特許第6704344号(P6704344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704344
(24)【登録日】2020年5月14日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】カチオン性アルキド樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/14 20060101AFI20200525BHJP
   C08G 59/62 20060101ALI20200525BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20200525BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20200525BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20200525BHJP
   C09D 5/44 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   C08G59/14
   C08G59/62
   C09D163/00
   C09D5/00 D
   C09D7/40
   C09D5/44
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-528245(P2016-528245)
(86)(22)【出願日】2014年10月21日
(65)【公表番号】特表2016-536402(P2016-536402A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2014072540
(87)【国際公開番号】WO2015067463
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2017年3月27日
(31)【優先権主張番号】13192037.3
(32)【優先日】2013年11月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513277278
【氏名又は名称】オールネックス オーストリア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェオラ、ロラント
【審査官】 中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】 特表平04−500386(JP,A)
【文献】 特開平07−286026(JP,A)
【文献】 特表2013−507512(JP,A)
【文献】 特公昭47−047116(JP,B1)
【文献】 特表2004−511616(JP,A)
【文献】 米国特許第04433078(US,A)
【文献】 米国特許第04517343(US,A)
【文献】 特開昭58−093763(JP,A)
【文献】 米国特許第04713406(US,A)
【文献】 特開昭62−131078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子当たり少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂E、芳香族ジヒドロキシ化合物D1、アミン官能性脂肪酸アミドM、及び脂肪族直鎖、環状又は分枝アミンであり、少なくとも1つの第1級アミノ基又は少なくとも1つの第2級アミノ基を有する、アミンAの少なくとも1種からできている付加物EAを含む可塑化エポキシド−アミン付加物Pである結合剤樹脂であって、
前記エポキシ樹脂Eは、エピクロロヒドリンと、1分子当たり2以上のヒドロキシル基を有する芳香族化合物D1又は(環状)脂肪族化合物D2からできている、又は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ジヒドロキシジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾルシノール、及び1,4−ビス−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼンからなる群から選択される芳香族ジヒドロキシ化合物に基づく、又は、ヘキサンジオール−1,6、ブタンジオール−1,4、シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコールオリゴマー、及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される(環状)脂肪族ジヒドロキシ化合物に基づく、モル質量が200g/モルから範囲である低モル質量のジエポキシド又はポリエポキシド化合物D3と、1分子当たり2以上のヒドロキシル基を有する前記芳香族化合物D1又は(環状)脂肪族化合物D2からできており、
前記アミンAは2〜12個の炭素原子を有する脂肪族直鎖、環状又は分枝アミンであり、並びに、
6〜12個の炭素原子を有する第1級モノアミンA1、
第1級−第3級ジアミンA2、
ジ−第1級−第2級アミンA3、
第2級アミンA4、
エタノールアミン、
ヒドロキシル−官能性第2級アミンA5、
並びにこれらのアミンの2種以上の混合物
からなる群から選択され、
前記付加物EAが、
脂肪酸Fと、少なくとも2つの第1級及び少なくとも1つの第2級アミノ基を有するアミンA’とからできる部分を含むアミン官能性脂肪酸アミドMと、トリグリセリドGT、ジグリセリドGD、及びモノグリセリドGMからなる群から選択される少なくとも2種のグリセリドの混合物であるグリセリド混合物GXとの混合物M’
の前記付加物EAへの組み入れにより可塑化され、
混合物M’中のモノグリセリドGMの質量分率w(GM)が30%を超えず(ここでw(GM)=m(GM)/m(M’)であり、m(GM)はモノグリセリドGMの質量であり、m(M’)は混合物M’の質量である)、
記エポキシ樹脂E中のエポキシ基の物質量n(EP)対
前記アミンA中のアミンの水素原子の物質量n(NH)と、前記アミン官能性脂肪酸アミドMの第2級アミノ基中のアミンの水素原子の物質量n(NH)と、
前記アミン官能性脂肪酸アミドM中のアミド基のアミドの水素原子の物質量n(NH)と、
前記ヒドロキシル−官能性第2級アミンA5及びエタノールアミンを含むアミンA中の第1級ヒドロキシ基の物質量n(OH)と、
前記芳香族ジヒドロキシ化合物D1のフェノールのヒドロキシ基の物質量n(OH)
との合計である活性水素原子の物質量n(H)の合計
の比(モル/モルで示す)が、0.8モル/モル〜0.999モル/モルである、
結合剤樹脂。
【請求項2】
請求項1に記載の結合剤樹脂であって、
前記付加物EAの調製において、不飽和脂肪酸F’が前記エポキシ樹脂E、前記芳香族ジヒドロキシ化合物D1、前記アミン官能性脂肪酸アミドM、及び前記アミンAとともに加えられ、前記エポキシ樹脂E中のエポキシ基の物質量n(EP)対
前記アミンA中のアミンの水素原子の物質量n(NH)と、前記アミン官能性脂肪酸アミドM中のアミド基のアミドの水素原子の物質量n(NH)と、
前記ヒドロキシル−官能性第2級アミンA5及びエタノールアミンを含むアミンA中の第1級ヒドロキシ基の物質量n(OH)と、
前記不飽和脂肪酸F’中の酸の水素原子の物質量n(COOH)と、
前記芳香族ジヒドロキシ化合物D1のフェノールのヒドロキシ基の物質量n(OH)
との合計である活性水素原子の物質量n(H)の合計
の比(モル/モルで示す)が、0.8モル/モル〜0.999モル/モルである、
結合剤樹脂。
【請求項3】
請求項1に記載の結合樹脂であって、
脂肪酸Fが、4〜30個の炭素原子を有する飽和脂肪酸並びに12〜30個の炭素原子を有し且つ少なくとも1つのオレフィン系不飽和を有する不飽和脂肪酸からなる群から選択される、
結合樹脂。
【請求項4】
請求項に記載の結合樹脂であって、
脂肪酸Fが、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、及びメリシン酸並びにミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、ペトロセライジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノールエライジン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、アルファ−及びベータ−エレオステアリン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、及びクルパノドン酸らなる群から選択される、
結合樹脂。
【請求項5】
アミンA’が、少なくとも2つの第1級アミノ基及び少なくとも1つの第2級アミノ基を有し、そして4〜40個の炭素原子をする直鎖、分枝又は環状脂肪族アミンからなる群から選択される、請求項1に記載の結合樹脂。
【請求項6】
請求項に記載の結合樹脂であって、
前記アミンA’が、式:
N−[(CH)−NH−]−H
に従い、式中nは2〜12の整数であり、そしてmは2〜200の整数であり、
それには、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、式HN−[CH−CH−NH−]m’−1−CH−CH−NH(式中m’は5〜200である)で表されるアミノ末端基を有するオリゴマー及びポリマーのエチレンイミン、ジ−(2−メチルエチレン)トリアミン、トリ−(2−メチルエチレン)テトラミン、テトラ−(2−メチルエチレン)ペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、テトラブチレンペンタミン、及びジ(ヘキサメチレン)トリアミン、トリ−(ヘキサメチレン)テトラミン、並びにテトラ(ヘキサメチレン)ペンタミンが含まれる、
結合樹脂。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の結合樹脂であって、
前記第1級モノアミンA1は、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン及びステアリルアミンからなる群から選択される、
結合樹脂。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載の結合樹脂であって、
前記第1級−第3級ジアミンA2は、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、及びN−(2−アミノエチル)ピペリジンからなる群から選択される、
結合樹脂。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一項に記載の結合樹脂であって、
前記ジ−第1級−第2級アミンA3は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びテトラエチレンペンタミン、更に、オリゴマージアミノポリエチレンイミンの市販の混合物からなる群から選択される、
結合樹脂。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項に記載の結合樹脂であって、
前記第2級アミンA4は、ピペリジン、ジ−n−ブチルアミン、及びモルホリン、並びに第2級ジアミンであるピペラジンからなる群から選択される、
結合樹脂。
【請求項11】
請求項1〜のいずれか一項に記載の結合樹脂であって、
前記ヒドロキシル−官能性第2級アミンA5は、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミンからなる群から選択される、
結合樹脂。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の結合樹脂であって、
1分子当たり2以上のヒドロキシル基を有する前記芳香族化合物D1は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ジヒドロキシジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾルシノール、及び1,4−ビス−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼンからなる群から選択される、
結合樹脂。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の結合樹脂であって、
1分子当たり2以上のヒドロキシル基を有する前記(環状)脂肪族化合物D2は、ヘキサンジオール−1,6、ブタンジオール−1,4、シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコールオリゴマー、及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される、
結合樹脂。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の結合樹脂と、乳化剤、消泡剤、チキソトロピー剤、増粘剤、充填剤、顔料、並びに、コバルト系乾燥剤及び鉄系乾燥剤からなる群から選択される乾燥剤、の少なくとも1つとを含むプライマー。
【請求項15】
噴霧、浸漬、ローリング、又は刷毛塗りにより請求項14記載のプライマーを塗布することにより、木材、加工木材、コンクリート、石膏、ガラス、セラミック、及び金属からなる群から選択される基材を被覆するための、請求項14に記載のプライマーの使用法。
【請求項16】
泳動電着で請求項14に記載のプライマーを塗布することにより、金属基材を被覆するための、請求項14に記載のプライマーの使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中の酸素と結合剤分子中に含まれるオレフィン系二重結合との反応により酸化的に架橋可能である防食システムのためのカチオン性水性結合剤に関し、前記架橋は「風乾」とも称する。
【背景技術】
【0002】
風乾性樹脂又は風乾性結合剤は、主にアルキド樹脂の分野において知られており、水希釈性アルキド樹脂は、(未変性の)アルキド樹脂と乳化剤とを混合することにより、又はポリエステル分子中の十分な数の酸性基であって、縮合反応、及び前記基の少なくとも幾つかの中和、又は共縮合の後に残っているものとポリエチレングリコール等の親水性ポリオキシアルキレンポリオールとを組み入れることにより得られる。前者のシステムは、アニオン性、後者のシステムは、本質的に非イオン性である。
【0003】
例えば、ポリウレタン・ポリウレアに基づくアルキド樹脂のためのヒドロキシ官能性乳化剤は、EP0741156A1で知られるようになった。他の外部的に乳化された水性アルキド樹脂組成物は、EP0593487A1に記載されている。乳化性である化学的に組み入れられた乳化剤を有するアルキド樹脂は、EP0312733A2で知られるようになった。
【0004】
水相溶性は、化学的に組み入れられた形態の又は添加された形態の非イオン性又はアニオン性乳化剤を使用することによる全ての場合に達成させる。
【0005】
製造した塗料が風乾性となるように、不飽和脂肪酸を組み入れることにより、ポリウレタン樹脂を変性することも知られている(EP0444454A2)。
【0006】
脂肪酸を用いて変性させることにより、風乾性結合剤となるエポキシ官能性樹脂は、EP0355761A2(脂肪酸とエポキシ樹脂とのエステル)、EP0316732A2、EP0370299A1(エポキシ基を有するアクリラート樹脂)、及びEP0267562A2(水媒体中でオレフィン系不飽和モノマーとグラフト化したアルキド、ウレタン−アルキド又はエポキシド−エステル樹脂)に記載されている。
【0007】
エポキシ樹脂−アミン付加物と脂肪酸との中和反応生成物の水性配合物は、EP0070704A2で知られるようになった。そこで、多価フェノールに基づくアミンとエポキシ樹脂は、モル質量が1000g/モル〜3000g/モルである付加物を調製し、その後、不飽和脂肪酸と反応させて、脂肪酸の質量分率が25%〜50%である生成物を得るのに使用される。脂肪酸の量は、活性アミン水素原子の全てが消費されるように選択されるべきである。
【0008】
AT390261Bには、風乾性塗料用結合剤として使用することができるエポキシ樹脂エステルの乳化が開示されている。この樹脂は、脂肪酸を用いて部分的にエステル化したエポキシ樹脂と、不飽和脂肪酸と(メタ)アクリル酸とのコポリマーと、更に共重合可能なモノマーと反応させることにより調製される。この反応生成物は、アルカリ性化合物を使用して少なくとも部分的に中和されて、水希釈可能性を達成する。これらの樹脂もまた、アミノ官能性エポキシ樹脂エステルと混合することができる。
【0009】
エポキシ樹脂、脂肪酸、及びアミンの反応の反応生成物は、EP1233034A1で知られるようになり、それでできているプライマーは、良好な防食性を示す。しかし、このようなプライマーからできている保護被覆は、腐食環境に長期間曝されることにより損なわれ、且つその硬度は不十分である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、これらの特性を改良するために行われた実験の過程で、エポキシ樹脂とアミンとの反応生成物が、任意選択で不飽和脂肪酸の組み入れにより変性され、脂肪酸アミドの組み入れにより変性されて、特に暴露時間が長い金属基材に対して優れた防食性を発揮し、且つ良好な硬度を有する風乾性塗料用結合剤として使用することができることを見出した。
【0011】
それ故、本発明の目的は、エポキシ樹脂E及びアミンAからできており任意に不飽和脂肪酸F’の組み入れにより変性された付加物EAを含む可塑化エポキシド−アミン付加物Pである結合剤樹脂であって、前記付加物が脂肪酸アミドM、又は前記脂肪酸アミドMとトリグリセリドGT、ジグリセリドGD、及びモノグリセリドGMからなる群から選択される少なくとも2種のグリセリドの混合物であるグリセリド混合物GXとの混合物の組み入れにより可塑化される、可塑化エポキシド−アミン付加物Pである結合剤樹脂である。
【0012】
本発明の更なる目的は、脂肪酸アミドMと、トリグリセリドGT、ジグリセリドGD、及びモノグリセリドGMからなる群から選択される少なくとも2種のグリセリドの混合物であるグリセリド混合物GXとを含む混合物M’であり、それは、本発明に係る風乾カチオン性アルキド樹脂のための中間体として有用である。この混合物GXは、ジグリセリドGD中に存在するヒドロキシル基の物質量n(OH、GD)と、モノグリセリドGM中に存在するヒドロキシル基の物質量n(OH、GM)との合計が、脂肪酸アミドM中の脂肪酸部分の物質量に等しいと好ましい。
【0013】
本発明の更なる目的は、特にベースメタル用プライマー組成物であり、その組成物は、結合剤樹脂として、エポキシ樹脂EとアミンAからできており、任意選択で不飽和脂肪酸F’の組み入れにより変性される付加物EAを含む可塑化エポキシド−アミン付加物Pを含み、その付加物は、脂肪酸アミドM、又は前記脂肪酸アミドMと、トリグリセリドGT、ジグリセリドGD、及びモノグリセリドGMからなる群から選択される少なくとも2種のグリセリドの混合物であるグリセリド混合物GXとの混合物M’の組み入れにより可塑化される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
脂肪酸アミドMは、脂肪酸Fと、少なくとも1つの第1級及び少なくとも1つの第2級アミノ基を有するアミンA’とから、アミンA’の第1級アミノ基を脂肪酸Fと、アミドM=FA’の形成下で反応させることによりできる。前記脂肪酸アミドMとグリセリド混合物GXとの混合物は、トリグリセリドである油GTと、少なくとも1つの第1級及び少なくとも1つの第2級アミノ基を有するアミンA’とを反応させることにより、即ちアミンA’の第1級アミノ基を油GTと、脂肪酸FのアミドMの形成下で反応させることによりできるが、油GTの少なくとも一部は、化学量論に応じて、ジグリセリドGDに又は更にモノグリセリドGMに又はこれらの混合物に転化されており、任意選択で未反応の油GTを有する。油GTはトリグリセリドであり、それは、1分子のグリセロールGと3分子の脂肪酸Fのエステルであり、ここで、その脂肪酸は、油を構成するトリグリセリドの1分子内で又は混合物内で、同じであっても、又は互いに異なっていてもよい。異なる脂肪酸を有する後者の油は、少しだけ挙げると、例えば、ヒマワリ油、トール油、アマニ油等の天然原料に基づく油である。
【0015】
上記の油GT又は脂肪酸FとアミンA’から脂肪酸アミドMを作る反応では、1分子のグリセロールと3分子の1つ以上の脂肪酸の間に3つのエステル結合を有する油の場合、第1段階で、油のエステル結合の1つが開裂し、そして1分子のグリセロールと2分子の同じ又は異なる脂肪酸とのエステルであるジグリセリドGDと脂肪酸アミドが形成される。化学量論及び更に立体的条件に応じて、油の第2エステル結合は、次の段階で開裂してもよく、更なる酸アミドと、1分子のグリセロールと1分子の脂肪酸のエステルであるモノグリセリドGMとが形成される場合がある。アミンA’の量を、平均的な反応生成物がジグリセリド及び更にモノグリセリドを含むように制限内に維持することが好ましく、後者の量は脂肪酸アミドM、未反応の油GT、ジグリセリドGD、及びモノグリセリドGMの混合物中のモノグリセリドGMの質量分率が好ましくは30%を超えない、より好ましくは20%を超えない、そして最も好ましくは15%以下である制限内に維持されるのが好ましい。
【0016】
油又はトリグリセリドGTは、ヨウ素価又はヨウ素数が30cg/g〜200cg/g、好ましくは40cg/g〜180cg/gである少なくとも部分的に不飽和の油である。好ましい油は、ヨウ素価が少なくとも60cg/gであり、そして好ましくは、アマニ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、綿実油、ブドウ種子油、キウイ種子油、エゴマ油、ケシ油、ベニバナ油、大豆油、及びヒマワリ油からなる群から選択される。周知のように、油は、グリセロールGと脂肪酸F又は脂肪酸の混合物とのエステルであり、1分子のグリセロールが、同じでも異なっていてもよい3分子の脂肪酸でエステル化されるので、トリグリセリドGTとも称される。
【0017】
脂肪酸Fは、飽和されていてもよく、又は少なくとも1つのオレフィン系不飽和を有していてもよく、従って、少なくとも1つのオレフィン系不飽和、そして好ましくは6〜30個の炭素原子、特に好ましくは8〜26個の炭素原子、そして格別好ましくは16〜22個の炭素原子、を有する不飽和脂肪酸を含む。好ましい不飽和脂肪酸には、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、クルパノドン酸、並びにアマニ油脂肪酸、ヒマワリ脂肪酸、異性化ヒマワリ脂肪酸、トール油脂肪酸、綿実油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、及び脱水ヒマシ油から得られる脂肪酸混合物等の天然源からできている脂肪酸の混合物がある。脂肪酸Fには、追加的に4〜30個の炭素原子、好ましくは6〜26個、そして特に好ましくは8〜22個の炭素原子を有する直鎖又は分枝飽和脂肪酸を含む。これらには、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びリグノセリン酸が含まれる。これらの混合物並びに不飽和及び飽和脂肪酸の混合物も含まれる。
【0018】
アミンA’は、少なくとも2つの第1級アミノ基及び少なくとも1つの第2級アミノ基、そして、4〜40個の炭素原子、好ましくは20個までの炭素原子、を有する。それらは、脂肪族であり、そして直鎖、分枝又は環状であってもよく、好ましくは直鎖及び環状である。2種以上の第1級アミノ基、及び1つ以上の第2級アミノ基を有するアミンA’が好ましい。下式に従うアミンA’が特に好ましい:
N−[(CH−NH−]−H
式中、nは2〜12、好ましくは2〜6の整数であり、そしてmは2〜200、好ましくは3〜10、特に好ましくは6までの整数である。このような好ましいアミンA’は、ジエチレントリアミン、トリエチレントテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、及び式HN−[CH−CH−NH−]m’−1−CH−CH−NHのアミノ末端基を有するオリゴマー及びポリマーのエチレンイミンであり、式中、m’は、5〜200である。更に好ましいアミンは、アミノ末端基を有するオリゴマーの1,2−及び1,3−プロピレンイミン、アミノ末端基を有するオリゴマーの1,2−及び1,4−ブチレンイミン、及びアミノ末端基を有するオリゴマーの1,6−ヘキサメチレンイミン、例えば、ジ−(2−メチルエチレン)トリアミン、トリ−(2−メチルエチレン)テトラミン、テトラ−(2−メチルエチレン)ペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、テトラブチレンペンタミン、及びジ(ヘキサメチレン)トリアミン、トリ(ヘキサメチレン)テトラミン、テトラ(ヘキサメチレン)ペンタミンである。更に好ましいアミンには、環状アミン、例えばN、N’−ビス−(2−アミノエチル)−ピペラジン、及びN’−[2−[4−(2−アミノエチル)ピペラジン−1−イル]−エチル]−エタン−1,2−ジ−アミンが含まれる。
【0019】
エポキシ樹脂Eは、1分子当たり2以上のエポキシ基を有するジエポキシド又はポリエポキシド化合物から選択することができ、それは、エピクロロヒドリンと、1分子当たり各々2以上のヒドロキシル基を有する芳香族化合物D1又は(環状)脂肪族化合物D2との反応(タフィープロセス(Taffy process))による、又はモル質量が200g/モルからまでの範囲である低モル質量のジエポキシド又はポリエポキシド化合物D3と、1分子当たり2以上のヒドロキシル基を有する前記芳香族又は(環状)脂肪族化合物との反応(促進反応(advancement reaction))による普通の方法で得ることができる。芳香族ジヒドロキシ化合物D1、例えばビスフェノールA(モル質量M=340.4g/モルを有するビスフェノールAジグリシジルエーテル)、ビスフェノールF、ジヒドロキシジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾルシノール(レゾルシノールジグリシジルエーテル、M=222.2g/モル)、1,4−ビス−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、又は(環状)脂肪族ジヒドロキシ化合物D2、例えばヘキサンジオール−1,6、ブタンジオール−1,4(ブタンジオールジグリシジルエーテル、M=202.2g/モル)、シクロヘキサンジメタノール、又はオリゴ−及びポリ−プロピレングリコールに基づくジエポキシドD3が好ましい。これらのエポキシ樹脂中のエポキシ基の特定の物質量n(EP)/mの特定量は、好ましくは、0.4モル/kg〜7モル/kg、特に好ましくは、0.6モル/kg〜6モル/kgである。
【0020】
ビスフェノールA又はビスフェノールF又はこれらの混合物に基づくエポキシ樹脂が特に好ましい。
【0021】
アミンAは、少なくとも1つの第1級又は第2級アミノ基を有する脂肪族直鎖、環状又は分枝アミンである。それらは、好ましくは、2〜12の炭素原子を有し、そして更に、更なる官能基として、第3級アミノ基、又はヒドロキシル基を含んでいてもよい。特に好ましくは、6〜12個の炭素原子を有する第1級モノアミンA1(例えばn−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン及びテアリルアミン)、第1級−第3級ジアミンA2(例えばジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、及びN−(2−アミノエチル)ピペリジン)、ジ−第1級−第2級−アミンA3(例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、及びテトラエチレンペンタミン)、更にオリゴマーのジアミノポリエチレンイミンの市販の混合物であり、更に好ましくは、第2級アミン及びジアミンA4(例えばピペリジン、ピペラジン、ジ−n−ブチルアミン、モルホリン)、並びにヒドロキシル−官能性第2級アミンA5(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びジイソプロパノールアミン)である。ここに記載したこれらのアミンの混合物も使用することができる。
【0022】
好ましい実施態様では、アミンのうち少なくとも2種がアミン混合物中に存在し、アミンは別々のグループに属するのが好ましい。
【0023】
特に好ましくは、これらのアミン混合物には、第1級及び第3級アミノ基を有する少なくとも1つのアミンA2、及び第2級アミノ基を有する少なくとも1つのアミンA4又はA5が含まれ、特に好ましい実施態様では、少なくとも1つのアミンA2及び少なくとも1つのアミンA5である。
【0024】
任意選択で使用される不飽和脂肪酸F’は、少なくとも1つのオレフィン系不飽和、そして好ましくは、6〜30個の炭素原子、特に好ましくは、8〜26個の炭素原子、及び特に好ましくは、16〜22個の炭素原子を有する。好ましい不飽和脂肪酸には、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、クルパノドン酸、並びにアマニ油脂肪酸、異性化ヒマワリ脂肪酸、トール油脂肪酸、綿実油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、及び脱水ヒマシ油から得られる脂肪酸混合物等の天然源からできている脂肪酸の混合物がある。
【0025】
可塑化エポキシド−アミン付加物は段階反応にて作られ、第1段階で、脂肪酸アミド、又はこれとジグリセリド及び/又はモノグリセリドとの混合物が上記のように作られる。脂肪酸アミドを含むこの混合物を、第2段階のために投入し、そして好ましい実施態様では、以下の反応物を混合する:それは、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン)、及びビスフェノールF(ビス(4−ヒドロキシフェニル)−メタン)、ビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン)、及びレゾルシノールから好ましくは選択される芳香族ジヒドロキシ化合物D1、及び少なくとも1つ、好ましくは2つのアミンAであり、ここで、上記分類に従って、異なる分類のアミンAに属する2種のアミンを選択するのが好ましい。この反応における任意選択の成分は、この混合物に添加してもよい不飽和脂肪酸F’である。この混合物を、透明な溶融物が得られるまで、60℃〜120℃の温度に加熱する。その後、エポキシ樹脂Eを、好ましくは、E中のエポキシ基の物質量n(EP)対アミンA及びA’中のアミンの水素原子の物質量n(NH)と、脂肪酸アミドM中のアミの水素原子の物質量n(NH)と、脂肪酸F’中の酸の水素原子の物質量n(COOH)と、ヒドロキシ−官能性アミンA5中の第1級ヒドロキシ基の物質量n(OH)と、芳香族ジヒドロキシ化合物D1のフェノールのヒドロキシ基の物質量n(OH)との合計の比が、0.8モル/モル〜0.999モル/モルとなる量で添加する。
【0026】
本発明の文脈上、アミンの水素原子は
N−H
基中の水素原子であり、式中、RとRはアシル基ではなく、特に>CO基でもスルホン基>SOでもホスホン(phosphone)基−POでもなく、xはゼロより大きい。
【0027】
エポキシ環の開環によるエポキシアミン付加物の形成には、この反応の発熱性に因る温度上昇が伴うので、エポキシ樹脂Eを分けて添加し、そして反応混合物を、その間に冷却させる。反応混合物を、少なくとも140℃に保持して、反応を完了させ、その後は、遊離エポキシ基は残っていない。その後、反応生成物を酸水溶液に添加して、生成物を中和し、その後、希釈して、好ましくは50%以下の固形分の質量分率にする。この中和度は、アンモニウム塩の物質量n(塩)及びアミンの物質量n(アミン)の合計中の、酸との反応により形成されるアンモニウム塩の物質量分率x(塩)=n(塩)/(n(塩)+n(アミン))として表されるが、それは、45%〜80%が好ましい。中和した混合物を60℃と95℃の間に加熱した後、エポキシ樹脂の更なる部分を添加する、この量は、エポキシ樹脂のその添加した部分中のエポキシ基の物質量n(EP)が、第3級アミノ基の物質量の20%〜50%となるように選択するのが好ましい。本発明の基礎となる実験で、20%未満に対応するより少ない量のエポキシ樹脂の場合、分散液の粘度は高すぎることとなり、一方、50%超過に対応するより多い量のエポキシ樹脂の場合、コアレッセンスの傾向があって粒子サイズが増加し、これにより、貯蔵安定性が低下することが見出された。
【0028】
このようにして得られる結合剤の油長は、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも15%、そして特に好ましくは、18%以上である。
【0029】
このようにして得られる結合剤分散液は、好ましくは、ベースメタル用のプライマーとして使用され、この分散液に通常の添加剤、例えば追加的な乳化剤、消泡剤、チキソトロピー剤、増粘剤、充填剤及び顔料を添加することにより配合される。酸化鉄顔料に、好ましくは活性充填剤のリン酸亜鉛、更にカオリン及びタルクを組合せて使用することが推奨される。このようにして調製したプライマーには、架橋剤の添加及び/又は被覆した基材の加熱は必要ない。広く使用されるコバルト系乾燥剤、又は環境適合性鉄系乾燥剤とすることができる乾燥剤を添加すると、周囲の空気に曝された際の硬度の発現が更に強化される。EP1233034B1に従って調製されるプライマーと比較して、塩水噴霧試験にて測定される防食性は著しく改善される。基材は好ましくは、木材、加工木材、コンクリート、石膏、ガラス、セラミック、及び金属である。プライマーは通常、噴霧、浸漬、ローリング、又は刷毛塗りにより塗布される。基材が金属の場合、好ましい塗布法は、泳動電着である。
【0030】
使用される物理量及び物理化学量
ヨウ素価はヨウ素数とも称されるが、これは、DIN 53 241−1に準拠して、試料中のオレフィン系二重結合に退色下で添加されるヨウ素の質量mと、その試料の質量m(溶液又は分散液の場合は試料中の固形分の質量)の比として定義され、慣用単位は、「g/(100g)」であり、「g/hg」若しくは「dag/kg」又は好ましくは「cg/g」に等しい。
【0031】
酸価又は酸数は、DIN EN ISO 3682(DIN53 402)に準拠して、試験中の試料を中和するのに必要な水酸化カリウムの質量mKOHと、この試料の質量m又は溶液若しくは分散液の場合は試料中の固形分の質量の比として定義され、慣用単位は「mg/g」である。
【0032】
けん化価又はけん化数は、DIN EN ISO3657−2013に準拠して、試験中の油脂試料をけん化するのに必要な水酸化カリウムの質量mKOHと、この試料の質量m又は溶液若しくは分散液の場合は試料中の固形分の質量の比として定義され、慣用単位は「mg/g」である。
【0033】
アミン価は、DIN53 176に準拠して、検討中の試料と同じ酸の量を中和するのに使われる水酸化カリウムの質量mKOHと、この試料の質量m、又は溶液若しくは分散液の場合は試料中の固形分の質量の比として定義され、普通に使用される単位は「mg/g」である。
【0034】
動的粘度ηは、23℃で円錐平板粘度計にて100/sのせん断速度で測定される。
【0035】
振子硬度を、DIN EN ISO 1522に従うケーニッヒ法に準拠して測定した。
【0036】
結合剤の油長は、結合樹脂中の飽和又は不飽和脂肪酸の質量分率である。
【0037】
エポキシ基の特定量は、質量mの試料B中のエポキシ基EPの物質量n(EP)対質量m、又は溶液若しくは分散液の場合は試料中の固形分の質量の比として定義され、「モル/kg」又は「ミリモル/g」のSI単位を付ける。それは、通常「g/モル」にて測定される所謂「エポキシ当量」の逆数であり、これは、試料の質量m対その試料中に存在するエポキシ基の物質量n(EP)の比を指す。
【実施例】
【0038】
以下の略語を実施例で使用する。
DOLA=ジエタノールアミン、モル質量105.14g/モル
DEAPA=ジエチルアミノプロピルアミン、モル質量130.24g/モル
DMAPA=ジメチルアミノプロピルアミン、モル質量102.18g/モル
HMDA=ヘキサメチレンジアミン、1,6−ジアミノヘキサン、モル質量116.2g/モル
BHMTA=ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、6,6’−イミノジヘキシルアミン、モル質量215.38g/モル
TOFA=トール油脂肪酸、酸価194mg/g(計算モル質量289.2g/モル)
OA=オレイン酸、モル質量282.47g/モル
LO=アマニ油;けん化価190mg/g、酸価0.5mg/g未満(計算モル質量885.9g/モル)
LOFA=アマニ油脂肪酸、酸価200mg/g(計算モル質量280.55g/モル)
RIFA=リシノール酸(ricinenic acid)、9,11−オクタデカジエン酸、モル質量280g/モル
RO=脱水ヒマシ油、酸価3mg/g、けん化価190mg/g、計算モル質量872.18g/モル
BA=ビスフェノールA、モル質量228.29g/モル
CE=(登録商標)Cardura E、(登録商標)Versatic acidのグリシジルエステル、モル質量228.33g/モル
EP1=ビスフェノールAをベースとするジエポキシ樹脂、特定量のエポキシ基2.08モル/kg
EP2=ビスフェノールAをベースとするジエポキシ樹脂、特定量のエポキシ基5.26モル/kg(=「EP380」、1分子当たりのエポキシ基の数で割ったモル質量:190g/モル)
HOAc=酢酸、モル質量60.05g/モル、未希釈
LA=乳酸、モル質量90.08g/モル
【0039】
[アミン官能性脂肪酸アミドの合成]
[例1−脂肪酸アミド混合物FA1]
146g(1モル)のトリエチレンテトラミンと1760g(約2モル)のアマニ油とを、熱電対、撹拌機及び還流冷却器を備えた3リットルの3つ口容器に投入し、攪拌下で95℃に加熱した。この温度を、少なくとも95%の第1級アミノ基が反応するまで、約6時間保持したが、これは、117mg/gで開始した測定アミン価の減少をモニターしつつ行った。約1900gのアミドとグリセリドとの混合物を得、この混合物は、アミン価が61mg/gであった。
【0040】
[例2−脂肪酸アミド混合物FA2]
146g(1モル)のトリエチレンテトラミンと1760g(約2モル)の脱水ヒマシ油とを、熱電対、撹拌機及び還流冷却器を備えた3リットルの3つ口容器に投入し、攪拌下で95℃に加熱した。この温度を、少なくとも95%の第1級アミノ基が反応するまで、約6時間保持したが、これは、117mg/gで開始した測定アミン価の減少をモニターしつつ行った。約1900gのアミドとグリセリドとの混合物を得、この混合物は、アミン価が60mg/gであった。
【0041】
[例3−脂肪酸アミド混合物FA3]
146g(1モル)のトリエチレンテトラミンと1320g(1.5モル)のアマニ油とを、熱電対、撹拌機及び還流冷却器を備えた3リットルの3つ口容器に投入し、攪拌下で95℃に加熱した。この温度を、少なくとも95%の第1級アミノ基が反応するまで、約6時間保持したが、これは、153mg/gで開始した測定アミン価の減少をモニターしつつ行った。約1460gのアミドとグリセリドとの混合物を得、この混合物は、アミン価が79mg/gであった。
【0042】
[例4−脂肪酸アミド混合物FA4]
146g(1モル)のトリエチレンテトラミンと880g(1.0モル)のアマニ油とを、熱電対、撹拌機及び還流冷却器を備えた3リットルの3つ口容器に投入し、攪拌下で95℃に加熱した。この温度を、少なくとも95%の第1級アミノ基が反応するまで、約7時間保持したが、これは、218mg/gで開始した測定アミン価の減少をモニターしつつ行った。約1020gのアミドとグリセリドとの混合物を得、この混合物は、アミン価が114mg/gであった。
【0043】
[例5−脂肪酸アミド混合物FA5]
215.4g(1モル)のビス−ヘキサメチレントリアミンを、40℃に攪拌下で加熱した。560g(2.0モル)のトール油脂肪酸を15分かけて、連続攪拌下で添加し、そしてその後、添加終了後、中和反応の発熱を利用して1時間以内に150℃まで加熱した。反応中に形成された水(約36g)を150℃での更なる3時間の反応の間に分離し、その後、反応混合物を2時間180℃まで安定的に加熱した。この温度を、76mg/gのアミン価が測定されるまで保持したが、これは、1モルの第2級アミノ基に対応する。室温(23℃)で高粘度の茶色がかったアミド混合物730gを得た。このアミド混合物はアミン価が75mg/g、そして酸化が8mg/gであった。
【0044】
[例6−脂肪酸アミド混合物FA6]
215.4g(1.0モル)のBHMTAと1771.8g(2.0モル)のLOとを、熱電対、撹拌機及び還流冷却器を備えた3リットルの3つ口容器に投入し、攪拌下で95℃に加熱した。この温度を、少なくとも95%の第1級アミノ基が反応するまで、約6時間保持したが、これは、85mg/gで開始した測定アミン価の減少をモニターしつつ行った。約1950gのアミドとグリセリドとの混合物を得、この混合物は、アミン価が30mg/gであった。
【0045】
[例7−脂肪酸アミド混合物FA7]
116.2g(1.0モル)のHMDAと1771.8g(2.0モル)のLOとを、熱電対、撹拌機及び還流冷却器を備えた3リットルの3つ口容器に投入し、攪拌下で95℃に加熱した。この温度を、少なくとも95%の第1級アミノ基が反応するまで、約7時間保持したが、これは、60mg/gで開始した測定アミン価の減少をモニターしつつ行った。約1870gのアミドとグリセリドとの混合物を得、この混合物は、アミン価が3mg/gであった。
【0046】
[可塑化エポキシド−アミン付加物分散液の調製]
[例8−エポキシド−アミン付加物の可塑化分散液]
1906g(1.0モル)のアミン官能性脂肪酸アミド/グリセリド混合物FA1と561g(2.0g)のLOFAとを攪拌機と還流冷却器とを備えた3つ口容器に投入し、そして80℃に加熱した。攪拌下で、960g(4.2モル)のBA、210g(2.0モル)のDOLA及び184g(1.8モル)のDMAPAをこの順序で添加した。1時間後、反応混合物が均質な溶融物になった際、4530g(11.9モル)のジエポキシ樹脂EP2を90分かけて添加したが、この間、温度は発熱に因り160℃まで上昇した。反応混合物を、遊離エポキシ基が検出できなくなるまで、更に1時間160℃に保持した。希釈容器を準備し、これに9kgの脱イオン水と677gの乳酸水溶液とを投入したが、その溶液は、乳酸(LA)の質量分率が50%であった。反応容器からの樹脂をこの希釈容器に、攪拌下で30分以内に添加した。混合物の温度を70℃に調整し、そしてその後、混合物をこの温度で1時間攪拌して均質化した。水を部分に分けて順次添加することにより、混合物を更に希釈して固形分の質量分率を43%にした。その後、こうして得た水分散液を80℃に加熱し、その後、第2部分である400g(1.05モル)のジエポキシ樹脂EP2を添加し、そして得られた混合物を更に2時間80℃で攪拌した。更なる水を添加することにより、そして室温(23℃)への冷却下で、混合物を希釈して、固形分の質量分率を40%にした。こうして得られた水分散液6は、pH4.0、油長24%、25℃及びせん断勾配100/秒で測定した動的粘度290mPa・s、並びに25℃及び溶媒としてのN−エチルピロリドン中で測定したシュタウディンガー指数58cm/gであった。
【0047】
更なるアミン−可塑化エポキシド−アミン付加物分散液6b〜6fを同様のプロセスにて以下の成分を使用して調製した。
【表1】
【0048】
[比較例7−EP1233034B1に準拠した固有の可塑化エポキシド−アミン付加物分散液]
106g(1.0モル)のジエチレントリアミンと560g(2.0モル)のトール油脂肪酸とを、撹拌機及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器に投入し、そして中和熱を利用して80℃に加熱した。攪拌下で750g(3.0モル)のDE(グリシジルネオデカノアート、Cardura(登録商標)E、Momentive Specialty Chmicals)を外部冷却下で1時間以内に、温度を90℃未満に維持しつつ添加した。この温度を、添加完了後、更に1時間保持した。次に、次の成分、即ち、912g(4.0モル)のビスフェノールA、210g(2.0モル)のジエタノールアミン及び184g(1.8モル)のジメチルアミノプロピルアミンを、この順序にて攪拌下で添加し、その後、得られた混合物を、透明な溶液が形成されるまで、1時間80℃で攪拌した。90分以内に、80℃で、3600g(9.5モル)のジエポキシ樹脂EP2を一定のペースで添加したが、この間、反応混合物の温度を、発熱反応を補償するために冷却することにより、160℃未満に維持した。添加完了後、この温度を更に1時間、全てのエポキシ基が使われるまで保持した。
【0049】
希釈容器を準備し、そして8kgの水と420gの乳酸水溶液であってその水溶液中の乳酸の質量分率が50%のものとを投入し、そこへ、形成された樹脂を攪拌下で30分の間に添加した。その後、得られた混合物の温度を70℃に調整し、その混合物をその温度で1時間の間に均質化した。
【0050】
更なる部分の水を添加することにより、固形分の質量分率を、計算値の44.4%〜43%に調整した。こうして得られた樹脂水分散液を80℃に加熱し、その後、第2の部部である400g(1.05モル)のジエポキシ樹脂EP2を添加し、そして混合物を更に2時間攪拌下に維持した。室温に冷却した後、固形分の質量分率を40%に調整し、pH4.3、動的粘度265mPa・s(23℃及びせん断速度100/秒で測定)、23℃でN−メチルピロリドン中で測定したシュタウディンガー指数61cm/gの分散液を得た。
【0051】
[比較例8]
(比較例7に対応するが、トール油脂肪酸の代わりにオレイン酸を使用した。)
106g(1.0モル)のジエチレントリアミンと564.94g(2.0モル)のオレイン酸とを、撹拌機及び還流冷却器を備えた3つ口反応容器に投入し、そして中和熱を利用して80℃に加熱した。攪拌下、750g(3.0モル)のCE(グリシジルネオデカノアート、Cardura(登録商標)E、Momentive Specialty Chmicals)を外部冷却下で1時間以内に、温度を90℃未満に維持しつつ、添加した。添加完了後、この温度を更に1時間保持した。次に、次の成分、即ち、912g(4.0モル)のビスフェノールA、210g(2.0モル)のジエタノールアミン及び184g(1.8モル)のジメチルアミノプロピルアミンを、この順序にて攪拌下で添加し、その後、得られた混合物を、透明な溶液が形成されるまで、1時間80℃で攪拌した。90分以内に、80℃で、3600g(9.5モル)のジエポキシ樹脂EP2を一定のペースで添加したが、この間、反応混合物の温度を、発熱反応を補償するために冷却することにより、160℃未満に維持した。添加完了後、この温度を、更に1時間、全てのエポキシ基が使われるまで保持した。
【0052】
希釈容器を準備し、そして8kgの水と420gの乳酸水溶液であって50%強度(strength)を有するものとを投入し、そこへ、形成された樹脂を攪拌下で30分の間に添加した。その後、得られた混合物の温度を70℃に調整し、その混合物をその温度で1時間の間に均質化した。
【0053】
こうして得られた樹脂水分散液を80℃に加熱し、その後、第2部分である400g(1.05モル)のジエポキシ樹脂EP2を添加し、そして混合物を攪拌下で更に2時間維持した。室温に冷却した後、固形分の質量分率を41%に調整し、pH4.3、動的粘度340mPa・s(23℃及びせん断速度100/秒で測定)、23℃でN−メチルピロリドン中で測定したシュタウディンガー指数59cm/gの分散液を得た。
【0054】
[例9−プライマーの調製及び試験]
以下のレシピに従って、プライマー9a〜9fを結合剤分散液6a〜6fから調製し、そしてプライマー9g〜9hを比較例7及び8の結合剤から調製した。
【0055】
混合物を、88gの脱イオン水、22gの市販の重合性非イオン性分散剤((登録商標)Additol VXW6208、Allnex Austria GmbH)及び3gの市販の乳化性消泡剤であってアセチレンジオールケミストリーに基づくもの((登録商標)Surfynol SE−F、Air Products&Chemicals)、加えて、6gのアミド変性ヒマシ油誘導体であるチキソトリピー剤((登録商標)Luwotix HT、Lehmann&Voss)及び3gのアクリラート増粘剤((登録商標)Acrysol RM 8/12WA、Dow Chemical)から調製した。この混合物を使用して、分散液をこの中で、62gの酸化鉄顔料((登録商標)Bayferrox 140、Lanxess AG)、106gの有機変性塩基性オルトリン酸亜鉛水和物((登録商標)Heucophos ZPO、Heubach GmbH)、55gの標準輝度粉砕カオリン((登録商標)ASP600、BASF SE)及び55gの平均粒径4μmを有する粉砕タルク(マイクロ−タルクAT1、Norwegian Talc)から調製した。480gの結合剤分散液及び1.2gの鉄系乾燥剤の1,2−プロピレングリコール溶液((登録商標)Borchi Oxy−Coat、OMG Borchers GmbH、溶液は900mg/kgの鉄の質量分率を有する。)及び更に118.8gの脱イオン水をこの懸濁液に添加した。このようにして調製したプライマーは流出時間(4mmカップ;DIN−EN−ISO 2431又はDIN 53 211)が30秒であった。
【0056】
プライマーを未処理の鉄製パネルに噴霧して、乾燥フィルム厚が30μmの平らな層を得た。室温(23℃)で10日間乾燥した後、腐食試験をDIN50 021に準拠して行った。以下のデータを得た(値は、スクラッチからのクリープ距離をmmで示す。)。
【表2】
【0057】
[例10−乾燥挙動]
例6a〜6fで作られた結合剤分散液を、乾燥性の透明な被覆組成物10a〜f、例7の比較結合剤からの10g、及び例8の比較結合剤からの10hに、鉄含有乾燥剤Borchi Oxy−Coatをm(Fe)/m(B)の質量比が6mg/kgの量(m(Fe)は酸化剤中の鉄の質量、m(B)は(固形分、即ち未希釈の)結合剤の質量)で添加することにより、そして各場合において水を添加することにより結合剤固形分の質量分率を38%に調整することにより配合した。
【0058】
得られた透明な被覆組成物をガラスプレートにフィルム延伸キューブを使用して塗布して、湿潤フィルム厚が200μmのフィルムを得た(この場合、76μmの乾燥フィルム厚に対応する。)。DIN EN ISO 1522に準拠してケーニッヒ法に従い振子硬度を測定した。室温(23℃)にて乾燥した後、以下の結果を得た(乾燥剤添加/乾燥剤無添加)。
【表3】

本発明を以下に示す。
[請求項1]
エポキシ樹脂E及びアミンAからできており任意に不飽和脂肪酸F’の組み入れにより変性された付加物EAを含む可塑化エポキシド−アミン付加物Pである結合剤樹脂であって、前記付加物が脂肪酸アミドM、又は前記脂肪酸アミドMとトリグリセリドGT、ジグリセリドGD、及びモノグリセリドGMからなる群から選択される少なくとも2種のグリセリドの混合物であるグリセリド混合物GXとの混合物M’の組み入れにより可塑化される、可塑化エポキシド−アミン付加物Pである結合剤樹脂。
[請求項2]
前記エポキシ樹脂Eが1分子当たり平均して少なくとも2つのエポキシ基を有する、請求項1に記載の可塑化エポキシド−アミン付加物P。
[請求項3]
前記アミンAが少なくとも1つの第1級又は第2級アミノ基を有する脂肪族直鎖、環状又は分枝アミンである、請求項1又は2に記載の可塑化エポキシド−アミン付加物P。
[請求項4]
前記脂肪酸アミドMが脂肪酸Fから及びアミンA’から誘導される部分を含み、ここで前記アミンA’は少なくとも2つの第1級アミノ基及び少なくとも1つの第2級アミノ基を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の可塑化エポキシド−アミン付加物P。
[請求項5]
前記脂肪酸Fが、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、及びメリシン酸を含み、4〜30個の炭素原子を有する飽和脂肪酸からなる群から、並びにミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、ペトロセライジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノールエライジン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、アルファ−及びベータ−エレオステアリン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、及びクルパノドン酸を含み、12〜30個の炭素原子を有し且つ少なくとも1つのオレフィン系不飽和を有する不飽和脂肪酸からなる群から選択される、請求項4に記載の可塑化エポキシド−アミン付加物P。
[請求項6]
アミンA’が、少なくとも2つの第1級アミノ基及び少なくとも1つの第2級アミノ基を有し、そして4〜40個の炭素原子をする直鎖、分枝又は環状脂肪族アミンからなる群から選択される、請求項4に記載の可塑化エポキシド−アミン付加物P。
[請求項7]
請求項4に記載の可塑化エポキシド−アミン付加物Pであって、
前記アミンA’が、式:
N−[(CH)−NH−]−H
に従い、式中nは2〜12の整数であり、そしてmは2〜200の整数であり、
それには、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、式HN−[CH−CH−NH−]m’−1−CH−CH−NH(式中m’は5〜200である)で表されるアミノ末端基を有するオリゴマー及びポリマーのエチレンイミン、ジ−(2−メチルエチレン)トリアミン、トリ−(2−メチルエチレン)テトラミン、テトラ−(2−メチルエチレン)ペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、テトラブチレンペンタミン、及びジ(ヘキサメチレン)トリアミン、トリ−(ヘキサメチレン)テトラミン、テトラ(ヘキサメチレン)ペンタミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−ピペラジン、並びにN’−[2−[4−(2−アミノエチル)ピペラジン−1−イル]−エチル]−エタン−1,2−ジアミンが含まれる、
可塑化エポキシド−アミン付加物P。
[請求項8]
請求項1〜7のいずれか一項に記載の可塑化エポキシド−アミン付加物Pであって、
前記アミンAは第1級モノアミンA1、第1級−第3級ジアミンA2、ジ−第3級−第2級アミンA3、第2級アミン及びジアミンA4、並びにヒドロキシル−官能性第2級アミンA5からなる群から選択され、
前記A1は6〜12個の炭素原子を有し並びにn−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン及びステアリルアミンを含み、前記A2はジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、及びN−(2−アミノエチル)ピペリジンを含み、前記A3はジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びテトラエチレンペンタミン、更に、オリゴマージアミノポリ−エチレンイミンの市販の混合物を含み、前記A4はピペリジン、ピペラジン、ジ−n−ブチルアミン、モルホリンを含み、並びに前記A5はエタノール−アミン、ジエタノールアミン、及びジイソプロパノールアミン、更に2種以上のこれらのアミンの混合物を含む、
可塑化エポキシド−アミン付加物P。
[請求項9]
請求項1〜8のいずれか一項に記載の可塑化エポキシド−アミン付加物Pであって、
前記エポキシ樹脂Eは1分子当たり2以上のエポキシ基を有するジエポキシド又はポリエポキシド化合物からなる群から選択され、並びに前記エポキシ樹脂Eはエピクロロヒドリンと芳香族化合物D1との若しくは(環状)脂肪族化合物D2との反応生成物であり、又は、低モル質量のジエポキシド若しくはポリエポキシド化合物D3と前記芳香族化合物D1若しくは前記(環状)脂肪族化合物D2との反応生成物であり、
前記芳香族化合物D1は1分子当たり2以上のヒドロキシル基を有し並びにビスフェノールA、ビスフェノールF、ジヒドロキジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾルシノール、及び1,4−ビス−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼンを含み、前記(環状)脂肪族化合物D2は1分子当たり各々2以上のヒドロキシル基を有し並びにヘキサンジオール−1,6、ブタンジオール−1,4、シクロヘキサンジメタノール、並びにオリゴ−及びポリ−プロピレングリコールを含む、
可塑化エポキシド−アミン付加物P。
[請求項10]
脂肪酸アミドMと、トリグリセリドGT、ジグリセリドGD、及びモノグリセリドGMからなる群から選択される少なくとも2種のグリセリドの混合物であるグリセリド混合物GXとを含む混合物M’であって、ジグリセリドGD中に存在するヒドロキシル基の物質量n(OH、GD)とモノグリセリドGM中に存在するヒドロキシル基の物質量n(OH、GM)との合計が、脂肪酸アミドM中の脂肪酸部分の物質量に等しい、混合物M’。
[請求項11]
請求項1〜10のいずれか一項に記載の可塑化エポキシド−アミン付加物Pと、乳化剤、消泡剤、チキソトロピー剤、増粘剤、充填剤、顔料、並びに、コバルト系乾燥剤及び鉄系乾燥剤からなる群から選択される乾燥剤、の少なくとも1つとを含むプライマー。
[請求項12]
噴霧、浸漬、ローリング、又は刷毛塗りにより請求項12に記載のプライマーを塗布することにより、木材、加工木材、コンクリート、石膏、ガラス、セラミック、及び金属からなる群から選択される基材を被覆ための、請求項11に記載のプライマーの使用法。
[請求項13]
泳動電着で請求項12に記載のプライマーを塗布することにより、金属基材を被覆するための、請求項11に記載のプライマーの使用法。