(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着座者の下腿と対面するレッグレストの先端部と、着座者の足と対面するフットレストの後端部とが連結され、着座した着座者の下肢を支持する第一形態と、膝を伸ばした着座者の下肢を支持する第二形態とに変形する下肢支持装置において、
周囲からの圧力を感知する単一の第一感知部が、前記フットレストの裏側から、この裏側に対して前記レッグレスト側に向けて交差する後端部に渡って形成され、
前記第一感知部に、
前記フットレストの裏側から後端部に渡って前記フットレストを覆う感知カバーと、
この感知カバーと前記フットレストとを連結したリンク機構と、
前記フットレストに対する前記感知カバーの近接または離反を感知する感知器と、が備えられた、
ことを特徴とする下肢支持装置。
【背景技術】
【0002】
従来、医療施設、理美容施設に備えられた椅子や、様々な乗り物に備えられている座席は、リクライニングした際に、着座する者(以下、「着座者」と記す。)の下肢を支持する機構が備えられている。この機構は、着座者の下腿を支持するレッグレストと、着座者の足を支持するフットレストとから構成されている。このように下肢を支持する機構は、リクライニングした状態から、通常の椅子または座席の状態に自動で変形するものもあるため、安全装置が備えられている。このような安全装置が備えられた機構として、例えば、下記特許文献1には、下腿用支持具を備えた自動車用シートが記載されている。
【0003】
この下腿用支持具を備えた自動車用シートは、レッグレストの裏側の第一センサと、下端側の第二センサとが取り付けられているため、リクライニングした状態から、通常のシートの状態に変形する際、レッグレストと自動車のボディとの間に異物が挟まった場合、各センサが異物を感知する。この各センサは、レッグレストの裏側と下端とにそれぞれ独立して取り付けられている。なお、自動車の場合、着座者は足を床に着くことから、フットレストは必要に応じて用いられる場合が多いため、フットレストはセンサが取り付けられていない。
【0004】
一方で、医療施設に備えられた椅子は、着座者がフットレストに足を乗せた状態で着座し、リクライニングした際、レッグレストとフットレストとが、ほぼ同一平面上に揃えられ、ほぼ水平となるものがある。この場合、常にフットレストが用いられるため、フットレストにも安全装置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記したとおり、下腿用支持具の第一センサおよび第二センサは、レッグレストの裏側と下端とにそれぞれ独立して取り付けられているため、仮に、各センサ間に異物が挟まった場合、各センサは作動しない。また、フットレストにセンサが取り付けられていないため、フットレストと床との間に異物が挟まった場合、その異物やフットレストが破損する。すなわち、下腿用支持具は、センサが反応することのできない死角が存在する。
【0007】
仮に、フットレストの裏側にセンサが取り付けられた場合であっても、例えばフットレストとレッグレストとの連結部分などに死角が存在する。また、死角が存在する位置ごとにセンサが取り付けられた場合、センサの数が増加して生産費が上がる。
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、単一の感知部で広い感知範囲を実現することができる下肢支持装置および医療用椅子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る下肢支持装置は、着座者の下腿と対面するレッグレストの先端部と、着座者の足と対面するフットレストの後端部とが連結され、着座した着座者の下肢を支持する第一形態と、膝を伸ばした着座者の下肢を支持する第二形態とに変形する下肢支持装置において、周囲からの圧力を感知する単一の第一感知部が、前記フットレストの裏側から、この裏側に対して前記レッグレスト側に向けて交差する後端部に渡って形成された、ことを特徴とする。すなわち、フットレストにおいて、フットレストの裏側、および、この裏側に対してレッグレスト側に向けて交差する後端部に、単一の感知器が備えられているため、フットレストに対する様々な方向からの圧力が、感知器によって感知される。
【0010】
本発明に係る下肢支持装置は、前記第一感知部に、前記フットレストの裏側から後端部に渡って前記フットレストを覆う感知カバーと、この感知カバーと前記フットレストとを連結したリンク機構と、前記フットレストに対する前記感知カバーの近接または離反を感知する感知器と、が備えられた、ことを特徴とする。この構成により、感知カバーに圧力が加えられると、リンク機構が作動して感知カバーがフットレストに対して変位する。感知カバーがフットレストに近接し、または離反すると、感知器が作動する。
【0011】
本発明に係る下肢支持装置は、前記リンク機構が、前記フットレストの先端寄りと前記感知カバーとを連結した先端リンク部と、前記フットレストの後端寄りと前記感知カバーとを連結した後端リンク部と、から構成され、前記感知カバーが、前記フットレストの先端側に向けて変位すると共に前記フットレストに近接する、ことを特徴とする。すなわち、感知カバーが先端リンク部および後端リンク部によって支持されているため、感知カバーに圧力が加えられると、感知カバーは、各リンク部のフットレスト側を軸として、フットレストに対して振り子のような弧状の軌道上を変位する。すなわち、フットレストの裏側から感知カバーに圧力が加えられた場合であっても、フットレストの後端部側から感知カバーに圧力が加えられた場合であっても、感知カバーが変位し、感知器が作動する。
【0012】
本発明に係る下肢支持装置は、前記フットレストに対する前記感知カバーの可動範囲を規制するフットレスト規制部が備えられた、ことを特徴とする。すなわち、フットレストに対する感知カバーの可動範囲が、フットレスト規制部を介して規制される。
【0013】
本発明に係る下肢支持装置は、前記第一形態または前記第二形態に変形している際、前記第一感知部の作動に応じて、前記フットレストが停止し、または前記第一感知部が作動する直前の位置に前記フットレストが戻って停止する、ことを特徴とする。すなわち、下肢支持装置の制御において、下肢支持装置が変形している最中に、第一感知部が作動すると、フットレストは、第一感知部が作動した位置で停止するか、または、第一感知部が作動しない位置まで戻って停止する。
【0014】
本発明に係る下肢支持装置は、前記レッグレストの裏側に第二感知部が備えられ、前記第一形態または前記第二形態に変形している際、前記第二感知部の作動に応じて、前記レッグレストが停止し、または前記第二感知部が作動する直前の位置に前記レッグレストが戻って停止する、ことを特徴とする。すなわち、下肢支持装置の制御において、下肢支持装置が変形している最中に、第二感知部が作動すると、レッグレストは、第二感知部が作動した位置で停止するか、または、第二感知部が作動しない位置まで戻って停止する。
【0015】
本発明に係る医療用椅子は、下肢支持装置が備えられていることを特徴とする。この構成により、上記したとおり下肢支持装置が作動する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る下肢支持装置および医療用椅子によれば、単一の感知部で広い感知範囲を実現することができる。また、フットレスト規制部が備えられていれば、可動範囲が適切となる。さらに、下肢支持装置を制御することで、フットレストの周囲に異物が挟まることを抑止することができる。同様に、レッグレストの周囲に異物+が挟まることを抑止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態に係る下肢支持装置および医療用椅子を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る医療用椅子1を右方から視した外観が示されている。
図1(a)は、医療用椅子1における下肢支持装置10の第一形態が示され、
図1(b)は、医療用椅子1における下肢支持装置10の第二形態が示されている。なお、以下の説明では、
図1において、医療用椅子1に着座した際の着座者(図示省略)を基準として、着座者の正面側を前方とし、着座者の背面側を後方とし、着座者の左右側を左側方および右側方とし、垂直方向を上下方向とする。また、適宜、裏側および表側と表現する。
【0019】
図1に示されているとおり、医療用椅子1は、着座者が着座する椅子本体部2と、この椅子本体部2を支持する基台部7とが備えられている。椅子本体部2は、着座した着座者の臀部を支持する座部3と、この座部3に腰を掛けた着座者の背中を支持する背もたれ部4と、着座者の下肢を支持する下肢支持装置10と、着座者の肘を支持する左右一対の肘置き部5と、着座者の頭部を支持するヘッドレスト6と、下肢支持装置10の動作を制御する制御装置(図示省略)とから構成されている。
【0020】
下肢支持装置10は、着座者の下腿と対面するレッグレスト40と、着座者の足と対面するフットレスト20とから構成され、レッグレスト40の下方先端部とフットレスト20の後端部とが連結されている。下肢支持装置10は、着座者が着座した状態において着座者の下肢を支持する第一形態と、着座者が横たわった状態において着座者の下肢を支持する第二形態とに変形する。なお、第二形態は、着座者が膝を伸ばし、かつ、上肢を起こした状態を含む。
【0021】
すなわち、
図1(a)に示されているとおり、第一形態では、座部3に対して、背もたれ部4が起立し、この座部3に対してレッグレスト40が下方に向けてほぼ直角に配置され、このレッグレスト40に対してフットレスト20が前方に向けてほぼ直角に配置されている。第一形態では、レッグレスト40は後面が基台部7の前面と対面し、フットレスト20は下面が床面と対面している。また、レッグレスト40とフットレスト20との連結部分は、基台部7の隅部8と対面している。
【0022】
一方、
図1(b)に示されているとおり、第二形態では、座部3に対して、背もたれ部4が傾倒して同一平面上に配置され、この座部3に対してレッグレスト40およびフットレスト20が同一平面上に配置されている。すなわち、背もたれ部4、座部3、レッグレスト40およびフットレスト20が、ほぼ水平に配置される。
【0023】
さらに、基台部7が稼働して椅子本体部2が昇降することで、上下方向における下肢支持装置10の位置が変化し、下肢支持装置10と床面との間隔が変化する。
【0024】
ここで、本発明の実施形態に係る下肢支持装置10を図面に基づいて詳細に説明する。
図2は、第一形態における下肢支持装置10の構造が示されている。前方から視した下肢支持装置10が、
図2(a)に示され、
図2(a)のA−A断面として、右方から視した下肢支持装置10の内部構造が
図2(b)に示されている。
図3は、第一形態において右方から視した下肢支持装置10の内部構造が示されている。第一感知部および第二感知部が作動する前の状態が
図3(a)に示され、第一感知部および第二感知部が作動した後の状態が
図3(b)に示されている。
【0025】
図2および
図3に示されているとおり、フットレスト20は、フットレスト20の上面側である平板状のフットレストフレーム部21と、このフットレストフレーム部21の下面に取り付けられた板状のフットレスト連結部22とから構成されている。フットレスト連結部22は左右一対で構成され、互いに対面すると共にフットレストフレーム部21に対して垂直に取り付けられている。フットレスト連結部22は、前端側から後端側に向かうにつれて、上下方向の幅が徐々に広がっている。フットレスト連結部22の前端側は、前端側フレーム支持軸23が形成され、フットレスト連結部22の後端側は、後端側フレーム支持軸24が形成されている。後端側フレーム支持軸24は、上下方向における位置が、前端側フレーム支持軸23よりも下方に配置され、近傍における下端部に、リンク溝25が形成されている。また、フットレスト連結部22の後端側は、リンクアーム部44と連結されたアーム軸部26と、レッグレスト40と連結された連結軸部27とが形成されている。フットレスト連結部22は、前端側と後端側との間に、規制係止部としてのフットレスト側ネジ28が取り付けられている。
【0026】
フットレスト20は、フットレスト20の裏面である下面側から、この下面側に対して、レッグレスト40が連結された上端側に向けて交差する後端部に渡って、第一感知部29が取り付けられている。第一感知部29は、周囲からの圧力を感知するものである。ここで、周囲からの圧力は、例えば、床面とフットレスト20との間に異物が挟まった場合に荷重される下方からの第一圧力100、基台部7の隅部8とフットレスト20との間に異物が挟まった場合に荷重される後方からの第二圧力101、基台部7とフットレスト20との間に異物が挟まった場合に荷重される後方からの第三圧力102などである。
【0027】
第一感知部29は、フットレスト20の下面および側面を前端側から後端側に向けて覆うと共に、フットレスト20の後端部に渡ってフットレスト20を覆う感知カバーとしてのフットレストカバー30と、このフットレストカバー30とフットレスト20とを連結したリンク機構34と、フットレスト20に対するフットレストカバー30の近接または離反を感知する感知器37とから構成されている。
【0028】
リンク機構34は、フットレスト20の先端側とフットレストカバー30とを連結した先端リンク部35と、フットレスト20の後端側とフットレストカバー30とを連結した後端リンク部36とから構成されている。感知器37は、簡便かつ安価なマイクロスイッチが好ましいが、フットレスト20に対するフットレストカバー30の近接または離反を感知する構成であればどのようなものであってもよい。また、感知器37は、左右のいずれかのフットレスト連結部22に一つ取り付けられているが、精度を上げるために複数から構成されて左右両方のフットレスト連結部22に取り付けられた構成であってもよい。
【0029】
フットレストカバー30は、フットレスト連結部22の形状に倣って、前方側から後方側に向かうにつれて、上下方向の幅が徐々に広がって形成され、フットレスト20の後端部を覆うカバー後端部38が形成されている。フットレストカバー30は、先端側の側面に前端側カバー支持軸31が形成され、後端側の側面に後端側カバー支持軸32が形成されている。前端側カバー支持軸31は、フットレスト連結部22の前端側フレーム支持軸23と、先端リンク部35を介して連結され、後端側カバー支持軸32は、フットレスト連結部22の後端側フレーム支持軸24と、後端リンク部36を介して連結されている。また、フットレストカバー30の左右側面の中央近傍は、フットレスト側長孔33が形成され、フットレスト連結部22のフットレスト側ネジ28が通されている。すなわち、フットレスト側長孔33とフットレスト側ネジ28とで、フットレスト20に対するフットレストカバー30の可動範囲を規制するフットレスト規制部が構成されている。
【0030】
レッグレスト40は、レッグレスト40の表面側(前面側)であるレッグレストフレーム部41と、このレッグレストフレーム部41の裏面(後面)に取り付けられたレッグレスト連結部42と、フットレスト連結部22と連結されたリンクアーム部44とから構成されている。レッグレスト連結部42は左右一対で構成され、互いに対面すると共にレッグレストフレーム部41に対して垂直に取り付けられている。レッグレスト連結部42は、上端側が鉤状に形成され、互いの上端が回転軸43で連結されている。レッグレスト連結部42の下端側は、連結軸部27を介してフットレスト連結部22の後端側と連結されている。リンクアーム部44は、左右一対で構成され、下端側にレッグレスト側ネジ45が取り付けられている。
【0031】
レッグレスト40は、レッグレスト40の表面側(後面側)に第二感知部46が取り付けられている。第二感知部46は、周囲からの圧力を感知するものである。ここで、周囲からの圧力は、例えば、基台部7の前面とフットレスト40との間に異物が挟まった場合に荷重される後方からの第四圧力103などである。
【0032】
第二感知部46は、レッグレスト40の裏面(後面)および側面を覆うレッグレストカバー47と、レッグレスト40に対するレッグレストカバー47の近接または離反を感知する感知器50とから構成されている。感知器50は、左右のいずれかのリンクアーム部44に1つ取り付けられているが、精度を上げるために複数から構成されて左右両方のリンクアーム部44に取り付けられた構成であってもよい。なお、感知器50は、フットレスト20の感知器37と同様にマイクロスイッチであることが好ましい。
【0033】
レッグレストカバー47は薄板状に形成され、上端側に上端側カバー支持軸48が形成されている。上端側カバー支持軸48はリンクアーム部44に連結されている。また、レッグレストカバー47の左右側面の下端側は、レッグレスト側長孔49が形成され、リンクアーム部44のレッグレスト側ネジ45が通されている。すなわち、レッグレスト側長孔49とレッグレスト側ネジ45とで、レッグレスト40に対するレッグレストカバー47の可動範囲を規制するレッグレスト規制部が構成されている。
【0034】
以上のとおり、下肢支持装置10が構成されている。次に、下肢支持装置10が第一形態から第二形態に変形する際の動作を説明する。
図4は、第二形態における下肢支持装置10の構造が示されている。前方から視した下肢支持装置10が、
図4(a)に示され、
図4(a)のB−B断面として、右方から視した下肢支持装置10の内部構造が
図4(b)に示されている。
図5は、第二形態において右方から視した下肢支持装置10の内部構造が示されている。
【0035】
図2および
図3に示された第一形態の下肢支持装置10が作動すると、回転軸43を軸としてレッグレスト40が回転(
図3において時計回りに回転)すると共に下端側が上昇する。同時に、フットレスト20は、リンクアーム部44に後端側が引っ張られることで、水平な状態を維持したまま上昇する。なお、フットレスト20は、連結軸部27を軸として、レッグレスト40に対して相対的に回転(
図3において反時計回りに回転)する。その際、椅子本体部2は、適宜上昇する。このようにして、下肢支持装置10は第一形態から第二形態に変形する。
【0036】
図4および
図5に示されているとおり、レッグレスト40およびフットレスト20が、ほぼ水平に配置される。フットレストカバー30のカバー後端部38は、レッグレストカバー47と干渉することなく、レッグレスト20の裏側から内側に収容される。この第二形態において、再び下肢支持装置10が作動すると、回転軸43を軸としてレッグレスト40が回転(
図4において反時計回りに回転)すると共に下端側が下降する。同時に、フットレスト20は、リンクアーム部44に後端側が押されることで、水平な状態を維持したまま下降する。その際、椅子本体部2は、適宜下降する。このようにして、下肢支持装置10は第二形態から第一形態に変形する。
【0037】
次に、下肢支持装置10における第一感知部29および第二感知部46の作動について説明する。
【0038】
図3(a)に示されているとおり、作動する前の第一感知部29は、フットレストカバー30がフットレスト20から離れており、感知器37が作動しておらず、同様に、第二感知部46は、レッグレストカバー47がレッグレスト40から離れており、感知器50が作動していない状態である。
【0039】
下肢支持装置10が第二形態から第一形態に変形する際、
図3(b)に示されているとおり、第一圧力100、第二圧力101または第三圧力102のいずれかが加えられると、フットレストカバー30が作動する。すなわち、フットレストカバー30は、先端リンク部35および後端リンク部36を介して、フットレスト連結部22の前端側フレーム支持軸23および後端側フレーム支持軸24を軸として、フットレスト20の先端側に向けて、前方かつ斜め上方に押し上げられる。フットレストカバー30がフットレスト20に近接し、感知器37がフットレストカバー30に押されて作動する。その際、フットレストカバー30は、フットレスト規制部により可動範囲が規制される。
【0040】
一方、下肢支持装置10が第二形態から第一形態に変形する際、
図3(b)に示されているとおり、第四圧力103が加えられると、レッグレストカバー47が作動する。すなわち、レッグレストカバー47は、レッグレスト40に向けて押され、上端側カバー支持軸48を軸としてレッグレスト40に近接し、感知器50がレッグレストカバー47に押されて作動する。その際、レッグレストカバー47は、レッグレスト規制部により可動範囲が規制される。
【0041】
ここで、制御部による制御によれば、第一感知部29また第二感知部46が各圧力100から103のいずれかを感知して作動すると、下肢支持装置10は停止する。または、下肢支持装置10は、第一感知部29または第二感知部46が各圧力100から103のいずれかを感知して作動する直前の位置に戻って停止する。
【0042】
なお、第一形態から第二形態に下肢支持装置10が変形している際に、第一感知部29または第二感知部46が作動した場合であっても、下肢支持装置10は停止し、または、第一感知部29または第二感知部46が圧力を感知する直前の位置に戻って停止する。一方で、第一形態から第二形態に下肢支持装置10が変形している間に圧力が加えられる可能性が低い場合、下肢支持装置10は、この間に第一感知部29および第二感知部46が作動しない構成であってもよい。
【0043】
次に、下肢支持装置10の効果を説明する。
【0044】
上記したとおり、下肢支持装置10および医療用椅子1によれば、フットレスト20に取り付けられた第一感知部29は、フットレスト20の下面および側面を前端側から後端側に向けて覆うと共に、フットレスト20の後端部に渡ってフットレスト20を覆うフットレストカバー30と、このフットレストカバー30とフットレスト20とを連結した先端リンク部35および後端リンク部36と、フットレスト20に対するフットレストカバー30の近接または離反を感知する感知器37とから構成されている。この構成により、第一圧力100、第二圧力101または第三圧力102のいずれかが加えられると、フットレストカバー30は、各リンク35,36を介して、フットレスト連結部22の前端側フレーム支持軸23および後端側フレーム支持軸24を軸として、フットレスト20の先端側に向けて、前方かつ斜め上方に押し上げられる。すなわち、フットレストカバー30は、フットレスト20に対して振り子のような弧状の軌道上を変位する。フットレストカバー30がフットレスト20に近接し、感知器37がフットレストカバー30に押されて作動する。そのため、各圧力100から102のいずれが加えられた場合であっても、フットレストカバー30が変位し、感知器37が作動する。したがって、単一の感知部29で広い感知範囲を実現することができる。
【0045】
同様に、下肢支持装置10および医療用椅子1によれば、レッグレスト40に取り付けられた第二感知部46は、レッグレスト40の裏面(後面)および側面を覆うレッグレストカバー47と、レッグレスト40に対するレッグレストカバー47の近接または離反を感知する感知器50とから構成されている。この構成により、第四圧力103が加えられると、レッグレストカバー47は、レッグレスト40に向けて押され、上端側カバー支持軸48を軸としてレッグレスト40に近接し、感知器50がレッグレストカバー47に押されて作動する。したがって、レッグレスト40と基台部7の前面との間に挟まった異物を感知することができる。
【0046】
下肢支持装置10および医療用椅子1によれば、フットレスト連結部22は、前端側と後端側の間にフットレスト側ネジ28が取り付けられ、また、フットレストカバー30の中央近傍は、フットレスト側長孔33が形成され、フットレスト側ネジ28が通されている。すなわち、フットレスト側長孔33とフットレスト側ネジ28とで、フットレスト20に対するフットレストカバー30の可動範囲を規制するフットレスト規制部が構成されている。したがって、フットレスト規制部によって可動範囲が適切となる。
【0047】
同様に、下肢支持装置10および医療用椅子1によれば、リンクアーム部44は、下端側にレッグレスト側ネジ45が取り付けられ、また、レッグレストカバー47の下端側は、レッグレスト側長孔49が形成され、レッグレスト側ネジ45が通されている。すなわち、レッグレスト側長孔49とレッグレスト側ネジ45とで、レッグレスト40に対するレッグレストカバー47の可動範囲を規制するレッグレスト規制部が構成されている。したがって、レッグレスト規制部によって可動範囲が適切となる。
【0048】
下肢支持装置10および医療用椅子1の制御部によれば、第一感知部29また第二感知部46が各圧力100から103のいずれかを感知して作動すると、下肢支持装置10は停止する。または、下肢支持装置10は、第一感知部29または第二感知部46が各圧力100から103のいずれかを感知して作動する直前の位置に戻って停止する。したがって、フットレスト20の周囲に異物が挟まることを抑止することができる。同様に、レッグレスト40の周囲に異物が挟まることを抑止することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。下肢支持装置は、医療施設に備えられた医療用椅子に限られず、例えば、理美容施設に備えられた椅子や、様々な乗り物に備えられた座席などに用いられる。