特許第6704028号(P6704028)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704028
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】有機発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20200525BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20200525BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20200525BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20200525BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20200525BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20200525BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20200525BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   H01L27/32
   H05B33/12 B
   H05B33/22 Z
   H05B33/28
   H05B33/26 Z
   G09F9/30 365
   G09F9/30 349Z
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-200049(P2018-200049)
(22)【出願日】2018年10月24日
(65)【公開番号】特開2019-83190(P2019-83190A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2018年10月25日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0144068
(32)【優先日】2017年10月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユン, ウラム
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ヨンフン
【審査官】 小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−225329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0110522(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0103308(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2017−0005252(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0125742(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第106653798(CN,A)
【文献】 国際公開第2015/155971(WO,A1)
【文献】 特開2015−069830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H01L 51/50 − 51/56
H01L 27/32
H05B 33/12
H05B 33/22
H05B 33/26
H05B 33/28
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが発光領域に発光ダイオードを備えた複数の画素領域を含む有機発光表示装置において、
前記発光ダイオードは、
前記画素領域のそれぞれの前記発光領域の内部に配置された複数のホールを含む第1電極と、
前記複数のホールのそれぞれに配置され、前記第1電極から突出し、前記画素領域のそれぞれの前記発光領域に配置された複数のバンクパターンと、
前記第1電極および前記複数のバンクパターンの上面の上部に配置される有機発光層と、
前記有機発光層の上部に配置される第2電極と、を備え、
前記有機発光層と前記第2電極は、それぞれ前記第1電極と前記複数のバンクパターンの前記上面に一致した形状を有する有機発光表示装置。
【請求項2】
前記有機発光層と前記第2電極は、マイクロレンズを成す、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記マイクロレンズは、前記有機発光表示装置の光抽出効率を改善する屈曲形状を有する、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第1電極の下面の下部に配置されるオーバーコート層をさらに備え、
前記第1電極と前記オーバーコート層との間の界面で全反射した光は、前記有機発光層と前記第2電極が成すマイクロレンズによって、全反射臨界角より小さい角度で進むことになり、1つ以上の反射によって抽出される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記複数のホールは、六角形のハニカム構造で前記第1電極の内部に形成される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記複数のホールは、互いに所定間隔離隔した、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記第1電極の内部に形成される前記複数のホールは、前記複数のバンクパターンと前記第1電極との間の界面を減少させる、請求項に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記複数のホールのそれぞれに配置された前記複数のバンクパターンのそれぞれは、8000Å〜12000Åの幅を有する、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
複数のバンクパターンの隣接した2つの間の幅は、前記複数のバンクパターンのそれぞれの幅の約3倍である、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記画素領域の縁部に沿って配置されるバンクをさらに備える、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記複数のバンクパターンは、前記バンクと同じ物質からなり、前記複数のバンクパターンは、前記バンクと同じ工程によって形成される、請求項10に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記複数のバンクパターンのそれぞれは、前記第1電極から突出する半円状である、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記有機発光層および前記第2電極は、前記複数のバンクパターンのそれぞれに対応する凸部と、前記第1電極に対応する平坦部と、を含む、請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記複数のバンクパターンのそれぞれの高さが高くなるにつれて、前記画素領域の外部へ抽出される光量が増加する、請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記複数のバンクパターンのそれぞれの高さは、5000Å〜9000Åである、請求項14に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
それぞれが発光ダイオードを備えた複数の画素領域を含む有機発光表示装置において、
前記発光ダイオードは、
内部に複数のホールを含む第1電極と、
前記複数のホールのそれぞれに配置され、前記第1電極から突出したバンクパターンと、
前記第1電極および前記バンクパターンの上面の上部に配置される有機発光層と、
前記有機発光層の上部に配置される第2電極と、を備え、
前記有機発光層および前記第2電極は、それぞれ前記第1電極および前記バンクパターンの前記上面に一致した形状を有し、
前記バンクパターンは、前記第1電極から突出する第1突出部および第2突出部と、前記第1突出部と前記第2突出部を連結し、前記第1電極に向かって凹んだ凹部を含む、有機発光表示装置。
【請求項17】
前記有機発光層および前記第2電極は、前記バンクパターンの前記第1突出部および前記第2突出部に対応する第1凸部および第2凸部と、前記バンクパターンの前記凹部に対応する凹溝と、前記第1電極に対応する平坦部と、を含み、
前記第1凸部および前記第2凸部、前記凹溝は、光反射のための屈曲面積を増加させる、請求項16に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
前記バンクパターンの前記凹部の高さが増加するにつれて、前記画素領域の外部へ抽出される光量が増加する、請求項16に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
前記バンクパターンの前記凹部の高さは、前記バンクパターンの高さの1/3〜2/3である、請求項18に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
前記画素領域のそれぞれの前記発光領域に対応する波長変換層をさらに備え、
前記複数のバンクパターンが前記波長変換層と完全に重畳することで、前記複数のバンクパターンが前記波長変換層の内側に配置される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に関するものであって、特に光抽出効率が向上した有機発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、大量の情報を処理して表示するディスプレイに対する関心が高まり、持ち運び可能な情報媒体への要求が高まるにつれて、ディスプレイ分野が急速に発展しており、それに応じて、軽量および薄型の様々なフラット表示装置が開発され、注目を浴びている。
【0003】
このようなフラット表示装置の具体的な例には、液晶表示装置(Liquid Crystal Display device:LCD)、プラズマ表示装置(Plasma Display Panel device:PDP)、電界放出表示装置(Field Emission Display device:FED)、電気発光表示装置(Electroluminescence Display device:ELD)、有機発光素子(Organic Light Emitting Diodes:OLED)などが挙げられるが、これらフラット表示装置は、薄型、軽量、および低消費電力といった優れた性能を有することから、既存のブラウン管(Cathode Ray Tube:CRT)を急速に代替している。
【0004】
かかるフラット表示装置のうち、有機発光素子(以下、OLEDと言う)は自己発光素子であって、非発光素子である液晶表示装置に用いられるバックライトが不要であるため、軽量化および薄型化が可能である。
【0005】
また、液晶表示装置に比べて視野角およびコントラスト比に優れており、消費電力の面でも有利である上、直流低電圧で駆動が可能である。さらに応答速度が速く、内部の構成要素が固体であることから外部からの衝撃に強く、使用温度範囲も広いというメリットを有する。
【0006】
特に、製造工程が単純であるため、生産原価を既存の液晶表示装置より大幅に低減できるというメリットがある。
【0007】
ところが、かかるOLEDは、有機発光層から出射された光がOLEDの様々な構成要素を通って外部へ放出される過程において、相当な部分が損失するため、OLEDの外部へ放出される光は、有機発光層から出射された光のうち、約20%程度に過ぎない。
【0008】
ここで、有機発光層から出射される光量は、OLEDへ印加される電流の大きさと共に増加するので、有機発光層へさらに多くの電流を印加し、OLEDの輝度をより上昇させることはできるが、その結果、電力消耗が大きくなり、またOLEDの寿命が減少する。
【0009】
したがって、最近は、OLEDの光抽出効率を向上させるための様々な研究が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述した問題を解決するためのものであって、光抽出効率が向上したOLEDを提供することを第一の目的とする。
【0011】
また、本発明は、OLEDの寿命向上などにより、効率も向上させることを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述したような目的を達成するため、本発明は、発光領域、および前記発光領域の縁部に沿って非発光領域が定義される複数の画素領域を含む基板と、前記基板の上部に配置されるオーバーコート層と、前記発光領域に対応して前記オーバーコート層の上部に配置され、前記オーバーコート層を露出する複数のホールを含む第1電極と、前記ホールに配置され、前記第1電極から凸に突出するバンクパターンと、前記第1電極および前記バンクパターンの上部に位置する有機発光層と、前記有機発光層の上部に位置する第2電極を備え、前記有機発光層および前記第2電極は、前記バンクパターンに対応する凸部を含むマイクロレンズを成す有機発光表示装置を提供する。
【0013】
このとき、前記第1電極は、前記画素領域毎に位置し、前記第1電極の縁部に沿って前記非発光領域にバンクが位置して、前記バンクパターンは、前記バンクと同じ物質からなる。また、前記バンクパターンの幅は、8000Å〜12000Åであり、隣接した前記バンクパターン間の幅は、前記バンクパターンの幅の約3倍である。
【0014】
そして、前記バンクパターンの高さは、5000Å〜9000Åであり、前記バンクパターンは、半円状である。
【0015】
また、前記バンクパターンは、第1突出部および第2突出部、前記第1突出部と前記第2突出部を連結し、前記第1電極に向かって凹んだ凹部を含み、前記凹部の高さは、前記バンクパターンの高さの1/3〜2/3である。
【0016】
このとき、前記有機発光層および前記第2電極は、前記バンクパターンの前記第1突出部および前記第2突出部に対応する第1凸部および第2凸部と、前記バンクパターンの前記凹部に対応する凹溝を含むマイクロレンズを成し、前記複数の画素領域は、前記発光領域上に波長変換層が設けられる。
【0017】
また、前記画素領域毎に駆動薄膜トランジスタが設けられ、前記駆動薄膜トランジスタは、半導体層と、半導体層の上部に位置するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上部に位置するゲート電極と、前記ゲート電極の上部に位置する第1層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜の上部に位置するソース電極およびドレイン電極を含み、前記オーバーコート層は、前記波長変換層、前記ソース電極および前記ドレイン電極の上部に位置する第2層間絶縁膜の上部に位置する。
【発明の効果】
【0018】
前述したように、本発明により、発光ダイオードの第1電極に複数のホールを設け、それぞれのホールにバンクパターンを配置することで、有機発光層および第2電極がマイクロレンズを成すようにして、OLEDの光抽出効率を向上させることができるという効果がある。
【0019】
それにより、輝度が向上し、消費電力が減少できるという効果がある。
【0020】
特に、第1電極に複数のホールを設け、バンクパターンが複数のホールにそれぞれ配置されるようにすることで、バンクパターンと第1電極の間の界面を減らすことになるので、それによって光抽出効率をさらに向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施例に係るOLEDを概略的に示す断面図である。
図2】本発明の第1実施例に係るOLEDのバンクパターンの配置構造を概略的に示す平面図である。
図3図2のII−IIに沿って切断した断面図であって、光がガイドされる様子を概略的に示す図面である。
図4A】本発明の第1実施例に係るOLEDにおける光抽出態様を比較シミュレーションした結果である。
図4B】本発明の第1実施例に係るOLEDにおける光抽出態様を比較シミュレーションした結果である。
図4C】本発明の第1実施例に係るOLEDにおけるバンクパターンの高さによるOLEDの光抽出態様をシミュレーションした結果である。
図4D】本発明の第1実施例に係るOLEDにおけるバンクパターンの高さによるOLEDの光抽出態様をシミュレーションした結果である。
図5】本発明の第2実施例に係る光がガイドされる様子を概略的に示す図面である。
図6A】本発明の第2実施例に係るOLEDにおける光抽出態様を比較シミュレーションした結果である。
図6B】本発明の第2実施例に係るOLEDにおける光抽出態様を比較シミュレーションした結果である。
図6C】本発明の第2実施例に係るOLEDにおけるバンクパターンの凹部の高さによるOLEDの光抽出態様をシミュレーションした結果である。
図6D】本発明の第2実施例に係るOLEDにおけるバンクパターンの凹部の高さによるOLEDの光抽出態様をシミュレーションした結果である。
図6E】本発明の第2実施例に係るOLEDにおけるバンクパターンの凹部の高さによるOLEDの光抽出態様をシミュレーションした結果である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明に係る実施例を詳細に説明する。
【第1実施例】
【0023】
図1は、本発明の第1実施例に係るOLEDを概略的に示す断面図である。
【0024】
説明に先立ち、本発明の実施例に係るOLED100は、出射された光の透過方向によって、トップエミッション型とボトムエミッション型に分けられるが、以下、本発明では、ボトムエミッション型を例に挙げて説明する。
【0025】
そして、説明の便宜上、各画素領域SPは、発光ダイオードEが設けられて実質的に画像が具現化される発光領域EAと、発光領域EAの縁部に沿って位置し、駆動薄膜トランジスタDTrが形成される回路領域CAを含むように定義する。
【0026】
図1に示すように、本発明の第1実施例に係るOLED100は、駆動薄膜トランジスタDTrおよび発光ダイオードEの形成された基板101が、保護フィルム102によってカプセル封止される。
【0027】
これについてさらに詳細に説明すると、基板101上の各画素領域SPにおける回路領域CA上には、半導体層103が位置するが、半導体層103はシリコンからなり、その中央部は、チャネルを構成するアクティブ領域103aで、アクティブ領域103aの両側は、高濃度の不純物がドープされたソース領域103bおよびドレイン領域103cで構成される。
【0028】
かかる半導体層103の上部には、ゲート絶縁膜105が位置する。
【0029】
ゲート絶縁膜105の上部には、半導体層103のアクティブ領域103aに対応して、ゲート電極107、および図面に示していないが、一方向に延伸するゲート配線が形成される。
【0030】
また、ゲート電極107およびゲート配線(不図示)を含む上部には、第1層間絶縁膜109aが位置し、このとき、第1層間絶縁膜109aおよびその下部のゲート絶縁膜105には、アクティブ領域103aの両側に位置したソース領域103bおよびドレイン領域103cをそれぞれ露出する第1および第2半導体層コンタクトホール116が形成される。
【0031】
次に、第1および第2半導体層コンタクトホール116を含む第1層間絶縁膜109aの上部には、互いに離隔し、第1および第2半導体層コンタクトホール116を介して露出されたソース領域103bおよびドレイン領域103cにそれぞれ接触するソース電極110aおよびドレイン電極110bが形成される。
【0032】
そして、ソース電極110a、ドレイン電極110b、および両電極110a、110bの間から露出された第1層間絶縁膜109aの上部に、第2層間絶縁膜109bが位置する。
【0033】
ソース電極110aおよびドレイン電極110b、そして両電極110a、110bに接触するソース領域103bおよびドレイン領域103cを含む半導体層103と、半導体層103の上部に位置するゲート絶縁膜105と、ゲート電極107は、駆動薄膜トランジスタDTrを構成する。
【0034】
一方、図面に示していないが、ゲート配線(不図示)と交差してそれぞれの画素領域SPを定義するデータ配線(不図示)が位置し、スイッチング薄膜トランジスタ(不図示)は、駆動薄膜トランジスタDTrと同じ構造を有し、駆動薄膜トランジスタDTrに接続される。
【0035】
また、図面において、スイッチング薄膜トランジスタ(不図示)および駆動薄膜トランジスタDTrは、半導体層103がポリシリコン半導体層、または酸化物半導体層からなるトップゲート型を示しているが、変形例として、真性非晶質シリコン若しくは不純物非晶質シリコンからなるボトムゲート型であってもよい。
【0036】
そして、基板101は、主にガラス材質からなるが、曲がったり撓ったりする透明なプラスチック材質、例えば、ポリイミドからなり得る。プラスチック材質を基板101に用いる場合、基板101上において高温の蒸着工程が行われることを考慮すると、高温で耐えられる耐熱性の優れたポリイミドが考えられる。かかる基板101の前面全体は、1以上のバッファー層(不図示)によって覆われてもよい。
【0037】
このとき、回路領域CAに設けられた駆動薄膜トランジスタDTrは、光によって閾値電圧がシフトするという特性を持ち得るが、これを防止するため、本発明に係るOLED100は、半導体層103の下部に遮光層(不図示)をさらに備えることができる。
【0038】
遮光層(不図示)は、基板101と半導体層103との間に形成され、基板101を介して半導体層103へ入射する光を遮断することにより、外部光によるトランジスタの閾値電圧の変化を最小化、或いは防止する。かかる遮光層(不図示)は、バッファー層(不図示)によって覆われる。
【0039】
そして、各画素領域SPの発光領域EAに対応する第2層間絶縁膜109bの上部には、波長変換層106が位置する。
【0040】
このような波長変換層106は、発光ダイオードEから基板101へ出射される白色光のうち、画素領域SPに設定された色の波長だけを透過させるカラーフィルターを含む。
【0041】
一例に係る波長変換層106は、赤色、緑色、または青色の波長だけを透過させることができる。例えば、本発明に係るOLED100において、1つの単位画素は、隣接した第1ないし第3画素領域SPからなり、この場合、第1画素領域に設けられた波長変換層106は赤色カラーフィルター、第2画素領域に設けられた波長変換層106は緑色カラーフィルター、そして第3画素領域に設けられた波長変換層106は青色カラーフィルターをそれぞれ含むことができる。
【0042】
本発明に係るOLED100における1つの単位画素は、波長変換層106が形成されていない白色の画素領域をさらに含むことができる。
【0043】
他の例に係る波長変換層106は、発光ダイオードEから基板101へ出射される白色光によって再発光し、各画素領域SPに設定された色の光を出射する大きさを有する量子ドットを含むことができる。ここで、量子ドットは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、GaAs、GaP、GaAs‐P、Ga‐Sb、InAs、InP、InSb、AlAs、AlP、またはAlSbなどから選択することができる。
【0044】
例えば、前記第1画素領域の波長変換層106は、CdSeまたはInPの量子ドット、第2画素領域の波長変換層106は、CdZnSeSの量子ドット、第3画素領域の波長変換層106は、ZnSeの量子ドットをそれぞれ含むことができる。このように、波長変換層106が量子ドットを含むOLED100は、高い色再現率を有することができる。
【0045】
また他の例に係る波長変換層106は、量子ドットを含むカラーフィルターで構成されてもよい。
【0046】
かかる波長変換層106の上部には、第2層間絶縁膜109bと共にドレイン電極110bを露出するドレインコンタクトホール118を有するオーバーコート層108が位置し、オーバーコート層108の上部には、駆動薄膜トランジスタDTrのドレイン電極110bに接続され、例えば、比較的に仕事関数値の高い発光ダイオードEのアノードを成す第1電極111が位置する。
【0047】
第1電極111は、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide:IZO)のような金属酸化物、ZnO:Al若しくはSnO:Sbのような金属と酸化物の混合物、ポリ(3‐メチルチオフェン)、ポリ[3,4‐(エチレン‐1,2‐ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような伝導性高分子などからなり得る。また、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、銀ナノワイヤなどからなってもよい。
【0048】
かかる第1電極111は、画素領域SP毎に位置するが、各画素領域SPに位置する第1電極111同士の間には、バンク119が位置する。
【0049】
すなわち、バンク119は、各画素領域SPの縁部に沿って位置し、第1電極111は、バンク119を各画素領域SPの境界部にして、画素領域SP毎に分離した構造を有することになる。
【0050】
バンク119は、屈折率が約1.5の透明な絶縁物質からなり、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ベンゾシクロブテン、およびフォトレジストのうち、1つから形成することができるが、これに限定されるものではなく、約1.5の屈折率を有する任意の絶縁物質で形成することができる。
【0051】
ここで、本発明の第1実施例に係るOLED100の第1電極111は、所定間隔離隔した複数のホールHを含むが、複数のホールHは、それぞれ第1電極111の下部に位置するオーバーコート層108を露出する。
【0052】
そして、かかる第1電極111の上部にバンクパターン200が位置するが、バンクパターン200は、第1電極111に設けられたそれぞれのホールHに半円状に、第1電極111から保護フィルム102に向かって凸に突出し、配置される。
【0053】
かかるバンクパターン200は、各画素領域SPの縁部に沿って位置するバンク119と同じ材料で形成することができる。
【0054】
言い換えると、バンクパターン200は、透明な絶縁物質からなり得るが、かかる透明なバンクパターン200により、発光ダイオードEからの光の進行経路を変更して、画素領域SPにおける光抽出効率を増加させることができる。これについて、後でさらに詳細に説明する。
【0055】
また、バンクパターン200がバンク119と同じ材質からなることから、別途の工程を設けることなく、バンク119の形成工程を利用し、第1電極111のそれぞれのホールHにバンクパターン200を形成することができる。例えば、半透過マスクを利用して、バンク119およびバンクパターン200を同時に形成することができる。
【0056】
第1電極111およびバンクパターン200の上部に有機発光層113が位置するが、有機発光層113は、発光物質からなる単層であってもよく、発光効率の向上のため、正孔注入層(hole injection layer)、正孔輸送層(hole transport layer)、発光層(emitting material layer)、電子輸送層(electron transport layer)および電子注入層(electron injection layer)からなる多層であってもよい。
【0057】
また、有機発光層113の上部には、カソードを成す第2電極115が全面に位置する。
【0058】
第2電極115は、仕事関数値が比較的に低い物質からなり得る。このとき、第2電極115は、二層構造であって、仕事関数値の低い金属物質のAgなどからなる第1金属と、Mgなどからなる第2金属で構成することができる。
【0059】
かかるOLED100は、選択された信号によって第1電極111および第2電極115へ所定の電圧が印加されると、第1電極111からの正孔と第2電極115からの電子が有機発光層113に輸送されて励起子を形成し、該励起子が、励起状態から基底状態へ遷移する際に光が発生し、可視光線の形で放出される。
【0060】
このとき、出射された光は、透明な第1電極111を通過して外部へ出るので、OLED100は、任意の画像を具現化することになる。
【0061】
ここで、第1電極111およびバンクパターン200の上部に順次位置する有機発光層113、および第2電極115は、全て第1電極から凸に突出したバンクパターン200および第1電極111の表面形状にそのまま沿って形成される。
【0062】
したがって、有機発光層113および第2電極115は、バンクパターン200に対応する凸部117aと、第1電極111に対応する平坦部117bを含み、マイクロレンズ117を成す。
【0063】
そして、かかる駆動薄膜トランジスタDTrおよび発光ダイオードEの上部には、薄膜フィルム状の保護フィルム102が形成され、OLED100は、保護フィルム102によってカプセル封止される。
【0064】
ここで、保護フィルム102は、外部の酸素および水分がOLED100の内部へ浸透することを防止するため、無機保護フィルムを少なくとも2枚積層して用いるが、このとき、無機保護フィルムの耐衝撃性を補うため、2枚の無機保護フィルムの間に有機保護フィルムを介在することが望ましい。
【0065】
このように、有機保護フィルムと無機保護フィルムが交互に繰り返し積層された構造では、有機保護フィルムの側面から水分および酸素が浸透することを防ぐため、無機保護フィルムが有機保護フィルムを完全に取り囲む構造にすることが望ましい。
【0066】
したがって、OLED100は、外部から水分や酸素がOLED100の内部へ浸透することを防止することができる。
【0067】
前述した通り、本発明の第1実施例に係るOLED100は、発光ダイオードEの第1電極111に複数のホールHを設け、それぞれのホールHに、第1電極111から凸に突出したバンクパターン200を配置することで、発光ダイオードEからの光の経路を変え、光抽出効率を向上させることができる。その結果、輝度が向上して消費電力が減少する。
【0068】
すなわち、第1電極111の上部に、凸に突出したバンクパターン200を設けることで、第1電極111およびバンクパターン200の上部に順次位置する有機発光層113および第2電極115は、凸部117aと平坦部117bを有することになり、マイクロレンズ117を成す。
【0069】
したがって、OLED100の光抽出効率が向上することになる。
【0070】
特に、本発明の第1実施例に係るOLED100は、第1電極111に複数のホールHを設け、バンクパターン200を複数のホールHにそれぞれ配置することで、バンクパターン200と第1電極111との間の界面を減らすので、これによっても光抽出効率が向上する。
【0071】
図2は、本発明の第1実施例に係るOLEDのバンクパターンの配置構造を概略的に示す平面図である。
【0072】
図2に示すように、各画素領域(図1のSP)の発光領域(図1のEA)に対応してオーバーコート層(図1の108)の上部に位置する第1電極111には、所定間隔離隔して複数のホールHが設けられるが、ホールHによって定義される第1電極111は、それぞれ平面的に六角形状であり得る。しかしながら、これに限定されるものではなく、全体的に半球形状、半楕円形状、四角形状など様々な形状であり得る。
【0073】
そして、複数のホールHは、平面的に六角形のハニカム構造に配置することができる。すなわち、六角形状の1つのホールHと、所定間隔離隔して位置する隣接した他のホールHが一側を共有し、一体に形成された六角形のハニカム構造に配置することができる。
【0074】
したがって、かかるホールHに位置するバンクパターン200も六角形のハニカム構造に配置することができる。
【0075】
このとき、ホールHに位置するバンクパターン200の幅w1は、8000Å〜12000Åであり得る。現在の工程上、露光比および材料自体の限界により、バンクパターン200が8000Å未満の幅w1を有するように形成することは非常に難しく、また、バンクパターン200の幅w1が12000Åを超える場合は、バンクパターン200による非発光領域が増加するため、OLED(図1の100)の輝度に影響を及ぼすことがある。
【0076】
したがって、バンクパターン200は、8000Å〜12000Åの幅w1を有するように形成することが望ましい。
【0077】
このとき、隣接したバンクパターン200間の幅w2は、バンクパターン200の幅w1の約3倍にして、バンクパターン200により、OLED(図1の100)の輝度が影響されないようにすることが望ましい。
【0078】
図3は、図2のII−IIに沿って切断した断面図であって、光がガイドされる様子を概略的に示す図面である。
【0079】
図3に示すように、発光領域(図1のEA)に対応するオーバーコート層108の上部には、第1電極111、有機発光層113および第2電極115を含む発光ダイオードEが配置される。
【0080】
ここで、第1電極111は、所定間隔離隔した複数のホールHを含み、それぞれのホールHには、バンクパターン200が位置する。
【0081】
バンクパターン200は、第1電極111の各ホールHから保護フィルム(図1の102)に向かって凸に突出する半円状であり、透明な絶縁物質からなる。
【0082】
第1電極111およびバンクパターン200の上部に、有機発光層113と第2電極115が順次位置するが、有機発光層113および第2電極115は、第1電極111およびバンクパターン200の表面に沿って、バンクパターン200に対応する凸部117aと第1電極111に対応する平坦部117bを含み、マイクロレンズ117を成す。
【0083】
ここで、有機発光層113と第1電極111は、ほぼ同じ屈折率を有するので、有機発光層113から出射された光は、有機発光層113と第1電極111の界面において光経路が変わらない。
【0084】
有機発光層113と第1電極111の屈折率は、1.7〜2.0であり得る。
【0085】
また、オーバーコート層108の屈折率は約1.5であるので、有機発光層113から出射された光が第1電極111を透過し、基板(図1の101)の外部へ抽出される過程において、有機発光層113から出射された光は、第1電極111とオーバーコート層108の界面において全反射することになる。
【0086】
このとき、第1電極111とオーバーコート層108の界面において全反射する光のうち、一部の光L1は、基板(図1の101)の外部へ抽出されるが、一部の光は、全反射臨界角より大きい角度を有して基板(図1の101)の外部へ抽出されず、オーバーコート層108と第1電極111の間、若しくは第1電極111と第2電極115の間に閉じ込められる。
【0087】
ここで、本発明の第1実施例に係るOLED(図1の100)は、有機発光層113および第2電極115がマイクロレンズ117を成すことで、第1電極111とオーバーコート層108の間の界面において全反射する光L2、L3のうち、一部の光L2は、有機発光層113および第2電極の凸部117aによる屈曲形状によって全反射臨界角より小さい角度で進むことになり、多重反射によって基板(図1の101)の外部へ抽出されることになる。
【0088】
したがって、光抽出効率が向上する。
【0089】
すなわち、本発明の第1実施例に係るOLED(図1の100)は、別途のマイクロレンズを備えなくても、有機発光層113および第2電極115が、バンクパターン200および第1電極111によってマイクロレンズ117を形成するようにすることができ、外部への光抽出効率を向上させることができる。
【0090】
このとき、第1電極111とバンクパターン200の間の界面においても全反射が起こり得るが、本発明の第1実施例に係るOLED(図1の100)は、第1電極111に複数のホールHを設け、複数のホールHにバンクパターン200をそれぞれ配置することで、バンクパターン200と第1電極111の間の界面を減らすことになる。
【0091】
したがって、有機発光層113へ出射した光のうち、第1電極111とバンクパターン200の間の界面において全反射する光L2、L3の一部の光L3は、有機発光層113および第2電極115の凸部117aによる屈曲形状により、全反射臨界角より小さい角度で進むことになり、多重反射によって基板(図1の101)の外部へ抽出されることになる。その結果、光抽出効率が向上する。
【0092】
図4Aおよび図4Bは、本発明の第1実施例に係るOLEDにおける光抽出態様を比較シミュレーションした結果であり、図4Cおよび図4Dは、本発明の第1実施例に係るOLEDにおけるバンクパターンの高さによるOLEDの光抽出態様をシミュレーションした結果である。
【0093】
説明に先立ち、図4Aは、1つの画素領域内の発光領域に対応するオーバーコート層の上部に、第1電極、有機発光層および第2電極が順次積層されて発光ダイオードを構成し、所定間隔離隔した複数のバンクパターンが第1電極の上部に位置するOLEDを示す。
【0094】
そして、図4Bは、本発明の第1実施例によって1つの画素領域(図1のSP)内の発光領域(図1のEA)に対応するオーバーコート層(図3の108)の上部に、複数のホールHを含む第1電極111、有機発光層113および第2電極(図3の115)が順次積層されて発光ダイオード(図3のE)を構成し、第1電極111のそれぞれのホールHにバンクパターン200が位置するOLED(図1の100)を示す。
【0095】
図4Aを見ると、第1電極とバンクパターンの間の界面において多くの光が全反射することが分かるが、このように第1電極とバンクパターンの間の界面で全反射する光は、全反射臨界角より大きい角度を有して基板の外部へ抽出されず、オーバーコート層と第1電極の間、若しくは第1電極と第2電極の間に閉じ込められる。
【0096】
これに対し、図4Bを見ると、第1電極111とバンクパターン200の間の界面において全反射する光の量が、図4Aに比べて少ないことが分かる。特に、基板(図1の101)の外部へ抽出される光の量も、図4Aに比べて多いことが分かる。
【0097】
すなわち、本発明の第1実施例のように、発光領域(図1のEA)に対応するオーバーコート層(図3の108)の上部に位置する第1電極111に複数のホールHを設け、それぞれのホールHにバンクパターン200を位置させることで、有機発光層113および第2電極(図3の115)のマイクロレンズ(図3の117)を介して光抽出効率を向上させる過程において、第1電極111とバンクパターン200の間の界面で全反射する光も基板(図1の101)の外部へ抽出されるようにすることができる。
【0098】
したがって、光抽出効率をさらに向上させることができ、電力を消耗することなく、OLED(図1の100)の輝度を向上させることができる。また、OLED(図1の100)の寿命が減少することも防止することができる。
【0099】
一方、本発明の第1実施例によって、1つの画素領域(図1のSP)内の発光領域(図1のEA)に対応するオーバーコート層(図3の108)の上部に、複数のホールHを含む第1電極111、有機発光層113および第2電極(図3の115)が順次積層されて発光ダイオード(図3のE)を構成し、第1電極111のそれぞれのホールHにバンクパターン200が位置するOLED(図1の100)を示す図4Bと、図4Cおよび図4Dを共に見ると、バンクパターン200の高さh1が高くなるにつれて、基板101の外部へ抽出される光の量が増加できるが、バンクパターン200の高さh1は、5000Å〜9000Åであることが望ましい。
【0100】
ここで、バンクパターン200の高さh1が5000Å未満であると、バンクパターン200による光抽出効率を期待し難い。また、バンクパターン200の高さh1が9000Åを超える場合は、発光ダイオード(図3のE)からの光が基板(図1の101)に向かって進めず、発光ダイオード(図3のE)の内部に閉じ込められるため、寧ろ光抽出効率が低下し得る。
【0101】
そのため、バンクパターン200の高さh1を5000Å〜9000Åに設定することで、光抽出効率を極大化することができる。
【0102】
前述した通り、本発明の第1実施例に係るOLED(図1の100)は、発光ダイオード(図3のE)の第1電極111に複数のホールHを設け、それぞれのホールHに、第1電極111から凸に突出したバンクパターン200を配置することで、有機発光層113および第2電極(図3の115)がマイクロレンズ(図3の117)を形成するようにして、OLED(図1の100)の光抽出効率を向上させる。
【0103】
その結果、輝度が向上し、消費電力が減少できる。
【0104】
特に、本発明の第1実施例に係るOLED(図1の100)は、第1電極111に複数のホールHを設け、複数のホールHにバンクパターン200がそれぞれ配置されるようにすることで、バンクパターン200と第1電極111の間の界面を減らすことになり、それによって光抽出効率をさらに向上させることができる。
【第2実施例】
【0105】
図5は、本発明の第2実施例に係る光がガイドされる様子を概略的に示す図面である。
【0106】
図5に示すように、1つの画素領域(図1のSP)内に位置する発光領域(図1のEA)に対応するオーバーコート層108の上部に、第1電極111、有機発光層113および第2電極115を含む発光ダイオードEが配置される。
【0107】
ここで、第1電極111は、所定間隔離隔した複数のホールHを含み、それぞれのホールHには、バンクパターン200が位置する。
【0108】
バンクパターン200は透明な絶縁物質からなり、第1電極111の各ホールHから保護フィルム102に向かって凸に突出する第1および第2突出部210a、210bと、第1突出部210aと第2突出部120bを連結し、第1電極111に向かって凹んだ凹部210cを含む。
【0109】
第1電極111およびバンクパターン200の上部に、有機発光層113および第2電極115が順次位置するが、有機発光層113および第2電極115は、第1電極111およびバンクパターン200の表面形状に沿って、バンクパターン200の第1および第2突出部210a、210bに対応する第1および第2凸部217a、217bと、バンクパターン200の凹部210cに対応する凹溝217c、そして第1電極111に対応する平坦部217dを含むマイクロレンズ217を成す。
【0110】
ここで、有機発光層113と第1電極111は、ほぼ同じ屈折率を有するので、有機発光層113から出射された光は、有機発光層113と第1電極111の界面において光経路が変わらない。
【0111】
有機発光層113と第1電極111の屈折率は、1.7〜2.0であり得る。
【0112】
また、オーバーコート層108の屈折率は約1.5であるので、有機発光層113から出射された光が第1電極111を透過し、基板(図1の101)の外部へ抽出される過程において、有機発光層113から出射された光は、第1電極111とオーバーコート層108の界面において全反射することになる。
【0113】
このとき、第1電極111とオーバーコート層108の界面において全反射する光のうち、一部の光L1は、基板(図1の101)の外部へ抽出されるが、一部の光は、全反射臨界角より大きい角度を有して基板(図1の101)の外部へ抽出されず、オーバーコート層108と第1電極111の間、若しくは第1電極111と第2電極115の間に閉じ込められる。
【0114】
ここで、本発明の第2実施例に係るOLED(図1の100)は、有機発光層113および第2電極115が、第1および第2凸部217a、217bと凹溝217cを含むマイクロレンズ217を成すことで、第1電極111とオーバーコート層108の間の界面において全反射する光L2、L3のうち、一部の光L2が、有機発光層113および第2電極115の第1および第2凸部217a、217b、そして凹溝217cによる屈曲形状によって全反射臨界角より小さい角度で進むことになり、多重反射によって基板(図1の101)の外部へ抽出されることになる。
【0115】
したがって、光抽出効率が向上する。
【0116】
すなわち、本発明の第2実施例に係るOLED(図1の100)は、別途のマイクロレンズを備えなくても、有機発光層113および第2電極115が、バンクパターン200および第1電極111によってマイクロレンズ217を形成するようにすることができ、外部への光抽出効率を向上させることができる。
【0117】
特に、有機発光層113および第2電極115が、第1および第2凸部217a、217bと凹溝217c、そして平坦部217dを含むマイクロレンズ217を成すことにより、第1および第2凸部217a、217bと凹溝217cによる曲がった面積が広くなり、反射面積を拡張することができる。
【0118】
その結果、光抽出効率をさらに向上させることができる。
【0119】
このとき、第1電極111とバンクパターン200の間の界面においても全反射が起こり得るが、本発明の第2実施例に係るOLED(図1の100)は、第1電極111に複数のホールHを設け、複数のホールHにバンクパターン200をそれぞれ配置することで、バンクパターン200と第1電極111の間の界面を減らすことになる。
【0120】
したがって、有機発光層113へ出射した光のうち、第1電極111とバンクパターン200の間の界面において全反射する光の一部の光L3は、有機発光層113および第2電極115の第1および第2凸部、そして凹溝の屈曲形状により、全反射臨界角より小さい角度で進むことになり、多重反射によって基板(図1の101)の外部へ抽出されることになる。その結果、光抽出効率が向上する。
【0121】
図6Aおよび図6Bは、本発明の第2実施例に係るOLEDにおける光抽出態様を比較シミュレーションした結果である。
【0122】
そして、図6Cないし図6Eは、本発明の第2実施例に係るOLEDにおけるバンクパターンの高さによるOLEDの光抽出態様をシミュレーションした結果である。
【0123】
説明に先立ち、図6Aは、1つの画素領域内の発光領域に対応するオーバーコート層の上部に、第1電極、有機発光層および第2電極が順次積層されて発光ダイオードを構成し、所定間隔離隔した複数のバンクパターンが第1電極の上部に位置するOLEDを示す。
【0124】
そして、図6Bは、本発明の第2実施例によって1つの画素領域(図1のSP)内の発光領域(図1のEA)に対応するオーバーコート層(図5の108)の上部に、複数のホールHを含む第1電極111、有機発光層113および第2電極(図5の115)が順次積層されて発光ダイオード(図5のE)を構成し、第1電極111のそれぞれのホールHに、第1および第2突出部210a、210b、そして凹部210cを含むバンクパターン200が位置するOLED(図1の100)を示す。
【0125】
このとき、有機発光層113および第2電極115は、バンクパターン200の第1および第2突出部210a、210bに対応する第1および第2凸部217a、217b、そしてバンクパターン200の凹部210cに対応する凹溝217cと、第1電極111に対応する平坦部217dを含むマイクロレンズ217を成す。
【0126】
図6Aを見ると、有機発光層からの光のうち、一部は第1電極とオーバーコート層の間の界面で全反射するが、このとき、第1電極とオーバーコート層の間の界面で全反射した光の一部は、第1電極とバンクパターンの間の界面において全反射することが分かる。
【0127】
そのため、第1電極とオーバーコート層の間の界面、そして第1電極とバンクパターンの間の界面において光が閉じ込められる。
【0128】
これに対し、図6Bを見ると、有機発光層113からの光の一部は、第1電極111とオーバーコート層108の間の界面で全反射するが、このとき、第1電極111とオーバーコート層108の間の界面で全反射した光の一部は、第1電極111とバンクパターン200の間の界面において全反射せず、バンクパターン200を透過し、第2電極(図5の115)によって反射することが分かる。
【0129】
第2電極(図5の115)によって反射した光は、基板の外部へ抽出される。
【0130】
したがって、本発明の第2実施例に係るOLED(図1の100)は、発光領域(図1のEA)に対応するオーバーコート層(図5の108)の上部に位置する第1電極111に複数のホールHを設け、それぞれのホールHに、第1および第2突出部210a、210bと凹部210cを含むバンクパターン200を位置させることで、有機発光層113および第2電極(図5の115)のマイクロレンズ(図5の217)を介して光抽出効率を向上させる過程において、第1電極111とバンクパターン200の間の界面で全反射する光も、基板(図1の101)の外部へ抽出されるようにすることができる。
【0131】
その結果、光抽出効率をさらに向上させることができ、電力を消耗することなく、OLED(図1の100)の輝度を向上させることができる。また、OLED(図1の100)の寿命が減少することも防止することができる。
【0132】
一方、図6Cおよび図6Dを見ると、バンクパターン200の凹部210cの高さh2が増加するにつれて、基板(図1の101)の外部へ抽出される光の量を増加できることが分かるが、凹部210cの高さh2は、バンクパターン200の高さh1の約1/3〜2/3の範囲内で形成することが望ましい。
【0133】
すなわち、光抽出効率の面において、バンクパターン200の高さh1は、5000Å〜9000Åにすることが最も良いが、このときに凹部210cの高さh2を1600Å〜6000Åにするのである。
【0134】
凹部210cの高さh2がバンクパターン200の高さh1の1/3未満の場合は、凹部210cによる曲面増加の効果を期待し難く、凹部210cの高さh2がバンクパターン200の高さh1の2/3を超える場合には、現在の工程上、露光比および材料自体の限界により、凹部210cを形成することが難しい上に、発光ダイオード(図5のE)からの光が基板(図1の101)に向かって進めず、発光ダイオード(図5のE)の内部に閉じ込められるため、寧ろ光抽出効率が低下し得る。
【0135】
したがって、バンクパターン200の凹部210cの高さh2を、バンクパターン200の高さh1の約1/3〜2/3の範囲内で形成することが望ましい。
【0136】
前述した通り、本発明の第2実施例に係るOLED(図1の100)は、発光ダイオード(図5のE)の第1電極111に複数のホールHを設け、それぞれのホールHに、第1および第2突出部210a、210bと、第1突出部210aと第2突出部210bを連結する凹部210cを含むバンクパターン200を配置することで、有機発光層113および第2電極(図5の115)が、第1および第2凸部217a、217bと凹溝217cの屈曲形状を有するマイクロレンズ217を成すようにして、OLED(図1の100)における光抽出効率を向上させる。
【0137】
その結果、輝度が向上し、消費電力が減少できる。
【0138】
特に、本発明の第2実施例に係るOLED(図1の100)は、第1電極111に複数のホールHを設け、バンクパターン200が複数のホールHにそれぞれ配置されるようにすることで、バンクパターン200と第1電極111の間の界面を減らすことになるので、それによって光抽出効率をさらに向上させることができる。
【0139】
本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0140】
102…保護フィルム、108…オーバーコート層、111…第1電極、113…有機発光層、115…第2電極、117…マイクロレンズ(117a…凸部、117b…平坦部)、200…バンクパターン、H…ホール、E…発光ダイオード
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E