特許第6704067号(P6704067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704067ユーザ通信装置へのページングを実行するための通信ネットワーク装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704067
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ユーザ通信装置へのページングを実行するための通信ネットワーク装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 68/04 20090101AFI20200525BHJP
   H04W 68/06 20090101ALI20200525BHJP
【FI】
   H04W68/04
   H04W68/06
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-561479(P2018-561479)
(86)(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公表番号】特表2019-520740(P2019-520740A)
(43)【公表日】2019年7月18日
(86)【国際出願番号】EP2016061564
(87)【国際公開番号】WO2017202443
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2019年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】501431073
【氏名又は名称】ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノルド、ラーシュ
(72)【発明者】
【氏名】バーリグレーン、アンデシュ
【審査官】 野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/168859(WO,A2)
【文献】 特開2014−072817(JP,A)
【文献】 特開2008−193366(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/170631(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/065911(WO,A1)
【文献】 特開2000−134662(JP,A)
【文献】 特開2014−147106(JP,A)
【文献】 特開2014−192545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局である通信ネットワーク装置であって、
ユーザ通信装置に対するページングを実行するために、通信ネットワーク内の通信ネットワークセルグループを決定するように構成され、
前記通信ネットワークセルグループは、前記ユーザ通信装置により提供される隣接セル測定の利用により決定され
前記ユーザ通信装置に対してデータもしくは信号の一方または双方の送信が実行されるように決定し、
前記ユーザ通信装置に対して前記データもしくは前記信号の一方または双方の送信が実行されるように決定することに応答して、モビリティ管理ノードに接続せずに、前記通信ネットワークセルグループにおけるページングを実行する
通信ネットワーク装置。
【請求項2】
前記少なくとも1の隣接セル測定の利用は、前記少なくとも1の隣接セル測定の複数の隣接セルを前記通信ネットワークセルグループに追加することを含む、
請求項1に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項3】
前記ユーザ通信装置への少なくとも1のもしくは所定数のページングイベントが成功した通信ネットワークセルとしての以前に実行されたページングイベント履歴に存在すること、
前記ユーザ通信装置の移動履歴に従って、前記ユーザ通信装置が位置すると予想される通信ネットワークセルを表すこと、
前記ユーザ通信装置が静止装置である場合、最後に到達可能であった前記ユーザ通信装置が経由する前記通信ネットワークセルから、前記ユーザ通信装置によって前記隣接セル測定が行われた最新のセルまでの距離が、所定の最大距離閾値よりも小さいこと、
前記ユーザ通信装置が非静止装置である場合、前記通信ネットワークセルから前記最新のセルまでの距離が、所定の最小距離閾値よりも大きいこと、
前記ユーザ通信装置の推定位置と重なること、
の少なくとも1つを満たす前記通信ネットワークセルを、前記通信ネットワークセルグループに追加することにより前記通信ネットワークセルグループを決定するように構成される、請求項1または2に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項4】
前記通信ネットワーク装置は、前記通信ネットワークセルグループの複数の通信ネットワークセルをランク付けるように構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項5】
前記ユーザ通信装置により提供される前記少なくとも1の隣接セル測定、
以前に実行された前記ページングのイベント履歴、
前記ユーザ通信装置の移動履歴、
前記ユーザ通信装置によって前記隣接セル測定が行われた最新のセルまでの距離、
前記ユーザ通信装置の推定位置との重複の存在、
のうちの少なくとも1つに従って、前記通信ネットワークセルグループの複数の通信ネットワークセルをランク付けるように構成される、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項6】
前記少なくとも1の隣接セル測定は、隣接セルのグループの各々の前記隣接セルについて、対応する隣接セルにおける前記ユーザ通信装置の信号の信号強度もしくは前記対応する隣接セルにおける前記ユーザ通信装置の信号の測定された信号品質の一方または双方を含み、
前記通信ネットワーク装置は、前記対応する信号強度もしくは前記対応する信号品質の一方または双方に従って前記通信ネットワークセルグループの複数の通信ネットワークセルをランク付けるように構成される、
請求項4または5に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項7】
前記通信ネットワークセルグループのさらなる通信ネットワークセルのさらなる信号強度よりも高い信号強度を有する前記通信ネットワークセルグループの前記通信ネットワークセルは、さらなる前記通信ネットワークセルよりも高いランク付けを受け、
もしくは、
前記通信ネットワークセルグループのさらなる通信ネットワークセルのさらなる信号品質よりも高い信号品質を有する前記通信ネットワークセルグループの前記通信ネットワークセルは、さらなる前記通信ネットワークセルよりも高いランク付けを受ける、
の一方または双方である、
請求項6に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項8】
前記通信ネットワーク装置は、前記通信ネットワークセルグループ内で最も高いランクを有する、前記通信ネットワークセルグループの通信ネットワークセル内の前記ユーザ通信装置への前記ページングを開始するように構成される、請求項4から7のいずれか1項に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項9】
前記通信ネットワーク装置は、前記通信ネットワークセルグループの前記通信ネットワークセル内への前記ページングが失敗する場合、前記通信ネットワークセルグループの中で次に低いランクを有する、前記通信ネットワークセルグループ内のさらなる通信ネットワークセル内の前記ユーザ通信装置への前記ページングを継続するように構成される、
請求項8に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項10】
前記通信ネットワーク装置は、前記ユーザ通信装置から前記少なくとも1の隣接セル測定を受信するように構成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項11】
前記通信ネットワーク装置は、前記通信ネットワークのセルクラスタもしくは前記通信ネットワークの追跡領域の一方または双方から、通信ネットワークセルを選択することにより、通信ネットワークセルグループを決定するように構成され、
前記追跡領域は、複数の通信ネットワークセルを含む、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項12】
前記ページングは、無線アクセスネットワークに基づくページングであり、
前記通信ネットワークは、ロングタームエボリューションネットワークまたはロングタームエボリューションネットワークアーキテクチャに基づく通信ネットワークである、または、前記通信ネットワーク装置は、基地局もしくはevolved Node Bである、の一方または双方である、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の通信ネットワーク装置。
【請求項13】
基地局を動作させる方法であって、
ユーザ通信装置へのページングを実行するための通信ネットワーク内の通信ネットワークセルグループを決定することを含み、
前記通信ネットワークセルグループは、前記ユーザ通信装置により提供される少なくとも1の隣接セル測定の利用により決定され
前記ユーザ通信装置に対してデータもしくは信号の一方または双方の送信が実行されるように決定し、
前記ユーザ通信装置に対して前記データもしくは前記信号の一方または双方の送信が実行されるように決定することに応答して、モビリティ管理ノードに接続せずに、前記通信ネットワークセルグループにおける前記ユーザ通信装置にページングメッセージを送信することをトリガとする
方法。
【請求項14】
コンピューティング装置に請求項13に記載の方法のステップを実行させるように構成されるコンピュータ可読プログラムコードを含む、コンピュータプログラ
【請求項15】
コンピューティング装置に請求項13に記載の方法のステップを実行させるように構成されるコンピュータ可読プログラムコードを含むコンピュータプログラムを格納するように構成される、コンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワーク内のユーザ通信装置へのページングを実行するように構成される通信ネットワーク装置および方法に関する。また、本発明は、対応するコンピュータプログラムおよび対応するコンピュータ可読記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ページングは、ユーザ通信装置を起動するために通信ネットワークにおいて頻繁に利用される。例えば、ユーザ通信装置は、軽接続モード、ドーマントモード、アイドルモード、スリープモード、ハイバネーションモード、スタンバイモード、または他の任意の省電力モードにあることができる。その起動は、ページングメッセージをユーザ通信装置に送信することによって、すなわち、ページングをユーザ通信装置に実行することにより実行される。しかし、ユーザ通信装置は、起動前は軽接続モード、ドーマントモード、アイドルモード、スリープモード、ハイバネーションモード、スタンバイモード、または他の省電力モードであるため、通信セル内のその位置は知られていない。通信ネットワークは、複数のセルを含む。したがって、ユーザ通信装置が配置されているセル、もしくは、当該セル介してユーザ通信装置に到達可能なセル、の一方または双方、すなわちユーザ通信装置へのデータもしくは信号の一方または双方の送信を実行することができるセルも知られていない。ユーザ装置が到達可能であるセルを発見するために、例えばLTE(Long Term Evolution)ネットワークで実施されるような現在の技術に従って、複雑で時間のかかるシグナリングプロセスまたは動作が実行されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
故に、ユーザ通信装置を起動するための、すなわちユーザ通信装置へのページングを実行するための、改良されたアプローチが望まれる。
好ましくは、複雑さを軽減し、ユーザ通信装置へのページングの効率を高めることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特に、本発明は、ユーザ通信装置へのページングを実行するために、通信ネットワーク内の通信ネットワークセルグループを決定するように構成される通信ネットワーク装置に関し、当該通信ネットワークセルグループは、ユーザ通信装置によって提供される隣接セル測定を利用することにより決定される。
【0005】
さらに、本発明は、ユーザ通信装置へのページングを実行するために通信ネットワーク内の通信ネットワークセルグループを決定することを含む方法に関し、当該通信ネットワークセルグループは、ユーザ通信装置により提供される少なくとも1の隣接セル測定の利用により決定される。当該方法は、概して、上述したように、また以下でより詳細に説明するように、通信ネットワークデバイスにより実行される。従って、当該方法は、通信ネットワークデバイスにより実行され、本願に記載される一般のステップを含む。
【0006】
通信ネットワークセルグループの決定は、ページングエリアの決定とも呼ばれ得て、当該ページングエリアは、通信ネットワークセルのグループを含み、その場合、ユーザ通信装置の到達可能性は予想されるかまたは仮定される。すなわち、ユーザ通信装置がデータもしくは信号の一方もしくは双方を受信することができ、結果としてそれぞれ当該グループまたはページングエリアのセルのうちの少なくとも1つに対しページングメッセージを受信することができる、と所定の確率で予想または想定される。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1の隣接セル測定の利用は、通信ネットワークセルグループに、少なくとも1の隣接セル測定の隣接セルを追加することを含む。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワークデバイスは、通信ネットワークセルグループに、ユーザ通信装置への少なくとも1つまたは所定数のページングイベントが成功した通信ネットワークセルとしての以前に実行されたページングイベント履歴に存在すること、ユーザ通信装置の移動履歴に従ってユーザ通信装置が存在すると予想される通信ネットワークセルを表すこと、ユーザ通信装置が静止装置である場合、通信ネットワークセルからユーザ通信装置が最後に到達可能であった最新のセルまでの距離が、所定の最大距離閾値よりも小さいこと、ユーザ通信装置が非静止装置である場合、通信ネットワークセルから最新のセルまでの距離が、所定の最小距離閾値よりも大きいこと、ユーザ通信装置の推定位置と重なること、の少なくとも1つを満たす通信ネットワークセルを追加することによって、通信ネットワークセルグループを決定するように構成される。「最も最近に到達可能」という表現は、ユーザ通信装置との最近または最後の通信(例えばそこからのもしくはそれへの一方または双方の送信)が実行された通信ネットワーク内のセルを示すために利用される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク装置は、通信ネットワークセルグループの通信ネットワークセルをランク付けるように構成される。ランク付けは、ページングの成功につながると予想されるセルがより高いランク付けを受けるようにセルをソートすることを可能にし、ページングを実行するために最初に扱われる。このようにして、ページングの効率は、要求されるシグナリングが減少し、またページングの成功が加速されることにより、向上する。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク装置は、ユーザ通信装置により提供される少なくとも1の隣接セル測定、以前に実行されたページングイベント履歴、ユーザ通信装置の移動履歴、最新のセルまでの距離、ユーザ通信装置の推定位置との重複の存在、の少なくとも1つに従って、通信ネットワークセルグループの通信ネットワークセルをランク付けるように構成される。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1の隣接セル測定は、隣接セルグループの各々の隣接セルについて、対応する隣接セルにおけるユーザ通信装置の信号の信号強度または対応する隣接セルにおけるユーザ通信装置の信号の測定信号品質の一方もしくは双方を含む。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク装置は、対応する信号強度もしくは対応する信号品質の一方または双方に従って通信ネットワークセルグループの通信ネットワークセルをランク付けるように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワークセルグループのさらなる通信ネットワークセルのさらなる信号強度よりも高い信号強度を有する、通信ネットワークセルグループの通信ネットワークセルは、さらなる通信ネットワークセルよりも高いランク付けを受け、通信ネットワークセルグループのさらなる通信ネットワークセルのさらなる信号品質よりも高い信号品質を有する、通信ネットワークセルグループの通信ネットワークセルは、さらなる通信ネットワークセルよりも高いランク付けを受ける。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク装置は、通信ネットワークセルグループの中で最高のランクを有する通信ネットワークセルグループの通信ネットワークセル内のユーザ通信装置へのページングを開始するように構成される。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク装置は、通信ネットワークセルグループの通信ネットワークセル内のページングが失敗した場合、ひとつ下のランク鵜の通信ネットワークセルグループ内で、通信ネットワークセルグループのさらなる通信ネットワークセル内のユーザ通信装置へのページングを継続するように構成される。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク装置は、ユーザ通信装置から少なくとも1の隣接セル測定を受信するように構成される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク装置は、通信ネットワークのセルクラスタもしくは通信ネットワークの複数の通信ネットワークセルを含む追跡エリアの一方または双方から通信ネットワークセルを選択することにより通信ネットワークセルグループを決定するように構成される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、ページングは、無線アクセスネットワークベースのページングである。本発明の一実施形態によれば、通信ネットワークは、LTE(Long−term Evolution)ネットワークもしくはまたはLTEネットワークアーキテクチャに基づく通信ネットワークである。本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク装置は、基地局またはeNodeB(evolved Node B)である。
【0019】
本発明はまた、コンピューティングデバイスに、上述してまた以下より詳細に説明される方法のステップを実行させるように構成されるコンピュータ可読プログラムコードを含むコンピュータプログラム製品にも関する。一実施形態によれば、コンピュータ可読プログラムコードはコンピュータ可読媒体に組み込まれる。さらなる実施形態によれば、コンピュータ可読媒体は非一過性コンピュータ可読媒体である。一実施形態によれば、コンピューティングデバイスは、コンピュータ可読プログラムコードを実行するように構成されるプロセッサまたは任意の他のコンピュータである。
【0020】
また、本発明は、上記のコンピュータプログラムを格納するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。一実施形態によれば、コンピュータ可読媒体は非一過性コンピュータ可読媒体である。
【0021】
いくつかの実施形態は、所定の通信ネットワークもしくは通信プロトコルの一方または双方の文脈に記載されていて、本明細書で開示される技術は、他のネットワーク技術、すなわち通信ネットワークもしくは通信プロトコルの一方または双方にも対応して用いられ得る。
【0022】
以下では、本発明の一実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。図面において、同一または類似の符号は、同一または類似の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態によるユーザ通信装置へのページングが実行される複数のセルを有する通信ネットワークを示す。
図2図2は、本発明の一実施形態によるユーザ通信装置へのページング(すなわち、ページングメッセージの送信)を実行するように構成される通信ネットワーク装置を示す。
図3図3は、本発明の一実施形態によるページングを実行するために実行されるステップのフローチャートを示す。
図4a図4aは、本発明の一実施形態によるユーザ通信装置へのページングを実行するための通信ネットワークセルグループを決定するために実行されるステップのフローチャートを示す。
図4b図4bは、本発明の一実施形態によるユーザ通信装置へのページングを実行するための通信ネットワークセルグループを決定するために実行されるステップのフローチャートを示す。
図5a図5aは、本発明の一実施形態による通信ネットワークがLTEネットワークのアーキテクチャに基づいているときに、ユーザ通信装置へのページングに関して実行されるステップのフローチャートを示す。
図5b図5bは、本発明の一実施形態による通信ネットワークがLTEネットワークのアーキテクチャに基づいている場合のユーザ通信装置へのページングに関して実行されるステップのフローチャートを示す。
図6図6は、本発明の一実施形態による通信ネットワークがLTEネットワークのアーキテクチャに基づいている場合のユーザ通信装置へのページングに関して実行されるステップのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の具体例としての実施形態を説明する。特に明記しない限り様々な実施形態の特徴を互いに組み合わせることができる。
【0025】
図1は、複数のセル(図1の六角形を参照)を有する通信ネットワーク1を示していて、本発明の一実施形態に従ってユーザ通信装置10へのページングは実行される。ユーザ通信装置10は、通信ネットワーク1を介して他の装置と通信することができ、すなわち通信ネットワーク1を介してデータもしくは信号の一方または双方を送受信することができる任意の装置であり得る。ユーザ通信装置10は、移動型もしくは静止装置であり得る。
【0026】
通信は無線で実行される、すなわち通信ネットワーク1は無線セルラ通信ネットワークである。通信は、少なくとも1の通信プロトコルの利用により実行される。通信ネットワーク1は、一実施形態に従ってLTEまたはLTEのアーキテクチャに基づく通信ネットワークである。LTEのアーキテクチャは、進化型パケットシステム(EPS;Evolved Packet System)とも呼ばれる。しかしながら、本発明は、LTEまたはLTEベースの通信ネットワークに限定されない。本発明は、セルを含むさらなる通信ネットワーク、または、セルラーネットワークにおいても実施されることができる。
【0027】
ユーザ通信装置10が、軽接続モード、ドーマントモード、アイドルモード、スリープモード、ハイバネーションモード、スタンバイモード、また、他のいかなる省電力モードでもない場合、ユーザ通信装置10は、アクティブモード、例えば接続モード、にある。アクティブモードまたは接続モードでは、ユーザ通信装置10は、さらなる通信装置(例えばさらなるユーザ通信装置)との通信の確立、通信ネットワーク1を介する通信、および、さらなる通信装置との通信が可能である。アクティブモード、例えば接続モードでは、ユーザ通信装置10の位置は知られている。従って、ユーザ通信装置10が配置されている通信ネットワーク1のセル11も知られている。ユーザ通信装置10が軽接続モード、ドーマントモード、アイドルモード、スリープモード、ハイバネーションモード、スタンバイモード、もしくは他の任意の省電力モードのいずれかまたは複数に切り替わり次第、ユーザ通信装置10の位置は、知られる必要が無くなる。ユーザ通信装置10が、軽接続モード、ドーマントモード、アイドルモード、スリープモード、ハイバネーションモード、スタンバイモード、もしくは他の任意の省電力モードのいずれかまたは複数にある場合、ユーザ通信装置10は、アクティブモード、例えばデータもしくは信号の一方または双方を送信するための接続モードに切り替わることができる。しかしながら、ユーザ通信装置10に送信されるデータもしくは信号の一方または双方は、ユーザ通信装置10がアクティブモード、例えば接続モードに切り替わるまで収集または保留されることが多い。例えば、LTEネットワークでは、ユーザ通信装置10に送信されるデータもしくは信号の一方または双方は、ユーザ通信装置10が起動されるまでサービングゲートウェイ(S−GW)に収集される。ユーザ装置10に送信されるデータもしくは信号の一方または双方が存在する場合、すなわちユーザ装置10のダウンリンクデータが存在する場合、ユーザ通信装置10の起動は、例えばページング機能によって開始される。ページング手続きでは、データもしくは信号の一方または双方、ならびに、特にダウンリンクデータ受信、のためのユーザ通信装置10の起動を開始するために、ページングメッセージと呼ばれるメッセージが通信ネットワーク装置からユーザ通信装置10に送信される。ユーザ通信装置10は、ページングメッセージの受信の返答において、アクティブモード、例えば当該データもしくは当該信号の一方または双方を受信するための接続モード、に切り替わる。
【0028】
図1では、軽接続モード、ドーマントモード、アイドルモード、スリープモード、ハイバネーションモード、スタンバイモード、もしくは他の電力節約モードの一方または複数に切り替える前にユーザ通信装置10がアクティブであった通信ネットワーク1の最新のセルは、太線で強調表示されているモードはセル11である。ユーザ通信装置10の起動後、ユーザ通信装置10が前回のアクティブモード中に最後に位置していた、もしくは、ユーザ通信装置10が最後に到達可能であった、の一方または双方であった最新のセル11が、ユーザ通信装置10が現在位置しているセルに再びなることは保証されない。非アクティブモード(例えば、軽接続モード、ドーマントモード、アイドルモード、スリープモード、ハイバネーションモード、スタンバイモード、もしくは任意の他の省電力モードのいずれかまたは複数)中に、ユーザ通信装置10は、別のセルに移動する可能性がある。ユーザ通信装置10の起動が通信ネットワーク装置によるユーザ通信装置10へのページングメッセージの送信を要求とするため、通信ネットワーク1のエリアは、ユーザ通信装置10がページングメッセージの送信の時間に存在しなければいけないか、または検出されなければならない。
【0029】
上述したように、本発明が実施できる通信ネットワークは、例えば、LTEまたはLTEベースのネットワークとすることができる。
【0030】
図2は、本発明の実施形態によるユーザ通信装置10へのページング(すなわち、ページングメッセージの送信)を実行するように構成される通信ネットワーク装置2を示す。一実施形態によれば、通信ネットワーク装置2は、基地局(BS)またはイーノードビー(eNodeBまたはeNB)である。一実施形態によれば、通信ネットワーク装置2は、通信ネットワーク1の(少なくとも)1の所定のセル内に配置される。一実施形態によれば、通信ネットワーク装置2は、通信ネットワーク1の少なくとも1のセルにサービングするように構成される。また、通信ネットワーク装置2は、過半数のセルまたは複数のセル、例えば少なくとも2つのセルにもサービングし得る。サービングは、例えば、少なくとも1つのセルにおけるデータもしくは信号の一方または双方の送信の管理、編成、および実行をいう。
【0031】
図2の一実施形態によれば、図2に示すように、通信ネットワーク装置2は、通信ネットワーク1内でデータもしくは信号の一方または双方を送信するように構成される送信機21を備える。さらに本実施形態によれば、通信ネットワーク装置2は、通信ネットワーク1においてデータもしくは信号の一方または双方を受信するように構成される受信機22を備える。したがって、本実施形態によれば、通信ネットワーク装置2は、データもしくは信号の一方または双方を、受信機22を介して受信する。送信機21および受信機22は、単一のユニット23に組み込まれてもよい。データもしくは信号の一方または双方の送信もしくは受信の一方または双方を実行するユニット23は、例えばトランシーバまたはモデムであり得る。
【0032】
さらに、本実施形態によれば、通信ネットワーク装置2は、通信ネットワーク装置2のステップもしくは動作を実行するように構成されるプロセッサ24を備える。特に、プロセッサ24は、対応する構成21から23により実行される上述したような送信もしくは受信の一方または双方とは独立して、本明細書に記載のステップおよび動作を実行するように構成される。
【0033】
図3は、本発明の実施形態に従ってページングを実行するために実行されるステップのフローチャートを示す。図3のステップは、通信ネットワーク装置2により(基本的に)実行される。
【0034】
ステップ30では、隣接セル測定が通信ネットワーク装置2により受信される。
【0035】
隣接セル測定は、ユーザ通信装置10の1または2以上の隣接セルに関して実行された測定である。本発明の一実施形態によれば、隣接セル測定は、アクティブまたは接続モードまたは状態にあるユーザ通信装置10により通信ネットワーク装置2に提供または送信される。一実施形態によれば、隣接セル測定は、アクティブまたは接続のモードまたは状態のユーザ通信装置10により実行される。一実施形態では、ユーザ通信装置10は、(アクティブである場合)定期的に、すなわち所定の間隔で(例えば周期的にまたは所定の時点で)、当該ユーザ通信装置10の隣接セルに関して実行された測定を報告する。例えば、一実施形態では、ユーザ通信装置10は、200ms毎に隣接セル測定を通信ネットワーク装置10に送信する。
【0036】
隣接セル測定は、ユーザ通信装置10に特有または固有であり、当該測定が実行された時点でのユーザ通信装置10の実際のもしくは現在の無線環境に依存する。したがって、隣接セル測定は、ユーザ通信装置10が現在(すなわち測定の実行時に)位置する現在のセル11の隣接セルに関する情報を含む。この情報、すなわち隣接セル測定は、一実施形態によれば、それぞれの(関連する)隣接セルについて、それぞれの隣接セルにおけるユーザ通信装置10の信号の信号強度もしくはそれぞれの隣接セルにおけるユーザ通信装置10の信号の測定信号品質の測定(すなわち値)を含む。一実施形態によれば、隣接セル測定は、それぞれの(関連する)隣接セルに関して、基準信号受信電力(RSRP)および基準信号受信品質(RSRQ)の2つのパラメータのうちの少なくとも一方を含む。RSRPおよびRSRQの双方は、例えばLTEネットワークにおいて測定され、故に当業者にとって既知のパラメータである。本発明がRSRPおよびRSRQのみに限定されず、さらなる考察のためにさらなるパラメータを測定し、隣接セル測定に挿入され得ることに留意すべきである。
【0037】
本実施形態によれば、ステップ31において、隣接セル測定のセルのランク付けが実行される。セルのランク付け31は、それぞれのセルに関して測定された値やパラメータを考慮して実行される。隣接セル測定が隣接セル測定の隣接セルについて測定されたパラメータまたは値として信号強度もしくは信号品質の一方または双方を含む場合、ランク付け31は、それぞれ信号強度もしくは信号品質の一方または双方に関して実行される。ランク付け31は、より高い信号強度もしくはより高い信号品質の一方または双方を有する隣接セルがより高くランク付けられるように実行される。セルのランク付け31を行うために2以上のパラメータが利用される場合(例えば、信号強度と信号品質の両方が考慮される場合)、ランク付けパラメータ自体(例えば、信号強度と信号品質)は、まず、セルの主なまたは一次ランク付けが、より高いランク付けを有するパラメータに関して実行され、セルのさらなるランク付け31が次点のランクを有するさらなるパラメータに関して実行されるようにランク付けされる。
【0038】
上述したように、ユーザ通信装置10がアクティブではない、例えばそれぞれの接続モードもしくは状態にない場合、ユーザ通信装置1に送信されるデータもしくは信号の一方または双方は、ユーザ通信装置10への送信のために収集される。ユーザ通信装置10がアクティブでない、例えば、アクティブもしくは接続のモードまたは状態にない場合、ならびに、データもしくは信号の一方または双方、特にユーザ通信装置10に送信されるダウンリンクデータが存在する場合、ステップが実行される。
【0039】
ステップ32において、通信ネットワーク装置2は、ユーザ通信装置10へのデータもしくは信号の一方または双方の送信が実行されるべきか、または、されなければならないかを決定する。当該決定32は、ページングメッセージの送信のために利用される期間を指定する現スケジュール、もしくは、ユーザ通信装置10に送信されるデータもしくは信号の一方または双方の存在、の一方または双方を考慮して実行されることができる。
【0040】
ステップ33において、通信ネットワーク装置2は、ページングメッセージをユーザ通信装置10に送信する。本実施形態によれば、ページングメッセージは、最初に、ユーザ通信装置10に到達することが想定されるかまたは予測される少なくとも1つの追加のセルに関して、ユーザ通信装置10の最新の既知のセル11もしくはいくつかの(少なくとも1の)セルにおいて送信33がされる。
【0041】
ステップ33で実行されたユーザ通信装置10へのページングが成功した場合(34)、例えば、ユーザ通信装置10がページングメッセージを示すための通信ネットワーク装置2に返答する場合、データもしくは信号の一方または双方のユーザ通信装置10への送信は、開始され得る(35)。一実施形態によれば、データもしくは信号の一方または双方は、通信ネットワーク装置2により、もしくは、を介して、ユーザ通信装置10に送信される(35)。
【0042】
ページング33が成功しなかった場合(34)、例えば、通信ネットワーク装置2がページングメッセージの受信を示す応答をユーザ通信装置10から受信しなかった場合、ユーザ通信装置10の存在もしくは到達可能性の一方または双方が期待される通信ネットワークセルグループが決定される(36)。
【0043】
ユーザ通信装置10の到達可能性が予想または仮定される、すなわち、ユーザ通信装置10がデータもしくは信号の一方または双方を受信することができ、つまりそれぞれの当該グループまたはページングエリアのセルのうちの少なくとも1つにおいてページングメッセージを受信することができると所定の確率で予想または想定される場合、通信ネットワークセルグループの決定36は、通信ネットワークセルのグループを含むページングエリアの決定36とも呼ばれることができる。
【0044】
図4aは、一実施形態によるユーザ通信装置10へのページングを実行するための通信ネットワークセルグループを決定するために実行されるステップ36のフローチャートを示す。当該ステップは、(基本的に)通信ネットワーク装置2によって実行される。上述したように、当該ステップは、ユーザ通信装置10がアクティブではない、例えばアクティブまたは接続のモードや状態でない場合、並びに、データもしくは信号の一方または双方、特にユーザ通信装置10に送信される下りデータ、が存在する場合に実行される。
【0045】
ステップ41において、隣接セル測定が取得される。通信ネットワーク装置2が隣接セル測定を取得する際、通信ネットワーク装置2により受信された最新の隣接セル測定30が取得される。一実施形態によれば、通信ネットワーク装置2は、受信された隣接セル測定のセルのランク付け31を行い、ランク付けされた隣接セル測定を格納する。ステップ41において、通信ネットワーク装置2は、記憶装置から、殆ど最近または最後に受信された(30)隣接セル測定を取得する。一実施形態によれば、最新の隣接測定のセルは、上述のようにランク付け31がされる。したがって、通信ネットワーク装置2は、ユーザ通信装置10に関する最新の情報および特に通信ネットワーク1内のユーザ通信装置10の位置に関する最新の情報に基づいて、通信ネットワークセルグループを決定する(36)。
【0046】
ステップ42において、通信ネットワークセルグループは初期化される、すなわち、通信ネットワークセルグループは、最初は空である。ステップ41で取得された隣接セル測定は、隣接セルを上記グループに追加するために利用される。特に、隣接セル測定に含まれる隣接セルは、ステップ42において、通信ネットワークセルグループまたはページングエリアにそれぞれ追加される。ステップ42は、通信ネットワーク装置2により実行される。ランク付け31が隣接セル測定に関して実行された場合、当該セルは、それらのランク付けに関して通信ネットワークセルグループ内に存在する、すなわちランク付けされたセルを有する通信ネットワークセルグループが存在する。
【0047】
図4bは、さらなる実施形態によるユーザ通信装置10へのページングを実行するための通信ネットワークセルグループを決定するために実行されるステップ34のフローチャートを示す。前記ステップは、(基本的に)通信ネットワーク装置2によって実行される。上述したように、当該ステップは、ユーザ通信装置10がアクティブではない、例えばアクティブまたは接続のモードや状態にない場合、およびデータもしくは信号の一方または双方、特にユーザ通信装置10に送信されるダウンリンクデータ、が存在する場合に実行される。
【0048】
図4bの実施形態は、通信ネットワークセルグループもしくはページングエリアをそれぞれ決定するためのさらなるパラメータもしくは基準が利用される図4aの実施形態とは区別される。図4bの実施形態によれば、ユーザ通信装置10へのページングを実行するための通信ネットワークセルグループの決定34は、上述したステップ41、42を含む。
【0049】
ステップ44において、セルを通信ネットワークセルグループもしくはページングエリアにそれぞれ追加するためのさらなる基準もしくはパラメータの一方または双方が考慮に入れられる。さらなるパラメータもしくは基準の一方または双方は、例えば、通信ネットワーク1内のユーザ通信装置10の有効期間、ユーザ通信装置10の移動度、ユーザ通信装置10の種類、履歴ページング成功、もしくはユーザ通信装置10の移動履歴のいずれかまたは2つ以上を含む。
【0050】
一実施形態によれば、ユーザ通信装置10の種類は、ユーザ通信装置10が静止装置であるか非静止装置であるかを指定する。静止ユーザ通信装置10の場合、最新のセル11に近接して位置するセル(例えば、隣接セル測定の実行時にユーザ通信セル10の現在位置であったセルもしくはユーザ通信装置が最近到達可能であったセルの一方または双方)は、通信ネットワークセルグループに追加的に追加される。非静止ユーザ通信装置10の場合、最後のセル11に近接していないが遠くに位置しているセルが、通信ネットワークセルグループに追加的に追加される。ここで、例えば、最新のセル11からの最小もしくは最大距離の一方または双方に対する閾値を使用して、追加されるセルを決定することができる。
【0051】
一実施形態によれば、ユーザ通信装置10が固定装置である場合、最新のセル11に近いセルが通信ネットワークセルグループに追加される。一実施形態によれば、セルと最新のセル11との間の距離が所定の最大距離閾値より小さいか否かが判定される。もしそうであれば、当該セルは通信ネットワークセルグループに追加される。
【0052】
一実施形態によれば、ユーザ通信装置が非静止装置である場合、最新のセル11までの距離が所定の最小距離閾値より大きいか否かが判定される。もしそうであれば、当該セルは通信ネットワークグループに追加される。
【0053】
一実施形態によれば、履歴ページングの成功が考慮に入れられる。ここで、以前実行されたページングイベント履歴が考慮される。そのうえ、通信ネットワークセルグループには、少なくとも1のページングイベントまたは所定数のページングイベントが成功したセルも追加される。
【0054】
一実施形態によれば、通信ネットワーク1内のユーザ通信装置10の移動履歴が考慮される。ここで、ユーザ通信装置10の移動履歴に従って予想されるユーザ通信装置10が、通信ネットワークセルグループに追加される。例えば、ユーザ通信装置10が所定のセル内に頻繁に(例えば少なくとも所定の回数)存在した場合、もしくはユーザ通信装置10が所定のセルへ頻繁に(例えば少なくとも所定の回数)ハンドオーバした場合、当該所定のセルが通信ネットワークセルグループに追加される。
【0055】
一実施形態によれば、ユーザ通信装置10の移動度が考慮される。ここで、ユーザ通信装置10の以前の位置の履歴の利用もしくは最後のセル11の利用の一方または双方により、通信ネットワーク1内のユーザ通信装置10の移動の方向もしくは速度の一方または双方が決定される。このデータの利用により、ユーザ通信装置10のおおよその位置が決定され、またおおよその位置により覆われる対応するセルが通信ネットワークセルグループに追加される。したがって、ユーザ通信装置10の移動の追跡は、ユーザ通信装置10のおおよそのもしくは予想される位置を決定し、また対応するセルを通信ネットワークセルグループに追加するために実行される。移動基準に従って、ユーザ通信装置10が低い移動度を有し、また基本的に少数のセル間を移動している場合、ページングが成功する可能性がある潜在的なセルの数は、より高いまたは高い移動度を有するユーザ通信装置と比較して少ない。
【0056】
別の実施形態によれば、(例えば、LTE規格において定義されているように)セルクラスタもしくは追跡領域の一方または双方のセルも通信ネットワークセルグループに追加することができる。ここでも、例えば、上述した基準を適用することができる。単一のセルを挿入する代わりに、複数のセル(例えば、クラスタのセルもしくは追跡領域のセルの一方または双方)が挿入される。ここで、セルクラスタは、通信ネットワークセルのクラスタもしくはグループである。一実施形態によれば、セルクラスタは、追跡領域内に配置され、すなわち追跡領域に含まれるセルを含む。したがって、セルクラスタは、追跡領域のセル数よりも少ないセル数を表し、すなわち、セルクラスタは追跡領域よりも小さい。上述したように、一実施形態によれば、セルクラスタは追跡領域の一部である。
【0057】
一実施形態によれば、どのくらい古い隣接セル測定が存在するかを示す有効タイマが使用される。したがって、より古い隣接セル測定のセルは、より若い隣接セル測定のセルよりも低いランク付けもしくはページングに適するより低い可能性の一方または双方を受信する。ここで、測定時間を区別するために、異なる(例えば少なくとも1の)閾値を使用することができる。したがって、所定の時間範囲内にある時間に実行された測定および当該測定のセルは対応する範囲もしくは所定の時間範囲に関連する確率の一方または双方を受信することになる。
【0058】
ステップ44に関して上述した実施形態は様々な方法で互いに組み合わせることができる。
【0059】
ステップ45において、通信ネットワークセルグループのセルのランク付けが実行される(図3のステップ31fも参照)。ランク付け45は、上述したパラメータもしくは基準の一方または双方を考慮して実行される。さらに、ランク付け45は、図3の実施形態のステップ31に関して上述した同様の方法で実行される。
【0060】
ステップ36の実行後、すなわち通信ネットワークセルグループの決定後、ステップ37において、通信ネットワークセルグループの少なくとも1のセルに関してページングが実行される。セルのランク付け31、45が通信ネットワークセルグループ内で実行されていた場合、ページングメッセージは、最高のランクを有する少なくとも1のセルに送信される(37)。ランク付けの結果は、同じランク値を有する複数のセルをもたらされる可能性がある。一実施形態によれば、ページング37は、通信ネットワークセルグループ内で最高のランクを有するセルのサブグループに対して行われ得る。一実施形態によれば、セルのサブグループはセルを含み、その順位は予め定められた範囲内にある。
【0061】
ページング37が成功すると(38)、データもしくは信号の一方または双方の送信が開始される(35)。
【0062】
しかし、ページング37が成功しなかった場合(38)、通信ネットワークセルグループの少なくとも1のさらなるセルに関してページングが実行されるステップ39が実行される。セルのランク付け31、45が通信ネットワークセルグループ内で実行されていた場合、ページングメッセージは、次に低いランクを有する少なくとも1つのセルに送信される(39)。一実施形態によれば、ページング39も、通信ネットワークセルグループ内で次に低いランクを有するセルのサブグループに対して行うことができる。上述したように、一実施形態によれば、セルのサブグループはセルを含み、その順位は所定の範囲内にある。
【0063】
ページング39が成功しなかった場合(38)、すなわち通信ネットワークセルグループのすべてのセルで失敗し、グループ内にステップ39を実行するためのそれ以上セルが残っていない場合、通信ネットワークセルグループは上記で説明したステップ44を実行することにより拡張できる。この場合、さらなる基準もしくはパラメータの一方または双方を使用して、さらなるネットワークを通信ネットワークセルグループに追加することができる。必要に応じて、通信ネットワークセルグループに追加されたさらなるセルのランク付け45を実行することができる。次に、通信ネットワークセルグループ内のさらに追加されたセルに関する手順が、ステップ37で継続される。
【0064】
一実施形態によれば、通信ネットワークセルグループにセルをさらに追加することが望まれないかもしくは可能でない場合、ページングは、既知のページングの方法のうちのいずれか、例えばLTEネットワークの従来のページングを実行することにより継続されることができる。他の実施形態によれば、通信ネットワーク装置2は、他の通信ネットワーク装置と交信し、上述したように他の通信ネットワーク装置にページングの実行を要求する。
【0065】
図5aおよび図5bは、通信ネットワーク1がLTEネットワークのアーキテクチャに基づいているときに、本発明の一実施形態によるユーザ通信装置10へのページングに関して実行されるステップのフローチャートを示す。
【0066】
図5は、本発明の一実施形態に従ってユーザ通信装置10へのページングが実行されることに基づくLTEネットワークの例示的なアーキテクチャを示す。LTEネットワークのアーキテクチャ、すなわちEPSは既知であり、対応する構成要素のさらなる説明は不要であると仮定する。本実施形態によれば、通信ネットワーク装置2はeNBであり、ユーザ通信装置10はそれぞれ通信ネットワーク1もしくはLTEに接続されているユーザ機器(UE)である。
【0067】
ステップ501において、ユーザ通信装置10は、アクティブモードもしくは接続モード(例えば、RRC_CONNECTED状態)にあり、隣接セル測定を実行する。ステップ502において、ユーザ通信装置10は、まだアクティブモードもしくは接続モードにあり、隣接セル測定をeNB2に報告する。隣接セル測定は、例えば潜在的なハンドオーバについて報告されることができる。ステップ503において、eNB2は、ユーザ通信装置10により報告された隣接セル測定を受信して記憶する。また、上述したように、一実施形態によれば、eNB2は、ランク付けされたセルの隣接セル測定が記録されているストレージの前に隣接セル測定のセルをランク付けする(31)。
【0068】
ステップ504において、ユーザ通信装置10は接続を終了し、接続は中断される。中断された接続に応答して、ステップ505において、eNB2はユーザ通信装置10の無線アクセスネットワーク(RAN)コンテキストを記憶する。記憶されたRANコンテキストを使用することにより、eNBはユーザ通信装置10との接続をより早く再開できるようになる。
【0069】
ステップ506において、eNB2は、本実施形態によれば、LTEで使用されるように、「軽接続」モードまたは状態にユーザ通信装置2のモードもしくは状態を定義する。ここで、本発明は「軽接続」モードもしくは状態に限定されないことに留意すべきである。ドーマントモード、アイドルモード、スリープモード、ハイバネーションモード、スタンバイモードまたは他の任意の省電力モードのようなさらなるモードも可能であり、代わりに使用することができる。
【0070】
「軽接続」モードもしくは状態の定義後、ユーザ通信装置10は「軽接続」状態で通常のアイドルモードタスクを実行する。
【0071】
ステップ507において、サービングゲートウェイ(S−GW)52において、ダウンリンクデータが受信される。これに応答して、ステップ508において、S−GW52はダウンリンクデータ通知を、モビリティ管理エンティティ(MME)51に送信する。MME51は、ステップ509においてダウンリンクデータ通知を受信する。
【0072】
ダウンリンクデータ通知の受信509に応答して、MME51は、ステップ510において、ページング要求メッセージをeNB2に送信する。ページング要求メッセージは、ユーザ通信装置10の最新のセル11に関する情報、すなわちユーザ通信装置10がステップ504で接続が中断される前に配置されていたセルに関する情報を含む。一実施形態によれば、最新のセル11に関する情報は、ID、すなわち通信ネットワーク1内の最新のセル11の識別情報を含む。
【0073】
ステップ511において、eNB2はページング要求メッセージを受信する。ページング要求メッセージの受信511は、通常上述したステップ32に対応する。ページング要求メッセージの受信511に応答して、eNB2は上述したようにページングの実行を開始する。したがって、ステップ512において、eNB2は、ステップ33に関して上述したように、ページングメッセージを最新の既知のセル11もしくはいくつかの追加のセルに送信する。
【0074】
ステップ513によって示されるように、ユーザ通信装置10がページングメッセージに応答しない場合、ページングの試みは成功しなかった(図3のステップ34からステップ35へのNO分岐を参照すること)、ステップ514におけるページングの実行のためのより大きな数のセルに対するeNB2はセルの段階的拡大を開始する。したがって、ステップ514において、eNB2は、ステップ36に関して上述したように、通信ネットワークセルグループもしくはページングエリアをそれぞれ決定する。通信ネットワークセルグループは、ID、すなわち通信ネットワーク1のそれぞれのセルの識別情報を含む。
【0075】
通信ネットワークセルグループもしくはページングエリアそれぞれの決定514の後、eNB2は、図5のステップ37、38、および39に関して上述したように、ステップ515においてページングメッセージを送信する。
【0076】
本実施形態によれば、ユーザ通信装置10は、ステップ516で送信されたページングメッセージのうちのいずれかを受信する。ページングメッセージの受信516に応答して、ユーザ通信装置10はアクティブモードもしくは接続モードに切り替わる。アクティブモードもしくは接続モードでは、ユーザ通信装置10は、S−GW52においてユーザ通信装置10の起動まで一時的に記憶されたダウンリンクデータを使用または受信することができる。また、さらなるデータもしくは信号の一方または双方をユーザ通信装置10によりアクティブモードもしくは接続モードで受信することができる。
【0077】
ページングメッセージの受信516に応答して、ユーザ通信装置10は、ステップ517で対応する応答を送信する。ステップ518において、eNB2はユーザ通信装置10からの応答を受信する。上述したように、ユーザ通信装置10からの応答の受信518は、ページングが成功したこと、および、ユーザ通信装置へのデータもしくは信号の一方または双方の送信の開始が可能であることをeNB2に示す(図3のステップ38および35の上記説明も参照すること)。
【0078】
ページングメッセージが受信されたセルが、通信ネットワーク1のさらなるeNBによりサービングされる場合、eNBは、ステップ505において記憶されたRANコンテキストを通信ネットワーク1のさらなるeNBへ送信を実行する。一実施形態によれば、LTEアーキテクチャの使用の観点において、当該送信は、LTEネットワークのアーキテクチャにおける2つのeNB間の通信のためのインタフェースとして、一般に知られているX2インタフェースを介して実行される。
【0079】
図6は、通信ネットワーク1がLTEネットワークのアーキテクチャに基づいているときに、本発明の本実施形態によるユーザ通信装置10へのページングに関して実行されるステップのフローチャートを示す。特に、決定された通信ネットワークセルグループのセルへのページングメッセージの送信515が失敗した場合、すなわち決定された通信ネットワークセルグループのセルのいずれもがページングメッセージを受信していない場合、図6の処理が実行される。このようにして、図6のステップは、図5のステップ515に続く。
【0080】
決定された通信ネットワークセルグループのセルへのページングが失敗した場合、ステップ61で、eNB2は、ページングが失敗したことをMME51に通知する。一実施形態によれば、MME51の上記通知61は、MME51からeNB2に対するステップ510でのMME51のページング要求メッセージに対する応答を表す。一実施形態によれば、当該応答61は明示的であり、すなわち対応する応答メッセージと共に送信される。別の実施形態によれば、応答61は、例えばページングの実行に関して設定され、期限が切れたタイマを考慮すると、暗黙的である。タイマが切れた後、MME51はページングがファイルされたことを通知される(61)。ステップ62において、MME51は、ページングが失敗したという情報を(暗黙的にもしくは明示的に)受信する。
【0081】
ページングの失敗に関する情報の受信62に応答して、ステップ63において、LTEネットワークにおいて従来実行されていたようなページングがMME51により開始される。
【0082】
LTEネットワークでは、セルは追跡領域に纏められる。従来のLTEページングによれば、最初にページングメッセージが、最新のセル11が位置する追跡領域に送信される。この目的のために、MME51はページングメッセージを追跡領域の全てのeNBに送信し、対応するeNBはページングメッセージをeNBがサービングするセルに送信する。上記ページングが失敗した場合、MME51は、通信ネットワーク1のさらなる追跡領域に関してもページングを実行する。したがって、MME51は、対応する追跡領域の全てのeNBにページングメッセージを送信し、当該追跡領域のeNBはページングメッセージをeNBによってサービングされるセルへ送信する。
【0083】
上記した実施形態は、組み合わせが明示的に除外されていない限り、互いに組み合わせることができることに留意すべきである。さらに、どちらかといえば通常開示されているステップは、図5a、図5b、図6のより具体的なステップと組み合わせることができる。異なる抽象化レベルは互いを補完する。
【0084】
加えて、図5a、5b、および図6は、LTEネットワークのアーキテクチャに関して説明されているが、この教示はもう1つの具体的な実装方法を表すことに留意すべきである。図5a、5b、および図6の原理およびステップは、ユーザ通信装置10を起動するためのページングを利用するさらなるネットワークにも対応して転移可能である。当該起動は、例えばユーザ通信装置10と通信するため、例えばデータもしくは信号の一方または双方をユーザ通信装置10に送信するために実行される。
【0085】
したがって、本発明は、ユーザ通信装置へのページングを実行するために通信ネットワーク内の通信ネットワークセルグループを決定するように構成される通信ネットワーク装置および方法に関し、通信ネットワークセルグループは、ユーザ通信装置により提供される隣接セル測定の利用により決定される。また、本発明は、対応するように構成されるコンピュータプログラム製品および対応するように構成されるコンピュータ可読記録媒体に関する。
【0086】
本発明をいくつかの好ましい実施形態に関して示し説明したが、本明細書を読み理解することにより、当業者には均等物および変形物が思い浮かぶであろう。本発明は、そのような均等物および変形物をすべて含み、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6