特許第6703989号(P6703989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6703989呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の複製への阻害活性を有するピペリジン置換三環式ピラゾロ[1,5−A]ピリミジン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703989
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の複製への阻害活性を有するピペリジン置換三環式ピラゾロ[1,5−A]ピリミジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/14 20060101AFI20200525BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20200525BHJP
   C07D 487/14 20060101ALI20200525BHJP
   C07D 491/147 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20200525BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20200525BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   C07D471/14 102
   C07D487/04 142
   C07D487/14
   C07D491/147CSP
   A61K31/519
   A61K31/5377
   A61P11/00
   A61P31/14
【請求項の数】16
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2017-529310(P2017-529310)
(86)(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公表番号】特表2017-536393(P2017-536393A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】EP2015078796
(87)【国際公開番号】WO2016091791
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2018年12月5日
(31)【優先権主張番号】14196789.3
(32)【優先日】2014年12月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510020022
【氏名又は名称】ヤンセン・サイエンシズ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ターリ,アブデラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォンドヴィル,サンドリーヌ,マリー,ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンカーズ,ティム,ヒューゴ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ラボイソン,ピエール,ジャン−マリー,ベルナルド
(72)【発明者】
【氏名】デーミン,サミュエル,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】フ,リリ
【審査官】 安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/158776(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/196681(WO,A1)
【文献】 特表2013−534524(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0100228(US,A1)
【文献】 New England Journal of Medicine,2014年 8月21日,371(8),711-722
【文献】 DATABASE REGISTRY [online] CHEMICAL ABSTRACT SERVICE, Database accession no. RN 1381372-67-3,Retrieved from STN,2012年 7月 4日,(3-fluorophenyl)[2-[5,6,7,8-tetrahydro-9-hydroxy-7-(1-methylethyl)pyrazolo[1,5-a]pyrido[4,3-d]pyrimidin-2-yl]-1-piperidinyl]-methanone
【文献】 DATABASE REGISTRY [online] CHEMICAL ABSTRACT SERVICE, Database accession no. RN 1381495-88-0,Retrieved from STN,2012年 7月 5日,(4-methylphenyl)[2-[5,6,7,8-tetrahydro-9-hydroxy-7-(1-methylethyl)pyrazolo[1,5-a]pyrido[4,3-d]pyrimidin-2-yl]-1-piperidinyl]-methanone
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その任意の立体化学的異性体形態を含む式(I−a)もしくは式(I−b):
【化1】


(式中、
nは、整数0、1もしくは2である;
Xは、CH、O、CHOもしくはNR(式中、Rは、水素、C1〜4アルキルもしくはベンジルである)である;
Zは、CH、OもしくはNR(式中、Rは、水素、C1〜4アルキルもしくはベンジルである)である;
およびXもしくはZの少なくとも1つは、CHである;
は、水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノもしくはヘテロシクリルである;
ヘテロシクリルは、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルもしくはモルホリニルである;ここで、各ヘテロシクリルは、任意選択的にC1〜4アルキル、ヒドロキシ、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキルオキシカルボニル、アミノ、C1〜4アルキルアミノカルボニルもしくはC1〜4アルキルスルホニルから選択された1もしくは2つの置換基で置換されている;
は、フェニル−(CO)−(式中、フェニルは、水素、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)である;
または、Rは、シノリニル、キナゾリニルもしくはキノキサリニルから選択される二環式複素環であり、前記二環式複素環は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシおよびC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている;および
は、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシもしくはハロである)の化合物
またはその薬学的に許容される酸付加塩であって、
但し、前記化合物は、
(3−フルオロフェニル)[2−[5,6,7,8−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−7−(1−メチルエチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル]−1−ピペリジニル]−メタノン、および
(4−メチルフェニル)[2−[5,6,7,8−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−7−(1−メチルエチル)ピラゾロ[1,5−a]ピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル]−1−ピペリジニル]−メタノン
を除く、化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項2】
nは、整数0、1もしくは2である;
Xは、CH、O、CHOもしくはNR(式中、Rは、C1〜4アルキルである)である;
Zは、CH、OもしくはNR(式中、Rは、C1〜4アルキルである)である;
およびXもしくはZの少なくとも1つは、CHである;
は、水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノもしくはヘテロシクリルである;
ヘテロシクリルは、ピロリジニルもしくはモルホリニルである;
は、フェニル−(CO)−(式中、フェニルは、水素、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)である;
または、Rは、シノリニル、キナゾリニルもしくはキノキサリニルから選択される二環式複素環であり、前記二環式複素環は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシおよびC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている;および
は、水素である、
請求項1に記載の化合物
またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項3】
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、0である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項4】
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項5】
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、2である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項6】
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、0である;およびXは、CHであり、Zは、Oである)の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項7】
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、Oである)の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項8】
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、2である;およびXは、CHであり、Zは、Oである)の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項9】
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ジ(C1〜4アルキル)アミノである;nは、1である;およびXは、NR(式中、Rは、C1〜4アルキルである)であり、Zは、CHである)の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項10】
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、C1〜4アルキルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項11】
前記化合物は、式(I−b)(式中、Rは、C1〜4アルキルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項12】
以下:
N−(4−メチル−2−(2−(9−モルホリノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミド(P1)
【化2】

(S)−N−(4−メチル−2−(2−(9−モルホリノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミド(P3)
【化3】

N−(5−メチル−4−(2−(9−モルホリノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−イル)キナゾリン−2−イル)メタンスルホンアミド(P7)
【化4】

N−(2−(2−(9−(ジメチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)メタンスルホンアミド(P15)
【化5】

N−(2−(2−(9−(ジメチルアミノ)−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)−メタンスルホンアミド(P26)
【化6】

および
N−(2−(2−(5−(ジメチルアミノ)−9−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)メタンスルホンアミド(P27)
【化7】

からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項13】
薬学的に許容される担体と治療有効量の請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩とを含む医薬組成物。
【請求項14】
治療有効量の請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩が薬学的に許容される担体と緊密に混合される、請求項13に記載の医薬組成物の調製方法。
【請求項15】
医薬品として使用するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩。
【請求項16】
呼吸器合胞体ウイルス感染症を治療するための、請求項13に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス活性を有する、具体的には、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の複製への阻害活性を有する新規な置換三環式ピラゾロピリミジン化合物に関する。本発明は、そのような新規の化合物、これらの化合物を含む組成物および呼吸器合胞体ウイルス感染症の治療に使用するための化合物の調製にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトRSVもしくは呼吸器合胞体ウイルスは、ウシRSVウイルスとともにパラミクソウイルス(Paramyxoviridae)科、ニューモウイルス(pneumoviridae)亜科に属する大型のRNAウイルスである。ヒトRSVは、世界中の全年齢の人々において、様々な呼吸器疾患の原因となる。ヒトRSVは、幼児および小児期の下気道疾患の主因である。全幼児のうち半数を超える幼児が、生後1年以内にRSVに遭遇し、そしてほぼ全ての幼児が生後2年以内にRSVに遭遇する。幼児期の感染は、長年続く肺障害を誘引する可能性があり、その後の人生における慢性肺疾患(慢性喘鳴、喘息)の原因となることがある。年長児および成人は、RSV感染による(悪性の)風邪に罹ることが多い。高齢者においては、罹患率が再び増大し、RSVは、高齢者では肺炎発生に関連することが多く、結果として著しく高い死亡率となる。
【0003】
所与の部分群からのウイルスによる感染が、次の冬季に同一の部分群からのRSV単離株によるその後の感染を回避することはない。したがって、2つの亜型、AおよびBしか存在しないにもかかわらず、RSVによる再感染が多発する。
【0004】
現在のところ、3種の薬剤のみが、RSV感染に対しての使用に承認されている。1番目の薬剤は、入院中の子供達における重篤なRSV感染症に対してエアロゾル治療を提供するヌクレオシド類縁体であるリバビリンである。エアロゾルの投与経路、毒性(催奇形性のリスク)、コストおよび著しくばらつきがある効力により、その使用は制限される。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体免疫賦活剤である他の2種の薬剤、RespiGam(登録商標)(RSV−IG)およびSynagis(登録商標)(パリビズマブ)は、予防法で使用することが意図されている。両薬剤とも非常に高価であり、非経口投与を必要とする。
【0005】
安全でかつ有効なRSVワクチンを開発する他の試みは、これまでのところ全て失敗に終わっている。不活化ワクチンは、疾患を防御できず、実際には、その後の感染期間中に、疾患を増強させる場合もあった。弱毒性生ワクチンが、ある程度の成果を伴って試されている。RSV複製に対して有効で無毒でかつ投与し易い薬剤が必要なことは明白である。経口投与され得る、RSV複製に対する薬剤を提供することは、特に好ましいであろう。
【0006】
抗RSV活性を示す化合物は、国際公開第2011/163518号パンフレット、国際公開第2013/096681号パンフレットおよび国際公開第2013/158776号パンフレットに開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その任意の立体化学的異性体形態を含む式(I−a)および式(I−b):
【化1】

(式中、
nは、整数0、1もしくは2である;
Xは、CH、O、CHOもしくはNR(式中、Rは、水素、C1〜4アルキルもしくはベンジルである)である;
Zは、CH、OもしくはNR(式中、Rは、水素、C1〜4アルキルもしくはベンジルである)である;
およびXもしくはZの少なくとも1つは、CHである;
は、水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノもしくはヘテロシクリルである;
ヘテロシクリルは、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルもしくはモルホリニルである;ここで、各ヘテロシクリルは、任意選択的にC1〜4アルキル、ヒドロキシ、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキルオキシカルボニル、アミノ、C1〜4アルキルアミノカルボニルもしくはC1〜4アルキルスルホニルから選択された1もしくは2つの置換基で置換されている;
は、フェニル−(CO)−(式中、フェニルは、水素、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)である;
または、Rは、シノリニル、キナゾリニルもしくはキノキサリニルから選択される二環式複素環であり、前記二環式複素環は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシおよびC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている;および
は、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシもしくはハロである)の化合物
またはその薬学的に許容される酸付加塩に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記の定義において使用される際:
− ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称であり;
− C1〜4アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピルなどの1〜4個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;および
− (CO)もしくは(C=O)は、カルボニルを表す。
【0009】
本明細書で使用する用語「本発明の化合物」は、どちらも「式(I)の化合物」と呼ばれる式(I−a)および式(I−b)の化合物ならびにその塩および溶媒和物を含むものとする。
【0010】
本明細書で使用される場合、実線のくさび形結合または破線のくさび形結合としてではなく実線としてのみ示される結合を有する任意の化学式、あるいは1個または複数の原子の周りに特定の配置(例えば、R、S)を有するものとして別の方法で示される化学式は、それぞれあり得る立体異性体、または2つ以上の立体異性体の混合物を考慮している。
【0011】
上記および下記では、用語「式(I)の化合物」および「式(I)の合成の中間体」は、その立体異性体形態およびその互変異性体形態を含むものとする。
【0012】
上記または下記の記載において、用語「立体異性体」、「立体異性体形」または「立体異性体化学的異性体型」は、互換的に使用される。
【0013】
本発明は、純粋な立体異性体として、または2つ以上の立体異性体の混合物として、本発明の化合物の全ての立体異性体を含む。鏡像異性体は、重ね合わせることができない互いの鏡像となっている立体異性体である。1対の鏡像異性体の1:1混合物は、ラセミ体またはラセミ混合物である。ジアステレオマー(またはジアステレオ異性体)は、鏡像異性体ではない立体異性体であり、即ち、鏡像の関係にない。化合物が二重結合を含有する場合、置換基は、E配置またはZ配置となり得る。二価の環状(部分的)飽和基上の置換基は、シス配置またはトランス配置を有し得る。例えば、化合物が二置換のシクロアルキルを含有する場合、置換基はシス配置またはトランス配置であり得る。したがって、本発明は、化学的に可能な場合は常に、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、E異性体、Z異性体、シス異性体、トランス異性体およびこれらの混合物を含む。
【0014】
その全ての用語、すなわち、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、E異性体、Z異性体、シス異性体、トランス異性体およびこれらの混合物の意味は、当業者に既知である。
【0015】
絶対配置は、カーン・インゴルド・プレローグ順位則にしたがって特定される。不斉原子における配置は、RまたはSによって特定される。絶対配置が不明の分割立体異性体は、これらが平面偏光を回転させる方向に応じて(+)または(−)によって示すことができる。例えば、絶対配置が不明の分割鏡像異性体は、これらが平面偏光を回転させる方向に応じて(+)または(−)によって示すことができる。
【0016】
特定の立体異性体が同定される場合、これは、前記立体異性体が他の立体異性体を実質的に含まない、すなわち他の立体異性体は、50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、さらにより好ましくは5%未満、特に2%未満、最も好ましくは1%未満しか伴わないことを意味する。したがって、式(I)の化合物が、例えば(R)と明記されるとき、これは、化合物が(S)異性体を実質的に含まないことを意味し、式(I)の化合物が、例えばEと明記されるとき、これは、化合物がZ異性体を実質的に含まないことを意味し、式(I)の化合物が、例えばシスと明記されるとき、これは、化合物がトランス異性体を実質的に含まないことを意味する。
【0017】
式(I)の化合物の一部はまた、その互変異性体型で存在する場合もある。そのような形態が存在し得る限り、それは、上記の式(I)に明確に示されてはいなくても、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0018】
したがって、1つの化合物が、立体異性体でも互変異性体型でも存在し得るということになる。
【0019】
念のために明記すると、式(I)の化合物は、その自然もしくは非自然同位体形のいずれかにある上記の原子を含有し得る。この点において、言及し得る本発明の実施形態には、(a)式(I)の化合物がその化合物のいずれかの分子に関して同位体濃縮もしくは標識されていない実施形態;および(b)式(I)の化合物がその化合物の1つ以上の原子に関して同位体濃縮もしくは標識されている実施形態が含まれる。1つ以上の安定同位体で(化合物の1つ以上の原子に関して)同位体濃縮もしくは標識されている式(I)の化合物は、例えば、重水素、13C、14C、14N、15Oなどの1つ以上の原子で同位体濃縮もしくは標識されている式(I)の化合物を含む。
【0020】
前述の薬学的に許容される酸付加塩は、式(I)の化合物から生成できる治療活性を有する無毒の酸付加塩の形態を含むものとする。これらの薬学的に許容される酸付加塩は、塩基の形態をそのような適切な酸で処理することにより容易に得ることができる。適切な酸としては、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;または、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などの有機酸が挙げられる。
【0021】
逆に、前記塩の形態は、適切な塩基で処理することにより遊離塩基形態に変換することができる。
【0022】
式(I)の化合物は、溶媒和されていない形態および溶媒和された形態の両方で存在し得る。用語「溶媒和物」は、本明細書では、本発明の化合物および1種以上の薬学的に許容される溶媒分子、例えば、水またはエタノールを含む分子会合を説明するために使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に使用される。
【0023】
式(I)の興味深い化合物は、次の制限:
a)nは、0である;または
b)nは、1である;または
c)nは、2である;または
d)Rは、水素である、または
e)Rは、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノもしくはヘテロシクリルである;または
f)Rは、もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノである;または
g)Rは、ヘテロシクリルである;または
h)Rは、フェニル−(CO)−(式中、フェニルは、水素、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)である;または
i)Rは、二環式複素環であるキナゾリニルであり、前記二環式複素環は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシおよびC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている;または
j)Rは、水素である、または
k)Xは、CHであり、Zは、CHである;または
l)Xは、CHであり、Zは、Oである;または
m)Xは、CHOであり、Zは、CHである;または
n)Xは、NR(式中、Rは、C1〜4アルキルであり、Zは、CHである)である;または
o)ヘテロシクリルは、ピロリジニルである;または
p)ヘテロシクリルは、モルホリニルである
のうちの1つ以上が当てはまる式(I)の化合物である。
【0024】
第1実施形態では、本発明は、その任意の立体化学的異性体形態を含む式(I−a)もしくは式(I−b):
(式中、
nは、整数0、1もしくは2である;
Xは、CH、O、CHOもしくはNR(式中、Rは、C1〜4アルキルである)である;
Zは、CH、OもしくはNR(式中、Rは、C1〜4アルキルである)である;
およびXもしくはZの少なくとも1つは、CHである;
は、水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノもしくはヘテロシクリルである;
ヘテロシクリルは、ピロリジニルもしくはモルホリニルである;
は、フェニル−(CO)−(式中、フェニルは、水素、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)である;
または、Rは、シノリニル、キナゾリニルもしくはキノキサリニルから選択される二環式複素環であり、前記二環式複素環は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシおよびC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている;および
は、水素である)の化合物
またはその薬学的に許容される酸付加塩に関する。
【0025】
第1群の化合物は、式(I−a)(式中、Rは、水素である)の化合物である。
【0026】
第2群の化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノもしくはヘテロシクリルである)の化合物である。
【0027】
第3群の化合物は、式(I−b)(式中、Rは、水素である)の化合物である。
【0028】
第4群の化合物は、式(I−b)(式中、Rは、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノもしくはヘテロシクリルである)の化合物である。
【0029】
第5群の化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、0である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である。
【0030】
第6群の化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である。
【0031】
第7群の化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、2である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である。
【0032】
第8群の化合物は、式(I−b)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、0である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である。
【0033】
第9群の化合物は、式(I−b)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である。
【0034】
第10群の化合物は、式(I−b)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、2である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である。
【0035】
第11群の化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、0である;およびXは、CHであり、Zは、Oである)の化合物である。
【0036】
第12群の化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、Oである)の化合物である。
【0037】
第13群の化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、0である;およびXは、CHOであり、Zは、CHである)の化合物である。
【0038】
第14群の化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ジ(C1〜4アルキル)アミノである;nは、1である;およびXは、NR(式中、Rは、C1〜4アルキルであり、Zは、CHである)である)の化合物である。
【0039】
第15群の化合物は、式(I−a)(式中、Rは、C1〜4アルキルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である。
【0040】
第16群の化合物は、式(I−b)(式中、Rは、C1〜4アルキルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である。
【0041】
式(I−a)および(I−b)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、本明細書の以下で考察する反応スキームにしたがって有機化学の分野において既知の合成方法、または当業者であれば習熟している修飾および誘導体化を使用して調製することができる。本明細書で使用される出発物質は、市販されている、または当技術分野で既知の所定の方法(標準の参考文献に開示されているこれらの方法など)により、調製されてもよい。好ましい方法として、以下に記載される方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
以下の任意の合成順序の間に、関与しているいずれかの分子の感応基もしくは反応性基を保護することが必要である、および/または望ましい場合がある。これは、当業者であれば周知の慣習的保護基によって達成できる。
【0043】
特に明記しない限り、スキームにおける置換基は、上述の通りに定義される。生成物の単離および精製は、標準の手順により達成され、その手順は、通常技量の化学者ならば既知である。
【0044】
一般スキーム1〜4は、本発明の化合物を調製するために使用した方法について記載する。これらのスキームに記載した一般的方法は、さらに本発明の追加の化合物を調製するためにも使用できる。
【0045】
出発物質Iは、好ましくは(S)立体配置を有する環状窒素に隣接する炭素原子上のカルボキシル基を有する保護(PG)ピペリジンである。このピペリジンは、さらに様々な基で置換することができる。ピペリジン環状窒素上の保護基は、好ましくはBOCもしくはCBZであり、Green and Wutts,protecting groups in Organic Synthesis 3rd Editionに記載された方法を使用する合成中に導入または除去することができる。スキーム1では、N−保護の環式アミノ複素環I上のカルボン酸基は、最初に離脱基により活性化される。代表的な離脱基は、アルキルエステル(例えば、メチルもしくはエチルエステル)であり、これらはカルボン酸の非水性もしくは低水性の酸性条件下での適切なアルコールを用いた処理によって、または炭酸セシウムなどの塩基の存在下でのヨウ化メチルを用いた処理によって生成される。または、この酸は、標準のペプチドカップリング手順、例えば、EDCI/HOBT、HATU、DCCなどを使用して、Weinrebアミドとして活性化できる。この酸がエステルもしくはWeinrebアミドIIとして活性化されると、アセトニトリルアニオンの付加が実施される。アセトニトリルおよび強塩基、例えばリチウムもしくはナトリウムハキサメチルジシラジド(haxamethyldisilazide)(LiHMDS)またはアルキルリチウム塩基、例えばnBuLiから生成されたアニオンは、エステルもしくはWeinrebアミドと反応させると、シアノケトンIIIを生成する。シアノケトンと酢酸ヒドラジン塩との反応は、次にアミノピラゾール中間体IVを生成する。これは、様々な側鎖を備える三環式複素環VIの様々な縮合反応を通しての形成における重要な中間体である。アミノピラゾールIVの環式ケト−エステルVを用いた縮合は、三環式類縁体VIを生成する。高温下でのVIの純粋POC1を用いた処理(一部の場合は、ジイソプロピルエチルアミンもしくはトリエチルアミンなどの有機塩基が反応を改善できる)によって塩化物VIIが得られる。POCl条件下では、酸性不安定性保護基、例えばBOCは、典型的には除去されるが、これが部分的である場合は、例えばジオキサン中の4NのHClなどの酸を用いたさらなる処理を使用して残留しているBOC保護物質を除去することができる。他の保護基が利用される場合は、Green and Wutts,Protecting groups in Organic Synthesis 3rd Editionに記載された手順を使用すると保護基を除去できる。VII上の橋頭窒素に隣接する塩化物の置換は、IXを生じさせるために典型的には室温で、求核試薬VIIIを用いて実施されてよい。典型的な求核試薬VIIIは、例えばトリエチルアミンなどの塩基の非存在下または存在下で反応させることができるアミンであろう(スキーム1)。
【化2】
【0046】
化合物XIは、本明細書に開示した実施形態にしたがって、アミノ基IXを有する化合物および複素環ハライド化合物Xから合成することができる。この反応は、塩基および第8〜10族の遷移金属触媒の存在下で実施されてよい。N−複素環アミン化合物を生成するための複素環ハライド化合物とアミンとの間の反応の1つの例は、スキーム2に表すことができる。手短には、複素環ハライドX化合物は、N−アリルアミン化合物を形成するために、塩基およびキレートリガンド(LL)を含む第8〜10族の遷移金属(M)錯体の存在下でアミン化合物IXと反応させられる。特定の実施形態では、第8〜10族の遷移金属は、パラジウム、白金およびニッケルのうちの少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、第8〜10族の遷移金属は、パラジウムである。または、この縮合は、例えばアルコールなど、好ましくはメトキシエタノールなどのプロトン性溶媒中で、例えばジ−イソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下において実施されてよい。
【0047】
本発明の方法において使用する複素環化合物は、式Xの任意の複素環化合物であってよい。
Het−Y 式X
【0048】
式Xの化合物中の、式(I)の化合物について定義したような、任意選択的に置換された好ましい複素環基は、以下である。
【化3】
【0049】
式X中では、Yは、任意のハライド原子(F、Cl、Br、I)または当技術分野において既知である任意の硫黄含有離脱基(例えば、トリフレート、スルホネート、トシレートなど)であってよい。本発明の方法では、塩化物が特に好ましい(スキーム2)。
【化4】
【0050】
IX上のシクロアミノアルキル環中の未保護NHは、XIVを提供するために、HATU/ジ−イソプロピル−エチルアミンを使用した酸XIIのペプチドカップリングまたは塩化チオニルもしくはオキサリルを使用した酸性塩化物XIIIの生成のいずれかの標準手順を使用してアシル化され、次に例えばジ−イソプロピル−エチルアミンなどの塩基の存在下で化合物IXに付加される(スキーム3)。
【化5】
【0051】
高温での酸(酢酸)の存在下でのβ−アセチル環状ケトンXV(例えば、2−アセチルシクロヘキサノン)を使用したアミノピラゾールIVのまた別の縮合は、中間体XVIおよびXVIIの混合物をもたらす。この混合物中の保護基の除去は、これが酸性不安定性保護基である場合、例えばBOCは、典型的にはTFAを用いて、またはBOC保護物質を除去するために使用できる無機酸、例えばジオキサン中の4NのHClを用いて除去される。他の保護基が利用される場合は、Green and Wutts,Protecting groups in Organic Synthesis 3rd Editionに記載された手順を使用すると保護基を除去することができる。遊離アミンXVIIIおよびXIXは、最終化合物であるXXおよびXXIを調製するためのスキーム2に記載されたように様々な複素環によってアルキル化される(スキーム4)。
【化6】
【0052】
式(I−a)および(I−b)の化合物は、さらに式(I−a)および(I−b)の化合物を、当技術分野で既知の基変換反応により相互変換させることによって調製することもできる。
【0053】
出発物質および中間体の幾つかは既知の化合物であり、市販されているか、または当技術分野で既知の従来の反応手順にしたがって調製することができる。
【0054】
前述の方法で調製される式(I−a)および(I−b)の化合物は、鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成することができ、それらは当技術分野で既知の分割法にしたがって互いに分離することができる。ラセミ形態で得られるそれらの式(I−a)および(I−b)の化合物は、好適なキラル酸との反応により、対応するジアステレオマー塩の形態に変換されてよい。前記ジアステレオマー塩の形態は、その後、例えば、選択的または分別結晶化により分離され、それから鏡像異性体がアルカリによって遊離される。式(I−a)および(I−b)の化合物の鏡像異性体の形態を分離する代替方法には、キラル固定相を使用する液体クロマトグラフィーが含まれる。前記純粋な立体化学的異性体形態はまた、反応が立体特異的に起こるならば、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体形態から誘導することもできる。好ましくは、特定の立体異性体が必要な場合、前記化合物は立体特異的な調製方法により合成されるであろう。これらの方法は、鏡像異性体として純粋な出発物質を使用するのが有利であろう。
【0055】
式(I−a)および(I−b)の化合物は、抗ウイルス特性を示す。本発明の化合物および方法を使用して治療可能なウイルス感染症として、オルトミクソウイルスおよびパラミクソウイルス、そして特に、ヒトおよびウシ呼吸器合胞体ウイルス(RSV)によって引き起こされるそれらの感染症が挙げられる。本発明の化合物の多くは、さらにRSVの変異型株に対して活性である。さらに、本発明の化合物の多くは、薬物動態的に有利な特徴を示し、生物学的利用能の観点から魅力的な特性を有しており、その特性として、許容できる半減期、AUC値およびピーク値、ならびに例えば不十分な速やかな発現および組織保持などの不都合な事象の不在が挙げられる。
【0056】
本発明の化合物のRSVに対するin vitro抗ウイルス活性は、本明細書の実験の部に記載した試験において試験され、ウイルス産生量減少アッセイにおいても実証される可能性がある。本発明の化合物のRSVに対するin vivo抗ウイルス活性は、Wyde et al.,Antiviral Research,38,p.31−42(1998)に記載されたコトンラットを用いる試験モデルで実証される可能性がある。
【0057】
さらに、本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体および治療有効量の式(I−a)および(I−b)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0058】
本発明の医薬組成物を調製するために、有効成分として塩基付加塩または酸付加塩の形態の特定の化合物を有効量、少なくとも1種の薬学的に許容される担体と均質混合物に混合するが、この担体は、投与に望ましい製剤の形態に応じて様々な形態をとり得る。これらの医薬組成物は、望ましくは、好ましくは経口投与、直腸投与、経皮投与または非経口注射に好適な単一剤形である。
【0059】
例えば、経口剤形の組成物の調製において、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤および溶液剤などの経口液体製剤の場合、例えば、水、グリコール、油およびアルコールなどの通常の液体医薬担体;または、散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合、デンプン、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤および崩壊剤などの固体医薬担体のいずれかを使用することができる。投与が容易であるため、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口単位剤形であり、この場合、明らかに固体医薬担体が使用される。非経口注射組成物では、医薬担体は主として滅菌水を含むが、有効成分の溶解度を改善するために、他の成分を含んでもよい。注射用溶液剤は、例えば、生理食塩水、グルコース溶液またはこれらの両方の混合物を含む医薬担体を使用することにより調製することができる。注射用懸濁剤はまた、適切な液体担体および懸濁化剤などを使用することにより調製することができる。経皮投与に好適な組成物では、医薬担体は、浸透促進剤および/または好適な湿潤剤を任意選択的に含み、任意選択的に、これに、皮膚に対する顕著な有害作用を引き起こさない好適な添加剤が少量配合される。前記添加剤は、皮膚への有効成分の投与を促進するおよび/または所望の組成物の調製に有用となるように選択することができる。これらの局所組成物は、様々な方法で、例えば、経皮パッチ、スポット・オン製剤(spot−on)または軟膏として投与することができる。式(I−a)および(I−b)の化合物の付加塩は、対応する塩基の形態より水に対する溶解度が高いため、明らかに水性組成物の調製により適している。
【0060】
投与の容易さおよび投与量の均一性のため、本発明の医薬組成物を単位剤形に製剤化することがとりわけ有利である。本明細書で使用する場合、「単位剤形(Dosage unit form)」とは、単位投与量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の有効成分を必要な医薬担体と共に含有する。そのような単位剤形の例としては、錠剤(割線入り錠剤またはコーティング錠を含む)、カプセル剤、丸剤、散剤分包(powder packets)、カシェ剤、注射用溶液剤または懸濁剤、小さじ量および大さじ量など、ならびにこれらのそれぞれの倍数(segregated multiples thereof)がある。
【0061】
経口投与用に、本発明の医薬組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、賦形剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースおよびリン酸カルシウムなど)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカなど)、崩壊剤(例えば、馬鈴薯デンプンおよびデンプングリコール酸ナトリウムなど)および湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される医薬品添加物および担体を用いて従来の手段で調製される固体剤形、例えば、錠剤(嚥下用とチュアブルの両方の形態)、カプセル剤またはジェルキャップ剤(gelcaps)の形態を取ってもよい。このような錠剤はまた、当技術分野で周知の方法でコーティングされてもよい。
【0062】
経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液剤、シロップ剤もしくは懸濁剤の形態を取ってもよく、またはそれらは、使用前に水および/または別の好適な液体担体と混合される乾燥品として製剤化されてもよい。このような液体製剤は、任意選択により懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくは硬化食用脂)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム)、非水性担体(例えば、アーモンド油、油性エステルもしくはエチルアルコール)、甘味剤、香味剤、マスキング剤および保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはp−ヒドロキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)などの他の薬学的に許容される添加剤を用いて従来の手段で調製されてもよい。
【0063】
本発明の医薬組成物に有用な薬学的に許容される甘味剤は、好ましくは、例えばアスパルテーム、アセスルファムカリウム、シクラミン酸ナトリウム、アリテーム、ジヒドロカルコン甘味剤、モネリン、ステビオシド、スクラロース(4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース)、または、好ましくはサッカリン、サッカリンナトリウムもしくはサッカリンカルシムなどの少なくとも1種の強力な甘味剤および、任意選択によりソルビトール、マンニトール、フルクトース、スクロース、マルトース、イソマルト、グルコース、還元グルコースシロップ、キシリトール、カラメルまたは蜂蜜などの少なくとも1種のバルク甘味剤を含む。強力な甘味剤は、好都合には、低濃度で使用される。例えば、サッカリンナトリウムの場合、前記濃度は、最終製剤の約0.04%〜0.1%(重量/体積)の範囲であってもよい。バルク甘味剤は、約10%〜約35%、好ましくは約10%〜15%(重量/体積)の範囲の比較的高濃度で有効に使用することができる。
【0064】
低投与量製剤中の苦み成分をマスキングすることができる薬学的に許容される香味剤は、好ましくは、チェリーフレーバー、ラズベリーフレーバー、クロスグリフレーバー、またはストロベリーフレーバーなどのフルーツフレーバーである。2種類の香味剤の組み合わせにより非常に良好な結果を得ることができる。高用量製剤では、キャラメルチョコレート(Caramel Chocolate)、ミントクール(Mint Cool)およびファンタジー(Fantasy)などの比較的強力な薬学的に許容される香味剤を必要とすることがある。各香味剤は、最終組成物中に約0.05%〜1%(重量/体積)の範囲の濃度で存在し得る。前記強力な香味剤の組み合わせを使用することが有利である。好ましくは、製剤化中に味および/または色の変化または低下が起こらない香味剤が使用される。
【0065】
式(I−a)および(I−b)の化合物は、注射、好都合には静脈内注射、筋肉内注射、または皮下注射による、例えば、ボーラス注射または連続的静脈内注入による非経口投与用に製剤化されてもよい。注射用製剤は、単位剤形で、例えば、保存剤が添加されたアンプルまたは多用量容器で提供されてもよい。それらは、油性または水性溶媒で調製した懸濁剤、溶液剤、または乳剤などの形態を取ってもよく、等張化剤、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有してもよい。または、有効成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、パイロジェン非含有滅菌水と混合するための粉末形で存在してよい。
【0066】
式(I−a)および(I−b)の化合物は、例えば、カカオ脂および/または他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を含有する、坐剤または停留浣腸剤などの直腸組成物に製剤化されてもよい。
【0067】
一般に、抗ウイルス剤として有効な一日当たりの量は、0.01mg/kg〜500mg/kg体重、さらに好ましくは0.1mg/kg〜50mg/kg体重であろうと考えられる。必要な用量を2、3、4またはそれより多いサブ用量として、一日の間に適切な間隔を置いて投与することが適切であり得る。前記サブ用量は、例えば、単位剤形当たり1〜1000mg、特に、5〜200mgの有効成分を含有する単位剤形として製剤化され得る。
【0068】
正確な投与量および投与頻度は、当業者によく知られているように、使用される式(I−a)および(I−b)の特定の化合物、治療される特定の病態、治療される病態の重症度、特定の患者の年齢、体重、性別、障害の程度および全身の健康状態、ならびにその個体が摂取している可能性がある他の医薬に依存する。さらに、前記有効1日量が、治療対象の応答に応じておよび/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、減少または増加され得ることは明らかである。したがって、前述の有効1日量の範囲は、ガイドラインに過ぎない。
【0069】
また、別の抗ウイルス剤と式(I−a)および(I−b)の化合物との組み合わせも、医薬として使用できる。したがって、本発明はまた、抗ウイルス治療での同時使用、別々の使用または逐次使用のための組み合わせ製剤として、(a)式(I−a)および(I−b)の化合物および(b)別の抗ウイルス性化合物を含有する生成物に関する。種々の薬剤が薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤中に組み合わせられてもよい。例えば、本発明の化合物は、RSV感染症を治療または予防するために、インターフェロンベータまたは腫瘍壊死因子アルファと組み合わされてもよい。
【0070】
下記では、本発明を以下の非限定の実施例に関して例証しよう。
【実施例】
【0071】
実験の部
略語
(M+H) プロトン化分子イオン
aq.水性
Boc tert−ブチルオキシカルボニル
Br 広域
CHCl クロロホルム
CHCN アセトニトリル
CHOH メタノール
CHONa メタノール酸ナトリウム
d 二重項
DCM ジクロロメタン
DIEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DIPE ジイソプロピルエーテル
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
Et エチル
eq. 当量
EtOAc 酢酸アセチル
HOAc 酢酸
LiHMDS リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
m/z:質量対電荷比
Me メチル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
EtOH エタノール
MHz メガヘルツ
min 分間
窒素
NaSO 硫酸ナトリウム
NMR 核磁気共鳴(分光法)
Pd(OAc)2 パラジウム(II)酢酸塩
Ph フェニル
q 四重項
RT 室温
s 一重項
sat 飽和した
T 三重項
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0072】
NMR
多数の化合物に対して、H NMRスペクトルは、溶媒としてクロロホルム−d(重水素化クロロホルム、CDCl)またはDMSO−d(重水素化DMSO、ジメチル−d6スルホキシド)を使用して、400MHzで作動するBruker DPX−400分光計上または360MHzで作動するBruker DPX−360上で記録した。化学シフト(δ)は、内部標準として使用したテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で報告した。
【0073】
A.式(I−a)もしくは(I−b)の中間体および化合物の化学合成
N−(4−メチル−2−(2−(9−モルホリノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP1
【化7】

工程1:(S)−1−tert−ブチル2−メチルピペリジン−1,2−ジカルボキシレート2の合成
炭酸カリウム(108.50g、785.09mmol)をDMF(900mL)中の(S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−2−カルボン酸1(90g、392.55mmol)の溶液に加えた。ヨードメタン(83.58g、588.82mmol)を混合物に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。酢酸エチルを反応混合物に加えた。生じた混合物を水および塩水で洗浄した。有機層をNaSOの上方に通して乾燥させ、濾過して真空下で濃縮すると、中間体2(90g、収率:85%)が得られた。
m/z=244(M+H)
【0074】
工程2:tert−ブチル2−(2−シアノアセチル)ピペリジン−1−カルボキシレート3の合成
無水THF(40mL)中のCHCN(1.30mL、24.66mmol)の溶液に、LiHMDS(22.61mL、22.61mmol)を−78℃で滴下した。この溶液を−78℃で20分間撹拌した。無水THF(10mL)中の2(5g、22.55mmol)の溶液を混合物に滴下した。生じた混合物を2時間撹拌した。次に混合物を−78℃へ冷却し、THF(50mL)中のHOAc(5mL、76.67mmol)の溶液を混合物に滴下した。この溶液を室温に加温した。溶媒は真空下で除去した。残留物を酢酸エチル中に溶解させ、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して真空下で濃縮すると、粗中間体3(4g、収率:69%)が得られた。
m/z=253(M+H)
【0075】
工程3:tert−ブチル2−(5−アミノ−1H−ピラゾール−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート4
ヒドラジン水和物(100mL)およびエタノール(500mL)を中間体3(80g、317.70mmol)に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒は真空下で除去した。残留物を酢酸エチル中に溶解させ、塩水で洗浄した。有機層をNaSOの上方に通して乾燥させ、濾過して真空下で濃縮すると、中間体4(80g、収率:76%)が得られた。
m/z=267(M+H)
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.41(s,14H)1.99−2.16(m,1H)2.67−2.85(m,1H)3.76−3.91(m,1H)4.30−4.93(m,2H)4.95−5.22(m,2H)10.86−11.42(m,1H).
【0076】
工程4:tert−ブチル2−(9−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート5
アミノ−ピラゾロ−ピリミジン−boc−ピペリジン4(3g、11.26mmol)をEtOH(225mL)中に溶解させた。次に、メチル2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート(3.2mL、22.56mmol)およびAcOH(6.45mL、112.6mmol)を加えた。生じた混合物を3時間還流撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却し、3時間撹拌した。生じた白色沈殿物を濾過した。濾液を蒸発させ、DIPE(60mL)中で粉末化すると白色粉末が得られたので、これを白色沈殿物とともに集めると純粋物質5(3.82g、純度100%、収率91%)が得られた。
LCMS(M+1)=373.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.32−1.48(m,11H)1.55(br.s,2H)1.64−1.80(m,5H)2.31(d,J=13.64Hz,1H)2.40(t,J=6.16Hz,2H)2.60(t,J=5.28Hz,2H)2.77(br.s,1H)3.91(d,J=13.20Hz,1H)5.31(br.s,1H)5.69(s,1H).
【0077】
工程5:tert−ブチル2−(9−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート6
オキソ−ピラゾロ−ピリミジン−boc−ピペリジン5(800mg、2.15mmol)を無水ACN(15mL)中に不活性雰囲気下で加えた。次にDIPEA(1.85mL、10.74mmol)およびPOCl(0.6mL、6.4mmol)を加えた。混合物を70℃で撹拌した。6時間後、トルエンで揮発性物質を共蒸発させた。粗物質を最小量のACN中に溶解させ、注意深く氷水(およそ250mL)中に注入した。生じた沈殿物を濾過した。
固体をDCM中に溶解させ、真空中で蒸発させてEtOで粉末化すると粘着性の褐色個体6(3.1g、純度90%、収率:80%)が得られた。
LCMS(M+1)=391.
【0078】
工程6:tert−ブチル2−[9−(モルホリン−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート7
クロロ−ピラゾロ−ピリミジン−boc−ピペリジン6(6.5g、16.62mmol)を無水THF(90mL)中に溶解させた。モルホリン(7.32mL、83.14mmol)を不活性雰囲気下で加えた。混合物を50℃で3日間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去した。粗物質を水中に溶解させ、EtOAcで抽出し、塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させて蒸発させると、薄茶色の粉末7(5.5g、純度93%、収率80%)が得られた。
LCMS:(M+1)=442.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.35(br.s.,2H)1.40(br.s.,9H)1.51−1.59(m,2H)1.69−1.82(m,5H)2.29(d,J=12.98Hz,1H)2.71(t,J=6.16Hz,2H)2.80(t,J=6.60Hz,2H)2.86−2.96(m,1H)3.43−3.51(m,4H)3.72−3.79(m,4H)3.90(d,J=12.54Hz,1H)5.40(br.s.,1H)6.11(s,1H).
【0079】
工程7:9−(モルホリン−4−イル)−2−(ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン8
モルホリノ−ピラゾロ−ピリミジン−boc−ピペリジン7(4g、9.06mmol)をDCM(100mL)中に溶解させた。TFA(3.9mL、50.95mmol、5.6当量)を不活性雰囲気下で加えた。混合物を室温で3日間撹拌した。揮発性物質を40℃の減圧下で除去した。その後、粗物質を水中に溶解させ、NaCOの飽和水溶液を用いて連続的に塩基性化し、DCMで抽出して水で洗浄した。有機層は、硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させて蒸発させた。粗物質をEtO中で粉末化すると淡黄色固体としての中間体8(2.6g、純度100%、収率84%)が得られた。
LCMS:(M+1)=342.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.46−1.54(m,2H)1.60(dd,J=12.87,9.79Hz,2H)1.70−1.77(m,2H)1.78−1.85(m,3H)1.95−2.01(m,1H)2.73(t,J=6.16Hz,2H)2.75−2.79(m,1H)2.81(t,J=6.38Hz,2H)3.10(d,J=11.66Hz,1H)3.47(t,J=4.40Hz,4H)3.77(t,J=4.40Hz,4H)3.88−3.94(m,1H)6.31(s,1H).
【0080】
工程8:N−(4−メチル−2−(2−(9−モルホリノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP1
a)5−メチル−2−[(メチルスルホニル)アミノ]ベンゾイルクロリド9の合成
【化8】

DCM(5mL)中のメチル−スルホンメチルアミド安息香酸9−a(500mg、2.2mmol)の溶液に不活性雰囲気下で塩化チオニル(0.8mL、11mmol、5当量)を加えた。生じた混合物は、室温で2時間および50℃で1時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中でトルエンを用いて2回共蒸発させた。粗中間体9(500mg、収率92%)を次の工程でそのまま使用した。
【0081】
b)モルホリノ−ピラゾロ−ピリミジン−ピペリジン8(345mg、1mmol)をDCM(4mL)中に溶解させた。次にトリエチルアミン(0.280mL、2mmol)およびDCM(2mL)中の5−メチル−2−[(メチルスルホニル)アミノ]ベンゾイルクロリド9(500mg、2mmol、2当量)の溶液を加えた。生じた混合物は、室温で一晩撹拌した。次に反応混合物を減圧下で蒸発させ、逆相HPLCによって精製すると、白色粉末として化合物P1(35mg、純度97%、収率6%)が得られた。
LCMS(M+1)=553.
H NMR(380K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.53−1.71(m,4H)1.78(s,4H)1.94−2.06(m,1H)2.27(s,3H)2.30−2.38(m,1H)2.77(t,J=6.40Hz,2H)2.84(t,J=6.60Hz,3H)3.01(s,3H)3.13−3.24(m,1H)3.51(t,J=4.40Hz,4H)3.80(t,J=4.20Hz,4H)3.92(br.s,1H)5.63(br.s,1H)6.31(s,1H)7.18−7.25(m,2H)7.34(d,J=8.14Hz,1H).
【0082】
この化合物のまた別のバッチ(333mg)をSFCによって精製すると、2種の鏡像異性体(R)−N−(4−メチル−2−(2−(9−モルホリノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP2および(S)−N−(4−メチル−2−(2−(9−モルホリノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP3が得られた。
【0083】
4−(2−(1−(6−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP4の合成
【化9】
【0084】
6−メチルキナゾリン−4−オール10−bの合成
【化10】

工程1:2−アミノ−5−メチル安息香酸10−a(5g、33.08mmol)をホルムアミド(30mL)に加えた。反応混合液を100℃へ6時間加熱した。固体を濾過によって収集し、エタノールで数回洗浄すると、中間体10−b(4.5g、76%)が得られた。
m/z=161(M+H)
【0085】
工程2:4−クロロ−6−メチルキナゾリン10の合成
中間体10−b(2.1g、13.11mmol)をCHCl(30mL)中に溶解させた。塩化オキサリル(1.97g、23.26mmol)およびDMF(0.1mL)を加えた。混合物を100℃へ3時間加熱した。溶媒を蒸発させると、中間体10(1.5g、58%)が得られた。
m/z=179(M+H)
【0086】
工程3:4−(2−(1−(6−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP4の合成
中間体8(100mg、0.30mmol)を2−メトキシエタノール(3mL)中に溶解させた。次に4−クロロ−6−メチルキナゾリン10(78.47mg、0.44mmol、1.5当量)およびDIPEA(0.150mL、0.88mmol、3当量)を加えた。反応混合物を80℃で一晩撹拌した。この反応混合物を室温へ冷却し、減圧下で蒸発させた。粗物質を逆相HPLCによって精製すると、化合物P4(21mg、純度100%、収率15%)が得られた。
LCMS(M+1)=484.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.60−1.85(m,8H)2.00−2.14(m,1H)2.43(s,3H)2.46(br.s.,1H)2.71(t,J=6.16Hz,2H)2.80(t,J=6.60Hz,2H)3.39−3.46(m,5H)3.66(t,J=4.18Hz,4H)4.20(d,J=12.76Hz,1H)5.92(d,J=2.64Hz,1H)6.31(s,1H)7.63(dd,J=8.58,1.54Hz,1H)7.71(d,J=8.58Hz,1H)7.87(s,1H)8.55(s,1H).
【0087】
4−(2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP5の合成
【化11】

中間体8(200mg、0.59mmol)を2−メトキシエタノール(6mL)中に溶解させた。次に、4−クロロ−5−メチルキナゾリン11(165mg、0.88mmol、1.5当量)およびDIPEA(0.30mL、1.75mmol、3当量)を加えた。反応混合物を80℃で1日間撹拌し、室温に冷却し、減圧下で蒸発させた。粗物質をDCM中に溶解させ、炭酸ナトリウムの飽和溶液で洗浄した。有機層は、硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させて蒸発させた。残留物を逆相HPLCによって精製すると、白色粉末として化合物P5(101mg、純度100%、収率36%)が得られた。
LCMS(M+1)=484.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.67−1.96(m,8H)2.23−2.36(m,2H)2.74−2.76(m,2H)2.80(t,J=6.60Hz,2H)2.89(s,3H)3.34−3.40(m,4H)3.56(d,J=12.32Hz,2H)3.73(t,J=4.62Hz,4H)5.63(br.s.,1H)6.05(br.s.,1H)7.31−7.37(m,1H)7.60−7.65(m,2H)8.50(s,1H).
【0088】
N−(5−メチル−4−(2−(9−モルホリノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]−キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−イル)キナゾリン−2−イル)メタンスルホンアミドP7の合成
【化12】
【0089】
工程1:4−(2−(1−(2−クロロ−5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP6の合成
中間体2,4−ジクロロ−5−メチルキナゾリン12の合成
【化13】
【0090】
5−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン12−bの合成
2−アミノ−6−メチル安息香酸12−a(10g、66.15mmol)および尿素(39.73g、661.54mmol)を160℃へ加熱し、6時間撹拌し、反応混合物を100℃へ冷却し、40mLのHOを加えた。得られた懸濁液を10分間撹拌するに任せ、室温に冷却した。沈殿物を濾過して取り出し、0.2Mの水酸化ナトリウム水溶液(100mL)中に溶解させた。この溶液を100℃へ5分間加熱すると白色沈殿物が形成された。反応混合物を室温で一晩撹拌し、この溶液を濃HClによりpH=7へ中和し、白色固体を濾過して取り出した。得られた固体を水で洗浄し、高温酢酸エチル(100mL)を用いて粉末化し、室温に冷却した。濾液を収集し、真空下で乾燥させると中間体12−b(6.4g、収率:49%)が得られた。
m/z=177(M+H)
【0091】
2,4−ジクロロ−5−メチルキナゾリン12の合成
POCl(5mL)中の中間体12−b(1g、5.68mmol)、ジエチルアニリン(2.267mL、14.19mmol)の混合物を2時間還流させた。混合物を注意深くクラッシュアイスの上方に注入した。混合物を飽和NaHCOでpH=7へ中和した。生じた混合物はCHCl(2×15mL)で抽出した。合わせた有機層は、塩水で洗浄し、NaSOの上方に通して乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮すると中間体12(950mg、収率:68%)が得られた。
m/z=214(M+H)
【0092】
工程1:4−(2−(1−(2−クロロ−5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP6の合成
中間体8(300mg、0.88mmol)を2−メトキシエタノール(6mL)中に溶解させた。次に、2,4−ジクロロ−5−メチルキナゾリン(281mg、1.32mmol、1.5当量)およびDIPEA(0.45mL、2.63mmol、3当量)を加えた。反応混合液を50℃で16時間撹拌し、次に減圧下で蒸発させた。粗物質をDCM中に溶解させ、炭酸ナトリウムの飽和溶液で2回洗浄した。合わせた有機層を、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物は逆相HPLCによって精製すると、化合物P6(110mg、純度100%、収率24%)が得られた。
LCMS(M+1)=518.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.62(br.s.,1H)1.67−1.95(m,7H)2.19−2.31(m,1H)2.33−2.42(m,1H)2.74(br.s.,4H)2.80−2.84(m,4H)3.38(br.s.,4H)3.60(t,J=11.40Hz,1H)3.70−3.78(m,4H)5.69(br.s.,1H)6.14(br.s.,1H)7.35(d,J=7.26Hz,1H)7.52(d,J=8.36Hz,1H)7.61−7.70(m,1H).
【0093】
工程2:N−(5−メチル−4−(2−(9−モルホリノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)−ピペリジン−1−イル)キナゾリン−2−イル)メタンスルホンアミドP7の合成
化合物P6(150mg、0.18mmol)を密閉管中の1,4−ジオキサン(5mL)中に溶解させた。メタンスルホンアミド(34.7mg、0.37mmol、2当量)、CsCO(149mg、0.47mmol、2.5当量)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(32mg、0.057mmol、0.3当量)および酢酸パラジウム(12.3mg、0.057mmol、0.3当量)を次に加えた。反応混合物は、10分間、マイクロ波内で120℃へ加熱した。次にデカライト(decalite)に通して濾過し、DCMですすぎ洗いした。溶液を減圧下で蒸発させた。粗物質を逆相HPLCによって精製すると、化合物P7(30mg、純度100%、収率29%)が得られた。
LCMS(M+1)=577.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.44−1.92(m,8H)2.14−2.27(m,1H)2.35−2.42(m,1H)2.66(s,3H)2.74(t,J=6.60Hz,2H)2.80(t,J=6.65Hz,2H)2.92(s,3H)3.32−3.46(m,4H)3.56(m,J=12.40,12.40Hz,1H)3.73(t,J=4.67Hz,4H)3.82(d,J=14.72Hz,1H)5.97(s,1H)6.18(s,1H)7.07(d,J=7.32Hz,1H)7.23(d,J=8.21Hz,1H)7.48(t,J=7.79Hz,1H)10.55(s,1H).
【0094】
N−(6−メチル−4−(2−(9−モルホリノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]−キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−イル)キナゾリン−2−イル)メタンスルホンアミドP9の合成
【化14】

工程1:4−(2−(1−(2−クロロ−6−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP8の合成
中間体8(100mg、0.29mmol)を2−メトキシエタノール(3mL)中に溶解させた。次に2,4−ジクロロ−6−メチルキナゾリン13(93.6mg、0.44mmol、1.56当量)およびDIPEA(0.150mL、0.88mmol、3.1当量)を加えた。反応混合物を40℃で一晩撹拌し、室温に冷却し、減圧下で蒸発させた。粗物質をDCM中に溶解させ、水で洗浄した。有機層は、硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させて蒸発させた。粗物質をDIPEおよびACNの混合物中で再結晶化させると白色沈殿物が得られたので、これを濾過すると化合物P8(60mg、純度100%、収率41%)が得られた。
LCMS(M+1):518.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.66−1.77(m,6H)1.77−1.85(m,2H)2.02−2.11(m,1H)2.41(s,3H)2.43−2.47(m,1H)2.71(s,2H)2.79−2.85(m,2H)3.37−3.48(m,5H)3.61−3.67(m,4H)4.23−4.32(m,1H)5.99−6.03(m,1H)6.38(s,1H)7.64(s,1H)7.66(d,J=1.32Hz,1H)7.89(s,1H).
【0095】
工程2:P9の合成
化合物P8(110mg、0.21mmol)を密閉管中の1,4−ジオキサン(5mL)中に溶解させた。メタンスルホンアミド(40.4mg、0.43mmol、2当量)、CsCO(173mg、0.53mmol、2.5当量)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(37mg、0.064mmol、0.3当量)および酢酸パラジウム(14.3mg、0.064mmol、0.3当量)を次に加えた。反応混合物は、20分間にわたりマイクロ波内で100℃へ加熱し、次にダイカライトの上方で濾過し、DCMですすぎ洗いした。溶液を減圧下で蒸発させ、逆相HPLCによって精製した。
生成物留分を蒸発させ、EtO中で粉末化すると、白色粉末として化合物P9(20mg、純度100%、収率16%)が得られた。
LCMS(M+1)=577.
H NMR(360K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.72−1.82(m,6H)1.82−1.89(m,2H)2.12(dd,J=13.53,5.17Hz,1H)2.35(s,3H)2.46−2.50(m,1H)2.76(t,J=6.27Hz,2H)2.85(t,J=6.60Hz,2H)2.96(s,3H)3.43−3.50(m,5H)3.71(t,J=4.18Hz,4H)4.48(d,J=12.76Hz,1H)6.20(d,J=3.52Hz,1H)6.42(s,1H)7.37(d,J=8.58Hz,1H)7.53(dd,J=8.47,1.43Hz,1H)7.78(s,1H).
【0096】
4−(2−(1−(5−フルオロキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ−[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP10の合成
【化15】

中間体8(200mg、0.59mmol)を2−メトキシエタノール(6mL)中に溶解させた。4−クロロ−5−フルオロキナゾリン(160mg、0.88mmol、1.5当量)およびDIPEA(0.30mL、1.76mmol、3当量)を加えた。反応混合物を50℃で1時間撹拌し、室温に冷却し、氷水中に注いだ。水層をDCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機物を、水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物は純粋DCMからDCM/MeOH(9/1)の勾配を備えるシリカカラム上で精製した。生成物留分を減圧下で蒸発させ、残留物をEtO中で粉末化すると、化合物18(230mg、純度100%、収率81%)が得られた。
LCMS(M+1)=488.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.56−1.86(m,8H)2.01−2.17(m,1H)2.48(br.s.,1H)2.68(t,J=6.16Hz,2H)2.79(t,J=6.60Hz,2H)3.34−3.44(m,5H)3.60−3.68(m,4H)3.83−3.97(m,1H)5.81−5.93(m,1H)6.17(s,1H)7.28−7.38(m,1H)7.63(dd,J=8.36,0.88Hz,1H)7.75−7.84(m,1H)8.53(s,1H).
【0097】
4−(2−(1−(5−(トリフルオロメチル)キナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP11の合成
【化16】

4−クロロ−5−(トリフルオロメチル)キナゾリン14の合成
【化17】

工程1:5−(トリフルオロメチル)キナゾリン−4(3H)−オン14−bの合成
n−ブタノール(180mL)中の2−アミノ−6−(トリフルオロメチル)安息香酸14−a(9.00g、43.9mmol)および酢酸ホルムアミジン(22.84g、219.4mmol)の混合物を100℃で5時間撹拌した。溶媒は真空下で蒸発させた。残留物をエタノール(2×50mL)で洗浄し、次に真空中の45℃で1時間乾燥させると、中間体14−b(9g、収率:91%)が得られた。
【0098】
工程2:4−クロロ−5−(トリフルオロメチル)キナゾリン14の合成
トリエチルアミン(29.3mL、210mmol)を、オキシ塩化リン(331g、2.16mol)中の中間体14−b(8.00g、37.4mmol)の混合物に0℃で加えた。混合物を2時間還流させた。溶媒は真空下で蒸発させた。残留物を酢酸エチル(200mL)中に溶解させ、この混合物を氷(200g)に加えた。分離した有機層を水(1×100mL)、10%重炭酸ナトリウム水溶液(2×100mL)、水(1×100mL)および塩水(1×100mL)で連続的に洗浄した。分離した有機層を硫酸ナトリウム上に通して乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル 1/0〜1/1)によって精製すると、中間体14(7.97g、91.38%)が得られた。
H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 7.89−8.06(m,1H)8.22(d,J=7.50Hz,1H)8.31(d,J=8.38Hz,1H)9.11(s,1H)
【0099】
4−(2−(1−(5−(トリフルオロメチル)キナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP11の合成
2−メトキシエタノール(5mL)中の中間体8(150mg、0.44mmol)の溶液に、4−クロロ−5−(トリフルオロメチル)キナゾリン14(123mg、0.53mmol、1.2当量)およびDIPEA(0.30mL、1.8mmol、4当量)を加えた。生じた混合物を50℃で17時間撹拌した。反応混合物を次に室温に冷却し、氷水溶液中に注入した。生じた混合物を氷が溶けるまで撹拌し、次にDCMで1回、EtOAcで1回抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗物質は純粋DCMからDCM/MeOH(95/5)の勾配を備えるシリカゲル上で直接的に精製した。生成物留分を蒸発させると、淡黄色粉末としての化合物P11(122mg、純度100%、収率51%)が得られた。
LCMS(M+1)=538.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.61−1.95(m,8H)2.13−2.25(m,1H)2.28−2.38(m,1H)2.66−2.73(m,2H)2.77−2.84(m,2H)3.29−3.40(m,4H)3.40−3.57(m,2H)3.69−3.78(m,4H)5.74(br.s.,1H)5.95(br.s.,1H)7.79−7.92(m,2H)7.99(d,J=7.70Hz,1H)8.51(br.s.,1H).
【0100】
4−(2−(1−(5−メトキシキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP12の合成
【化18】

2−メトキシエタノール(5mL)中の中間体8(150mg、0.44mmol)の溶液に、4−クロロ−5−メトキシキナゾリン(123mg、0.53mmol、1.2当量)およびDIPEA(0.23mL、1.31mmol、3当量)を加えた。混合物を50℃で17時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、氷で冷やした水中に注入した。生じた乳状溶液をEtOAcで抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗物質は純粋DCMからDCM/MeOH(95/5)の勾配を備えるシリカゲル上で精製した。生成物留分を蒸発させると、淡黄色固体として化合物P12の粉末(110mg、純度100%、収率50%)が得られた。
LCMS(M+1)=500.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d) d ppm 1.65−1.86(m,8H)2.05−2.23(m,1H)2.46(br.s.,1H)2.72−2.76(m,2H)2.81(t,J=6.16Hz,2H)3.41(d,J=3.74Hz,4H)3.44(br.s.,1H)3.74(br.s.,4H)3.92−3.95(m,1H)3.96(s,3H)5.90(br.s.,1H)6.09(s,1H)7.00(d,J=7.92Hz,1H)7.33(d,J=8.14Hz,1H)7.64(t,J=8.03Hz,1H)8.39(s,1H).
【0101】
4−(2−(1−(6−エチル−5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP13の合成
【化19】

4−クロロ−6−エチル−5−メチルキナゾリン15の合成
【化20】
【0102】
工程1:6−ヨード−5−メチルキナゾリン−4−オール15−bの合成
EtOH(500mL)中の6−アミノ−3−ヨード−2−メチル安息香酸15−a(35.0g、126mmol)および酢酸ホルムアミジン(59.0g、567mmol)の溶液を一晩還流させた。沈殿物を濾過して取り出してエタノールで洗浄すると、中間体79−b(21g、収率52%)が得られた。
【0103】
工程2:5−メチル−6−ビニルキナゾリン−4−オール15−cの合成
EtOH(150mL)中の中間体15−b(15.0g、52.4mmol)、カリウムトリフルオロ(ビニル)ボレート(10.6g、79.0mmol)、Pd(dppf)Cl(1.7g、2.6mmol)およびKCO(21.74g、157.3mmol)の溶液を一晩還流させた。溶媒は真空下で蒸発させた。残留物は、HOおよびCHClで処理した。分離した有機層をMgSO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させた。残留物は、SYNERGI(溶離液:TFA水/アセトニトリル 30/70(v/v))上の高性能液体クロマトグラフィーによって精製した。生成物留分を収集し、有機溶媒を蒸発させた。pHは、飽和NaHCOで7に調整した。水性濃縮液をCHClで抽出した。分離した有機層を真空下で濃縮すると、中間体15−c(3g、収率29%)が得られた。
【0104】
工程3:6−エチル−5−メチルキナゾリン−4−オール15−dの合成
MeOH(30mL)中の中間体15−c(3.0g、16mmol)およびHCl(11.5mL)の溶液は、触媒としてのPd/C(0.6g)を用いて15時間室温(50psi)で水素化した。H(32.50mg、16.11mmol)の取り込み後、触媒を濾過して取り除き、メタノールで洗浄した。溶媒を真空下で蒸発させると、中間体15−d(2.1g、収率66%)が得られた。
【0105】
工程4:4−クロロ−6−エチル−5−メチルキナゾリン15の合成
中間体15−d(1.80g、9.56mmol)、トリエチルアミン(2.220mL、15.95mmol)およびオキシ塩化リン(60mL)の混合物を2時間還流させた。溶媒は真空下で蒸発させた。残留物を酢酸エチル(200mL)中に溶解させ、この混合物を氷(200g)中に滴下した。分離した有機層は水(1×100mL)、10%の重炭酸ナトリウム水溶液(2×100mL)、水(1×100mL)および塩水(1×100mL)で連続的に洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濾液を真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル 1/0〜5/1)によって精製すると、中間体15(1.434g、68.94%)が得られた。
H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 1.27(t,J=7.65Hz,3H)2.88(q,J=7.53Hz,2H)2.94(s,3H)7.75(d,J=8.53Hz,1H)7.87(d,J=8.53Hz,1H)8.89(s,1H)
【0106】
工程5:4−(2−(1−(6−エチル−5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−イル)モルホリンP13の合成
2−メトキシエタノール(5mL)中の中間体8(150mg、0.44mmol)の溶液に、4−クロロ−6−エチル−5−メチルキナゾリン15(131mg、0.53mmol、1.2当量)およびDIPEA(0.23mL、1.31mmol、3当量)を加えた。混合物を50℃で6日間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、氷水中に注入した。生じた乳状溶液をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層は、水、塩水で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、蒸発させた。粗物質は、純粋DCMからDCM/MeOH(95/5)の勾配を備えるシリカゲル上で精製した。生成物留分を蒸発させると、白色粉末としての化合物P13(70mg、純度100%、収率31%)が得られた。
LCMS(M+1)=512.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.19−1.33(m,3H)1.63−1.94(m,8H)2.16−2.41(m,2H)2.80(br.s.,9H)3.37(br.s.,4H)3.50(br.s.,1H)3.73(d,J=3.52Hz,5H)5.32−6.47(m,2H)7.54−7.60(m,2H)8.41(br.s.,1H).
【0107】
N−(2−(2−(9−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)メタンスルホンアミドP14の合成
【化21】

工程1:2−(ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−オール16の合成
DCM(15mL)中の中間体5(500mg、1.34mmol)の溶液にTFA(0.51mL、6.7mmol、5当量)を加え、この反応液を5日間撹拌した。反応混合物を次に真空中で蒸発させ、DIPE中で粉末化した。生じた沈殿物を濾過すると、純粋な標的中間体16(300mg、純度100%、収率82%)が得られた。
LCMS(M+1)=273.
【0108】
工程2:N−(2−(2−(9−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)メタンスルホンアミドP14の合成
DMF(8mL)中の中間体16(300mg、1.1mmol)の溶液に、2−(メタンスルホンアミド)−5−メチル−安息香酸9−a(303mg、1.32mmol、1.2当量)、DIPEA(0.38mL、2.2mmol、2当量)およびHATU(628mg、1.65mmol、1.5当量)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、次に水でクエンチした。生じた混合物はEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、蒸発させた。粗物質を予備的HPLCによって精製すると、純粋な標的化合物P14(70mg、純度100%、収率13%)が得られた。
LCMS(M+1)=484.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.54−1.80(m,8H)1.88−2.00(m,1H)2.21−2.31(m,4H)2.45(t,J=6.80Hz,2H)2.60(t,J=6.23Hz,2H)3.04(s,3H)3.11−3.23(m,1H)3.84(d,J=13.35Hz,1H)5.54(d,J=5.21Hz,1H)5.86(s,1H)7.14−7.23(m,2H)7.33(d,J=8.07Hz,1H)8.22(s,1H)11.23(s,1H).
【0109】
N−(2−(2−(9−(ジメチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)メタンスルホンアミドP15の合成
【化22】

工程1:tert−ブチル2−(9−(ジメチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート17の合成
THF(20mL)中の中間体6(800mg、2.05mmol)の溶液に、ジメチルアミン(5.1mL、10.23mmol、5当量)を加えた。反応混合物を50℃で1週間撹拌し、次に室温に冷却し、真空中で蒸発させた。残留物をEtOAc中に溶解させ、水で洗浄した。有機層は、硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させて蒸発させた。粗物質をEtO中で粉末化し、真空中で蒸発させると、薄茶色の粉末として中間体17(700mg、純度100%、収率85)が得られた。
LCMS(M+1)=400.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.34−1.44(m,11H)1.55(br.s.,2H)1.69−1.84(m,5H)2.27−2.35(m,1H)2.69(t,J=6.16Hz,2H)2.80(t,J=6.60Hz,2H)2.84−2.93(m,1H)3.08(s,6H)3.83−3.93(m,1H)5.34−5.43(m,1H)6.06(s,1H).
【0110】
工程2:N,N−ジメチル−2−(ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−アミン18の合成
DCM(5mL)中の中間体17(100mg、0.25mmol)の溶液に、TFA(0.115mL、1.5mmol、6当量)を不活性雰囲気下で加えた。反応混合物を室温で2日間撹拌し、次に真空中で蒸発させた。残留物を水中に溶解させ、炭酸ナトリウムで塩基性化し、DCMで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させると、中間体18(55mg、純度91%、収率75%)が得られた。
LCMS(M+1)=300.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.44−1.62(m,4H)1.67−1.75(m,2H)1.76−1.84(m,3H)1.88−1.99(m,1H)2.69(t,J=6.27Hz,2H)2.73−2.77(m,1H)2.80(t,J=6.60Hz,2H)3.03−3.07(m,1H)3.09(s,6H)3.79−3.91(m,1H)6.26(s,1H).
【0111】
工程3:N−(2−(2−(9−(ジメチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)メタンスルホンアミドP15の合成
無水DMF(4mL)中の中間体18(180mg、0.60mmol)の溶液に、2−(メタンスルホンアミド)−5−メチル−安息香酸9−a(165.4mg、0.721mmol、1.2当量)、DIPEA(0.210mL、1.2mmol、2当量)およびHATU(343mg、0.90mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に水でクエンチした。生じた混合物をさらにEtOAcで抽出し、塩水(3×20mL)で洗浄した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を純粋DCMからDCM/MeOH(9/1)の勾配を備えるシリカカラム上で精製すると、化合物P15(260mg、純度100%、収率84%)が得られた。
LCMS(M+1)=511.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.50−1.71(m,4H)1.71−1.89(m,4H)1.91−2.06(m,1H)2.26(s,3H)2.27−2.36(m,1H)2.74(t,J=6.34Hz,2H)2.82(t,J=6.63Hz,2H)2.98(s,3H)3.11(s,6H)3.23(m,J=13.30,7.80,7.80Hz,1H)3.92(d,J=13.39Hz,1H)5.62(d,J=5.59Hz,1H)6.25(s,1H)7.10−7.25(m,2H)7.28−7.47(m,1H)8.07(br.s,1H).
【0112】
N,N−ジメチル−2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−アミンP16の合成
【化23】

2−メトキシエタノール(10mL)中の中間体18(369mg、1.23mmol)の溶液に、4−クロロ−5−メチルキナゾリン11(264mg、1.48mmol、1.2当量)およびDIPEA(3当量、0.637mL、3.7mmol)を加えた。反応混合物を50℃で3日間撹拌し、室温に冷却し、氷水中に注いだ。生じた沈殿物を濾過し、固体を純粋DCMからDCM/MeOH(9/1)の勾配を備えるシリカゲル上で精製した。留分を真空中で蒸発させ、EtO中で粉末化して蒸発乾固させると、化合物P16(230mg、純度100%、収率42%)が得られた。
LCMS(M+1)=442.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.54−1.94(m,8H)2.27(br.s.,2H)2.68(br.s.,4H)2.85(br.s.,3H)2.96(br.s.,6H)3.50(br.s.,2H)5.60−5.68(m,1H)6.01(br.s.,1H)7.30(d,J=6.16Hz,1H)7.52−7.65(m,2H)8.46(br.s.,1H).
【0113】
N−(4−メチル−2−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP17の合成
【化24】

工程1:tert−ブチル2−(5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート19の合成
密閉管中のDMF(10mL)中の中間体6(1g、1.54mmol)の溶液にギ酸ナトリウム(208mg、3mmol、2当量)およびパラジウムテトラキス(117mg,0.15mmol、0.1当量)を加えた。混合物をマイクロ波下で50分間140℃へ加熱し、ダイカライトの上方に通して濾過し、EtOAcですすぎ洗いした。有機層は、NaHCOの飽和溶液、次に塩水で洗浄し、次に硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗物質は純粋DCMからDCM/MeOH(95/5)の勾配を備えるシリカカラム上で精製し、生成物留分を収集して蒸発乾固させると、所望の中間体19(438mg、純度100%、収率80%)として白色粉末が得られた。
LCMS(M+1)=357.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.32−1.45(m,11H)1.51−1.60(m,2H)1.71−1.89(m,5H)2.31(d,J=13.20Hz,1H)2.76(t,J=6.16Hz,2H)2.84(t,J=6.49Hz,3H)3.91(d,J=12.76Hz,1H)5.43(br.s.,1H)6.18(s,1H)8.77(s,1H).
【0114】
工程2:2−(ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン20の合成
中間体19(438mg、1.23mmol)を1,4−ジオキサン(10mL)中のHCl(4M)溶液中に溶解させ、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を次にNaCOの氷冷飽和溶液に注入し、DCM(3×50mL)で抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させると、中間体20(300mg、純度100%、収率95%)が得られた。粗物質は、そのまま次の工程に使用した。
LCMS(M+1)=257.
【0115】
工程3:N−(4−メチル−2−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP17の合成
DMF(5mL)中の中間体20(150mg、0.59mmol)の溶液に、2−(メタンスルホンアミド)−5−メチル−安息香酸9−a(161mg、0.7mmol、1.2当量)、DIPEA(0.20mL、1.17mmol、2当量)およびHATU(334mg、0.89mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に水でクエンチし、EtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた有機物を塩水(3×50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗物質は、純粋DCMからDCM/MeOH(95/5)の勾配を備えるカラム上で精製した。留分を真空中で蒸発させると、淡黄色粉末として化合物P17(194mg、純度100%、収率70%)が得られた。
LCMS(M+1)=468.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.51−2.06(m,9H)2.33(s,4H)2.81(d,J=5.94Hz,2H)2.86−2.93(m,2H)3.01(s,3H)3.09(br.s.,1H)3.76(br.s.,1H)5.75(br.s.,1H)6.43(s,1H)7.08−7.27(m,2H)7.31−7.46(m,1H)8.54(br.s.,1H)8.68(s,1H).
【0116】
2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ−[5,1−b]キナゾリンP18の合成
【化25】

2−メトキシエタノール(5mL)中の中間体20(150mg、0.59mmol)の溶液に、4−クロロ−5−メチルキナゾリン11(170mg、0.89mmol、1.5当量)およびDIPEA(0.300mL、1.76mmol、3当量)を加えた。混合物を50℃で1日間撹拌し、次に室温に冷却し、NaHCOの氷冷飽和溶液に注入した。生じた混合物をさらにDCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗物質は、純粋DCMからDCM/MeOH(95/5)の勾配を備えるシリカゲル上で精製した。生成物留分を真空中で蒸発させると、淡黄色粉末としての標的化合物P18(194mg、純度100%、収率84%)が得られた。
LCMS(M+1)=399.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.49−1.89(m,8H)2.15−2.32(m,2H)2.71−2.76(m,2H)2.80(t,J=6.60Hz,2H)2.84(s,3H)3.45−3.55(m,2H)5.56−5.70(m,1H)6.08(br.s.,1H)7.23−7.36(m,1H)7.55−7.64(m,2H)8.40−8.52(m,2H).
【0117】
N−(2−(2−(9−(アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)メタンスルホンアミドP19の合成
【化26】

工程1:tert−ブチル2−(9−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート21
中間体6(500mg、1.13mmol)を密閉管中のMeOH(10mL)中のアンモニア(7M)中に溶解させた。生じた混合物を100℃で18時間加熱した。反応混合物を次に室温に冷却し、真空中で蒸発させた。粗物質は純粋DCMからDCM/MeOH(95/5)の勾配を備えるカラム上で直接的に精製した。生成物留分を蒸発させると、白色粉末としての純粋な中間体21(120mg、純度100%、収率28%)が得られた。
LCMS(M+1)=372.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.35−1.44(m,11H)1.56(d,J=8.80Hz,2H)1.77(d,J=2.86Hz,5H)2.31−2.44(m,1H)2.51−2.53(m,2H)2.62−2.74(m,2H)2.77−3.00(m,1H)3.85−3.96(m,1H)5.38(br.s.,1H)5.85(s,1H)7.26(br.s.,2H).
【0118】
工程2:2−(ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−9−アミン22の合成
中間体21(120mg、0.32mmol)を1,4−ジオキサン(5mL)中のHCl(4M)溶液中に溶解させ、室温で30分間撹拌した。反応混合物を次にNaCOの氷冷飽和溶液に注入し、DCM(3×15mL)で抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させると、粘性固体としての所望の中間体22(80mg、純度100%、収率91%)が得られた。
LCMS(M+1)=272.
【0119】
工程3:N−(2−(2−(9−(アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)メタンスルホンアミドP19の合成
DMF(3mL)中の中間体22(80mg、0.3mmol)の溶液に、2−(メタンスルホンアミド)−5−メチル−安息香酸9−a(81mg、0.35mmol、1.2当量)、DIPEA(0.102mL、0.59mmol、2当量)およびHATU(168mg、0.44mmol、1.5当量)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、次に水でクエンチした。生じた混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機物を塩水(3×15mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗物質は、純粋DCMからDCM/MeOH(95/5)の勾配を備えるカラム上で精製した。生成物留分を蒸発させると、白色粉末としての標的化合物P19(62mg、純度100%、収率43%)が得られた。
LCMS(M+1)=483.
H NMR(405K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.58−1.72(m,4H)1.82−1.86(m,4H)1.93−2.02(m,1H)2.31(s,3H)2.37(br.s.,1H)2.58−2.64(m,2H)2.74−2.77(m,2H)3.02(s,3H)3.12−3.21(m,1H)3.93(br.s.,1H)5.59(br.s.,1H)6.10−6.17(m,1H)6.81(br.s.,2H)7.21−7.26(m,2H)7.36(d,J=8.14Hz,1H)7.87−8.97(m,1H).
【0120】
N−(4−メチル−2−(2−(8−モルホリノ−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP20の合成
【化27】

工程1:tert−ブチル2−(8−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート23の合成
エタノール(100mL)中の中間体4(2g、7.2mmol)の溶液に、エチル−2−オキソシクロペンタンカルボキシレート(2当量、2.14mL、14.5mmol)および酢酸(10当量、4.2mL、72mmol)を室温で加えた。溶液を還流させながら16時間加熱した。この溶液を次に周囲温度へ冷却し、真空中で濃縮した。粗物質をジイソプロピルエーテル(50mL)中に取り上げ、室温で1時間撹拌した。固体を濾過で取り出し、オーブン内で乾燥させると、白色固体として中間体23(2.45g、94%)が得られた。
LCMS m/z=359(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.31−1.48(m,11H)1.49−1.63(m,2H)1.63−1.77(m,1H)2.00−2.13(m,2H)2.31(d,J=13.42Hz,1H)2.67(t,J=7.26Hz,2H)2.73−2.84(m,1H)2.90(t,J=7.70Hz,2H)3.89(d,J=13.42Hz,1H)5.18−5.39(m,1H)5.77(s,1H)
【0121】
工程2:tert−ブチル2−(8−クロロ−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート24の合成
アセトニトリル(50mL)中の中間体23(2.03g、5.6mmol)の溶液に、DIPEA(5当量、4.8mL、28.3mmol)を加え、この溶液を不活性雰囲気下の70℃で10分間撹拌した。次にPOCl(3当量、1.6mL、17mmol)をこの溶液に滴下し、反応混合物を70℃で16時間撹拌した。室温に冷却した後、粗物質はトルエンで2回共蒸発させた。粗物質を次にNaHCOの冷却飽和水溶液で取り上げた。生じた混合物を10分間撹拌した。この溶液をさらにジクロロメタンで抽出し、合わせた有機物をMgSOの上方に通して乾燥させて濃縮すると、中間体24(2.1g、収率98%)が得られた。
LCMS m/z=377(M+H)
【0122】
工程3:tert−ブチル2−(8−モルホリノ−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート25の合成
THF(60mL)中の中間体24(1.3g、3.45mmol)の溶液に、モルホリン(5当量、1.5mL、17.24mmol)を加え、この溶液を50℃で加熱した。3時間後、この溶液を真空中で濃縮し、酢酸エチルで希釈し、NaHCO(水性)溶液で洗浄した。合わせた有機物をMgSOの上方に通して乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗物質を0%〜10%のMeOHおよびDCMから出発する勾配で溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製すると、暗色油として中間体25(1.06g、70%)が得られたので、これを次の工程でそのまま使用した。
LCMS m/z=428(M+H)
【0123】
工程4:4−(2−(ピペリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−8−イル)モルホリン26の合成
DCM(25mL)中の中間体25(1.06g、2.47mmol)の溶液に、室温でTFA(3当量、0.57mL、7.4mmol)を加えた。この溶液を室温で16時間撹拌した。真空中で濃縮した後、粗物質をNaCOの冷却した飽和水溶液で希釈し、DCMで3回抽出した。合わせた有機物をMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮すると、中間体26(740mg、82%、純度90%)が得られたので、これを次の工程でそのまま使用した。
LCMS m/z=328(M+H)
【0124】
工程5:N−(4−メチル2−(2−(8−モルホリノ−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP20の合成
DMF(4mL)中の中間体26(124mg、0.37mmol)の溶液にDIPEA(1.5当量、0.1mL、0.57mmol)、5−メチル−2−[(メチルスルホニル)アミノ]安息香酸9−a(1.2当量、104mg、0.45mmol)およびHATU(2当量、288mg、0.76mmol)を室温で加えた。その溶液を室温で一晩撹拌した。水を加え、固体を濾過して取り出し、水で洗浄した。固体をMeOH中に溶解させ、さらにHPLC上で精製すると、化合物P20(53mg、26%)が得られた。
LCMS m/z=539(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.54−1.70(m,4H)1.98(td,J=14.43,6.83Hz,1H)2.09(quin,J=7.47Hz,2H)2.23−2.32(m,4H)2.83(t,J=7.73Hz,2H)2.96(s,3H)3.06(t,J=7.24Hz,2H)3.17−3.31(m,1H)3.61−3.71(m,4H)3.77−3.82(m,4H)3.91(d,J=14.13Hz,1H)5.61(m,J=4.04Hz,1H)6.23(s,1H)7.14(d,J=2.13Hz,1H)7.19(dd,J=7.94,1.55Hz,1H)7.34(d,J=8.07Hz,1H)8.07(br.s.,1H)
【0125】
4−(2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−8−イル)モルホリンP21の合成
【化28】

2−メトキシエタノール(10mL)中の中間体26(190mg、0.52mmol)の溶液に4−クロロ−5−メチル−キナゾリン11(1.31当量、128.5mg、0.68mmol)およびDIPEA(3当量、0.27mL、1.56mmol)を加えた。この溶液を80℃で48時間加熱した。真空中で濃縮した後、粗物質をHPLC上で精製すると、白色固体として化合物P21(56mg、23%)が得られた。
LCMS m/z=470(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.52−1.65(m,1H)1.66−1.76(m,2H)1.83−1.96(m,1H)2.01−2.13(m,2H)2.20−2.33(m,2H)2.80(t,J=7.70Hz,2H)2.87(s,3H)3.04(t,J=7.15Hz,2H)3.48−3.62(m,6H)3.67−3.75(m,4H)5.46−5.64(m,1H)6.00(br.s,1H)7.28−7.38(m,1H)7.56−7.67(m,2H)8.48(s,1H)
【0126】
2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−8−(ピロリジン−1−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンP22の合成
【化29】

工程1:tert−ブチル2−(8−ピロリジン−1−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート27の合成
THF(60mL)中の中間体24(800mg、2.1mmol)の溶液にピロリジン(5当量、0.87mL、10.6mmol)を加えた。この溶液を室温で3時間撹拌した。蒸発させた後、粗物質をEtOAcで抽出し、飽和NaHCO溶液で洗浄した。合わせた有機物をMgSOにより乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗物質を0%〜10%のMeOHおよびDCMから出発する勾配を用いるカラムクロマトグラフィー溶出によって精製すると、暗色油として中間体27(550mg、61%)が得られたので、これを次の工程でそのまま使用した。
LCMS m/z=412(M+H)
【0127】
工程2:2−(ピペリジン−2−イル)−8−(ピロリジン−1−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン28の合成
DCM(20mL)中の中間体27(520mg、1.22mmol)の溶液にTFA(6当量、0.56mL、7.35mmol)を加えた。溶液を室温で16時間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮した。生じた残留物にNaHCOの飽和水溶液を加えた。生じた混合物をDCMで抽出した。合わせた有機物を収集し、MgSOを用いて乾燥させて蒸発させると中間体28(260mg、68%、純度86%)が得られたので、これを次の工程でそのまま使用した。
LCMS m/z=312(M+H)
【0128】
工程3:2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−8−(ピロリジン−1−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンP22の合成
2−メトキシエタノール(40mL)中の中間体28(250mg、0.80mmol)の溶液に中間体11(1.5当量、226mg、1.20mmol)およびDIPEA(3当量、0.415mL、2.4mmol)を加えた。この溶液を50℃で48時間撹拌した。混合物を次に真空中で濃縮し、DCMで抽出し、NaHCOの飽和水溶液で洗浄した。合わせた有機物をMgSOの上方に通して乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗物質をHPLCによって精製すると、化合物P22(170mg、45%)が得られた。
LCMS m/z=454(M+H)
H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 1.24−1.37(m,1H)1.41−1.55(m,1H)1.60−1.67(m,1H)1.85−1.97(m,5H)1.97−2.15(m,2H)2.15−2.48(m,2H)2.70−3.44(m,8H)3.53−4.23(m,5H)5.22−6.39(m,2H)7.21−7.26(m,1H)7.52−7.73(m,2H)8.51−8.64(m,1H)
【0129】
N−(4−メチル−2−(2−(10−モルホリノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP23の合成
【化30】

工程1:tert−ブチル2−(10−ヒドロキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロペンタ[d]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート29の合成
EtOH(25mL)中の中間体4(500mg、1.87mmol)の溶液にエチル2−オキソシクロ−ヘプタンカルボキシレート(0.66mL、3.74mmol、2当量)およびAcOH(1mL、18.70mmol、10当量)を加えた。生じた混合物を還流させながら3時間撹拌した。反応混合物を次に真空中で蒸発させ、DIPE中で粉末化した。生じた沈殿物を濾過すると、白色粉末として中間体29(650mg、純度100%、収率90%)が得られた。
LCMS(M+1)=387.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.35−1.45(m,11H)1.46−1.52(m,2H)1.52−1.60(m,2H)1.61−1.83(m,5H)2.32(d,J=12.32Hz,1H)2.62−2.86(m,5H)3.90(d,J=12.76Hz,1H)5.31(br.s.,1H)5.74(s,1H)11.80−12.12(m,1H).
【0130】
工程2:tert−ブチル2−(10−クロロ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[d]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート30の合成
ACN(15mL)中の中間体29(550mg、1.42mmol)の溶液にDIPEA(1.23mL、7.12mmol、5当量)およびPOCl(0.4mL、4.27mmol、3当量)を加えた。反応混合物を70℃で1日間撹拌し、次に室温に冷却し、トルエンで2回共蒸発させた。残留物を最小量のACN中に溶解させ、NaHCOの氷冷飽和溶液中に注入した。生成物をDCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させると、中間体30(570mg、純度100%、収率98%)が得られた。
LCMS(M+1)=405.
【0131】
工程3:tert−ブチル2−(10−モルホリノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[d]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート31の合成
THF(15mL)中の中間体30(570mg、1.41mmol)の溶液にモルホリン(5当量、0.62mL、7.04mmol)を加えた。この反応混合物を50℃で5時間撹拌し、次いで、室温に冷却した。残留物を水中で粉末化し、2時間撹拌した。沈殿物を濾過すると、薄茶色粉末として中間体31(600mg、純度91%、収率94%)が得られた。
LCMS(M+1)=456.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.34−1.46(m,11H)1.56(d,J=7.92Hz,2H)1.66(br.s.,4H)1.78(d,J=5.06Hz,3H)2.25−2.35(m,1H)2.79−2.88(m,3H)2.90−2.97(m,2H)3.42(br.s.,4H)3.70−3.80(m,4H)3.87−3.95(m,1H)5.42(br.s,1H)6.19(s,1H).
【0132】
工程4:4−(2−(ピペリジン−2−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[d]−ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン−10−イル)モルホリン32の合成
中間体31(500mg、1.1mmol)を1,4−ジオキサン(25mL)中のHCl(4M)溶液中に溶解させ、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を次にNaCOの飽和水溶液に注入し、DCM(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させると、中間体32(290mg、純度84%、収率62%)が得られた。粗物質は、そのまま次の工程に使用した。
LCMS(M+1)=356.
【0133】
工程5:N−(4−メチル−2−(2−(10−モルホリノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[d]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP23の合成
DMF(3mL)中の中間体32(120mg、0.34mmol)の溶液に、2−(メタンスルホンアミド)−5−メチル−安息香酸9−a(93mg、0.41mmol、1.2当量)、DIPEA(0.12mL、0.68mmol、2当量)およびHATU(193mg、0.51mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に水でクエンチした。生じた沈殿物を一晩撹拌し、その後に濾過した。濾液をEtOAcで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、蒸発させた。固体を集め、純粋DCMからDCM/MeOH(9/1)の勾配を備えるカラム上で精製すると、所望の化合物P23(88mg、純度100%、収率46%)が得られた。
LCMS(M+1)=567.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.52−1.90(m,10H)1.93−2.12(m,1H)2.21−2.41(m,4H)2.86−3.09(m,7H)3.15−3.37(m,1H)3.38−3.55(m,4H)3.77−3.87(m,4H)3.93(d,J=13.71Hz,1H)5.69(s,1H)6.36(s,1H)7.14−7.28(m,2H)7.30−7.48(m,1H)8.17(br.s,1H).
【0134】
4−(2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[d]−ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン−10−イル)モルホリンP24の合成
【化31】

2−メトキシエタノール(15mL)中の中間体32(290mg、0.65mmol)の溶液に、4−クロロ−5−メチルキナゾリン11(153mg、0.78mmol、1.2当量)およびDIPEA(0.34mL、1.96mmol、3当量)を加えた。反応混合物を50℃で5日間撹拌し、次に室温に冷却し、氷水中に注いだ。この混合物をDCMおよびEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、蒸発させた。残留物を次にACN中で再結晶化させると、化合物P24(80mg、純度100%、収率24%)が得られた。
LCMS(M+1)=498.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.65−1.93(m,10H)2.24−2.37(m,2H)2.88−2.90(m,4H)2.93−2.97(m,2H)3.26−3.36(m,4H)3.48−3.63(m,2H)3.68−3.77(m,5H)5.55−5.70(m,1H)6.11(br.s,1H)7.27−7.39(m,1H)7.56−7.70(m,2H)8.50(s,1H).
【0135】
N−(4−メチル−2−(2−(8−モルホリノ−5,7−ジヒドロフロ「3,4−d]ピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP25の合成
【化32】

工程1:(E)−tert−ブチル2−(5−((4−(メトキシカルボニル)ジヒドロフラン−3(2H)−イリデン)アミノ)−1H−ピラゾール−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート33の合成
EtOH(25mL)中の中間体4(500mg、1.87mmol)の溶液に、メチル4−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボキシレート(0.54mg、3.74mmol、2当量)およびAcOH(1.07mL、18.7mmol、10当量)を加えた。混合物を還流させながら2時間撹拌し、その後に室温に冷却した。反応混合物を真空中で蒸発させ、残留物をNaHCOの飽和溶液中に注入した。生じた混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させると、標的中間体33(700mg、純度100%、収率95%)が得られた。
LCMS(M+1)=393.
【0136】
工程2:tert−ブチル2−(8−ヒドロキシ−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート34の合成
EtOH(15mL)中の中間体33(700mg、1.78mmol)の溶液に、MeOH(1mL)中のNaOMe(30%)の溶液を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を次に真空中で蒸発させ、DIPE中で粉末化した。生じた沈殿物を濾過すると、白色粉末として純粋な標的中間体34(640mg、純度100%、収率99%)が得られた。
LCMS(M+1)=361.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.33−1.39(m,2H)1.41(s,9H)1.55(br.s.,2H)1.71(d,J=5.28Hz,1H)2.31(d,J=12.98Hz,1H)2.72−2.87(m,1H)3.90(d,J=13.20Hz,1H)4.88−4.93(m,2H)4.95−5.00(m,2H)5.33(d,J=2.86Hz,1H)5.90(s,1H)12.40−12.99(m,1H)
【0137】
工程3:tert−ブチル2−(8−クロロ−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート35の合成
無水ACN(15mL)中の中間体34(700mg、1.9mmol)の溶液に、DIPEA(1.7mL、9.7mmol、5当量)およびPOCl(0.54mL、5.8mmol、3当量)を加えた。反応混合物を70℃で2日間撹拌し、次に室温に冷却し、減圧下でトルエンとともに(3回)共蒸発させた。残留物を次にNaCOの飽和水溶液に注入し、氷を用いて冷却し、DCM(2×30mL)で2回抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させると、標的中間体35(700mg、純度85%、収率95%)が得られた。粗物質は、そのまま次の工程に使用した。
LCMS(M+1)=379.
【0138】
工程4:tert−ブチル2−(8−モルホリノ−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート36の合成
THF(20mL)中の中間体35(700mg、1.84mmol)の溶液にモルホリン(0.5mL、5.5mmol、3当量)を加えた。生じた混合物を50℃で65時間撹拌した。反応混合物を次に室温に冷却し、真空中で蒸発させた。残留物をEtOAc中に溶解させ、水、次に塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させると、粘性固体として中間体36(250mg、純度83%、収率31%)が得られた。
LCMS(M+1)=430.
【0139】
工程5:8−モルホリノ−2−(ピペリジン−2−イル)−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン37の合成
中間体36(250mg、0.58mmol)をジオキサン(5mL)中のHCl(4M)溶液に溶解させた。生じた混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を次に氷で冷却したNaCOの飽和水溶液に注入した。生じた混合物をDCM(3×15mL)で抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させると、粘性固体として中間体37(130mg、収率67%)が得られた。
粗物質は、そのまま次の工程に使用した。
LCMS(M+1)=330.
【0140】
工程6:N−(4−メチル−2−(2−(8−モルホリノ−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP25の合成
DMF(3mL)中の中間体37(130mg、0.4mmol)の溶液に、2−(メタンスルホンアミド)−5−メチル−安息香酸9−a(109mg、0.47mmol、1.2当量)、DIPEA(0.204mL、1.18mmol、3当量)およびHATU(225mg、0.59mmol、1.5当量)を加えた。生じた混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を次に水でクエンチし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機物を塩水(3×15mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗物質は、純粋DCMからDCM/MeOH(95/5)の勾配を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製した。分留を蒸発させて予備的HPLCによって精製すると、白色固体として化合物P25(40mg、純度100%、収率18%)が得られた。
LCMS(M+1)=541.
H NMR(370K,400MHz,DMSO−d)d ppm 1.51−1.72(m,4H)1.99(br.s.,1H)2.27(s,3H)2.31(br.s.,1H)2.98(s,3H)3.10−3.21(m,1H)3.67−3.72(m,4H)3.76−3.81(m,4H)3.83−3.95(m,1H)4.79(s,2H)5.27(s,2H)5.51−5.77(m,1H)6.36(s,1H)7.15(d,J=1.98Hz,1H)7.22(dd,J=8.25,1.43Hz,1H)7.33(d,J=8.36Hz,1H)8.05−8.46(m,1H).
【0141】
N−(2−(2−(9−(ジメチルアミノ)−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ−[1,5a]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)−メタンスルホンアミドP26およびN−(2−(2−(5−(ジメチルアミノ)−9−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロピラゾロ−[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)メタンスルホンアミドP27の合成
【化33】

工程1:tert−ブチル2−(9−(ジメチルアミノ)−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[1,5a]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート40およびtert−ブチル2−(5−(ジメチルアミノ)−9−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート41の合成
不活性雰囲気下の脱気トルエン中のViehe塩38(364mg、2.24mmol、3当量)の溶液に1−メチル−2−ピペリドン(0.17mL、1.5mmol、2当量)を加えた。生じた混合物を還流するまで30分間加熱した。次にTHF(4mL)およびDIPEA(0.39mL、2.25mmol、3当量)中に溶解したピラゾロ−ピリミジン−boc−ピペリジン4(200mg、0.75mmol)を加えた。生じた混合物を80℃で30分間加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、EtOAcで抽出した。有機層を次に硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗物質は、純粋DCMからDCM/MeOH(9/1)の勾配を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製すると、2種の異性体の混合物が得られた。この混合物をSFCによって分離すると、中間体40(45mg、純度100%、収率15%)および中間体41(40mg、純度100%、収率12%)が得られた。
LCMS(M+1)=415.
40:H NMR(600MHz,DMSO−d)δ ppm 1.33−1.46(m,11H)1.55(br.s.,2H)1.70−1.77(m,1H)1.77−1.84(m,2H)2.26(d,J=12.76Hz,1H)2.61(t,J=6.02Hz,2H)2.80(s,6H)3.30−3.34(m,2H)3.47(s,3H)3.83−3.94(m,1H)5.34(br.s.,1H)5.81(s,1H).
41:H NMR(600MHz,DMSO−d)δ ppm 1.33−1.46(m,11H)1.54(d,J=9.10Hz,2H)1.66−1.74(m,1H)1.78−1.85(m,2H)2.25(d,J=13.06Hz,1H)2.66−2.72(m,2H)2.97(s,6H)3.06(s,3H)3.36−3.39(m,2H)3.86(d,J=12.91Hz,1H)5.29(br.s.,1H)5.65(s,1H).
【0142】
この反応をより大きな規模(1gの中間体4)で実施し、混合物は次の工程でそのまま使用した。
【0143】
工程2:N,N,5−トリメチル−2−(ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[1,5a]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−9−アミド42およびN,N,9−トリメチル−2−(ピペリジン−2−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−ピラゾロ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピリミジン−5−アミン43の合成
中間体40および中間体41の混合物(730mg、1.76mmol)を1,4−ジオキサン(15mL)中のHCl(4M)溶液中に溶解させ、生じた混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を次にNaCOの氷冷飽和溶液に注入し、DCMで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で蒸発させると、中間体42および中間体43の混合物(423mg、収率76%)が得られた。
粗物質は、そのまま次の工程に使用した。
LCMS(M+1)=315.
【0144】
工程3:N−(2−(2−(9−(ジメチルアミノ)−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[1,5a]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)−メタンスルホンアミドP26およびN−(2−(2−(5−(ジメチルアミノ)−9−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリド−[3,2−e]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチルフェニル)メタンスルホンアミドP27の合成
DMF(12mL)中の中間体42および中間体43(423mg、1.345mmol)の溶液に、2−(メタンスルホンアミド)−5−メチル−安息香酸9−a(370mg、1.61mmol、1.2当量)、DIPEA(0.46mL、2.7mmol、2当量)およびHATU(767mg、2mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を次に水でクエンチし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機物を塩水(3×50mL)で洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗物質は、純粋DCMからDCM/MeOH(95/5)の勾配を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製すると、2種の生成物の混合物が得られた。この混合物をSFCによって分離すると、化合物P26(110mg、純度100%、収率15%)および化合物P27(250mg、純度100%、収率35%)が白色粉末として得られた。
LCMS(M+1)=526.
P26:H NMR(600MHz,DMSO−d)δ ppm 1.52−1.64(m,4H)1.80−1.88(m,2H)1.88−1.95(m,1H)2.21−2.28(m,4H)2.72(t,J=6.46Hz,2H)2.99(s,3H)3.01(s,6H)3.08(s,3H)3.10−3.24(m,1H)3.38(t,J=5.65Hz,2H)3.66−4.14(m,1H)5.17−5.66(m,1H)5.83(s,1H)7.19−7.23(m,2H)7.33(d,J=8.51Hz,1H)8.37(br.s.,1H).
P27:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.51−1.68(m,4H)1.83(quin,J=5.75Hz,2H)1.88−1.99(m,1H)2.21−2.31(m,1H)2.27(s,2H)2.64(t,J=6.06Hz,2H)2.84(s,6H)2.99(s,3H)3.09−3.20(m,1H)3.34(dd,J=9.28,4.44Hz,2H)3.49(s,3H)3.89(br.s.,1H)5.51(br.s.,1H)5.97(s,1H)7.17(s,1H)7.20(d,J=8.01Hz,1H)7.33(d,J=8.07Hz,1H)8.34(br.s.,1H).
【0145】
N−(4−メチル−2−(2−(9−モルホリノ−7,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[3,4−d]ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタン−スルホンアミドP28の合成
【化34】

工程1:tert−ブチル2−(9−ヒドロキシ−7,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[3,4−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート44の合成
EtOH(50mL)中の中間体4(500mg、1.87mmol)に、エチル3−オキソテトラヒドロフラン−2H−ピラン−4−カルボキシレート(0.55mg、3.74mmol、2当量)およびAcOH(1.07mL、18.69mmol、10当量)を加えた。反応混合物を還流させながら2時間撹拌し、次に室温に冷却し、減圧下で蒸発させた。残留物をDIPE中で粉末化した。沈殿物を濾過すると、中間体44(675mg、純度100%、収率96%)が得られた。
LCMS(M+1)=375.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.31−1.47(m,11H)1.56(br.s.,2H)1.70(d,J=5.06Hz,1H)2.32(d,J=12.98Hz,1H)2.44−2.48(m,2H)2.70−2.88(m,1H)3.81−3.96(m,3H)4.51(s,2H)5.32(br.s.,1H)5.77(s,1H)12.08(br.s.,1H).
【0146】
工程2:tert−ブチル2−(9−クロロ−7,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[3,4−d]ピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート45の合成
不活性雰囲気下のACN(50mL)中の中間体44(675mg、1.80mmol)に、DIPEA(1.55mL、9.03mmol、5当量)およびPOCl(0.5mL、5.41mmol、3当量)を加えた。反応混合物を、70℃で8時間および室温で2日間撹拌した。反応混合物は、トルエンで2回共蒸発させ、最小量のACN中に溶解させ、次に氷で冷却したNaHCOの飽和溶液中注入した。生じた沈殿物を30分間撹拌して濾過した。混合物をジクロロメタン中に溶解させ、減圧下で蒸発させると、中間体45(741mg、純度89%、収率93%)として褐色の粘性粗物質が得られた。粗物質は、そのまま次の工程に使用した。
LCMS(M+1)=393.
【0147】
工程3:tert−ブチル2−(9−モルホリノ−7,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[3,4−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート46の合成
中間体45(741mg、純度89%、1.68mmol)は、THF(15mL)中に溶解させた。モルホリン(5当量、0.74mL、8.4mmol)を加えた。反応混合物を50℃で1日間撹拌し、次に室温に冷却し、減圧下で蒸発させた。残留物をEtOAc中に溶解させ、水(3×50mL)、次に塩水で1回洗浄した。有機層を減圧下で蒸発させた。粗物質を次に水中で粉末化して濾過すると、緑色粉末として中間体46(450mg、純度92%、収率60%)が得られた。
LCMS(M+1)=444.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.32−1.45(m,11H)1.49−1.62(m,2H)1.70−1.85(m,1H)2.29(d,J=11.22Hz,1H)2.75−3.03(m,3H)3.57(br.s.,4H)3.69−3.81(m,4H)3.82−3.98(m,3H)4.63(s,2H)5.42(br.s,1H)6.15(s,1H).
【0148】
工程4:9−モルホリノ−2−(ピペリジン−2−イル)−7,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[3,4−d]ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン47の合成
DCM(2mL)中の中間体46(100mg、0.23mmol)の溶液にTFA(0.09mL、1.13mmol、5当量)を加えた。反応混合液を室温で1日間撹拌し、次に減圧下で蒸発させ、水中に溶解させた。水層をNaCOの飽和溶液で塩基性化し、DCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で濃縮すると、薄茶色の粉末として中間体47(60mg、純度85%、収率77%)が得られた。
LCMS(M+1)=344.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.62−1.75(m,2H)1.75−1.89(m,3H)2.18−2.26(m,1H)2.85(t,J=5.72Hz,2H)3.04−3.10(m,1H)3.35−3.39(m,1H)3.56−3.62(m,4H)3.80(t,J=4.62Hz,4H)3.84−3.91(m,2H)4.44−4.51(m,1H)4.65(s,2H)6.51(s,1H).
【0149】
工程5:N−(4−メチル−2−(2−(9−モルホリノ−7,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[3,4−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP28の合成
DMF(4mL)中の中間体47(150mg、0.437mmol)の溶液に、2−(メタンスルホンアミド)−5−メチル−安息香酸(120.2mg、0.524mmol、1.2当量)、DIPEA(0.151mL、0.874mmol、2当量)およびHATU(249mg、0.66mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に水でクエンチし、EtOAcで抽出し、塩水(3×20mL)で洗浄した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質は純粋DCMからDCM/MeOH(9/1)の勾配を備えるシリカカラム上で精製した。
生成物留分を濃縮し、DIPE/ACN(3/1)中で再結晶化すると、白色結晶として化合物P28(35mg、純度100%、収率14%)が得られた。
LCMS(M+1)=555.
H NMR(320K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.01(s,1H)1.46−1.69(m,4H)1.90−2.13(m,1H)2.20−2.38(m,4H)2.41(s,1H)2.85(t,J=5.57Hz,2H)3.00(s,3H)3.51−3.64(m,4H)3.73−3.84(m,3H)3.89(t,J=5.45Hz,2H)4.64(s,2H)6.36(s,1H)7.19(s,1H)7.23(d,J=8.48Hz,1H)7.32(d,J=8.07Hz,1H)8.72(br.s.,1H).
【0150】
2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−9−モルホリノ−7,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[3,4−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンP29の合成
【化35】

2−メトキシエタノール(10mL)中の中間体47(300mg、0.87mmol)の溶液に、4−クロロ−5−メチルキナゾリン11(246mg、1.31mmol、1.5当量)およびDIPEA(0.45mL、2.62mmol、3当量)を加えた。反応混合物を50℃で5日間撹拌し、次に室温に冷却し、氷水中に注いだ。沈殿物を濾過した。固体をDCM中に溶解させ、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残留物を次にACN中で再結晶化させると、白色結晶として化合物P29(136mg、純度100%、収率32%)が得られた。
LCMS(M+1)=486.
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.59(br.s.,1H)1.71(br.s.,2H)1.88(br.s.,1H)2.30(br.s.,2H)2.80−2.85(m,2H)2.88(br.s.,3H)3.37−3.49(m,4H)3.55(d,J=10.34Hz,2H)3.73(d,J=4.18Hz,4H)3.81−3.94(m,2H)4.60(s,2H)5.62(br.s.,1H)6.09(br.s.,1H)7.34(d,J=5.94Hz,1H)7.53−7.71(m,2H)8.49(br.s.,1H).
【0151】
2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−9−モルホリノ−6,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンP30の合成
【化36】

工程1:tert−ブチル2−(9−ヒドロキシ−6,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]−ピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート48の合成
エタノール(100mL)中の中間体4(2mg、7.2mmol)の溶液に、メチル4−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(2.4mg、15mmol、2.1当量)および酢酸(4.1mL、10当量)を加えた。この溶液を還流させながら4時間撹拌した。溶液を次に真空中で濃縮し、ジイソプロピルエーテル中で粉末化した。固体を濾過で取り出し、オーブン内で乾燥させると、白色粉末として中間体48(1.95g、72%)が得られた。
LCMS m/z=375(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.30−1.38(m,2H)1.42(s,9H)1.48−1.63(m,2H)1.64−1.77(m,1H)2.31(d,J=13.64Hz,1H)2.69(s,2H)2.72−2.85(m,1H)3.79−3.96(m,3H)4.44(s,2H)5.31(br.s,1H)5.77(s,1H)12.20(s,1H)
【0152】
工程2:tert−ブチル2−(9−クロロ−6,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]ピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート49の合成
アセトニトリル(50mL)中の中間体48(1.5g、4mmol)およびDIPEA(3.4mL、20mmol、5当量)の溶液に、オキシ塩化リン(3.7mL、40mmol、10当量)を室温で滴下した。生じた混合物を次に70℃へ加熱し、16時間撹拌した。溶液を次に真空中で濃縮し、トルエンで2回共蒸発させた。粗物質をジクロロメタン(100mL)で希釈し、NaHCO(飽和)溶液で洗浄した。合わせた有機物を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮すると、中間体49(2.1mg、97%、純度73%)が得られたので、これを次の工程でそのまま使用した。
LCMS m/z=393(M+H)
【0153】
工程3:tert−ブチル2−(9−モルホリノ−6,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]ピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−2−イル)−ピペリジン−1−カルボキシレート50の合成
2−メトキシエタノール(80mL)中の中間体49(2.1g、純度73%、2.6mmol)の溶液に、モルホリン(1.2mL、13mmol、5当量)を室温で滴下した。生じた混合物を50℃へ加熱した。16時間後、溶液を真空中で濃縮し、EtOAc(100mL)で希釈した。溶液をNaHCO飽和溶液で洗浄し、合わせた有機物をMgSOにより乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、0%から出発して10%までのMeOHおよびDCMの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、油として中間体50(1.7g、97%、純度70%)が得られたので、これを次の工程でそのまま使用した。
LCMS m/z=444(M+H)
【0154】
工程4:9−モルホリノ−2−(ピペリジン−2−イル)−6,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン51の合成
ジクロロメタン(40mL)中の中間体50(1.7g、純度70%、3.8mmol)の溶液に、TFA(0.88mL、11.5mmol、3当量)を不活性雰囲気下の室温で加えた。この溶液を室温で16時間撹拌した。溶液を次に飽和NaCO溶液でpH=7に調整した。合わせた有機層を収集し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮すると、中間体51(800mg、60%)が得られたので、これを次の工程でそのまま使用した。
LCMS m/z=344(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.40−1.63(m,4H)1.78−1.87(m,1H)1.92−2.02(m,1H)2.67−2.77(m,1H)2.85−2.93(m,2H)3.03−3.11(m,2H)3.45−3.54(m,4H)3.71−3.80(m,4H)3.81−3.87(m,1H)3.98(s,2H)4.75(s,2H)6.35(s,1H)
【0155】
工程5:2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−9−モルホリノ−6,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンP30の合成
2−メトキシエタノール(20mL)中の中間体51(130mg、0.37mmol)の溶液に、DIPEA(0.2mL、1.13mmol、3当量)および4−クロロ−5−メチルキナゾリン11(100mg、0.5mmol、1.3当量)を室温で加えた。生じた混合物を室温で48時間撹拌した。真空中で濃縮した後、粗物質をHPLCによって精製すると、白色固体として化合物P30(80mg、43%)が得られた。
LCMS m/z=486(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.48−1.65(m,1H)1.66−1.77(m,2H)1.81−1.94(m,1H)2.21−2.38(m,2H)2.75−2.89(m,5H)3.33−3.39(m,4H)3.40−3.46(m,1H)3.49−3.58(m,1H)3.68−3.74(m,4H)3.93−4.00(m,2H)4.72(s,2H)5.62(br.s,1H)6.12(br.s,1H)7.35(d,J=6.38Hz,1H)7.54−7.68(m,2H)8.49(s,1H)
【0156】
2−(1−(2−クロロ−5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−9−モルホリノ−6,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンP31の合成
【化37】

密閉管中の中間体51(30mL)の溶液に、DIPEA(0.8mL、4.8mmol、3当量)および2,4−ジクロロ−5−メチルキナゾリン12(930mg、2.4mmol、1.5当量)を室温で加えた。生じた混合物を50℃に加熱し、2時間撹拌した。この溶液を次に真空中で濃縮し、ジクロロメタン(80mL)で希釈し、NaHCO溶液で洗浄した。合わせた有機物をMgSOにより乾燥させ、濾過して真空中で濃縮した。粗物質を次にHPLC上で精製すると、化合物P31(250mg、30%)が得られた。
LCMS m/z=520(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.53−1.67(m,1H)1.72(br.s.,2H)1.82−1.94(m,1H)2.19−2.40(m,2H)2.83(s,3H)2.91(t,J=6.40Hz,2H)3.35−3.43(m,4H)3.52−3.76(m,6H)3.99(t,J=6.40Hz,2H)4.75(s,2H)5.68(br.s,1H)6.20(br.s.,1H)7.36(d,J=7.04Hz,1H)7.52(d,J=8.36Hz,1H)7.66(t,J=7.90Hz,1H)
【0157】
N−(5−メチル−4−(2−(9−モルホリノ−6,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−イル)キナゾリン−2−イル)メタンスルホンアミドP32の合成
【化38】

1,4−ジオキサン(5mL)中の化合物P31(80mg、0.15mmol)の溶液に、マイクロ波バイアル中のメタンスルホンアミド(30mg、0.3mmol、2当量)、炭酸セシウム(125mg、0.385mmol、2.5当量)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(44mg、0.07mmol、0.5当量)および酢酸パラジウム(17mg、0.07mmol、0.5当量)を加えた。溶液は、マイクロ波反応装置内で10分間、110℃まで加熱した。この溶液をダイカライトに通して濾過し、真空中で濃縮してHPLC上で精製すると、白色固体として化合物P32(25mg、28%)が得られた。
LCMS m/z=579(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.53−1.66(m,1H)1.66−1.78(m,2H)1.79−1.90(m,1H)2.17−2.34(m,1H)2.39−2.46(m,1H)2.70(br.s.,3H)2.95(br.s.,5H)3.40−3.49(m,4H)3.53−3.63(m,1H)3.72−3.77(m,4H)3.81−3.89(m,1H)3.97−4.02(m,2H)4.76(s,2H)6.02(br.s,1H)6.27(br.s,1H)7.09−7.13(m,1H)7.24−7.30(m,1H)7.47−7.56(m,1H).
【0158】
2−(1−(2−エトキシ−5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−9−モルホリノ−6,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンP33の合成
【化39】

エタノール(5mL)中の化合物P31(100mg、0.192mmol)の溶液に、ナトリウムエトキシド(0.36mL、0.961mmol)を加えた。生じた混合物を80℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却するに任せ、溶媒を蒸発させた。生じた残留物はジクロロメタンおよびメタノールを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製すると、化合物P33(30mg、30%)が得られた。
LCMS m/z=530(M+H)
H NMR(420K,400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.30(t,J=1.00Hz,3H)1.55−1.66(m,1H)1.67−1.77(m,2H)1.82−1.94(m,1H)2.23−2.33(m,2H)2.85(s,3H)2.89(t,J=6.05Hz,2H)3.32−3.43(m,4H)3.47−3.58(m,2H)3.68−3.75(m,4H)3.97(t,J=6.05Hz,2H)4.37(q,J=6.90Hz,2H)4.73(s,2H)5.47−5.56(m,1H)6.14(br.s.,1H)7.13(d,J=7.04Hz,1H)7.38(d,J=8.14Hz,1H)7.52(t,J=7.70Hz,1H)
【0159】
N−(4−メチル−2−(2−(9−モルホリノ−6,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミドP34の合成
【化40】

無水DMF(4mL)中の中間体51(100mg、0.262mmol)の溶液に、2−(メタンスルホンアミド)−5−メチル−安息香酸9−a(72mg、0.31mmol、1.2当量)、DIPEA(0.13mL、0.786mmol、3当量)およびHATU(200mg、0.52mmol、2当量)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次に水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、塩水(3×20mL)で洗浄した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を純粋DCMからDCM/MeOH(9/1)の勾配を備えるシリカカラム上で精製すると、白色粉末として化合物P34(50mg、34%)が得られた。
LCMS(M+1)=556.
H NMR(400MHz,DMSO−d,320K)δ ppm 1.50−1.71(m,4H)1.95−2.06(m,2H)2.26(s,3H)2.29−2.35(m,1H)2.89−2.94(m,2H)2.99(s,3H)3.15−3.25(m,1H)3.48−3.53(m,3H)3.76−3.81(m,4H)3.87−3.93(m,1H)3.99(t,J=6.20Hz,2H)4.76(s,2H)5.61−5.69(m,1H)6.34(s,1H)7.14−7.24(m,2H)7.31−7.38(m,1H)8.13−8.30(m,1H)
【0160】
9−メチル−2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリンP35および5−メチル−2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]キナゾリンP36の合成
【化41】

工程1:tert−ブチル2−(9−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート52およびtert−ブチル2−(5−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]キナゾリン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート53の合成
エタノール(100mL)中の中間体4(1.5mg、5.6mmol)の溶液に、2−アセチルシクロヘキサノン(0.85mL、6.73mmol、1.2当量)および酢酸(3.2mL、10当量)を加えた。生じた混合物を還流させながら4時間撹拌した。溶液を次に真空中で濃縮し、ジ−イソプロピルエーテル中で粉末化した。固体を濾過して取り出し、オーブン内で乾燥させると、中間体52および中間体53の混合物(2g、96%)が得られた。
LCMS m/z=371(M+H)
【0161】
工程2:9−メチル−2−(ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリン54および5−メチル−2−(ピペリジン−2−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]キナゾリン55の合成
ジクロロメタン(100mL)中の中間体52および中間体53の混合物(2g、5.4mmol)の溶液に、TFA(2.6mL、27mmol、10当量)を不活性雰囲気下で室温で加えた。生じた混合物を室温で一晩撹拌した。溶液を次に飽和NaCO溶液でpH=7に調整した。合わせた有機物を収集し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮すると、中間体54および中間体55の混合物(1900mg)が得られたので、これを次の工程でそのまま使用した。
LCMS m/z=271(M+H)
【0162】
工程3:9−メチル−2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b]キナゾリンP35および5−メチル−2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]キナゾリンP36の合成
2−メトキシエタノール(40mL)中の中間体54および中間体55の混合物(1800mg、3.32mmol)の溶液に、DIPEA(0.86mL、5mmol、3当量)および4−クロロ−5−メチルキナゾリン11(100mg、0.5mmol、1.3当量)を室温で加えた。生じた混合物を50℃で24時間撹拌した。真空中で濃縮した後、粗物質(1.4g、純度50%、P35/P36の比率は60/40である)をHPLCによって精製すると化合物P35および化合物P36の混合物がラセミ混合物として得られたので、これをさらにSFCによって精製すると鏡像異性的に純粋な化合物P37(120mg、20%)、P38(122mg、21%)、P39(80mg、15%)およびP40(83mg、16%)が得られた。
LCMS m/z=413(M+H)
P35:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.50(br.s.,1H),1.58−1.72(m,2H),1.73−1.90(m,6H),2.12−2.35(m,2H),2.53(s,3H),2.62(br.s.,4H),2.71(br.s.,2H),2.79(br.s.,2H),2.86(s,3H),5.67(br.s.,1H),6.11(br.s.,1H),6.01−6.19(m,1H),7.19−7.34(m,1H),7.47−7.62(m,2H),8.46(s,1H)
P36:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.51(d,J=6.5Hz,1H),1.58−1.71(m,2H),1.75−1.92(m,6H),2.16−2.34(m,2H),2.38(s,3H),2.56−2.69(m,7H),2.86(s,3H),3.44−3.59(m,2H),5.68(br.s.,1H),6.13(br.s.,1H),7.23−7.33(m,1H),7.52−7.63(m,2H),8.46(s,1H)
【0163】
N−(5−メチル−4−(2−(8−モルホリノ−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ−[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−イル)キナゾリン−2−イル)メタンスルホンアミドP41の合成
【化42】

工程1:4−(2−(1−(2−クロロ−5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−8−イル)モルホリン56の合成
中間体26(500mg、1.37mmol)を2−メトキシエタノール(25mL)中に溶解させた。次に2,4−ジクロロ−5−メチルキナゾリン11(1.46mg、3.43mmol、2.5当量)およびDIPEA(0.71mL、4.12mmol、3当量)を加えた。反応混合液を50℃で16時間撹拌し、次に減圧下で蒸発させた。粗物質をDCM中に溶解させ、炭酸ナトリウムの飽和溶液で2回洗浄した。合わせた有機物を、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物は逆相HPLCによって精製すると、中間体56(160mg、純度23%)が得られた。
LCMS(M+1)=505.
【0164】
工程2:N−(5−メチル−4−(2−(8−モルホリノ−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−イル)キナゾリン−2−イル)メタンスルホンアミドP41の合成
中間体56(150mg、0.298mmol)を密閉管中の1,4−ジオキサン(5mL)中に溶解させた。メタンスルホンアミド(56.6mg、0.59mmol、2当量)、CsCO(242mg、0.74mmol、2.5当量)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(51.6mg、0.089mmol、0.3当量)および酢酸パラジウム(20mg、0.089mmol、0.3当量)を次に加えた。反応混合物は、10分間、マイクロ波内で110℃へ加熱した。次に混合物をダイカライトに通して濾過し、DCMですすぎ洗いした。溶液を減圧下で蒸発させた。粗物質を逆相HPLCによって精製すると、化合物P41(40mg、25%)が得られた。
LCMS(M+1)=563.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm NMR:1.58−1.70(m,1H)1.71−1.82(m,2H)1.84−1.99(m,1H)2.09−2.20(m,2H)2.22−2.35(m,1H)2.40−2.48(m,1H)2.73(s,3H)2.88(t,J=7.71Hz,2H)2.99(s,3H)3.12(t,J=7.25Hz,2H)3.59−3.73(m,5H)3.77−3.82(m,4H)3.88(m,J=11.35Hz,1H)6.00(m,J=3.62Hz,1H)6.22(s,1H)7.14(d,J=7.31Hz,1H)7.31(d,J=8.12Hz,1H)7.49−7.61(m,1H)9.97−11.23(m,1H)
【0165】
N,N,5−トリメチル−2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[1,5−a]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−8−アミンP42の合成
【化43】

工程1:tert−ブチル2−(8−ジメチルアミノ)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ−[1,5−a]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート57の合成
(ジクロロメチレン)ジメチルアンモニウムクロリド38(3.6g、22.5mmol)の溶液をトルエン(75mL)中に溶解させ、1−メチル−2−ピロリドン(1.084mL、11.3mmol、0.5当量)を室温の不活性雰囲気下で加えた。この溶液を80℃へ加温し、赤色溶液が観察されるまで1時間にわたり撹拌した。溶液を室温に冷却し、次にDMF(20mL)中の中間体4(1.5g、5.6mmol、0.25当量)の溶液に滴下し、この溶液を室温で1時間撹拌した。真空中で濃縮した後、粗物質をEtOAc(200mL)で抽出し、NaHCOの飽和水溶液で洗浄した。水相をさらにジクロロメタン(100mL)で抽出し、合わせた有機物を真空中で濃縮し、0%〜10%のMeOHおよびDCMの勾配で溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製すると、中間体57(530mg、20%、純度82%)が得られたので、これを次の工程でそのまま使用した。
LCMS m/z=401(M+H)
【0166】
工程2:N,N,5−トリメチル−2−(ピペリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[1,5−a]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−8−アミン58の合成
DCM(30mL)中の中間体57(530mg、1.08mmol)の溶液にTFA(0.41mL、5.4mmol、5当量)を加え、この溶液を室温で48時間撹拌した。溶液を次に真空中で濃縮し、NaHCOの飽和水溶液を用いてpH=7へ調整した。混合物を次にDCM(100mL)で抽出し、合わせた有機物を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮すると、中間体58(320mg、88%、純度90%)が得られたので、これを次の工程でそのまま使用した。
LCMS m/z=301(M+H)
【0167】
工程3:N,N,5−トリメチル−2−(1−(5−メチルキナゾリン−4−イル)ピペリジン−2−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[1,5−a]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−8−アミンP42の合成
2−メトキシエタノール(50mL)中の中間体58(320mg、0.95mmol)の溶液に、4−クロロ−5−メチルキナゾリン11(513mg、1.4mmol、1.5当量)を加えた。生じた混合物を50℃で撹拌した。16時間後、この溶液を真空中で濃縮し、DCM(50mL)で希釈し、NaCO溶液で3回洗浄した。合わせた有機物をMgSOの上方に通して乾燥させ、濾過し、HPLC上で精製すると、化合物P42(35mg、9%)が得られた。
LCMS m/z=443(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d6,420K)δ ppm 1.44−1.60(m,1H)1.61−1.75(m,2H)1.84−1.98(m,1H)2.13−2.31(m,2H)2.84(s,3H)2.85(s,3H)3.04(s,6H)3.08−3.15(m,2H)3.46−3.66(m,4H)5.49−5.59(m,2H)7.28−7.33(m,1H)7.57−7.62(m,2H)8.48(s,1H)
【0168】
B.薬理学的実施例
B.1.抗ウイルス活性
底部が透明の黒色384ウェルのマイクロプレート(Corning,Amsterdam,The Netherlands)にエコー・リキッドハンドラー(Labcyte,Sunnyvale,California)を用いて音響液滴吐出によって充填した。200nLの化合物原液(100%のDMSO)をアッセイプレートに移した。化合物の9連続の4倍希釈液を作成し、四分円につき同一化合物濃度を作成した。アッセイは、10μLの培養培地を各ウェル(フェノールレッドを含まないRPMI培地、10%の熱不活化FBS、0.04%のゲンタマイシン(50mg/mL))に加えることによって開始した。全ての添加工程は、マルチドロップ・ディスペンサー(Thermo Scientific,Erembodegem,Belgium)を使用することによって実施した。次に、培養培地中に希釈したrgRSV224ウイルス(MOI=1)をプレートに加えた。rgRSV224ウイルスは、追加のGFP遺伝子(Hallak LK,Spillmann D,Collins PL,Peeples ME.Glycosaminoglycan sulfation requirements for respiratory syncytial virus infection;Journal of virology(2000),74(22),10508−13)を含み、NIH(Bethesda,MD,USA)から使用許諾を受けた遺伝子組換えウイルスである。最後に、20μLのHeLa細胞懸濁液(細胞3,000個/ウェル)をプレーティングした。培地、ウイルス感染および偽感染の対照は、各試験に含まれた。ウェルは1体積当たり0.05%のDMSOを含有する。細胞は5%のCO2雰囲気下の37℃でインキュベートした。ウイルス暴露3日後に、社内開発MSMレーザ顕微鏡(Tibotec、Beerse,Belgium)によって細胞内のGFP発現を測定することによりウイルス複製を定量した。EC50はGFP発現に対する50%阻害濃度であると定義された。並行して、化合物を3日間、一連の白色384ウェルのマイクロタイタープレート(Corning)内でインキュベートし、HeLa細胞内の化合物の細胞毒性はATPliteキット(PerkinElmer,Zaventem,Belgium)を製造者の使用説明書にしたがって使用して細胞のATP含量を測定することによって決定した。CC50は細胞毒性に対する50%濃度であると定義した。
【0169】
【表1】
【0170】
C.組成物のデータの裏付けのない実施例
これらの実施例全体を通して使用される「有効成分」は、式(I)の最終化合物、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、およびその立体化学的異性体形態およびその互変異性体に関する。
【0171】
本発明の製剤の処方の代表例は以下の通りである。
C.1.錠剤
有効成分 5〜50mg
リン酸二カルシウム 20mg
ラクトース 30mg
タルク 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
ジャガイモデンプン 合計で200mgになるまで
【0172】
本実施例において、有効成分は、同量の本発明による化合物のいずれかに、特に同量の例示した化合物のいずれかに変更することができる。
【0173】
C.2.懸濁剤
経口投与用の水性懸濁剤は、各1ミリリットルが、1〜5mgの活性化合物の1種、50mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、1mgの安息香酸ナトリウム、500mgのソルビトールおよび1mLまでの残りの水を含有するように調製する。
【0174】
C.3.注射剤
非経口組成物は、10体積%のプロピレングリコール水溶液中の1.5重量%の本発明の有効成分を撹拌することによって調製する。
【0175】
C.4.軟膏剤
有効成分 5〜1000mg
ステアリルアルコール 3g
ラノリン 5g
白色ワセリン 15g
水 合計で100gになるまで
【0176】
本実施例において、有効成分は、同量の本発明による化合物のいずれかに、特に同量の例示した化合物のいずれかに変更することができる。
【0177】
穏当な変動は、本発明の範囲から逸脱しているとみなすべきではない。以上のように記載した本発明が当業者によって多数の方法で変更されてよいことは明らかであろう。

本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
その任意の立体化学的異性体形態を含む式(I−a)もしくは式(I−b):
【化44】


(式中、
nは、整数0、1もしくは2である;
Xは、CH、O、CHOもしくはNR(式中、Rは、水素、C1〜4アルキルもしくはベンジルである)である;
Zは、CH、OもしくはNR(式中、Rは、水素、C1〜4アルキルもしくはベンジルである)である;
およびXもしくはZの少なくとも1つは、CHである;
は、水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノもしくはヘテロシクリルである;
ヘテロシクリルは、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルもしくはモルホリニルである;ここで、各ヘテロシクリルは、任意選択的にC1〜4アルキル、ヒドロキシ、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキルオキシカルボニル、アミノ、C1〜4アルキルアミノカルボニルもしくはC1〜4アルキルスルホニルから選択された1もしくは2つの置換基で置換されている;
は、フェニル−(CO)−(式中、フェニルは、水素、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)である;
または、Rは、シノリニル、キナゾリニルもしくはキノキサリニルから選択される二環式複素環であり、前記二環式複素環は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシおよびC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている;および
は、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシもしくはハロである)の化合物
またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[2]
(式中、
nは、整数0、1もしくは2である;
Xは、CH、O、CHOもしくはNR(式中、Rは、C1〜4アルキルである)である;
Zは、CH、OもしくはNR(式中、Rは、C1〜4アルキルである)である;
およびXもしくはZの少なくとも1つは、CHである;
は、水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノもしくはヘテロシクリルである;
ヘテロシクリルは、ピロリジニルもしくはモルホリニルである;
は、フェニル−(CO)−(式中、フェニルは、水素、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている)である;
または、Rは、シノリニル、キナゾリニルもしくはキノキサリニルから選択される二環式複素環であり、前記二環式複素環は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシおよびC1〜4アルキルスルホニルアミノからそれぞれ独立して選択される1もしくは2つの置換基で置換されている;および
は、水素である)の化合物
またはその薬学的に許容される酸付加塩。
[3]
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、0である;およびXは、CHOであり、Zは、CHである)の化合物である、上記[1]に記載の化合物。
[4]
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である、上記[1]に記載の化合物。
[5]
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、2である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である、上記[1]に記載の化合物。
[6]
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、0である;およびXは、CHであり、Zは、Oである)の化合物である、上記[1]に記載の化合物。
[7]
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、Oである)の化合物である、上記[1]に記載の化合物。
[8]
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ヘテロシクリルである;nは、2である;およびXは、CHであり、Zは、Oである)の化合物である、上記[1]に記載の化合物。
[9]
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、ジ(C1〜4アルキル)アミノである;nは、1である;およびXは、NR(式中、Rは、C1〜4アルキルである)であり、Zは、CHである)の化合物である、上記[1]に記載の化合物。
[10]
前記化合物は、式(I−a)(式中、Rは、C1〜4アルキルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である、上記[1]に記載の化合物。
[11]
前記化合物は、式(I−b)(式中、Rは、C1〜4アルキルである;nは、1である;およびXは、CHであり、Zは、CHである)の化合物である、上記[1]に記載の化合物。
[12]
薬学的に許容される担体と治療有効量の上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の化合物とを含む医薬組成物。
[13]
治療有効量の上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の化合物が薬学的に許容される担体と緊密に混合される、上記[12]に記載の医薬組成物の調製方法。
[14]
医薬品として使用するための、上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の化合物。
[15]
呼吸器合胞体ウイルス感染症の治療において使用するための、上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の化合物または上記[10]に記載の医薬組成物。