(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記一対の電力線(2)に設けられた複数個の上記スイッチ(3)のうち、2個の上記スイッチ(3)が、1個のリレー(4)内に配されている、請求項1に記載の電源システム(1)。
上記リレー(4)は、通電により発生した磁力により上記スイッチ(3)をオンする電磁コイル(5)を備え、上記リレー(4)は、1個の上記電磁コイル(5)への通電により、上記2個のスイッチ(3)をオンした状態を維持するよう構成されている、請求項2に記載の電源システム(1)。
上記電力線(2)には、上記直流電源(10)の正電極と上記電気機器(8)とを繋ぐ正側電力線(2p)と、上記直流電源(10)の負電極と上記電気機器(8)とを繋ぐ負側電力線(2n)とがあり、上記スイッチ(3)には、上記正側電力線(2p)に設けられた正側スイッチ(3p)と、上記負側電力線(2n)に設けられた負側スイッチ(3n)とがあり、上記正側スイッチ(3p)と上記負側スイッチ(3n)とを上記一個のリレー(4)内に設けてある、請求項3に記載の電源システム(1)。
複数の上記リレー(4)を備え、各上記リレー(4)は、上記正側スイッチ(3p)と上記負側スイッチ(3n)とをそれぞれ有し、各上記リレー(4)は、それぞれ1個の上記電磁コイル(5)への通電により、上記正側スイッチ(3p)と上記負側スイッチ(3n)との双方をオンした状態を維持するよう構成されている、請求項4に記載の電源システム(1)。
上記リレー(4)の一方は、2個の上記電磁コイル(5)を備え、上記リレー(4)内の2個の上記スイッチ(3p、3n)は、別々の上記電磁コイル(5)によってオンされると共に、2個の上記電磁コイル(5)のうち、一方の上記磁気コイル(5)への通電によって、2個の上記スイッチ(3p、3n)の双方をオンした状態を維持するよう構成されている、請求項5に記載の電源システム(1)。
少なくとも2個の電磁コイル(5a,5b)が設けられ、上記電力線(2)に設けられた複数個の上記スイッチ(3)のうち、2個の上記スイッチ(3pa,3na)は、個々の上記電磁コイル(5a,5b)への通電によって、個別にオンするよう構成され、該電磁コイル(5a,5b)にドライブ回路(6)が接続しており、該ドライブ回路(6)は、上記スイッチ(3pa,3na)をオフからオンに切り替える際には、バッテリー(11)から供給される電流を個々の上記電磁コイル(5a,5b)に分配して流し、上記2個のスイッチ(3pa,3na)をオンし続ける際には、上記バッテリー(11)から供給され上記2個の電磁コイル(5a,5b)のうち一方の上記電磁コイル(5a)を流れた電流を、他方の上記電磁コイル(5b)に流すよう構成されている、請求項1に記載の電源システム(1)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記電源システムは、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載するための、車両用電源システムとすることができる。
【0014】
(実施形態1)
上記電源システムに係る実施形態について、
図1〜
図10を用いて説明する。
図1に示すごとく、本形態の電源システム1は、一対の電力線2(2p,2n)と、スイッチ3とを備える。
電力線2は、直流電源10と電気機器8とを繋いでいる。スイッチ3は、一対の電力線2p,2nにそれぞれ設けられている。スイッチ3は、直流電源10から電気機器8へ電力を供給する状態(
図4参照)と、電力供給を停止した状態(
図1参照)とを切り替えるために設けられている。
図1に示すごとく、各電力線2p,2nには、2個のスイッチ3が、互いに並列に接続されている。
【0015】
本形態の電源システム1は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載するための、車両用電源システム1である。また、電気機器8は電力変換装置である。この電力変換装置を用いて、直流電源10の直流電力を交流電力に変換し、得られた交流電力によって三相交流モータ(図示しない)を駆動するよう構成されている。これにより、上記車両を走行させている。
【0016】
電力線2には、直流電源10の正電極101と電気機器8とを繋ぐ正側電力線2pと、直流電源10の負電極102と電気機器8とを繋ぐ負側電力線2nとがある。また、スイッチ3には、正側電力線2pに設けられた正側スイッチ3pと、負側電力線2nに設けられた負側スイッチ3nとがある。本形態では、正側電力線2pに2個の正側スイッチ3p(第1正側スイッチ3p
a及び第2正側スイッチ3p
b)を並列接続すると共に、負側電力線2nに2個の負側スイッチ3n(第1負側スイッチ3n
a及び第2負側スイッチ3n
b)を並列接続してある。
【0017】
第1正側スイッチ3p
aと第1負側スイッチ3n
aとは、1個のリレー4(第1リレー4a)内に配されている。また、第2正側スイッチ3p
bと第2負側スイッチ3n
bとは、別のリレー4(第2リレー4b)内に配されている。
【0018】
また、負側スイッチ3nには、直列体15が並列接続している。直列体15は、プリチャージ抵抗14とプリチャージ用接点部13とを直列接続してなる。
【0019】
電気機器8には、平滑用のコンデンサ12が接続している。電気機器8を稼働させる際に、コンデンサ12が充電されていない状態でスイッチ3p,3nをオンすると、コンデンサ12に突入電流が流れ、スイッチ3p,3nが溶着するおそれがある。そのため、本形態では、プリチャージ抵抗14を用いて、コンデンサ12を徐々に充電してから、スイッチ3p,3nをオンするようにしている。
【0020】
すなわち、電気機器8を稼働する際には、
図2に示すごとく、第1正側スイッチ3p
aとプリチャージ用接点部13とをオンする。このようにすると、直流電源10から電流Iが、プリチャージ抵抗14を介して徐々に流れ、コンデンサ12が充電される。
【0021】
その後、
図3に示すごとく、第1負側スイッチ3n
aと、第2正側スイッチ3p
bと、第2負側スイッチ3n
bとをオンにする。このとき、コンデンサ12は充電されているため、これらのスイッチ3をオンにしても突入電流は流れない。
【0022】
この後、
図4に示すごとく、プリチャージ用接点部13をオフにする。この状態で、2個の正側スイッチ3p
a,3p
b、及び2個の負側スイッチ3n
a,3n
bを介して、直流電源10から電気機器8に電力を供給する。
【0023】
上記動作を行うため、第1リレー4aは、第1正側スイッチ3p
aのみ単独でオンする(
図2参照)ことができるよう構成されている。また、第2リレー4bは、個々のスイッチ3p
b,3n
bを単独でオンオフできず、同時にしかオンオフできないよう構成されている。
【0024】
第1リレー4aは、2個の電磁コイル5(第1電磁コイル5a及び第2電磁コイル5b)を備える。この2個の電磁コイル5a,5bを用いて、2個のスイッチ3p
a,3n
aのうち一方のスイッチ3p
aのみオンしたり(
図2参照)、2個のスイッチ3p
a,3n
aを両方ともオンしたり(
図4参照)できるよう構成してある。2個のスイッチ3p
a,3n
aを両方ともオンする時間、すなわち電気機器8に電力を供給する時間は長い。そのため第1リレー4aは、後述するように、2個のスイッチ3p
a,3n
aをオンし続けるときには、電磁コイル5の消費電力を低減できるよう構成されている。
【0025】
図5に、第1リレー4aの構造を示す。上述したように、第1リレー4aは、2個のスイッチ3(3p
a,3n
a)と、2個の電磁コイル5(5a,5b)とを備える。2個の電磁コイル5a,5bは、ヨーク43によって取り囲まれている。第1電磁コイル5a内には第1固定コア41aが配されており、第2電磁コイル5b内には第2固定コア41bが配されている。ヨーク43及び固定コア41a,41bは、それぞれ軟磁性体からなる。第1固定コア41aには、第1プランジャ42aが対向配置され、第2固定コア41bには、第2プランジャ42bが対向配置されている。これらのプランジャ42a,42bの進退動作を利用して、スイッチ3(3p
a,3n
a)をオンオフ動作するよう構成されている。
【0026】
スイッチ3は、固定接点31と、可動接点32と、固定接点支持部33と、可動接点支持部34とを備える。固定接点支持部33に、上記電力線2p,2n(
図1参照)が接続している。また、リレーケース47の上板部471と可動接点支持部34との間には、接点側ばね部材46が設けられている。この接点側ばね部材46を用いて、可動接点支持部34を、プランジャ42側に押圧している。また、プランジャ42と電磁コイル5との間には、プランジャ側ばね部材45が設けられている。このプランジャ側ばね部材45を用いて、プランジャ42を、スイッチ3側に押圧している。
【0027】
ヨーク43は、底壁部431と、上壁部432と、第1側壁部433と、第2側壁部434とを備える。固定コア41は底壁部431に接触している。また、上壁部432には、プランジャ42が嵌合する穴部435を形成してある。第1側壁部433は第1電磁コイル5aに隣り合う位置に配され、第2側壁部434は第2電磁コイル5bに隣り合う位置に配されている。第2側壁部434には、貫通孔481が形成されている。第2側壁部434のうち、貫通孔481に隣り合う部位は、磁気が飽和する磁気飽和部48となっている。
【0028】
図6に示すごとく、第1電磁コイル5aに通電すると、磁束φ1が発生する。この磁束φ1は、第1磁気回路C1を流れる。第1磁気回路C1は、第1固定コア41aと、第1プランジャ42aと、上壁部432と、第1側壁部433と、底壁部431とからなる磁気回路である。磁束φ1が第1磁気回路C1を流れると、第1プランジャ42aが第1固定コア41aに吸引される。そのため、接点側ばね部材46の押圧力により、可動接点支持部34が押圧され、第1正側スイッチ3p
aがオンになる。
【0029】
この後、
図7に示すごとく、第2電磁コイル5bに通電する。このようにすると、第2電磁コイル5bから磁束φ2が発生し、この磁束φ2が第2磁気回路C2を流れる。第2磁気回路C2は、第2固定コア41bと、第2プランジャ42bと、底壁部431と、第2側壁部434と、上壁部432とからなる磁気回路である。磁束φ2が第2磁気回路C2を流れると、第2プランジャ42bが第2固定コア41bに吸引される。そのため、第1負側スイッチ3n
aがオンになる。また、この状態では、2個の電磁コイル5a,5bの磁束φ1,φ2は、第3磁気回路C3を流れる。第3磁気回路C3は、2個の固定コア41a,41bと、2個のプランジャ42a,42bと、上壁部432と、底壁部431とからなる磁気回路である。
【0030】
この後、
図8に示すごとく、第1電磁コイル5aへの通電を停止する。このようにすると、第1電磁コイル5aの磁束φ1は消滅し、第2電磁コイル5bの磁束φ2は第2磁気回路C2と第3磁気回路C3とを流れ続ける。そのため、2個のプランジャ42a,42bを吸引し続けることができ、2個のスイッチ3p
a,3n
aをオンし続けることができる。
【0031】
上述したように、2個のスイッチ3p
a,3n
aをオンし続ける時間は長い。そのため、第1リレー4aは、第2電磁コイル5bへの通電のみによって、2個のスイッチ3p,3n
aをオンし続けることができるように構成されている。これにより、第1リレー4aの消費電力を低減できるようにしている。
【0032】
また、上述したように、第2磁気回路C2には、磁気飽和部48を形成してある。そのため、第2電磁コイル5bの磁束φ2は、磁気飽和部48において飽和し、その一部が第3磁気回路C3に流れる。そのため、
図8に示すごとく、第2電磁コイル5bのみ通電したときに、第2電磁コイル5bの磁束φ2を第3磁気回路C3に充分流すことができ、2個のプランジャ42a,42bを強い磁力で吸引することができる。したがって、2個のスイッチ3p
a,3n
aを確実にオンにすることができる。
なお、「磁気が飽和する」とは、BHカーブの磁気飽和領域に入ったことを意味する。磁気飽和領域とは、磁束密度が、飽和磁束密度の50%以上になる領域と定義することができる。また、飽和磁束密度とは、磁性体に外部から磁界を加え、それ以上外部から磁界を加えても磁化の強さが増加しない状態における磁束密度である。
【0033】
また、
図8に示すごとく、2個のスイッチ3p
a,3n
aをオンし、電気機器8(
図1参照)に電力を供給した後、電力供給を停止する場合には、
図5に示すごとく、第2電磁コイル5bへの通電を停止する。このようにすると、第2電磁コイル5bの磁束φ2が消滅し、プランジャ側ばね部材45の押圧力により、2個のプランジャ42が固定コア41から離隔する。そのため、プランジャ42に取り付けられた当接部44が可動接点支持部34に当接し、スイッチ3p
a,3n
aがオフになる。
【0034】
次に、第2リレー4bの構造について説明する。第2リレー4bは、一個の電磁コイル5(5c)と、2個のスイッチ3(3p
b,3n
b)とを備える。また、第2リレー4bには、プランジャ42と、ヨーク43とが配されている。電磁コイル5内には固定コア41を設けてある。プランジャ42には当接部44が取り付けられている。第2リレー4bの当接部44は、スイッチ3側が2つに分岐している。
【0035】
電磁コイル5に通電すると、磁束φが流れ、プランジャ42が固定コア41に吸引される。そのため、2個のスイッチ3(3p
b,3n
b)がオンになる。また、電磁コイル5への通電を停止すると、プランジャ42が固定コア41から離隔し、当接部44が可動接点支持部34に当接する。そのため、2個のスイッチ3(3p
b,3n
b)がオフになる。このように、第2リレー4bは、1個の電磁コイル5への通電と通電停止とを切り替えることにより、2個のスイッチ3(3p
b,3n
b)を同時にオンオフできるよう構成されている。
【0036】
次に、電源システム1全体のフローチャートについて説明する。本形態では
図11に示すごとく、まず、第4電磁コイル5d(
図1参照)に通電し、プリチャージ用接点部13をオンする(ステップS1)。その後、ステップS2に移る。ここでは、第1電磁コイル5aに通電し、第1正側スイッチ3p
aをオンする。このようにすると、直流電源10から電流が、プリチャージ抵抗14を介して徐々にコンデンサ12に流れる。
【0037】
その後、ステップS3に移り、所定時間経過したか、すなわち、コンデンサ12が充分充電されたか否かを判断する。ここでYesと判断した場合は、ステップS4に移る。ステップS4では、第2電磁コイル5bに通電し、第1負側スイッチ3n
aをオンする。その後、ステップS5に移る。ここでは、第3電磁コイル5cに通電し、第2正側スイッチ3p
bおよび第2負側スイッチ3n
bをオンする。
【0038】
次いで、ステップS6に移る。ここでは、第1電磁コイル5aへの通電を停止する。これにより、第2電磁コイル5bへの通電のみによって、2個のスイッチ3p
a,3n
aをオンし続ける。その後、ステップS7に移り、第4電磁コイル5dの通電を停止する。これにより、プリチャージ用接点部13をオフにする。
【0039】
次に、本形態の作用効果について説明する。
図1に示すごとく、本形態においては、個々の電力線2p,2nに、2個以上のスイッチ3を、互いに並列に接続してある。
そのため、互いに並列接続された複数個のスイッチ3のうち、1個のスイッチ3から電力線2が外れても、他のスイッチ3は電力線2に接続しているので、直流電源10から電気機器8に電流を流し続けることができる。そのため、大きなサージが発生することを抑制できる。したがって、耐圧が低い半導体部品を用いて電気機器8を構成することができ、半導体部品の電力損失を低減することが可能になる。
【0040】
また、本形態では、電力線2に、2個以上のスイッチ3を互いに並列に接続しているため、スイッチ3の接点抵抗の合計値を小さくすることができる。そのため、電気機器8に電力を供給するときにおける、スイッチ3の電力損失を低減することができる。
【0041】
また、本形態では、
図1に示すごとく、一対の電力線2p,2nに設けられた複数のスイッチ3のうち、2個のスイッチ3p,3nを、1個のリレー4内に設けてある。そのため、1個のリレー4内に1個のスイッチ3のみを配する場合(
図22参照)と比べて、リレー4の数を低減できる。そのため、電源システム1の部品点数を低減でき、製造コストを低減できる。
【0042】
また、本形態では、
図1に示すごとく、正側スイッチ3pと負側スイッチ3nとを1個のリレー4内に設けてある。
そのため、ロードダンプをより確実に防止できる。すなわち、
図21に示すごとく、2個の正側スイッチ3pを同一のリレー4(4a)に設け、2個の負側スイッチ3nを別の1個のリレー4(4b)内に設けることも可能であるが、この場合、1個のリレー4に接続している2本の電力線2が両方とも外れた場合、大きなサージが発生する可能性がある。例えば、第1リレー4aに接続している2本の正側電力線2pが両方とも外れると、大きなサージが発生する可能性がある。これに対して、
図1に示すごとく、正側スイッチ3pと負側スイッチ3nとを同一のリレー4に設ければ、一方のリレー4aに接続している2本の電力線2p,2nが両方とも外れても、他方のリレー4bに接続している2本の電力線2p,2nが外れなければ、電流Iが流れ続けるため、大きなサージが発生することを抑制できる。そのため、ロードダンプをより確実に防止できる。
【0043】
また、
図8に示すごとく、第1リレー4aは、通電により発生した磁力によりスイッチ3をオンする電磁コイル5を備える。第1リレー4aは、1個の電磁コイル5(第2電磁コイル5b)に通電することにより、2個のスイッチ3p
a,3n
aを両方ともオンした状態を維持できるよう構成されている。同様に、
図10に示すごとく、第2リレー4bは、1個の電磁コイル5cに通電することにより、2個のスイッチ3p
b,3naを両方ともオンした状態を維持するよう構成されている。
そのため、各リレー4a,4bに設けられた2個のスイッチ3をオンし続ける際の、消費電力を低減することができる。
【0044】
また、第1リレー4aは、
図6に示すごとく、2個の電磁コイル5a,5bを有する。第1リレー4aは、第1電磁コイル5aのみ通電すると、第1正側スイッチ3p
aのみオンになるよう構成されている。そのため、
図2に示すごとく、コンデンサ12のプリチャージ動作を行うことが可能になる。また、第1リレー4aは、
図7に示すごとく、2個の電磁コイル5a,5bに両方とも通電すると、2個のスイッチ3p
a,3n
aが両方ともオンになるよう構成されている。この後、
図8に示すごとく、第2電磁コイル5bへの通電を維持しつつ第1電磁コイル5aへの通電を停止すると、2個のスイッチ3p
a,3n
aを両方ともオンし続けるよう構成されている。そのため、2個のスイッチ3p
a,3n
aをオンし続ける際の消費電力を低減することができる。
【0045】
以上のごとく、本形態によれば、ロードダンプを抑制でき、スイッチの電力損失を低減できる電源システムを提供することができる。
【0046】
なお、本形態では、
図1に示すごとく、直列体15を負側電力線2nに設けたが、正側電力線2pに設けても良い。
【0047】
また、本形態では、正側電力線2pと負側電力線2nとに、それぞれ2個のスイッチ3を並列に接続したが、本発明はこれに限るものではなく、正側電力線2pと負側電力線2nとのいずれか一方にのみ、2個のスイッチ3を並列接続してもよい。また、3個以上のスイッチ3を並列に接続してもよい。
【0048】
以下の実施形態においては、図面に用いた符号のうち、実施形態1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施形態1と同様の構成要素等を表す。
【0049】
(実施形態2)
本形態は、第2リレー4bの構造を変更した例である。
図12に示すごとく、本形態では、第2正側スイッチ3p
bと第2負側スイッチ3n
bとで、プランジャ42(42c,42d)を別々にしてある。第2正側スイッチ3p
bは第3プランジャ42cによってオンオフ動作し、第2負側スイッチ3n
bは第4プランジャ42dによってオンオフ動作する。第3プランジャ42cは第3電磁コイル5c内に配されている。第4プランジャ42dは、第3電磁コイル5cの外側に配されている。
【0050】
図13に示すごとく、第3電磁コイル5cに通電すると、磁束φが第4磁気回路C4を流れる。第4磁気回路C4は、2個のプランジャ42c,42dのうち第3プランジャ42cのみを含む磁気回路である。磁束φが第4磁気回路C4を流れると、第3プランジャ42cが吸引され、第2正側スイッチ3p
bがオンになる。
【0051】
また、第4磁気回路C4には、磁気飽和部48が形成されている。そのため、第3電磁コイル5cの磁束φの一部は、第5磁気回路C5にも流れる。第5磁気回路C5は、2個のプランジャ42c,42dを両方とも含む磁気回路である。磁束φが第5磁気回路C5を流れると、第4プランジャ42dが吸引され、第2負側スイッチ3n
bがオンになる。
【0052】
上記構成を採用すると、2個のスイッチ3p
b,3n
bのうち、どちらか一方が溶着した場合でも、他方のスイッチをオンオフ動作させることができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0053】
(実施形態3)
本形態は、電源システム1の回路構成、及び電磁コイル5a,5bの通電方法を変更した例である。
図14に示すごとく、本形態では、第1正側スイッチ3p
aと第1負側スイッチ3n
aとを別のリレー4内に設けてある。また、第2正側スイッチ3p
bと第2負側スイッチ3n
bとを一つのリレー4(4c)内に設けてある。電気機器8を稼働する際の、各スイッチ3をオンオフする順番は、実施形態1と同様である。すなわち、コンデンサ12を充電する際は、第1正側スイッチ3p
aとプリチャージ用接点部13とをオンにする。充電が完了した後、第1負側スイッチ3n
aと、第2正側スイッチ3p
bと、第2負側スイッチ3n
bとをオンする。その後、プリチャージ用接点部13をオフにする。
【0054】
第1電磁コイル5aに通電すると、第1正側スイッチ3p
aがオンする。また、第2電磁コイル5bに通電すると、第1負側スイッチ3n
aがオンする。このように、第1正側スイッチ3p
aと第1負側スイッチ3n
aとは、別々にオンオフ動作できるよう構成されている。また、第3電磁コイル5cに通電すると、第2正側スイッチ3p
bと第2負側スイッチ3n
bとが同時にオンする。このように、第2正側スイッチ3pbと第2負側スイッチ3nbとは、別々にオンオフ動作できないよう構成されている。
【0055】
図15に示すごとく、第1電磁コイル5a及び第2電磁コイル5bには、ドライブ回路6が接続している。ドライブ回路6は、第1スイッチング素子7aと、第2スイッチング素子7bと、第3スイッチング素子7cと、ダイオード61とによって構成されている。第1スイッチング素子7aは、第1電磁コイル5aに直列に接続し、かつ第2電磁コイル5bに並列に接続している。また、第2スイッチング素子7bは、第2電磁コイル5bに直列に接続し、かつ第1電磁コイル5aに並列に接続している。
【0056】
ダイオード61は、第1電磁コイル5aと第2電磁コイル5bとの間に介在している。第1電磁コイル5aとダイオード61と第2電磁コイル5bと第3スイッチング素子7cとは、直列に接続されている。
【0057】
コンデンサ12(
図14参照)を充電する際には、
図16に示すごとく、第1スイッチング素子7a及び第3スイッチング素子7cをオンにする。このようにすると、バッテリー11の電流iが第1電磁コイル5aに流れ、第1正側スイッチ3p
aがオフからオンに切り替わる。なお、第2電磁コイル5bは電気抵抗を有しており、かつダイオード61の順方向における抵抗値は第1スイッチング素子7aのオン抵抗よりも高いため、第1スイッチング素子7aをオンしただけでは、バッテリー11の電流iは第2電磁コイル5bには殆ど流れない。
【0058】
次いで、
図17に示すごとく、第2スイッチング素子7bをオンにする。このようにすると、バッテリー11の電流iが第2電磁コイル5bに流れ、第1負側スイッチ3n
a(
図14参照)がオンになる。
【0059】
その後、
図18に示すごとく、第3スイッチング素子7cをオンにしたまま、第1スイッチング素子7aと第2スイッチング素子7bとをオフすると、バッテリー11の電流iは、2個の電磁コイル5a,5bを直列に流れる。そのため、2個のスイッチ3p
a,3n
aがオンし続ける。
【0060】
このように、本形態では、スイッチ3p
a,3n
aをオフからオンに切り替える際には、バッテリー11の電流iを各電磁コイル5a,5bに分配して流している(
図17参照)。また、2個のスイッチ3p
a,3n
aをオンし続ける際には、バッテリー11の電流iを、2個の電磁コイル5a,5bに直列に流している(
図18参照)。つまり、一方の電磁コイル5aを流れたバッテリー11の電流iが、他方の電磁コイル5bにも流れるようにしている。
【0061】
このようにすると、2個のスイッチ3p
a,3n
aをオンし続ける際における、電磁コイル5a,5bの消費電力を低減できる。つまり、個々の電磁コイル5a,5bの電気抵抗をRとすると、各スイッチ3をオンするとき、すなわち
図17に示すごとく、バッテリー11の電流iを分配して流す際には、2個の電磁コイル5a,5bは並列接続されているため、全体の電気抵抗はR/2になる。そのため、バッテリー11の電圧をVとすると、バッテリー11から供給される電流iは、i=2V/Rとなり、バッテリー11の消費電力Wは、W=Vi=2V
2/Rとなる。これに対して、2個のスイッチ3をオンし続けるとき、すなわち
図18に示すごとく、バッテリー11の電流iを2個の電磁コイル5a,5bに直列に流す場合は、2個の電磁コイル5a,5b全体の電気抵抗は2Rになる。そのため、バッテリー11の電流i=V/2Rとなり、消費電力W=Vi=V
2/2Rとなる。したがって、
図17のように電流iを分配して流す場合と比べて、消費電力を1/4にすることができる。そのため、低い消費電力で、2個のスイッチ3p
a,3n
aをオンし続けることができる。
【0062】
また、本形態では、個々のスイッチ3をオフからオンに切り替える際に、強い磁力を発生することができる。すなわち、スイッチ3をオフからオンに切り替える際(
図17参照)は、上述したように、バッテリー11から供給される電流iは、i=2V/Rとなる。そのため、個々の電磁コイル5a,5bに流れる電流はV/Rとなり、スイッチ3をオンし続ける場合(
図18参照)に各電磁コイル5に流れる電流(V/2R)よりも大きい。そのため、スイッチ3をオフからオンに切り替える際には、各電磁コイル5a,5bから強い磁力を発生することができ、スイッチ3を確実にオンすることができる。
【0063】
また、スイッチ3をオンした状態を維持する場合(
図18参照)は、上述したように、各電磁コイル5に流れる電流iはV/2Rであり、スイッチ3をオフからオンに切り替える場合の電流値(V/R)よりも低い。しかしながら、スイッチ3をオンし続ける際には、小さな磁力でも足りるため、各電磁コイル5に流れる電流が少なくても大きな問題は生じない。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0064】
なお、本形態では、第1正側スイッチ3p
aと第1負側スイッチ3n
aとを別のリレー4内に設けたが、これらを同一のリレー4内に設けてもよい。
【0065】
(実施形態4)
本形態は、リレー4の構成を変更した例である。
図19に示すごとく、本形態では、第1リレー4aに、第1正側スイッチ3p
aとプリチャージ用接点部13とを設けてある。第1リレー4aは、一個の電磁コイル5(5a)のみ有する。この電磁コイル5aに通電すると、第1正側スイッチ3p
aとプリチャージ用接点部13とが同時にオンするよう構成されている。
【0066】
また、第2リレー4bには、第2正側スイッチ3p
bと第2負側スイッチ3n
bとが設けられている。第1負側スイッチ3n
aは、第3リレー4cに設けられている。
【0067】
電気機器8を稼働する際には、実施形態1と同様に、第1正側スイッチ3p
aとプリチャージ用接点部13とをオンにし、コンデンサ12を充電する。その後、他のスイッチ3n
a,3p
b,3n
bをオンする。本形態では、この後、プリチャージ用接点部13をオフにせず、オンし続ける。プリチャージ抵抗14の抵抗値は大きいため、スイッチ3p,3nをオンしている状態では、プリチャージ用接点部13をオンしても、プリチャージ抵抗14には殆ど電流は流れない。
【0068】
本形態の作用効果について説明する。上記構成にすると、リレー4に用いられる電磁コイル5を、合計3個にすることができる。そのため、電源システム1の製造コストを低減することができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0069】
(実施形態5)
本形態は、コンデンサ12の充電方法を変更した例である。
図20に示すごとく、本形態では、コンデンサ12に並列に、充電装置16を設けている。充電装置16は、双方向DC−DCコンバータからなる。電気機器8を稼働する際には、充電装置16を用いてコンデンサ12を充電する。その後、4個のスイッチ3をオンする。コンデンサ12を充電してからスイッチ3をオンするため、突入電流が流れることを抑制できる。
【0070】
また、本形態では、第1正側スイッチ3p
aと第1負側スイッチ3n
aとを一個のリレー4a内に設けてある。さらに、第2正側スイッチ3p
bと第2負側スイッチ3n
bとを別のリレー4b内に設けてある。個々のリレー4a,4bは、一個の電磁コイル5のみを有する。各リレー4a,4bは、一個の電磁コイル5に通電すると、2個のスイッチ3を両方ともオンできるよう構成されている。
【0071】
上記構成にすると、電磁コイル5の数を合計2個と少なくすることができる。そのため、電源装置1の製造コストを低減できる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0072】
(実施形態6)
本形態は、リレー4の構成を変更した例である。
図21に示すごとく、本形態では、2個の正側スイッチ3p
a,3p
bを一個のリレー4(第1リレー4a)内に設けている。また、2個の負側スイッチ3n
a,3n
bを別のリレー4(第2リレー4b)内に設けている。また、プリチャージ用接点部13を、第3リレー4c内に設けている。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0073】
(実施形態7)
本形態は、リレー4の構成を変更した例である。
図22に示すごとく、本形態では、4個のスイッチ3p
a,3p
b,3n
a,3n
bと、プリチャージ用接点部13とを、それぞれ別のリレー4(4a〜4e)内に設けてある。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。