特許第6704055号(P6704055)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704055導管、特にプラスチック導管を差込み接続するための継手
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704055
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】導管、特にプラスチック導管を差込み接続するための継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/091 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   F16L37/091
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-539279(P2018-539279)
(86)(22)【出願日】2017年1月26日
(65)【公表番号】特表2019-503460(P2019-503460A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】EP2017051625
(87)【国際公開番号】WO2017129667
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2018年10月12日
(31)【優先権主張番号】102016101533.4
(32)【優先日】2016年1月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505055505
【氏名又は名称】フォス・アウトモーティヴ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン,ハラルト
(72)【発明者】
【氏名】レーリッヒ,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシュケヴィッツ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】フランゲンベルク,マルクス
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第03923579(DE,A1)
【文献】 国際公開第95/024581(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01215434(EP,A1)
【文献】 特開平02−236088(JP,A)
【文献】 特開平04−046293(JP,A)
【文献】 実公昭57−045512(JP,Y2)
【文献】 特開平07−063291(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1105265(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/091
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ込み方向(Y)で見て前方領域に雄ねじ区域(4)が形成され、該雄ねじ区域に連なって、前記ねじ込み方向(Y)で見てその反対方向に操作区域(8)が形成されたねじ軸(3)を有するユニオンねじ(2)を含んでなる、導管(10)を差込み接続するための継手(1)であって、
軸方向に前記ユニオンねじ(2)を貫く内部貫通孔(9)が延び、該貫通孔(9)内に縦軸(X−X)に対して半径方向の内側を向いた設置肩部(14)が設けられ、該設置肩部上に、歯付きディスク又は歯付きリングとして形成された保持エレメント(13)が配置され、ねじ込み方向(Y)で見てその後方に、溝底(19)と該溝底(19)で終止する二つの対向する側壁(21,22)とを有する、前記貫通孔(9)に向かって開いた周回溝(17)内に環状シールエレメント(18)が配置されるように構成され、
前記保持エレメント(13)と前記環状シールエレメント(18)との間にスリーブ状スペーサエレメント(23b、23c)が配置され、
前記保持エレメント(13)は、ねじ込み方向(Y)で見て前記スペーサエレメント(23b、23c)の前方の端面と前記設置肩部(14)との間において軸方向に保持され、
ねじ込み方向(Y)で見て前記周回溝(17)の前方の側壁(21)は、ねじ込み方向(Y)で見て前記スペーサエレメント(23b、23c)の後方の端面によって形成され、
前記貫通孔(9)において、ねじ込み方向(Y)で見てその後方の端部に、挿通穴(46)を有する封止エレメント(44)が固定され、
該封止エレメント(44)は、前記封止エレメント(44)の前方の端面によって前記周回溝(17)の後方の側壁(22)を形成するように構成された継手(1)において、
記スリーブ状スペーサエレメント(23b、23c)は、前記保持エレメント(13)の荷重の場合に、前記貫通孔(9)に差し込まれた該導管(10)の周壁に前記保持エレメント(13)の歯(36)が食い込むことによって生ずるくびれが、前記スペーサエレメント(23b、23c)によって回避されて、前記環状シールエレメント(18)が、変形していない管壁の領域に接触するような軸方向の長さを有し
前記封止エレメント(44)は、ねじ込み方向(Y)に向いたその端部に、前記周回溝(17)の溝底(19)と溝壁(22)とを形成するスリーブ状の雄ねじ区域(45)を有し、前記封止エレメント(44)の前方の端面は前記環状シールエレメント(18)に積極的な圧力が作用しないように、前記スペーサエレメント(23b)用のストッパ面を形成し、又は、前記スペーサエレメント(23c)に結合され、前記雄ねじ区域(45)は前記貫通孔(9)の雌ねじ区域(43)にねじ込まれていることを特徴とする継手(1)。
【請求項2】
前記スペーサエレメント(23b、23c)は、相互接触下において、前記シールエレメント(18)と直接に協働することを特徴とする、請求項1に記載の継手(1)。
【請求項3】
前記スリーブ状スペーサエレメント(23b、23c)は、前記縦軸(X−X)に関して円環状の断面を有する、円筒状の本体を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の継手(1)。
【請求項4】
ねじ込み方向(Y)で見て、前記貫通孔(9)の前方の端部に、該内径の直径減少によってストッパフランジ(59)が形成されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の継手(1)。
【請求項5】
前記ストッパフランジ(59)の前記内径は、差し込まれるべき導管(10)の内径より大きい又は等しいことを特徴とする、請求項4に記載の継手(1)。
【請求項6】
前記保持エレメント(13)は、前記貫通孔(9)の内部において自由回転可能に支持されるように寸法設計されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の継手(1)。
【請求項7】
前記スペーサエレメント(23b、23c)は、ねじ込み方向(Y)で見て前方端部において、前記挿通穴(24)の端縁に、軸方向に突き出して、前記の歯(36)の前で終止するように形成された保持突起(58)を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の継手(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術によるこのタイプの継手において、内部封止をもたらす周回シールは、導管と周回シールとの間に亀裂形成が生ずるために、耐久的に確実な封止を保証することができない旨判明した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、とりわけ、一方の側から歯付きリングと該周回シールの組付けが順次に行われる継手において、該周回シールによる高信頼度の封止を保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、前記目的は、請求項1のプリアンブルに記載の特徴によって達成される。その際、本発明は、差し込まれた該導管の周壁に該歯付きリングの歯が食い込むことによる荷重の場合において、該導管に、とりわけ直径減少の趣旨による、くびれないし狭窄が生ずるとの認識を基礎としている。その際、この狭窄は一定の軸方向長さを有している。該保持リングによって生み出されたこの狭窄は、本発明による該スペーサエレメントの使用によって回避され、該周回シールは、該導管が差し込まれた状態にあっても、該狭窄の外部つまり、差し込まれた該導管の、変形していない導管表面を有する導管領域を走ることとなる。これによって、差し込まれた該導管と該周回シールとの間の該シールギャップの確実かつ耐久的な封止が保証される。
【0005】
実際に必須の該回避長さは、該スペーサエレメントの長さ、例えば3mm、歯付きディスク又は歯付きリングとして形成された該保持エレメントの歯との間隔、例えば0.5mm及び、例えば直径1.8mmの該周回シールを収容するための該周回溝の軸方向長さ、例えば2.4mmの三分の一、例えば0.8mmから積算されて生ずる。前記の寸法値によれば、例えば4.3mmの回避長さが生ずる。したがって、本発明によれば、非常に短くかつ安価な部品の製造が可能である。
【0006】
通例の導管サイズ(内径×肉厚)4mm×0.85mm;4mm×1mm及び6mm×1.5mm及びDIN73378(1996年2月1日刊)によるPA11、12ないしPA66導管の場合、最高温度120℃にて、例えば3mmの前記スペーサエレメントの長さが好適である。導管サイズが前記よりも小さい場合には、前記スペーサエレメントの長さは、例えば、2.5mmで十分であり得る。
【0007】
本発明の実施形態において、ねじ込み方向で見て前記スペーサエレメントの後方の端面は同時に、ねじ込み方向で見て、該周回シールを収容する該周回溝の前方の側壁を形成するため、該スペーサリングは該周回シールと直接に接触して位置しており、つまり、該周回シールは該スペーサリングに支保されている。これにより、荷重の場合において生ずる、前記歯付きリングを経て該スペーサエレメントに伝達される圧力は直接、該周回シールに及ぼされ、こうして、該周回シールの圧縮の高まりを結果する。該周回溝内における該周回シールのこうした圧縮の高まりにより、該導管内に存在する気体状媒体の該周回シールを通じた透過は大幅に減少し、これによって封止の改善がもたらされる。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態の要点は、保持フランジを具えた該スペーサエレメントが該ユニオンねじのストッパによって、特に、ねじ込み方向で見て自らの後方の端面で支保されるとともに、該後方の端面によって、ねじ込み方向で見て前方の溝壁を形成する点にある。これにより、該スペーサスリーブに作用する圧力による前記周回シールの付加的な圧縮は阻止される。むしろ、発生する該圧力は直接、該ユニオンねじに導かれる。
【0009】
本発明の好適な実施形態において、ねじ込み方向で見て該ユニオンねじの後端には、差し込まれるべき該導管用の差込み穴を自らに有する封止エレメントが嵌め込まれている。この場合、好適には、該差込み穴の内部に、差し込まれた該導管と該封止エレメントとの間の該周回隙間を封止するための周回シールが位置している。この内部シールは基本的にダスト封止の機能を果たす。前記封止エレメントは、例えば、周回フランジ、相補係合又は圧嵌めによって該ユニオンねじと不可分に、つまり、破壊しない限り不可分であるようにして結合されていてよい。別途実施形態の要点は、該封止エレメントが該ユニオンねじにねじ込まれ、こうして、該ユニオンねじと不可分に結合されている点にある。
【0010】
さらに、本発明によれば、該ユニオンねじの該貫通孔に、ねじ込み方向で見てその前方の端部区域に、差し込まれた該導管用のストッパとして差し込み制限手段が形成されているのが好適であり得る。この差し込み制限手段は、加えてさらに、該継手が、接続口から螺脱された状態において、該導管に沿って変位することがないように保証する。
【0011】
請求項1に記載の本発明及びそれぞれ従請求項に含まれた特徴により、請求項1に記載の特徴と相俟って、該内圧に抗して確実な封止が行なわれているとともに、差し込まれた該導管を含めた該継手全体が該接続口から取外し可能であってかつまた再び同所に取付け可能であり、加えてさらに、取外された状態において継手が該導管に沿って変位することがないように構成された、特に気体状媒体向けの差込みシステムが提供される。
【0012】
以下の図面に示した一連の実施例を参照して、本発明を詳細に説明する。各図は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】図の片側半分により本発明による継手を示し、他方の半分によりその縦断面を示す図である。
図2】導管が差し込まれた、図1に示した継手を示す図である。
図3】図の片側半分により本発明による継手のさらに別の実施形態を示し、他方の半分によりその縦断面を示す図である。
図4】導管が差し込まれた、図3に示した継手を示す図である。
図5】図の片側半分により本発明による継手のさらに別の実施形態を示し、他方の半分によりその縦断面を示す図である。
図6】図の片側半分により本発明による継手のさらに別の実施形態を示し、他方の半分によりその縦断面を示す図である。
図7】図の片側半分により本発明による継手のさらに別の実施形態を示し、他方の半分によりその縦断面を示す図である。
図8】本発明によるスペーサエレメントの縦断面の詳細図を付属の該保持エレメントと共に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面の各図において、同一の部品ないし機能的に同一の部品には常に同一の符号が付されている。
【0015】
続いての下記説明につき、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、かつ、その際説明された特徴組み合わせのうちのすべてのもしくは複数の特徴に限定されるものでもなく、むしろ、該/各々の実施例の個々各々の部分特徴は、該実施例に関連して説明されたその他のすべての部分特徴から切り離されても、それ自体として、また、その他の実施例の任意の特徴と組み合わされても同じく、等しく本発明の対象にとって意義を有するものである旨の保護を請求する。
【0016】
例えば図1を参照して説明するように、図1には不図示の、例えばプラスチックからなる導管を差込み接続するための本発明による継手1は、ねじ軸3を有するユニオンねじ2を含んでいる。該ねじ軸3は、そのねじ込み方向Yで見て前方領域に、雄ねじ区域4を有する。該雄ねじ区域4は、特に、メートル雄ねじを具備する。好ましくは、該ねじ込み方向Yとは反対方向にシール区域6が連続し、該シール区域は円周方向に延びるシール溝7を有し、同所には環状シール7aが配置されていてよい。さらに、前記ユニオンねじ2は、前記ねじ込み方向Yで見て反対方向に、前記ねじ軸3から離間して位置する操作区域8を有する。該操作区域8は、特に、外部多角形ヘッド、特に外部六角形ヘッドとして形成されている。前記ユニオンねじ2は内側貫通孔9を有し、同所に、接続さるべき導管10、図2参照、が差し込まれる。該貫通孔9は、特に、ねじ込み方向Yで見て前部のガイド区域11と、ねじ込み方向Yで見て後部の、該ガイド区域に連続する保持及びシール区域12を有する。図2から看取されるように、該ガイド区域11は、該導管がこのガイド区域11においてその外周によってガイドされるように、前記導管10の該外径に適合された内径を有している。さらに、前記貫通孔9の、ねじ込み方向Yで見て前方領域には、保持エレメント13が配置され、接続されるべき、該貫通孔9を貫いて差し込まれた該導管10は該保持エレメントによって前記継手1内の所定の位置に固定可能である。この保持エレメント13は、歯付きディスク又は歯付きリングとして形成され、前記貫通孔9内に形成された設置肩部14上に密接している。前記貫通孔9の内周に沿って延びるこの設置肩部14は、好ましくは、円錐状に形成された、ガイド区域11への移行部における前記貫通孔9の直径減少によって生ずる。前記保持及びシール区域12は、例えば、前記雄ねじ区域4よりも大きな外径を有する。該保持及びシール区域12は、その内周面16に設けられた周回溝17に、差し込まれた該導管10と該保持及びシール区域12との間に存在する周回隙間を封止して該導管10内の圧媒の流出を防止する内部シールとして環状シールエレメント18を有する。好ましくは、該環状シールエレメント18は、Oシールリングとして形成され、弾性変形可能な材料からなる。前記周回溝17は、軸方向においてねじ込み方向Yに延びる溝底19と、溝底19で終止する互いに対向する溝側壁21、22を有するため、前記周回溝17は、縦断面で見て、U字形に形成されている。該側壁21、22は、好ましくは、溝底19に対して垂直をなして延びている。
【0017】
前記保持エレメント13と前記シールエレメント18との間には、スリーブ状のスペーサエレメント23が配置されている。該スペーサエレメント23は、差し込まれるべき該導管10の該外径に適合した挿通穴24を有する。前記保持エレメント13は、ねじ込み方向Yで見て前記スペーサエレメント23の前方の端面と前記設置肩部14との間に保持されている。ねじ込み方向Yで見て前記スペーサエレメント23の後方の端面は、ねじ込み方向Yで見て前記周回溝17の前方の側壁21を形成する。
【0018】
図1及び2に示した実施例において、前記スペーサエレメント23は、前記シールエレメント18に直接に作用する。図示実施例において、前記貫通孔9には、該貫通孔上部の、ねじ込み方向Yで見て後方の区域に、封止エレメント26が嵌め込まれ、該封止エレメントは、ねじ込み方向Yで見てその前方の端面が、前記周回溝17の、ねじ込み方向Yで見て後方の溝壁22を形成するように構成されている。加えてさらに、該封止エレメント26は、嵌め込まれた状態で、その前方の端面27が、前記貫通孔9内の段面28に密接している。該封止エレメント26の内部には、差し込まれるべき該導管10用の挿通穴29が形成され、該封止エレメント26の該挿通穴29の内周面には、周回溝32と、差し込まれた該導管10の周囲をダスト粒子の侵入に対して封止するシールリング33とからなるシールシステム31が設けられている。該封止エレメント26は、特に、フランジ突起35の周回フランジにより、前記ユニオンねじ2の、ねじ込み方向Yで見て後方端に固定される。ただし、該固定は、封止エレメント26の圧嵌め又はスナップイン係合によって行なうことも可能である。該封止エレメント26と前記ユニオンねじ2との間の不可脱式の、つまり破壊しない限り不可分の結合が行われる。
【0019】
前記スリーブ状のスペーサエレメント23の軸方向長さは、差し込まれた該導管10の周壁に前記保持エレメント13つまり該歯付きディスク又は該歯付きリングの歯が食い込むことによる荷重の場合において該導管に生ずる外径減少及びまた場合により内径減少の趣旨のくびれが回避されて、該周回シールつまり前記シールエレメント18が変形していない該導管10の領域を走り、該荷重の場合において該導管10内に所在する圧媒特に気体状圧媒によって該導管10及び前記継手1に圧力が印加される場合にも、差し込まれた該導管10に対する前記シールエレメント18のシール効果が損なわれないように、寸法決めされている。この荷重の場合において、該導管10には、その自由導管端の端面に、該導管10が前記ねじ込み方向Yとは逆方向に前記継手1から押し出されるように圧力が印加される。この場合、前記保持エレメント13の歯が該導管10の壁面に食い込んで、該導管10が前記継手1から外れるのを防止する。この場合、本発明は、前記の歯の食い込みとその際に半径方向に向けられた歯の力により、該導管10の上述した壁面くびれが生ずるとの認識を基礎としている。この種のくびれは、例えば、軸方向長さ2〜3mmに達し得る。該くびれの程度は、特に、該導管10の該寸法設計、該導管10の該材料、その都度の支配的な該温度及び発生する該圧力及び前記保持エレメント13の該形状に依存している。
【0020】
特に、前記スペーサエレメント23が、断面で見て、円環状の環状断面を有する、図1及び2に示した該実施形態において、前記スペーサエレメント23は、前記保持エレメント13による該導管10に対する圧力印加時に、前記シールエレメント18に向かって押圧される。これにより、前記周回溝17内における前記シールエレメント18の圧縮が増強されるために、前記シールエレメント18の前記周回溝17との接触面と、差し込まれた該導管10の該周面16とにおける該単位面積当たり圧力が上昇する。前記シールエレメント18のこうした圧縮により、差し込まれた該導管10と、ねじ込み方向Yで見て該内部シールないし該シールエレメント18の後方領域における前記貫通孔9の内周壁との間の該シールギャップの領域における前記シールエレメント18の物質ないし気体流出面の大きさは減少する。したがって、前記スペーサエレメント23の配置により、該導管10の圧力印加に際して該内部シールないし該シールエレメント18に向かって該スペーサエレメントが押圧され、前記シールエレメント18による該圧媒特に気体ないし空気の透過減少に基づいた封止性の向上がもたらされる。
【0021】
図1において、前記スリーブ状のスペーサエレメント23は、該保持及びシール区域12においてその全長にわたって同一の直径を有する前記貫通孔9の該内周面への接触下で自由に変位することを可能にする外径を有する。本発明によって使用される保持エレメント13は、外周に形成された支え区域34を有し、同所に、半径方向及び軸方向に、つまり、縦軸X−Xに対して傾斜して、延びる歯36が周方向に互いに離間して形成されている。支え区域34の領域における該保持エレメント13の外径は、該保持エレメント13が該保持及びシール区域12内で自由ねじれ変位可能に支持されるように形成されている。
【0022】
図1に示したように、本発明による継手1は、その雄ねじ区域4によって、接続口37のねじ穴にねじ込まれる。
【0023】
前記保持エレメント13の前記の歯36の端部は、差し込まれるべき該導管10の該外径よりも小さな内径を有する穴を取り巻いているため、該導管10の差し込みに際し、前記の歯によって取り囲まれた前記の穴の直径は、前記の歯36が弾性変形可能であることにより拡大され、こうして、前記の歯は、該導管10が差し込まれて、なお無圧の状態において、摩擦係止によって該導管10の外周に接触している。
【0024】
図3及び4には、本発明によるスリーブ状スペーサエレメント23aのさらに別の実施形態が示されている。このスペーサエレメント23aは、ねじ込み方向Yで見てその後方の端部領域の外周に、周回式保持フランジ38を有する。この保持フランジ38は、前記貫通孔9に向かって開いた保持溝39内で、前記貫通孔9の前記保持及びシール区域12の領域の該内周壁にスナップ係止されて配置されている。そのため、前記スペーサエレメント23aは、少なくとも該保持フランジ38の領域において、半径方向に弾性変形し得るように形成され、そのため、特に該スペーサエレメント23aの壁面に、軸方向に延びるスロット41が周方向に離間して形成されている。ただし、一本の連続したスロットのみが設けられていてもよい。前記スペーサエレメント23aは、設置肩部14上に配置された前記保持エレメント13つまり前記歯付きディスクないし前記歯付きリングと、前記保持溝39の、ねじ込み方向Yで見て後方の側壁39aとの間に支持されている。これにより、荷重の場合において前記保持エレメント13に作用する該圧力は、前記保持溝39のこの側壁39aを経て前記ユニオンねじ2に伝達されて、前記シールエレメント18には作用しないため、前記シールエレメント18にかかる圧力は軽減される。前記保持フランジ38と前記保持溝39は、前記スペーサエレメント23aの別の箇所に配置されていてもよい。
【0025】
前記側壁39aの後方奥への前記保持フランジ38のスナップ係止を容易にするため、該保持フランジは、好適には、ねじ込み方向Yに向いたその端面にガイド斜面42を有する。好適には、該ガイド斜面42に対向する前記保持溝39の側壁39bも相応して斜面化されている。図3及び4に示したこの実施形態においても、前記シールエレメント18用の該周回溝17の該前方の側壁21は、ねじ込み方向Yで見て前記スペーサエレメント23aの後方の端面によって形成され、該周回溝17の他方の側壁22は前記封止エレメント26によって形成される。前記封止エレメント26の形成とその固定については、図1及び2に関する説明を全面的に参照されたい。
【0026】
図5には、本発明による継手1のさらに別の実施形態が示されている。この場合、前記ユニオンねじ2は、その貫通孔9の、ねじ込み方向Yで見て後方の端部領域に、雌ねじ区域43を有し、同所に、スリーブ状の雄ねじ区域45を有する封止エレメント44がねじ込まれている。この封止エレメント44は、該導管10用の挿通穴46と、その雄ねじ区域45の領域に、縦軸X−Xに対して垂直に延びる、ねじ込み方向Yで見て後方の側壁48及び、軸方向に延びる窪み底49を具備する窪み47を有する。前記側壁48は前記周回溝17の該後方の溝壁22を形成し、前記窪み底49は該周回溝の溝底19を形成する。スペーサエレメント23bはその後方の端面によって前方の溝壁21を形成する。前記雄ねじ区域45はスリーブ状に形成されて、前記シールエレメント18を含んでいる。前記雄ねじ区域45の、ねじ込み方向Yで見て前方端と、前記保持エレメント13との間には前記のスリーブ状スペーサエレメント23bが配置保持され、該スペーサエレメントは、ねじ込み方向Yで見て後方領域の外周に、前記雄ねじ区域45と前記ユニオンねじ2によって形成された保持溝51に配置された保持フランジ50を有する。前記封止エレメント44と前記スペーサエレメント23bによって形成された前記周回溝17にはシールエレメント18が配置されている。前記スペーサエレメント23bはその保持フランジ50の端面で、対向する前記雄ねじ区域45の端部に接触し、荷重の場合において前記スペーサエレメント23bに作用する圧力を前記ユニオンねじ2に伝達するために、該内部シールないし前記シールエレメント18にかかる圧力は軽減される。
【0027】
前記封止エレメント44は、その挿通穴46の、ねじ込み方向Yで見て後方区域に、ダストの侵入に対する封止を行なうシールシステム31を有する。該封止エレメント44はさらに、例えば多角形特に六角形として外周に形成されていてよい操作区域52を有する。この操作区域52は前記貫通孔9の外側に位置し、該貫通孔9内への前記封止エレメント44のねじ込み深さを制限する周回ストッパ53を有する。前記操作区域52と前記雄ねじ区域45の間には、荷重の場合において前記貫通孔9の内部に存在する該媒体の流出に対して該雄ねじ区域を封止するための環状シール56を収容する周回溝54が配されている。
【0028】
図6には、図5に示した前記実施形態の発展態様として、該スペーサエレメント23cが該封止エレメント44と統一的な一体部品を形成するように構成した本発明による継手1と該ユニオンねじ2の実施例が示されている。該スペーサエレメント23cと該封止エレメント44との結合は、前記雄ねじ区域45の領域及び前記保持フランジ50の領域で行われる。その他の点につき、図6に示した該実施形態は図5に示したそれと同じである。
【0029】
図7には、本発明による継手1のさらに別の実施形態が示されている。この実施形態は、本発明によるユニオンねじ2における、図1に示した前記スペーサエレメント23と図5に示したねじ込み部品ないし封止エレメント44の組み合わせを示している。この実施形態において、前記封止エレメント44は、前記雄ねじ区域45の領域において、前記スペーサエレメント23と共に、前記シールエレメント18を収容するための前記周回溝17を形成する。前記封止エレメント44は、ねじ込み方向Yで見て前方端部に形成された延長区域57、これは、ねじ込み方向Yで見て、前記雄ねじ区域45の前部に位置し、雄ねじ付き又は雄ねじなしで形成されている、によって前記スペーサエレメント23を包囲する。前記封止エレメント44がねじ込まれた状態において、前記延長区域57は、前記ユニオンねじ2の保持及びシール区域12と前記スペーサエレメント23の間に位置し、前記歯付きディスクないし前記保持エレメント13から離間して該保持エレメントの前で終止している。
【0030】
図8には、本発明による前記スペーサエレメントの好適な実施形態が示されている。この場合、該スペーサエレメント23、23a、23b、23cは、ねじ込み方向Yで見て前方端部において前記挿通穴24の端縁に、軸方向に突き出した保持突起58を有する。この保持突起58は、前記の歯36の前で終止するようにして形成されている。前記保持エレメント13の荷重の場合において、前記の歯36は該保持突起58によって支保されるため、より大きな導管引き抜き抗力が生じ得る。この場合、最善の力関係が生ずるのは、前記の歯36が該導管10に対して30°〜60°、特に、45°の角度をなして位置している場合である。該食い込み角度の大きさ、特に、45°の食い込み角度は前記保持突起58のサイズによって設定・調節可能である。加えてさらに、前記保持エレメント13に及ぼされる該トルクを減少させることが可能である。
【0031】
図2及び4には、導管10が差し込まれた、本発明による前記ユニオンねじ2が、接続口37から螺脱された状態で示されている。前記ユニオンねじ2に差し込まれた該導管10は、前記ユニオンねじ2が抜き取られる場合にも、差し込まれたままである。これが可能なのは、本発明によれば、前記保持エレメント13が、本発明により、前記貫通孔9の前記保持及びシール区域12の内部で前記縦軸X−Xを中心にして自由回転可能に支持されるように、寸法設計されているためである。本発明によれば、前記継手1は、接続口37からの螺脱に際し、差し込まれた該導管10周りを回転するため、差し込まれた該導管10がねじられることはないが、それは前記保持エレメント13が、組み付けられた状態で、回転阻止固定されていないからである。
【0032】
本発明による前記ユニオンねじ2において、前記貫通孔9の、ねじ込み方向Yで見て前方の端部に、ストッパフランジ59が該内径の直径減少によって形成されているのが好適である。このストッパフランジ59は、一方で、該導管10の差し込みに際してその差し込み深さを制限する深さストッパであり、他方で、該ストッパフランジは、前記ユニオンねじ2が螺脱された状態において、該継手1が接続口37から、差し込まれた該導管10に沿って、軸方向に変位可能となるのを防止する。好適には、前記ストッパフランジ59の該内径は接続されるべき該導管10の該内径より大きいか又は該導管10の該内径に等しいために、該導管内側断面積は縮小されず、したがって、流量損失の発生が回避される。
【0033】
本発明は、以上に図示説明した実施例に限定されることはなく、発明の趣旨において同一の機能を有するすべての実施形態を含むものである。前記実施例は組み合わされたすべての特徴に限定されることはなく、むしろ個々の部分特徴はいずれも、その他のすべての部分特徴から切り離されても、それ自体として発明上の意義を有する旨明確に強調しておくこととする。さらに、本発明は、従来請求項1に定義された特徴組み合わせにも限定されることはなく、総じて開示されたすべての個別特徴のうちの一定の特徴のその他のいかなる任意の組み合わせによって定義されていてもよい。これが意味するところは、基本的に、請求項1のいずれの個別特徴も実際に除外可能でありあるいは本出願のその他の箇所に開示された少なくとも一つの特徴によって置き換えられてもよいということである。
【符号の説明】
【0034】
1 継手
2 ユニオンねじ
3 ねじ軸
4 雄ねじ区域
6 シール区域
7 シール溝
7a シール
8 操作区域
9 貫通孔
10 導管
11 ガイド区域
12 保持及びシール区域
13 保持エレメント
14 設置肩部
16 内周面
17 周回溝
18 シールエレメント
19 溝底
21 前方の側壁
22 後方の側壁
23a、b、c スペーサエレメント
24 前記スペーサエレメントの挿通穴
26 封止エレメント
27 前方の端面
28 段面
29 前記封止エレメントの挿通穴
31 シールシステム
32 周回溝
33 シールリング
34 支え区域
35 フランジ突起
36 歯
37 接続口
38 保持フランジ
39 保持溝
39a、b 側壁
41 スロット
42 ガイド斜面
43 雌ねじ区域
44 封止エレメント
45 雄ねじ区域
46 挿通穴
47 窪み
48 後方の側壁
49 窪み底
50 保持フランジ
51 保持溝
52 操作区域
53 ストッパ
54 溝
56 シール
57 延長区域
58 保持突起
59 ストッパフランジ
X−X 縦軸
Y ねじ込み方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8