(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704300
(24)【登録日】2020年5月14日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】自動二輪車
(51)【国際特許分類】
B62K 11/04 20060101AFI20200525BHJP
B62M 7/02 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
B62K11/04 A
B62M7/02 W
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-118425(P2016-118425)
(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-222255(P2017-222255A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘二
【審査官】
杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/076046(WO,A1)
【文献】
特開2015−110387(JP,A)
【文献】
特開2015−009585(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/059933(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/068189(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0060865(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 11/04
B62M 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから車幅方向に分かれて後方に延びた一対のメインフレームと、前記一対のメインフレームの後端同士を接続する車幅方向に延びたクロスメンバと、前記クロスメンバから後方に延びてシートを支持するリヤフレームとを有する車体フレームと、
パイプ状の第1ブラケットと、
前記メインフレームに接続されたエンジンと、を備え、
前記一対のメインフレームの各々は、複数のパイプを互いにトレリス状に連結してなるトレリス部と、前記トレリス部から後方に延び且つ後端が前記クロスメンバに接合されたシングルパイプ部とを有し、
前記トレリス部には、前記エンジンのシリンダヘッドの前部が前記第1ブラケットを介して接続される第1マウント部が設けられており、
前記シングルパイプ部には、前記エンジンの前記シリンダヘッドの後部が接続される第2マウント部が設けられており、
前記第1ブラケットは、前記トレリス部の前記第1マウント部に着脱自在に固定されている、自動二輪車。
【請求項2】
前記エンジンに吸気を供給するスロットル装置を更に備え、
前記シングルパイプ部は、側面視において、前記スロットル装置に車幅方向外側から重なっている、請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項3】
前記第1マウント部は、パイプ状の第1ブラケットを介して前記シリンダヘッドの前記前部に接続されており、
前記第2マウント部は、車幅方向の法線を有する板状の第2ブラケットを介して前記シリンダヘッドの前記後部に接続されている、請求項1又は2に記載の自動二輪車。
【請求項4】
ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから車幅方向に分かれて後方に延びた一対のメインフレームと、前記一対のメインフレームの後端同士を接続する車幅方向に延びたクロスメンバと、前記クロスメンバから下方に延びるピボットフレームと、前記クロスメンバから後方に延びてシートを支持するリヤフレームとを有する車体フレームと、
前記メインフレームに接続されたエンジンと、を備え、
前記一対のメインフレームの各々は、複数のパイプを互いにトレリス状に連結してなるトレリス部と、前記トレリス部から後方に延び且つ後端が前記クロスメンバに接合されたシングルパイプ部とを有し、
前記トレリス部には、前記エンジンのシリンダヘッドの前部が接続される第1マウント部が設けられており、
前記シングルパイプ部には、前記エンジンの前記シリンダヘッドの後部が接続される第2マウント部が設けられており、
前記ピボットフレームには、前記エンジンのシリンダブロックの後部が接続される第3マウント部が設けられており、
前記第3マウント部は、車幅方向の法線を有する板状の第3ブラケットを介して前記シリンダブロックの前記後部に接続されている、自動二輪車。
【請求項5】
ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから車幅方向に分かれて後方に延びた一対のメインフレームと、前記一対のメインフレームの後端同士を接続する車幅方向に延びたクロスメンバと、前記クロスメンバから下方に延びるピボットフレームと、前記クロスメンバから後方に延びてシートを支持するリヤフレームとを有する車体フレームと、
前記メインフレームに接続されたエンジンと、を備え、
前記一対のメインフレームの各々は、複数のパイプを互いにトレリス状に連結してなるトレリス部と、前記トレリス部から後方に延び且つ後端が前記クロスメンバに接合されたシングルパイプ部とを有し、
前記トレリス部には、前記エンジンのシリンダヘッドの前部が接続される第1マウント部が設けられており、
前記シングルパイプ部には、前記エンジンの前記シリンダヘッドの後部が接続される第2マウント部が設けられており、
前記ピボットフレームには、前記エンジンのシリンダブロックの後部が接続される第3マウント部が設けられ、
前記第2マウント部は、第2ブラケットを介して前記シリンダヘッドの前記後部に接続されており、
前記第3マウント部は、第3ブラケットを介して前記シリンダブロックの前記後部に接続されており、
側面視において、前記第2ブラケットの長さは、前記第3ブラケットの長さよりも短い、自動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドパイプから車幅方向に分かれて後方に延びた一対のメインフレームにエンジンが接続されてなる自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のパイプを互いに連結してなるトレリスフレームをメインフレームに採用した自動二輪車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−96364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、更なる軽量化が要望される場合には、メインフレームを構成するパイプを減らすことが考えられる。しかし、パイプを減らすと、メインフレームの剛性が低下して補強部材が必要になるため、軽量化にも限界が生じる。
【0005】
そこで本発明は、メインフレームの軽量化と剛性確保との両立を好適に実現した自動二輪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る自動二輪車は、ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから車幅方向に分かれて後方に延びた一対のメインフレームと、前記一対のメインフレームの後端同士を接続する車幅方向に延びたクロスメンバと、前記クロスメンバから後方に延びてシートを支持するリヤフレームとを有する車体フレームと、前記メインフレームに接続されたエンジンと、を備え、前記一対のメインフレームの各々は、複数のパイプを互いにトレリス状に連結してなるトレリス部と、前記トレリス部から後方に延び且つ後端が前記クロスメンバに接合されたシングルパイプ部とを有し、前記トレリス部には、前記エンジンのシリンダヘッドの前部が接続される第1マウント部が設けられており、前記シングルパイプ部には、前記エンジンの前記シリンダヘッドの後部が接続される第2マウント部が設けられている。
【0007】
前記構成によれば、メインフレームにトレリス部とともにシングルパイプ部を設けることで、メインフレームを軽量化できる。そして、トレリス部の第1マウント部に接続されたシリンダヘッドが、シングルパイプ部に設けた第2マウント部に接続されるので、余分な補強部材を用いることなくエンジンを剛性メンバとして利用し、シングルパイプ部の剛性を向上できる。よって、メインフレームの軽量化と剛性確保との両立を好適に実現できる。
【0008】
前記エンジンに吸気を供給するスロットル装置を更に備え、前記シングルパイプ部は、側面視において、前記スロットル装置に車幅方向外側から重なってもよい。
【0009】
前記構成によれば、シングルパイプ部が、側面視においてスロットル装置に車幅方向外側から重なる位置にあり、シリンダヘッドとの距離が近いため、エンジンによるシングルパイプ部の補強効果を更に高めることができる。
【0010】
前記第1マウント部は、パイプ状の第1ブラケットを介して前記シリンダヘッドの前記前部に接続されており、前記第2マウント部は、車幅方向の法線を有する板状の第2ブラケットを介して前記シリンダヘッドの前記後部に接続されてもよい。
【0011】
前記構成によれば、様々な方向に強い力が伝達される第1ブラケットはパイプ状としつつも、シングルパイプ部の前後方向及び上下方向の変形を拘束する第2ブラケットは板状とすることで、剛性を損なうことなく好適に軽量化できる。
【0012】
前記車体フレームは、前記クロスメンバから下方に延びるピボットフレームを更に有し、前記ピボットフレームには、前記エンジンのシリンダブロックの後部が接続される第3マウント部が設けられており、前記第3マウント部は、車幅方向の法線を有する板状の第3ブラケットを介して前記シリンダブロックの前記後部に接続されてもよい。
【0013】
前記構成によれば、メインフレームの剛性を間接的に更に高めることができると共に、シングルパイプ部の前後方向及び上下方向の変形を拘束する第3ブラケットを板状とすることで、剛性を損なうことなく好適に軽量化できる。
【0014】
前記車体フレームは、前記クロスメンバから下方に延びるピボットフレームを更に有し、前記ピボットフレームには、前記エンジンのシリンダブロックの後部が接続される第3マウント部が設けられ、前記第2マウント部は、第2ブラケットを介して前記シリンダヘッドの前記後部に接続されており、前記第3マウント部は、第3ブラケットを介して前記シリンダブロックの前記後部に接続されており、側面視において、前記第2ブラケットの長さは、前記第3ブラケットの長さよりも短くてもよい。
【0015】
前記構成によれば、シングルパイプ部の補強効果を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メインフレームの軽量化と剛性確保との両立を好適に実現した自動二輪車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る自動二輪車の要部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、自動二輪車に乗車した運転者から見た方向を基準とする。
【0019】
[自動二輪車の全体構成]
図1は、実施形態に係る自動二輪車1の要部の側面図である。
図2は、
図1に示す自動二輪車1の平面図である。
図3は、
図1に示す自動二輪車1の正面図である。
図1乃至3に示すように、自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2に搭載されたエンジンEと、を備える。車体フレーム2は、ヘッドパイプ3と、左右一対のメインフレーム4と、クロスメンバ5と、左右一対のピボットフレーム6と、左右一対のリヤフレーム7と、左右一対のリヤ補助フレーム8と有する。
【0020】
ヘッドパイプ3は、ステアリングシャフトを回動自在に支持する。一対のメインフレーム4は、ヘッドパイプ3から車幅方向に分かれて後方に延びる。メインフレーム4は、側面視において、エンジンEに重ならないようにエンジンEの上方に配置されている。クロスメンバ5は、車幅方向に延び、一対のメインフレーム4の後端同士を接続する。一対のピボットフレーム6は、互いに車幅方向に離間した状態でクロスメンバ5から下方に延びる。一対のリヤフレーム7は、互いに車幅方向に離間した状態でクロスメンバ5から後方に延び、運転者騎乗用のシート14を支持する。一対のリヤ補助フレーム8は、リヤフレーム7の下方においてピボットフレーム6から後方に延び、後端がリヤフレーム7に接合されるとともに、中間部が補強メンバ9を介してリヤフレーム7に接続される。
【0021】
メインフレーム4の下方には、並列四気筒のエンジンEが配置されている。エンジンEは、クランクケース10と、シリンダブロック11と、シリンダヘッド12と、シリンダヘッドカバー13とを備える。クランクケース10には、クランク軸15と、クランク軸15からの動力を変速する変速機16とが収容されている。即ち、クランクケース10は、ミッションケースを兼ねている。変速機16の出力軸16aの端部は、クランクケース10の外部に突出し、出力軸16aの回転動力はチェーン17を介して後輪(図示せず)に伝達される。クランクケース10の下部には、オイルを溜めるオイルパン18が取り付けられている。
【0022】
シリンダブロック11は、クランクケース10の前部から斜め前上方に突出している。シリンダブロック11には、ピストン(図示せず)が収容され、燃焼によってピストンが押し下げられることでクランク軸15を回転させる。シリンダヘッド12は、シリンダブロック11に上側から接続され、シリンダブロック11から同一直線上で斜め前上方に突出している。シリンダヘッド12の内部には、燃焼室が形成される。シリンダヘッド12の後部12aには、車幅方向に一列に並んだ4つの吸気ポート12bが形成されている。シリンダヘッド12の前部12cには、車幅方向に一列に並んだ4つの排気ポート12dが形成されている。シリンダヘッドカバー13は、シリンダヘッド12に上側から接続され、シリンダヘッド12の上部に設けられた部品(例えば、燃焼室への給排気を制御するバルブやカムシャフト等)を覆っている。
【0023】
エンジンEの上方には、平面視でシリンダヘッドカバー13と重なるようにエアクリーナ19が配置されている。エアクリーナ19は、平面視で左右一対のメインフレーム4の間に配置されている。エアクリーナ19には、エアクリーナ19からの吸気をエンジンEに供給するスロットル装置20の上端が接続されている。スロットル装置20の下端は、シリンダヘッド12の吸気ポート12bに接続されている。なお、エアクリーナ19は、図示しない燃料タンクにより上方から覆われている。
【0024】
[メインフレーム構造]
一対のメインフレーム4の各々は、複数のパイプを互いにトレリス状に連結してなるトレリス部21と、トレリス部21から後方に延びて1本のパイプで構成されたシングルパイプ部22とを有する。メインフレーム4は、ヘッドパイプ3の上部から後方に延びる上側フレーム31と、ヘッドパイプ3の下部から後方に延びる下側フレーム32とを有する。上側フレーム31及び下側フレーム32のうち何れか一方のフレームは、何れか他方のフレームよりも前側で終端して当該他方のフレームの中間部に接合される。本実施形態では、下側フレーム32が上側フレーム31よりも前側で終端し、下側フレーム32の後端が上側フレーム31の中間部に接合される。上側フレーム31と下側フレーム32とは、複数のガセットフレーム33,34により互いに接続されている。即ち、上側フレーム31のうちその前端から下側フレーム32の後端までの部分と、下側フレーム32と、ガセットフレーム33,34とにより、格子状のトレリス部21が形成されている。
【0025】
上側フレーム31のうち下側フレーム32の後端から上側フレーム31の後端までの部分は、シングルパイプ部22であり、シングルパイプ部22の後端がクロスメンバ5に接合されている。左右一対のシングルパイプ部22は、クロスメンバ5よりも前側では互いに車幅方向に離間しており、互いに連結されていない。即ち、左右一対のシングルパイプ部22は、クロスメンバ5よりも前側においては、互いに自由であり、互いを接続するクロスメンバは設けられていない。
【0026】
トレリス部21とシングルパイプ部22との境界、即ち、シングルパイプ部22の前端は、側面視においてシリンダヘッド12の真上に位置する。シングルパイプ部22の前端は、側面視において、エアクリーナ19の真下に位置する。シングルパイプ部22は、側面視において、スロットル装置20に車幅方向外側から重なっている。側面視において、シングルパイプ部22の前端は、スロットル装置20から前方に離間した位置にあり、シングルパイプ部22の後端は、スロットル装置20から後方に離間した位置にある。
【0027】
[エンジンマウント構造]
トレリス部21には、シリンダヘッド12の前部12cが接続される第1マウント部41が設けられている。第1マウント部41は、下側フレーム32の前側部分から下方に板状に突出している。第1マウント部41は、パイプ状の第1ブラケット51を介してシリンダヘッド12の前部12cに接続されている。第1ブラケット51の上端部51aは、第1マウント部41にボルトB1で車幅方向に締結されている。シリンダヘッド12の前部12cには、締結座部12eが前方に突出して設けられている。シリンダヘッド12の締結座部12eは、排気ポート12dよりも上側に配置されている。第1ブラケット51の下端部51bは、シリンダヘッド12の締結座部12eに車幅方向外側から当接する。第1ブラケット51の下端部51bは、シリンダヘッド12の前部12cの締結座部12eにボルトB2で車幅方向に締結されている。
【0028】
第1ブラケット51の下端部51bは、4つの排気ポート12dよりも車幅方向外側に位置する。第1ブラケット51は、上端部51aよりも下端部51bが車幅方向外方に位置するように傾斜し、一対の第1ブラケット51が車幅方向に広い間隔をあけてシリンダヘッド12と接続されている。即ち、前方から見ると、メインフレーム4と第1ブラケット51とシリンダヘッド12とによって、上辺が底辺よりも短い台形が形成されている。第1ブラケット51は、上端部51aよりも下端部51bが後方に位置するように傾斜している。第1ブラケット51は、側面視及び正面視において、トレリス部21のガセットフレーム33と同一直線上に配置されている。
【0029】
シングルパイプ部22には、シリンダヘッド12の後部12aが接続される第2マウント部42が設けられている。第2マウント部42は、シングルパイプ部22から下方に板状に突出している。第2マウント部42は、車幅方向の法線を有する板状の第2ブラケット52を介してシリンダヘッド12の後部12aに接続されている。シリンダヘッド12の後部12aには、4つの吸気ポート12bの車幅方向外側において締結座部12fが設けられている。シリンダヘッド12の締結座部12fは、側面視で吸気ポート12bと重なる高さに配置され、第2マウント部42よりも下方に配置されている。
【0030】
第2ブラケット52は、第2マウント部42に対して2つのボルトB3で車幅方向に締結されている。第2ブラケット52は、シリンダヘッド12の後部12aの締結座部12fに対して1つのボルトB4で車幅方向に締結されている。第2ブラケット52は、側面視において略三角形状である。第2マウント部42に締結されるボルトB3は、側面視においてスロットル装置20の下部と重なっている。シリンダヘッド12の後部12aの締結座部12fに締結されるボルトB4は、トレリス部21よりも後方に位置する。
【0031】
ピボットフレーム6には、シリンダブロック11の後部11aが接続される第3マウント部43が設けられている。第3マウント部43は、ピボットフレーム6の上部から前方に板状に突出している。具体的には、第3マウント部43は、ピボットフレーム6のうちリヤフレーム7の前端とリヤ補助フレーム8の前端との間の領域から前方に突出している。第3マウント部43は、車幅方向の法線を有する板状の第3ブラケット53を介してシリンダブロック11の後部11aに接続されている。シリンダブロック11の後部11aには、4つの吸気ポート12bよりも車幅方向外側において締結座部11bが設けられている。
【0032】
第3ブラケット53は、第3マウント部43に対して2つのボルトB5で車幅方向に締結されている。第3ブラケット53は、シリンダブロック11の後部11aの締結座部11bに対して1つのボルトB6で車幅方向に締結されている。第3ブラケット53は、鉛直方向寸法よりも水平方向寸法が長い。第3ブラケット53は、側面視において略V字形状である。シリンダブロック11の後部11aの締結座部11bに締結されるボルトB6は、第3マウント部43に締結される2つのボルトB5の間の高さに配置されている。第3マウント部43の締結される2つのボルトB5のうち上側のボルトB5は、下側のボルトB5よりもシリンダブロック11に近い。
【0033】
側面視において、第2ブラケット52の長さは、第3ブラケット53の長さよりも短い。第2ブラケット52に締結されるボルトB3と各ボルトB4との間の各距離は、第3ブラケット53に締結されるボルトB5と各ボルトB6との間の各距離のいずれよりも短い。第1〜第3ブラケット51〜53は、平面視においてメインフレーム4と重なるように配置されている。
【0034】
ピボットフレーム6には、クランクケース10の後部10aが接続される第4マウント部44及び第5マウント部45が設けられている。第4マウント部44は、ピボットフレーム6のうちリヤ補助フレーム8の前端と対応する部分から前方に突出している。第5マウント部45は、ピボットフレーム6のうち下部から前方に突出している。第4マウント部44及び第5マウント部45は、それぞれボルトB7,B8によりクランクケース10の後部10aに車幅方向に締結されている。なお、車体フレーム2には、ヘッドパイプ3から下方に延びるダウンフレームがなく、クランクケース10の前部は車体フレーム2に固定されていない。
【0035】
以上に説明した構成によれば、メインフレーム4にトレリス部21とともにシングルパイプ部22を設けることで、メインフレーム4を軽量化できる。そして、トレリス部21の第1マウント部41に接続されたシリンダヘッド12が、シングルパイプ部22に設けた第2マウント部42に接続されるので、余分な補強部材を用いることなくエンジンEを剛性メンバとして利用し、シングルパイプ部22の剛性を向上できる。よって、メインフレーム4の軽量化と剛性確保との両立を好適に実現できる。特に、本実施形態ではエンジンEが並列四気筒でありメインフレーム4の車幅寸法が広くなりがちであるため、前述した構成が効果的である。
【0036】
また、シングルパイプ部22は、側面視においてスロットル装置20に車幅方向外側から重なる位置にあり、シリンダヘッド12との距離を近くしているため、エンジンEによるシングルパイプ部22の補強効果を更に高めることができる。
【0037】
また、ヘッドパイプ3が、前輪及び前輪ブレーキを支持するフロントフォークが連結されたステアリングシャフトを回動自在に支持するために、ヘッドパイプ3には、車両自体、ライダー及び荷物等の重量が負荷されると共に、前輪を操舵して車体をバンクさせた旋回時や制動による減速時等にも荷重が負荷されるが、ヘッドパイプ3から様々な方向に強い力が伝達される第1ブラケット51はパイプ状としつつも、シングルパイプ部22の前後方向及び上下方向の変形を拘束する第2ブラケット52は板状とすることで、剛性を損なうことなく好適に軽量化できる。即ち、第2ブラケット52は、板状であるため、圧縮方向にはパイプに比べて曲がり易いが、引張方向には剛性が強く、車幅方向の省スペース化と軽量化とを実現できる。また、第2ブラケット52の長さは、第3ブラケット53の長さよりも短いので、シングルパイプ部22の補強効果を更に高めることができる。
【0038】
また、エンジンEのシリンダブロック11の後部11aが第3ブラケット53を介してピボットフレーム6の第3マウント部43に接続されているので、メインフレーム4の剛性を間接的に更に高めることができると共に、シングルパイプ部22の前後方向及び上下方向の変形を拘束する第3ブラケット53を板状とすることで、剛性を損なうことなく好適に軽量化できる。また、メインフレーム4と第1ブラケット51とシリンダヘッド12と前方から見ると、台形状に形成されているので、あらゆる方向に強い力が負荷されるヘッドパイプ3周りの剛性を効果的に高めることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 自動二輪車
2 車体フレーム
3 ヘッドパイプ
4 メインフレーム
5 クロスメンバ
6 ピボットフレーム
7 リヤフレーム
11 シリンダブロック
11a 後部
12 シリンダヘッド
12a 後部
12c 前部
20 スロットル装置
21 トレリス部
22 シングルパイプ部
41 第1マウント部
42 第2マウント部
43 第3マウント部
51 第1ブラケット
52 第2ブラケット
53 第3ブラケット
E エンジン