特許第6704054号(P6704054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704054量子ドットを用いた動物飼育用及び水槽用の照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704054
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】量子ドットを用いた動物飼育用及び水槽用の照明装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 45/00 20060101AFI20200525BHJP
   A01K 63/06 20060101ALI20200525BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20200525BHJP
   F21V 5/10 20180101ALI20200525BHJP
   F21V 17/10 20060101ALI20200525BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20200525BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20200525BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20200525BHJP
   F21V 3/10 20180101ALI20200525BHJP
   F21V 3/08 20180101ALI20200525BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20200525BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20200525BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200525BHJP
【FI】
   A01K45/00 ZZNM
   A01K63/06 C
   A01G31/00 608
   F21V5/10
   F21V17/10 500
   F21V17/00 200
   F21V9/32
   F21V9/38
   F21V3/10 310
   F21V3/08
   F21S2/00 641
   F21Y113:13
   F21Y115:10
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-537786(P2018-537786)
(86)(22)【出願日】2017年1月23日
(65)【公表番号】特表2019-503691(P2019-503691A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】GB2017050163
(87)【国際公開番号】WO2017125764
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2018年9月13日
(31)【優先権主張番号】62/281,882
(32)【優先日】2016年1月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509295262
【氏名又は名称】ナノコ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピケット,ナイジェル エル.
(72)【発明者】
【氏名】グレスティ,ナタリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】プライス,デイビッド ジェイ.
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0124426(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0034284(US,A1)
【文献】 特表2015−519039(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0162507(US,A1)
【文献】 特開2015−233121(JP,A)
【文献】 特開2013−102731(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0236534(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0322115(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/021509(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0239336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 45/00
A01K 31/00−31/24
F21S 2/00
F21V 3/08
F21V 3/10
F21V 5/10
F21V 9/32− 9/38
F21V 17/00
F21V 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物のいる空間を照明するための照明器具であって、
バックライトと、
赤色発光量子ドットを含む第1レンズと、
緑色発光量子ドットを含む第2レンズと、
を具え、
レンズは、バックライトとの光連通状態ること、及び、バックライトとの光連通状態からすることができるようにバックライトに対して可動であって
第1レンズ及び第2レンズは同時にバックライトと光連通する、照明器具。
【請求項2】
第1レンズ及び第2レンズを収容する固定具転することで、第1レンズ及び第2レンズは、バックライトとの光連通状態に入り、又は、バックライトとの光連通状態から脱する、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
ックライトに取り付けられたレンズホルダーの中に第1レンズ及び第2レンズを挿入することで、第1レンズ及び第2レンズは、バックライトとの光連通状態に入り、前記レンズホルダーから第1レンズ及び第2レンズを後退させることで、第1レンズ及び第2レンズは、バックライトとの光連通状態から脱する、請求項1に記載の照明器具。
【請求項4】
第1レンズ及び第2レンズの少なくとも一方は別のレンズと交換可能に構成されている、請求項1に記載の照明器具。
【請求項5】
バックライトは、1又は2以上の発光ダイオード(LED)を含む、請求項1に記載の照明器具。
【請求項6】
LEDは、青色発光LEDである、請求項5に記載の照明器具。
【請求項7】
LEDは、UV発光LEDである、請求項5に記載の照明器具。
【請求項8】
LEDは、白色光発光LEDである、請求項5に記載の照明器具。
【請求項9】
第1レンズ及び第2レンズの少なくとも一方は、少なくとも1つの蛍光体を含む、請求項1に記載の照明器具。
【請求項10】
バックライトは、少なくとも1つの蛍光体を含む、請求項1に記載の照明器具。
【請求項11】
赤色発光量子ドット及び緑色発光量子ドットは、照明器具からの光の強度が、青色光又は緑色光のどちらかの光の強度よりも大きくなるよう選択される、請求項に記載の照明器具。
【請求項12】
バックライト、第1レンズ及び第2レンズは、照明器具からの光が、日光よりも赤色が強化された赤色光成分を有する白色光となるよう選択される、請求項1に記載の照明器具。
【請求項13】
バックライト、第1レンズ及び第2レンズは、照明器具からの光が、日光よりも赤色が強化された赤色光成分を有する青色−緑色光となるよう選択される、請求項1に記載の照明器具。
【請求項14】
第1レンズ及び第2のレンズは、量子ドット波長放射を増加させる順にバックライトに対して配置される、請求項1に記載の照明器具。
【請求項15】
青色発光量子ドットを含む第3レンズをさらに含み、
第1、第2、及び第3のレンズの各々は、バックライトとの光連通状態に入ること、及び、バックライトとの光連通状態から脱することができるようにバックライトに対して可動であって、
第1、第2、及び第3のレンズは同時にバックライトと光連通する、請求項1に記載の照明器具。
【請求項16】
第1、第2、及び第3のレンズが同時にバックライトと光連通状態にある、請求項15に記載の照明器具。
【請求項17】
第1、第2、及び第3のレンズは、量子ドット波長放射を増加させる順にバックライトに対して配置される、請求項15に記載の照明器具。
【請求項18】
動物を飼育する方法であって、
請求項1乃至17の何れかに記載の照明器具を用いて動物のいる空間を照明することを含む、方法。
【請求項19】
動物は家禽である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年1月22日に出願された米国仮出願第62/281,882号の利益を主張し、その内容は参照を以て全体が本明細書に組み込まれる、
【0002】
本発明は、概して、照明装置に関する。より具体的には、動物を収容する空間に量子ドットを用いた人工照明に関する。
【背景技術】
【0003】
人工照明は家禽産業で一般的に使用されており、数多くの企業が、主に発光ダイオード(LED)を用いた照明解決策を提供している。家禽の生産は次の3つの条件を同時管理することによって大幅に改善されるという研究結果がある。その条件は、
・光の色と、
・光の強度と、
・照明時間(光周期)である。
【0004】
英国には、動物福祉ガイドラインがあり、ブロイラー鶏を飼育するとき、照明条件は以下の基準を満たす必要がある:
・ニワトリには、1日当たり少なくとも30分間の暗時間を与えること。
・すべての鶏舎は一様なレベルの光を有すること。
・光の強さは、鳥の目の高さで20ルクス以上であること。
【0005】
家禽(poultry)の明所視応答(photopic response)は、ヒトのそれとは異なり、紫外線を視覚化する能力を有する。さらに、家禽は脳内に網膜外光受容体を有する。家禽を飼育するための最適な照明条件を特定するために多くの研究が行われている。
【0006】
家禽は、UV(385nmでピーク)、青色(450nmでピーク)、緑色(550nmでピーク)及び赤色(640nmでピーク)の光に対して感受性を有する四色クロマント(quadchromants)である。450nm及び640nmの光に対する感度は、夫々、ヒトの感度の12倍及び4倍である。行動試験を用いて、ブロイラー家禽(Gallus.g.domesticus)のスペクトル感度を測定したところ、533〜577nmの間が最も高いことがわかった。低感度の2つの領域は415nmと600nmで観察された。
【0007】
家禽は、網膜光受容体に加えて、脳の中の松果体及び視床下部の位置に網膜外光受容体を有する。松果体は鳥の概日リズムを制御する役割を担う。一方、視床下部は再生を含む多くの恒常性及び生理的プロセスを制御する。盲目の飼育鶏と目の見える飼育鶏に対する照明条件が異なっても、その効果に有意差がなかったという研究結果があり、これは、頭蓋骨に浸透する光が家禽の成長に影響を与える可能性があることを示唆している。
【0008】
<ブロイラー家禽を飼育するための照明>
ブロイラーは肉生産のために飼育される家禽である。ブロイラーが飼育される光の色及び/又は色温度が、行動、体重及び肉品質に影響し得ることを示す研究がある。
【0009】
<光の色>
ブロイラー鶏における組織増殖及び鳥挙動に対する青色、緑色、赤色及び白色の光の影響について調査が行われた。この研究では、鳥は、特定の光環境下に置かれてから28日後に光環境を選択することができ、色の好みを決定する。
【0010】
赤色又は白色の光で飼育された鳥は、より活動的であり、白色光では歩行活動が大きく、赤色光では、床面つつき、羽ばたき、攻撃性が大きかった。緑色又は青色の光の下で飼育された鳥は、活動的な行動をあまり示さず、白色光で飼育された鳥はその中間であった。
【0011】
色環境を選択することができる1週間経過後、全ての鳥が以前の環境とは異なる色を選択した。白色、赤色、又は緑色の光で飼育された鳥は、青色の光を好み、緑色の光が第2の選択肢であった。青色の光で飼育された鳥は緑色の光を好み、青色の光は第2の選択肢であった。
【0012】
上記の他に、様々な緑色及び青色成分を有する多色光が雛の成長及び生理に及ぼす影響を調べた研究がある。空乏型の青色(30%青色)又は中程度の青色(50%青色)成分を含む青色−緑色の光の下で雛を飼育すると、体重が減少した。一方、濃い青色(70%)の成分は、単色光の緑色光又は青色光の下で飼育した雛と比べて体重が増加した。食物摂取量は最終的な体重と正の相関を示した。
【0013】
単色LED光が肉品質に及ぼす影響を調べた研究がある。青色−緑色の混合光の下で飼育された家禽は、白色光の下で飼育された家禽と比べて、胸及び下腿部の筋肉の肉組織が柔らかいことが示されている。白色光は、胸肉中の脂肪含量が最も低く、そのアミノ酸含有量を向上させることが示されている。
【0014】
このように、青が濃化された青色(blue-enriched blue)−緑色の光で飼育されるブロイラーは、鳥行動の改善、体重の増加及び肉質の改善などの利点をもたらす可能性がある。
【0015】
<白色光の色温度>
白色光の下で家禽を飼育すると、色温度が鳥の行動に影響を及ぼすという報告が以前にある。ブロイラー鶏が、8つの異なる光環境で飼育され、4つの光源を、それぞれ異なる2つの照度で比較したものである。試験された光源は、次の通りである。
・相関色温度(CCT)が6500Kの蛍光管;
・スペクトル感度が一致した光源;
・白熱電球;及び
・温白色蛍光管
【0016】
5チキンルクス(チキンルクスは“clx”で表し、ニワトリのスペクトル感度を考慮に入れた測定単位である)と100clxの光強度について調べられた。
【0017】
1週齢のブロイラーは光源の選択を示さなかったが、6週齢までに、昼光に最も近い2つの照明源である6500Kの光又は温白色光に嗜好を示した。光源は、羽根指向性行動(feather-directed behavior)及び物体操作(object manipulation)に影響を与えた。照度は鳥の行動にほとんど影響を及ぼさないことが判った。
【0018】
嗜好を示した光環境で飼育すると、ブロイラーは、温白色光よりも6500Kの光において、羽根指向性行動(羽繕い及びつつき)、物体操作及び採餌行動が活発であった。
【0019】
鳥類が青色又は緑色の光環境に嗜好を示した研究の結果と併せて総合的に考察すると、ブロイラーの飼育は、青色−緑色の光又は冷白色(cool white)の光のいずれかで行うことが、動物の福祉にプラスの影響を及ぼす可能性のあることを示唆している。
【0020】
<産卵鶏を飼育するための照明>
照明色が、性的発達及びその結果としての鶏の産卵性能に影響を及ぼすことは知られている。
【0021】
産卵性能に及ぼす有色光の影響についての研究では、産卵鶏は、白色LED光の下で2週間、その後、白色、赤色(640nm)又は緑色(520nm)の光の下に4週間飼育された。赤色光で飼育された鶏は、白色光又は緑色光の下で飼育された鶏と比較して、性的発達が促進され、産卵性能にすぐれていた。白色光と緑色光とでは差異がなかった。
【0022】
産卵鶏の生殖、成長及びストレスに対する光の波長の影響についても調査されている。ケージには、純緑色(526nm)、純赤色(632nm)、又は白色(赤色、緑色及び青色)の光を供給するLEDストリップが配備され、これらのLEDストリップは10ルクスに設定された。赤色と白色の光は、雌鶏の性ホルモンエストラジオールの濃度を高め、より強い卵巣活動を示した。このため、緑色の光と比較して、最初の産卵時の年齢が有意に低かった。赤色又は白色の光で飼育された雌鶏は、緑色の光の下で飼育された雌鶏よりも、産卵ピークが長くかつ高く、また、産卵累積も大きかった。この調査では、盲目と目が見える鶏の比較も行われたが、有意な差異はなかった。これは、網膜外光受容体は、短い波長の光よりも、頭蓋骨をより容易に貫通し得る長い波長(赤色)の光によって刺激され得ることを示唆する。
【0023】
研究の結果は、赤色光が濃化された(red light-enriched)環境で飼育する鶏を飼育することが、産卵を刺激するという点で有益であり得ることを示唆している。
【0024】
家禽の人工照明に関する研究の結果は、白色光が家禽の福祉と発達に最適であるとは限らず、養鶏場とは異なる条件でブロイラー鶏を飼育することが有益である可能性のあることを示唆している。より強い冷白色光又は青色−緑色光がブロイラーに好まれ有益であることが分かったが、一方で、産卵鶏を赤色光で飼育すると、性的発達及び産卵性能が向上する。青色光又は緑色光に対する家禽の嗜好を考慮すると、白色色又は青色−緑色光を含み、赤色成分が強化された照明システムは、鶏を飼育する上で、卵生産と動物福祉のバランスをもたらすことができる可能性がある。
【0025】
動物照明に対する従来技術の解決策は、単色光源及び白色光源を単独で又は組み合わせて使用するものであった。これらの方法を用いると、動物の成長中に光の波長を容易に調整することができない。異なる波長の光が動物成長の異なる段階で優れた結果をもたらすことを示した研究がある。それゆえ、当該分野では、動物成長の異なる段階を通じて異なる波長の光を放出するように制御されることができる調節可能な光源が必要とされている。
【0026】
<水槽(aquariums)の照明>
他の人工動物環境についても、量子ドットを含む光源によって提供される色選択能力の利点を享受し得る可能性があり、その環境の例として、水槽が挙げられる。
【0027】
水槽は、一般的には、LED光又は蛍光管の何れかを使用する。LED光は、異なる色を発する複数のLEDを使用して、全体の光の色に様々な色をもたらす。蛍光管は、広スペクトル光を生成するが、退色を開始するまでの持続期間は約6〜9か月しかない(これは、藻類の成長につながるため、水槽所有者の現実の問題である)。適切に調整された量子ドットを用いた光源を使用すると、光合成を促進することができ、また、魚の表示色は最良のものが得られる。LEDは、寿命が長く、エネルギー消費量が少ないという利点もあることに鑑みると、LEDのこれらの特徴は、現在使用されている蛍光管の代替物として大きな魅力を有する。
【発明の概要】
【0028】
動物の最適な成長に調整されることができる照明器具は、LEDなどのバックライトと、量子ドットが組み込まれた後退可能(retractable)、回転可能又は交換可能な1又は2以上のレンズと、を含む。適切なレンズを選択することによって、照明器具が発する色及び/又は色温度は、動物の成長中に変更されることができる。
【0029】
本発明の一態様は、動物がいる空間を照明するための照明器具であって、バックライトと、前記バックライトと光連通するレンズとを具え、前記レンズは、前記バックライトとの光連通状態に入ること、及びバックライトとの光連通状態からすることができるよう構成され、前記レンズは、量子ドットを具える。
【0030】
バックライトとの光連通状態にレンズが入ること及び前記光連通状態レンズが脱することは、(i)レンズを収容する固定具を回転させること、(ii)バックライトに取り付けられたレンズホルダーにレンズを挿入すること又は前記レンズホルダーから前記レンズを後退させること、(iii)レンズを他のレンズと交換すること、の1又は2以上含むことができる。
【0031】
バックライトは、例えば、青色発光LED及び/又はUV発光LED及び/又は白色発光LEDの1又は複数の発光ダイオード(LED)を具えることができる。
【0032】
レンズ及び/又はバックライトは、少なくとも1つの蛍光体を含むことができる。
【0033】
バックライトは青色LEDを含み、レンズは赤色発光量子ドット及び緑色発光量子ドットを含むことができる。赤色発光量子ドット及び緑色発光量子ドットは、照明器具からの光が青色光又は緑色光のいずれかよりも大きな強度の赤色光を有するように選択されることができる。
【0034】
バックライトは、白色光LEDを含み、レンズは、赤色発光量子ドットを含むことができる。
【0035】
バックライト及びレンズは、照明器具からの光が、日光と比較して赤色光成分が強化された白色光となるように選択されることができる。
【0036】
バックライト及びレンズは、照明器具からの光が、日光と比較して赤色光成分が強化された青色−緑色光であるように選択されることができる。
【0037】
本発明の別の態様は、動物を飼育する方法であって、動物が入れられた空間を照らすために、バックライトを含む照明器具と、前記バックライトと光連通する第1のレンズとを準備することを含み、前記第1のレンズが、前記バックライトとの光連通状態に入ること、及びバックライトとの光連通状態からすることができるよう構成されると共に、第1の色の光を発する量子ドットを具えており、動物が予め選択された発達段階に到達したとき、第1のレンズを、第2の色の光を発する量子ドットを含む第2のレンズと置き換えることを含む。
【0038】
動物は家禽であってよい。
【0039】
方法は、昼光を模した光を供給するように照明器具を構成する第1のレンズを選択すること、前記第1のレンズを、月光を模した光を供給するように照明器具を構成する第3のレンズに置き換えることと、をさらに含むことができる。
【0040】
本発明の別の態様は、水槽用の照明器具であって、LEDのアレイと、前記LEDと光連通する量子ドットを含むポリマーフィルムと、を含む照明器具を提供する。
【0041】
本発明の別の態様は、水槽照明器具用の発光デバイスであって、蛍光管のフォームファクタ及び電気接点を有する透明管と、前記透明管内で前記電気接点に接続された1又は2以上のLEDと、前記透明管内に配置された量子ドットを含むポリマーフィルムと、を具え、LEDからの光が前記フィルムを照射し、量子ドットからの光が前記透明管を出るようにした、発光デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、バックライトと、後退可能又は回転可能な量子ドットレンズと、を含む実施形態に係る照明器具を示す。
【0043】
図2図2は、バックライトと、量子ドットレンズが挿入されることができるスロットと、を具える実施形態に係る照明器具を示す。
【0044】
図3図3は、例えば水槽用の照明器具の中の蛍光管の直接代替となり得るLED/QD照明装置を示す。
【0045】
図4図4は、水槽等に用いられる平坦なLEDアレイ/QDフィルム照明システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
量子ドット(QD)は、半導体材料のナノ粒子であって、典型的には直径が<10nmのナノ粒子である。一次光源(primary light source)によって励起されると、QDは光をダウンコンバートし、より長い波長で光を発する。サイズ量子化効果(size quantization effects)により、それらの発光は、固有の半導体材料を変更することなく、粒子サイズを操作することによって調整されることができる。適当なバンドギャップを有する材料を選択することにより、QDは、紫外(UV)から電磁スペクトルの近赤外線(NIR)領域に発するように合成されることができる。QDは、コロイド溶液中で合成されてナノ粒子を生成し、前記ナノ粒子は有機リガンドで表面官能化される(キャップされる)ことができる。これらのリガンドは可溶性をもたらし、QDは処理されることができ、例えば、フィルムを形成する。一次LEDバックライトによって励起されたQDを組み込んだ照明製品は、現在、商業的に入手可能である。QDを、LEDなどの一次光源と組み合わせると、放出される光の色の相対強度は、QDの濃度を調整することによって制御されることができる。
【0047】
本明細書で記載される照明器具は、限定するものではないが、LEDなどのバックライトと、QDを含み、後退可能、回転可能又は交換可能な一連の1又は2以上のレンズとを具え、照明器具が発する色及び/又は色温度は、動物の成長中に変えられることができる。
【0048】
本明細書で使用される「レンズ」という用語は、平面レンズ又はフィルムのことであり、レンズを通って進む光の経路に焦点を合わせたり、又は経路を変化させる必要はない。
【0049】
図1は、本発明の一実施形態に係る照明器具を示しており、バックライトとQDレンズとを含む。照明器具の中には、1又は2以上のQDレンズを含めることができる。前記1又は2以上のレンズは、照明器具から発せられる光のスペクトルを制御し、及び変化させることができるように、後退又は回転するように構成される。
【0050】
図2は、本発明の一実施形態に係る照明器具を示しており、バックライトとQDレンズとを含む。照明器具は、1又は2以上のスロットを有する。1又は2以上のQDレンズが前記スロットの中に挿入されることで、QDレンズは交換されることができ、照明器具から発せられる光のスペクトルを制御し、又は変化させることができる。
【0051】
<家禽の照明>
家禽の飼育に関しては、青色/緑色光が有益であることが研究で示されており、家禽の性的発達及び産卵性能は赤色光によって促進されることが示されている。本明細書の中で記載されるように、QD照明は、家禽の照明用途に理想的な解決策を提供するもので、家禽の嗜好及びニーズに合わせてスペクトルを調整することができる。例えば、ブロイラーを飼育するために最適化された青色−緑色光は、青色LEDと緑色量子ドットを組み合わせることによって提供されることができ、QDの濃度を変化させることによって青色光と緑色光の比が操作される。あるいは、冷白色光は、「白色LED」(緑色、赤色及び青色のLED又は1又は2以上のLEDと蛍光体との組合せ)を、青色−緑色のQDフィルム又はレンズと共に使用して生成されることができる。同様に、産卵鶏を飼育するために赤色が強化された光は、白色LED及び赤色QDフィルム若しくはレンズ又は青色LEDと、緑色QD及び赤色QDとの組合せを用いて作られることができる。
【0052】
一実施形態において、照明器具は、青色LEDバックライトと、緑色QDレンズと、赤色QDレンズとを含み、前記レンズは、回転可能、後退可能、又は交換可能である。QDレンズを回転、後退又は交換することにより、照明器具は、白色光(青色+緑色+赤色)、青色/緑色光(青色+緑色)、青色/赤色光(青色+赤色)又は青色光を発することができる。
【0053】
別の実施形態では、照明器具は、UV LEDバックライトと、青色QDレンズと、緑色QDレンズと、赤色QDレンズとを含み、これらのレンズは回転可能、後退可能又は交換可能である。QDレンズを回転、後退又は交換することにより、照明器具は、UV/白色光(UV+青色+緑色+赤色)、UV/青色/緑色光(UV+青色+緑色)、UV/青色/赤色光(UV+青色+赤色)、UV/緑色/赤色光(UV+緑色+赤色)、UV/青色光(UV+青色)、UV/緑色光(UV+緑色)、UV/赤色光(UV+赤色)、又はUV光を発することができる。
【0054】
別の実施形態では、照明器具は、UV及び青色LEDバックライトと、緑色QDレンズと、赤色QDレンズとを含み、これらのレンズは回転可能、後退可能又は交換可能である。QDレンズを回転、後退又は交換することにより、照明器具は、UV/白色光(UV+青色+緑色+赤色)、UV/青色/緑色光(UV+青色+緑色)、UV/青色/赤色光(UV+青色+赤色)、又はUV/青色光(UV+青色)を発することができる。
【0055】
さらなる実施形態では、照明器具は、白色LEDバックライトと、青色QDレンズと、緑色QDレンズと、赤色QDレンズとを含み、これらのレンズは回転可能、後退可能又は交換可能である。QDレンズを回転、後退又は交換することにより、照明器具は、白色光(白色、又は白色+青色+緑色+赤色)、青色/緑色が強化された白色光(白色+青色+緑色)、青色/赤色が強化された白色光(白色+青色+赤色)、緑色/赤色が強化された白色光(白色+緑色+赤色)、青色が強化された白色光(白色+青色)、緑色が強化された白色光(白色+緑色)、又は赤色が強化された白色光(白色+赤色)を発することができる。
【0056】
さらなる実施形態では、照明器具は、UV LEDバックライトと、青色QD及び緑色QDを含む青色/緑色QDレンズと、赤色QDレンズとを含み、これらのレンズは回転可能、後退可能又は交換可能である。QDレンズを回転、後退又は交換することにより、照明器具は、白色光(UV+青色/緑色+赤色)、UV/青色/緑色光(UV+青色/緑色)、UV/赤色光(UV+赤色)、又はUV光を発することができる。
【0057】
さらなる実施形態では、照明器具は、白色LEDバックライトと、青色QD及び緑色QDを含む青色/緑色QDレンズと、赤色QDレンズとを含み、これらのレンズは回転可能、後退可能又は交換可能である。QDレンズを回転、後退又は交換することにより、照明器具は、白色光(白色、又は白色+青色/緑色+赤色)、青色/緑色が強化された白色光(白色+青色/緑色)、又は赤色が強化された白色光(白色+赤色)を発することができる。
【0058】
特定の実施形態において、1又は2以上のQDレンズは、最短波長を発するQDを含むレンズが一次光源に最も近く配置され、その後のレンズは、QDが発する波長が最短から最長まで増加する順に配置され、QDの発した光が再吸収されるのを防止する。
【0059】
一実施形態では、照明器具は青色光及び緑色光を発し、緑色光に対する青色光の強度は7:3である。
【0060】
一実施形態において、冷白色は、青色LEDを緑色QD及び赤色QDと組み合わせることによって生成され、青色成分及び緑色成分の強度が赤色成分の強度よりも高い。
【0061】
一実施形態では、赤色が強化された白色色は、青色LEDを赤色及び緑色QDと組み合わせることによって生成され、赤色光の強度は、青色成分及び緑色成分の強度よりも大きい。別の実施形態では、冷白色LEDランプなどの冷白色光源は、赤色QDを含む赤色レンズと組み合わされる。1つの特定の実施形態では、2700KのCCTを有する温白色光が、冷青色/白色LED(CCT 5900K)を赤色QDレンズと組み合わせることによって生成される。
【0062】
一実施形態では、照明器具の発光スペクトルは、630nmの領域に赤色スペクトル成分を含む。
【0063】
<太陽光又は月光に近い相関色温度を有するQD照明>
人工照明環境で昼行性動物を飼育するには、昼光(正午頃に5500〜6000K)に近いCCTを有する白色光源が有利であり得る。夜行性動物の飼育には、4100〜4150Kの領域にCCTを有する白色光源を作られることができる。ある範囲の色温度を有する白色光は、青色LEDを、赤色QD及び緑色QDと正しい比率で組み合わせることによって作られることができる。別の実施形態では、白色光は、青色LEDを、黄色−緑色希土類蛍光体及び赤色QDと組み合わせることによって作られることができる。
【0064】
一実施形態では、照明器具は、LEDバックライトと、複数の回転可能、後退可能又は交換可能なQDレンズとを具え、1又は2以上のQDレンズを、回転、後退又は交換することにより、CCTは、約4100Kから約6000Kまで調整されることをできる。これにより、照明器具からの発光は、昼光から月明かりの状態まで調整されることができる。
【0065】
<四色型色覚(quadchromatic vision)を有する動物を飼育するためのQD照明>
ある種の鳥類などの動物の中には、電磁スペクトルのUV、青色、緑色及び赤色にスペクトル感度を有する四色型色覚を有するものがある。四分色光は、UV LEDを、青色LED又は青色QD、緑色QD又は黄色−緑色希土類蛍光体、及び赤色QD又は赤色蛍光体(例えば、KSiF:Mn4+)と組み合わせることによって作られることができる。
【0066】
<二色型色覚(dichromatic vision)を有する動物を飼育するためのQD照明>
非霊長類哺乳類などの動物の中には、電磁スペクトルの青色及び緑色領域にスペクトル感度を有する二色型色覚を有するものがある。人工環境の中で二色型動物を飼育するための二色光はQDを用いて生成されることができる。これは、スペクトルの赤色領域で発せられた光が無駄にならないので、白色光源よりも効率的な照明システムを提供することができる。青色/緑色光は、青色LEDと緑色QDとの組合せを用いて生成されることができる。ある研究では、緑色光に対するスペクトル感度の最適波長は、537〜557nmの領域、例えば、馬の場合は539nmにあることが示されている。
【0067】
一実施形態では、照明器具は青色LEDバックライトと緑色QDレンズとを含み、緑色QDは537〜557nmの領域で発光する。
【0068】
QDレンズは、適当な基板上にQD樹脂を堆積させ、次いでカプセル化することによって作製されることができる。QD樹脂材料と、前記樹脂材料からフィルムを作製することは、当該分野で周知であり、例えば、米国特許第9,082,941号“Semiconductor Nanoparticle-Based Materials for Use in Light Emitting Diodes, Optoelectronic Displays and the Like”、米国特許出願公開第2013/0075692号“Semiconductor Nanoparticle-Based Light Emitting Materials”、米国特許出願公開第2015/0047765号“Quantum Dot Films Utilizing Multi-Phase Resins”、及び米国特許出願公開第2015/0275078号“Quantum Dot Compositions”に記載されており、その内容は参照により、それらの全体が本願へ組み込まれるものとする。適当な基板として、ガラス、石英、及びアクリルポリマーなどのプラスチック材料を挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
好適なQD材料には、可視スペクトル範囲で発光する材料が含まれ、限定されない材料の例として、CdS、CdSe及びCdTeなどのII−VI材料、InP及びGaPなどのIII−V材料、及びCuInS及びAgInSなどのI−III−VI材料をベースにした材料を含み、それらのコア/(マルチ)シェル、合金化及びドープされた誘導体を含む。幾つかの実施形態では、有毒な重金属を含まないQDを使用することが好ましい。特に好適な例は、米国特許出願公開第2014/0264172号に開示されているInPZnSベースのQDを挙げることができ、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0070】
<水槽等に用いられるQD照明>
図3を参照すると、標準のT8型電源アダプタを使用する本発明の実施形態が、多くの水槽に現在配置されている照明システムに使用されている蛍光管と直接交換することができることが分かる。量子ドット含有フィルムは、水密管の中に封止されたLEDアレイの前面及びその周囲に配置されることができる。前記管は、現在市販の水槽用照明器具の蛍光管と直接交換できるようにするために、様々な長さに作られることができる。幾つかの実施形態では、前記管には、従来の蛍光灯器具のAC電力を、LEDが必要とする電圧及び/又は周波数に変換する電子電源を組み込む。QD含有樹脂フィルムは、正確なレベルの光合成及び魚の可視性を向上させるために、異なる波長で様々な光強度が提供されるように最適化されることができる。これは、フィルム中のQDの濃度及び/又は光ルミネセンス(PL)波長を選択することによって行うことができる。幾つかの実施形態では、装置から発せられる光は、LEDが直接発する光とQDによってダウンコンバートされた光との選択された混合物である。
【0071】
図4に示される別の実施形態では、同じレベルの変形を包含するもので、現在の照明システムの完全な代替品として新しい水槽の中で用いられることができる。
【0072】
より大きく、密閉された水密のこのアレイは、様々なサイズの新しい水槽に対する全体照明として良好であり、水槽の購入後に組み込まれることができるし、水槽の製造中に配備されることができる。
【0073】
本発明のこれらの実施形態は、水槽内での光合成及び植物成長を促進すると共に、蛍光管システムと同様、魚の最良の色を引き出すことができる理想的な波長を提供することができるし、LEDの寿命は長く、運転コストも低い。
【実施例】
【0074】
<QDレンズの作製>
ポリイソブチレン(PIB)4×1gを10mLのメタクリル酸ラウリル(LMA)の中で調製し(10%PIB/LMA)、40℃で攪拌しながら脱ガスした。LMA/ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド光開始剤(IRGACURE(登録商標)819)ストック溶液を、80mLのLMAと270mLのIRGACURE819[BASF SE COMPANY, CARL-BOSCH-STR. 38, LUDWIGSHAFEN, GERMANY 67056]を用いて調製した。
【0075】
赤色QD樹脂は以下のとおり調製した。
【0076】
100mLの丸底フラスコ中で、重金属を含まないQDである赤色CFQD(登録商標)[Nanoco Technologies、Ltd.、Manchester、UK](光ルミネセンス最大値=611nm;半値全幅=56nm;光ルミネッセンス量子収率=89%)7.59mLのトルエン溶液からトルエンを除去した。QDを40℃で加熱し、次いで冷却した。LMA/IRGACURE819のストック溶液39.6mLを添加し、一晩攪拌した。トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMTPM)4.81mLを加えて、撹拌した。4.05gのPIB/LMAを秤量し、次いでQD/LMA/IRGACURE.819/TMPTM混合物を、琥珀色のSchott100mLボトルの中に加えた。前記ボトルに加えた後、0.79gのCab−O−Sil(登録商標)ヒュームドシリカ[Cabot Corporation、Alpharetta、Georgia、U.S.A]を加えて、十分に攪拌し、樹脂を完成させた。
【0077】
ブランク樹脂は以下のとおり調製した。
【0078】
琥珀色のSchottボトルの中のLMA/IRGACURE819ストック溶液の残りに、4.81mLのTMTPMを加えて、撹拌したままにしておいた。 PIB/LMA4.05gを秤量し、琥珀色のSchott100mLボトルの中に入れた。LMA/IRGACURE.819/TMPTMをPIB/LMAに加えて、撹拌し、その後、0.79gのCab−O−Silヒュームドシリカを加えて、攪拌し、樹脂を完成させた。
【0079】
QDレンズは、以下のとおり調製した。
【0080】
OPTOCAST樹脂[Electronic Materials、Inc., Breckenridge, Colorado, U.S.A.]を使用して、ガラス板(glass pane)をアルミニウムリングに接着し、次いで、UVオーブンの中で30秒間硬化させた。370μLの赤色QD樹脂と430μLのブランク樹脂を混合し、次いでシリンジを用いてガラス板上に堆積した。樹脂をグローブボックス内の水銀ランプ下で3分間硬化させた。アルミニウムリングの端部をOPTOCAST樹脂で被覆し、次いで平らなガラス板をその上に下降させて、グローブボックス内の水銀ランプの下で30秒間硬化させた。
【0081】
上記は、本発明の原理を具現化するシステムの特定の実施形態を提示するものである。当業者であれば、本明細書に明示的に開示されていなくとも、それらの原理を具現化した代替及び変形をなし得ることができるであろうが、それらは本発明の範囲内である。
本発明の特定の実施形態を図示し説明したが、それらは本特許が包含するものを限定することを意図するものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された発明及び特許請求の範囲によって等価的に包含される発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正がなされ得ることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4