特許第6704321号(P6704321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シチズン電子株式会社の特許一覧 ▶ シチズンホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6704321-押しボタンスイッチ 図000002
  • 特許6704321-押しボタンスイッチ 図000003
  • 特許6704321-押しボタンスイッチ 図000004
  • 特許6704321-押しボタンスイッチ 図000005
  • 特許6704321-押しボタンスイッチ 図000006
  • 特許6704321-押しボタンスイッチ 図000007
  • 特許6704321-押しボタンスイッチ 図000008
  • 特許6704321-押しボタンスイッチ 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704321
(24)【登録日】2020年5月14日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】押しボタンスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/10 20060101AFI20200525BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   H01H13/10
   H01H13/52 F
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-177266(P2016-177266)
(22)【出願日】2016年9月12日
(65)【公開番号】特開2018-45760(P2018-45760A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】磯田 寛人
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−113852(JP,A)
【文献】 特開2011−060627(JP,A)
【文献】 特開2015−008084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00−13/88
H01H 11/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の基材、前記基材の少なくとも上面の一部に形成された第一めっき層、および前記第一めっき層と隔てて、前記基材の少なくとも上面の一部に形成された第二めっき層を備える基台と、前記基台の上方に設けられた蓋体と、を備える筐体と、
前記第一めっき層と絶縁し、前記第二めっき層と導通するように前記筐体の内部に設けられ、押されたときに前記第一めっき層と接触点で接触する可動導体と、
を有する押しボタンスイッチであって、
前記基台が、前記筐体の内部と外部を通気する通気路と、前記通気路の途中であって、前記接触点より外側に設けられたフラックス溜め溝とを備える押しボタンスイッチ。
【請求項2】
請求項1において、
前記基材の上面の中央に凹部が設けられており、
前記凹部に前記可動導体が設けられている押しボタンスイッチ。
【請求項3】
請求項2において、
前記基材が、上面の周縁に、高縁部と、前記高縁部の上面より低く、前記凹部の底面より高い上面を備える第一低縁部と第二低縁部を備え、
前記第一めっき層と前記第二めっき層の少なくとも一方と、前記高縁部との間に隙間ができるように、前記第一低縁部の上面に前記第一めっき層が、前記第二低縁部の上面に前記第二めっき層がそれぞれ設けられており、
前記隙間が前記通気路の少なくとも一部である押しボタンスイッチ。
【請求項4】
請求項3において、
前記フラックス溜め溝が、前記第一低縁部と前記第二低縁部の少なくとも一方に設けられている押しボタンスイッチ。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記隙間が、前記高縁部の側面と、前記第一めっき層と前記第二めっき層の少なくとも一方の側面との間で形成されている押しボタンスイッチ。
【請求項6】
請求項5において、
前記隙間の幅が20〜100μmである押しボタンスイッチ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかにおいて、
前記基材が、複数の突起を下面に備える押しボタンスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機や小型ゲーム機等の携帯端末装置などに使用される押しボタンスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置などに使用される操作スイッチとして、押しボタンスイッチがよく知られている。押しボタンスイッチの筐体から露出したリードフレームの端部を、回路基板の金属配線部に半田付けすることによって、押しボタンスイッチが回路基板に実装される。押しボタンスイッチの筐体を構成する基台は、金属板であるリードフレームを金型内に挿入し、このリードフレームの周囲に溶融した樹脂を注入して、リードフレームと樹脂基材を一体成形するインサート成形によって作製されていた(特許文献1)。
【0003】
平板ではないリードフレームを備える基台をインサート成形する場合、リードフレームが金型内で浮き上がらないように、ピンでリードフレームを金型に押しつけている。したがって、インサート成形で押しボタンスイッチ用の基台を作製すると、樹脂基材にこのピンの穴が残ってしまう。さらに、インサート成形で押しボタンスイッチ用の基台を作製すると、樹脂基材とリードフレームの境界に隙間が生じてしまう。このため、半田付けによって回路基板に押しボタンスイッチを実装したときに、この穴の周辺やこの隙間からフラックスが流入して、スイッチバネとリードフレームの接触部分を覆ってしまい、スイッチの電気的な接触不良を引き起こすおそれがある。
【0004】
3D−MID(Three Dimensional Molded Interconnect Device:三次元成形回路部品)法によって押しボタンスイッチ用の基台を作製すれば、樹脂基材に押しつけピンの穴が残らない上、樹脂基材と金属配線の境界に隙間が生じない。しかしながら、3D−MID法で作製した基台を使用した押しボタンスイッチの筐体内部は気密性があるため、押しボタンスイッチをリフロー半田付けで回路基板に実装するとき、筐体内部の空気が膨張して、筐体が変形するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−213880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、リフロー半田付けの際に、筐体の変形と、筐体内部の導体接触部分へのフラックスの流入を抑えた押しボタンスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の押しボタンスイッチは、樹脂製の基材、基材の少なくとも上面の一部に形成された第一めっき層、および第一めっき層と隔てて、基材の少なくとも上面の一部に形成された第二めっき層を備える基台と、基台の上方に設けられた蓋体とを備える筐体と、第一めっき層と絶縁し、第二めっき層と導通するように筐体の内部に設けられ、押されたときに第一めっき層と接触点で接触する可動導体とを有し、基台が、筐体の内部と外部を通気する通気路と、通気路の途中であって、接触点より外側に設けられたフラックス溜め溝とを備えている。
【0008】
本発明の押しボタンスイッチにおいて、基材の上面の中央に凹部が設けられており、凹部に可動導体が設けられていてもよい。本発明の押しボタンスイッチにおいて、基材が、上面の周縁に、高縁部と、高縁部の上面より低く、凹部の底面より高い上面を備える第一低縁部と第二低縁部を備え、第一めっき層と第二めっき層の少なくとも一方と、高縁部との間に隙間ができるように、第一低縁部の上面に第一めっき層が、第二低縁部の上面に第二めっき層がそれぞれ設けられており、隙間が通気路の少なくとも一部であることが好ましい。
【0009】
本発明の押しボタンスイッチにおいて、フラックス溜め溝が、第一低縁部と第二低縁部の少なくとも一方に設けられていることが好ましい。本発明の押しボタンスイッチにおいて、隙間が、高縁部の側面と、第一めっき層と第二めっき層の少なくとも一方の側面との間で形成されていることが好ましい。本発明の押しボタンスイッチにおいて、隙間の幅が20〜100μmであってもよい。本発明の押しボタンスイッチにおいて、基材が、複数の突起を下面に備えていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の押しボタンスイッチは通気路を備えるので、リフロー半田付けの際に、内部の空気が膨張して筐体を変形するのを抑えられる。また、本発明の押しボタンスイッチは、導体接触部分の外側にフラックス溜り溝を備えるので、リフロー半田付けの際にフラックスが筐体内部に流入しても、フラックスが導体接触部分まで到達するのを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態の押しボタンスイッチを示し、(a)が上方からの斜視図、(b)が下方からの斜視図。
図2】本発明の第一実施形態の押しボタンスイッチの分解図。
図3】本発明の第一実施形態の押しボタンスイッチの長手方向の中央断面図。
図4】本発明の第一実施形態の押しボタンスイッチの基台の上方からの斜視図。
図5図4の部分拡大断面図。
図6】本発明の第二実施形態の押しボタンスイッチを示し、(a)が上方からの斜視図、(b)が下方からの斜視図。
図7】本発明の第二実施形態の押しボタンスイッチの分解図。
図8】本発明の第二実施形態の変形例の押しボタンスイッチの分解図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の押しボタンスイッチについて、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、押しボタンスイッチと押しボタンスイッチを構成する部材を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、特にことわらない限り、本明細書では便宜上、図3に示す押しボタンスイッチの向きを基準に「上」および「下」などの方向を表す。なお、2つの数値の間に「〜」を用いて数値範囲を表す場合、これら2つの数値も範囲に含まれる。また、重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0013】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る押しボタンスイッチ10を示し、図1(a)は上方からの斜視図で、図1(b)は下方からの斜視図である。図2は、押しボタンスイッチ10の分解図である。図3は、押しボタンスイッチ10の上面の中心から長手下方に垂直に切断したときの断面図である。押しボタンスイッチ10は、筐体12と、可動導体であるタクトバネ14と、ボタン16とを備えている。筐体12は、基台18と、蓋体であるカバーシート20とを備えている。
【0014】
図4は、基台18の上方からの斜視図である。図5は、図4の点線で囲まれた部分を、基材22の側面22Saと平行に基台18を切断したときの断面とともに示している。基台18は、樹脂製の基材22と、第一めっき層24と、第二めっき層26と、筐体12の内部と外部を通気する通気路30と、通気路30の途中であって、スイッチの電気的接触点の外側に設けられたフラックス溜め溝32とを備えている。基台18に通気路30を設けることによって、押しボタンスイッチ10をリフロー半田付けで回路基板に実装するとき、筐体12の内部で膨張した空気が通気路30を通って筐体12の外部に排出される。このため、膨張空気によってカバーシート20が剥がれたり、筐体12が反り上がるのをほぼ防げる。
【0015】
基台18は、例えば3D−MID法によって作製される。すなわち、基材22が熱可塑性樹脂の射出成形によって製造され、第一めっき層24と第二めっき層26は、以下のようにして基材22の表面に形成される。まず、第一めっき層24と第二めっき層26を形成したい基材22の表面部分に、レーザー光を照射する。基材22のレーザー光が照射された部分は、活性化されて金属核が形成される。つぎに、例えば、無電解銅浴に基材22を浸して、レーザー光が照射された基材22の表面部分に銅を析出させる。なお、電解銅メッキで配線を厚付けする場合もある。そして、フラッシュめっき加工処理によって、銅表面にニッケル、金等のめっきを施す。
【0016】
このように、基台18に設けられる導体層が、インサート成形によって樹脂と一体化されたリードフレームではなくめっき層であるため、導体層と基材に隙間ができない。このため、押しボタンスイッチ10をリフロー半田付けで回路基板に実装するとき、導体層と基材の間から筐体12の内部にフラックスが流入しない。万が一、通気路30から筐体12の内部にフラックスが流入しても、通気路30の途中であって、スイッチの電気的接触点の外側に設けられたフラックス溜め溝32に流入したフラックスが溜まるので、筐体12の内部の中央付近にある電気的接触点までフラックスが到達しない。
【0017】
第一めっき層24は、少なくとも基材22の上面22Uの一部に形成されている。また、第二めっき層26は、第一めっき層24と隔てて、すなわち第一めっき層24と絶縁するように、少なくとも基材22の上面22Uの一部に形成されている。本実施形態では、第一めっき層24と第二めっき層26が、基材22の側面22Sa,22Sbの一部と、下面22Lの一部にも形成されている。
【0018】
基材22の上面22Uの中央には、凹部22Rが設けられている。基材22に凹部22Rを設けることによって、タクトバネ14を凹部22Rに収納でき、押しボタンスイッチ10の薄型化が図れる。なお、基材22に凹部22Rを設けることによって、通気路30から筐体12の内部にフラックスが流入した場合、周囲より低い凹部22Rにフラックスが流れやすくなるが、通気路30の途中であって、スイッチの電気的接触点の外側に設けられたフラックス溜め溝32にフラックスが溜まるので、凹部22Rの中央付近にある電気的接触点までフラックスが到達しない。
【0019】
第一めっき層24と第二めっき層26は、凹部22Rの底22RBにも形成されている。ただし、凹部22Rの底22RBは二段になっており、低い段の上面22RBaに第一めっき層24が、高い段の上面22RBbに第二めっき層26がそれぞれ形成されている。基材22の上面22Uの周縁22UEには、高縁部22UEaと、第一低縁部22UEbと、第二低縁部22UEcとが形成されている。第一低縁部22UEbと第二低縁部22UEcの上面は、凹部22Rの底面、すなわち凹部22Rの底22RBの低い段の上面22RBaより高い。
【0020】
第一めっき層24は、第一低縁部22UEbの上面にも形成されている。また、第二めっき層26は、第二低縁部22UEcの上面にも形成されている。そして、第一めっき層24と第二めっき層26の少なくとも一方と、高縁部22UEaとの間に隙間が形成されている。本実施形態では、第一めっき層24と第二めっき層26の双方と、高縁部22UEaとの間に隙間が形成されている。この隙間は、高縁部22UEaの側面と第一めっき層24の側面の隙間、および高縁部22UEaの側面と第二めっき層26の側面の隙間でもある。この隙間は、幅が20〜100μmで、筐体12の内部と外部を通気する通気路30の少なくとも一部となっている。本実施形態では、基材22に設けた導体層がめっき層であるため、高縁部22UEaと第一めっき層24および第二めっき層26との間に、このような微細な幅の隙間が設けられる。
【0021】
フラックス溜め溝32は、第一低縁部22UEbと第二低縁部22UEcの少なくとも一方に設けられている。本実施形態では、第一低縁部22UEbと第二低縁部22UEcの双方に、フラックス溜め溝32が2つずつ設けられている。フラックス溜め溝32が第一低縁部22UEbと第二低縁部22UEcに設けられているため、筐体12の内部に流入したフラックスが、フラックス溜め溝32に導入される。また、フラックス溜め溝32の開口が、凹部22Rの底面より高く、第一低縁部22UEbと第二低縁部22UEcの上面と同じ高さであるため、筐体12の内部に流入したフラックスが、フラックス凹部22Rの底面にほとんど到達しない。
【0022】
通気路30は、図2および図5に示すように、基材22の側面22Saの開口から、高縁部22UEaの側面、第一めっき層24の側面、接着シート34の下面、および第一低縁部22UEbの上面によって囲まれた空間を経て、フラックス溜め溝32で合流し、高縁部22UEaの側面、第一めっき層24の側面、接着シート34の下面、および第一低縁部22UEbの上面によって囲まれた空間をさらに経て、凹部22Rにつながっている。
【0023】
タクトバネ14は、ドーム形状を有する金属薄板である。本実施形態では、3枚のタクトバネ14を重ねて使用している。タクトバネ14は、筐体12の内部である凹部22Rに設けられている。具体的には、タクトバネ14の両端が、凹部22Rの底22RBの高い段の上面22RBbの上に置かれている。このとき、タクトバネ14の一端14aは、凹部22Rの底22RBの低い段の上面22RBaに形成された第一めっき層24と隔てて、すなわち第一めっき層24と絶縁するように置かれている。一方、タクトバネ14の他端14bは、凹部22Rの底22RBの高い段の上面22RBbに形成された第二めっき層26の上面に接触するように、すなわち第二めっき層26と導通するように置かれている。
【0024】
そして、タクトバネ14の中央部が上方から押されたときに、タクトバネ14の中央部は窪んで、第一めっき層24の円形部分24Cと接触点で接触する。このとき、第一めっき層24と第二めっき層26は、タクトバネ14を介して導通する。本実施形態では、カバーシート20のボタン16を覆っている部分を指で押すと、ボタン16を介してタクトバネ14が押される。なお、ボタン16を設けず、タクトバネ14がカバーシート20で直接覆われていてもよい。
【0025】
一方、タクトバネ14の中央部が上方から押されていないとき、例えば、カバーシート20を押している指をカバーシート20から離したとき、タクトバネ14はドーム形状に復元して、第一めっき層24と第二めっき層26が絶縁される。こうして、第一めっき層24と第二めっき層26が絶縁状態から導通状態に切り換わることによって、押しボタンスイッチ10が押されたことを認識して、回路基板が作動する。つまり、押しボタンスイッチ10が押されたことに対応して、回路基板上のCPUが所定のプログラムを実行する。なお、タクトバネ14の材質、形状、厚さ、および数量等は、タクトバネ14が可動部材として機能する限り特に制限がない。カバーシート20は、樹脂やゴム等の絶縁体から構成されている。カバーシート20は、接着シート34を介して、基台18の上方に接着されている。
【0026】
押しボタンスイッチ10は、回路基板の金属配線部に半田付けすることによって回路基板に実装される。すなわち、半田粉末とフラックスを含有する半田ペーストが金属配線の所定部分に印刷された回路基板を用意し、半田ペースト上に押しボタンスイッチ10を置く。そして、回路基板を加熱して半田粉末を溶かした後、冷却して押しボタンスイッチ10を回路基板に搭載する。この加熱工程で、押しボタンスイッチ10が、例えば約80℃になったときに、筐体12の内部の空気が通気路30を経由して外部に排出される(図5の破線矢印参照)。さらに高温に加熱した後、冷却工程で押しボタンスイッチ10が、例えば約150℃になったときに、通気路30から筐体12の内部にフラックスが流入する可能性があるが、フラックス溜め溝32に流入したフラックスが溜まるので、フラックスが凹部22Rまで到達しない。
【0027】
(第二実施形態)
図6は、本発明の第二実施形態に係る押しボタンスイッチ40を示し、図6(a)は上方からの斜視図で、図6(b)は下方からの斜視図である。図7は、押しボタンスイッチ40の分解図である。第一実施形態の押しボタンスイッチ10の基材22と異なり、本実施形態の押しボタンスイッチ40の基材42は、2つの突起44,44を下面42Lに備えている。押しボタンスイッチ40のその他の構成部材は、押しボタンスイッチ10の構成部材と同じである。このように、押しボタンスイッチ40の底面に複数の突起が設けられているので、押しボタンスイッチ40を回路基板に位置精度よく実装できる。そして、押しボタンスイッチ10と同様に、リフロー半田付けのとき、タクトバネ14と第一めっき層24の接触点までフラックスが流入することはほぼない。
【0028】
図8は、第二実施形態の応用例の押しボタンスイッチ50の分解図である。押しボタンスイッチ50の基材52の上面には、タクトバネ14を収納する凹部が設けられていない。このため、基台54と、カバーシート20の間には、中央にタクトバネ14を収納する穴が形成された中間シート56が設けられている。基台54と中間シート56は、中間シート56の下面に設けられた接着層を介して接着され、中間シート56とカバーシート20は、中間シート56の上面に設けられた接着層を介して接着されている。基台54と、中間シート56と、カバーシート20によって、筐体58が構成されている。なお、押しボタンスイッチ40において、タクトバネ14の数量を増やした場合に、カバーシート20と基台46の間に、中間シート56を設けてもよい。
【符号の説明】
【0029】
10 押しボタンスイッチ
12 筐体
14 タクトバネ
14a 一端
14b 他端
16 ボタン
18 基台
20 カバーシート
22 基材
22U 上面
22UE 周縁
22UEa 高縁部
22UEb 第一低縁部
22UEc 第二低縁部
22Sa,22Sb 側面
22L 下面
22R 凹部
22RB 底
22RBa 低い段の上面
22RBb 高い段の上面
24 第一めっき層
24C 円形部分
26 第二めっき層
30 通気路
32 フラックス溜め溝
34 接着シート
40 押しボタンスイッチ
42 基材
42L 下面
44 突起
46 基台
50 押しボタンスイッチ
52 基材
54 基台
56 中間シート
58 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8