(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記計測動作は、前記カード状媒体の厚さ方向の一方側に前記光学センサを移動させる第1計測動作、および、前記カード状媒体の厚さ方向の他方側に前記光学センサを移動させる第2計測動作の一方もしくは両方であることを特徴とする請求項1または2に記載のカード状媒体枚数計数方法。
前記複数の前記計数値の一部が一致する場合は、当該一致した前記計数値の重み付けを大きくするか、あるいは、当該一致した前記計数値を選択することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のカード状媒体枚数計数方法。
前記確からしさは、算出された前記カード状媒体の枚数の確からしさである第1確からしさ、前記カード状媒体の種類あるいは形状が正しいことの確からしさである第2確からしさ、前記カード状媒体が媒体収容部に正しい状態で収容されていることの確からしさである第3確からしさを含み、
前記第1確からしさ、前記第2確からしさ、および前記第3確からしさが全てのランクの中で最も高いAランクと、前記第1確からしさが前記Aランクと同程度で、且つ、前記第2確からしさおよび前記第3確からしさの少なくとも一方が前記Aランクよりも低いBランクと、前記第1確からしさが前記Aランクよりも低く、且つ、前記第2確からしさおよび前記第3確からしさの少なくとも一方が前記Aランクよりも低いCランクと、を含む複数のランクに前記計数値をランク付けすることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のカード状媒体枚数計数方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明を適用したカード状媒体枚数計数装置およびカード状媒体枚数計数方法の実施形態を説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は本発明の実施形態に係るカード状媒体枚数計数装置1の斜視図であり、
図2はカード状媒体枚数計数装置1が搭載されるカード発行装置10の概略構成図である。また、
図3はカード状媒体枚数計数装置1の部分平面図である。カード状媒体枚数計数装置1は、厚さ方向で重なるように収容されるカード状媒体2(
図3参照)の枚数を数えるための装置である。カード状媒体2は、例えば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形のカードである。以下、本明細書において、カード状媒体2を「カード2」とし、カード状媒体枚数計数装置1を「カード計数装置1」とする。
【0018】
カード計数装置1は、例えば、
図2に示すカード発行装置10に搭載される。カード発行装置10は、銀行等に設置され、顧客に渡される新規のカード2を発行する。カード発行装置10は、発行されるカード2にデータの記録等を行うカードリーダ6と、発行前の複数のカード2が収容されるカード収容装置7と、カード収容装置7からカードリーダ6へカード2を搬送するカード搬送装置8を備える。カード発行装置10は複数のカード収容装置7を備え、それぞれのカード収容装置7にカード計数装置1が組み込まれている。
【0019】
カード発行装置10において、カード2が発行されるときには、まず、発行されるカード
2が収容されるカード収容装置7からカード搬送装置8へカード2が送り出され、カード搬送装置8によってカードリーダ6へカード2が送り込まれる。カードリーダ6は、データの記録やカード表面への印字などの所定の処理を行い、カード2を排出する。
【0020】
(カード状媒体枚数計数装置)
図1に示すように、カード計数装置1(カード状媒体枚数計数装置)は、カード2を収容する媒体収容部であるカード収容部3と、カード状媒体計数機構であるカード計数機構4と、カード状媒体送出機構であるカード送出機構5を備える。カード収容部3には、複数枚のカード2が厚さ方向に積層されて収容される。カード計数機構4は、カード収容部3に収容されたカード2の枚数を数える計数動作および計数処理を行う。カード送出機構5は、カード収容部3に収容されたカード2を1枚ずつ送り出す。
【0021】
本明細書において、カード2が積層される方向は上下方向Zであり、上下方向と直交し、且つ、互いに直交する2方向を前後方向Xおよび左右方向Yとする。+Z方向は上方であり、−Z方向は下方である。また、+X方向は前側であり、−X方向は後側であり、+Y方向は右側であり、−Y方向は左側である。
【0022】
図1に示すように、カード収容部3は、上方(+Z方向)および後方(−X方向)が開口する箱型のカードカセット3aと、カードカセット3aを下側から支持する支持部3bを備える。カードカセット3aは、上下方向Zに見たときの外形が前後方向Xを長手方向とする略長方形である。カードカセット3aは、カード2が収容される空間の前後方向Xおよび左右方向Yを囲む右側壁部3c、左側壁部3d、前側壁部3e、後側壁部3fを備える。カードカセット3aの後側壁部3fの左側および左側壁部3dの後側は開口部となっている。また、カードカセット3aは、カード2が収容される空間の下側を囲む底面部3gを備える。
【0023】
図3に示すように、カード2は、カード2の長辺方向が前後方向Xと一致する姿勢でカードカセット3aに収容される。複数のカード2は、カードカセット3a内で上下方向Zに積層される。
図1に示すように、カード収容部3には、カードカセット3aの右側壁部3cに沿って上下方向Zに移動可能な錘9が取り付けられる。錘9は、カードカセット3aに収容されたカード2の上に載っており、その重心は積層されたカード2の短辺方向の略中央にある。
図1では、錘9がカードカセット3aの上端へ退避した状態が図示される。
【0024】
図3において一点鎖線で示すように、カード2は、例えば磁気カードであり、磁気ストライプ2aを備える。カード2は長方形であり、磁気ストライプ2aはカード2の長辺方向に延在する。なお、カード2にICチップが内蔵されていてもよい。
【0025】
図1に示すように、カード送出機構5は、支持部3bの内側に配置される。カード送出機構5は、カードカセット3a内で積層されている複数のカード2の中で一番下に配置されているカード2の後端に係合する送出爪5aと、送出爪5aを駆動する図示しない爪駆動機構を備える。カードカセット3aの前側壁部3eの下端には、カード2が通過する図示しないゲートが形成されている。カード送出機構5は、一番下に配置されているカード2をゲートから前側(+X方向)に送出する。
【0026】
カード計数機構4は、カードカセット3aの右側壁部3cに取り付けられている。カードカセット3aには、右側壁部3cを左右方向Yに貫通する貫通孔3kが形成されている。貫通孔3kは、上下方向Zを長手方向とする長方形であり、カードカセット3aの前後方向Xの略中央に位置する。カード計数機構4は、貫通孔3kに配置されたセンサ16〜18を備える。カードカセット3aには、貫通孔3kを塞ぐように図示しない透光性のカ
バー部材が取り付けられている。従って、センサ16〜18は、透光性のカバー部材を介して、カードカセット3aに収容されたカード2の端面2b(
図3参照)と対向する。
【0027】
図4はカード状媒体枚数計数機構(カード計数機構4)の斜視図である。カード計数機構4は、センサ16〜18と、センサ16〜18が搭載されるキャリッジ19と、キャリッジ19を上下方向Zへ移動させるキャリッジ駆動機構20とを備える。キャリッジ19およびキャリッジ駆動機構20は、センサ移動機構を構成する。また、カード計数機構4は、キャリッジ19を上下方向Zへ移動可能に保持するとともにキャリッジ駆動機構20が支持されるフレーム部21と、キャリッジ19に固定される回路基板22と、フレーム部21に固定される回路基板23とを備える。
【0028】
フレーム部21は、カード計数機構4の上端部分を構成する上フレーム26と、カード計数機構4の下端部分を構成する下フレーム27と、上フレーム26と下フレーム27とを繋ぐ2本のガイド軸28と、上フレーム26と下フレーム27とを繋ぐ縦フレーム29を備える。2本のガイド軸28は、ガイド軸28の軸方向と上下方向Zとが一致するように配置されている。また、2本のガイド軸28は、前後方向Xに所定の間隔をあけた状態で配置されている。キャリッジ19の前後方向Xの両端には、ガイド軸28が挿通される円筒状のガイドブッシュ30が取り付けられている。
【0029】
キャリッジ駆動機構20は、下フレーム27に固定されたモータ32と、モータ32の駆動力によって回転するリードスクリュー33を備える。リードスクリュー33は、リードスクリュー33の軸方向と上下方向Zとが一致するようにフレーム部21に回転可能に保持される。リードスクリュー33には、キャリッジ19に保持されるナット部材(図示庄R宅)が係合する。従って、モータ32が駆動すると、キャリッジ19は、ガイド軸28に沿って上下方向へ移動する。
【0030】
キャリッジ19は平板状であり、センサ16〜18が配置される配置孔19aが形成されている。配置孔19aはキャリッジ19を貫通する。センサ16〜18が実装される回路基板22は、キャリッジ19と縦フレーム29の間に配置され、キャリッジ19に固定されている。従って、センサ16〜18は、回路基板22を介してキャリッジ19に搭載されている。
【0031】
センサ16〜18は、カード2に向かって光を射出する発光素子とカード2で反射された反射光を受光する受光素子とを備える反射型の光学センサである。このセンサ16〜18は、受光素子の受光量に応じて信号レベルが変動する出力信号SG(
図6参照)を出力する。具体的には、センサ16〜18の受光部は、受光量が大きいと信号レベルが高くなり、受光量が小さいと信号レベルが低くなる出力信号SGを出力する。
【0032】
センサ17、18は、上下方向Zの位置が同一であり、前後方向Xで隣接する。また、センサ16は、センサ17、18の上方(+Z方向)に配置され、前後方向Xにおけるセンサ17とセンサ18との間の中間位置に配置される。すなわち、3個のセンサ16〜18は、前後方向Xの位置が互いにずれた状態でキャリッジ19に搭載されている。
【0033】
センサ16〜18は、カードカセット3aに収容されるカード2の端面2bに沿って、カード2の厚さ方向である上下方向Zへ移動する。
図4は、センサ16〜18が上下方向Zの移動範囲の下限位置H1に位置する状態を示す。センサ16〜18の下限位置H1は、カードカセット3aの底面部3gよりも下側に位置する。このため、センサ16〜18が下限位置H1にあるときには、センサ16〜18は、カード収容部3内で最も下側に配置されるカード2よりも下側に位置する。一方、センサ16〜18の上下方向の移動範囲の上端である上限位置H2は、カードカセット3aに収容可能な最大枚数のカード2が収
容された状態で最も上側に配置されるカード2よりも上側に位置する。
【0034】
カードカセット3aに収容されるカード2の枚数の計測前に、キャリッジ19は、センサ16〜18が下限位置H1に配置されるホームポジションHPで待機する。カード収容部3には、下限位置H1に位置するセンサ16〜18と対向する位置に補正用マークが設けられている。回路基板22には、センサ16〜18から補正用マークに向かって光を射出し、補正用マークで反射された光の検出結果に基づいてセンサ16〜18の感度を自動補正する自動補正回路が実装されている。自動補正により、センサ16〜18の発光素子の発光量や、後述する増幅回路41のゲイン等が調整される。
【0035】
(制御系)
図5はカード計数装置1(カード状媒体枚数計数装置)の制御系のブロック図である。カード計数装置1は、カード計数機構4およびカード送出機構5を制御する制御部40を備える。制御部40を構成する処理回路は、センサ16〜18が搭載される回路基板22、および、カードカセット3aの左側壁部3dの下側に配置される回路基板44(
図1参照)に実装される。回路基板22に設けられた処理回路から出力される信号は、ケーブル43および回路基板23を介して回路基板44へ入力される。
【0036】
制御部40は、センサ16〜18からの出力信号SGを処理するための増幅回路41と、A/D変換回路42と、CPU45を備える。増幅回路41、A/D変換回路42、およびCPU45は、回路基板22に実装される。また、制御部40は、キャリッジ駆動機構20のモータ32を駆動する駆動回路46を備える。駆動回路46は、回路基板44に実装される。
【0037】
カード計数機構4は、カードカセット3aに収容されたカード2の計数時に、上下方向Zに積層されたカード2の端面2bに沿って上下方向Zにセンサ16〜18を移動させる計測動作を行う。具体的には、上述した下限位置H1から上限位置H2まで移動させる第1計測動作である上昇動作、あるいは上限位置H2から下限位置H1までセンサ16〜18を移動させる第2計測動作である下降動作を行う。カードカセット3aにカード2が収容された状態でキャリッジ19を上下方向Zに移動させると、センサ16〜18のそれぞれから、
図6に示すようなアナログ信号である出力信号SGが得られる。
【0038】
図6に示す出力信号SGは、増幅回路41による補正後のアナログ信号である。また、
図6に示す微分信号DFは、出力信号SGを微分処理することにより得られる信号である。微分信号DFを生成する処理は、微分回路に出力信号SGを入力する、あるいは、微分処理を行うプログラムを実行することにより行われる。制御部40は、
図6に示す出力信号SGおよびその微分信号DFに基づいて、出力信号SGのピーク位置Pv、Bvを特定する処理を行う。ピーク位置Pvは、出力信号SGが+側に凸となる極大側のピーク位置である。また、ピーク位置Bvは、出力信号SGが−側に凸となる極小側のピーク位置(すなわち、ボトム位置)である。
図6に示すように、出力信号SGの波形は、全体としてカード2の枚数に対応する数のピークを備える波形となるが、カード2の端面の凹凸などに起因する細かな波形の乱れが存在する場合がある。例えば、
図6に示す例では、+側に凸となる大きな波形のピーク付近に細かなピークが複数存在する場合がある。制御部40は、これらの細かなピークの中から、カード2の枚数を計数する処理において計数対象とするピーク位置Pv、Bvを特定する処理を行う。
【0039】
(出力信号のピーク位置を特定する処理)
図7は出力信号SGのピーク位置を特定する処理の説明図であり、
図6の領域Aの部分拡大図である。
図7(a)、(c)は出力信号SGの部分拡大図であり、
図7(b)は微分信号DFの部分拡大図である。また、
図8は出力信号SGのピーク位置を特定する処理
のフローチャートである。
図6に示すように、微分信号DFは、出力信号SGの極大値および極小値が出現する位置で絶対値がゼロになる。以下、微分信号DFの絶対値がゼロになる位置をゼロクロス点という。
【0040】
図6の領域Aの出力信号SGの前半には、全体として+側に凸となる大きな波形が1つ存在する。しかしながら、
図7(a)に示すように、この波形のピークには乱れがあり、細かなピークが2つ存在する。従って、領域Aの微分信号DFの前半には、
図7(b)に示すように、複数のゼロクロス点DF1、DF2、DF3が存在する。また、
図6の領域Aの出力信号SGの後半には、全体として−側に凸となる大きな波形が1つ存在し、その波形には乱れがない。従って、領域Aの微分信号DFの後半には、1つのゼロクロス点DF4が存在する。
【0041】
ゼロクロス点DF1、DF3は微分信号DFが−から+へ切り換わる位置であるのに対し、ゼロクロス点DF2、DF4は微分信号DFが+から−へ切り換わる位置である。つまり、ゼロクロス点DF1、DF3とゼロクロス点DF2、DF4は、微分信号DFの傾きが逆の位置に存在する。また、ゼロクロス点DF1、DF3は出力信号SGの極大値(ピーク位置SG1、SG3)に対応するのに対し、ゼロクロス点DF2、DF4は出力信号SGの極小値(ピーク位置SG2、SG4)に対応する。つまり、ゼロクロス点DF1、DF3に対応する出力信号SGのピークの向きと、ゼロクロス点DF2、DF4に対応する出力信号SGのピークの向きは逆向きである。
【0042】
以下、
図7、
図8を参照して、領域Aのピーク位置Pvを特定する処理を説明する。制御部40は、まず、領域Aの微分信号DFのゼロクロス点を検出する(ステップST1)。次に、ゼロクロス点DF1に対応するピーク位置(候補位置)を出力信号SGから検出し、候補位置を起点として出力信号SGの積分処理を開始する(ステップST2)。具体的には、ステップST1において−から+へ切り換わるゼロクロス点DF1(
図7(b)参照)を検出すると、ステップST2において、検出したゼロクロス点DF1に対応するピーク位置SG1を検出し(
図7(b)参照)、このピーク位置SG1を候補位置とする。そして、候補位置(ピーク位置SG1)を起点として出力信号SGの積分処理を開始する。積分処理は、積分回路に出力信号SGを入力する、あるいは、積分処理を行うプログラムを実行することにより行われる。
【0043】
制御部40は、ステップST3〜ST5において、候補位置(ピーク位置SG1)から、ピークの向きが逆である別のピーク位置までの積分値を求める。そして、積分値が基準値SV以上となるピーク位置が出現するまで、積分を継続する。そして、ピークの向きが逆である別のピーク位置までの積分値が基準値SV以上となる場合に(ステップST5:Yes)、計数対象となるピーク位置Pvが存在したと判定する(ステップST6)。上述したように、出力信号SGの細かな乱れによるピークが存在した場合、この乱れの範囲内では、1つのピーク位置から次の逆向きのピーク位置までの積分値は小さい。従って、積分値が基準値SV以上か否かの判定を行うことにより、出力信号SGの細かな乱れをカード2の枚数に対応するピーク位置Pvであると誤判定するおそれを少なくすることができる。
【0044】
具体的には、制御部40は、ステップST2で積分処理を開始すると、候補位置(ピーク位置SG1)に対応するゼロクロス点とは微分信号DFの傾きが逆のゼロクロス点が検出されるか否かを監視する(ステップST3)。候補位置は極大側のピーク位置SG1であってゼロクロス点DF1では微分信号DFが+から−へ切り換わる。従って、ステップST3では、微分信号DFが−から+へ切り換わるゼロクロス点を検出する。検出された場合(ステップST3:Yes)、ステップST4へ進む。例えば、制御部40は、微分信号DFが−から+へ切り換わるゼロクロス点DF2を検出すると、ステップST4へ進
む。検出されない場合(ステップST3:No)、積分を継続する(ステップST5)。
【0045】
ステップST4では、制御部40は、積分値が基準値SV以上であるか否かを判定する。基準値SVは予め設定された値である。例えば、出力信号SGの細かな乱れを除去した大きな波形を想定し、そのピーク間隔(すなわち、波形1箇所分の区間)を積分区間として出力信号SGを積分した積分値に所定の係数(例えば、0.5など)を掛けて基準値SVを決定することができる。あるいは、センサ16〜18から出力信号SGを取得する毎に、制御部40が基準値SVをその都度算出することもできる。例えば、出力信号SGを取得する毎にその波高値を検出し、波高値に基づいて基準値SVを算出することができる。
【0046】
制御部40は、積分値が基準値SV以上でない場合(ステップST4:No)、積分を継続する(ステップST5)。例えば、
図7(a)に示す例では、ゼロクロス点DF1とは微分信号DFの傾きが逆のゼロクロス点DF2が検出されたものの、ゼロクロス点DF2に対応するピーク位置SG2までの積分値INT1は基準値SV未満である。従って、この場合は積分を継続し、ゼロクロス点DF1とは傾きが逆である次のゼロクロス点DF4が検出されるまで積分を継続する。
図7(c)に示すように、次のゼロクロス点DF4に対応するピーク位置SG4までの積分値INT2は、基準値SV以上である(ステップST5:Yes)。従って、この場合はステップST6へ進み、計数対象となるピーク位置Pvが存在したと判定する。
【0047】
ステップST7では、制御部40は、計数対象となるピーク位置Pvを特定する。例えば、積分処理の起点となった候補位置(ピーク位置SG1)をピーク位置Pvであると特定する。あるいは、他の位置をピーク位置Pvであると特定することもできる。例えば、
図7(a)、(c)に示す例では、候補位置(ピーク位置SG1)から、積分値が基準値SV以上となる位置(ピーク位置SG4)までの間にもう1つのピーク位置SG3が存在する。従って、この場合には、2箇所のピーク位置SG1、SG3のどちらか、もしくは、2箇所のピーク位置SG1、SG3の中間位置をピーク位置Pvとすることができる。例えば、ピーク位置SG1の座標L1とピーク位置SG3の座標L3から、その中間位置(L1+L3)/2を算出してピーク位置Pvの座標とすることができる。
【0048】
制御部40は、ピーク位置Pvを特定すると、続いて、ピーク位置Bv(ボトム位置)を特定する処理へ進む。例えば、制御部40は、積分値をリセットし、次の候補位置を起点として積分を開始する(ステップST8)。例えば、前回の積分処理を終了したピーク位置SG4を次の候補位置として積分を開始する。そして、ステップST3へ戻り、ステップST3〜ST7の処理を行う。これにより、ピーク位置Bvが特定される。以下、ステップST3〜ST8の処理を繰り返すことにより、ピーク位置Pv、Bvが交互に特定される。
【0049】
なお、上記の処理では、積分値が基準値SV以上となるまでは積分を継続するが、次のゼロクロス点DF2に対応するピーク位置SG2までの積分値が基準値SV未満であった場合には積分を終了することもできる。この場合には、ゼロクロス点DF2に対応するピーク位置SG2を次の候補位置として積分処理を開始する。あるいは、ゼロクロス点DF2に対応するピーク位置SG2はピーク位置Bv(ボトム位置)でないと判定し、次のゼロクロス点DF3を検出し、次のゼロクロス点DF3に対応するピーク位置SG3を次の候補位置として積分処理を開始する。そして、次のゼロクロス点DF4までの積分値が基準値SV以上であれば、制御部40は、計数対象となるピーク位置Pvが存在したと判定する。そして、ピーク位置Pvを特定する処理を行う。
【0050】
この場合には、ピーク位置SG3を計数対象のピーク位置Pvであると決定する。ある
いは、積分値が基準値SV未満であった1つ前の候補位置(ピーク位置SG1)と、積分値が基準値SV以上となった今回の候補位置(ピーク位置SG3)の間の所定位置を計数対象のピーク位置Pvであると決定することもできる。例えば、ピーク位置SG1の座標L1とピーク位置SG3の座標L3から、その中間位置(L1+L3)/2を算出して、計数対象のピーク位置Pvの座標とすることができる。
【0051】
このように、積分値が基準値SV以上となるまでの区間に複数のピーク位置が存在する場合には、これらの複数のピーク位置から算出した所定位置を計数対象のピーク位置Pvとして採用することができる。このようにすれば、ピーク間隔を算出する場合に、ピーク間隔のばらつきを少なくすることができる。
【0052】
(カード枚数の計数値のランク付け)
制御部40は、センサ16〜18のそれぞれから得られた出力信号SGに基づき、カードカセット3aに収容されたカード2の枚数を計数する処理を行う。すなわち、センサ16〜18のそれぞれから得られた出力信号SGに対してピーク位置Pv、Bvを特定する処理を行い、特定されたピーク位置Pv、Bvに基づいてカード枚数の計数値を算出する。また、制御部40は、算出された計数値の「確からしさ」に基づき、算出された計数値をAランク〜Dランクの4段階にランク付けする処理を行う。
【0053】
(ランク付けの判定基準)
本形態では、カード2の計数値をAランク〜Dランクにランク付けする処理に用いられる「確からしさ」として、「第1確からしさ」と「第2確からしさ」および「第3確からしさ」の3種類を用いる。詳細については後述するが、「第1確からしさ」とは、「算出されたカード2の枚数の確からしさ」である。また、「第2確からしさ」とは、「カード2の種類や形状が正しいことの確からしさ」である。そして、「第3確からしさ」とは、「カードカセット3aにカード2が正しい状態で収容されていることの確からしさ」である。
【0054】
Aランク〜Dランクの判定基準は以下の(1)〜(4)に示す通りである。
(1)Aランクは、「第1確からしさ」「第2確からしさ」「第3確からしさ」が全て高い
(2)Bランクは、「第1確からしさ」がAランクと同程度で「第2確からしさ」と「第3確からしさ」の少なくとも一方がAランクより低い
(3)Cランクは、「第1確からしさ」がAランクより低く、「第2確からしさ」と「第3確からしさ」の少なくとも一方がAランクより低い
(4)Dランクは、「第1確からしさ」「第2確からしさ」「第3確からしさ」が全てCランクより低い
【0055】
(カード枚数計数処理およびそのランク付け処理)
図9はカード2の枚数を計数する処理およびそのランク付け処理のフローチャートである。また、
図10は
図6に示す出力信号SGの波形を模式的に示す説明図である。
図6に示すように、実際の出力信号SGには波形のピーク部分に乱れが存在するが、
図10に示す波形は、ピーク部分の乱れを省略したものである。制御部40は、センサ16〜18のそれぞれの出力信号SGに対して、
図9に示す処理を行い、センサ16〜18の個数と同じ数の計数値およびそのランク情報を算出する。
【0056】
以下、
図9、
図10を参照して、カード2の枚数を計数する処理およびそのランク付け処理について説明する。上述したように、出力信号SGはアナログ信号である。制御部40は、まず、出力信号SGが所定の閾値th0を超えているか否かを判定する(ステップST11)。閾値th0は、出力信号SGの最大値の0.3〜0.6程度に設定される。
これにより、カードカセット3aにカード2が収容されているか否かが判定される。
【0057】
次に、制御部40は、センサ16の出力信号SGのピーク位置Pvおよびピーク位置Bv(ボトム位置)を特定する(ステップST12)。本形態では、ピーク位置Pv、Bvに基づいてカード2の枚数を計数する処理を行う。つまり、ピーク位置Pv、Bvは計数対象となる位置である。ステップST12の処理の具体的内容は、既に説明したように、出力信号SGを微分処理した微分信号DFからゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点を起点として出力信号SGを積分処理した積分値に基づいてピーク位置Pv、Bvを特定する処理である。
【0058】
ステップST12に続いて、制御部40は、閾値th0よりも大きい所定の閾値th1を超える極大側のピーク位置Pvの有無を判定する(ステップST13)。閾値th1を超えるピーク位置Pvが存在する場合は(ステップST13:Yes)、閾値th1を超えるピーク位置Pvは1個か否かを判定する(ステップST14)。閾値th1を超えるピーク位置Pvが2個以上の場合は(ステップST14:No)、その間隔tiを算出する(ステップST15)。
図9に示す例では、間隔tiとしてt1〜t9が算出される。
【0059】
また、制御部40は、閾値th1を超える極大側のピーク位置Pvが2個以上であって(ステップST14:No)、且つ、閾値th1より小さい所定の閾値th2を下回る極小側のピーク位置Bv(すなわち、ボトム位置)の数が2個以上である場合、ステップST15において、閾値th2を下回る極小側のピーク位置Bv(ボトム位置)の間隔Tiを算出する。
図9に示す例では、間隔TiとしてT1〜T8が算出される。
【0060】
制御部40は、ステップST15で算出された間隔ti、Tiが正常であるか否かを基準値RVに基づいて判定する(ステップST16)。例えば、基準値RVとして、計数対象であるカード2の厚さをセンサ16〜18の移動速度で割った値が用いられる。制御部40は、間隔tiが第1基準範囲内(例えば、0.8RV〜1.2RV)であれば、間隔tiが正常であると判定する。また、間隔Tiが第2基準範囲内(例えば、0.8RV〜1.2RV)であれば、間隔Tiが正常であると判定する。
【0061】
(Aランクの判定)
制御部40は、ステップST16で間隔ti、Tiが正常であると判定された場合
(ステップST16:Yes)、総時間間隔Wおよび平均間隔Waを算出する(ステップST17)。総時間間隔Wは、出力信号SGが閾値th1を超えてから閾値th1以下となるまでの時間間隔であり、平均間隔Waは閾値th1を超える極大側のピーク位置Pvの数で総時間間隔Wを割った値である。そして、制御部40は、平均間隔Waが正常であるか否かを基準値RVに基づいて判定する(ステップST18)。ステップST18では、平均間隔Waが第3基準範囲内(例えば、0.8RV〜1.2RV)であれば、平均間隔Waが正常であると判定する。
【0062】
制御部40は、ステップST18で平均間隔Waが正常であると判定された場合(ステップST18:Yes)、閾値th1を超える極大側のピーク位置Pvの数をカードカセット3aに収容されたカード2の計数値(枚数)として、この計数値をAランクと判定する処理を行う(ステップST19)。
図10に示す例では、閾値th1を超えるピーク位置Pvは10箇所存在する。従って、カード2の枚数の計数値は10であり、そのランク情報はAランクである。
【0063】
(Bランクの判定)
制御部40は、ステップST16において、極大側のピーク間隔tiの少なくとも1つが第1基準範囲内から外れている場合、および、極小側のピーク間隔Ti(ボトム間隔)
の少なくとも1つが第2基準範囲から外れている場合のどちらかまたは両方の場合には、第1基準範囲内から外れているピーク間隔tiが所定の第1基準値RV1以下であり、且つ、第2基準範囲内から外れているピーク間隔Ti(ボトム間隔)が所定の第2基準値RV2以下であるか否かを判定する(ステップST21)。例えば、第1基準値RV1は1.6RV〜1.7RVの範囲内であり、第2基準値RV2は1.6RV〜1.7RVの範囲内である。
【0064】
ステップST21において、第1基準範囲内から外れている極大側のピーク間隔tiが第1基準値RV1以下であり、且つ、第2基準範囲内から外れている極小側のピーク間隔Ti(ボトム間隔)が所定の第2基準値RV2以下である場合は(ステップST21:Yes)、制御部40は、閾値th1を超える極大側のピーク位置Pvの数をカードカセット3aに収容されたカード2の計数値(枚数)として、この計数値をBランクと判定する処理を行う(ステップST22)。
【0065】
つまり、制御部40は、この場合は、第1確からしさ(カード2の枚数の確からしさ)は、Aランクと同程度であるが、例えば、カードカセット3aに収容されたカード2の中に種類や計数の違うカードが混ざっており、第2確からしさ(カード2の種類や形状の確からしさ)がAランクよりも低いと判断して、Bランクとランク付けする。あるいは、制御部40は、この場合は、第1確からしさはAランクと同程度であるが、例えば、カードカセット3aに収容されたカード2が斜めに傾いた状態で収容されていたり、カード2の間にごみが挟まれていたりして、第3確からしさ(カード2の収容状態の確からしさ)がAランクよりも低いと判断して、Bランクとランク付けする。
【0066】
また、制御部40は、ステップST18において、平均間隔Waが第3基準範囲から外れている場合にも(ステップST18:No)、ステップS22に進む。そして、上述したように、閾値th1を超える極大側のピーク位置Pvの数をカードカセット3aに収容されたカード2の計数値(枚数)として、この計数値をBランクと判定する処理を行う(ステップST22)。
【0067】
つまり、この場合は、制御部40は、第1確からしさ(カード2の枚数の確からしさ)は、Aランクと同程度であるが、カードカセット3aに収容されたカード2の中に種類や形状の異なるカード2が多数混ざっており、第2確からしさがAランクよりも低いと判断して、Bランクとランク付けする。
【0068】
(Cランクの判定)
制御部40は、ステップST21において、第1基準範囲内から外れている極大側のピーク間隔tiが第1基準値RV1を超えている場合、および、第2基準範囲内から外れている極小側のピーク間隔Ti(ボトム間隔)が第2基準値RV2を超えている場合の少なくともいずれかの場合は、制御部40は、極大側のピーク間隔tiが第1基準値RV1を超えるのか否かを判定する(ステップST23)。
【0069】
ステップST23において、極大側のピーク間隔tiが第1基準値RV1以下であり、且つ、極小側のピーク間隔Ti(ボトム間隔)が第2基準値RV2を超えている場合は、ステップST24に進み、補正値を算出する。すなわち、極小側のピーク間隔Ti(ボトム間隔)を基準値RVで割った値から1を引いた値に最も近い整数を補正値として算出する。そして、閾値th1を超える極大側のピーク位置Pvの数に補正値を加えた数をカードカセット3aに収容されたカード2の計数値(枚数)とするとともに、この計数値をCランクと判定する(ステップST25)。
【0070】
つまり、この場合は、制御部40は、求めたカード2の枚数の計数値に補正値が含まれ
ているため、第1確からしさ(カード2の枚数の確からしさ)がAランクよりも低いと判断するとともに、例えば、カードカセット3aに収容されたカード2の中に種類や形状の異なるカード2が混ざっており、第2確からしさがAランクよりも低いと判断するか、あるいは、カードカセット3aに収容されたカード2が斜めに傾いた状態で収容されており、第3確からしさがAランクよりも低いと判断して、Cランクとランク付けする。
【0071】
一方、ステップST23において、極大側のピーク間隔tiが第1基準値RV1を超えている場合は、ステップST26に進み、極小側のピーク位置Bv(ボトム位置)が閾値th0以下であるか否かを判定する。そして、ステップST26で極小側のピーク位置Bv(ボトム位置)が閾値th0を超えると判定した場合は、ステップST24、25へ進む。従って、閾値th1を超える極大側のピーク位置Pvの数に補正値を加えた数をカードカセット3aに収容されたカード2の計数値(枚数)とするとともに、この計数値をCランクと判定する。
【0072】
ステップST26で極小側のピーク位置Bv(ボトム位置)が閾値th0以下である場合は、例えば、カードカセット3aに収納されるカード2の間に隙間が形成されたと判断して、ステップST27へ進み、閾値th1を超える極大側のピーク位置Pvの数をカードカセット3aに収容されたカード2の計数値(枚数)とするとともに、この計数値をCランクと判定する。
【0073】
つまり、この場合は、制御部40は、第1確からしさがAランクよりも低いと判断するとともに、第2確からしさと第3確からしさの少なくとも一方がAランクよりも低いと判断して、Cランクとランク付けする。
【0074】
以上のように、制御部40は、基準値RVに基づいて算出される第1基準範囲および第1基準値RV1と、極大側のピーク間隔tiとの比較結果や、基準値RVに基づいて算出される第2基準範囲および第2基準値RV2と、極小側のピーク間隔Ti(ボトム間隔)との比較結果に基づいて、カードカセット3aに収容されるカード2の枚数を計数するとともに、Aランク、Bランク、Cランクの3種類のランクにランク付けする。
【0075】
すなわち、制御部40は、出力信号SGの極大側のピーク間隔tiの全てが第1基準範囲内であり、且つ、極小側のピーク間隔Ti(ボトム間隔)の全てが第2基準範囲内であり、さらに、平均間隔Waが第3基準範囲内である場合に、出力信号SGのピーク位置Pvから求めた計数値をAランクと判定する。
【0076】
また、制御部40は、極大側のピーク間隔tiのうちの少なくとも1つが第1基準範囲から外れるとともに第1基準範囲内から外れているピーク間隔tiが第1基準値RV1以下である場合、極小側のピーク間隔Ti(ボトム間隔)のうちの少なくとも1つが第2基準範囲から外れるとともに第2基準範囲内から外れているピーク間隔Tiが第2基準値RV2以下である場合、および、平均間隔Waが第3基準範囲から外れている場合、の少なくともいずれかの場合に、出力信号SGのピーク位置Pvから求めた計数値をBランクと判定する。
【0077】
そして、制御部40は、極大側のピーク間隔tiが第1基準範囲から外れるとともに第1基準範囲内から外れている極大側のピーク間隔tiが第1基準値RV1を超えている場合、および、極小側のピーク間隔Ti(ボトム間隔)が第2基準範囲から外れるとともに第2基準範囲内から外れている極小側のピーク間隔Tiが第2基準値RV2を超えている場合の少なくともいずれかの場合に、出力信号SGのピーク位置Pvから求めた計数値をCランクとランクづけする。
【0078】
(上記以外のAランクおよびDランクの判定)
ステップST14において、閾値th1を超える極大側のピーク位置Pvの数が「1」である場合(ステップST14:Yes)、総時間間隔Wが所定の第3基準値RV3以下であるか否かを判定する(ステップST29)。ステップST29で、総時間間隔Wが第3基準値RV3以下である場合(ステップST29:Yes)、制御部40は、カードカセット3aに収容されるカード2の枚数を「1」とし、Aランクにランク付けする(ステップST30)。
【0079】
一方、総時間間隔Wが第3基準値RV3を超えている場合(ステップST29:No)、制御部40は、総時間間隔Wを基準値RVで割った値を算出し(ステップST31)、この値をカードカセット3aに収容されるカード2の枚数とするとともに、Dランクとランク付けする(ステップST32)。すなわち、この場合は、制御部40は、算出されたカード2の枚数が総時間間隔Wと基準値RVに基づく全くの推定値であるため、第1確からしさがCランクよりも低いと判断するとともに、第2確からしさと第3確からしさの少なくとも一方がCランクよりも低いと判断して、Dランクとランク付けする。例えば、カード2の反射率が低くて出力信号SGのピーク位置Pv、Bvがはっきりしない場合などに、Dランクとランク付けする。
【0080】
また、ステップST13において、出力信号SGの全てのピーク位置Pvが閾値th1を超えない場合(ステップST13:No)、制御部40は、総時間間隔Wを基準値RVで割った値を算出し(ステップST33)、この値をカードカセット3aに収容されるカード2の枚数とするとともに、Dランクとランク付けする(ステップST34)。すなわち、この場合は、制御部40は、算出されたカード2の枚数が総時間間隔Wと基準値RVに基づく全くの推定値であるため、第1確からしさがCランクよりも低いと判断するとともに、第2確からしさと第3確からしさの少なくとも一方がCランクよりも低いと判断して、Dランクとランク付けする。
【0081】
また、ステップST11において、出力信号SGが閾値th0を超えない場合(ステップST11:No)、制御部40は、カードカセット3aに収容されるカード2の枚数を「0」とするとともに、この値をAランクとランク付けする(ステップST36)。例えば、出力信号SGが全く変化しない場合に、カード2の枚数を0枚と判定し、Aランクとランク付けする。
【0082】
(複数のセンサから得られた計数値に対する重み付け)
本形態では、カード計数機構4は複数のセンサ16〜18を備える。制御部40は、カード計数機構4を駆動して、センサ16〜18を下限位置H1から上限位置H2まで移動させる第1計測動作である上昇動作、および、センサ16〜18を上限位置H2から下限位置H1まで移動させる第2計測動作である下降動作を行う。1回の計測動作(上昇動作あるいは下降動作)により、センサ16〜18の個数と同じ数の計数値が得られ、且つ、各計数値に対するランク情報が得られる。
【0083】
制御部40は、1回の計測動作によって得られた複数の計数値を、各計数値のランク情報に基づいて重みづけする処理を行い、重みづけの結果に基づいてどの計数値を選択するかを決定する処理を行う。そして、選択した計数値を上位の制御部へ出力する処理を行う。例えば、制御部40は、カード計数装置1が搭載されるカード発行装置10の制御部に対して、重みづけの結果に基づいて選択した計数値を出力する処理を行う。なお、制御部40からカード発行装置10の制御部に対して、複数の計数値とそのランク情報を出力し、カード発行装置10の制御部が重みづけの結果に基づいてその計数値を選択するかを決定する処理を行うこともできる。
【0084】
図11は計数値に対する重み付けの説明図である。
図11(a)に示すように、Aランク〜Dランクのそれぞれには、重み付け用の点数NA、NB、NC、NDが対応付けられている。この点数は予め決定され、制御部40に記憶されている。また、
図12はランク付けの結果に基づいて計数値を選択する処理のフローチャートである。制御部40は、1回の計測動作(センサ16〜18の上昇動作あるいは下降動作)を行う毎に、
図12の処理を行う。まず、ステップST41において、センサ16〜18の出力信号SGに基づいてカード2の枚数の計数値をセンサ毎に算出するとともに、算出された計数値の確からしさに基づいて計数値をランク付けする処理を行う。ステップS41の処理の詳細は既に説明したとおりである。
【0085】
制御部40は、ステップST42において、それぞれの計数値に対して、ランク付けの結果に基づいて重み付け用の点数を対応づける処理を行う。例えば、
図11(b)に示す例では、センサ16、17、18の計数値はそれぞれ、ランクA、B、Dにランク付けされているので、これらの計数値に対する重み付けの点数はNA、NB、NDとなる。次に、ステップST43〜ST44において、重み付けの結果に基づいて複数の計数値のいずれかを選択する処理を行う。そして、ステップST45に進み、選択した計数値を上位の制御部へ出力する処理を行う。
【0086】
ステップST43では、制御部40は、計数値ごとに点数を合計する処理を行う。例えば、
図11(b)に示すように、センサ16、17の計数値がN1であり、センサ18の計数値がN2である場合、計数値N1、N2のそれぞれについて、重み付け用の点数の合計値を算出する。計数値N1、N2に対する合計点は、
図11(c)のように算出される。すなわち、計数値N1に対する重み付け用の点数の合計値はNA+NBであり、計数値N2に対する重み付け用の点数の合計値はNDである。制御部40は、ステップST44において、重み付け点数の合計値が最も大きい計数値を選択する。例えば、NA+NBとNDの大小を判定し、NA+NB>NDである場合には、計数値N1を選択する。
【0087】
このように、制御部40は、1回の計測動作(上昇動作あるいは下降動作)を行う毎に、得られた計数値の中から採用する計数値を選択する処理を行うことができるが、複数回の計測動作を行って得られた計数値の中から採用する計数値を選択する処理を行うこともできる。例えば、カード計数機構4を駆動して、センサ16〜18を下限位置H1と上限位置H2の間で往復移動させる場合には、センサ16〜18の出力信号SGから、各センサについてそれぞれ2個ずつの計数値が得られる。従って、制御部40は、合計6個の計数値をそれぞれ、上記のAランク〜Dランクのいずれかにランク付けし、それぞれの計数値をランク情報に基づいて重み付け用の点数NA、NB、NC、NDによって重み付けし、重み付けの結果に基づいて、採用する計数値を選択する処理を行うこともできる。
【0088】
重み付け用の点数を計数値ごとに合計した結果、複数の計数値に対する合計値が同一になってしまうと、採用する計数値を決定することができない。このような場合には、例えば、もう一度計測動作を行い、追加で行った計測動作で得られた計数値を加えて、あるいは、追加で行った計測動作で得られた計数値に対して重み付けの結果を集計し、採用する計数値を決定することができる。
【0089】
また、本形態は複数のセンサを備えているが、センサの数は3に限定されるものではなく、2あるいは4以上であってもよい。また、センサの個数が1つであってもよい。センサの個数が1つである場合は、複数回の計測動作を行い、得られた複数回の計数値に対してランク付けを行って計数値を重み付けし、重み付け用の点数を計数値毎に合計して、採用する計数値を選択する処理を行うこともできる。また、ランク付けのランク数およびランク付けの基準は上記の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
【0090】
また、複数のセンサから同一の計数値が得られた場合には、その計数値に対する重み付けの点数を大きくすることもできる。例えば、
図11(b)に示す例では、センサ16、17の計数値がいずれもN1であって一致している。そして、N1と異なる計数値N2は1つしか算出されていない。従って、この場合には、センサ16、17の計数値に対して重み付けの点数を大きくすることができる。あるいは、複数のセンサから同一の計数値が得られた場合には、その計数値を選択すると決定することもできる。例えば、他の計数値の重み付けを0にするなどの処理を行うことにより、複数のセンサから得られた計数値を採用することができる。
【0091】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態のカード計数装置1によるカード2の枚数計数方法は、センサ16〜18が搭載されるキャリッジ19を上下方向Zへ移動させる計測動作を行い、センサ16〜18の出力信号SGに基づき、カード2の枚数を計数した計数値をセンサ毎に算出する。そして、算出した計数値をその「確からしさ」に基づいてAランク〜Dランクのいずれかにランク付けし、ランク付けの結果に基づいて複数の計数値を重み付けし、重み付けの結果に基づいて、複数の計数値のいずれかを選択する処理を行う。これにより、全ての計数値のランクを考慮して採用する計数値を決定できる。従って、ランクが高い計数値が採用される可能性が高い。また、複数のセンサで計数値が一致した場合にその計数値が採用される可能性が高い。よって、正確な枚数値に近い計数値を選択できる可能性が高いので、精度良くカード状媒体の枚数を計数することができる。
【0092】
本形態では、センサ16〜18が搭載されるキャリッジ19を下限位置H1から上限位置H2まで移動させる上昇動作(第1計測動作)、および、上限位置H2から下限位置H1までセンサ16〜18を移動させる下降動作(第2計測動作)の一方もしくは両方を行い、1回もしくは複数回の計測動作によって得られた計数値の中から採用する計数値を決定する処理を行う。複数回の計測動作を行った場合は、多数の計数値に対する重み付けの結果を集計できる。従って、正確な枚数値に近い計数値を採用できる可能性が高いので、精度良くカード状媒体の枚数を計数することができる。
【0093】
本形態では、複数のセンサから得られた計数値が一致する場合に、その計数値の重み付けを大きくすることができる。あるいは、複数の計数値が一致する場合は、その計数値を選択すると決定することもできる。このようにすれば、正確な枚数値に近い計数値を採用できる可能性が高い。従って、精度良くカード状媒体の枚数を計数することができる。
【0094】
本形態では、計数値のランク付けを計数値の確からしさに基づいて行う。計数値の確からしさは、枚数の確からしさ、カード2の種類や形状の確からしさ、および、カード2の収容状態の確からしさを含む。これにより、適切なランク付けを行うことができる。従って、精度良くカード状媒体の枚数を計数することができる。
【0095】
また、本形態のカード計数装置1によるカード2の枚数計数方法は、センサ16〜18の出力信号から、カード2の端面2bと端面2b間の境界が交互に出現することに基づく波形のピーク位置Bv、Bvを検出するために、出力信号SGを微分処理した微分信号DFを生成し、微分信号DFの絶対値がゼロとなるゼロクロス点を検出する。そして、ゼロクロス点を検出すると、検出したゼロクロス点に対応するピーク位置(候補位置:例えばピーク位置SG1)を起点として出力信号SGを積分処理し、積分値が基準値SV以上になる場合に計数対象のピーク位置Pv(またはピーク位置Bv)が存在したと判定し、計数対象のピーク位置Pv(またはピーク位置Bv)を特定する。このようにすれば、カード2の端面2bの凹凸等に起因する細かい極大値および極小値が計数対象となるおそれが少ない。従って、気流を吹き付けるなどの機構によってカード2の隙間を大きくする必要がないので、簡単な構造の装置で精度良くカード2の枚数を計数することができる。
【0096】
本形態では、積分値が基準値SV以上にならない場合は、計数対象のピーク位置Pv、Bvが存在しないと判定する。そして、積分値が基準値SV以上になるまで積分を継続する。あるいは、積分値をリセットして新たな候補位置を設定し、新たな候補位置から積分を開始することもできる。例えば、ピーク位置SG2までの積分値が基準値SV未満の場合は、次のピーク位置SG4まで積分を継続する。あるいは、積分値をリセットしてピーク位置SG2あるいはSG3を新たな候補位置として積分を開始する。いずれの場合も、ピーク位置SG4まで積分が行われると、積分値が基準値SV以上であると判定されるため、計数対象のピーク位置Pvが存在すると判定される。このように、積分値が基準値SV以上になることを判定基準とすることにより、カード2の端面2bの凹凸等に起因する細かい極大値および極小値を計数対象のピーク位置Pv、Bvであると誤判定するおそれが少ない。従って、精度良くカード2の枚数を計数することができる。
【0097】
本形態では、積分値が基準値SV以上になった場合に、候補位置を計数対象のピーク位置Pv(またはピーク位置Bv)とすることができる。あるいは、候補位置とは別の所定のピーク位置を計数対象のピーク位置Pv(またはピーク位置Bv)とすることができる。また、候補位置と、別の所定のピーク位置との中間位置をピーク位置Pv(またはピーク位置Bv)とすることができる。例えば、
図7(a)、(c)に示したピーク位置SG1とピーク位置SG3のどちらかを計数対象のピーク位置Pvとすることができる。また、ピーク位置SG1、SG3の中間の位置を計数対象のピーク位置Pvとすることができる。このようにすれば、波形に乱れがあるにおいて、乱れがある範囲の中間位置をピーク位置Pvとすることができる。
【0098】
本形態では、積分値を判定するための基準値SVは予め設定されているが、センサ16〜18による計測動作を行う毎に、当該計測動作によって得られたセンサ16〜18の出力信号SGに基づいて基準値SVを決定することができる。例えば、センサ16〜18の出力信号SGの波高値に基づいて基準値SVを決定すれば、計数対象のピーク位置Pv、Bvを精度良く特定できる。