(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通気性フィルムにおける所望のJIS P8117の透気度に応じて、炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分を調整する工程、熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子を質量比50:50〜10:90の割合で混練する工程、前記熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子の混練物をフィルム状に成形する工程を順に行う通気性フィルムの製造方法であって、前記炭酸カルシウム粒子が表面処理されていない炭酸カルシウム粒子である、通気性フィルムの製造方法。
通気性フィルムにおける所望のJIS P8117の透気度に応じて、炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分を調整する工程、熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子を混練する工程、前記熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子の混練物をフィルム状に成形する工程を順に行う通気性フィルムの製造方法であって、
前記水分を調整する工程において、前記所望のJIS P8117の透気度が5,000秒以上85,000秒以下となるように、炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分を、0.1%から2.0%の範囲内で、前記所望のJIS P8117の透気度に逆比例するように調整する、通気性フィルムの製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱可塑性樹脂は、工業用及び家庭用の各種成形体、食品包装や一般用品の成形包装等の材料として、森林資源を源とする紙資材と共に広く用いられてきたが、環境保護が国際的な問題となって来た現在、これらを無毒で、リサイクル可能とする、焼却出来るといった観点と並行して、熱可塑性樹脂並びに紙資材の消費量を低減することも大いに検討されている。
【0003】
この様な点から、無機物質粉末を熱可塑性樹脂中に高充填してなる熱可塑性樹脂組成物が提唱され、実用化されている(例えば、特許文献1等参照)。無機物質粉末として、特に、炭酸カルシウムは、自然界に豊富に存在する資源であり、環境保護といった観点からの要望に好ましく応えることが出来るものである。
【0004】
また、上記したものとは別の観点で、無機物質粉末を熱可塑性樹脂中に充填してなる熱可塑性樹脂組成物をフィルム状に成形し、所定の伸度で延伸処理を行うことで、通気性フィルムを製造することも従来知られている(例えば、特許文献2〜5参照)。延伸処理が、フィルム中の無機物質粉末の表面から熱可塑性樹脂を剥離し、これが微細孔を形成し、得られる延伸フィルムにおいて、ガス、水蒸気の通過を可能とする。
【0005】
しかしながら、この様に無機物質粉末を熱可塑性樹脂中に高充填してなる熱可塑性樹脂組成物を延伸処理して、所望の透気度を有する通気性フィルムを安定的に製造することは困難なものであった。すなわち、数オングストローム単位のガス分子の通過のためのフィルム内の微細孔構造を物理的な延伸により形成するものであり、その制御は容易なものではなかった。上記特許文献2〜5にはこの点に関していくつかの提案がなされている。
【0006】
例えば、特許文献2では、α−オレフインのポリマー又はコポリマーに対し、60〜75重量%の平均粒子径10〜15μm範囲内の粒度を有する無機充填剤又はガラスビーズ及びステアリン酸カルシウムの混合物を溶融配合し、フイルム製造前の配合組成物の水分レベルを700ppm未満に維持して、フイルムを形成し、フイルムを約20℃から約160℃までの温度範囲において2方向の各方向において約1.5倍から約7倍までに延伸するという、複数のパラメーターの制御により通気性フィルムを製造することが開示されている。
【0007】
また特許文献3では、重質炭酸カルシウム粒子として、空気透過法による比表面積が3,000cm
2/g以上25,000cm
2/g以下、マイクロトラックMT3300レーザー式粒度分布計により測定した粒子の50%粒子径(d50)が0.8μm以上3.0μm以下、マイクロトラックMT3300レーザー式粒度分布計により測定した粒度分布の10%粒子径が0.55μm以下、カールフィッシャー法(加熱気化法)により25〜300℃の間で測定される水分(ppm)が0以上1000ppm以下のものを用いることで、フィッシュアイや水分による穴(ガスマーク)の発生のない通気性フィルムを得ることが提案されている。
【0008】
特許文献4では、ポリオレフィン系樹脂を25〜65質量%と、有機カルボン酸、有機カルボン酸塩、有機カルボン酸アミド、有機カルボン酸と炭素数1〜6のアルコールとのエステル、ポリ(メタ)アクリル酸、及びシランカップリング剤から選ばれた少なくとも一種の疎水化剤により表面処理された、平均一次粒子径が0.05〜0.8μmの微細フィラーを32〜72質量%含有する組成物により難透水性と透湿性とを兼ね備えた延伸多孔性フィルムを得ることが提案されている。
【0009】
また特許文献5においては、熱可塑性ポリマー及び表面処理粉砕炭酸カルシウムを含み、当該表面処理粉砕炭酸カルシウムとして、0.1μm〜7μmの範囲の重量中央粒径d
50、≦15μmのトップカット粒径d
98、窒素及びISO9277にしたがってBET法を使用して測定される、0.5〜150m
2/gの比表面積(BET)、並びに粉砕炭酸カルシウムの全乾燥重量に基づいて、≦1重量%の残留全含水率を有する材料に、リン酸モノエステル及びその塩反応生成物並びに/若しくはリン酸ジエステル及びその塩反応生成物のリン酸エステルブレンド、並びに/又は、飽和脂肪族直鎖若しくは分岐鎖カルボン酸及びその塩反応生成物、並びに/又は、脂肪族アルデヒド及び/若しくはその塩反応生成物、並びに/又はポリジアルキルシロキサン、並びに/又はこれらの材料の混合物からなり、粉砕炭酸カルシウムの全乾燥重量に基づいて、0.1〜3重量%の量で形成した表面処理層を含むものを用いることで、難透水性と透湿性とを兼ね備えたフィルムを得ることが提案されている。
【0010】
しかしながら、上記の特許文献2〜5の技術においても、フィラー(充填剤)の厳密な添加量、フィラーの表面処理、疎水化剤等の添加剤の処方といった材料組成や、フィルム製造時の厳密な延伸制御によりフィルム内の空隙調整を行っており、材料選択の自由度に制約があったり、生産効率が低下する等の課題があった。なお、上記の先行技術においては、何れも組成物中の水分は、基本的に極力除去するものとされている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
【0026】
≪通気性フィルム用樹脂組成物≫
本発明の通気性フィルム用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを質量比50:50〜10:90の割合で含有するものであり、配合される無機物質粉末として炭酸カルシウム粒子を用いるものであるが、その前記炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分が、通気性フィルムにおける所望のJIS P8117の透気度に応じて調整されたものである。
【0027】
≪定義≫
ここで、まず、本発明において規定する、炭酸カルシウム粒子の上記「水分」、及び通気性フィルムにおける上記「透気度」について、最初に説明する。
【0028】
(水分)
本発明において規定する炭酸カルシウム粒子の「水分」は、上記した様にJIS K0068(JIS K0068:2001 「化学製品の水分測定方法」)により測定された値である。
より具体的には、炭酸カルシウム粒子の「水分」は、JIS K0068における「6.カールフィッシャー滴定法」の「6.5 水分気化−容量滴定法,又は水分気化−電量滴定法」に規定される方法に準じ、試料0.5gを、乾燥した空気の気流中で105℃で加熱して気化させ、電解液に捕集し、電量滴定法によりカールフィッシャー滴定を行って、測定された値である。
【0029】
(透気度)
また本発明において規定する通気性フィルムにおける「透気度」は、上記した様にJIS P8117(JIS P8117:2009 「紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)−ガーレー法」)により測定された値である。
より具体的には、JIS P8117準拠のガーレー式透気度計を用い、23℃で大気雰囲気中にて、2,500mm
2の面積の通気性フィルムを空気100ccが通過する時間(秒)を測定し、これを透気度(秒)とした。秒数はデジタルオートカウンターで測定した。透気度の値が小さいほど空気の透過性が高いことを示す。
【0030】
次に、本発明に係る通気性フィルム用樹脂組成物を構成する各成分につき、それぞれ詳細に説明する。
【0031】
≪熱可塑性樹脂≫
本発明に係る通気性フィルム用樹脂組成物において用いられ得る熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、当該通気性フィルム用樹脂組成物により製造される通気性フィルムの用途、機能等に応じて、各種のものが用いられ得る。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系樹脂等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート等のポリカーボネート樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン(AS)共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリ塩化ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のポリエーテル系樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
【0032】
これらの熱可塑性樹脂のうち、その成形容易性、性能面及び経済面等からポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
【0033】
ここで、ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン成分単位を主成分とするポリオレフィン系樹脂であり、具体的には、上記した様にポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂、その他、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物等が挙げられる。なお、上記「主成分とする」とは、オレフィン成分単位がポリオレフィン系樹脂中に50質量%以上含まれることを意味し、その含有量は好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。なお、本発明に使用されるポリオレフィン系樹脂の製造方法は特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒、酸素、過酸化物等のラジカル開始剤等を用いる方法等の何れによって得られたものであっても良い。
【0034】
前記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン成分単位が50質量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、プロピレン単独重合体、又はプロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレンや、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン等の炭素数4〜10のα−オレフィンが例示される。プロピレン単独重合体としては、アイソタクティック、シンジオタクティック、アタクチック、ヘミアイソタクチック及び種々の程度の立体規則性を示す直鎖又は分枝状ポリプロピレン等の何れもが包含される。また上記共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であっても良く、さらに二元共重合体のみならず三元共重合体であっても良い。具体的には、例えば、エチレン−プロピレンランダム共重合体、ブテン−1−プロピレンランダム共重合体、エチレン−ブテン−1−プロピレンランダム3元共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体等を例示出来る。なお、上記共重合体中のプロピレンと共重合可能な他のオレフィンは、通気性フィルム用樹脂組成物全体の質量を100質量%とした場合に、25質量%以下、特に15質量%以下の割合で含有されていることが好ましく、下限値としては0.3質量%であることが好ましい。また、これらのポリプロピレン系樹脂は、単独又は2種以上を混合して用いることが出来る。
【0035】
また、前記ポリエチレン系樹脂としては、エチレン成分単位が50質量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン1共重合体、エチレン−ブテン1共重合体、エチレン−ヘキセン1共重合体、エチレン−4メチルペンテン1共重合体、エチレン−オクテン1共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0036】
なお、0.942g/cm
3以上の密度を有するポリエチレンは通常、「高密度ポリエチレン(HDPE)」、0.930g/cm
3以上0.942g/cm
3未満の密度を有するポリエチレンは通常、「中密度ポリエチレン」、0.910g/cm
3以上0.930g/cm
3未満の密度を有するポリエチレンは通常、「低密度ポリエチレン(LDPE)」、0.910g/cm
3未満の密度を有するポリエチレンは通常、「超低密度ポリエチレン(ULDPE)」と称される。また、「直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)」は、通気性フィルム用途のために通常、0.911g/cm
3以上0.940g/cm
3未満の密度、好ましくは0.912g/cm
3以上0.928g/cm
3未満の密度を有する。
【0037】
前記したポリオレフィン系樹脂の中でも、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂、特に、機械的強度と耐熱性とのバランスに特に優れることからポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
【0038】
≪無機物質粉末≫
本発明に係る通気性フィルム用樹脂組成物中に配合され得る無機物質粉末としては、炭酸カルシウム粒子が用いられる。
【0039】
しかして、本発明においては、通気性フィルム用樹脂組成物中に配合される無機物質粉末である炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分が、通気性フィルムにおける所望のJIS P8117の透気度に応じて調整されたものとされる。この様に通気性フィルム用樹脂組成物中に配合される炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分を一定範囲内で調整することで、この水分の増減に略比例して、得られる通気性フィルムにおけるJIS P8117の透気度を増減させることが出来る。
【0040】
得ようとする通気性フィルムのJIS P8117の透気度としては、通気性フィルムの用途等によっても異なり、特に限定されるものではないが、例えば、5,000秒以上85,000秒以下、さらに代表的には10,000秒以上50,000秒以下という範囲内の値が採られ得る。
【0041】
通気性フィルムを製造する上で使用する熱可塑性樹脂の種類、溶融温度等の製造条件、及び製造する通気性フィルムの膜厚等の条件によってもある程度左右されるため、特に限定されるわけではないが、代表的には、通気性フィルム用樹脂組成物中に配合する炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分を0.1%から2.0%まで変化させることで、得られる通気性フィルムのJIS P8117の透気度を、上記した範囲の85,000秒から5,000秒まで略反比例制御出来る。
【0042】
また、炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分が、0.1%から2.0%の範囲内であると、得られる通気性フィルムの外観性状等も何れも良好である。
【0043】
ここで通気性フィルム用樹脂組成物中に配合される炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分値は、この組成物を用いてフィルムを形成するために、組成物を溶融混錬する前の状態における値であり、少なくともフィルム製造工程において溶融混錬のために80℃以上の温度に昇温させる以前における水分値である。なお、後述する様に、炭酸カルシウム粒子をマスターバッチの形態として供給する場合も、通気性フィルム製造のために組成物を溶融混錬する前の状態における値であり、マスターバッチ化された状態の炭酸カルシウム粒子の水分値である。
【0044】
なお、通気性フィルム用樹脂組成物中に配合される炭酸カルシウム粒子として、JIS K0068による水分値が異なる2群ないしそれ以上の粒子群のものを用いることも可能であるが、この場合も、何れの粒子群の水分値が、0.1%から2.0%の範囲内であると、各粒子群の配合比を適宜調整すれば、得られる通気性フィルムの透気度を所望の範囲内のものに制御可能である。
【0045】
なお、炭酸カルシウム粒子が上記所定の範囲の水分を含有するものとする方法としては、一旦炭酸カルシウム粒子を完全に乾燥させた後、所定量の水を噴霧等して加える方法もあるが、通常は、水分量を測定しながら乾燥し、所定量の水分含有量となった時点で乾燥を終了させれば良い。なお、この様な炭酸カルシウム粒子における水分の調整自体は、例えば、本発明に係る「水分」量を規定する上記した様なカールフィッシャー方式の水分測定に用いられる測定装置とは異なる測定装置、例えば、赤外線水分測定装置等を用いて行うことも可能である。
【0046】
本発明で用いられる炭酸カルシウム粒子の平均粒子径としては、特に限定されるものではないが、0.5μm以上13.5μm以下、より好ましくは、0.7μm以上6.0μm以下の範囲内にあることが望まれる。
【0047】
なお、本明細書において述べる無機物質粉末、すなわち炭酸カルシウム粒子の平均粒子径は、JIS M8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した値をいう。測定機器としては、例えば、島津製作所社製の比表面積測定装置SS−100型を好ましく用いることが出来る。
【0048】
炭酸カルシウム粒子を添加してなる通気性フィルム用樹脂組成物より形成される通気性フィルムの外観、機械的強度、あるいは熱可塑性樹脂組成物混錬時の粘度等の物性は、添加される炭酸カルシウム粒子の平均粒子径によっても影響を受ける。成形体の外観は炭酸カルシウム粒子の平均粒子径が小さくなるほど、向上する傾向があるが、混錬時の粘度は平均粒子径が小さくなるほど高まる傾向がある。熱可塑性樹脂組成物混錬時の粘度が高いと成形自体が困難となったりあるいは樹脂本来の物性が発揮されにくくなり、特に高含有量で配合する場合にあってはその傾向が顕著となる。一方で、炭酸カルシウム粒子の平均粒子径が大きくなるほど、熱可塑性樹脂組成物中への混錬は概して容易となり、また粒子の単位質量あたりのコストも低いものとなるため経済的にも有利であるものの、当該通気性フィルム用樹脂組成物により通気性フィルムを形成した場合に、所望の通気性を発揮するフィルム内における微細孔構造を形成する上での精細な制御が難しくなる虞れがある。これゆえ、上記した様な範囲内の平均粒子径を有することが望ましい。
【0049】
なお、炭酸カルシウム粒子として、平均粒子径の異なる少なくとも2群の炭酸カルシウム粒子群を用いることも可能である。例えば、ある平均粒子径を有する炭酸カルシウム粒子群Aに、これよりも大きい平均粒子径を有する炭酸カルシウム粒子群Bを混ぜると、炭酸カルシウム粒子群Bが単独で熱可塑性樹脂中に粗く分散する複合状態のものにおいて、炭酸カルシウム粒子群Bの炭酸カルシウム粒子と樹脂との空間を、炭酸カルシウム粒子群Aの炭酸カルシウム粒子により埋めることが出来、これによって、炭酸カルシウム粒子の偏在が抑制され、その添加量を効果的に向上させることが出来る。また、炭酸カルシウム粒子群Bの炭酸カルシウム粒子が分散した隙間に炭酸カルシウム粒子群Aの炭酸カルシウム粒子に分散させることにより、樹脂組成物中における炭酸カルシウム粒子の分布の緻密化と、粒子相互の三次元的な配置関係の複雑化がなされ、力学的な強度も増大する。
【0050】
平均粒子径が小さい炭酸カルシウム粒子群Aの平均粒子径をaとし、平均粒子径が大きい炭酸カルシウム粒子群Bの平均粒子径をbとした場合に、a/b比率が0.85以下、より好ましくは0.10〜0.70、さらに好ましくは0.10〜0.50程度となる様に大別出来るものであることが望ましい。この様にある程度明確な平均粒子径の差をもった炭酸カルシウムを併用することで、特に優れた効果が期待出来るためである。
【0051】
本発明において用いられる平均粒子径分布が異なる少なくとも2群の炭酸カルシウム粒子群としては、上記した様な平均粒子径の範囲内であれば、その炭酸カルシウム粒子群の組合せとしては、特に限定されないが、平均粒子径の小さい炭酸カルシウム粒子群Aとしてその平均粒子径が、0.7μm以上2.2μm未満のもの、より好ましくは1.0μm以上1.9μm未満のもの、また平均粒子径の大きい炭酸カルシウム粒子群Bとしてはその平均粒子径は2.2μm以上6.0μm以下のもの、より好ましくは2.5μm以上5.0μm以下のものを組合せることが、特に望ましく、両者を実質的に混合均質化してなる混合物とすることが好ましい。両者を混ぜ合わせることで、平均粒子径の小さい炭酸カルシウム粒子群Aだけ、又は平均粒子径の大きい炭酸カルシウム粒子群Bだけを単独で用いるより、良好な高い充填性において、炭酸カルシウムの偏在を抑制出来、外観及び、破断伸び等の機械的特性が良好な成形品を得ることが出来、また樹脂組成物からなる成形品からの炭酸カルシウム粒子の脱落を低減することが可能である。平均粒子径分布の異なる少なくとも2群の炭酸カルシウム粒子群を用いる場合の配合割合としては、単独の炭酸カルシウム粒子群を使用した場合と比較して、上記した様な炭酸カルシウム粒子の偏在の抑制、得られる成形体における外観の向上、機械的強度の向上、さらには組成物混錬時における粘度の低下、成形体からの炭酸カルシウム粒子の脱落の低減等の効果が得られる限り、特に限定されるものではないが、例えば、上記した様な平均粒子径が小さい炭酸カルシウム粒子群Aと平均粒子径が大きい炭酸カルシウム粒子群Bとに分けた場合に質量比で、A:Bが、1:1〜5:1程度、より好ましくは3:1〜5:1程度であることが望ましい。この様な配合割合とすることで、特に優れた効果が期待出来るためである。
【0052】
本発明においては、熱可塑性樹脂中に配合される無機物質粉末として炭酸カルシウム粒子を用いるが、用いられる炭酸カルシウム粒子の全体として、特に、その粒径分布において、粒子径50μmを超える粒子を実質的に含有しないことが好ましい。一方、粒子が細かくなり過ぎると、熱可塑性樹脂と混練した際に粘度が著しく上昇し、フィルムの製造が困難になる虞れがある。そのため、その粒子径は0.5μm未満の粒子を実質的に含有しないことが好ましい。ここで「実質的に含有しない」とは、当該粒子径の粒子が、例えば、全粒子質量の0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満しか含まれない態様を意味する。
【0053】
本発明で用いられる炭酸カルシウム粒子としては、合成法により調製されたもの、いわゆる軽質炭酸カルシウム粒子と、石灰石等CaCO
3を主成分とする天然原料を機械的に粉砕分級して得られる、いわゆる重質炭酸カルシウム粒子との何れであっても良く、これらを組合わせることも可能であるが、通気性に係るフィルム内における微細孔形成の良好性、また経済性等といった観点で、好ましくは、重質炭酸カルシウム粒子である。
【0054】
重質炭酸カルシウムとは、天然の石灰石等を機械的に粉砕・加工して得られるものであって、化学的沈殿反応等によって製造される合成炭酸カルシウムとは明確に区別される。
【0055】
重質炭酸カルシウム粒子は、例えば、合成法による軽質炭酸カルシウムとは異なり、粒子形成が粉砕処理によって行われたことに起因する、表面の不定形性、比表面積の大きさに特徴を有する。重質炭酸カルシウム粒子がこの様に不定形性、比表面積の大きさを有するため、熱可塑性樹脂中に配合した場合に重質炭酸カルシウム粒子は、熱可塑性樹脂に対してより多くの接触界面を有し、均一分散に効果がある。
【0056】
特に限定されるわけではないが、重質炭酸カルシウム粒子の比表面積としては、その平均粒子径によっても左右されるが、3,000cm
2/g以上35,000m
2/g以下程度であることが望まれる。ここでいう比表面積は空気透過法によるものである。比表面積がこの範囲内にあると、得られる成形品において、重質炭酸カルシウム粒子を配合することによる樹脂組成物の加工性の低下もほとんど生じない。
【0057】
また、重質炭酸カルシウム粒子の不定形性は、粒子形状の球形化の度合いが低いことで表わすことが出来、特に限定されるわけではないが、具体的には、真円度が0.50以上0.95以下、より好ましくは0.55以上0.93以下、さらに好ましくは0.60以上0.90以下である。重質炭酸カルシウム粒子の真円度が範囲内にあると、熱可塑性樹脂組成物中に重質炭酸カルシウム粒子を配合して成形品を形成した場合に、製品としての強度や成形加工性も適度なものとなる。
【0058】
なお、ここで、真円度とは、(粒子の投影面積)/(粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の面積)で表せるものである。真円度の測定方法は特に限定されるものではないが、例えば、顕微鏡写真から粒子の投影面積と粒子の投影周囲長とを測定し、各々(A)と(PM)とし、粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の半径を(r)とすると、
PM=2πr (1)
であり、粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の面積を(B)とすると、
B=πr
2 (2)
である。(1)式を変形すると、r=PM/2π (3)
となるから、(2)式に(3)式を代入すると、
B=π×(PM/2π)
2 (4)
となり、真円度=A/B=A×4π/(PM)
2
となる。測定する粒子は、粉末の粒度分布を代表する様に、サンプリングを行う。測定粒子の数が多い程、測定値の信頼性は増すが、測定時間も考慮して、一般に100個程度の粒子の平均値で表すものとされており、本明細書においても100個の粒子の平均値とした。これらの測定は走査型顕微鏡や実体顕微鏡等で得られる各粒子の投影図を一般に商用されている画像解析ソフトによって真円度を求めることが可能である。
【0059】
また、炭酸カルシウム粒子の熱可塑性樹脂中での分散性を高めるために、炭酸カルシウム粒子の表面をあらかじめ常法に従い表面改質しておいても良い。表面改質法としては、プラズマ処理等の物理的な方法や、カップリング剤や界面活性剤で表面を化学的に表面処理するもの等が例示出来る。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性の何れであっても良く、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等が挙げられる。
【0060】
しかしながら、本発明の好ましい実施形態においては、用いられる炭酸カルシウム粒子としては、化学的処理剤を用いた無機物質粉末の表面処理、少なくとも、上記した様な脂肪酸系化合物による表面処理を受けてないものを用いることが好ましい。炭酸カルシウム粒子として、この様に表面処理を受けていないものを用いることで、成形時において炭酸カルシウム表面に付着していた表面処理剤が熱分解して、わずかながらでも臭気の要因となることを排除出来るためである。従って、本発明の特に好ましい一実施形態においては、用いられる無機物質粉末として表面処理を施されていない重質炭酸カルシウムを用いることが挙げられる。
【0061】
なお、重質炭酸カルシウム粒子を得る上での粉砕方法には乾式法と湿式法とがあり、本発明に係る所望の水分を含有する炭酸カルシウム粒子を得る上では、乾式法でも湿式法(湿式粉砕後乾燥処理)によるものであっても可能である。粉砕機に関しても特に限定されるものではなく、衝撃式粉砕機、ボールミル等の粉砕メディアを用いた粉砕機、ローラーミル等が使用出来る。また、分級も空気分級、湿式サイクロン、デカンター等を利用した分級で良い。
【0062】
本発明において用いられる炭酸カルシウム粒子としては、市販のものをそのまま、あるいは市販のものを所望の水分量に調整した上で用いることも可能である。
【0063】
特に限定されるものではないが、例えば、市販される炭酸カルシウム粒子として、乾式法により製造された、ソフトン3200(平均粒子径0.70μm、水分0.3%)、ソフトン2600(平均粒子径0.85μm、水分0.3%)、ソフトン2200(平均粒子径 1.00μm、水分0.2%)、ソフトン1800(平均粒子径1.25μm、水分0.2%)、ソフトン1500(平均粒子径1.50μm、水分0.2%)、ソフトン1200(平均粒子径1.80μm、水分0.2%)、ソフトン1000(平均粒子径2.20μm、水分0.2%)、BF−100(平均粒子径3.60μm、水分0.1%)、BF−200(平均粒子径5.00μm、水分0.1%)、BF−300(平均粒子径8.00μm、水分0.1%)、BF−400(平均粒子径13.00μm、水分0.1%)、乾式法により製造され表面処理された、ライトンBS−0(平均粒子径1.00μm、水分0.1% 脂肪酸及び変性脂肪酸表面処理炭酸カルシウム粒子)、ライトンA(平均粒子径1.80μm、水分0.1% 変性脂肪酸表面処理炭酸カルシウム粒子)、ライトンAS−4(平均粒子径1.00μm、水分0.1% 脂肪酸表面処理炭酸カルシウム粒子)、湿式法により製造されたμ−POWDER 3N(水分0.5%)、湿式法により製造され表面処理されたμ−POWDER 3S(水分0.3%)(何れも、備北粉化株式会社製)等が例示出来、そのまま、あるいはこれらを所望の水分量に調整した上で用いることも可能である。
【0064】
本発明に係る通気性フィルム用樹脂組成物においては、無機物質粉末として上記した炭酸カルシウム粒子以外に、必要に応じて、その他の無機物質粉末を添加することにより、樹脂組成物の色調や機械的特性等を改質することも可能である。
【0065】
これらの炭酸カルシウム以外のその他の無機物質粉末としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0066】
本発明に係る通気性フィルム用樹脂組成物に含まれる上記した熱可塑性樹脂と、無機物質粉末との配合比(質量%)は、50:50〜10:90の比率であれば特に限定されないが、40:60〜10:90の比率であることが好ましく、40:60〜20:80の比率であることがさらに好ましい。なお、ここで言う無機物質粉末の量は、上記した炭酸カルシウム粒子と、必要により加えられ得るその他の無機物質粉末の量とを合わせた総量である。熱可塑性樹脂と無機物質粉末との配合比において、無機物質粉末の割合が50質量%より低いものであると、所望の通気性を有するフィルムが得られず、またフィルムの質感、耐衝撃性等の物性も十分なものとならない虞れがあり、一方90質量%よりも高いものであると、押出成形、インフレーション成形等による成形加工が困難となるためである。
【0067】
≪その他の添加剤≫
本発明に係る通気性フィルム用樹脂組成物には、必要に応じて、補助剤としてその他の添加剤を配合することも可能である。その他の添加剤としては、例えば、色剤、滑剤、カップリング剤、流動性改良材、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、可塑剤等を配合しても良い。これらの添加剤は、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、これらは、後述の混練工程において配合しても良く、混練工程の前に予め通気性フィルム用樹脂組成物に配合していても良い。本発明に係る通気性フィルム用樹脂組成物において、これらのその他の添加剤の添加量は、上記した熱可塑性樹脂と、平均粒子径の異なる少なくとも2つの炭酸カルシウム粒子群との配合による所望の効果を阻害しない限り特に限定されるものではないが、例えば、通気性フィルム用樹脂組成物全体の質量を100質量%とした場合に、これらその他の添加剤はそれぞれ0〜5質量%程度の割合で、かつ当該その他の添加剤全体で10質量%以下となる割合で配合されることが望まれる。
【0068】
以下に、これらのうち、重要と考えられるものについて例を挙げて説明するが、これらに限られるものではない。
【0069】
色剤としては、公知の有機顔料又は無機顔料あるいは染料の何れをも用いることが出来る。具体的には、アゾ系、アンスラキノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジオオサジン系、ペリノン系、キノフタロン系、ペリレン系顔料等の有機顔料や群青、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
【0070】
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、複合型ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪族アルコール系滑剤、ステアロアミド、オキシステアロアミド、オレイルアミド、エルシルアミド、リシノールアミド、ベヘンアミド、メチロールアミド、メチレンビスステアロアミド、メチレンビスステアロベヘンアミド、高級脂肪酸のビスアミド酸、複合型アミド等の脂肪族アマイド系滑剤、ステアリン酸−n−ブチル、ヒドロキシステアリン酸メチル、多価アルコール脂肪酸エステル、飽和脂肪酸エステル、エステル系ワックス等の脂肪族エステル系滑剤、脂肪酸金属石鹸系滑剤等を挙げることが出来る。
【0071】
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ペンタエリスリトール系酸化防止剤が使用出来る。リン系、より具体的には亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系酸化防止剤が好ましく用いられる。亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
【0072】
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート等が挙げられる。これらリン系酸化防止剤は単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0073】
フェノール系の酸化防止剤としては、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネイト、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネイトジエチルエステル、及びテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン等が例示され、これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することが出来る。
【0074】
難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン系難燃剤や、あるいはリン系難燃剤や金属水和物等の非リン系ハロゲン系難燃剤を用いることが出来る。ハロゲン系難燃剤としては、具体的には例えば、ハロゲン化ビスフェニルアルカン、ハロゲン化ビスフェニルエーテル、ハロゲン化ビスフェニルチオエーテル、ハロゲン化ビスフェニルスルフォン等のハロゲン化ビスフェノール系化合物、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールS、塩素化ビスフェノールA、塩素化ビスフェノールS等のビスフェノール−ビス(アルキルエーテル)系化合物等が、またリン系難燃剤としては、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、リン酸トリアリールイソプロピル化物、クレジルジ2、6−キシレニルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステル等が、金属水和物としては、例えば、アルミニウム三水和物、二水酸化マグネシウム又はこれらの組み合わせ等がそれぞれ例示出来、これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することが出来る。さらに、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミ、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等を難燃助剤として併用することも可能である。
【0075】
≪通気性フィルム≫
本発明に係る通気性フィルムは、上述した通気性フィルム用樹脂組成物を用いて製造され、JIS P8117の透気度が、5,000秒以上85,000秒以下である通気性フィルムである。
【0076】
本発明においては、上述した様に通気性フィルム用樹脂組成物に配合される炭酸カルシウム粒子として所望の水分を含有するものを用いたことで、その水分量に略比例する透気度を前記範囲内において有する通気性フィルムとなる。
【0077】
本発明に係る通気性フィルムの肉厚としては、特に限定されるものではなく、当該通気性フィルムの用途や使用形態に応じて、比較的薄肉のものから比較的厚肉のものの種々のものであり得るが、例えば、肉厚50μm〜300μm程度、より好ましくは肉厚50μm〜150μm程度のフィルムとすることが出来る。この範囲内の肉厚であれば、上記の所望の通気性を有して、成形性、加工性の問題なく、また偏肉を生じることなく均質で欠陥のない成形品を形成することが可能である。
【0078】
本発明に係る通気性フィルムは、上述した様に樹脂組成物に配合される炭酸カルシウム粒子の水分を調整するという単純な条件によって、透気度を所定のものとして得られるものであることから、マトリックスとなる樹脂種やその他の添加剤等の材料選択の自由度の制約がなく、各種の用途にそれぞれ適した材料により構成された通気性フィルムとすることが出来る。
【0079】
したがって、本発明の通気性フィルムは、その用途として特に限定されるものではなく、多くの異なる用途で使用出来る。特に限定されるものではないが、例えば、本発明に係る通気性フィルムは、衛生用途、医療用途、ヘルスケア用途、ろ過材料、ジオテキスタイル製品、農業用途、園芸用途、衣類、履物製品、鞄製品、家庭用途、工業用途、包装用途、建築用途、又は建設等で使用される。
【0080】
衛生用途としては、より具体的には例えば、乳児用紙おむつ、成人用紙おむつ、女性用衛生製品、成人用失禁製品等の表層材、脱毛用ストリップ、包帯及び創傷包帯、使い捨てバスタオル及びフェイスタオル、使い捨てスリッパ及び履物、表面シート又はカバーストック、消費者用フェイスマスク等が例示出来る。
【0081】
医療及びヘルスケア用途として、より具体的には例えば、滅菌可能な医療製品、医療包装、手術用使い捨てキャップの様なキャップ、防護衣類、手術用ガウン、手術用マスク及びフェイスマスク、手術着、手術用カバー、手術用ドレープ、ラップ、パック、スポンジ、包帯、ワイプ、ベッドリネン、汚染防止ガウン、検査用ガウン、実験室用白衣、アイソレーションガウン、経皮薬物送達パッド、アンダーパッド、処置用パック、ヒートパック、オストミーバッグライナー、固定テープ、インキュベーターマットレス、滅菌ラップコールド/ヒートパック、貼付剤等が例示出来る。
【0082】
衣類、履物及び鞄製品として、より具体的には例えば、、オーバーコートのフロント、カラー、フェイシング、ウェストバンド、下襟等の様な芯地、使い捨て下着、靴ひも小穴強化材、運動靴及びサンダル強化材並びにインナーソールの裏地等の様な靴構成材料、鞄構成材料、結合剤組成物及び(洗濯)注意事項ラベル等が例示出来る。
【0083】
包装用途として、より具体的には例えば、乾燥剤の包装、吸着剤の包装、ギフトボックス、ファイルボックス、不織布バッグ、ブックカバー、封筒、宅配バッグ等が例示出来る。
【0084】
建築及び建設用途として、より具体的には例えば、ハウスラップ、アスファルト被覆、、道路及び鉄道の道床、壁装材の裏地、音響用壁装材、屋根材及びタイルの下張り、土壌安定材及び道路の下敷き、基礎安定材、浸食制御、用水路建設、排水システム、霜よけ、池及び用水路、暗渠排水用砂侵入バリア等のシート、農業用多用途シート等が例示出来る。
【0085】
≪通気性フィルムの製造方法≫
本発明の通気性フィルムの製造方法は、通気性フィルムにおける所望のJIS P8117の透気度に応じて、炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分を調整する工程、熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子を混練する工程、前記熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子の混錬物をフィルム状に成形する工程を順に行うものである。
【0086】
(1) 炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分を調整する工程は、得ようとする通気性フィルムにおける所望のJIS P8117の透気度に応じて、この透気度に対応するよう炭酸カルシウム粒子の水分を調整するものである。この炭酸カルシウム粒子の水分を調整する工程は、炭酸カルシウム粒子が所望の水分を含む状態とすることが出来るものであれば良く、その手法自体は特に限定されるものではない。例えば、市販のものとして、当該所望の水分を有する炭酸カルシウム粒子が入手可能である場合には、これをそのまま用いる、より好ましくは水分量をJIS K0068のカールフィッシャー方式の水分測定で確認の上そのまま用いるものとしても、この工程をなし得る。
【0087】
あるいはまた、この工程は、上記した様に一旦炭酸カルシウム粒子を完全に乾燥させた後、所定量の水を噴霧等して加える手法や、水分量を測定しながら乾燥し、所定量の水分含有量となった時点で乾燥を終了させる手法によっても行い得る。なお、前記した様に、この様な炭酸カルシウム粒子における水分の調整自体は、例えば、本発明に係る「水分」量を規定する上記したカールフィッシャー方式の水分測定に用いられる測定装置とは異なる測定装置、例えば、赤外線水分測定装置等を用いて行うことも可能である。
【0088】
(2) 熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子を混練する工程は、所望の水分を含む炭酸カルシウム粒子を熱可塑性樹脂中に均一に分散配合する工程であり、通常の手法を用いることが出来、フィルムの成形方法、例えば、Tダイを用いた押出成形及びその後の一軸、二軸ないしは多軸方向の延伸処理、インフレーション法による押出成形(ブローフィルム成形)、カレンダー成形等に応じて適宜設定して良い。例えば、成形機にホッパーから投入する前に熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子とを混練溶融しても良く、成形機と一体で成形と同時に熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子とを混練溶融しても良い。前記炭酸カルシウム粒子以外のその他の添加剤に関しても同様である。また、溶融混練は、熱可塑性樹脂に前記炭酸カルシウム粒子を均一に分散させる傍ら、高い剪断応力を作用させて混練することが好ましく、例えば二軸混練機で混練することが好ましい。
【0089】
なお、混錬時における混錬温度としては、その成形方法や使用する熱可塑性樹脂の種類等によってもある程度異なるため、一概には規定出来るものではないが、例えば、180〜260℃、より好ましくは190〜230℃の温度であれば、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物中において、前記炭酸カルシウム粒子を熱可塑性樹脂に均一に分散させると共に、前記炭酸カルシウム粒子中に含まれる水分の揮発によって混錬物中に微細な空隙構造を好ましく形成することが出来ると思われる。
【0090】
前記熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子を混錬する工程においては、前記炭酸カルシウム粒子をマスターバッチで供給する態様を採ることも出来る。マスターバッチで供給することにより、熱可塑性樹脂中への前記炭酸カルシウム粒子のより良好な均一分散性を得ることが出来、ひいては、得られるフィルムにおいて通気性を発揮する微細孔構造のフィルム内での均一性が向上し、所望の性能を発揮する通気性フィルムの歩留まりの向上が期待出来る。
【0091】
炭酸カルシウム粒子のマスターバッチは、炭酸カルシウム粒子を通気性フィルム用熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性樹脂として選択された樹脂の少量と混合して調製することが出来る。炭酸カルシウム粒子は、それ自体が細かく粉末であるため、取扱、計量及び混錬機ないし押出成形機等への供給が比較的困難である。この様な炭酸カルシウム粒子を混錬工程に導入し易くするために、選択された熱可塑性樹脂及び炭酸カルシウムからペレットマスターバッチを製造することが出来る。なお、必要に応じて、熱可塑性樹脂の熱分解を防止するために、少量の酸化防止剤を添加しても良い。
【0092】
炭酸カルシウム粒子のマスターバッチにおいては、炭酸カルシウム粒子が選択された熱可塑性樹脂中に均一混合されたものとされるが、好ましくは、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とが質量比30:70〜5:95の割合で存在するものとされる。すなわち、本発明に係る通気性フィルムないしは通気性フィルム用熱可塑性樹脂組成物では、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを質量比50:50〜10:90の割合で配合するものであるため、マスターバッチとしては少なくともこれと等しいかあるいはこれよりも炭酸カルシウム粒子をより多い比率で含んでいる必要があるためである。
【0093】
上記マスターバッチは、ペレットの形態で供給されることが取り扱いが容易であるため望ましい。ペレットの形態である場合、ペレットの形状は特に限定されず、例えば、円柱、球形、楕円球状等のペレットであっても良い。
【0094】
ペレットのサイズは、形状に応じて適宜設定すれば良いが、例えば、球形ペレットの場合、直径1〜10mmであって良い。楕円球状のペレットの場合、縦横比0.1〜1.0の楕円状とし、縦横1〜10mmであって良い。円柱ペレットの場合は、直径1〜10mmの範囲内、長さ1〜10mmの範囲内であって良い。これらの形状は、後述する混練工程後のペレットに応じて選択しても良い。ペレットの形状は、常法に従って成形させて良い。
【0095】
なお、炭酸カルシウム粒子をマスターバッチの形態で供給する態様において、本発明において規定する炭酸カルシウム粒子の「水分」とは、炭酸カルシウム粒子をこの様にマスターバッチ化した後の状態における「水分」である。
【0096】
(3) 前記熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子の混錬物をフィルム状に成形する工程としては、上記混錬物より所定の通気性を有するフィルムを形成出来るものであれば特に限定されず、前記した様に、従来公知のフィルムの成形方法、例えば、Tダイを用いた押出成形及びその後の一軸、二軸ないしは多軸方向の延伸処理、インフレーション法による押出成形(ブローフィルム成形)、カレンダー成形等により行うことが可能である。前述した混錬する工程と、フィルム状に成形する工程とを連続的に行う直接方法を用いても良く、例えば、Tダイ方式の二軸押出し成形機や、インフレーション法における同様の押出し成形機を使用する方法を用いても良い。
【0097】
本発明に係る通気性フィルムの成形方法においては、得られるフィルムにおける所望の通気性は、熱可塑性樹脂組成物中に配合された前記炭酸カルシウム粒子の含有する水分が前述した溶融混錬の工程及びこの成形工程における熱によって揮発し、その水分量に応じてフィルム中に所望の微細な空隙構造を形成することにより制御性良く得られる。
【0098】
本発明に係る通気性フィルムの製造方法において、前記熱可塑性樹脂と前記炭酸カルシウム粒子の混錬物をフィルム状に成形する工程としては、特に、インフレーション法による成形であることが望ましい。インフレーション法によれば、所望の通気性を有しかつ製品外観も良好な肉厚50μm〜150μm程度の通気性フィルムを安定して製造することが可能となる。特に限定されるものではないが、インフレーション法による成形では、好ましくは、フィルムを2.0〜5.0、より好ましくは3.0〜5.0のブロー比(BUR)で処理することがフィルム全体で均一な通気性能を得る上で望ましい。
【0099】
なお、成形時における成形温度としては、その成形方法や使用する熱可塑性樹脂の種類等によってもある程度異なるため、一概には規定出来るものではないが、例えば、180〜260℃、より好ましくは190〜230℃の温度であれば、本発明に係る通気性フィルムが、良好な通気特性を有して、かつ組成物が局部的にも変性を生じることなく成形出来る。
【実施例】
【0100】
以下本発明を、実施例に基づきより具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本明細書に開示され、また添付の請求の範囲に記載された、本発明の概念及び範囲の理解を、より容易なものとする上で、特定の態様及び実施形態の例示の目的のためにのみ記載するのであって、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0101】
(評価方法)
以下の実施例及び比較例においての各物性値はそれぞれ以下の方法により評価されたものである。
【0102】
(水分)
炭酸カルシウム粒子の「水分」は、JIS K0068における「6.カールフィッシャー滴定法」の「6.5 水分気化−容量滴定法,又は水分気化−電量滴定法」に規定される方法に準じ、試料0.5gを、乾燥した空気の気流中で105℃加熱して気化させ、電解液に捕集し、電量滴定法によりカールフィッシャー滴定を行って測定した。
【0103】
(平均粒子径)
炭酸カルシウム粒子の平均粒子径は、島津製作所社製の比表面積測定装置SS−100型を用い、JIS M8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した。
【0104】
(透気度)
通気性フィルムにおける「透気度」は、JIS P8117準拠のガーレー式透気度計を用い、23℃で大気雰囲気中にて、2,500mm
2の面積の通気性フィルムを空気100ccが通過する時間(秒)を測定し、これを透気度(秒)とした。秒数はデジタルオートカウンターで測定した。
【0105】
(肉厚)
得られた通気性フィルムの肉厚は、JIS P7130に準拠して測定した。
【0106】
(製品外観)
成形された通気性フィルム表面の外観を目視により調べ、次の評価基準によって評価した。
[評価基準]
○:表面にピンホール、凹凸、傷等が全く観察されず良好な外観を有する。
△:表面に僅かに浅い凹凸が観察される。
×:表面にピンホール等の通気性フィルムとして致命的な不具合が観察される。
【0107】
(材料)
以下の実施例及び比較例において使用した成分はそれぞれ以下のものであった。
【0108】
・熱可塑性樹脂(A)
A1:ポリプロピレン単独重合体((株)プライムポリマー製:プライムポリプロ(商品名)E111G、融点160℃)
A2:ポリプロピレンブロック共重合体((株)プライムポリマー製:プライムポリプロ(商品名)BJS−MU、融点160℃)
A3:高密度ポリエチレン単独重合体(京葉ポリエチレン(株)製:B5803、融点133℃)
【0109】
・無機物質粉末(B)
B1:重質炭酸カルシウム粒子 平均粒子径0.70μm、水分0.3%(備北粉化工業株式会社製、ソフトン3200)
B2:重質炭酸カルシウム粒子 平均粒子径0.85μm、水分0.3%(備北粉化工業株式会社製、ソフトン2600)
B3:重質炭酸カルシウム粒子 平均粒子径1.00μm、水分0.2%(備北粉化工業株式会社製、ソフトン2200)
B4:重質炭酸カルシウム粒子 平均粒子径1.50μm、水分0.2%(備北粉化工業株式会社製、ソフトン1500)
B5:重質炭酸カルシウム粒子 平均粒子径3.60μm、水分0.2%(備北粉化工業株式会社製、BF100)
B6:重質炭酸カルシウム粒子 平均粒子径5.00μm、水分0.1%(備北粉化工業株式会社製、BF200)
B7:重質炭酸カルシウム粒子(表面処理なし) 平均粒子径8.00μm、比表面積2,700cm
2/g、水分0.1%(備北粉化工業株式会社製、BF300)
B8:軽質炭酸カルシウム粒子 平均粒子径1.5μm(白石工業(株)製、PC)
【0110】
・帯電防止剤(D)
D:ラウリン酸ジエタノールアミド
【0111】
・滑剤(E)
E:アルカンスルホン酸ナトリウム(アルキル基の炭素数(平均値)=12)
【0112】
・酸化防止剤(F)
F1:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
F2:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
【0113】
実施例1
熱可塑性樹脂(A)としてポリプロピレン単独重合体A1を、無機物質粉末(B)として上記B1を、表1に示す配合割合において用いた。帯電防止剤、滑剤及び酸化防止材としては、上記D、E、F1及びF2をそれぞれ適量にて用いて、これらの合計量を6.0質量部とした。帯電防止剤、滑剤及び酸化防止剤のこの配合量は、以下に示す他の実施例及び比較例においても、実施例13を除き共通のものとした。なお、表1において各成分の数値は質量部の値である。
【0114】
フィルムを、インフレーションフィルム押出ライン(60mmの円形ダイ、1.2mmのダイギャップ、30mmのネジ直径、L/D比=30)にて作製した。フィルムは3.0のBUR(ブローアップ比)で処理し、フロストライン高さを16cmの高さ(ダイからの距離)に保った。
【0115】
なお、押出機において、各区域の温度は、190℃〜230℃に設定した。押出機の回転数は60rpmで常に維持し、フィルムの坪量は、ライン速度の適切な調整によって35g/m
2に設定した。また、冷却空気流は同じ位置にフロストラインを維持するためにそれに応じて調整した。
得られたフィルムの透気度、肉厚、製品外観の評価結果を表2に示す。
【0116】
実施例2〜5及び参考例1〜2
実施例1において用いた無機物質粉末(B)として上記B1に対して、水分量を測定しながら加熱乾燥処理又は加湿処理して、B1の含有する水分量を表1に示す様に変化させた。そしてこの様に水分量を変化させた炭酸カルシウム粒子を用いて、実施例1と同様にしてインフレーション法によりフィルムを形成した。得られたフィルムの透気度及び製品外観の評価結果を表2に示す。
【0117】
実施例6〜12
実施例1において用いた無機物質粉末(B)としての上記B1に代えて、それぞれB2〜B8を用いる以外は、実施例1と同様にしてインフレーション法によりフィルムを形成した。得られたフィルムの透気度、肉厚及び製品外観の評価結果を表2に示す。
【0118】
実施例13
実施例1と、帯電防止剤(D)、滑剤(E)及び酸化防止剤(F)を配合をしない以外は、実施例1と同様にしてインフレーション法によりフィルムを形成した。得られたフィルムの透気度、肉厚及び製品外観の評価結果を表2に示す。
【0119】
実施例14及び15
実施例1において用いた熱可塑性樹脂(A)としての上記A1に代えて、それぞれA2、A3を用いた以外は、実施例1と同様にしてインフレーション法によりフィルムを形成した。得られたフィルムの透気度、肉厚及び製品外観の評価結果を表2に示す。
【0120】
実施例16及び17
実施例1において用いた無機物質粉末(B)としての上記B1に代えてB4を用い、水分量を測定しながら加湿処理して、B4の含有する水分量を表1に示す様に変化させた。そしてこの様に水分量を変化させた炭酸カルシウム粒子を用いて、実施例1と同様にしてインフレーション法によりフィルムを形成した。得られたフィルムの透気度、肉厚及び製品外観の評価結果を表2に示す。
【0121】
実施例18
実施例1において、インフレーション成形条件を変えて、フィルムを形成した。実施例1と同様のインフレーション成形において、フィルムは4.0のBUR(ブローアップ比)で処理し、フロストラインを20cmの高さ(ダイからの距離)に保ち、押出機において、各区域の温度は、190℃〜230℃に設定した。押出機の回転数は65rpmで常に維持し、フィルムの坪量は、ライン速度の適切な調整によって39g/m
2に設定した。また、冷却空気流は同じ位置にフロストラインを維持するためにそれに応じて調整した。得られたフィルムの透気度、肉厚、製品外観の評価結果を表2に示す。
【0122】
実施例19
実施例1において、インフレーション成形条件を更に別の条件に変えて、フィルムを形成した。実施例1と同様のインフレーション成形において、フィルムは5.0のBUR(ブローアップ比)で処理し、フロストラインを22cmの高さ(ダイからの距離)に保ち、押出機において、各区域の温度は、190℃〜230℃に設定した。押出機の回転数は70rpmで常に維持し、フィルムの坪量は、ライン速度の適切な調整によって42g/m
2に設定した。また、冷却空気流は同じ位置にフロストラインを維持するためにそれに応じて調整した。得られたフィルムの透気度、肉厚、製品外観の評価結果を表2に示す。
【0123】
実施例20〜22
実施例1において、熱可塑性樹脂(A)と無機物質粉末(B)との配合量を表1に示す通り変えた以外は、実施例1と同様にしてインフレーション法によりフィルムを形成した。得られたフィルムの透気度、肉厚及び製品外観の評価結果を表2に示す。
【0124】
実施例23〜25
上記実施例2、4、5とそれぞれ同じ組成で配合し、各成分を、二軸スクリューを装備した押出成形機(東洋精機製作所製Tダイ押出成形装置(φ20mm、L/D=25))に投入し、200℃で混練し、混練した原料を220℃でTダイからシート押出し、冷却ロールで冷却した後、同時二軸延伸機へ搬送し、長手方向に1.5倍、幅方向に1.5倍に同時に延伸した。そして延伸したフィルムを東洋精機製フィルム・シート引き取り機で巻き取った。
【0125】
得られたシートの透気度、肉厚及び製品外観の評価結果を表2に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
表2に示す結果の通り、本発明に係る実施例においては、熱可塑性樹脂中に配合される炭酸カルシウム粒子の水分量を、一定範囲内で変化させることによって、良好な通気特性を有する通気性フィルムを、その透気度を制御性良く変化させながら製造出来た。そして、得られる通気性フィルムの透気度は、使用される熱可塑性樹脂の種類、熱可塑性樹脂と炭酸カルシウムの配合量、フィルムの肉厚、炭酸カルシウム粒子の粒子径等のその他の因子の変動があっても、炭酸カルシウム粒子の水分量の変化に略比例して変化させることが可能であることが判った。
【解決手段】熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを質量比50:50〜10:90の割合で含有する通気性フィルム用樹脂組成物において、前記無機物質粉末が炭酸カルシウム粒子であり、通気性フィルムにおける所望のJIS P8117の透気度に応じて、前記炭酸カルシウム粒子のJIS K0068による水分を調整する。