(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704003
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】窒化物半導体部品の製造方法および窒化物半導体部品
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20200525BHJP
C23C 16/34 20060101ALI20200525BHJP
C30B 25/18 20060101ALI20200525BHJP
C30B 29/38 20060101ALI20200525BHJP
H01L 33/22 20100101ALI20200525BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20200525BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/34
C30B25/18
C30B29/38 C
C30B29/38 D
H01L33/22
H01L33/32
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-563036(P2017-563036)
(86)(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公表番号】特表2018-519662(P2018-519662A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】EP2016063744
(87)【国際公開番号】WO2016202853
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2017年12月4日
(31)【優先権主張番号】102015109761.3
(32)【優先日】2015年6月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴチュケ トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ガレー バスティアン
(72)【発明者】
【氏名】オフ ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ベルグバウアー ウェルナー
(72)【発明者】
【氏名】レーンハルト トーマス
【審査官】
綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−229581(JP,A)
【文献】
特表2015−501526(JP,A)
【文献】
国際公開第02/103813(WO,A1)
【文献】
特開2007−317752(JP,A)
【文献】
特開2012−174802(JP,A)
【文献】
特開2000−021789(JP,A)
【文献】
特開2011−046544(JP,A)
【文献】
特表2013−522152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/34
C30B 25/18
C30B 29/38
H01L 21/205
H01L 33/22
H01L 33/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− C面の平面領域(11)と、前記平面領域(11)上の複数の3次元表面構造(12)とから形成された成長表面(10)を有する、構造化されたサファイア成長基板(1)を設けるステップと、
− 前記成長表面(10)に窒化物ベースの半導体積層体(30)を成長するステップであって、前記成長するステップは、前記成長基板(1)の成長領域(13)上で選択的に開始され、前記成長領域(13)は、前記成長表面(10)の45%未満である、成長するステップと、を含み、
前記成長領域(13)は、前記平面領域(11)であるか、または前記平面領域(11)の一部であり、
窒化物半導体材料の成長が困難または不可能な材料の層(14)が、前記成長領域(13)が縮小されるように前記平面領域(11)の一部に成膜される、
窒化物半導体部品(100)の製造方法。
【請求項2】
前記成長領域(13)は、前記成長表面(10)の25%未満である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成長領域(13)は、前記成長表面(10)の5%未満である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記成長領域(13)は、前記平面領域(11)より小さい、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、または窒化チタンを含む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記成長領域(13)は、前記平面領域(11)の複数の非相互接続部分によって構成される、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記平面領域(11)の前記非相互接続部分は、前記3次元表面構造(12)に隣接する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記平面領域(11)の前記非相互接続部分は、窒化物半導体材料の成長が困難または不可能な前記材料の前記層(14)の開口部である、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
核形成層(15)が、前記平面領域(11)の少なくとも一部に成膜され、前記核形成層(15)は、前記核形成層(15)上での窒化物半導体材料の成長を促進する、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記核形成層(15)は、酸素含有窒化アルミニウムを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記3次元表面構造(12)は、前記平面領域(11)から離れる方向に延在する円錐形または角錐形の突起である、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
− C面の平面領域(11)と、前記平面領域(11)上の複数の3次元表面構造(12)とから形成された成長表面(10)を有する、構造化されたサファイア成長基板(1)と、
− 前記成長表面(10)に配置された窒化物ベースの半導体積層体(30)と、を備え、
− 前記窒化物ベースの半導体積層体(30)は、前記成長基板(1)との界面において成長領域(13)に配置された成長部分(20)を有し、
− 前記成長部分(20)の欠陥密度は、前記半導体積層体(30)の、前記成長部分(20)以外の部分の欠陥密度より高く、
− 前記成長領域(13)は、前記成長表面(10)の45%未満であり、
前記成長領域(13)は、前記平面領域(11)であるか、または前記平面領域(11)の一部であり、
窒化物半導体材料の成長が困難または不可能な材料の層(14)が、前記成長領域(13)が縮小されるように前記平面領域(11)の一部に成膜される、
窒化物半導体部品(100)。
【請求項13】
− 前記窒化物半導体部品(100)は、放射出射型のオプトエレクトロニクス部品であり、
− 前記成長基板(1)は透明である、
請求項12に記載の窒化物半導体部品(100)。
【請求項14】
前記3次元表面構造(12)は、前記平面領域(11)から離れる方向に延在する円錐形または角錐形の突起である、
請求項12または13に記載の窒化物半導体部品(100)。
【請求項15】
ミラー層(8)が、前記成長基板(1)の、前記半導体積層体(30)とは反対側の後面に設けられている、
請求項12〜14のいずれか一項に記載の窒化物半導体部品(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体部品、特にオプトエレクトロニクス窒化物半導体部品の製造方法に関する。
【0002】
本特許出願は、独国特許出願第102015109761.3号の優先権を主張し、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
LED等の窒化物半導体部品を製造するために、部品の機能層が通常、適切な成長基板にエピタキシャル成膜される。サファイア基板が、窒化物化合物半導体層を成長するための基板として特に適している。窒化物化合物半導体がヘテロエピタキシャル成長によってサファイア上に成長される場合、半導体材料内に存在する格子不整合によって半導体材料に欠陥が生じることがある。これらの欠陥は、特に成長基板との界面における窒化物半導体材料の成長帯において生じる。これにより、部品の効率が損なわれる場合がある。放射出射型の窒化物半導体部品の動作において、このように成長部分の欠陥密度が高くなっていることによって、特に、放射が成長基板と半導体積層体との界面で吸収されうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成長基板との界面における欠陥密度を低下した窒化物半導体部品を製造するための改良方法を提供することが達成すべき目的の1つである。さらに、例えば、成長基板との界面における吸収が減少されるように欠陥密度が低下されていることを特徴とする窒化物半導体部品を提供する。
【0005】
これらの目的は、本独立請求項において特定される窒化物半導体部品の製造方法および窒化物半導体部品によって達成される。本方法の有利な実施形態およびさらなる発展形態が本従属請求項の主題である。
【0006】
本方法の少なくとも一実施形態では、複数の3次元表面構造を有する平面領域から形成された成長表面を有する成長基板を設ける。成長基板は、半導体層が後の方法ステップで成膜される成長表面を有する。成長表面は、複数の3次元表面構造が形成された平面領域から形成される。換言すれば、成長表面は、平坦な表面によって構成された2次元領域と、平面領域によって画定された平面から突出する表面構造によって構成された3次元領域とを有する。成長表面の平面領域の3次元表面構造を考慮すると、基板を事前構造化基板(prestructured substrate)ということもできる。
【0007】
表面構造は、例えば平面領域から遠ざかって伸長する突部によって構成されることができる。これらの突部は、円錐形であること、したがって成長表面の平面視において断面が環状であること、あるいは、角錐形であること、したがって成長表面の平面視において断面が多角形(例えば、三角形、正方形、六角形、または他の多角形)であることが特に好ましい。
【0008】
他の実施形態では、本方法のさらなるステップにおいて半導体積層体を成長表面に成長する。特に、エピタキシャル成長法(例えば、有機金属気相成長法(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy))を使用して半導体積層体を成長することができる。
【0009】
半導体積層体を、特に窒化物ベースの半導体積層体とすることができる。「窒化物ベースの」という用語には特に、III−V族化合物半導体材料系InxAlyGa1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)の材料(例えばGaN、AlN、AlGaN、InGaN、AlInGaN)を含む半導体層および半導体積層体が包含される。半導体積層体は、ドーパントおよび追加の構成成分を含むことができる。しかしながら、簡潔にするために、半導体積層体の結晶格子の主要構成成分(すなわち、Al、Ga、In、N)は、少量のさらなる物質によって部分的に置換されることができかつ/または補われることができるとしても、これら構成成分のみが示されている。
【0010】
本方法では有利なことに、半導体積層体の成長は、成長基板の成長表面の一部に過ぎない、成長基板の成長領域において選択的に開始される。具体的には、成長領域は、好ましくは成長表面の45%未満であり、より好ましくは成長表面の25%未満であり、最も好ましくは成長表面の5%未満である。
【0011】
特に、本方法では、半導体積層体の窒化物半導体材料が成長し始める領域において欠陥密度が高くなることを利用している。本方法では、成長領域が成長基板の総面積より有意に小さくなるように成長領域を最小化することによって、成長基板と半導体積層体との界面における欠陥密度を低下し、また、場合によっては後続層における欠陥密度をも低下する。これにより有利なことに、放射出射型部品では、成長基板と窒化物ベースの半導体積層体との界面における吸収が減少する。これは、成長基板が製造時に除去されずに、完成した部品に残る窒化物半導体部品の場合に特に有利である。
【0012】
少なくとも一実施形態では、成長領域は、平面領域自体、または平面領域の一部分によって構成される。平面領域と、平面領域に形成された複数の3次元表面構造とを有する成長基板上で窒化物半導体材料を成長する場合、成長は選択的に平面領域の範囲内で開始される。窒化物半導体材料は、3次元表面構造上では実質的に成長しない。むしろ、3次元表面構造は、窒化物半導体材料の後の成長段階で横方向に成長するのみである。したがって、成長領域を少なくとも部分的に構成する平面領域の、平面領域において3次元表面構造を有する領域に対する比率を小さくすることによって、成長領域を最小化することができる。平面領域は、好ましくは成長表面の45%未満であり、より好ましくは成長表面の25%未満であり、最も好ましくは成長表面の5%未満である。
【0013】
さらに他の好ましい実施形態では、成長領域は、平面領域より小さい。成長領域は、好ましくは平面領域の90%未満であり、より好ましくは平面領域の60%未満であり、最も好ましくは平面領域の30%未満である。これは特に、窒化物半導体材料が実質的に成長することができない材料の層を平面領域の一部に成長して成長領域を減少することによって達成することができる。この場合、窒化物半導体材料は、3次元構造間の平面領域全体には成長されず、平面領域の上記層によって被覆されていない部分のみで成長される。
【0014】
窒化物半導体材料が実質的に成長することができない材料には酸化物化合物または窒化物化合物が好適である。上記材料は好ましくは、酸化シリコン、窒化シリコン、または窒化チタンである。
【0015】
少なくとも一実施形態では、成長領域は、平面領域の相互に接続していない複数の部分によって構成される。平面領域の非相互接続部分は特に、3次元構造に隣接していてもよい。これらの部分を例えば、環状領域、特に円形領域とすることができ、これらの領域において成長基板の平面領域は、3次元構造の間で露出される。これらの部分の形状を、他の幾何学形状(例えば多角形、特に正方形または六角形)とすることもできる。
【0016】
代替的または追加的に、これらの平面領域の非相互接続部分を、窒化物半導体材料が実質的に成長することができない材料の層の開口部とすることもできる。この場合も、これらの部分を、例えば環状領域、特に円形領域とすることも、多角形の、特に正方形または六角形の領域とすることもできる。
【0017】
少なくとも他の一実施形態では、核形成層が、平面領域に部分的に成膜される。核形成層は、核形成層上での窒化物半導体材料の成長を促進する。核形成層の材料を、例えば窒化アルミニウムとすることができ、特に酸素含有窒化アルミニウム(AlN:O)とすることができる。酸素は、核形成層内にドーパントとして存在することも、パーセンテージの範囲内で存在することさえできる。核形成層を、成長の選択性を高めるために使用することができる。特に、酸素含有AlNは、成長表面の、核形成層に成膜された半導体層が成長する特定の表面領域に関する選択性に影響を及ぼすために使用することができる。
【0018】
本方法では、成長基板は好ましくは、サファイアを含むか、またはサファイアからなる。サファイアは、オプトエレクトロニクス部品によって出射された放射の少なくとも一部が成長基板を通って取出し可能になるように放射を透過する点で好適である。放射が窒化物半導体積層体の成長基板とは反対側の放射出射面に出射されることになっている場合、成長基板の半導体積層体とは反対側の後面にミラー層を設けることができる。あるいは、例えば半導体チップを反射性リードフレームに配置することによって、ミラー層を不要にすることができる。
【0019】
成長基板に成膜される窒化物ベースの半導体積層体は好ましくは、n型ドープ半導体領域、p型ドープ半導体領域、およびn型ドープ半導体領域とp型ドープ半導体領域との間に配置された活性層を含む。活性層には電磁放射の出射に適した層が好適である。より具体的には、窒化物半導体部品を発光ダイオードとすることができる。
【0020】
窒化物半導体部品の一実施形態は好ましくは、複数の3次元表面構造を有する平面領域から形成された成長表面を有する成長基板を備える。窒化物ベースの半導体積層体は、成長表面に配置される。窒化物ベースの半導体積層体は成長基板との界面において、成長表面に配置された第1の領域を有する。第1の領域では、第1の領域を横方向において取り囲む第2の領域よりも欠陥密度が高く、また、成長領域が成長表面の45%未満であり、より好ましくは成長表面の25%未満であり、最も好ましくは成長表面の5%未満である。
好ましい一実施形態では、窒化物半導体部品は、成長基板が透明基板である放射出射型のオプトエレクトロニクス部品である。透明基板を、特にサファイア基板とすることができる。
【0021】
窒化物半導体部品のさらなる有利な実施形態が、窒化物半導体部品の製造方法の前述の説明から推測され得、またその逆も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3A】
図3Aは、本方法の一実施形態の中間ステップの概略図である。
【
図3B】
図3Bは、本方法の一実施形態の中間ステップの概略図である。
【
図3C】
図3Cは、本方法の一実施形態の中間ステップの概略図である。
【
図4A】
図4Aは、本方法の一実施形態の中間ステップの概略図である。
【
図4B】
図4Bは、本方法の一実施形態の中間ステップの概略図である。
【
図4C】
図4Cは、本方法の一実施形態の中間ステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1〜
図5を参照して、本発明をより詳細に説明する。各図において、同一の、または同じ作用の要素には、それぞれ、同じ参照符号が付されている。図示した部品とそれら部品の互いに対する大きさの比は、正しい縮尺ではないものとみなされたい。
【0024】
図1は、窒化物半導体部品100の実施形態の図である。この実施形態では、窒化物半導体部品100は、放射出射型のオプトエレクトロニクス部品(特に発光ダイオード)である。
【0025】
窒化物半導体部品100は、成長基板1を備え、成長基板1には半導体積層体30が成膜されている。半導体積層体30は、例えばMOVPEによって、成長基板1にエピタキシャル成膜可能である。
【0026】
半導体積層体30は例えば、n型ドープ半導体領域3、p型ドープ半導体領域5、およびn型ドープ半導体領域3とp型ドープ半導体領域5との間に配置された放射出射型活性層4だけでなく、成長基板1に成膜されたバッファ層2も備える。バッファ層2、n型ドープ半導体領域3、活性層4、およびp型ドープ半導体領域5は、それぞれ、1層以上の個別層を備えることができる。
【0027】
半導体積層体30は好ましくは、窒化物ベースの半導体積層体である。半導体積層体30の半導体層2、3、4、5は特に、InxAlyGa1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1、x+y≦1(例えばGaN、AlN、AlGaN、InGaN、AlInGaN)を含むことができる。半導体積層体は、ドーパントおよび追加の構成成分を含むことができる。
【0028】
さらに、半導体積層体30は、半導体積層体30に電流を供給するための電気コンタクト6、7を備えることができる。例えば、窒化物半導体部品100は、p型コンタクト6およびn型コンタクト7を有することができる。
【0029】
窒化物半導体部品100の成長基板1は、半導体積層体30が成長された成長表面10を有する。成長表面10は、2次元平面領域11を備え、この平面領域11には複数の3次元表面構造12が配置されている。
【0030】
より明確にするために、成長基板1の、あり得る実施形態を
図2Aの断面図、ならびに
図2Bおよび2Cの平面図に例示する。
図2Aの断面図から分かるように、表面構造12は、平面領域11によって形成された平面から突出している。3次元表面構造12は、平面領域11から垂直方向において上方に伸長する突部の形をしている。
【0031】
図2Bに示されるように、表面構造12の断面を、環状、特に円形とすることができる。例えば、表面構造12を円錐形の突部として形成することができる。あるいは、
図2Cに示されるように、表面構造の断面を、多角形、特に六角形とすることもでき、すなわち、表面構造12を角錐形の突部として平面領域11に形成することもできる。平面領域11は、突部として形作られた表面構造12の間に広がっている。
【0032】
成長基板1は特に、アルミニウム酸化物を含むこともでき、アルミニウム酸化物から作られることもできる。より具体的には、成長基板1をサファイア基板とすることができる。平面領域11は、窒化物ベースの半導体材料を成長することに特に適しているアルミニウム酸化物の結晶学的なC面または−C面によって構成されていることが特に好ましい。したがって、表面構造12の表面は、平面領域11に対する表面構造12の方位によって、複数の他の結晶面によって構成されている。
【0033】
図1を再び参照する。半導体積層体30は、成長部分20を有する。これらの成長部分20は、成長表面10の一部を被覆するのみである。これは、窒化物半導体材料が、エピタキシャル成長の開始時に、成長表面10の成長領域13で選択的に成長するからである。特に、平面領域11と平面領域11上に配置された表面構造12とによって形成された、構造化された成長基板1上での窒化物半導体材料の成長が、選択的に平面領域11において開始されることが分かっている。したがって
図1の実施形態では、成長領域13は、平面領域11によって構成されている。
【0034】
欠陥密度が成長部分20以外の窒化物ベースの半導体積層体30よりも成長部分20において高いことが分かっている。表面構造12が横方向に成長するほど、欠陥密度は低下する。したがって、窒化物ベースの半導体積層体30の機能層3、4、5の領域では、相対的に低い欠陥密度を実現することができる。したがって、窒化物半導体部品100の機能層3、4、5の質が成長部分20における高い欠陥密度によって損なわれることはほとんどない。
【0035】
本明細書に記載の本方法および本窒化物半導体部品は特に、成長部分20の高い欠陥密度には少なくとも、活性層4によって出射された光線9の多くが成長部分20の高い欠陥密度によって成長部分20に吸収されるという、窒化物半導体部品の効率に対する悪影響がありうることを利用している。
【0036】
活性層4から成長基板1方向に出射された光線9を
図1に例示する。光線9は例えば、成長部分20の1つと、成膜されたミラー層8を後面に有することができる、好ましくは透明な成長基板1とを通過する。例えば、ミラー層8での反射後、光線9は次いで、成長基板1と成長部分20の1つとを再度通過することができる。図の例では、ミラー層8によって反射された光線9は、全反射の臨界角より大きい入射角で、窒化物半導体部品の、ミラー層8とは反対側の放射出射面31に突き当たる。そのため、光線9は直接出射されずに、全内部反射によって成長基板1方向に再び偏向される。そして、成長基板1の領域において、光線9は例えば、表面構造12の1つに突き当たり、光線9は、全反射の臨界角より小さい入射角で放射取出し表面31に突き当たるように反射または屈折される。その結果、光線は窒化物半導体部品100から取り出される。
【0037】
成長部分20における高い欠陥密度による高い吸収作用によって、窒化物半導体部品の効率が低下する。この理解に基づき、本方法および本窒化物半導体部品では、成長領域13は、好ましくは成長表面10の45%未満、より好ましくは成長表面10の25%未満、最も好ましくは成長表面10の5%未満になるように最小化され、有利である。これにより有利なことに、成長部分20の体積が小さくなる。吸収が体積と相関するため、成長部分20を縮小することによって吸収作用が低下し、放射出射型の窒化物半導体部品100の輝度が高まる。
【0038】
さらに、成長部分20における低吸収には、出射された放射の色度点の、吸収に関連した変化が減少する利点がある。吸収によって、吸収された光のエネルギーが熱としてまたは発光欠陥(luminescent defects)による放射として発光せずに出射され得、これが発光スペクトルが変化する原因となりうるため、色度点が変化しうる。
【0039】
成長領域13の縮小は例えば、成長表面10の総面積における平面領域11部分を90%未満まで、より好ましくは60%未満まで、最も好ましくは30%未満まで縮小することにより達成することができる。これは、
図1に概略的に例示された実施形態では、3次元表面構造12のサイズおよび/または密度を調節して表面構造12の間の空間における平面領域11を適切に小さくすることによって実現可能である。
【0040】
成長表面10の総面積における表面構造12部分を大きくする目的で、表面構造12のサイズおよび/または形が少なくとも部分的に異なることが有利になり得る。様々な横方向の広がりをそれぞれが有する3次元表面構造12を使用することによって、例えば、成長表面10に3次元表面構造12を高密度で詰めることができる。例えば、この場合、小さい表面構造12によって、大きい表面構造12の間の空間を少なくとも部分的に充填可能である。
【0041】
成長部分20のサイズの縮小のために、エピタキシャル成長のためのプロセス条件を、平面領域11と3次元構造12と間の成長の選択性を高めるように設定することができる。これは例えば、水素化物(H2、NH3)および金属オルガニル(例えばTMGa、TEGa、TMAl)の比率の調節により、MOVPEによる成長中に行われうる。特に、選択性を改善する目的で、H2の供給を増加するか、またはNH3、TMGa、TEGa、もしくはTMAlの供給を減少することができる。さらに、選択性は、成長温度を高めることにより改善可能である。
【0042】
図3A〜
図3Cは、本方法の一実施形態の中間ステップを示す図である。この実施形態では、成長基板1は前述の実施形態と同様に、平面領域11を有し、平面領域11には3次元表面構造12が配置されており、3次元表面構造12は例えば、円錐形であっても角錐形であってもよい。
図3Aに示されるように、層14が平面領域11に部分的に成膜される。これらの層14は、窒化物化合物半導体材料が層14上に全くまたはほとんど成長することができない材料から形成される。例えば、層14は、窒化シリコン、酸化シリコン、または窒化チタンを含むことができる。
【0043】
層14を成膜することによって、成長領域13のサイズが縮小され、有利である。成長領域13は有利なことに、層14の開口部によって構成され、これらの開口部から成長基板1の平面領域11の一部が露出される。その結果、成長領域13は、平面領域11より小さくなる。
【0044】
図3Bに示されるように、窒化物半導体積層体の成長が成長領域13に配置される成長部分20において開始される。対照的に、3次元表面構造12および層14では、窒化物半導体材料は実質的に成長しない。
【0045】
図3Cに例示された中間ステップでは、バッファ層2が全面に成長されている。層14および表面構造12は、バッファ層2の成長中に成長部分20から実質的に横方向に成長し、それにより欠陥密度が低下する。したがって有利なことに、相対的に小さな成長部分20のみが高い欠陥密度となる。複数の部分層を含む場合もあるバッファ層2の成長が完了した後、次いで、例えばオプトエレクトロニクス部品の機能的な半導体積層体をさらなるステップで成長することができる。
【0046】
図4A〜
図4Cは、本方法の他の一実施形態の中間ステップを示す図である。
図3Aの実施形態と同様に、成長基板1は、平面領域11を有し、平面領域11には3次元表面構造12が配置される。
図4Aから分かるように、核形成層15が平面領域11の一部に成膜されている。核形成層15は好ましくは、酸素含有窒化アルミニウム(AlN:O)を含む。核形成層15が、核形成層15上の窒化物半導体材料の成長を促進するため、成長領域は、実質的に核形成層15の表面によって構成される。したがって、前述の実施形態と同様に、成長領域13は、平面領域11より小さくなる。
【0047】
図4Bから分かるように、成長は実質的に、成長部分20が形成される核形成層15の表面で行われる。バッファ層2が完全に成長された後、
図4Cに示されるように、成長表面のさらなる領域、特に3次元表面構造12が半導体材料によって成長されている。
【0048】
図5A〜
図5Cは、それぞれ、例示的な成長基板1の平面図である。これらの概略図は、正しい縮尺では示されていないが、平面領域11および3次元表面構造の様々な構成を例示する。
【0049】
図5Aの例示的な実施形態では、成長基板1の平面領域11は、円錐形でありうる複数の3次元表面構造12を取り囲む連続的な領域である。
【0050】
図5Bの例示的な実施形態では、対照的に、成長基板1は、連続的な領域である3次元表面構造12に取り囲まれた複数の非連続的な平面領域11を有する。平面領域11の断面は、円形であっても他の形であってもよい。この実施形態の平面領域11が連続的ではないため、成長基板1の表面全体における平面領域11部分を、
図5Aの例示的な実施形態と比較して、相対的に小さく保つことができる。
【0051】
図5Cの実施形態の成長基板1は、例えば窒化物半導体材料が実質的に成長することができない層14の開口部によって構成されうる複数の非連続的な成長領域13を有する。さらに、成長基板1は例えば、層14から突出する3次元表面構造12を有する。完成した部品において、3次元表面構造12は、成長基板1に向けて出射された放射を放射出射面の方向に反射または散乱するように適合されており、有利である。
【0052】
本発明は、例示的な実施形態を参照してなされた説明によって、かかる例示的な実施形態に制限されない。むしろ、本発明は、任意の新規な特徴および特徴の組合せ(特に請求項中の特徴の任意の組合せを含む)を、当該特徴または特徴の当該組合せ自体が請求項または例示的実施形態に明示的に特定されていないとしても包含するものである。
【符号の説明】
【0053】
1 成長基板
2 バッファ層
3 n型半導体領域
4 活性層
5 p型半導体領域
6 p型コンタクト
7 n型コンタクト
8 ミラー層
9 光線
10 成長表面
11 平面領域
12 表面構造
13 成長領域
14 層
15 核形成層
20 成長部分
30 半導体積層体
31 放射取出し表面
100 窒化物半導体部品