【実施例1】
【0019】
図1は、本実施の形態の実施例1に係るボールスクリュープレス1のスライド30内にダンパー70を設けた場合の一例を示している。
【0020】
ボールスクリュープレス1では、
図1に示すように、ボールスクリュープレス1の基台1Aと略一体的な上部横フレーム(ビーム)2に対して軸受3を介してメインギヤ4に接続されたスクリュー21のシャフト部21Cが回転自在に略垂直に支持されている。
【0021】
このメインギヤ4には、駆動ギヤ5が噛合され、当該駆動ギヤ5は基台1Aに対して略一体的に支持されているサーボモータ6により回転駆動される構成となっている。
【0022】
メインギヤ4には、ボールスクリュー機構20のスクリュー(棒状の外周ねじ)21のシャフト部21Cが接続されている。スクリュー21は、円柱状要素の外周に螺旋状に成形された溝部(外周ねじ部:外周螺旋状溝)21A、フランジ部21B及びシャフト部21Cを備えて構成されている。
【0023】
ここで、上部横フレーム(ビーム)2が本発明に係る横フレームの一例に相当し、メインギヤ4に接続されたスクリュー21のシャフト部21Cが、本発明に係る「スクリューと一体的な部分の上方」の一例に相当している。
【0024】
前記外周螺旋状溝21Aには、複数のボール(鋼球、セラミック球等の球状要素、転動体)22が収容され、この収容されたボール22のスクリュー21の回転中心に関して外周側が収容される内周に螺旋状の溝(内周ねじ部:内周螺旋状溝)23Aを備えたスクリューナット23が複数のボールを介して螺合されている。
【0025】
上記スクリュー21、複数のボール(転動体)22、スクリューナット23がボールスクリュー機構20を構成している。なお、一般的なボールスクリュー機構と同様に、複数のボール(球状要素)22をスクリューナット23の下端側から上端側へ戻すリターン通路などを設けることも可能である。
【0026】
そして、実施例1では、スクリューナット23の下方には、スクリューナット23の下方から突出したスクリュー21を内部に収容可能なスクリューボディ24がスクリューナット23と一体的に設けられていると共に、このスクリューボディ24の下端にはスライド30を揺動自在に支持するためのスライドジョイント部25が設けられている。
【0027】
スライドジョイント部25は球状の自在継手を介してスライド30を揺動自在に支持している。
また、スライドジョイント部25が、スライド30に対して垂直軸廻りに回転しないように廻り止め25Aが設けられている。これにより、スクリューナット23がスクリュー21の回転中心廻りに回転不能に支持されることになる。
【0028】
ここで、スライドジョイント部25が、本発明に係る「スクリューナットと一体的な部分の下方」の一例に相当している。
【0029】
スライド30は、リニアガイドであるスライドガイド31等を介して、ボールスクリュープレス1の基台1Aに対して、垂直方向に昇降可能(上下動可能)に支持されている。
なお、スライド30の下面には上型(上金型)40が取り付けられていると共に、当該上型40と協働して材料をプレス成形する下型(下金型)50が、基台1A(ボルスタ51、ベッド52)に支持されている。
【0030】
このような構成を備えたボールスクリュープレス1では、サーボモータ6を所定方向に回転させることで、スクリュー21を所定方向(例えば正転方向)に回転させることになるが、これにより、スクリュー21の螺旋状溝21Aと、これに対応して形成されているスクリューナット23の内周螺旋状溝23Aと、これらの間に収容されている複数のボール(球状要素)22と、により構成されるボールスクリュー機構20による回転運動−直線運動変換機能を介して、スクリューナット23延いてはスライドジョイント部25及びスライド30が、下方に向けて直線移動される。
【0031】
これとは逆に、サーボモータ6を先ほどとは逆の方向に回転させることで、スクリュー21を所定方向(例えば逆転方向)に回転させることになるが、これにより、ボールスクリュー機構20による回転運動−直線運動変換機能を介して、スクリューナット23延いてはスライドジョイント部25及びスライド30が、上方に向けて直線移動される。
【0032】
すなわち、ボールスクリュープレス1は、サーボモータ6の回転運動を、ボールスクリュー機構20を介してスライド30の直線往復運動に変換することでスライド30延いては上型40を上下動させて、下型50上の素材(ワーク)Wに対してプレス成形を行うことができるようになっている。
【0033】
ここで、実施例1では、
図1に示したように、スライド30は、バランサ60により吊り上げられている。
バランサ60は、例えば、シリンダ61の内部空間を上下で仕切り上部室61Aと下部室61Bに画成しているピストン62の下端に取り付けられているコネクティングロッド63によってスライド30を接続し(吊り下げ)ている。そして、例えば、シリンダ61の下部室61B内のエアなどの流体(オイル等の液体でもよい)の圧力によって、スライド30の重量を支える(押し上げる)ことでバランサとして機能するように構成されている。
【0034】
ここにおいて、バランサ60を設けない場合には、スライド30を含むスクリューナット23側の重量は、ボール22を介してスクリュー21によって支えられるので、
図2(A)の状態になっている。
すなわち、スクリューナット23の内周螺旋状溝23Aの上方面と、ボール22の上方面と、が当接し、これとは反対側のボール22の下方面は、スクリュー21の外周螺旋状溝21Aの下方面と当接していて、スクリュー21に作用するスクリューナット23(スライド30)側の重量に起因する力の伝達経路は
図2(A)中の矢印Aのようになっている(
図2(A)参照)。
【0035】
これに対して、実施例1のように、バランサ60を設けた場合には、スライド30を含むスクリューナット23が上方に押し上げられた状態(
図2(B)参照)となるので、クリューナット23の内周螺旋状溝23Aの下方面と、ボール22の下方面と、が当接し、これとは反対側のボール22の上方面が、スクリュー21の外周螺旋状溝21Aの上方面と当接していて、
図2(B)に示すように、バランサ60延いてはスクリューナット23によりスクリュー21を押し上げるように作用する力の伝達経路は
図2(B)中の矢印Bのようになっている。
【0036】
このように(
図2(B)の状態となるように)、バランサ60でスクリューナット23延いてはスライド30を吊ることで、上型(パンチ)40が下降して下型50に載置されている素材(ワーク)にタッチを開始してスクリューナット23に圧縮荷重(上金型40延いてはスライド30がスクリューナット23を上方に押し上げる荷重)が発生しても、既にスクリューナット23はスクリュー21の荷重側にボール(鋼球)22を介して押しつけられているので、バランサ60を設けない場合のように、スクリューナット23がスクリュー21やボール22との間のガタ分(遊び分)を移動することはなく、ガタ分(遊び分)に起因した衝撃の緩和には貢献する。
【0037】
しかし、バランサ60でのスライド30の吊り(押し上げ)は、予め荷重方向にスクリューナット23を押し上げておくことでガタ分を取るだけに留まっており、上型(パンチ)40が素材(ワーク)に接触(タッチ)を開始したときの衝撃荷重の低減には寄与しない。
【0038】
なぜなら、バランサ60の吊力は素材(ワーク)を押す反力でなく、フレーム(基台1A)から来ているので、どんなにバランサ60の吊力を強くしても、衝撃荷重の低減にはならない。
【0039】
このような実情に鑑み、実施例1では、上型(パンチ)40が素材(ワーク)に接触(タッチ)を開始したときのボールスクリュー機構に作用する衝撃荷重の低減のために、ゴム、スプリング、流体(エア圧や油圧クッションなど)等の弾性要素からなるダンパー70をスクリューナット23とスライド30との間に介装した。
【0040】
具体的には、スクリューボディ24の下端に設けられているスライドジョイント部25の下側の球状部とこれに対応した凹部形状を有して当接するスクリューナット側部材(プレッシャープレート)26と、スライド30と、の間に、ダンパー70を備えるように構成した。
【0041】
なお、
図1に示すように、初期状態(上型40と素材(ワーク)Wが接触する前の状態)において、スクリューナット側部材(プレッシャープレート)26の下面26Aと、これと対面しているスライド30側のダンパーホルダ上面30Aと、は所定隙間Sをもつように構成(調整)されている。
【0042】
ところで、実施例1に係るダンパー70は、
図1において垂直方向から見たときに環状(リング状)に構成されている。但し、これに限定されるものはなく、ダンパー70は、周方向に複数に分割して同心的に点在させるような構成とすることも可能である。
【0043】
当該ダンパー70の弾性変形により、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wに接触(タッチ)を開始したときのボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重を吸収して低減することができ、これにより、ボールスクリュー機構20の転動体や転動面(スクリューナット23の内周螺旋状溝23Aと、ボール22と、クリュー21の外周螺旋状溝21A等)にダメージが発生することを抑制することができ、以ってボールスクリュープレスの高負荷化、長寿命化に対する要請に十分に応えることが可能となる。
【0044】
また、実施例1では、ダンパー70がボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重を吸収した後の弾性変形により上型(パンチ)40やスライド30が下型50や基台1Aに対して傾斜することを抑制して、成形精度(製品精度)を高く保つことを可能にすると共に、金型やスライドガイド等の長寿命を可能にするために、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wにタッチを開始してから所定の加圧状態になったら(ダンパー70が所定量弾性変形して縮んだら)、スクリューナット側部材(プレッシャープレート)26の下面26Aが、これと対面配置されているスライド30側の当接面(ダンパーホルダ上面)30Aと直接的に当接(金属同士が当接し合う所謂メタルコンタクト)するように構成されている。
【0045】
以下に、より詳細に、実施例1に係るボールスクリュープレス1について説明する。
従来のスクリュープレス(バランサ付:ダンパーレス)を用いて、
図3に示すような前方押し出し加工をした場合の荷重線図は、
図5のようになり、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wに接触してから成形(変形)が開始されると急激に荷重が上昇して衝撃荷重Fが生じる。その後、成形が進み、スライド下死点で成形が完了する。なお、荷重は、基台1Aの垂直方向に配設されるコラム等にロードセルやひずみゲージを設置することで検出している。但し、スクリューナット23やスライド30等の垂直方向荷重を検出してもよいものである。
【0046】
一方、実施例1に係るボールスクリュープレス1では、以下のように衝撃荷重が緩和される。
すなわち、一例を説明すると、
実施例1に係るボールスクリュープレス1では、プレス能力、ダンパー70等の諸元を、例えば、
プレス能力:2000kN
製品:前方押し出し品(加工荷重:2000kN)(成形開始荷重:1000kN)
ダンパー仕様(入手容易):500kNにて、たわみ量=5.1mm≒5mm
とする。
そして、実施例1では、ダンパー70が、
図1、
図3のように、スクリューナット23とスライド30の間に配置されている。
【0047】
実施例1に係るボールスクリュープレス1の場合には、
図3に示すような前方押し出し加工をした場合の荷重線図は、
図4のようになり、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wと接触しても、ダンパー70の伝達荷重能力が低いので、ダンパー70のみがたわみ(弾性変形し)、弾性変形(弾性係数)による傾きX(荷重/時間)をもって伝達荷重を増していく(
図4の符号A、
図6参照)。
【0048】
なお、
図3(A)はボールスクリュープレス1による前方押し出し加工のプレス加工工程の予備加圧開始時(上型パンチ40が素材Wに接触(タッチ)したとき)のダンパー70の様子(弾性変形開始)を示す図であり、
図3(B)は
図3(A)の後の同プレス加工工程の成形開始時(=予備加圧終了:プレッシャープレート26の下面26Aとダンパーホルダ上面30Aがメタルコンタクトを開始したとき)のダンパー70の様子(弾性変形完了)を示す図であり、
図3(C)は
図3(B)の後の同プレス加工工程のスライド下死点での様子を示す図である。
【0049】
その後、伝達荷重がプリロード(予荷重)Yまで達すると、ダンパー70が5mmほどたわみ(伝達荷重500kNでのストローク長)、プレッシャープレート26の下面26Aとダンパーホルダ上面30Aが直接接触する(
図4の符号B、
図7参照)。このときまでは、素材(ワーク)Wには、ダンパー70がたわんだ時間を掛けて、ダンパー70の伝達荷重が加えられるため衝撃荷重とはならない。
【0050】
次に、プレッシャープレート26の下面26Aとダンパーホルダ上面30Aが直接接触後、スライド30が更に下降して成形が開始されるまでの荷重の上昇分が、実施例1での衝撃荷重Zとなる(
図4の符号C)。その後、さらにスライド30が下降して加工が進み、下死点にて成形が完了する(
図4の符号D、
図8参照)。
【0051】
ここで、従来のボールスクリュープレス(ダンパー70を備えない)による衝撃荷重Fと比較すると、実施例1に係るボールスクリュープレス1の衝撃荷重はZ(=F−Y)であり、ボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重はほぼ半減される効果がある(
図4参照)。
【0052】
このように、実施例1によれば、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wにタッチを開始したときのボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重を低減することができ、これにより、ボールスクリュー機構20の転動体や転動面(スクリューナット23の内周螺旋状溝23Aと、ボール22と、クリュー21の外周螺旋状溝21A等)にダメージが発生することを抑制することができ、以ってボールスクリュープレスの高負荷化、長寿命化に貢献可能である。
【0053】
また、実施例1では、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wにタッチを開始してから所定の加圧状態になったら(ダンパー70が所定量変形して縮んだら)、スクリューナット23と少なくとも上下方向(スクリューナット23に作用する圧縮荷重方向)に関して一体的なスクリューナット側部材(プレッシャープレート)26の下面26Aと、スライド30側の当接面(ダンパーホルダ上面)30Aと、を直接的に当接(所謂メタルコンタクト)させるように構成したので、ダンパー70によりボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重を吸収させることを可能にしながら、上型(パンチ)40やスライド30が下型50や基台1Aに対して傾斜することを抑制することができるため、成形精度(製品精度)を高く保つことを可能にすると共に、金型やスライドガイド等の長寿命を可能にすることができる。
【0054】
なお、ダンパー70のプリロードの大きさやたわみ量(ストローク長)は上述した数値等に限定されるものではなく、素材(ワーク)やプレス成形の仕様や内容等に応じて適宜に変更することできる。
【0055】
また、ダンパー70のプリロードの大きさやたわみ量(ストローク長)を、素材(ワーク)やプレス成形の仕様や内容等に応じて適宜に変更する機構(ダンパーホルダ上面30Aの上面からのダンパー70の突出量調整機構や流体圧制御機構など)を備えることも可能である。
【0056】
以上のように、実施例1によれば、簡単かつ低コストな構成でありながら、ボールスクリュープレスの負荷作用時(プレス成形開始時)にボールスクリュー機構に作用する衝撃を緩和することができると共に、成形の際の加工精度を高く維持することができ、更に金型やスライドガイド等の寿命を長く維持することができるボールスクリュープレスマシンを提供することができる。
【0057】
なお、実施例1によれば、ダンパー70は、プレス成形の際に発生する荷重を常にすべて受けるわけではなく、ダンパー70が所定量変形した後は、他の部位を金属接触させることで、ダンパー70をそれ以上変形させないようにしているので、ダンパー70の経時劣化を抑制でき長寿命化させることが可能である。
【0058】
なお、実施例1では、「スクリューナット23と少なくとも上下方向(スクリューナット23に作用する圧縮荷重方向)に関して一体的なスクリューナット側部材(プレッシャープレート)26の下面26A」と、これと対面する「スライド30側の当接面(ダンパーホルダ上面)30Aと」が、本発明に係る「対面する上側の分割部分と下側の分割部分」の一例に相当している。但し、当該例に限定されるものではなく、本発明に係る「対面する上側の分割部分と下側の分割部分」に該当する部位であれば、他の部分を上下に分割することも可能である。
【実施例2】
【0059】
次に、本実施の形態に係る実施例2について説明する。
図9は、実施例2に係るボールスクリュープレス100の基台1Aと略一体的な上部横フレーム(ビーム)2に対してメインギヤ4延いてはスクリュー21を回転自在に支持している軸受(アンギュラベアリング)3を支持しているベアリングユニット130内にダンパー110を設けた場合の一例を示している。
なお、実施例1と同様の要素については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
実施例2に係るボールスクリュープレス100は、
図9に示すように、メインギヤ4に接続されたスクリュー21のシャフト部21C延いてはこれと一体的なボールスクリュー機構20のスクリュー21を、上部横フレーム2に対して回転自在かつ略垂直に支持するベアリングユニット130の内部に、ダンパー110を備えている。
【0061】
より詳細には、実施例2では、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wにタッチを開始したときのボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重の低減のために、ゴム、スプリング、流体(エア圧や油圧クッションなど)等の弾性要素からなるダンパー110を、スクリュー21と少なくとも上下方向(スクリュー21に作用する圧縮荷重方向)に関して一体的なインナーホルダー135の内向きフランジ部135Aの上面と、上部横フレーム2と略一対に取り付けられているベアリングホルダー136の内向きフランジ部136Aの下面136Bと、の間に配設した。
【0062】
実施例2のベアリングユニット130は、
図9に示したように、メインギヤ4に接続されたスクリュー21のシャフト部21Cの外周に嵌挿(挿入保持)されているインナーレース131と、ベアリングホルダー136の内側に保持されているインナーホルダー135の内側に嵌挿(挿入保持)されているアウターレース132と、インナーレース131とアウターレース132の間に転動自在に支持される転動体(球状要素、鋼球)133と、を含んで構成されている。
【0063】
また、実施例2のベアリングユニット130においては、シャフト部21Cの外周に螺合等されている外向きフランジ部21Bとスペーサー134によりインナーレース131を上下方向に挟み込むことで、アウターレース132との間に支持している転動体133に予圧を与えて遊びなどを無くしつつ、アウターレース132をインナーホルダー135の内向きフランジ部135A延いてはベアリングホルダー136の内向きフランジ部136Aに押し付けることで、インナーレース131、アウターレース132、転動体133、インナーホルダー135がベアリングホルダー136に支持されるように構成されている。
【0064】
そして、実施例2では、インナーホルダー135は、その下端を支持板137にて支持されつつ、ベアリングホルダー136に対して垂直方向(シャフト部21Cの長手方向)に沿って移動可能に収容されていると共に、インナーホルダー135の内向きフランジ部135Aの上面と、ベアリングホルダー136の内向きフランジ部136Aの下面と、の間に、ダンパー110が介装されている。
【0065】
なお、初期状態(上型40と素材(ワーク)Wが接触する前の状態)において、インナーホルダー135の円筒部135Bの上面135Cと、これと対面しているベアリングホルダー136の内向きフランジ部136Aの下面136Bと、は所定隙間Sをもつように配設されている。
【0066】
ところで、実施例1に係るダンパー110も、実施例1と同様に、
図9において垂直方向から見たときに環状(リング状)に構成されている。但し、これに限定されるものはなく、ダンパー110は、周方向に複数に分割して同心的に点在させるような構成とすることも可能である。
【0067】
実施例2においても、当該ダンパー110の弾性変形により、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wにタッチを開始したときのボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重を吸収して低減することができ、これにより、ボールスクリュー機構20の転動体や転動面(スクリューナット23の内周螺旋状溝23Aと、ボール22と、クリュー21の外周螺旋状溝21A等)にダメージが発生することを抑制することができ、以ってボールスクリュープレスの高負荷化、長寿命化に対する要請に十分に応えることが可能となる。
【0068】
そして、実施例2では、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wにタッチを開始してから所定の加圧状態になったら(ダンパー110が所定量弾性変形して縮んだら)、インナーホルダー135の円筒部135Bの上面135Cと、ベアリングホルダー136の内向きフランジ部136Aの下面136Bと、が直接的に当接(金属同士が当接し合う所謂メタルコンタクト)するように構成されている。
【0069】
これにより、ボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重を吸収した後のダンパー110の弾性変形により上型(パンチ)40やスライド30が下型50や基台1Aに対して傾斜することを抑制することができ、以って成形精度(製品精度)を高く保つことを可能にすると共に、金型やスライドガイド等の長寿命を可能にすることができる。
【0070】
このように、実施例2によれば、実施例1と同様に、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wにタッチを開始したときのボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重を低減することができ、これにより、ボールスクリュー機構20の転動体や転動面(スクリューナット23の内周螺旋状溝23Aと、ボール22と、クリュー21の外周螺旋状溝21A等)にダメージが発生することを抑制することができ、以ってボールスクリュープレスの高負荷化、長寿命化に貢献可能である。
【0071】
また、実施例2では、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wにタッチを開始してから所定の加圧状態になったら(ダンパー110が所定量変形して縮んだら)、インナーホルダー135の円筒部135Bの上面135Cと、ベアリングホルダー136の内向きフランジ部136Aの下面136Bと、が直接的に当接(所謂メタルコンタクト)させるように構成したので、ダンパー110によりボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重を吸収させることを可能にしながら、上型(パンチ)40やスライド30が下型50や基台1Aに対して傾斜することを抑制することができるため、成形精度(製品精度)を高く保つことを可能にすると共に、金型やスライドガイド等の長寿命を可能にすることができる。
【0072】
以上のように、実施例2によれば、簡単かつ低コストな構成でありながら、ボールスクリュープレスの負荷作用時(プレス成形開始時)にボールスクリュー機構に作用する衝撃を緩和することができると共に、成形の際の加工精度を高く維持することができ、更に金型やスライドガイド等の寿命を長く維持することができるボールスクリュープレスマシンを提供することができる。
【0073】
なお、実施例2によっても、実施例1と同様に、ダンパー110は、プレス成形の際に発生する荷重を常にすべて受けるわけではなく、ダンパー110が所定に変形した後は、他の部位を金属接触させることで、ダンパー110をそれ以上変形させないようにしているので、ダンパー110の経時劣化を抑制でき長寿命化させることに貢献可能である。
【0074】
ところで、実施例2では、「ベアリングホルダー136の内向きフランジ部136Aの下面136B」と、これと対面する「インナーホルダー135の円筒部135Bの上面135C」が、本発明に係る「対面する上側の分割部分と下側の分割部分」の一例に相当している。但し、当該例に限定されるものではなく、本発明に係る「対面する上側の分割部分と下側の分割部分」に該当する部位であれば、他の部分を上下に分割することも可能である。
【実施例3】
【0075】
続いて、本実施の形態に係る実施例3について説明する。
図10は、実施例3に係るボールスクリュープレス200の基台1Aと一体的なベッド52と、下型50を支持しているボルスタ51と、の間にダンパー210を設けた場合の一例を示している。
なお、実施例1と同様の要素については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
より詳細には、実施例3に係るボールスクリュープレス200は、
図10に示すように、実施例1と同様の弾性要素からなるダンパー210を、ベッド52の上面側に凹設した凹部52Aに環状(リング状)のダンパー210を収容し、ダンパー210の上面がボルスタ51の下面51Aと接触してボルスタ51側の重量を支持している。
【0077】
なお、初期状態(上型40と素材(ワーク)Wが接触する前の状態)において、ボルスタ51の下面51Aと、これと対面するベッド52の上面52Aと、は所定隙間Sをもつように配設されている。
【0078】
なお、実施例3に係るダンパー210も、実施例1と同様に、
図10において垂直方向から見たときに環状(リング状)に構成されている。但し、これに限定されるものはなく、ダンパー210は周方向に複数に分割して同心的に点在させるような構成とすることも可能である。
【0079】
また、ボルスタ51は、直動案内機構として機能するガイドポスト211を介して、ベッド52に対して垂直方向(上下方向)に移動可能に支持されている。
【0080】
実施例3においても、当該ダンパー210の弾性変形により、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wにタッチを開始したときのボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重を吸収して低減することができ、これにより、ボールスクリュー機構20の転動体や転動面(スクリューナット23の内周螺旋状溝23Aと、ボール22と、クリュー21の外周螺旋状溝21A等)にダメージが発生することを抑制することができ、以ってボールスクリュープレスの高負荷化、長寿命化に対する要請に十分に応えることが可能となる。
【0081】
そして、実施例3では、上型(パンチ)40が素材(ワーク)Wにタッチを開始してから所定の加圧状態になったら(ダンパー210が所定量弾性変形して縮んだら)、ボルスタ51の下面51Aと、ベッド52の上面52Aと、が直接的に当接(金属同士が当接し合う所謂メタルコンタクト)するように構成されている。
【0082】
これにより、ボールスクリュー機構20に作用する衝撃荷重を吸収した後のダンパー210の弾性変形により下型50やボルスタ51が上型40や基台1Aに対して傾斜することを抑制することができ、以って成形精度(製品精度)を高く保つことを可能にすると共に、金型やスライドガイド等の長寿命を可能にすることができる。
【0083】
以上のように、実施例3によれば、簡単かつ低コストな構成でありながら、ボールスクリュープレスの負荷作用時(プレス成形開始時)にボールスクリュー機構に作用する衝撃を緩和することができると共に、成形の際の加工精度を高く維持することができ、更に金型やスライドガイド等の寿命を長く維持することができるボールスクリュープレスマシンを提供することができる。
【0084】
なお、実施例3によっても、実施例1と同様に、ダンパー210は、プレス成形の際に発生する荷重を常にすべて受けるわけではなく、ダンパー210が所定に変形した後は、他の部位を金属接触させることで、ダンパー210をそれ以上変形させないようにしているので、ダンパー210の経時劣化を抑制でき長寿命化させることに貢献可能である。
【0085】
ところで、実施例3では、「ボルスタ51の下面51A」と、これと対面する「ベッド52の上面52A」が、本発明に係る「対面する上側の分割部分と下側の分割部分」の一例に相当している。但し、当該例に限定されるものではなく、本発明に係る「対面する上側の分割部分と下側の分割部分」に該当する部位であれば、他の部分を上下に分割することも可能である。
【0086】
なお、本発明は、上述した実施例を例示したが、当該実施例に限定されるものではなく、
電動モータの回転をボールスクリュー機構を介してスライドの往復直線運動に変換し、前記スライドの往復直線運動を利用してワークをプレス成形するボールスクリュープレスマシンであって、
前記ボールスクリュー機構が、
前記電動モータにより回転駆動されると共に外周に外周螺旋状溝を備えた棒状のスクリューと、
該スクリューの外周螺旋状溝に収容される複数の転動体と、
該複数の転動体の外周側が収容される内周螺旋状溝を備えたスクリューナットと、
を含んで構成され、
前記電動モータの回転により、前記スクリューを回転させることで、前記複数の転動体を介して前記スクリューナットを往復直線運動させて、該スクリューナットと一体的な部分の下方に接続されているスライドを往復直線運動させるものにおいて、
前記スライドに取り付けられる上型と、前記スクリューと一体的な部分の上方を回転自在に支持するボールスクリュープレスの横フレームと、の間を、前記往復直線運動と略直交する平面で上下に分割し、対面する上側の分割部分と下側の分割部分の間に弾性要素からなるダンパーを配設すると共に、
上型とワークが接触した後、前記ダンパーが圧縮されて前記往復直線運動方向に所定量変形したときに、前記対面する上側の分割部分と下側の分割部分が当接するように、上型とワークが接触しない状態において、当該対面する上側の分割部分と下側の分割部分の間に所定隙間Sが設けられているボールスクリュープレスマシンであれば本発明の範囲に含まれるものである。
【0087】
更に、本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく、
電動モータの回転をボールスクリュー機構を介してスライドの往復直線運動に変換し、前記スライドの往復直線運動を利用してワークをプレス成形するボールスクリュープレスマシンであって、
前記ボールスクリュー機構が、
前記電動モータにより回転駆動されると共に外周に外周螺旋状溝を備えた棒状のスクリューと、
該スクリューの外周螺旋状溝に収容される複数の転動体と、
該複数の転動体の外周側が収容される内周螺旋状溝を備えたスクリューナットと、
を含んで構成され、
前記電動モータの回転により、前記スクリューを回転させることで、前記複数の転動体を介して前記スクリューナットを往復直線運動させて、該スクリューナットと一体的な部分の下方に接続されているスライドを往復直線運動させるものにおいて、
前記スライドに取り付けられる上型に対応して本ボールスクリュープレスマシンのボルスタ上に備えられる下型と、前記ボルスタを支持するボールスクリュープレスの基台と、の間を、前記往復直線運動と略直交する平面で上下に分割し、対面する上側の分割部分と下側の分割部分の間に弾性要素からなるダンパーを配設すると共に、
上型とワークが接触した後、前記ダンパーが圧縮されて前記往復直線運動方向に所定量変形したときに、前記対面する上側の分割部分と下側の分割部分が当接するように、上型とワークが接触しない状態において、当該対面する上側の分割部分と下側の分割部分の間に所定隙間Sが設けられているボールスクリュープレスマシンであれば本発明の範囲に含まれるものである。
【0088】
以上で説明した実施の形態(各実施例)は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。