(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704364
(24)【登録日】2020年5月14日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】銀ナノ粒子インク
(51)【国際特許分類】
C09D 11/52 20140101AFI20200525BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20200525BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
C09D11/52
H01B1/22 A
H01B13/00 Z
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-29156(P2017-29156)
(22)【出願日】2017年2月20日
(65)【公開番号】特開2017-155220(P2017-155220A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2020年2月17日
(31)【優先権主張番号】15/061,618
(32)【優先日】2016年3月4日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペドラム・サラミ
(72)【発明者】
【氏名】ピン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】シー・ジェフリー・アレン
(72)【発明者】
【氏名】ナヴィーン・チョプラ
(72)【発明者】
【氏名】カート・アイ・ハーフヤード
【審査官】
上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−163695(JP,A)
【文献】
特開2015−157942(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/21270(WO,A1)
【文献】
特開2013−216931(JP,A)
【文献】
特開2014−067677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00
H01B 1/00
H01B 13/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ナノ粒子;
少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒であって、ここで前記少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、前記金属ナノ粒子と相溶性である溶媒;
少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒であって、ここで前記少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は前記金属ナノ粒子と相溶性である溶媒を含むインク組成物であって;
ここで前記少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒が、フェニルシクロヘキサンであり、
ここで前記少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒が、エチルシクロヘキサンであり、
ここで前記インク組成物は、前記インク組成物の総重量に基づいて約45重量%を超える金属含有量を有し;
ここで前記インク組成物は、約20〜約30℃の温度において、約5〜約30センチポイズの粘度を有するインク組成物。
【請求項2】
前記金属ナノ粒子が、銀、コバルト、銅、ニッケル、金、パラジウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記金属ナノ粒子が銀ナノ粒子である、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記金属ナノ粒子が、前記インク組成物の総重量に基づいて、約45重量%を超えて約80重量%の量で存在する、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項5】
前記金属ナノ粒子が銀ナノ粒子であり、前記銀ナノ粒子が、前記インク組成物の総重量に基づいて、約45重量%を超えて約80重量%の量で存在する、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項6】
25℃で1〜400s−1と400〜4s−1の速度掃引実行を用いた上昇剪断速度掃引試験において、剪断指数(40〜400)=40s−1での粘度/400s−1の粘度であり、
前記インク組成物が、1.10未満の剪断指数を有する、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項7】
25℃で1〜400s−1と400〜4s−1の速度掃引実行を用いた上昇剪断速度掃引試験において、剪断指数(40〜400)=40s−1での粘度/400s−1の粘度であり、
前記インク組成物が、約0.9〜1.10未満の剪断指数を有する、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項8】
前記インク組成物は、約1〜約10マイクロメ−トルの印刷された画像ライン厚さにおいて、約75,000〜約250,000S/cmの加熱後のバルク伝導率を有する印刷画像を提供する、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項9】
前記金属ナノ粒子が銀ナノ粒子である、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項10】
25℃で1〜400s−1と400〜4s−1の速度掃引実行を用いた上昇剪断速度掃引試験において、剪断指数(40〜400)=40s−1での粘度/400s−1の粘度であり、
前記インク組成物が、約0.9〜1.10未満の剪断指数を有する、請求項9に記載のインク組成物。
【請求項11】
前記インク組成物は、約1〜約10マイクロメ−トルの印刷された画像ライン厚さにおいて、約75,000〜約250,000S/cmのバルク伝導率を有する印刷画像を提供する、請求項9に記載のインク組成物。
【請求項12】
インク組成物を調製するためのプロセスであって:
金属ナノ粒子;
少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒であって、ここで前記少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、前記金属ナノ粒子と相溶性である溶媒;
少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒であって、ここで前記少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は前記金属ナノ粒子と相溶性である溶媒を合わせる工程を含み;
ここで前記少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒が、フェニルシクロヘキサンであり、
ここで前記少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒が、エチルシクロヘキサンであり、
ここで前記インク組成物は、前記インク組成物の総重量に基づいて約45重量%を超える金属含有量を有し;
ここで前記インク組成物は、約20〜約30℃の温度において、約5〜約30センチポイズの粘度を有する、プロセス。
【請求項13】
前記金属ナノ粒子が銀ナノ粒子である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
金属ナノ粒子;
少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒であって、ここで前記少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、前記金属ナノ粒子と相溶性である溶媒;
少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒であって、ここで前記少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は、前記金属ナノ粒子と相溶性である溶媒を含む組成物を提供する工程であって;
ここで前記少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒が、フェニルシクロヘキサンであり、
ここで前記少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒が、エチルシクロヘキサンであり、
ここで前記インク組成物は、前記インク組成物の総重量に基づいて約45重量%を超える金属含有量を有し;ここで前記インク組成物は、約20〜約30℃の温度において、約5〜約30センチポイズの粘度を有する工程;
前記インク組成物を基材上に堆積させ、堆積された特徴を形成する工程;および
場合により、前記基材上に堆積された特徴を加熱して、前記基材上に伝導性特徴を形成する工程を含むプロセス。
【請求項15】
前記インク組成物を堆積する工程が、空圧エアロゾル印刷を用いて堆積する工程を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記金属ナノ粒子が銀ナノ粒子である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記インク組成物が、エアロゾル印刷のためのインク組成物を含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項18】
前記金属ナノ粒子が、銀ナノ粒子であり、前記銀ナノ粒子が、前記インク組成物の総重量に基づいて、約80重量%の量で存在する、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項19】
前記金属ナノ粒子が、銀ナノ粒子であり、前記銀ナノ粒子が、前記インク組成物の総重量に基づいて、約85重量%の量で存在する、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項20】
前記金属ナノ粒子が、Z平均粒径およびD(1,0)数平均長さ直径を有し、ここでZ平均/D(1,0)が約3未満である、請求項1に記載のインク組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
銀ナノ粒子インク組成物が本明細書に開示される。実施形態において、空圧エアロゾル印刷用途に特に適した銀ナノ粒子インク組成物が本明細書に開示される。
【背景技術】
【0002】
伝導性インクは、電子デバイス用途のための伝導性パターンを製作するために所望される。
【0003】
Xerox(登録商標)Corporationは、有機アミンによって安定化されるナノ銀粒子を発明した。米国特許第8,765,025号には、有機安定化された金属ナノ粒子および溶媒を含む金属ナノ粒子組成物が記載されており、ここで選択された溶媒は、以下のハンセン溶解度パラメータ:約16MPa
0.5以上の分散パラメータ、ならびに約8.0MPa
0.5以下の極性パラメータおよび水素結合パラメータの合計を有する。米国特許第7,270,694号には、安定化された銀ナノ粒子を調製するためのプロセスが記載されており、銀化合物を、還元剤、有機アミンを含む安定剤および溶媒を含む第1の混合物に漸増的に添加することによって、銀化合物を、ヒドラジン化合物を含む還元剤と反応させる工程を含む。
【0004】
米国特許出願番号13/866,704には、銀化合物を、還元剤、有機アミンを含む安定剤および溶媒を含む第1の混合物に漸増的に添加することによって、銀化合物を、ヒドラジン化合物を含む還元剤と反応させる工程を含む第1の方法によって調製された安定化された金属含有ナノ粒子が記載されている。米国特許出願番号14/188,284には、グラビアおよびフレキソ印刷のための高銀含有量を有する伝導性インクおよびこうした伝導性インクを製造するための方法が記載されている。
【0005】
銀ナノ粒子インクを含む溶液加工処理可能な伝導材料は、電子デバイス集積において重要な役割を果たす。好適な溶媒に容易に分散でき、電子デバイスにおける種々の伝導特徴、例えば電極および電気インターコネクタを、低コストの溶液堆積およびパターニング技術(スピンコーティング、浸漬コーティング、エアロゾル印刷およびインクジェット印刷技術を含む)によって製作するために使用できる電気伝導性インクは、特に所望される。エアロゾル印刷、例えば空圧アトマイザを用いる印刷は、多数の電子デバイス、例えばRFID(ラジオ周波識別)タグ、アンテナ、電子センサなどを製造するための低コストで、効率の良い印刷プロセスであり得る。
【0006】
しかし、空圧エアロゾル印刷は、通常、高い処理量および効率の良い印刷のためには、例えば約60重量%を超える非常に高い銀含有量、および約8〜約30センチポイズの粘度を有するナノ粒子インクを必要とする。特定の現在利用可能なナノ粒子伝導性インクに関する問題は、経時的なインクのレオロジー特性変化、不十分なインク安定性および/または予測できない性能特徴の結果としてプリント性能の不足が現れることである。これらの問題は、性能要件を満たさないためインクバッチが拒絶され得るので、インクコストの増大が生じ得る。予測できない貯蔵寿命は、初期に品質チェックを通過した特定のインクバッチであっても生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在利用可能な伝導性インクは、それらの意図する目的に好適である。しかし、改善された伝導性インクが必要とされ続けている。さらに、低コストの電子デバイス用途のための空圧エアロゾル印刷プロセスの要件を満たす改善された安定な伝導性インクが必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
金属ナノ粒子;少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、金属ナノ粒子と相溶性である溶媒;少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は、金属ナノ粒子と相溶性である溶媒を含むインク組成物が開示され;ここでインク組成物は、インク組成物の総重量に基づいて約45重量%を超える金属含有量を有し;ここでインク組成物は、約20〜約30℃の温度において、約5〜約30センチポイズの粘度を有する。
【0009】
さらに、インク組成物を調製するためのプロセスが記載され、金属ナノ粒子;少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、金属ナノ粒子と相溶性である溶媒;少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は金属ナノ粒子と相溶性である溶媒を合わせる工程を含み;ここでインク組成物は、インク組成物の総重量に基づいて約45重量%を超える金属含有量を有し;ここでインク組成物は、約20〜約30℃の温度において、約5〜約30センチポイズの粘度を有する。
【0010】
さらに、金属ナノ粒子;少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、金属ナノ粒子と相溶性である溶媒;少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は金属ナノ粒子と相溶性である溶媒を含む組成物を提供する工程であって;ここでインク組成物は、インク組成物の総重量に基づいて約45重量%を超える金属含有量を有し;ここでインク組成物は、約20〜約30℃の温度において、約5〜約30センチポイズの粘度を有する工程;インク組成物を基材上に堆積させ、堆積された特徴を形成する工程;および場合により、基材上に堆積された特徴を加熱して、基材上に伝導性特徴を形成する工程を含むプロセスが記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、重量%のフェニルシクロヘキサンおよび重量%の銀ナノ粒子に対する粘度を示す等高線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
インク組成物は、金属ナノ粒子および少なくとも2つの溶媒の組み合わせを含み、溶媒の少なくとも1つは芳香族炭化水素であり、溶媒の少なくとも1つは脂肪族炭化水素であり、ここで溶媒は金属ナノ粒子と相溶性である。
【0013】
本明細書で使用される場合、金属ナノ粒子と相溶性の芳香族炭化水素溶媒は、アグリゲーションも相分離もなく、安定な分散液を形成する溶媒を意味する。さらに、実施形態において、金属ナノ粒子は分散液から沈澱しない。
【0014】
本明細書で使用される場合、金属ナノ粒子と相溶性の脂肪族炭化水素は、アグリゲーションも相分離もなく、安定な分散液を形成する溶媒を意味する。さらに、実施形態において、金属ナノ粒子は分散液から沈澱しない。
【0015】
実施形態において、金属ナノ粒子;少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、金属ナノ粒子と相溶性である溶媒;少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は金属ナノ粒子と相溶性である溶媒を含むインク組成物が提供され;ここでインク組成物は、インク組成物の総重量に基づいて約45重量%を超える金属含有量を有し;ここでインク組成物は、約20〜約30℃の温度において、約5〜約30センチポイズの粘度を有する。
【0016】
金属ナノ粒子
本明細書のインク組成物は、金属ナノ粒子、実施形態において、銀ナノ粒子を含む。金属ナノ粒子は、いずれかの形状または幾何学形状を有していてもよい。実施形態において、金属ナノ粒子は球状形状を有する。金属ナノ粒子は、サブミクロン範囲の直径を有することができる。実施形態において、金属ナノ粒子は、約0.5〜約100ナノメートル(nm)、または約1.0〜約50nm、または約1.0〜約20nmの体積平均粒径を有する。実施形態において、本明細書の金属ナノ粒子は、低温、例えば約200℃未満、または約100℃未満の温度にて焼結またはアニールできるようなサイズのナノ粒子を含む。特定の実施形態において、金属ナノ粒子は、約0.5〜約50nm、または約1〜約20nm、または約5.0〜約10nmの体積平均粒径を有する。他の特定の実施形態において、金属ナノ粒子の体積平均粒径と数平均長さ直径との比は、約1.3未満または約1.2未満または約1.1未満である。
【0017】
金属ナノ粒子の特徴は、いずれかの好適な技術および装置によって決定されてもよい。体積平均粒子直径は、製造者の説明書に従って操作される測定機器、例えば動的光散乱粒子分析器によって測定されてもよい。体積平均粒子直径は、例えば製造者の説明書に従って操作される測定機器、例えばMalvern Instruments Zetasizer(登録商標)Nano Sによって誘導されてもよい。
【0018】
実施形態において、金属ナノ粒子は、銀、コバルト、銅、ニッケル、金、パラジウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。実施形態において、金属ナノ粒子は銀ナノ粒子である。
【0019】
銀ナノ粒子は、元素状銀、銀合金、またはこれらの組み合わせであってもよい。実施形態において、銀ナノ粒子は、純粋な銀、銀合金または銀化合物でコーティングされたまたはめっきされたベース材料であってもよい。例えば、ベース材料は、銀めっきされた銅フレークであってもよい。銀合金は、これらに限定されないが、Au、Cu、Ni、Co、Pd、Pt、Ti、V、Mn、Fe、Cr、Zr、Nb、Mo、W、Ru、Cd、Ta、Re、Os、Ir、Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Pb、Bi、Si、As、Hg、Sm、Eu、Th、Mg、Ca、Sr、およびBaから選択される少なくとも1つの金属から形成されてもよい。
【0020】
実施形態において、銀化合物は、(i)1つ以上の他の金属および(ii)1つ以上の非金属のいずれかまたは両方を含んでいてもよい。好適な他の金属としては、例えばAl、Au、Pt、Pd、Cu、Co、Cr、In、およびNi、特に遷移金属、例えばAu、Pt、Pd、Cu、Cr、Niおよびこれらの混合物が挙げられる。例示的な金属複合体は、Au−Ag、Ag−Cu、Au−Ag−Cu、およびAu−Ag−Pdである。金属複合体中の好適な非金属は、例えばSi、C、およびGeを含む。特定の実施形態において、銀ナノ粒子は、元素状銀を含む。実施形態において、銀粒子は、米国特許出願番号14/188,284に記載されるものから選択できる。
【0021】
銀ナノ粒子は、米国特許出願公開第2013/0029034に記載されるように調製できる。実施形態において、銀ナノ粒子を製造するプロセスは、銀塩、有機アミン、第1の溶媒、および第2の溶媒を含む第1の混合物を受容する工程;および第1の混合物を、還元剤溶液と反応させて有機アミン−安定化された銀ナノ粒子を形成する工程を含む。第1の溶媒の極性指数は3.0未満であり、第2の溶媒の極性指数は3.0より高い。ナノ粒子は、第1の溶媒中により分散性または可溶性である。さらなる詳細に関して、米国特許出願公開第2013/0029034号を参照のこと。
【0022】
銀ナノ粒子は、米国特許第7,270,694号に記載されるように調製された安定化された金属含有ナノ粒子であることができる。実施形態において、銀ナノ粒子は、銀化合物を、ヒドラジン化合物を含む還元剤と、熱除去可能な安定剤の存在下、銀化合物、還元剤、安定剤および任意の溶媒を含む反応混合物中で反応させて、銀含有ナノ粒子の表面に安定化剤の分子を有する複数の銀含有ナノ粒子を形成する工程を含むプロセスによって調製できる。さらなる詳細に関して、米国特許第7,270,694号を参照のこと。
【0023】
実施形態において、金属ナノ粒子は、銀ナノ粒子の表面と関連する安定剤を有する銀ナノ粒子である。銀ナノ粒子は、実施形態において、銀、銀−銅複合体、銀−金−銅複合体、銀−金−パラジウム複合体およびこれらの組み合わせからなる群から選択できる。実施形態において、安定剤は、有機アミン安定剤である。実施形態において、有機アミン安定剤は、ノニルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択できる。さらなる詳細に関して、米国特許第8,765,025号を参照のこと。
【0024】
金属ナノ粒子は、いずれかの好適または所望の量においてインク組成物に存在し得る。実施形態において、金属ナノ粒子は、インク組成物の総重量に基づいて、45重量%を超え、または60重量%を超える金属含有量を有するインク組成物を提供するために、インク組成物に存在できる。実施形態において、金属ナノ粒子は、インク組成物の総重量に基づいて、約45重量%を超えて約80重量%までまたは約45重量%を超えて約70重量%までの量でインク組成物中に存在する。実施形態において、金属ナノ粒子は、インク組成物の総重量に基づいて、約60重量%を超えて約80重量%まで、または約60重量%を超えて約70重量%までの量でインク組成物中に存在する。実施形態において、金属ナノ粒子は、インク組成物の総重量に基づいて、45重量%を超えて約80重量%まで、または45重量%から約70重量%までの量でインク組成物中に存在する。実施形態において、金属ナノ粒子は、インク組成物の総重量に基づいて、60重量%を超えて約80重量%まで、または60重量%から約70重量%までの量でインク組成物中に存在する。
【0025】
特定の実施形態において、金属ナノ粒子は、インク組成物の総重量に基づいて、45重量%を超え、または60重量%を超える銀金属含有量を有するインク組成物を提供するために、インク組成物中に存在できる銀ナノ粒子である。実施形態において、銀ナノ粒子は、インク組成物の総重量に基づいて、約45重量%を超えて約80重量%まで、または約45重量%を超えて約70重量%までの量でインク組成物中に存在する。実施形態において、銀ナノ粒子は、インク組成物の総重量に基づいて、約60重量%を超えて約80重量%まで、または約60重量%を超えて約70重量%までの量でインク組成物中に存在する。実施形態において、銀ナノ粒子は、インク組成物の総重量に基づいて、45重量%を超えて約80重量%まで、または45重量%から約70重量%までの量でインク組成物中に存在する。実施形態において、銀ナノ粒子は、インク組成物の総重量に基づいて、60重量%を超えて約80重量%まで、または60重量%から約70重量%までの量でインク組成物中に存在する。
【0026】
溶媒
インク組成物は、芳香族炭化水素溶媒および脂肪族炭化水素溶媒の特定の組み合わせを含有し、ここで溶媒は、空圧エアロゾル印刷に優位な特定の特徴を有するインク組成物を提供するために、金属ナノ粒子と相溶性である。
【0027】
エアロゾルプリンタは、例えば米国特許出願公開第2012/0038716号に記載されている。米国特許出願公開第2012/0038716号には、その要約書において、少なくとも1つの噴霧化チャンバおよび少なくとも1つのノズルを有する少なくとも1つの印刷ヘッドを有するエアロゾルプリンタが記載されており、これらは直接または接続ラインを介して接続されている。さらに、エアロゾルプリンタは、プロセスガス−、輸送ガス−および集束ガスラインを有する。エアロゾルプリンタは、エアロゾルを創出する方法によって特徴付けることができる。例えば、超音波エアロゾルプリンタは超音波振動を介してエアロゾルを創出し、空圧エアロゾルプリンタはインクと直接接触したインクチャンバ中に配設されたパイプを用いてエアロゾルミストを創出する。
【0028】
少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、芳香族炭化水素溶媒が金属ナノ粒子と相溶性であるならば、いずれかの好適なまたは所望の芳香族炭化水素溶媒、または芳香族炭化水素溶媒の組み合わせであることができる。金属ナノ粒子との相溶性は、本明細書上記で記載される通りの相溶性を意味する。
【0029】
実施形態において、少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、フェニルシクロヘキサン、トルエン、メシチレン、m−キシレン、エチルベンゼン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は、脂肪族炭化水素溶媒が金属ナノ粒子と相溶性であるならば、いずれかの好適なまたは所望の脂肪族炭化水素溶媒、または脂肪族炭化水素溶媒の組み合わせであることができる。金属ナノ粒子との相溶性は、本明細書上記で記載される通りの相溶性を意味する。
【0031】
実施形態において、少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テルピネオール、ビシクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、シクロヘキサン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
特定の実施形態において、本明細書のインク組成物は、銀ナノ粒子;銀ナノ粒子と相溶性である少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒;および銀ナノ粒子と相溶性である少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒を含む。より詳細な実施形態において、インク組成物は、銀ナノ粒子;フェニルシクロヘキサン、トルエン、メシチレン、m−キシレン、エチルベンゼン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒;および少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テルピネオール、ビシクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、シクロヘキサン、およびこれらの組み合わせを含む。
【0033】
実施形態において、選択された溶媒は、テルピネオール(α−、β−、γ−および4−テルピネオールの異性化形態を含む)またはこれらの混合物(α−、β−、γ−テルピネオールの混合物を含む)あるいは他の相対的に高い粘度の溶媒であり、これはインク組成物の総重量に基づいて低量の金属ナノ粒子、例えば45重量%が可能になり、所望される場合、約10ミクロンの印刷されたライン厚さの達成を可能にする。低い粘度溶媒では、溶媒は、約20〜約30℃の温度にて、約0.5〜約10センチポイズの粘度を有することを意味する。
【0034】
インク組成物の調製
インク組成物は、いずれかの好適なプロセス、例えば成分の単なる混合によって調製できる。1つのプロセスは、インク成分すべてを共に混合する工程および混合物を濾過してインクを得る工程を必要とする。インクは、成分を混合し、所望により加熱し、濾過し、続いていずれかの所望の追加添加剤を混合物に添加し、均質混合物が得られるまで、実施形態において約5〜約10分、約24時間までで、適度に振とうしながら、室温で混合することによって調製できる。あるいは、任意のインク添加剤は、インク調製プロセスの間に他のインク成分と混合でき、これはいずれかの所望の手順に従って、例えばすべての成分の混合、所望により加熱および濾過によって行われる。
【0035】
実施形態において、本明細書のインク組成物を調製するためのプロセスは、金属ナノ粒子;少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、金属ナノ粒子と相溶性である溶媒;少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は金属ナノ粒子と相溶性である溶媒を合わせる工程を含み;ここでインク組成物は、インク組成物の総重量に基づいて約60重量%を超える金属含有量を有し;ここでインク組成物は、約20〜約30℃の温度において、約5〜約30センチポイズの粘度を有する。実施形態において、金属ナノ粒子は銀ナノ粒子または銀ナノ粒子の組み合わせである。実施形態において、ここで溶媒の組み合わせは、フェニルシクロヘキサン、トルエン、メシチレン、m−キシレン、エチルベンゼン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒を含み;および少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テルピネオール、ビシクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、シクロヘキサン、およびこれらの組み合わせである。
【0036】
剪断指数は、当該技術分野において既知のいずれかの好適なまたは所望の方法によって、例えば50ミリメートルコーン、0.053ミクロンのギャップを用い、25℃において1〜400s
−1と400〜4s
−1の速度掃引実行を用いてTA InstrumentsからのAres G2 Rheometerを用いて測定できる。
【0037】
実施形態において、本明細書のインク組成物は、1.10未満の剪断指数を有する。実施形態において、インク組成物は、約0.9から1.10未満の剪断指数を有する。
【0038】
粘度は、当該技術分野において既知のようないずれかの好適なまたは所望の方法によって、例えばTA InstrumentsからのAres G2 Rheometerを用いて測定できる。粘度データは、例えば50ミリメートルコーン、0.053ミクロンギャップを用いてTA InstrumentsからのAres G2 Rheometerにて25℃で得ることができる。
【0039】
実施形態において、インク組成物は高粘度組成物である。実施形態において、本明細書に開示されるインク組成物は、約25℃の温度にて、約8〜約100、または約10〜約80、または約15〜約60センチポイズの粘度を有する。さらなる実施形態において、インク組成物は、約25℃の温度にて、約5〜約30、または約8〜約30、または約9〜約15、または約10〜約15、または約10〜約13センチポイズの粘度を有する。特定の実施形態において、インクは、約20〜約30℃の範囲の温度および約40〜約400s
−1の剪断速度にて約5〜約30センチポイズの粘度を有する。
【0040】
実施形態において、インク組成物は、約20〜約30℃の温度にて、約5〜約30センチポイズの粘度を有する。
【0041】
金属ナノ粒子インク組成物は、いずれかの好適なまたは所望の印刷プロセスに使用できる。本明細書のプロセスは、本発明のインク組成物を提供する工程;インク組成物を基材上に堆積し、堆積した特徴、インク画像、またはこれらの組み合わせを形成する工程を含む。印刷プロセスは、空圧エアロゾル印刷プロセスを含むことができる。実施形態において、プロセスはさらに、基材上に堆積された特徴を加熱し、基材上に伝導性特徴を形成する工程を含む。
【0042】
実施形態において、本明細書のプロセスは、金属ナノ粒子;少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの芳香族炭化水素溶媒は、金属ナノ粒子と相溶性である溶媒;少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒であって、ここで少なくとも1つの脂肪族炭化水素溶媒は金属ナノ粒子と相溶性である溶媒を含む組成物を提供する工程であって;ここでインク組成物は、インク組成物の総重量に基づいて約60重量%を超える金属含有量を有し;ここでインク組成物は、約20〜約30℃の温度において、約5〜約30センチポイズの粘度を有する工程;インク組成物を基材上に堆積させ、堆積された特徴を形成する工程;および場合により、基材上に堆積された特徴を加熱して、基材上に伝導性特徴を形成する工程を含む。特定の実施形態において、インク組成物を堆積する工程は、空圧エアロゾル印刷を用いて堆積する工程を含む。
【0043】
金属特徴が堆積される基材は、いずれかの好適な基材であってもよく、それらとしては、ケイ素、ガラスプレート、プラスチックフィルム、シート、布地または紙が挙げられる。構造上可撓性のデバイスのために、プラスチック基材、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドシートなどが使用されてもよい。基材の厚さは、いずれかの好適な厚さ、例えば約10マイクロメートルから10ミリメートルを超えることができ、例示的な厚さは、特に可撓性プラスチック基材について約50マイクロメートル〜約2ミリメートル、硬質基材、例えばガラスまたはケイ素については約0.4〜約10ミリメートルである。
【0044】
堆積されたインク組成物を加熱する工程は、いずれかの好適なまたは所望の温度、例えば約70℃〜約200℃または金属ナノ粒子を「アニール」させ、ひいては電子デバイスにおける電気伝導性要素として使用するのに好適である電気伝導性層を形成させるのに十分ないずれかの温度であることができる。加熱温度は、先に堆積された層または基材の特性に負の変化を生じない温度である。実施形態において、低い加熱温度を使用することにより、200℃未満、実施形態において150℃未満のアニール温度を有する低コストのプラスチック基材の使用を可能にする。
【0045】
加熱は、いずれかの好適なまたは所望の時間、例えば約0.01秒〜約10時間であることができる。実施形態において、加熱は真空下で行われることができる。加熱は、空気中、不活性雰囲気中、例えば窒素またはアルゴン下、または還元雰囲気中、例えば約1〜約20体積%の水素を含有する窒素下で行われることができる。加熱はまた、標準大気圧または減圧、例えば約1000mbar〜約0.01mbarで行われることができる。
【0046】
加熱は、(1)金属ナノ粒子をアニールするためにおよび/または(2)金属ナノ粒子から任意の安定剤を除去するために、加熱された材料または基材に十分なエネルギーを付与できるいずれかの技術を包含する。加熱技術の例としては、熱的加熱(例えばホットプレート、オーブンおよびバーナー)、赤外(「IR」)放射線、レーザービーム、フラッシュライト、マイクロ波放射線または紫外(UV)放射線またはこれらの組み合わせ)を含む。
【0047】
実施形態において、加熱後、得られた電気伝導性ラインは、約0.5〜約20マイクロメートルまたは約1〜約10マイクロメートルの範囲の厚さを有する。特定の実施形態において、加熱後、得られた電気伝導性ラインは、約2〜約7マイクロメートルの厚さを有する。
【0048】
実施形態において、本明細書のインク組成物は、約50,000S/cmを超えるバルク伝導率を有する。堆積されたナノ銀インク組成物を加熱することによって製造された得られた金属要素の伝導率は、例えば約100シーメンス/センチメートル(S/cm)を超え、約1,000S/cmを超え、約2,000S/cmを超え、約5,000S/cmを超え、約10,000S/cmを超え、または約50,000S/cmを超える。
【0049】
平均伝導率は、20,000S/cmであり、バルクは、純粋な銀を意味し、そのため1/3バルクは、銀片として1/3の伝導率(単位あたり)を有することを意味する。特定の実施形態において、インク組成物は、約1〜約10マイクロメートルの印刷された画像ライン厚さにおいて、約75,000〜約250,000S/cm、または約1〜約10マイクロメートルの印刷された画像ライン厚さにおいて約75,000〜約200,000S/cmの加熱後のバルク伝導率を有する印刷画像を提供する。
【0050】
得られた要素は、いずれかの好適なまたは所望の用途、例えば電極、伝導性パッド、インターコネクト、伝導性ライン、伝導性トラックなど、電子デバイス、例えば薄膜トランジスタ、有機発光ダイオード、RFIDタグ、光起電性ディスプレイ、印刷されたアンテナおよび伝導性要素または構成成分を必要とする他の電子デバイスに使用できる。
【0051】
以下の実施例は、種々の種類の本開示をさらに規定するために提出されている。これらの実施例は、例示を目的とするに過ぎず、本開示の範囲を限定することを意図しない。また、特に断らない限り、部およびパーセンテージは重量による。
【0052】
アッシングは約800℃でサンプルを燃焼し、初期重量と比較して残留重量を測定することによって決定した。
【0053】
粒径直径は、ASTM Designation E 2490−09の光子相関分光法(PCS)による懸濁液中のナノ材料の粒径分布の測定のための標準ガイドに従って、Malvern Instruments Zetasizer(登録商標)Nano Sを用いて20℃で測定した。所与のコロイド分散液の全体の平均粒径を記載するために有用な粒径の計測基準は特にZ平均またはキュムラント平均であり、加重平均粒子直径の調和平均に基づく強度を表し、以下の方法で計算される:
【0055】
例えば、式中D
zは、Z平均直径を表し、S
iは粒子iの散乱強度であり、D
iは粒子iの粒子直径である。D(1,0)または数平均長さ直径は数に基づくデータから誘導され、以下の方法で誘導される:
【0057】
例えば式中、d
iは粒子iの粒子直径である。粒径計測基準のそれぞれは、5回の別個の測定の平均結果であり、各測定は測定サイクル過程の間で11回の実行の平均からなっていた。Z平均/D(1,0)が約3未満、例えば約2未満、例えば1.5未満であるように、Z平均およびD(1,0)の計測基準が可能な限り互いに近づくことが有利である。Z平均/D(1,0)値が低くなるにつれて、インクの分散液中に存在するより大きなアグロメレートされたまたは凝集された粒子からの寄与散乱作用が低くなり、最終的に空圧エアロゾル印刷の安定性および性能が良好になる。
【0058】
粘度および剪断減粘指数データは、TA Instruments(以前はRheometric Scientific)からのRFS 3 Rheometerにおける、インクの剪断速度掃引測定から得られた。粘度データは、40ミリメートルコーン、0.028ミクロンギャップを用いるTA Instruments(以前はRheometric Scientific)からのRFS 3 Rheometerにおいて25℃で得られた。速度掃引は、1〜400および400〜1s
−1で実行された。
【0059】
インク比較例1およびインク実施例2〜3についての伝導性ラインは以下の通り印刷された。
【0060】
空圧エアロゾル印刷(Optomec(登録商標)Inc.「SPRINT」システム)を、基材表面から3mmに位置する1mmの丸型ノズルを用いて行った。噴霧化ガス(窒素)フローは、500〜1600SCCMの範囲であることができ、排気ガスフローは500〜1600SCCMであることができ、固定されたプリントヘッドからのシースガスフローは300〜700SCCMの範囲であることができる。基材プロセス速度は、1mm/sec〜20mm/secの範囲であることができる。室温および大気圧にて30分の「溶媒アウトガス(solvent−out−gassing)」遅延後、プリントを130℃のオーブンで60分間焼結させた。
【0061】
印刷された伝導性ラインでの抵抗測定を、100mAでの適用電流を用いて、約1.27cm距離にわたるアウトプット電圧を測定して、Keithley(登録商標)236 Source Measurement Unit 4−Point Probe(EPA−2D Probeチップ)を用いて周囲室温(約21〜約23℃)で行った。これらのラインの厚さ(パイル高さ)および幅は、Dektak Profilometer(登録商標)を用いて測定し、サンプルの抵抗率および伝導率を次いで計算した。
【0062】
比較例1
空圧エアロゾル印刷のための2つの芳香族溶媒を含む銀ナノ粒子インクを次のように調製した。ガラス瓶に、73.2グラムの乾燥銀ナノ粒子を、8.93グラムのトルエンおよび17.87グラムのフェニルシクロヘキサンの混合物中に溶解させた。瓶をシールし、オービタルシェーカに2時間入れ、次いで「ロール・アンド・ティルト」ミキサにさらに22時間入れた。インクを濾過するために、1μmポアのガラス繊維シリンジフィルタをプロピレンシリンジと共に使用した。得られた銀ナノ粒子インクは、アッシングにより65.40重量%の銀、12.61センチポイズ(cps)の粘度および1.21の剪断指数を有していた。印刷後、2−ptプローブは1.5〜4.0μmの厚さにて8.84×10
4S/cmの平均伝導率を測定した。
【0063】
実施例2
空圧エアロゾル印刷のための銀ナノ粒子インクを次のように調製した。ガラス瓶に、29.4グラムの乾燥銀ナノ粒子を、7.07グラムのフェニルシクロヘキサンおよび3.53グラムのエチルシクロヘキサンの混合物中に溶解させた。瓶をシールし、オービタルシェーカに2時間入れ、次いで「ロール・アンド・ティルト」ミキサにさらに22時間入れた。インクを濾過するために、1μmポアのガラス繊維シリンジフィルタをプロピレンシリンジと共に使用した。得られた銀ナノ粒子インクは、アッシングにより64.00重量%の銀、11.65cpsの粘度および1.03の剪断指数を含有していた。印刷後、2−ptプローブは1.0〜7.0μmの厚さにて1.02×10
5S/cmの平均伝導率を測定した。
【0064】
実施例3
空圧エアロゾル印刷のための銀ナノ粒子インクを次のように調製した。ガラス瓶に、36.60グラムの乾燥銀ナノ粒子を2.01グラムのデカヒドロナフタレン、10.72グラムのフェニルシクロヘキサン、および0.67グラムのヘキサデカンの混合物中に溶解した。瓶をシールし、オービタルシェーカに2時間入れ、次いで「ロール・アンド・ティルト」ミキサにさらに22時間入れた。インクを濾過するために、1μmポアのガラス繊維シリンジフィルタをプロピレンシリンジと共に使用した。得られた銀ナノ粒子インクは、アッシングにより66.33重量%の銀、18.63cpsの粘度および1.04の剪断指数を有していた。印刷後、2−ptプローブは1.1〜5.4μmの厚さにて1.16×10
5S/cmの平均伝導率を測定した。
【0065】
インクの比較例1およびインク実施例2〜3を用いて、Optomec(登録商標)空圧エアロゾルプリンタ、3mmのスロットノズルを、1mmのギャップ、600SCCMのシースガス、1500SCCMのアトマイザガス、1200SCCMの排気ガスを用いてプリントを調製した。印刷されたインクサンプルについての伝導率データを表1に示す。
【0067】
実施例4〜23は、重量%で表2および3に与えられる銀ナノ粒子および溶媒システムを組み合わせることによって調製した。各実施例に関して、溶媒を回転させながら4Dramポップトップバイアルに添加し、次いで乾燥銀ナノ粒子を添加し、続いて350RPMにて軌道混合した。
【0068】
Dec=デカヒドロナフタレン(デカリン)
【0071】
PhCHex=フェニルシクロヘキサン
【0076】
Z平均粒径(nm=ナノメートル)、D[1,0]粒径(nm)、およびLTH粘度(40〜400)、mPa.sを、実施例4〜23について表4および5に示す。
図1は、重量%のフェニルシクロヘキサンおよび重量%の銀ナノ粒子に対する粘度を示す等高線図である。
【0079】
実施例18〜20(始めと終わりを含む)は、表4および5において他の実施例と比較して相対的に高い粘度を示し、短期間しかエアロゾル化できない。他の例は、約5〜約30センチポイズの粘度範囲と共に、約1〜約1.1のLTH剪断指数(40〜400)範囲を有し、故に長期間エアロゾル化できる。
【0080】
ナノメートル単位のZ平均粒径は、製造者の説明書に従って操作されたMalvern Instruments Zetasizer(登録商標)Nano Sを用いて測定した。
【0082】
LTH=低から高=粘度、40〜400s
−1の上昇剪断粘度値の平均。
【0083】
LTH剪断指数(40〜400)=上昇剪断速度掃引試験からの40s
−1での粘度/400s
−1の粘度。