下の表13および表14ならびに図7に示されている。
【0047】
【表13】
【0048】
【表14】
【0049】
KeS47およびKeS74の処方のみ澄明な溶液であった。上記データによって、KeS47およびKeS74の処方においてほぼ同じ透過挙動を認めたことが示されている。
【0050】
ケトプロフェン噴霧用組成物および透過促進剤としてカプリル酸プロピレングリコールを用いて得られた試験結果は、以下の表15および表16ならびに図8に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性のものであったことを除き、前記のケトプロフェン噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0051】
【表15】
【0052】
【表16】
【0053】
上記データによって、すべての処方において同程度の透過挙動を認めたことが示されている。
【0054】
ケトプロフェン噴霧用組成物および透過促進剤としてモノラウリン酸ソルビタンを用いて得られた試験結果は、以下の表17および表18ならびに図9に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性のものであったことを除き、前記のケトプロフェン噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0055】
【表17】
【0056】
【表18】
【0057】
KeS47およびKeS78の処方のみ澄明な溶液であった。上記データによって、KeS78の透過性はKeS47よりわずかに低かったことが示されている。
【0058】
ケトプロフェン噴霧用組成物および透過促進剤として様々なBrij誘導体を用いて得られた試験結果は、以下の表19および表20ならびに図10に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性のものであったことを除き、前記のケトプロフェン噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0059】
【表19】
【0060】
【表20】
【0061】
上記データによって、該非イオン性界面活性剤を含有するすべての処方では、同程度の透過挙動を示しつつ、水の含有率を増加させることが可能であることが示されている。
【0062】
25℃または40℃で3カ月間保存した後のケトプロフェン噴霧用組成物の透過性を示す試験結果は、以下の表21および表22ならびに図11に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性の大腿部から得たものであったことを除き、前記のケトプロフェン噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0063】
【表21】
【0064】
【表22】
【0065】
上記データによって、3カ月保存後、いずれの処方においても同程度の透過挙動を認めたことが示されている。
【0066】
5%ナプロキセンナトリウムおよびBrij58を使用したナプロキセン噴霧用組成物を用いて得られた試験結果は、以下の表23および表24ならびに図12に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性の大腿部から得たものであったことを除き、前記の噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0067】
【表23】
【0068】
【表24】
【0069】
上記データによって、水および乳酸の含有率を減少させることで、エタノールの含有率を増加させた処方を調製することが示されている。乳酸の減量およびBrij58の添加によって、皮膚透過性が低下した。析出物がNapS22aおよびNapS24で認められた。
【0070】
2.5%ナプロキセンナトリウムおよびBrij58を使用したナプロキセン噴霧用組成物を用いて得られた試験結果は、以下の表25および表26ならびに図13に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性の大腿部から得たものであったことを除き、前記の噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0071】
【表25】
【0072】
析出物がNapS05、NapS25、NapS26およびNapS28で認められた。
【0073】
【表26】
【0074】
上記データによって、ナプロキセン含有率を2.5%に減少させることで、皮膚透過性が著しく低下したことが示されている。
【0075】
イブプロフェン噴霧用組成物中のミリスチン酸イソプロピルの影響について検討した。試験結果は、以下の表27および表28ならびに図14に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性の大腿部から得たものであったことを除き、前記の噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0076】
【表27】
【0077】
【表28】
【0078】
上記データによって、噴霧用組成物へのミリスチン酸イソプロピルの添加は、イブプロフェンの皮膚透過性をさらに向上させることはなかったことが示されている。
【0079】
イブプロフェン噴霧用組成物中のミリスチン酸イソプロピルおよびBrij58の影響について検討した。試験結果は、以下の表29および表30ならびに図15に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が46歳ヒト男性の背部から得たものであったことを除き、前記の噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0080】
【表29】
【0081】
【表30】
【0082】
上記データによって、Brij58の添加が処方中の水の含有率を増加させることに役立つが、噴霧用組成物へのミリスチン酸イソプロピルおよびBrij58の添加は、イブプロフェンの皮膚透過性をさらに向上させることはなかったことが示されている。
【0083】
2種類のジクロフェナクの影響を検討した。ジクロフェナクナトリウムまたはジクロフェナクジエチルアミンを使用したジクロフェナククリーム状組成物を用いて得られた試験結果は、以下の表31および表32ならびに図16に示されている。ダーマトームで採取した死体の皮膚は79歳ヒト男性の背部から得たものであった。
【0084】
【表31】
【0085】
【表32】
【0086】
上記データによって、ジクロフェナクナトリウムまたはジクロフェナクジエチルアミンのクリームの処方における皮膚透過性は同程度であったことが示されている。
【0087】
ジクロフェナクナトリウムまたはジクロフェナクジエチルアミンを使用したジクロフェナク噴霧用組成物を用いて得られた試験結果は、以下の表33および表34ならびに図17に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性の背部から得たものであったことを除き、前記の噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0088】
【表33】
【0089】
【表34】
【0090】
上記データによって、ジクロフェナク含有噴霧用組成物は、ジクロフェナクの濃度が比較的高い噴霧用ゲル組成物よりもジクロフェナクの皮膚透過性が良好であったことが示されている。
【0091】
ジクロフェナク皮膚透過性に対するプロピレングリコール、Brij58および乳酸の影響を検討した。ジクロフェナクナトリウム、Brij58ならびに様々な含有率のプロピレングリコールおよび乳酸を使用したジクロフェナク噴霧用組成物を用いて得られた試験結果は、以下の表35および表36ならびに図18に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性の大腿部から得たものであったことを除き、前記の噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0092】
【表35】
【0093】
組成物DcS12は濁っていた。
【0094】
【表36】
【0095】
プロピレングリコールをより高い含有率になるよう添加すると、水の含有率は増加するが、処方DcS12では析出を生じた。上記データによって、乳酸の含有率が低いジクロフェナク噴霧用組成物は、ジクロフェナクの皮膚透過性レベルが低いことが示されている。
【0096】
ジクロフェナクの皮膚透過性に対するプロピレングリコール、Brij58および乳酸の影響を検討した。ジクロフェナクジエチルアミン、Brij58ならびに様々な含有率のプロピレングリコールおよび乳酸を使用したジクロフェナク噴霧用組成物を用いて得られた試験結果は、以下の表37および表38ならびに図19に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性の大腿部から得たものであったことを除き、前記の噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0097】
【表37】
【0098】
組成物DcS13、DcS13aおよびDCS15は濁っていた。
【0099】
【表38】
【0100】
処方DcS13、DcS13aおよびDcS15は濁っていた。上記データによって、Brij58を含有することでジクロフェナクの皮膚透過性が低下したことが示された。
【0101】
ケトプロフェンの皮膚透過性に対するプロピレングリコールおよび増粘剤の影響を検討した。ケトプロフェン、様々な含有率のプロピレングリコールならびに増粘剤としてヒドロキシプロピルセルロース(100センチポアズ)およびヒドロキシプロピルセルロース(150−400センチポアズ)を使用したケトプロフェン噴霧用処方を用いて得られた試験結果は、以下の表39および表40ならびに図20に示されている。試験手順は、ダーマトームで採取した死体の皮膚が79歳ヒト男性の大腿部から得たものであったことを除き、前記の噴霧用組成物の手順と同じであった。
【0102】
【表39】
【0103】
【表40】
【0104】
すべての上記処方では澄明な溶液が得られた。上記データによって、KeS84、KeS85およびKeS89のすべては、KeS47と比較して透過性が著しく向上したことが示されている。プロピレングリコールの含有率が低いKeS86は、KeS47と同程度の透過性を示した。
【0105】
前述の考察および実施例は、例示として受け取られるべきであり、限定するものではない。依然として本発明の精神および範囲に対する他の変更は可能であり、それらの変更は、当業者には容易に思いつくことである。
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