(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記装置(12)は、各アーム(14、16)が他方のアーム(14、16)と無関係に回転可能である自由形態と、前記2つのアーム(14、16)が回転に関して固定されている接続形態との間で、操作可能である、請求項1に記載の治療装置(12、72、82、90、100、110、140、150)。
前記装置(12)が、前記装置(12、72、82、90、100、110、140、150)を前記接続形態に保つことができる維持システム(28)を含む、請求項2に記載の治療装置(12、72、82、90、100、110、140、150)。
前記ガイド部材が、前記主方向(X)に沿って細長い本体(26)を含み、前記本体(26)は、各アーム(14、16)を受け入れる少なくとも1つの開口部(38)を含み、前記2つのアーム(14、16)は、有利には、同じ開口部(38)に位置決めされている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の治療装置(12、72、82、90、100、110、140、150)。
前記アーム(14、16)が、同じ軸の周りで回転するように取り付けられ、前記アームの一方(16)は、有利には、別のアーム(14)上に又はその内部に回転するように取り付けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の治療装置(12、72、82、90、100、110、140、150)。
前記第1のアーム(14)の前記回転は、前記主方向(X)に対して平行な軸の周りで、第1の角度セクター(C1)において自由であり、及び前記第2のアーム(16)の前記回転は、第2の角度セクター(C2)において自由であり、前記第2の角度セクター(C2)は前記第1の角度セクター(C1)に対して相補的である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の治療装置(12、72、82、90、100、110、140、150)。
さらに、前記主方向(X)に対して実質的に平行な縦軸に沿って延在し且つ前記装置(12、72、82、90、100、110、140、150)の少なくとも1つの保持開口部(24)を画成するステー(18)を含む、請求項9に記載の治療キット(2、70、80)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、「近位」及び「遠位」という用語は、それぞれ、装置の使用中に、操作者により近い、及び操作者から比較的遠いと理解されるべきである。
【0021】
以下、「実質的に平行」な方向は、互いに対して5°未満の角度を形成する方向を指す。
【0022】
以下、「縦」方向は、ステーの主方向を指す。「横方向」という用語は、縦方向に対して垂直な平面内にあると理解されるべきである。
【0023】
本発明による第1の治療キット2を、
図2に概略的に示す。
【0024】
この第1の治療キット2は、逸脱7を起こしている体組織を治療するため、特に僧帽弁などの本来の心臓弁4を治療するためのものである。
【0025】
そのような弁4を
図1に示す。弁は、一般に、前尖6及び後尖8で構成されている。逸脱7は後尖8に位置している。弁4の弁尖は、腱索10を介して左心室の壁に接続される。
【0026】
逸脱7は、弁尖8の自由縁部において、突出する膨らみを形成し、弁4の弁尖6、8の自由縁部間の接合を妨げている。
【0027】
逸脱7は、例えば、腱索10の方に向いた下面と、下面に対向する上面とを有する。
【0028】
図2に示すように、本発明による第1の治療キット2は、2つのピンチングアーム14、16とガイド部材25とを含む第1の治療装置12を含む。第1の治療装置12は、弁4にインプラントされることができる。第1の治療キット2は、さらに、第1の装置12が配置されている期間中にそれを保持できるステー18と、2つの引張機構20、22とを含み、各引張機構は、2つのピンチングアーム14、16の一方にそれぞれ関連付けられるものである。2つのピンチングアーム14、16は、それらの互いに対する横方向の動きを制限するガイド部材25によって横方向に案内される。
【0029】
ステー18は、縦軸Xに沿って延在し、且つ装置12を保持するために、少なくとも1つの遠位開口部24を規定する。縦軸Xは、主方向Xに沿って延在する。
【0030】
治療装置12は、
図4に示すアーム14、16の自由な旋回形態と、
図7に示すアーム14、16の接続形態との間で操作できる。自由形態では、各アーム14、16は、他方のアーム14、16とは無関係に、そのそれぞれの回転軸の周りで回転可能である。接続形態では、アーム14、16は、平行移動及び回転において固定されている。
【0031】
さらに、治療装置12は維持システム28を含み、維持システムは、維持システム28が装置12をその接続形態に保つことができる維持形態と、非活動形態との間で操作可能である。維持システム28は、例えば2つの相補的な締結部材30、32で構成されており、維持システム28は、2つの締結部材30、32が関連付けられるとき、維持形態にある。
【0032】
ガイド部材25は、アーム14、16を互いに対して横方向に案内することを可能にする。これは、主方向Xに対して垂直な方向に沿ったアーム14及び16の平行移動が、ガイド部材25によって制限されることを意味する。
【0033】
第1の治療装置12は、図
2〜8を参照して説明される。
【0034】
図2に示す第1の実施形態では、第1の治療装置12は、細長い本体26と、第1のピンチングアーム14と、第2のピンチングアーム16とを含み、これらピンチングアームは、本体26内に位置決めされている。この実施形態では、ガイド部材25は本体26によって形成されている。
【0035】
図2を参照して説明すると、本体26は、遠位端34と近位端36との間で主軸Xに沿って細長くされている。主軸Xは、本体26がステー18に取り付けられているときには、ステー18の縦軸Xと同一直線上にある。
【0036】
本体26は、主軸Xに対して平行な開口部の軸に沿って延在する少なくとも1つの中心開口部38を有する。開口部38は、本体26の近位端36及び本体26の遠位端34の双方に出現する。
【0037】
この例では、本体26はチューブの形態にある。本体26は、実質的に円形の断面を有する。本体26の直径は、有利には、0.5mm〜5mmに含まれ、特に0.5mm〜1.5mmに含まれ、好ましくは1mmに等しい。本体は、金属又はX線不透過性ポリマーなどの材料から形成される。
【0038】
本体26の長さは、アーム14、16の長さよりも短い。この長さは、例えば、10mmよりも短く、特に、4mm〜8mmに含まれる。
【0039】
本体26は、有利には、ステー18の縦軸Xに対して、回転において、固定した状態に保たれる。そのために、本体26の少なくとも1つの横断面の形状は、開口部24におけるステー18の内側横断面の形状に相補的であるのが有利である。
【0040】
開口部38は、少なくとも1つのアーム14、16を受け入れることができる。
【0041】
この例では、本体26は、両アーム14、16を受け入れることができる開口部38を有する。それゆえ、開口部38の軸に対して横方向に測定された本体26の開口部38の直径は、第1のアーム14の直径と第2のアーム16の直径との和よりも厳密に大きく、開口部38内での、開口部38の軸に対して同一直線上にある回転軸A1、A2に沿った各アーム14、16の回転を可能にする。
【0042】
図3に示すように、各アーム14、16は、本体26に対して突出し且つ逸脱7の方に向けられるようにされた遠位組織把持端40と、引張機構20、22の一方と協働でき且つ遠位把持端40に対向する近位操作端42と、遠位把持端40と近位操作端42との間に含まれ且つ本体26の開口部38内に位置決めされる細長い部分44とを有する。
【0043】
その例では、2つのアーム14、16の細長い部分44は、同じ開口部38内に位置決めされる。
【0044】
第1の実施形態では、各アーム14、16の細長い部分は、主軸Xに対して実質的に平行な回転軸A1、A2に沿って延在する。それゆえ、各アーム14、16は、そのそれぞれの回転軸A1、A2の周りで回転するように取り付けられている。
【0045】
第1の実施形態では、遠位把持端40と近位操作端42との間の、回転軸A1、A2に沿って測定されたアーム14、16の全長は、10mm〜20mmに含まれるのが有利である。アーム14、16の一方は他方よりも長いのが有利である。これにより、それらアームを独立して動かすのを容易にする。
【0046】
各アーム14、16は、実質的に円形の断面を有する。アーム14、16の断面の直径は、0.2mm〜1mmに含まれるのが有利である。あるいは、部分30及び32は矩形である。
【0047】
2つのアーム14、16は剛性を有する。
【0048】
各アーム14、16は、金属、X線不透過性マーキングを備えるポリマーなどの材料から形成される。
【0049】
図2では、各アーム14、16の近位操作端42が、本体26に対して突出し、且つ細長い部分44の延長部に延在する。
【0050】
各アーム14、16の近位操作端42は、キャッチングモジュール48を含む。
【0051】
後述するように、キャッチングモジュール48は、引張機構20、22の一部と協働できる。
【0052】
図3を参照して説明すると、各アーム14、16の遠位把持端40は、逸脱7を引っ張ることができるフック50を含む。
【0053】
さらに、各アーム14、16の遠位把持端40は、維持システム28の相補的な締結部材30、32の一方を担持する。
【0054】
各アーム14、16は、例えば、アーム14、16の近位操作端42が本体26の近位端36の近くにされる遠位位置と、アーム14、16の遠位把持端40が本体26の遠位端34の近くにされる近位位置との間で、開口部38内のその回転軸A1、A2に沿って摺動することによって、自由に平行移動するように取り付けられる。
【0055】
各アーム14、16は、さらに、本体26内に取り付けられ、それぞれの回転軸A1、A2の周りで、
図4に示すキャッチング角度位置a1、a2と、
図7に示すクランプ角度位置e1、e2との間で自由に回転する。各アーム14、16の回転軸A1、A2は実質的に平行である。
【0056】
回転軸A1の法線ベクトルは、近位操作端42から遠位把持端40の方へ向いている。以下、三角法による方向(trigonometric direction)は、この法線ベクトルに対して定義される。
【0057】
第1のアーム14は、本体26に取り付けられ、回転軸A1の周りでキャッチング角度位置a1とクランプ角度位置e1との間で自由に回転する。
【0058】
第1のアーム14のキャッチング角度位置a1及び第1のアーム14のクランプ角度位置e1は、三角法による方向に第1の角度セクターC1を規定する。
【0059】
それゆえ、第1のアーム14は、第1のアーム14のキャッチング角度位置a1と、第1のアーム14のクランプ角度位置e1との間の第1の角度セクターC1にある中間角度位置のうちの1つを自由に占有する。
【0060】
第1のアーム14は、
図4ではそのキャッチング角度位置a1、
図5及び
図6では中間位置、及び
図7ではクランプ角度位置e1にあることを示す。
【0061】
さらに、
図4では、第1のアーム14のクランプ位置e1及び第1のセクターC1を
一点鎖線で示す。
【0062】
図示の例では、三角法による方向において、セクターC1の角度の広がりに対応する、第1のアーム14のキャッチング角度位置a1と第1のアーム14のクランプ角度位置e1との間で測定された角度は、実質的に270°であるのが有利である。
【0063】
それゆえ、第1のアーム14は、中間角度位置のうちの1つを自由に占有し、キャッチング角度位置a1と、三角法による方向において測定される270°未満の角度を形成する。
【0064】
第2のアーム16は、本体26に取り付けられ、主軸Xに実質的に平行な回転軸A2の周りで、キャッチング角度位置a2とクランプ角度位置e2との間を自由に回転する。
【0065】
第2のアーム16のクランプ角度位置e2と、第2のアーム16のキャッチング角度位置a2とは、三角法による方向において第1の角度セクターC2を規定する。
【0066】
それゆえ、第2のアーム16は、第2のアーム16のクランプ角度位置e2と第2のアーム16のキャッチング角度位置a2との間の第2の角度セクターC2にある中間角度位置のうちの1つを自由に占有する。
【0067】
第2のアーム16は、
図4及び
図5ではそのキャッチング角度位置a2において、
図6では中間位置において、及び
図7ではそのクランプ角度位置e2において示す。
【0068】
さらに、
図4では、第2のアームのクランプ位置e2、及び第2のセクターC2を
一点鎖線で示す。
【0069】
図示の例では、三角法による方向において、セクターC2の角度の広がりに対応する、第2のアーム16のクランプ角度位置e2と第2のアーム16のキャッチング角度位置a2との間で測定された角度は、実質的に90°である。
【0070】
第2のアーム16は、第2のアーム16の中間角度位置を自由に占有し、第2のアーム16のクランプ角度位置e2と、三角法による方向において測定される90°未満の角度を形成する。
【0071】
第1の角度セクターC1と第2の角度セクターC2とは、相補的であるのが有利である。これは、主軸Xに対する角度位置は全て、アーム14、16の少なくとも一方によってアクセス可能であることを意味する。角度セクターC1、C2の最大角度位置の角度の和は、360°以上である。
【0072】
例えば、2つのアーム14、16がそれら各キャッチング角度位置a1、a2にあるとき、フック50は平行である。アーム14、16がそれら各クランプ角度位置e1、e2にあるとき、フック50は平行である。
【0073】
さらに、各フック50は、逸脱7を引っ張ることができる接触面を有するようにするために、矩形断面を有するのが有利である。
【0074】
各フック50は、回転軸A1、A2に対して縦方向の平面内において、実質的にJ字形状である。
【0075】
フック50は、有利には、単体に作製され、且つアーム14、16と一体化される。それらは、例えば金属又はポリマー材料から作製される。
【0076】
図3を参照して説明すると、各フック50は、シャフト52、座部54及び嘴部56を含む。シャフト52、座部54及び嘴部56は、一体的であり、及び単体に作製されているのが有利である。
【0077】
シャフト52は、注目されるアーム14、16の回転軸A1、A2に沿って、及び細長い部分44に継続して、延在する。
【0078】
座部54は、シャフト52に対して実質的に垂直に、シャフト52の遠位端から延在する。
【0079】
座部54は、接続端58及び外側端60を有する。接続端58は、シャフト52の遠位端に接続される。外側端60は嘴部56に接続される。
【0080】
各フック50の座部54は、治療されるべき逸脱7に適合された長さを有する。この長さは、例えば3mm〜6mmに含まれる。
【0081】
座部54の横断面は、実質的に矩形である。それゆえ、各座部は、装置12の遠位端の方に向く外側面と、外側面に対向し且つ装置12の近位端の方に向く内側面と、アイドル面と、アイドル面に対向する締結面62とを有する。
【0082】
2つのアーム14、16がそれら各キャッチング角度位置a1、a2にあるとき、三角法による方向において、第1のアーム14の法線のベクトルに対して測定された、第1のアーム14の座部54と第2のアーム16の座部54との間に形成された角度は、約360°である。
【0083】
2つのアーム14、16がそれらのキャッチング角度位置a1、a2にあるとき、
図4に示すように、それぞれ、各アーム14、16のアイドル面が互いに向かい合っている。
【0084】
2つのアーム14、16がそれら各クランプ角度位置e1、e2にあるとき、
図7に示すように、三角法による方向において、第1のアーム14の法線のベクトルに対して測定された、第1のアーム14の座部54と第2のアーム16の座部54との間の角度は、約0°である。
【0085】
2つのアーム14、16がそれらのクランプ角度位置e1、e2にあるとき、締結面62が互いに向かい合っている。
【0086】
この例では、装置12をその接続形態に保つことができる維持システム28は、座部54の締結面62によって支持されている。
【0087】
各締結面62は、相補的な部材30、32を含む。各アームがそのキャッチング角度位置a1、a2にあるとき、維持部材28の相補的な部材30、32は分離している。実際、それらは接触していない。
【0088】
例えば、各締結面62はそれぞれ、少なくとも1つの突出部分及び少なくとも1つの相補的な中空部分を含む。
【0089】
例えば、第1のピンチングアーム14は、中空部分を有する座部54を含み、及び第2のピンチングアーム16は、中空に相補的な突出部分を有する座部54を含む。
【0090】
あるいは、第1のアーム14のフック50の座部54は、複数の歯を含み、及び第2のアーム16のフック50の座部54は、第1のアーム14の歯に相補的な複数の歯を含む。
【0091】
嘴部56は、座部54の外側端60から延在する。
【0092】
嘴部56は遠位端及び近位端64を有する。嘴部56の遠位端は、座部54の外側端60に接続される。嘴部56の近位端64は自由である。
【0093】
嘴部56の近位端64は、シャフト52から横方向に離れて置かれて、逸脱7を嘴部56とシャフト52との間に挿入できるようにしている。
【0094】
嘴部56は、シャフト52に対して実質的に平行に、及び座部54に対して実質的に垂直に延在するのが有利である。それゆえ、嘴部56の近位端64とシャフト52との間の距離は、実質的に座部54の長さである。
【0095】
嘴部56の長さは、5mm〜15mmに含まれるのが有利である。
【0096】
嘴部56は、有利には、逸脱7を引っ張るための矩形面を有する。
【0097】
各引張機構20、22は、キャッチング角度位置a1、a2とクランプ角度位置e1、e2との間で、引張機構に関連付けられるアーム14、16を回転させることができる。
【0098】
各引張機構20、22は、例えばステー18に取り付けられる。さらに、各引張機構20、22は、アーム14、16のキャッチングモジュール48に取り外し可能に締結される。
【0099】
さらに、各引張機構20、22は、遠位位置と近位位置との間で引張機構に関連付けられたアーム14、16を平行移動させることができる。
【0100】
さらに、各引張機構20、22は、操作者によって近位アプローチから操作され得る。
【0101】
例えば、引張機構20、22は細長いロッドを含み、細長いロッドは、関連のアーム14、16の主軸に沿い、且つ遠位端に制御モジュール68を含む。制御モジュール68は、キャッチングモジュール48の形状と実質的に相補的な形状を有する。
【0102】
一例では、キャッチングモジュール48はスリットを有し、及び制御モジュール68は、スリットに相補的な形状の舌部を有する。
【0103】
僧帽弁4の逸脱7の治療の期間中の、本発明による第1の治療キット2の動作について、以下、
図4〜7を参照して説明する。
【0104】
初めに、第1の治療キット2が供給される。第1の治療装置12は、最初は自由形態にある。第1の治療装置12は、ステー18に収納されている。本体26は、ステー18の主軸Xに対して回転が固定されて保たれている。
【0105】
アーム14、16は、例えばそれらのキャッチング角度位置a1、a2にある。さらに、アーム14、16は、それらの遠位位置にある。
【0106】
それゆえ、本体26はステー18に係合されている。アーム14、16は、ステー18の外側に軸方向に突出している。
【0107】
外側シース(図示せず)が、ステー18と、ステー18の外側に軸方向に突出する装置12の一部とを外側から覆う。
【0108】
次いで、治療キット2は、例えば、血管内アプローチで、すなわち、大腿静脈に挿入されることによって、治療されるべき僧帽弁4へともたらされ、右心房まで上方へ、及び経中隔アプローチによって左心房内の通路へともたらされる。
【0109】
その後、外側シースは、ステー18に対して動かされて、ステー18の外側に突出する装置12の遠位部分を剥ぎ取り、アーム14、16の遠位把持端40を露出させる。
【0110】
ステー18は、弁尖8の逸脱7の位置へもたらされる。
【0111】
図4に示すように、その結果、第1のピンチングアーム14及び第2のピンチングアーム16は、それらのキャッチング角度位置a1、a2を占める。
【0112】
その後、逸脱7の自由縁部を、座部54によって遠位に画成された空間においてシャフト52と各アーム14、16の嘴部56との間に挿入することによって、逸脱7は、その自由縁部において、フック50を使用して把持される。
【0113】
より詳細には、各フック50のシャフト52は、逸脱7の上面よりも上側にあり、各フック50の嘴部56は、逸脱7の下面の下側にあり、及び各フック50の座部54は、逸脱の自由縁部と接触する。
【0114】
例えば、操作者は、関連の引張機構20、22を使用して、各アーム14、16をその近位位置の方へ平行移動させる。
【0115】
操作者は、装置12を正しく位置決めしてから、引張機構20、22を使用して、各アーム14、16の回転を独立して作動させる。
【0116】
操作者は、第1のアーム14を、
図5に示すような、そのクランプ角度位置e1により近い中間位置の方へ動かす。例えば、第1のアーム14は、三角法による方向において250°だけ回転される。第1のアーム14の回転によって、第1のアーム14の座部54によって引っ張られている逸脱7の自由縁部を牽引するようにする。逸脱7は、第1のひだを形成し、そこに、第1のアーム14のフック50の嘴部56が収納され、第1のひだは、逸脱7の2つの側面領域に対して突出している。本体26及びシャフト52は、第1のひだと側面領域との間に画成された腔に収納されている。
【0117】
さらに、この動きの最中、第1のアーム14のシャフト52は、第2のアーム16のシャフト52の周りで枢動(pivots)する。
【0118】
ステー18は、本体26を軸方向に保持し、且つその回転を防止する。
【0119】
その後、操作者は、第2のアーム16を、
図6に示すような、そのクランプ角度位置e2に近い中間位置の方へ動かす。例えば、第2のアーム16は、逆三角法による方向に80°だけ回転される。第2のアーム16の回転は、第2のアーム16の座部54によって引っ張られている逸脱7を牽引するようにする。
【0120】
次いで、操作者は、引張機構20、22を使用して2つのアーム14、16を回転させ、アーム14、16をそれら各クランプ角度位置e1及びe2に配置する。
【0121】
それゆえ、締結面62が接触する。相補的な締結部材30、32が関連付けられ、及び装置12が接続形態に入る。
【0122】
逸脱7が2つのアーム14、16間に収納されると、ひだは、側面領域に押し付けられる。そのため、逸脱7は、
図7に示すように、実質的にS字状断面に押し潰される。
【0123】
逸脱7は、接続形態にある2つのアーム14、16間に保たれる。
【0124】
最後に、操作者は引張機構20、22及びステー18を除去する。装置12は、逸脱7をひだ状に保っている間、弁尖8に締結されたままである。
【0125】
弁尖6、8の自由縁部間の接合は、弁が閉じると再び確立される。しかしながら、装置12は、弁尖6とは無関係に、弁尖8と一緒に可動であり、血液用の通路開口部の部分に影響を及ぼさずに、弁が普通に開放するようにする。
【0126】
それゆえ、本発明による治療キット2は、特に簡単に且つ侵襲手術よりも患者に対するリスクが少ない状態で、僧帽弁4の逸脱7を治療することが分かる。
【0127】
さらに、本発明による治療キット2は、逸脱7を効果的に治療する。実際、ひとたび逸脱7が本発明による装置12によって押し潰されたら、僧帽弁4は密封して閉じることができ、及び弁4の後尖8と前尖6とが確実に接合され、さらに、弁4が開放しているときの血液用の通路部分を可能な限り効果的に確保する。
【0128】
本発明による装置12はまた、より一般的には、大動脈弁や三尖弁などの他の組織での逸脱7の治療に適用される。
【0129】
それゆえ、図面で説明したキット2は、特に使いやすく、且つ正確に使用できる。
【0130】
1つの代替形態では、各アーム14、16は、回転ブロッキングシステムを含む。第1のアーム14の回転をブロックするためのシステムは、第1のアーム14が第1の角度セクターC1外の角度位置を占有するのを防止できる。第2のアーム16の回転をブロックするシステムは、第2のアーム16が第2の角度セクターC2外の角度位置を占有するのを防止できる。
【0131】
回転ブロッキングシステムは、例えば、対象のアーム14、16に配置された回転ストッパと、本体26の開口部38に配置された相補的な回転ストッパとを含む。
【0132】
さらに、回転ブロッキングシステムは、例えば方向性がある。例えば、回転ブロッキングシステムは、注目されるアーム14、16がそのキャッチング角度位置a1、a2からそのクランプ角度位置e1、e2の方へ回転できるようにするが、注目されるアーム14、16がそのクランプ角度位置e1、e2からそのキャッチング角度位置a1、a2の方へ回転するのを防止する。
【0133】
これは、外科医にとって単純且つガイド操作であるゆえに、装置12を使用する逸脱7の治療をかなり単純化する。
【0134】
好ましくは、各アーム14、16の近位操作端42は保持ストッパを含む。保持ストッパは、注目されるアーム14、16の、その回転軸A1、A2に沿った遠位部分を越える平行移動を防止することができる。例えば、保持ストッパは、本体26の開口部38に存在するストッパと協働することができる。
【0135】
例えば、第1のアーム14の保持ストッパは、本体26に対する第1のアーム14の平行移動を防止することができ、及び第2のアーム16の保持ストッパは、第1のアーム14に対する第2のアーム16の平行移動を防止することができる。
【0136】
1つの代替形態では、本体26は、2つの同軸の開口部38を含むのが有利であり、及び各アーム14、16は、開口部38の一方に位置決めされている。本体26の遠位端における開口部38の軸に対して横方向に沿った開口部38間の距離は、0.3mm〜3mmに含まれるのが有利である。
【0137】
図8に示す1つの代替形態では、2つのアーム14、16がそれらのキャッチング角度位置a1、a2にあるとき、第1のアーム14の座部54は、第2のアーム16の座部54と角度を形成する。この角度によって、2つのアーム14、16がそれらのクランプ角度位置e1、e2の近くにあるときに、接続形態へ向けて装置12に対して弾性的に応力を加えることが可能になる。
【0138】
第2の治療キット70について、以下、
図9を参照して説明する。
【0139】
第2の治療キット70は第2の治療装置72を含み、第2の治療装置72は、アーム14、16の第1及び第2の回転軸A1及びA2が組み合わされているという点で、第1の治療装置12とは異なる。第2の治療キット70はまた、ガイド部材25がリング74であるという点で、第1の治療キット2とは異なる。
【0140】
第2の治療キット70では、第1のアーム14の細長い部分44は、主軸Xに対して実質的に平行な第1の回転軸A1に沿って延在する。第2のアーム16の細長い部分44は、第1の回転軸A1に対して平行に延在する。
【0141】
リング74は第2のアーム16に固定される。リング74は単体であり、及び第2のアーム16と一体的であるのが有利である。例えば、リングは、第2のアーム16の近位操作端42に締結される。あるいは、リング74は、第2のアーム16の細長い部分44に締結される。
【0142】
リング74は、第1のアーム14の回転軸A1に沿って延在する開口部を画成する。
【0143】
第1のアーム14はリング74を通り抜けている。リング74の内径は、有利には、第1のアーム14の直径よりもわずかに大きく、リング74及び第2のアーム16は、第1のアーム14の周りに回転可能に取り付けられる。それゆえ、第2のアーム16は、第1のアーム14の回転軸A1の周りに回転可能に取り付けられる。
【0144】
その代わりに又はそれに加えて、第1のアーム14の全周囲にわたって溝が画成される。溝は、周辺トラフを形成する。リング74は溝内に位置決めされる。溝は、第1のアーム14に沿ったリング74の平行移動を防止することを可能にする。軸Xに沿った溝の寸法は、軸Xに沿ったリング74の寸法よりもわずかに大きく、溝の縁が、リング74が第1のアーム14の周りで回転するのを妨げないようにする。
【0145】
それゆえ、第2のアーム16は、リング74を介して、第1のアーム14の周りに回転可能に取り付けられる。
【0146】
さらに、ステー18は、軸Xの周りで回転可能である。ステー18は、第2のアーム16に固定されている。このように、ステー18は、第2のアーム16の引張機構22である。第2のアーム16は、回転可能であるステー18によって引っ張られることができる。第1のアーム14は、引張機構20によって回転されることができる。
【0147】
第2の治療キット70の動作は、僧帽弁4の逸脱7の治療の最中、第2のアーム16の回転が第1のアーム14の回転軸の周りで行われるという点で、第1の治療キット4の動作とは異なる。
【0148】
第3の治療キット80について、以下、
図10を参照して説明する。
【0149】
第3の治療キット80は第3の治療装置82を含み、第3の治療装置82は、第3の治療装置82では第1及び第2の回転軸A1及びA2が組み合わせられているという点で、第1の治療装置12とは異なる。第3の治療キット80はまた、ガイド部材25が内側玉継手84であるという点で、第1の治療キット2とは異なる。
【0150】
第3の治療キット80では、第1のアーム14及び第2のアーム16は、同じ回転軸A1の周りで互いに対して可動であるように取り付けられる。
【0151】
第1のアーム14は、内側玉継手84及び第2のアーム16と協働することができる近位端42を含む。第1のアーム14の近位端42は、第1の中空ハウジング86を含む。
【0152】
第2のアーム16は、シリンダー状延長部88を含む。シリンダー状延長部88は、第1のアーム14の延長部に延在する。シリンダー状延長部88は、第2の中空ハウジング89を含む。第1のアーム14の近位端42、及び第2のアーム16のシリンダー状延長部88は、同軸である。
【0153】
内側玉継手84は、2つの中空ハウジング86、89の間に位置決めされる。
【0154】
内側玉継手84は、第1のアーム14が第2のアーム16上で回転できるようにするが、第2のアーム16に対する第1のアーム14の平行移動は防止するようにする。さらに、内側玉継手84は、回転軸A1の周りでの各アーム14、16の独立した回転を可能にする。独立した回転は、各アーム14、16が、他方のアーム14、16の回転を引き起こさずに、回転軸A1の周りで可動であることを意味する。
【0155】
第4の治療装置90について、
図11を参照して説明する。第4の治療装置90は、第3の治療キット80の第3の治療装置82と同様である。ここでは相違点の要点のみを述べる。
【0156】
第2のアーム16のシリンダー状延長部88は、第1のアーム14の近位端42が収納されている中空ハウジング92を含む。
【0157】
第1のアーム14の近位端42は、第2のアーム16の中空ハウジング92内で、第1の回転軸A1の周りで回転可能である。
【0158】
ここでは、ガイド部材25は、第2のアーム16の延長部88のハウジング92によって形成される。
【0159】
各アーム14、16は、第1の回転軸A1に沿って回転することができる。
【0160】
あるいは、ガイド部材25は維持機構28の一部を構成する。例えば、延長部88及び近位端42は、バイオネットロッキング機構の要素を含む。
【0161】
第5の治療装置100について、以下、
図12〜16を参照して説明する。第5の治療装置100は第4の治療装置90と同様である。ここでは相違点の要点のみを述べる。
【0162】
第2のアーム16のシリンダー状延長部88は、第1のアーム14の近位端42が摺動することができるハウジング92を含む。
【0163】
第5の治療装置100は、さらに、第2のアーム16のシリンダー状延長部88の近位端と、第1のアーム14の近位端との間に入れられた、戻り部材102を含む。
【0164】
第2のアーム16のシリンダー状延長部88の近位底部は、有利には円形のビードを有し、戻り部材102を保持できるようにする。
【0165】
第1のアーム14の近位端42の面104は、第2のアーム16のシリンダー状延長部88の遠位端の面に相補的な形状を有する。
【0166】
相補的な形状を、
図12及び
図16では入れ子状態で、及び
図13〜15では別々に示す。
【0167】
第1のアーム14の近位端の面104、及び第2のアーム16のシリンダー状延長部88の遠位端は、装置を維持するための追加的なシステムを構成する。追加的な維持システムは、
図12に示す初期のロッキング位置と、
図13〜15に示す非活動形態と、
図16に示す維持形態との間で操作可能である。
【0168】
相補的な形状が入れ子状態にされているとき、第2のアーム16は、第1のアーム14と回転に関して固定されている。相補的な形状が別々にされているとき、第1のアーム14は、第2のアーム16とは無関係に、第1の回転軸A1の周りで回転可能である。
【0169】
第1のアーム14は、第2のアーム16の中空ハウジング92内で、第1の展開位置と第2の引込み位置との間で平行移動可能に取り付けられる。
【0170】
戻り部材102は、第1のアーム14に対して、その展開位置の方へ応力をかける。戻り部材102は例えばバネである。
【0171】
第5の装置100の動作は、上述したように、装置が初期のロッキング形態にもたらされている点で、装置の動作とは異なる。
【0172】
図12に示す初期のロッキング形態では、バネは展開されている。第1のアーム14の近位端の面104と、第2のアーム16のシリンダー状延長部88の遠位端の面との相補的な形状は、入れ子状態にある。アーム14、16はそれらのキャッチング角度位置a1、a2にある。第1のアーム14は、第2のアーム16の軸A2の周りの回転に関して固定されている。
【0173】
逸脱7を捕らえた後、使用者は、第1のアーム14と第2のアーム16との間に、戻り部材102の戻る力を上回る力を加えて、第1のアーム14の近位端の面104がその引込み位置の方へ動かされるようにする。その後、装置は自由形態に入り、及び相補的な形状は別々にされる。アーム14、16は、回転において独立となる。
【0174】
アーム14、16は、前述の通り枢動される。
【0175】
図14では、第1のアーム14は回転しており、第1のアーム14の近位端の面104と、第2のアーム16のシリンダー状延長部88の遠位端の面とは、入れ子状態にできない。それゆえ、操作者が、加えていた力を解放しても、第1のアーム14は、第2のアーム16に対して自由に回転する状態のままになる。
【0176】
アーム14、16がそれら各クランプ位置e1、e2にあるとき、対面する相補的な形状は、それらを、
図15に示すような入れ子状態にできる相対的な角度位置にある。
【0177】
動作の最後では、
図16に示すように、操作者は、もはやバネ102に力を加えない。第1のアーム14は展開されている。第1のアーム14の近位端の面104と第2のアームのシリンダー状延長部88の遠位端の面との相補的な形状は入れ子状態になり、アーム14、16を回転に関して固定する。
【0178】
これによって、装置を効果的に維持できるようにする。ロッキングは、回転の最初又は最後にのみ可能であるのが有利である。これは、装置の不完全な配置状態を防ぐことを可能にする。
【0179】
第6の治療装置110を
図17及び
図18に示す。
【0180】
第6の治療装置110は、第4の装置90と同様である。ここでは相違点の要点のみを述べる。
【0181】
第2のアーム16のシリンダー状延長部88は、第1のアーム14の近位端42が入れられる中空ハウジング92を含む。中空ハウジング92は、シリンダー状延長部88の遠位端及び近位端の双方に出現する。
【0182】
シリンダー状延長部88は、中空ハウジング92内にネジ付き内壁を有するのが有利である。第1のアーム14の近位端42は、ハウジング92のネジ山に相補的なネジ山を有するネジ付き外壁を備えるシリンダー形状を有する。このようにして、第1のアーム14の回転は、第2のアーム16に対する平行移動に関連する。
【0183】
さらに、第1のアーム14の近位端42はストッパ舌部112を含む。
【0184】
ストッパ舌部112は、例えば、引出された位置と展開位置との間で横方向に可動である舌部である。
【0185】
引出された位置では、ストッパ舌部112はシリンダーの周囲面と同一平面である。
【0186】
展開位置では、ストッパ舌部112は、第1のアーム14に対して横方向に突出する。展開位置では、ストッパ舌部112の遠位端は、シリンダーの周囲面から半径方向に分離される。
【0187】
ストッパ舌部112は、展開位置の方へ応力がかけられる。
【0188】
最初に、
図17に示すように、ストッパ舌部112は、シリンダー状延長部88のハウジング92の内壁によって、その引出された位置に保たれる。
【0189】
第6の装置110を配置する最中、アーム14、16は互いに対して回転し、第1のアーム14が、第2のアーム16に対して軸Xに沿って平行移動されるようにする。
【0190】
接続形態では、舌部112は、シリンダー状延長部88の中空ハウジング92を離れる。
【0191】
ストッパ舌部112は、中空ハウジング92の内壁によってもはや維持されないため、自由にされる。自由にされたストッパ舌部112は、それ自体を展開位置に置き、及び第1のアーム14及び第2のアーム16がそれらの初期の位置に戻るのを防止する。
【0192】
それゆえ、装置は、ストッパ舌部112によって固定される。1つの代替形態では、装置は、いくつかの舌部を含む。
【0193】
代替的な維持システム28について、以下、
図19〜21を参照して説明する。
【0194】
これらの維持システム28は、本発明による治療装置の実施形態のそれぞれにおいて、単独で又は組み合わせて使用され得る。
【0195】
図19に示すように、維持システム28は、維持フック130を含む。維持フック130は、第1のアーム14の座部54に締結される。
【0196】
維持フック130は、柔軟性であり、及び開放位置と閉鎖位置との間で操作可能である。維持フック130は、その閉鎖位置の方へ応力がかけられる。維持フック130は、例えば、形状記憶材料から作製される。
【0197】
さらに、維持フック130は、座部54、及びアーム14の回転軸A1に対して垂直の向きにされる。維持フック130は、第2のアーム16用の捕捉空間を画成する。
【0198】
捕捉空間は開放部分を有する。維持フック130の開放部分は、例えば操作者の方へ向けられる。あるいは、それは心臓の方へ向けられる。
【0199】
第2のアーム16の回転後にそれを配置する最中、第2のアーム16のフック50の座部54は、維持フック130を、その開放位置の方へ戻すように押し、及び第2のアーム16がその第2のクランプ角度位置e2になるまで、捕捉空間に入る。その後、維持フック130は、第2のアーム16の通過後に、その閉鎖位置に戻る。その後、維持フック130は、第2のアーム16をそのクランプ角度位置に保つ。
【0200】
あるいは、維持フック130は、第2のアーム16の座部54に締結され、及び維持フック130は、第1のアーム14を捕捉できるようにする。
【0201】
維持フックが第1のアーム14に締結される場合、開口部は、有利には操作者の方へ向けられる。
【0202】
第5の装置では、第2のアーム16に維持フック130を締結することが好ましい。
【0203】
図20に示す実施形態では、追加的な部片132がガイド部材25に固定される。
【0204】
追加的な部片132は、ガイド装置25に固定された内側枝部と、外側枝部と、底部とを備えるU字形状である。追加的な部片132は、例えば平坦であり、プレート形態にある。
【0205】
相補的な部片132は、2つの維持フック130を含む。維持フック130は、U字の底部に締結される。上方維持フック130は、アーム14、16の一方を締結するのに好適であり、及び下方維持フック130は、アーム14、16の他方を締結するのに好適である。それゆえ、各アーム14、16は、そのクランプ角度位置e1、e2において、維持システム28によって維持される。
【0206】
別の維持システム28を
図21に示す。この維持システム28は、維持フック130が、ガイド部材25の向かいにある相補的な部片132の外側枝部に配置されている点で、
図20において説明した維持システム28とは異なる。さらに、維持フック28は、広い捕捉空間を有する。
【0207】
捕捉空間は、アームのフック50の嘴部と維持フック130との間で組織を捕捉するのに好適である。アームがその捕捉位置にあるとき、逸脱は、U字形状部片、アームの各フック50及び維持フック130によって、維持される。それゆえ、各維持フックは、アーム14、16及び逸脱7の双方を維持する。
【0208】
そのような維持システム28は、治療装置12、72、82、90、100、110の安全且つ長期の保持を確実にする。
【0209】
第7の治療装置140を
図22、
図23及び
図24に示す。第7の治療装置140は、
図11を参照して説明した第4の治療装置90と同様である。違いのみを下記で強調する。
【0210】
この装置では、各アーム14、16は、第1の回転軸A1に沿って回転できる。第1のアーム14及び第2のアーム16は、
図22及び
図23に示す第1の完全な展開位置と、
図24に示すロッキング位置と、第2の引っ込められた配置位置との間で、第2のアーム16の中空ハウジング92において第1のアーム14を摺動させることによって、互いに対して平行移動可能に取り付けられる。
【0211】
第7の治療装置140は戻り部材142を含む。戻り部材142は、第1のアーム14に対して、第1の完全な展開位置及びロッキング位置の方へと、応力をかける。戻り部材142は、例えば、第5の治療装置100の戻り部材102のように位置決めされる。戻り部材142は例えばバネである。
【0212】
第2のアーム16のフック50は、維持リム143を含む。
図22、
図23及び
図24に示すその例では、維持リム143はチャネルである。維持リム143は、第1のアーム14の座部54を、
図24に示すようなアーム14、16の接続形態にブロックするのに好適である。
【0213】
第1のアーム14の嘴部56は、突出する不連続部144を有する。不連続部144は、軸A1に対して横方向に沿って、嘴部の方向に対して突出する。不連続部は、実質的に湾曲した形状、例えばC字形状を有する。第2のアーム16の嘴部56は、第1のアーム14の不連続部144に相補的なスリット146を有する。スリット146は、湾曲した不連続部144がスリット146に係合するのに好適であり、アーム14、16が接続形態にあるときに、アーム14、16を互いに対してブロックする。
【0214】
装置140を配置する最中、操作者は、把持位置に到達する前、戻り部材142の圧縮に抗して、第1のアーム14をその引っ込められた配置位置の方へ動かす。使用者がアーム14を解放すると、戻り部材142は、第1のアーム14の座部54を第2のアーム16の維持リム143へとロッキング位置の方へ押す。それゆえ、維持リム143は、座部54をブロックし、これにより、戻り部材142によってリムに対して応力がかけられる。同時に、回転の最中、第1のアーム14の嘴部56の湾曲した不連続部144は、スリット146に入る。この不連続部144の形状は、戻り部材142によって駆動される第1のアーム14の展開されたロッキング位置の方への平行移動と同時に、第1のアーム14の回転を容易にするのに有利である。
【0215】
アーム14、16が接続形態にあるとき、第1のアーム14の嘴部56によって引っ張られる組織の一部は、スリット146にブロックされる。それゆえ、組織は、座部54、及び各フック50の嘴部56の双方によって維持される。
【0216】
スリット146は、各アーム14、16の嘴部56間で組織を押し潰すことができるようにする。戻り部材142は、維持リム143の座部をブロックできるようにするために、第2のアーム16に対して第1のアーム14の引っ込められた形態の方へ平行移動できる。戻り部材142は、アーム14、16の一方が他方に対して不適切なときに非ブロック化する(the untimely unblocking)のを防止する。
【0217】
第8の治療装置150を
図25及び
図26に示す。第1のアームと第2のアームとの間の維持部材28は、スナッピング装置152を含む。スナッピング装置は、舌部154と、舌部154と協働できるクリップ156とを含む。
【0218】
舌部154は、アーム14の遠位端の側面上で、第2のアーム16の座部54から突出する。
図25のその例では、舌部154は、座部54の方向に対して垂直である。あるいは、舌部は斜面に延在する。
【0219】
クリップ156は、第1のアーム14の座部54に位置決めされる。クリップ156は、舌部154を受け入れることができるハウジングである。
【0220】
第8の装置150を配置する最中、操作者は、バネ142を第1のアーム14とは分離した位置の方へ圧縮することによって、第2のアーム16を動かす。そのため、第1のアーム14は、第2のアーム16に対する配置位置になる。次いで、操作者は、クランプ角度位置まで第2のアーム16に対して第1のアーム14を回転させる。その後、操作者がアーム16を解放すると、戻り部材142は第2のアーム16をロッキング位置まで戻し、これにより、第2のアーム16の舌部を、第1のアーム14のクリップ156のハウジングに押し込む。
【0221】
2つのアーム14、16が、
図26に示すロッキング位置にあるとき、舌部154は、第1のアーム14のクリップ156にスナップ式に嵌る。
【0222】
上述の治療装置12、72、82、90、100、110、140、150は体内に送り込み可能(deliverable)である。これら治療装置は解放されて、体内の適所に残される。維持システム28に起因して、これら治療装置は、操作者による処置後、適所に留まる。