(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704328
(24)【登録日】2020年5月14日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】3次元印刷物体から支持材料を除去するシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/227 20170101AFI20200525BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20200525BHJP
B29C 64/25 20170101ALI20200525BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20200525BHJP
B29C 64/40 20170101ALI20200525BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20200525BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20200525BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20200525BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20200525BHJP
【FI】
B29C64/227
B29C64/245
B29C64/25
B29C64/264
B29C64/40
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y10/00
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-212095(P2016-212095)
(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公開番号】特開2017-87724(P2017-87724A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】14/938,332
(32)【優先日】2015年11月11日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロン・イー・デュフォート
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン・ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】リン・シー・フーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ダブリュ・ヘイズ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ジェイ・ハウ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・ケイ・アール
【審査官】
浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−078531(JP,A)
【文献】
米国特許第05422463(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0075957(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元印刷物体から支持材料を除去するシステムであって、
支持材料を有する前記3次元印刷物体を支持するプラテンと、
第1のポート、第2のポート、および第3のポートを備える3ポート装置であって、前記第1のポートは、前記3ポート装置の外部から前記第1のポートで受けたマイクロ波を、前記第2のポートから放射されるように前記第2のポートに導くように構成され、前記第2のポートは、前記3ポート装置の外部から前記第2のポートで受けたマイクロ波を前記第3のポートに導くように構成された、3ポート装置と、
前記3ポート装置の前記第3のポートに動作可能に接続されたサセプタと、
前記サセプタの温度を示す信号を生成するように構成された温度センサと、
前記第2のポートから放射されるように、前記3ポート装置の前記第1のポートにマイクロ波を導くように構成されたマイクロ波源であって、前記第1のポートが前記第2のポートに導いたマイクロ波によって支持材料を有する前記3次元印刷物体が照射されることで、固体から液体へと相変化する温度まで前記支持材料が加熱されて、液体状の前記支持材料が前記3次元印刷物体から離れて流れることを可能にする、マイクロ波源と、
前記温度センサ及び前記マイクロ波源に動作可能に接続された少なくとも1つのコントローラであって、前記温度センサによって生成された信号を参照して前記マイクロ波源を動作させるように構成されたコントローラと
を備え、
前記支持材料の誘電損率が前記3次元印刷物体を形成するための造形材料の誘電損率より大きく、前記サセプタの誘電損率が前記支持材料の誘電損率より小さいが前記造形材料の誘電損率より大きい、システム。
【請求項2】
前記プラテンを移動させるように構成された搬送部と、
前記3ポート装置の前記第2のポートに動作可能に接続されるハウジングであって、前記第2のポートから放射されたマイクロ波が前記ハウジング内の前記プラテン上の前記3次元印刷物体を照射するのを可能とし、第1の開口及び第2の開口を有するハウジングと
をさらに備え、
前記少なくとも1つのコントローラが、前記搬送部に動作可能に接続され、前記第1の開口を介して前記ハウジング内の位置まで、支持材料を有する前記3次元印刷物体を支持する前記プラテンを移動させるように前記搬送部を動作させるようにさらに構成されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プラテンが、
前記液体状の支持材料が前記プラテンを通過することを可能とするように前記プラテンを通る少なくとも1つの開口
をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ハウジングが、
前記プラテンを通過した前記液体状の支持材料が前記ハウジングの外部に流れるのを可能とするように前記ハウジングの床にドレイン
をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ドレインを通って流れるように前記プラテンを通過した前記液体状の支持材料を促すように前記ドレインに動作可能に接続されたポンプ
をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記サセプタが所定の温度に達したことを前記温度センサによって生成された前記信号が示すまで、前記第2のポートから放射されたマイクロ波で前記プラテン上の前記3次元印刷物体を照射するように、前記少なくとも1つのコントローラが前記マイクロ波源を動作させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記温度センサによって生成された前記信号が、前記3次元印刷物体上の固体状の支持材料の量がゼロに近づいていることを示す前記サセプタの温度変化率に相当するまで、前記第2のポートから放射されたマイクロ波で前記プラテン上の前記3次元印刷物体を照射するように、前記少なくとも1つのコントローラが前記マイクロ波源を動作させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記サセプタが主に炭化ケイ素から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記3ポート装置が磁気サーキュレータである、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この文献に開示されたシステム及び方法は、3次元印刷物体の処理に関し、より具体的には、マイクロ波エネルギを使用した3次元印刷物体からの支持材料の除去に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル積層造形としても知られているディジタル3次元物体の製造は、ディジタルモデルからの実質的に任意の形状の3次元固体物体の製造方法である。3次元物体印刷は、材料の連続層が異なる形状で基板上に形成される積層処理である。層は、バインダー材料の吐出、指向性エネルギ付与、材料の押出、材料の吐出、粉末層の融合、シートのラミネート又は硬化放射線に対する液状フォトポリマ材料の露光によって形成されることができる。層が形成される基板は、プラットフォームに動作可能に接続されたアクチュエータの動作によって3次元的に移動されることができるか又は物体を形成する層を製造するために堆積装置の制御された移動のために材料堆積装置が1つ以上のアクチュエータに対して動作可能に接続されたプラットフォーム上に支持される。3次元物体印刷は、切断又は穿孔などのサブトラクティブ処理によるワークピースからの材料の除去にほとんど依存する従来の物体形成技術とは区別される。
【0003】
関与するプロセスの多くは時間がかかり、手動で大抵の場合に行われることから、高速に3次元印刷される部品の製造が重要な課題である。多くの3次元物体プリンタにおいて、支持材料は、いかなる表面又は以前に形成された物体の一部が存在しない場合、層における造形材料の領域が形成されるのを可能とするように層に含まれる。特に、これらの支持領域は、物体の領域上の又は物体の一部に隣接したワックスなどの支持材料によって形成される。物体が形成された後、支持材料は、物体から除去される。支持材料は、典型的には、水中に物体を浸漬するか、物体上に水を噴射するか、水以外の化学物質の物体を浸漬するか、又は、対流式オーブン内で物体を加熱することによって除去される。しかしながら、これらの方法のそれぞれは、印刷物体のサイズが大きくなるのにともない悪化するという制限を有する。
【0004】
3次元物体プリンタは、プリンタの大量生産を増加させるために大きくなることから、複数の部品は、支持材料によって分離されて3次元的に積層されることができる。しかしながら、これらの複数の物体製造運転において、かなりの量の支持材料は、物体が完全に形成された後に除去されなければならない。必要とされるものは、全ての製造速度を増加させるために印刷部品からかなりの量の支持材料を効率的に除去する方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
物体損傷のリスクを低減しながらマイクロ波を使用して1つ以上の3次元印刷物体から支持材料を除去する方法は、3次元印刷物体を支持するプラテンを移動させるように少なくとも1つのコントローラによって搬送部を動作させることと、3ポート装置の第2のポートからマイクロ波エネルギを放射してマイクロ波エネルギによって支持材料を有する3次元印刷物体を照射するように3ポート装置の第1の部分にマイクロ波エネルギを導くように少なくとも1つのコントローラによってマイクロ波源を動作させることであって、マイクロ波エネルギが、支持材料が物体から離れて流れるように支持材料が固体から液体へと相変化する温度まで支持材料を加熱することと、3ポート装置の第2のポートで受けたマイクロ波エネルギを3ポート装置の第3のポートに動作可能に接続されたサセプタに導くことと、サセプタの温度を示す信号を温度センサによって生成することと、所定の条件に到達した生成された信号によって示される温度に応じて、温度センサ及びマイクロ波源に動作可能に接続された少なくとも1つのコントローラによってマイクロ波源を非活性化することとを含む。
【0006】
物体損傷のリスクを低減しながらマイクロ波を使用して1つ以上の3次元印刷物体から支持材料を除去するシステムは、支持材料を有する3次元印刷物体を支持するプラテンと、プラテンを移動させるように構成された搬送部と、第1のポートで受けたマイクロ波エネルギを第2のポートに導き且つ第2のポートで受けたマイクロ波エネルギを第3のポートに導くように構成された3ポート装置と、3ポート装置の第3のポートに動作可能に接続されたサセプタと、サセプタの温度を示す信号を生成するように構成された温度センサと、3ポート装置の第2のポートからマイクロ波エネルギによって支持材料を有する物体を照射するように3ポート装置の第1のポートにマイクロ波を導くように構成されたマイクロ波源であって、マイクロ波エネルギが、支持材料が物体から離れて流れるように支持材料が固体から液体へと相変化する温度まで支持材料を加熱するマイクロ波源と、搬送部、温度センサ及びマイクロ波源に動作可能に接続された少なくとも1つのコントローラであって、温度センサによって生成された信号を参照してマイクロ波源を動作させるように構成されたコントローラとを含む。
【0007】
方法及びプリンタの上述した態様及び他の特徴は、添付図面と関連して以下の詳細な説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、マイクロ波エネルギによって印刷物体から支持材料を除去するプロセスのフロー図である。
【
図2A】
図2Aは、支持材料がマイクロ波エネルギによって印刷物体から除去されるのを可能とするシステムを示している。
【
図3】
図3は、マイクロ波加熱ステーションにおいて処理される物体を保護するためにサセプタを使用するプロセスのフロー図である。
【
図4】
図4は、マイクロ波加熱ステーションにおいて処理される物体を保護するためにサセプタを使用するように構成されたマイクロ波加熱ステーションを示している。
【
図5】
図5は、先行技術の3次元物体プリンタを示している。
【
図6】
図6は、支持材料によって分離された複数の同一部分を有する先行技術の印刷されたブロックの斜視図を示している。
【
図7】
図7は、
図4に示される先行技術のブロックの側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願明細書に開示された方法及び本方法の詳細についての環境の一般的な理解のために、図面が参照される。図面において、同様の参照符号は、同様の要素を指している。
【0010】
図5は、層内の支持及び物体領域を形成するために材料を吐出する先行技術の3次元物体プリンタ100を示している。プリンタ100は、プラテン104及びエジェクタヘッド108を備える。エジェクタヘッド108は、部品116などの3次元物体と部品特徴形成を可能とする支持領域とを形成するようにプラテン104の表面112に向かって材料の液滴を吐出するように構成された複数のエジェクタを有する。特に、エジェクタヘッド108は、物体を形成するように造形材料の液滴を吐出するように構成された第1の複数のエジェクタと、形成される物体を支持するための足場を形成するようにワックスなどの支持材料の液滴を吐出するように構成された第2の複数のエジェクタとを有する。この文書において使用されるように、「支持」は、熱溶融又はUV放射への露光などの硬化プロセスによって造形材料が流体又は粉末から固体へと変換される前に重力又は造形材料の層流によって生じる変形なしで、物体の一部の層が形成されるのを可能とするように造形材料の層が隣接して又は上に造形される支持材料の1つ以上の層を意味する。「支持材料」は、物体が印刷された後に物体から除去される物体の印刷に使用される材料を意味する。エジェクタヘッド108は、プロセス方向P、クロスプロセス方向CP及び垂直方向Vにプラテン104に対して移動するように構成されている。いくつかの実施形態において、プリンタ100は、エジェクタヘッド108及びプラテン104の一方又は双方を互いに移動させるように構成されたアクチュエータを含む。
【0011】
プリンタ100は、少なくともエジェクタヘッド108に動作可能に接続されたコントローラ120を含む。コントローラ120は、プラテン表面112上に3次元物体を形成する層にレンダリングされた物体画像データを参照しながらエジェクタヘッド108を動作させるように構成されている。3次元物体の各層を形成するために、コントローラ120は、プラテン104上に材料の液滴を吐出しながらプロセス方向Pにエジェクタヘッド108を1回以上掃引するようにプリンタ100を動作させる。複数経路の場合には、エジェクタヘッド108は、各掃引間においてクロスプロセス方向CPにシフトする。各層が形成された後、エジェクタヘッド108は、次層の印刷を開始するために垂直方向Vにプラテン104から離れるように移動する。
【0012】
いくつかの実施形態において、プリンタ100は、2つ以上の部品を備える製造運転を可能とするために十分な大きさである。特に、複数の部品は、材料のブロックを形成するために支持材料によってカプセル化された各部品を有して単一の印刷ジョブにおいて印刷されることができる。いくつかの実施形態において、コントローラ120は、複数の部品が単一ブロックとして印刷されるのを可能とするように部品のそれぞれの間に配置された支持材料によって3次元空間に配置された複数の部品に対応する画像データを受信する。画像データを参照しながら、コントローラ120は、単一の製造運転において複数の部品を形成するようにエジェクタヘッド108を動作させる。
図6は、プラテン104上に形成された複数の同一部品204を有する先行技術のブロック200の斜視図を示している。部品204は、本質的に、3次元マトリクス状に配置され且つブロック200にわたって均一に分離されることができる。部品204は、支持材料208によって分離される。他の実施形態において、複数の部品は、異なる種類の部品とすることができ、ブロック200内の空間を効率的に使用するように互いに配置されることができる。
図7は、先行技術のブロック200の側面図を示している。
【0013】
図6及び
図7に示されるように、ブロック200は、部品204を解放するために除去されなければならないかなりの量の支持材料208を含む。従来の対流式オーブンによって行われた支持材料除去プロセスを促進するために、
図1のプロセス400は、支持材料208を加熱して相変化するようにマイクロ波エネルギを使用する。プロセス400の説明において、本方法がいくつかのタスク又は機能を行っているという言及は、そのタスク又は機能を実行するためにデータを操作するか又はプリンタにおける1つ以上の構成要素を動作させるようにコントローラ又はプロセッサに動作可能に接続された非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラミングされた命令を実行するコントローラ又は汎用プロセッサを指す。上述したプリンタ100のコントローラ120は、プロセス400を実行するコントローラ又はプロセッサを提供するために構成要素及びプログラミングされた命令によって構成されることができる。あるいは、コントローラは、2つ以上のプロセッサによって実装されることができ、そのそれぞれが本願明細書に開示された1つ以上のタスク又は機能を形成するように構成される回路及び構成要素を関連付けられることができる。
【0014】
方法400は、プリンタから部品を除去することによって開始する(ブロック404)。部品は、プラテン104から支持材料208を含む部品204を持ち上げることによって又は支持材料208を含む部品204を支持するプラテン104をプリンタから移動させることによって除去されることができる。部品が追加の硬化を必要とする場合、それらは、硬化放射線に露光されるか又は材料の固化のために冷却されるのが可能とされる。部品が硬化すると、バルク支持材料がマイクロ波エネルギを使用して除去される(ブロック408)。バルク支持材料を除去するための従来公知の方法において、部品204は、支持材料208が固相から液相へと変化する所定温度に加熱された対流式オーブン内に配置される。例えば、対流式オーブンは、溶融温度に到達するのに支持材料にとって十分な時間量だけオーブンキャビティ内に残った部品が設けられたワックス支持材料を溶融するために65℃の温度まで加熱されることができる。ワックス支持材料を含む部品204は、典型的には、ワックス支持材料が溶融して部品204から分離するのを可能とするように、約60から120分間、65℃の温度で対流式オーブンの加熱されたキャビティ内に残っている。部品204の温度は、典型的には、監視され、部品204は、部品の造形材料が変形し始める温度未満である所定の閾値温度に到達した部品の温度に応じてオーブンから除去される。支持材料の一部が残る可能性があるため、部品204は、さらに、支持材料のより少ない残りの量を除去するように処理される(ブロック412)。1つの実施形態において、このさらなる処理は、例えば60℃などの所定温度に保持されたすすぎ溶液内に部品204を浸漬して溶液内で超音波振動を受けることを含む。この実施形態における超音波振動は、約5分間印加される。振動が終了すると、部品が支持材料槽から除去されて洗浄槽内に配置される前に、部品は、2分間などの他の所定期間だけ溶液内に残る(ブロック416)。洗浄槽は、典型的には、暖かい石鹸水を含み、超音波振動は、20分間などの他の所定時間だけ石鹸水内で部品に再度印加される。そして、部品は、洗浄槽から除去されて乾燥される(ブロック420)。乾燥は、周囲空気内で又は40℃などの比較的穏やかな温度まで加熱された対流式オーブン内で生じることができる。
【0015】
3次元物体製造システム500が
図2Aに示される。システム500は、1つ以上のエジェクタヘッド504と、コントローラ580と、非接触温度センサ536と、マイクロ波放射器516と、ハウジング512とを含む。コントローラ580は、支持材料によって物体を形成するためにエジェクタヘッド504を動作させるための且つ支持材料を除去するためにマイクロ波加熱ステーション520を動作させるためのプログラミングされた命令及び構成要素によって構成されたコントローラ120とすることができる。エジェクタヘッドのそれぞれは、コントローラ580がプラテン104上に形成された部品の層内に物体及び支持領域を形成するために複数の材料を吐出するように動作させる複数のエジェクタを含む。プラテン104は、エジェクタヘッド504の下方の位置からマイクロ波加熱ステーション520まで部品204及び支持材料208を有するブロック200を移動させる搬送部508によって支持される。マイクロ波加熱ステーション520は、搬送部508がステーション520のハウジング512内にブロック200を移動させた後に次の処理ステーションまでハウジングからプラテン及び部品204を移動させるのを可能とするように入口及び出口を有するハウジング512を含む。ハウジング512内において、マイクロ波放射器516は、マイクロ波エネルギによってブロック200を照射するように位置決めされるとともに、搬送部508は、所定期間だけ又は部品が接近しているが到達していないことを示す部品に損傷を与える可能性がある温度に部品204の温度が到達するまで、ブロック200が放射されたマイクロ波エネルギを受けるのを可能とするようになおも残る。部品温度を監視する実施形態において、非接触温度センサ536は、コントローラ580が所定の温度閾値と比較する部品温度を示す信号を生成する。所定の温度閾値に到達したか又は所定期間が経過した場合、コントローラ580は、ハウジングから次の処理ステーションまで部品204を移動させるように搬送部508を駆動するアクチュエータ540を動作させる。
【0016】
図2Aに示されるプラテン104は、溶融した支持材料がプラテン104を離れ且つハウジング512の床に落下するのを可能とする1つ以上の貫通孔524を含む。ハウジング512の床は、溶融した支持材料がハウジング512から出るのを可能とするドレイン528を含む。コントローラ580は、ハウジング512から離れるように溶融した支持材料を促すためにポンプ532に動作可能に接続されることができ、又は、ハウジング512の床は、溶融した支持材料がドレイン528に流れ且つ重力の影響のもとにハウジング512から離れるのを可能とする斜面によって形成されることができる。
図2Bに示される代替実施形態において、プラテン104は、中実側面220及び開放上面を有するボックスである。金属スクリーン224は、開放上面の上に配置され、ブロック200は、金属スクリーン上に載置される。マイクロ波に対する露光中において、溶融した支持材料は、それが固化する金属ボックス内に金属スクリーンを介して流れる。マイクロ波エネルギが公知の方法でスクリーンを介してボックスに入るのを防止するように、スクリーンの開口部が寸法決めされることから、材料は固化する。
【0017】
上述した方法及びシステムは、支持材料が造形材料の誘電損率よりも大きい誘電損率を有する場合に部品から支持材料を除去するのに有効である。「誘電損率」は、振動磁場中の材料によって熱として散逸したエネルギの測定値である。支持材料の誘電損率は、マイクロ波エネルギが支持材料を加熱し、部品の造形材料を大幅に加熱することなく支持材料における相変化を生み出すのを可能とする。それゆえに、支持材料は、部品に損傷又は悪影響を与えることなく溶融されて部品から除去される。造形材料の誘電損率よりも大きい誘電損率を有する支持材料を使用する他の利点は、支持材料及び造形材料が互いに近い溶融温度を有することができるが、2つの材料の誘電損率の差異が、造形材料が溶融温度に接近し始める前に支持材料がその温度に到達するのを可能とするということである。
【0018】
システム及び方法は、
図1に関して上述したが、
図2は、典型的には、印刷された物体から支持材料を除去するために有効であり、いくつかの物体の構成は、問題を提示することができる。すなわち、いくつかの物体の構成は、物体の幾何学的形状が表現するために複雑化された物体における支持材料の量及び分布を形成することから、マイクロ波露光時間量又は所定の物体温度の推定を困難とすることができる。マイクロ波エネルギがそのような構成において推定時間だけ又は推定温度に到達するまで印加される場合、物体は、物体を損傷又は変形させることができるマイクロ波エネルギ量を受けることができる。そのような物体構成に対処するために、
図3及び
図4のプロセス及びマイクロ波加熱ステーションがそれぞれ開発されている。
【0019】
プロセス300は、支持材料とともに物体がマイクロ波チャンバ内に配置されることから始まる(ブロック304)。マイクロ波源が活性化され、マイクロ波エネルギは、磁気サーキュレータと称される3ポート装置に導かれる(ブロック308)。磁気サーキュレータは、第1のポートでマイクロ波エネルギを受け且つそれがマイクロ波チャンバ内に放射される第2のポートにエネルギを導く公知の構成要素である。支持材料の誘電損率は、物体の造形材料よりも高いことから、支持材料は、マイクロ波エネルギによって加熱されて溶融する。支持材料が溶融して物体から離れて流れるのにともない、マイクロ波エネルギは、チャンバ内で反射され、エネルギの一部は、第2のポート内に導かれる。第2のポートに入るマイクロ波エネルギは、磁気サーキュレータによってサセプタに結合された第3のポートに導かれる。サセプタは、電磁放射線を吸収して熱に変換する材料である。公知のサセプタは、金属化フィルム、セラミック、特定の金属及び水を含む。マイクロ波エネルギを吸収するためにそれがキャビティ内で部品を加熱しないように水が使用される場合、水は、それが吸収した熱を散逸するために熱交換器を通って流れる。さらに、サセプタは、サセプタの誘電損率が支持材料の誘電損率よりも小さいが造形材料の誘電損率よりも大きくなるように選択される。多くの支持及び造形材料によって使用するための適切なサセプタ材料は、炭化ケイ素である。それゆえに、サセプタの温度プロファイルを監視することによって(ブロック312)、サセプタの温度を示す信号を生成する温度センサに動作可能に接続されたコントローラは、サセプタの温度が増加し始めることから、サセプタがマイクロ波エネルギを受け始めたときに検出することができる。サセプタの温度を監視することにより、コントローラは、チャンバ内の支持材料が溶融しているかどうかを検出することができる。支持材料が低レベルまで低減するまでサセプタの温度変化の速度は遅い。キャビティ内の支持材料の量はゼロに近付くことから、より多くのマイクロ波エネルギは、第2のポート内にチャンバから反射され、第3のポートに結合されたサセプタに導く。サセプタがより多くのマイクロ波エネルギを受けるのにともない、サセプタの温度は、より高速で増加し始め、これは、支持材料が実質的になくなっておる(ブロック316)、マイクロ波源が非活性化されて物体がチャンバから除去される(ブロック320)ことを示す。あるいは、センサ554によって生成された温度信号は、それが所定温度に到達するまで監視されることができ、マイクロ波源は、所定温度に到達したことを示す生成された信号に応じて非活性化される。
【0020】
プロセス300を実装するために使用されるマイクロ波加熱ステーション550が
図4に示されている。マイクロ波加熱ステーション550は、温度センサ554、マイクロ波源566、アクチュエータ540及びポンプ532に動作可能に接続されたコントローラ584を含む。マイクロ波源566は、マグネトロンなどのマイクロ波エネルギの任意の一般的に公知の発生器とすることができる。この文書において使用されるように、「マイクロ波エネルギ」は、約300MHzから約300GHzの周波数範囲内の電磁放射線を意味する。磁気サーキュレータなどの3ポート装置562は、その第1のポートにおいてマイクロ波エネルギを受けるようにマイクロ波源566の出力に結合される。3ポート装置562は、部品204の造形材料よりも高い誘電損率を有する支持材料208を加熱するために第2のポートからハウジング512内のチャンバ内に出るようにマイクロ波エネルギを導く。3ポート装置562の第3のポートはまた、支持材料の誘電損率よりも小さいが造形材料の誘電損率よりも大きい誘電損率を有するサセプタ558に結合される。上述したように、チャンバ内の反射したマイクロ波エネルギは、キャビティ内の支持材料がエネルギを吸収して溶融するのにともない増加する。第2のポートに入り且つ第3のポートに結合されたサセプタ558に分配されるこのエネルギ量が増加するのにともない、サセプタの温度変化の速度もまた増加する。コントローラ584は、温度センサ554によって生成されたサセプタ558の温度を示す信号を監視し且つサセプタ温度の変化の速度のプロファイルを生成するようにプログラミングされた命令によって構成されている。コントローラがチャンバ内の支持材料の量がゼロに近付いていることを示すサセプタの温度変化の速度の増加を検出した場合、コントローラは、ほとんど又は全ての支持材料が溶融されていることから、マイクロ波源566を非活性化する。あるいは、生成された信号によって示される温度が所定温度に到達したことをコントローラが検出するまで、コントローラ584は、センサ554によって生成された信号を監視することができ、その後、コントローラは、マイクロ波源を非活性化する。そして、コントローラ584は、搬送部508を移動させるためにプラテン104がハウジング512から出るようにアクチュエータ540を動作させることができる。マイクロ波加熱ステーション550の残りの構成要素は、
図4を参照して上述したように動作する。この文書において使用されるように、用語「ゼロに近付く支持材料の量」は、ほとんどの固体支持材料が部品又は物体と接触したままであることを意味する。