(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ウェブ振動吸収装置は、多孔質材料からなる吹出面及びディストリビュータ等を必要とし、構成が複雑である。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、簡素な構成にて、基材の振動を抑制することができる振動抑制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る振動抑制装置は、第1送風機からの送風によって浮上し、搬送されるシート状の基材の振動を抑制する振動抑制装置において、前記基材の搬送方向における前記第1送風機よりも上流側にて、前記基材の一面側及び他面側に配置された複数の第2送風機と、前記第2送風機に設けられており、前記基材の一面側及び他面側に配置され、前記基材に向けて突出した突部を有する複数の導風部とを備え、前記第2送風機は基材側に送風していることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、基材の搬送方向において、第1送風機よりも上流側に第2送風機を配置し、第2送風機に導風部を設ける。導風部に、基材に向けて突出した突部を設け、第2送風機から基材側に風を送る。
【0009】
本発明に係る振動抑制装置は、前記搬送方向における前記第2送風機よりも上流側及び下流側それぞれに、前記導風部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、第2送風機よりも上流側及び下流側それぞれに導風部を更に設けて、第2送風機よりも上流側又は下流側にのみ導風部を設ける場合に比べて、基材の振動抑制効果を更に高める。
【0011】
本発明に係る振動抑制装置は、複数の前記突部が前記搬送方向に並設されていることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、複数の突部を搬送方向に並設させることによって、基材の振動の抑制を実現する。
【0013】
本発明に係る振動抑制装置は、前記第2送風機から前記搬送方向又は搬送方向の逆方向に延びており、前記導風部を取り付ける取付板を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、取付板を設けることによって、導風部を容易に取り付けることができる。また基材に対する取付板の角度を予め設定しておくことによって、基材に対する導風部の角度を所望の角度に設定することができる。
【0015】
本発明に係る振動抑制装置は、前記第2送風機は、空気を吹き出す吹出口と、空気を吸い込む吸込口とを備え、前記吹出口及び吸込口の間に前記導風部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、吹出口及び吸込口の間に導風部を設け、基材の振動を抑制する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る振動抑制装置にあっては、基材の搬送方向において、第1送風機よりも上流側に第2送風機を配置し、第2送風機よりも上流側に導風部を配置する。導風部に、基材に向けて突出した突部を設け、第2送風機から基材に風を送ることによって、基材の振動を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1係る塗布装置を示す図面に基づいて説明する。
図1は、塗布装置を示す模式図である。
【0020】
図1に示すように、塗布装置は、シート状の基材50を支持して搬送する複数のローラ3と、基材50の一面に液体を塗布する第1塗布部1と、基材50の他面に液体を塗布する第2塗布部2と、両面に塗布された基材50を乾燥させる乾燥炉4とを備える。
【0021】
基材50は複数のローラ3に掛架されており、所定の方向に搬送される。第1塗布部1は二つのローラ3の間に配置されている。第2塗布部2は乾燥炉4とローラ3との間に配置されている。
図1の矢印にて示すように、基材50は、第1塗布部1にてその一面が塗布され、第2塗布部2にてその他面が塗布された後、乾燥炉4に搬送される。基材50の両面に塗布された液体は乾燥炉4にて乾燥し、基材50は乾燥炉4から搬出され、巻き取りロール(図示略)に巻回される。
【0022】
図2は、乾燥炉4を略示する断面図である。
図2に示すように、乾燥炉4は、基材50の搬送方向に貫通した入口4a及び出口4bを備える。入口4a及び出口4bは互いに反対側に配置されている。
図2の矢印にて示すように、基材50は入口4aから出口4bに向けて搬送される。
【0023】
乾燥炉4内には、複数の浮上用送風機5、5、・・・、5が設けられている。浮上用送風機5は第1送風機に対応する。基材50の一面側において、複数の浮上用送風機5は基材50の搬送方向に並設されており、基材50の一面に対向している。
【0024】
基材50の他面側において、複数の浮上用送風機5は基材50の搬送方向に並設されており、基材50の他面に対向している。基材50の一面側に並設された浮上用送風機5と基材50の他面側に並設された浮上用送風機5とは千鳥状に配置されており、互いに対向しないように配置されている。
【0025】
浮上用送風機5は、前記搬送方向における上流側部分及び下流側部分にそれぞれ吹出口5a、5aを備える。吹出口5aからは空気が吹き出される。二つの吹出口5a、5aから吹き出された空気によって、二つの吹出口5a、5aの間には正の静圧が発生し、該静圧によって基材50は保持される。そのため、基材50は浮上した状態で保たれ、搬送される。吹出口5aからは温風が吹き出され、基材50の両面に塗布された液体は、乾燥炉4内を搬送されている間に乾燥する。
【0026】
乾燥炉4内には、最も入口4aに近い浮上用送風機5よりも入口4a側に振動抑制装置10が配置されている。換言すれば、振動抑制装置10は、基材50の搬送方向において、最も入口4aに近い浮上用送風機5よりも上流側に配置されている。
【0027】
図3は、振動抑制装置10を略示する拡大図である。振動抑制装置10は、互いに対向する二つの振動抑制用送風機11、11と、振動抑制用送風機11から入口4a側(基材50の搬送方向の逆方向)に突出した取付板12と、該取付板12に取り付けられた導風板13とを備える。なお導風板13は導風部に対応し、振動抑制用送風機11は第2送風機に対応する。
【0028】
振動抑制用送風機11は直方体状をなす。一方の振動抑制用送風機11は基材50の一面に対向し、他方の振動抑制用送風機11は基材50の他面に対向する。振動抑制用送風機11は、振動抑制用送風機11の基材50との対向面110に空気を吹き出す吹出口11aを備える。吹出口11aは前記対向面110の出口4b側に形成されている。
【0029】
取付板12は、振動抑制用送風機11の入口4a側に設けられており、その一面が基材50に対向する。基材50に対向する取付板12の一面に導風板13が取り付けられている。
【0030】
図4は、導風板13を略示する斜視図である。導風板13は、矩形のベース板13aと、該ベース板13aの一面にて、ベース板13aの長手方向に並設された複数の突条13bとを備える。突条13bは、ベース板13aの長手方向に直交する方向に延びる。なお突条13bは突部に対応する。
【0031】
導風板13は、突条13bが基材50に対向し且つ突条13bの長手方向と基材50の搬送方向とが直交するように、取付板12に取り付けられている。
図3の白抜き矢印にて示すように、吹出口11aから吹き出された空気の一部は、基材50と振動抑制用送風機11との間を、基材50の搬送方向の逆方向に、基材50に沿って移動し、更に基材50と導風板13との間、換言すれば基材50と突条13bとの間を移動する。
【0032】
なお基材50の搬送方向と同方向に風を送るように、振動抑制装置10を構成してもよい。例えば、振動抑制用送風機11の基材50との対向面110において、吹出口11aを入口4a側に形成し、該吹出口11aから出口4b側に空気を吹き出してもよい。この場合、取付板12及び導風板13は振動抑制用送風機11の出口4b側に設けられ、取付板12は、基材50の搬送方向に延びる。
【0033】
浮上用送風機5から送風された空気は、コアンダ効果によって基材50に沿って所定距離流れ、その後基材50から離れる。空気が基材50から離れる際に、基材50の振動及びばたつきが発生すると考えられる。空気が基材50から離れる箇所において、基材50の両面に対し、搬送方向の略同じ位置に、基材50の両面それぞれに対向する二つの吹出口11a、11aから空気を吹き出すことによって、基材50の振動抑制効果が増加すると考えられる。突条13bを設けることによって、凹凸による乱流が発生し、圧力が減衰するので、空気が基材50から離れる際に発生する基材50の振動及びばたつきを抑制することができると考えられる。その結果、基材50の両面に高精度で塗工することができる
【0034】
基材50に対する導風板13の角度及び突条13bの寸法は、基材50の厚み、剛性及び幅(搬送方向に直角な方向の寸法)並びに基材50に塗布した液体の厚さ(重量)等によって、適宜決定される。取付板12の角度を変更することができるように、ヒンジを介して振動抑制用送風機11に取付板12を連結し、変更後の角度で取付板12を固定できるように構成してもよい。この場合、取付板12の角度を変更することによって、導風板13の角度を変更することができる。
【0035】
ベース板13aからの突条13bの突出距離は、例えば10mm以下であり、隣合う突条13b間の距離は、例えば10mm以下である。また吹出口11aから吹き出される空気の風速は、例えば30m/s以下である。また基材50と突条13bとの間の距離は、例えば10cm以下である。
【0036】
図5は、振動抑制装置10の構成の一部を変更した変更例に係る乾燥炉を略示する断面図である。実施の形態1に係る振動抑制装置10は、乾燥炉4の内側に設けられているが、乾燥炉4の外側に設けてもよい。例えば、
図5に示すように、乾燥炉4の入口4aと第2塗布部2との間に設けてもよい。
【0037】
実施の形態1に係る振動抑制装置10は、基材50の搬送方向において、浮上用送風機5よりも上流側に振動抑制用送風機11を配置し、振動抑制用送風機11よりも上流側に導風板13を配置する。導風板13に、基材50に向けて突出した突部を設け、振動抑制用送風機11から搬送方向の逆方向又は搬送方向と同方向に風を送ることによって、基材50の振動を抑制することができる。
【0038】
また複数の突条13bを搬送方向に並設させることによって、基材50の振動の抑制を実現することができる。また取付板12を設けることによって、導風板13を容易に取り付けることができる。また基材50に対する取付板12の角度を予め設定しておくことによって、基材50に対する導風板13の角度を所望の角度に設定することができる。
【0039】
なお取付板12は振動抑制装置10に必須の構成ではない。すなわち取付板12を設けずに、導風板13を振動抑制用送風機11に取り付けてもよい。また振動抑制装置10は乾燥炉4内又は乾燥炉4付近に設ける場合のみならず、振動が発生する基材50の箇所であって、乾燥炉4から離れた箇所に設けてもよい。
【0040】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る塗布装置を示す図面に基づいて説明する。
図6は、乾燥炉4を略示する断面図である。
図6に示すように、乾燥炉4内には、最も入口4aに近い浮上用送風機5よりも入口4a側に振動抑制装置10が配置されている。換言すれば、振動抑制装置10は、基材50の搬送方向において、最も入口4aに近い浮上用送風機5よりも上流側に配置されている。
【0041】
更に、最も出口4bに近い浮上用送風機5よりも出口4b側に振動抑制装置10が更に配置されている。換言すれば、振動抑制装置10は、基材50の搬送方向において、最も出口4bに近い浮上用送風機5よりも下流側に配置されている。
【0042】
出口4b側においても、浮上用送風機5から送風された空気は、粘性によって基材50に沿って所定距離流れ、その後基材50から離れる。空気が基材50から離れる際に、基材50の振動及びばたつきが発生すると考えられる。空気が基材50から離れる箇所において、振動抑制装置10を設けることによって、基材50の振動及びばたつきをより一層抑制し、基材50の振動抑制効果を高めることができる。また振動抑制装置10よりも上流側及び下流側それぞれに導風板13を設けることによって、振動抑制装置10よりも上流側又は下流側にのみ導風板13を設ける場合に比べて、基材の振動抑制効果を更に高めることができる。
【0043】
なお出口4b側に設けた振動抑制装置10は、出口4bよりも下流側、換言すれば、乾燥炉4の外側に配置してもよい。
【0044】
実施の形態2に係る塗布装置の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る塗布装置を示す図面に基づいて説明する。
図7は、振動抑制装置10の構成を略示する拡大図である。振動抑制装置10は、互いに対向する二つの振動抑制用送風機11、11を備える。
【0046】
振動抑制用送風機11は直方体状をなす。一方の振動抑制用送風機11は基材50の一面に対向し、他方の振動抑制用送風機11は基材50の他面に対向する。振動抑制用送風機11は、空気を吹き出す吹出口11aと、空気を吸い込む吸気口11bとを備える。吹出口11a及び吸気口11bは、振動抑制用送風機11の基材50との対向面110に形成されている。
【0047】
吹出口11a及び吸気口11bの一方は、基材50の搬送方向における上流側に設けられ、他方は下流側に設けられている。
図7においては、吹出口11aが下流側、吸気口11bが上流側に設けられているが、逆でもよい。
【0048】
対向面110において、吹出口11a及び吸気口11bの間に、導風部130が設けられている。導風部130は、基材50の搬送方向に沿って並設された複数の突条131を備える。複数の突条131は、対向面110に平行な方向であって、基材50の搬送方向に直交する方向に延びる。なお突条131は突部に対応する。
【0049】
図7の白抜き矢符にて示すように、吹出口11aから空気が基材50側に吹き出されている。吹き出された空気は基材50に沿って、吸気口11b側に移動し、吸気口11bに吸い込まれる。二つの振動抑制用送風機11、11は、空気の流れによって基材50の両面を挟み込む。
【0050】
突条131を設けることによって、凹凸による乱流が発生し、圧力が減衰するので、空気が基材50から離れる際に発生する基材50の振動及びばたつきを抑制することができる。
【0051】
例えば、振動抑制装置10は、基材50の搬送方向において、最も入口4aに近い浮上用送風機5よりも上流側に配置される。振動抑制装置10は更に、最も出口4bに近い浮上用送風機5よりも下流側に配置してもよい。
【0052】
なお振動抑制装置10は、基材50における振動が発生する任意の箇所に設けることができる。したがって、振動抑制装置10の設置箇所は入口4a付近又は出口4b付近に限定されない。振動が発生する箇所が複数ある場合、各箇所に振動抑制装置10を設けてもよい。
【0053】
実施の形態3に係る塗布装置の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。