特許第6704018号(P6704018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704018
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ニアアイ装置
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/22 20060101AFI20200525BHJP
   G03H 1/04 20060101ALI20200525BHJP
   G03H 1/16 20060101ALI20200525BHJP
   G02C 9/00 20060101ALI20200525BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20200525BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   G03H1/22
   G03H1/04
   G03H1/16
   G02C9/00
   G09F9/00 359
   G09F9/00 362
   G02B27/02 Z
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-144769(P2018-144769)
(22)【出願日】2018年8月1日
(62)【分割の表示】特願2016-507046(P2016-507046)の分割
【原出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-205754(P2018-205754A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年8月1日
(31)【優先権主張番号】1306763.2
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517080957
【氏名又は名称】デュアリタス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(72)【発明者】
【氏名】クリスマス、ジェイミーソン
(72)【発明者】
【氏名】マシヤノ、ダックソン
【審査官】 吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/132289(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0100511(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/007762(WO,A1)
【文献】 特表2013−540278(JP,A)
【文献】 特表2010−508539(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0046050(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/062681(WO,A1)
【文献】 特表2014−503836(JP,A)
【文献】 特開2006−301020(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0235900(US,A1)
【文献】 特表2013−521576(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0165429(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0157667(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03H 1/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光に位相遅延分布を与えるように配置された位相変調素子のアレイを備える空間光変調器と、
前記空間光変調器をコリメート光で照明するように配置された光源と、
前記空間光変調器が前記入射光に前記位相遅延分布を与えるように、前記空間光変調器にデータを提供する手段であって、前記データは、画像を表す位相ホログラムデータと、レンズ効果を有する位相ホログラムデータとを含むものと、
前記空間光変調器からの空間的に変調された光を受光するように配置された第1の光学インプットおよび現実世界の視野を有する第2の光学インプットを備えるビームコンバイナと、を含み、
前記レンズ効果は、前記空間光変調器と前記ビームコンバイナとの間の全ての位置において空間的に変調された光を発散させる効果であるニアアイ装置。
【請求項2】
前記ホログラムデータがフーリエホログラムである、請求項1に記載のニアアイ装置。
【請求項3】
前記空間的に変調された光は、ユーザが前記画像のホログラフィック再構成を見るように前記ユーザの眼が前記空間的に変調された光のフーリエ変換を行うように配置される、請求項2に記載のニアアイ装置。
【請求項4】
前記ホログラムデータがフレネルホログラムである、請求項1に記載のニアアイ装置。
【請求項5】
前記空間的に変調された光は、近視野における再生平面に前記画像のホログラフィック再構成を形成するように配置される、請求項4に記載のニアアイ装置。
【請求項6】
前記空間的に変調された光は、ニアアイ装置の他の光学要素における収差を補償するように配置された位相ホログラムデータをさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載のニアアイ装置。
【請求項7】
前記ビームコンバイナは、前記第1の光学インプットで受光された光を前記第2の光学インプットで受光された光と合成するように配置された光学アウトプットをさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載のニアアイ装置。
【請求項8】
前記光学アウトプットは、前記第1の光学インプットで受光された光を少なくとも部分的に前記第2の光学インプットで受光された光にオーバーレイするように配置される、請求項7に記載のニアアイ装置。
【請求項9】
ニアアイ装置のユーザが前記ビームコンバイナからの前記光学アウトプットを受けるように配置される、請求項7または8に記載のニアアイ装置。
【請求項10】
前記画像の前記ホログラフィック再構成が現実世界の前記視野を拡張する、請求項3または5に記載のニアアイ装置。
【請求項11】
前記光源は、光の平面波で前記空間光変調器を照明するように配置される、請求項1に記載のニアアイ装置。
【請求項12】
ニアアイ装置が一対のゴーグルまたはメガネである、請求項1から11のいずれかに記載のニアアイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴーグルやメガネなどのニアアイ装置の分野に関する。本明細書に開示される実施形態は、概して現実世界のシーンを拡張するための、すなわち拡張現実用のニアアイ装置に関する。より具体的には、本明細書に開示される実施形態は、概して拡張現実用の位相限定ホログラフィック投影技術などの拡張現実用ホログラフィック投影に関する。
【背景技術】
【0002】
拡張現実用のニアアイ装置などが開発されている。
【0003】
既知のニアアイ装置を図1に示す。図1は、光源101と、ビームスプリッタ105を介して空間光変調器107を照明するように配置されたコリメートレンズ103とを示す。空間光変調器107は、画像を形成するように配置された振幅変調素子のアレイを備える。より具体的には、空間光変調器107に入射する光の振幅が空間的に変調されて、画像が形成される。この画像は、ビームスプリッタ105を介して見ることができる。より具体的には、空間光変調器107上の画像は、ビームコンバイナ109の第1の光学インプットを形成する。ビームコンバイナ109は、現実世界のシーンの視野を提供する第2の光学インプット123も備える。
【0004】
ビームコンバイナ109は、空間光変調器107からの画像を発散させる球面111を有する。さらに、ビームコンバイナ109は、発散画像を少なくとも部分的にビームコンバイナの光学アウトプット125に反射するように配置されている。
【0005】
第2の光学インプット123で受光された光も、ビームコンバイナ109の光学アウトプット125に向けられる。この点に関して、ビームコンバイナが現実世界の画像を空間光変調器107からの発散画像と合成すると理解されてもよい。従って、現実世界の画像が空間光変調器からの画像によって拡張されると理解することができる。とりわけ、図1を参照に説明される装置は、空間光変調器上の画像をビームコンバイナの背後の空間におけるある固定点から来たかのように見せる球面111を提供する。従って、空間光変調器107からの画像は、球面111の曲率半径によって規定される空間におけるある固定点から来たかのように見える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、改良されたニアアイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の態様は、添付の独立請求項に規定される。
【0008】
空間光変調器からの空間的に変調された光を受光し現実世界の視野を提供するように配置されたビームコンバイナを用いたニアアイ装置および対応する方法が提供される。よって、現実世界のシーンは、画像の形式の付加情報により補足すなわち拡張されてもよい。既知のニアアイ装置は、アイレリーフを追加する物理的な光学要素を用いてシーンの中に実像を投影する。発明者らは、有利なことに、計算的な位相限定ホログラフィック技術を用いて画像を提供してもよいことを認識した。この技術はよりエネルギー効率がよく、この技術により追加の光学要素を画像形成データに効果的にエンコードすなわち埋め込むことが可能になる。有利なことに、さらなる複雑な部品を必要としない。さらに有利なことに、拡張画像の距離をリアルタイムで制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面に沿って、実施形態を説明する。
図1図1は、既知のニアアイ装置の概略図である。
図2図2は、ホログラフィック再構成を再生フィールド位置に生成するように配置されたLCOSなどの反射型SLMを示す。
図3図3は、位相限定ホログラムをコンピュータ生成するためのアルゴリズムの一例を示す。
図4図4は、図3のアルゴリズムの一例用のランダム位相シードの一例を示す。
図5図5は、本開示に係る一実施形態を示す。
図6図6は、実施形態に係るフレネルホログラムを計算するためのアルゴリズムを示す。
図7図7は、LCOS SLMの概略図である。 図面において、類似の符号は類似の部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、空間光変調器上の画像といわゆるアイレリーフを追加するための形状の表面を有するビームコンバイナとを用いて、既知の装置には不足しているいくつかの点に対処することにより、改良されたニアアイ装置を提供することを目的とする。特に、発明者らは凡庸性のある計算的なホログラフィック技術を用いることで改良されたニアアイ装置を提供してもよいことを認識した。
【0011】
物体から散乱した光は、振幅情報および位相情報の両方を含む。この振幅情報および位相情報を例えば周知の干渉技術によって感光板上にとらえて、干渉縞を有するホログラフィック記録すなわち「ホログラム」を形成することができる。「ホログラム」は適した光で照明されることで再構成されて、元の物体を表すホログラフィック再構成、すなわち再生画像を形成してもよい。
【0012】
許容品質のホログラフィック再構成が元の物体に関する位相情報のみを含む「ホログラム」から形成可能であることが見いだされている。このようなホログラフィック記録は、位相限定ホログラムと称されてもよい。計算機ホログラフィでは、例えばフーリエ技術を用いて干渉プロセスを数値的にシミュレートして、計算機位相限定ホログラムを生成してもよい。計算機位相限定ホログラムを用いて、物体を表すホログラフィック再構成を生成してもよい。
【0013】
従って、「ホログラム」という用語は、物体の情報を含み、物体を表す再構成を形成するために用いることができる記録に関する。ホログラムは、周波数領域すなわちフーリエ領域における物体の情報を含んでもよい。
【0014】
ホログラフィック技術を二次元画像投影システムにおいて用いることが提案されている。位相限定ホログラムを用いて画像を投影する利点は、計算方法によって、例えば投影画像のアスペクト比、解像度、コントラスト、ダイナミックレンジなどの多くの画像の属性を制御できることにある。位相限定ホログラムのさらなる利点は、振幅変調によって失われる光エネルギーがないことである。
【0015】
計算機位相限定ホログラムは、「ピクセル化」されてもよい。つまり、位相限定ホログラムは個別の位相素子のアレイ上に表されてもよい。それぞれの個別の素子は「ピクセル」と称されてもよい。各ピクセルは位相変調素子などの光変調素子として機能してもよい。従って、計算機位相限定ホログラムは、液晶空間光変調器(SLM)などの位相変調素子のアレイ上に表されてもよい。SLMは反射型でもよく、つまり変調された光がSLMから反射して出射されてもよい。
【0016】
各位相変調素子すなわちピクセルは、状態が変化することで、当該位相変調素子に入射する光に制御可能な位相遅延を与えてもよい。従って、Liquid Crystal On Silicon(LCOS)SLMなどの位相変調素子のアレイは、計算的に決定された位相遅延分布を表してもよい(すなわち「表示」してもよい)。位相変調素子のアレイに入射する光がコヒーレントである場合、この光は、ホログラフィック情報すなわちホログラムで変調される。ホログラフィック情報は、周波数領域すなわちフーリエ領域の情報でもよい。
【0017】
あるいは、位相遅延分布はキノフォームに記録されてもよい。「キノフォーム」という用語は、概して位相限定ホログラフィック記録すなわちホログラムに言及するために使用されてよい。
【0018】
位相遅延は量子化されてもよい。つまり、各ピクセルは離散的な数の位相レベルの1つに設定されてもよい。
【0019】
位相遅延分布は、(例えばLCOS SLMを照明することにより)入射光波に与えられ、再構成されてもよい。空間における再構成の位置は、光学フーリエ変換を行うレンズを用いて制御されて、空間領域にホログラフィック再構成すなわち「画像」が形成されてもよい。あるいは、再構成がファーフィールドで起こる場合には、レンズは必要ではない場合もある。
【0020】
計算機ホログラムは、Gerchberg−Saxtonなどのアルゴリズムを用いるなど、様々な方法で計算可能である。Gerchberg−Saxtonアルゴリズムを用いて、空間領域(例えば二次元画像)における振幅情報から周波数領域における位相情報を導出してもよい。つまり、物体に関する位相情報は、空間領域における強度限定情報すなわち振幅限定情報から「回復」されてもよい。よって、周波数領域における物体の位相限定ホログラフィック表示が計算されてもよい。
【0021】
ホログラフィック再構成は、例えばフーリエ変換レンズを用いてホログラムを照明し、また必要であれば光学フーリエ変換を行うことにより形成されてもよく、それにより、スクリーンなどの再生フィールドに画像(ホログラフィック再構成)が形成される。フレネルホログラムの場合、ホログラフィック再構成は所定の位置に形成される。
【0022】
図2は、本開示に係る、LCOS−SLMなどの反射型SLMを用いて、再生フィールド位置にフーリエホログラフィック再構成を生成する一例を示す。
【0023】
例えばレーザやレーザダイオードなどの光源(210)が、コリメートレンズ(211)を介してSLM(240)を照明するように配置される。コリメートレンズは、光を概ね平面の波面でSLMに入射させる。波面の方向は、わずかに法線から外れている(例えば、透明層の平面に対して真に直交する方向から2°または3°離れている)。この配置により、光源からの光はSLM裏面のミラー面で反射し、位相変調層と相互作用して、出射波面(212)を形成する。出射波面(212)は、フーリエ変換レンズ(220)などの、スクリーン(225)にその焦点を有する光学系に照射される。
【0024】
フーリエ変換レンズ(220)は、SLMから出射する位相変調された光のビームを受光し、周波数−空間変換を行うことで、空間領域におけるスクリーン(225)にホログラフィック再構成を生成する。
【0025】
このプロセスにおいて、光源からの光(画像投影システムの場合には可視光)は、SLM(240)および位相変調層(すなわち位相変調素子のアレイ)全域に分散される。位相変調層から出射した光は、再生フィールド全域に分散されてもよい。ホログラムの各ピクセルは、再生画像全体に寄与する。つまり、再生画像上の特定の点と特定の位相変調素子との間に1対1の相関関係はない。
【0026】
Gerchberg−Saxtonアルゴリズムは、平面A、Bそれぞれにおける光ビームの断面強度I(x,y)、I(x,y)が既知であり、かつI(x,y)、I(x,y)が1つのフーリエ変換により関係づけられるときの位相回復問題を検討する。所与の断面強度により、平面A、Bそれぞれにおける位相分布Φ(x,y)、Φ(x,y)に対する近似が求められる。Gerchberg−Saxtonアルゴリズムは、反復プロセスに従ってこの問題に対する解を見出す。
【0027】
Gerchberg−Saxtonアルゴリズムは、空間領域とフーリエ(スペクトル)領域との間でI(x,y)、I(x,y)を表すデータセット(振幅および位相)を繰り返し転送しながら、空間制限およびスペクトル制限を繰り返し適用する。空間制限およびスペクトル制限は、それぞれI(x,y)およびI(x,y)である。空間領域またはスペクトル領域いずれかにおける制限は、データセットの振幅に課される。対応する位相情報は、一連の反復を通して回復される。
【0028】
Gerchberg−Saxtonに基づく修正アルゴリズムが開発されている。例えば、同時係属の国際公開第2007/131650号を参照されたい。これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
図3は、既知の振幅情報T[x,y]362を生じさせるデータセットのフーリエ変換の位相情報Ψ[u,v]を回復する修正アルゴリズムを示す。振幅情報T[x,y]362は、対象画像(例えば写真)を表す。位相情報Ψ[u,v]を用いて、像平面に対象画像のホログラフィック表示を生成する。
【0030】
マグニチュードと位相とは本来フーリエ変換において合成されるので、変換されたマグニチュード(および位相)は、計算されたデータセットの精度に関する有用な情報を含む。そのため、当該アルゴリズムは、振幅および位相情報両方のフィードバックを提供してもよい。
【0031】
図3に示すアルゴリズムは、(振幅情報301および位相情報303を有する)複合波入力と、(同様に振幅情報311および位相情報313を有する)複合波出力とを有するとみなすことができる。振幅情報と位相情報とは本来組み合わされてデータセットを形成するが、便宜上それらを個別に考察する。なお、振幅情報および位相情報はともに、それら自身ファーフィールド画像用の空間座標(x,y)およびホログラム用の空間座標(u,v)の関数であり、ともに振幅分布および位相分布とみなすことができる。
【0032】
図3を参照に、処理ブロック350がマグニチュード情報301および位相情報303を有する第1のデータセットからフーリエ変換を生成する。その結果、マグニチュード情報および位相情報Ψ[u,v]305を有する第2のデータセットが生じる。処理ブロック350からの振幅情報は光源を表す分布に設定されるが、位相情報Ψ[u,v]305は保持される。位相情報305は、処理ブロック354により量子化され、位相情報Ψ[u,v]309として出力される。位相情報309は、処理ブロック356に送られ、処理ブロック352により新たなマグニチュードと組み合わされる。第3のデータセット307,309は、逆フーリエ変換を行う処理ブロック356に与えられる。これにより、振幅情報311および位相情報313を有する空間領域における第4のデータセットR[x,y]が生成される。
【0033】
第4のデータセットから始めて、その位相情報313は、第5のデータセットの位相情報を形成し、次の反復303´における第1のデータセットとして適用される。その振幅情報R[x,y]311は、対象画像からの振幅情報T[x,y]362から減算されることにより修正され、振幅情報315のセットが生成される。スケーリングされた振幅情報315(αによりスケーリング)は、対象振幅情報T[x,y]362から減算されて、次の反復において第1のデータセットとして適用される第5のデータセットの入力振幅情報η[x,y]301が生成される。これは、以下の式で数学的に表される。
【0034】
【数1】
【0035】
ここで、
F´は逆フーリエ変換であり、
Fは順フーリエ変換であり、
Rは再生フィールドであり、
Tは対象画像であり、
∠は角度情報であり、
Ψは角度情報の量子化バージョンであり、
εは新たな目標マグニチュードであり、ε≧0であり、
αは利得要素〜1である。
【0036】
利得要素αは、入力対象画像データのサイズおよび速度に基づいて予め定められてもよい。
【0037】
前回の反復からの位相情報がない場合、アルゴリズムの初回の反復では、ランダム位相生成器を用いて、出発点としてのランダムな位相情報が供給される。図4は、ランダム位相シードの一例を示す。
【0038】
一変形例では、処理ブロック350からの結果として得られた振幅情報は破棄されない。対象振幅情報362が振幅情報から減算されて、新たな振幅情報が生成される。複数の振幅情報が振幅情報362から減算されて、処理ブロック356への入力振幅情報が生成される。さらなる代替では、位相は完全にフィードバックされず、最後の2回の反復における変化に比例した部分のみがフィードバックされる。
【0039】
よって、関心画像を表すフーリエ領域データが形成されてもよい。
【0040】
実施形態は例としてのみの位相ホログラムに関し、本開示が振幅ホログラムにも同様に適用可能であると理解されてもよい。
【0041】
発明者らは、図1に示すニアアイ装置の限界を認識した。
図1の装置は、光が振幅変調され大半の光が減衰するので、エネルギー効率が悪い。
−現実世界の視野を拡張する画像が、空間における固定された(例えば可変ではない)位置で視認される。
−光学要素における光学収差などを補償するために追加の光学系が必要とされ得る。
−球面は、コンバイナの一部として作製するのに高価である。
【0042】
発明者らは、凡庸ホログラフィック技術を用いて現実世界のシーンを拡張する画像を形成することにより、これらの問題に対処した。この画像は、「拡張画像」と称されてもよい。
【0043】
図5は、本開示の一実施形態を示す。
【0044】
図5は、光源501と、ビームスプリッタ505を介して空間光変調器507を照明するように配置されたコリメートレンズ503とを示す。空間光変調器507は、画像のホログラフィック領域表示を提供する(すなわち「表示する」)ように配置された位相変調素子(すなわち「ピクセル」)のアレイを備える。より具体的には、空間光変調器507に入射する光の位相が空間的に変調されて、空間的に変調された光を形成する。この空間的に変調された光は、ビームコンバイナ509の第1の光学インプット521を形成する。
【0045】
ビームコンバイナ509は、現実世界のシーンの視野を提供する第2の光学インプット523も備える。さらに、ビームコンバイナ509は、空間的に変調された光をビームコンバイナの光学アウトプット525に向けるように配置されている。第2の光学インプット523で受光された光も、ビームコンバイナ509の光学アウトプット525に向けられる。この点に関して、ビームコンバイナが現実世界の画像を空間的に変調された光と合成すると理解されてもよい。従って、現実世界の画像が空間光変調器からの光によって拡張されると理解することができる。
【0046】
ビームスプリッタ505は任意であり、同様に空間光変調器507は背後から照明されても、ビームスプリッタを必要としない他の幾何学配置で照明されてもよいことは容易に理解されてもよい。同様に、コリメートレンズ503は、例えば光源から発せられる光が既に平行光である場合には不要でもよい。さらに、当業者であれば、光をコリメートする他の技術も同様に用いられてもよいことを理解するだろう。
【0047】
図1を参照に説明した装置とは対照的に、本開示に係る空間光変調器507は、入射光の振幅ではなく位相を空間的に変調する。よって、光が減衰されないので、当該装置はよりエネルギー効率がよい。
【0048】
従って、入射光に位相遅延分布を与えるように配置された位相変調素子のアレイを備える空間光変調器と、空間光変調器からの空間的に変調された光を受光するように配置された第1の光学インプットおよび現実世界の視野を有する第2の光学インプットを有するビームコンバイナとを備えるニアアイ装置が提供される。
【0049】
図1の装置とはさらに対照的に、空間光変調器507は、実像ではなく、画像に対応するホログラムを表示する。つまり、空間的に変調された光は、画像を表す位相限定ホログラフィック領域データを備える。よって、ホログラムの全ての部分が再構成の全ての部分に貢献するので、当該装置はエネルギー効率がよい。
【0050】
実施形態において、ホログラムはフーリエホログラムである。つまり、ホログラフィック領域データはフーリエホログラムである。フーリエホログラムは、再構成が無限遠またはフーリエ変換を行うレンズの焦点で形成されるホログラムである。有利なことに、フーリエホログラムを用いることにより、網膜にホログラフィック再構成を形成するために視認者の眼がフーリエ変換を行ってもよい。よって、視認者とビームコンバイナとの距離は重要ではない。つまり、視認者はビームコンバイナに近づいたり離れたりしてもホログラフィック再構成を見ることができる。従って、当該装置は視認者の動きに対してより寛容であり、より高い設計自由度を提供する。つまり、実施形態において、空間的に変調された光は、ユーザが画像のホログラフィック再構成を見るようにユーザの眼が空間的に変調された光のフーリエ変換を行うように配置される。
【0051】
本明細書に記載される実施形態は、例としてのみのフーリエホログラフィに関する。本開示は、ホログラムの計算時にフレネルレンズ関数が適用されるフレネルホログラフィにも同様に適用可能である。図6は、投影用の対象画像を表すフーリエ領域データを計算するためのフレネルホログラフィックアルゴリズムの一例を示す。
【0052】
位相回復アルゴリズムの開始条件601は、それぞれのピクセルが単一性振幅ではあるが、ランダム位相シード関数により与えられるランダム位相を有することである。フレネル位相関数603が位相データに加算される。結果として得られる振幅および位相関数がフーリエ変換される605。対象画像(振幅のみ)609が振幅成分から減算され、制御可能利得611が適用される。対象画像609は、振幅成分に加算され、逆フーリエ変換615が行われる。フレネルレンズ関数617が減算され、位相が量子化される619。結果として得られる位相情報がホログラム623を形成する。「容認できる」品質のホログラムが得られるまで、フレネルレンズ関数621を再度加算し、フーリエ変換615およびそれに続くステップを繰り返すことにより、ループがさらに反復されてもよい。
【0053】
実施形態において、ホログラムはフレネルホログラムである。つまり、ホログラフィック領域データは、フレネルホログラムである。フレネルホログラフィにおいて、ホログラフィック再構成がフーリエ経路に沿ったある所定の点に形成される。つまり、実施形態において、空間的に変調された光は、近視野における再生平面に画像のホログラフィック再構成を形成するように配置される。有利なことに、フレネルホログラフィでは、単一のホログラムから空間における複数の平面に再構成を作成することが可能である。従って、複数の画像が同時に現実世界のシーンを拡張してもよい。
【0054】
実施形態において、ホログラムは、レンズデータをさらに備えてもよい。より具体的には、レンズ効果を有するホログラム領域データが、画像を表すホログラム領域データに合成、例えば加算される。この付加的なホログラムデータは、実レンズを模倣し、従って光学パワーを追加する。従って、レンズデータは空間においてどこで画像がユーザに対して現れるかを制御する。当業者であれば、必要とされるレンズ効果を有するホログラム領域データの計算方法およびそのようなデータを他のホログラム領域データに加算する方法は既知である。
【0055】
よって、一実施形態において、空間的に変調された光はレンズ効果を有する位相限定ホログラフィック領域データをさらに備える。
【0056】
実施形態において、ホログラムは位相限定ホログラムであり、レンズ効果は位相限定レンズにより与えられる。位相限定ホログラムは、リアルタイムで計算されてもよいし、データベースなどのレポジトリから取得されてもよい。ホログラムは、Gerchberg−Saxton型アルゴリズムまたは適切なホログラム領域データを生成するための他のいかなるアルゴリズムを用いて計算されてもよい。当業者であれば、ホログラムは同様に振幅ホログラムでも、振幅・位相ホログラムでもよいことを理解するだろうし、従って、レンズ効果も、振幅ホログラムまたは振幅・位相ホログラムによって与えられてもよい。
【0057】
実施形態において、画像を表すホログラム領域データは、システムにアイレリーフを追加するためにビームコンバイナの球面などの追加の要素が必要とされないように、レンズ効果を有するホログラム領域データと合成される。従って、システムを作製するためのコストが低減される。特に、必要な公差を有する球面を作製するのは高価である。
【0058】
一実施形態において、2つのホログラフィックデータセットが単純ベクトル加算によって合成される。この点に関して、空間光変調器に表されるホログラムは、拡張用の実像を表す第1のデータとレンズ機能を有する第2のデータとを備える。とりわけ、レンズ機能は、異なるレンズ機能を単に画像を表すホログラフィックデータに追加することによって容易に変更されてもよい。従って、このアプローチにより、例えばシステムが使用中にアライメントされ直したり、ユーザが異なる距離でデータを表示しようとしたりした場合、画像が視認される位置をリアルタイムで調整することも可能になる。
【0059】
一実施形態において、レンズ効果は、負のレンズ効果である。よって、現実世界のシーンを拡張する画像は、効果的にユーザから離される。つまり、画像が実際よりも遠くから生じたように見える。より具体的には、画像は、空間光変調器よりさらに遠くの空間における点から来たかのように見える。この点に関して、レンズ効果がアイレリーフを追加すると言ってもよい。従って、有利なことに、負のレンズ効果を用いることにより、ユーザには画像が現実世界のシーンの中にあるかのように見えてもよい。言い換えると、一実施形態において、空間的に変調された光は発散している。
【0060】
さらなる実施形態において、さらなる光学パワーがホログラムに与えられて、他の光学要素を補償してもよい。一実施形態において、空間的に変調された光は、ニアアイ装置の他の光学要素における収差を補償するように配置された位相限定ホログラフィック領域データをさらに備える。再び、収差を補償するように配置された位相限定ホログラフィック領域データは計算的に制御されることで容易に変更され得ると理解されてもよい。
【0061】
上記から、実施形態において、画像(ホログラフィック再構成)が現実世界のシーンを拡張すると理解されてもよい。実施形態において、この拡張は光学的に達成される。一実施形態において、第1の光学インプットおよび第2の光学インプットは共直線である。一実施形態において、ビームコンバイナは、第1の光学インプットで受光された光を第2の光学インプットで受光された光と合成するように配置された光学アウトプットをさらに備える。よって、現実世界シーンを画像で拡張する簡素で便利な方法が提供される。より具体的には、一実施形態において、光学アウトプットは、第1の光学インプットで受光された光を少なくとも部分的に第2の光学インプットで受光された光にオーバーレイするように配置される。
【0062】
一実施形態において、ニアアイ装置は、ニアアイ装置のユーザがビームコンバイナからの光学アウトプットを受けるように配置される。ホログラフィック再構成を用いて、ユーザに追加情報を提供してもよい。また、ホログラフィック再構成を用いて、人工的なシーンを提供してもよい。一実施形態において、画像のホログラフィック再構成は、現実世界の視野を拡張する。
【0063】
当該装置は光源を必要とするが、光源はニアアイ装置に外付けであってもよいし、ニアアイ装置に内蔵されていてもよいと理解してもよい。一実施形態において、ニアアイ装置は空間光変調器を照明するように配置された光源をさらに備える。
【0064】
簡略化のため、入射光は平面波であってもよい。しかしながら、ホログラムは入射光に適合されて、望ましい画像を形成するために再構成する空間変調後の必要な光を形成してもよい。つまり、入射光は平面波ではなくてもよい。しかしながら、一実施形態において、光源は光の平面波で空間光変調器を照明するように配置される。
【0065】
一実施形態において、ニアアイ装置は一対のゴーグルまたはメガネである。当業者であれば、ニアアイ装置が他の既知の形態を取ってもよいことを理解するだろう。画像は、映像でもよいし、時間的に変化してもよい。画像は時間的に動いてもよい。また、画像は静止画像でもよい。
【0066】
従って、ニアアイ装置を用いて拡張現実を提供する方法が提供され、当該方法は、画像を表す位相限定ホログラフィック領域データを備えるホログラフィックデータを提供することと、ホログラフィックデータで光を空間的に変調して空間的に変調された光を形成することと、空間的に変調された光をビームコンバイナを用いて現実世界の視野と合成することとを備える。一実施形態において、ホログラフィックデータは、レンズ効果を有する位相限定ホログラフィック領域データをさらに備える。一実施形態において、ホログラフィック領域データは、フーリエホログラムおよびフレネルホログラムの少なくとも1つである。
【0067】
光は、liquid crystal on silicon SLMなどの空間光変調器を用いて空間的に変調されてもよい。ホログラフィックデータは、光の入射平面波がホログラフィックデータで空間的に変調されるようにSLMに合わせて書かれていると理解できる。この点に関して、SLMのピクセルがホログラフィックデータを「表示する」すなわち「表す」とみなしてもよい。
【0068】
当該装置は様々な情報を表示してもよいと理解できる。従って、多くの表示可能な画像に対応するホログラムは、事前に計算されレポジトリに保存されるか、リアルタイムで計算されてもよい。一実施形態において、複数の画像をそれぞれ表すホログラム領域データのレポジトリが提供される。同様に、実施形態において、異なるレンズ効果を有するホログラム領域データのレポジトリが提供される。さらなる実施形態において、種々のレンズデータのセットの光学パワーのルックアップテーブルが提供される。
【0069】
フーリエホログラフィにおいて、再構成された画像の品質は、再構成の回折性の結果であるいわゆる0次問題に影響される可能性がある。このような0次光は「ノイズ」と見なすことができ、例えば鏡面反射光およびその他のSLMからの不要な光を含む。
【0070】
この「ノイズ」は、通常フーリエレンズの焦点に集光され、再構成された画像の中心に輝点をもたらす。従来、0次光は単に遮蔽されていたが、これは明らかに輝点を灰色点で置き換えることを意味する。
【0071】
しかしながら、ホログラムは三次元情報を含むため、再構成を空間における異なる面に移動させることができる。例えば国際公開第2007/131649号を参照されたい。これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
あるいは、角度選択フィルタを用いて、0次の平行光線のみを取り除くことも可能である。0次光を制御する他の方法を用いてもよい。
【0073】
本明細書に記載される実施形態は、画像を表示することに関するが、本開示は決してこの点に限定されず、1つ以上のホログラムを同時にSLM上に表示してよい。
【0074】
例えば、実施形態は「タイリング」の技術を実施し、この技術では、SLMの表面積が多数のタイルに細分され、それぞれのタイルが元のタイルの位相分布と類似または同一の位相分布に設定される。従って、各タイルの表面積は、SLMの割当てられた全面積が1つの大きな位相パターンとして用いられた場合よりも小さい。タイルにおける周波数成分の数が少なくなるほど、画像が生成された時再構成されるピクセルがより離間している。画像は0次回折次数内で生成され、1次およびそれ以降の次数は画像と重なり合わないように十分遠くに位置し、空間フィルタによって遮蔽されることが好ましい。
【0075】
上述したように、(タイリングの有無にかかわらず)本方法により生成される画像は、画像ピクセルを形成するスポットを備える。用いられるタイルの数が多くなるほど、これらのスポットは小さくなる。無限正弦波のフーリエ変換を例にとると、単一の周波数が生成される。これは最適な出力である。実際には、1つのタイルのみが用いられる場合、これは正弦波の1つの周期の入力に対応し、ゼロ値が正弦波の端点から無限まで正負方向に延在する。フーリエ変換から1つの周波数を生成する代わりに、主周波数成分をその両側の一連の隣接する周波数成分で生成する。タイリングの使用により、これらの隣接する周波数成分の大きさが低減され、直接的な結果として、隣接する画像ピクセル間で発生する(建設的または破壊的な)干渉が少なくなり、それにより画像品質が向上する。
【0076】
断片的なタイルを使用することも可能ではあるが、好ましくは、各タイルが完全なタイルである。
【0077】
実施形態はGerchberg−Saxtonアルゴリズムの変形に関するが、当業者であれば、他の位相回復アルゴリズムでも本明細書に開示された改良された方法を実施できることを理解するだろう。
【0078】
当業者であれば、本明細書に開示された改良された方法は、物体の三次元再構成を形成するために用いられるホログラムの計算にも同様に適用可能であることを理解するだろう。
【0079】
同様に、本開示は、単色画像の投影に限定されない。
【0080】
カラーの二次元ホログラフィック再構成を生成することが可能であり、主に2つの方式で達成できる。1つの方式は、「面順次カラー」(FSC)として知られている。FSCシステムでは、3つのレーザ(赤、緑、青)が用いられ、それらのレーザが順次SLMに照射されて、映像の各フレームが生成される。カラーは、人間の視認者が3つのレーザの組み合わせから多色画像を視認するのに十分速い速度で循環する(赤、緑、青、赤、緑、青など)。従って、それぞれのホログラムは特定のカラーである。例えば、1秒当たり25フレームの映像では、最初のフレームは、赤レーザを1秒の1/75の間照射し、次に緑レーザを1秒の1/75の間照射し、最後に青レーザを1秒の1/75の間照射することで生成される。その後、次のフレームが赤レーザから生成される、といった具合である。
【0081】
「空間分離カラー」(SSC)と呼ばれる別の方式では、3つのレーザ全てが同時に照射されるが、例えばそれぞれが異なるSLMを用いたり、1つのSLMの異なるエリアを用いたりするなど、異なる光路を取り、その後合成されてカラー画像が形成される。
【0082】
面順次カラー(FSC)方式の利点は、SLM全体が各カラーのために用いられることである。これは、SLMの全てのピクセルが各カラー画像用に用いられるため、生成される3つのカラー画像の品質が損なわれないことを意味する。しかしながら、FSC方式の欠点は、それぞれのレーザが3分の1の時間しか用いられないため、生成される全体的な画像がSSC方式により生成される対応する画像と比べて3分の1程度の明るさしかないことである。この欠点は、レーザを過度に動作させること、またはより高出力なレーザを用いることにより対処可能かもしれないが、これは、より多くの電力を必要とし、コスト高となり、システムがコンパクトではなくなる。
【0083】
SSC(空間分離カラー)方式の利点は、3つの全てのレーザが同時に照射されるため、画像がより明るいことである。しかしながら、空間の制約上、1つのSLMしか用いることできない場合、SLMの表面積を三等分し、実質的に3つの別々のSLMとして動作させる。この欠点は、それぞれの単色画像に利用可能なSLM表面積が減少することにより、それぞれの単色画像の品質が低下することである。これに伴い、多色画像の品質も低下する。利用可能なSLM表面積が減少することは、SLMの使用可能なピクセルが少なくなることを意味し、そのため、画像の品質が低下する。画像の解像度が減少するため、画像の品質が低下する。
【0084】
実施形態において、SLMは、Liquid Crystal on silicon(LCOS)装置である。LCOS SLMは、信号ライン、ゲートラインおよびトランジスタがミラー面の下方にあるという利点を有し、これにより、高いフィルファクター(典型的には90%を超える)および高解像度がもたらされる。
【0085】
現存のLCOS装置は、4.5μmから12μmのピクセルを有する。
【0086】
LCOS装置の構造を図7に示す。
【0087】
LCOS装置は、単結晶シリコン基板(802)を用いて形成される。LCOS装置は、基板の上面に、間隙(801a)によって離間されて配置された正方形の平面アルミニウム電極(801)の二次元アレイを有する。それぞれの電極(801)は、基板(802)に埋設された回路(802a)を介してアドレス指定可能である。それぞれの電極は、対応する平面ミラーを形成する。電極アレイ上には配向層(803)が配置されており、配向層(803)上には液晶層(804)が配置されている。液晶層(804)上には第2の配向層(805)が配置されており、第2の配向層(805)上には例えばガラスからなる平面透明層(806)が配置されている。透明層(806)と第2の配向層(805)との間には例えばITOからなる単一の透明電極(807)が配置されている。
【0088】
各正方形電極(801)は、透明電極(807)の上を覆っている領域および介在する液晶材料とともに、制御可能な位相変調素子(808)を画定し、これは通常ピクセルと称される。有効ピクセル領域すなわちフィルファクターは、光学的に活性なピクセル全体の、ピクセル間のスペース(801a)を考慮した割合である。透明電極(807)に対してそれぞれの電極(801)に印加される電圧を制御することにより、各位相変調素子の液晶材料の特性を変化させて、それにより入射光に可変の遅延を与えてもよい。この効果として、波面に位相限定変調を与え、すなわち振幅の影響は起こらない。
【0089】
反射型LCOS空間光変調器を用いることの主な利点は、液晶層の厚さを、透過型装置が用いられた場合に必要な厚さの半分にできることである。これにより、液晶のスイッチング速度(動画像の投影のキーポイント)が大幅に改善する。また、LCOS装置は、他に類を見ないほど、小さな開口で位相限定素子の大きなアレイを表示することが可能である。小さな素子(典型的にはおよそ10ミクロン以下)により実用的な回折角(数度)が得られるので、光学システムはさほど長い光路を必要としない。
【0090】
LCOS SLMの小さな開口(数平方センチメートル)を適切に照明するのは、より大きな液晶装置の開口を照明するのよりも容易である。また、LCOS SLMは、大きな開口率を有し、ピクセル間にデッドスペースがほとんど存在しない(ピクセルを駆動するための回路がミラーの下に埋設されているため)。これは、再生フィールドにおける光学ノイズを削減するにあたって重要な課題である。
【0091】
上述の装置は、通常10℃から約50℃の温度範囲内で動作し、最適な装置動作温度は約40℃から50℃であるが、これは使用されるLC組成に依存する。
【0092】
シリコンバックプレーンを用いることは、ピクセルが光学的にフラットであるという利点を有し、これは、位相変調装置にとって重要である。
【0093】
実施形態は反射型LCOS SLMに関するが、当業者であれば、透過型SLMを含む、任意のSLMが使用可能であることを理解するだろう。
【0094】
本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の請求項の全範囲に及ぶ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7