(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
側端に入射部、上面に出射面を有する導光板と、前記入射部から前記導光板の内部に光を入射する半導体発光素子と、前記半導体発光素子を実装する光源基板とを備えた面状ライトユニットにおいて、
前記入射部には、前記上面と平行に穿たれ、底部に入射面を備えた断面略矩形状の凹部が形成され、
前記入射部の上側及び下側の少なくとも一方には、反射形状部が形成され、
前記入射面と前記半導体発光素子との間には、透光性及び柔軟性を有する角柱形状の柔軟性樹脂が配設され、該柔軟性樹脂が前記凹部に嵌め込まれると共に前記入射面と前記半導体発光素子との間で圧縮変形されていることを特徴とする面状ライトユニット。
前記光源基板には、複数の半導体発光素子が実装され、1つの前記柔軟性樹脂が全ての前記半導体発光素子を覆うように配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の面状ライトユニット。
前記光源基板には、複数の半導体発光素子が実装され、各半導体発光素子には、1つの前記柔軟性樹脂が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の面状ライトユニット。
前記凹部は、側面反射壁を備えた複数の個別収納部を有し、それぞれの前記個別収納部では、前記入射面と前記半導体発光素子との間に前記柔軟性樹脂が配設されていることを特徴とする請求項1又は3に記載の面状ライトユニット。
前記光源基板には、前記半導体発光素子を実装するための凸形状部が設けられ、前記凸形状部の先端部は、前記凹部内に配設されていることを特徴とする請求項1,3,7のいずれか一項に記載の面状ライトユニット。
前記光源基板には、複数のLEDダイが実装され、前記LEDダイは、封止樹脂により一括封止され、前記半導体発光素子と前記光源基板は一体化していることを特徴とする請求項1に記載の面状ライトユニット。
前記半導体発光素子の発光色は、前記出射面から出射する光の色度目標より長波長側に設定されていることを特徴とする請求項1,5から9のいずれか一項に記載の面状ライトユニット。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の思想を具体化するための面状ライトユニットを例示するものであって、本発明を以下の構成に特定しない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。以下の説明において、同一部品、同一構成要素には同一の名称、符号を付し詳細説明を適宜省略することがある。
また、本発明の各実施形態においては半導体発光素子としてLED発光素子の事例について説明する。
【0032】
[第1実施形態]
図1〜
図8を用いて本発明の第1実施形態として示す面状ライトユニット40について説明する。
図1〜
図8では、面状ライトユニット40に含まれる光源部30、光源部30を組み込んだ全体的な構成、及びこの面状ライトユニット40を用いた表示装置50が示される。
【0033】
図1は、面状ライトユニット40に含まれる光源部30の分解状態の要部断面図である。
図2は、
図1に示した部材を組み込んだ光源部30の要部断面図である。
図3は、光源部30の導光状態を示す要部断面図である。
図3では、LEDダイ1から導光板2へ入射し、導光板2内を伝搬する光線を矢印で示している。
図4は、光源部30全体を含む導光板2の水平方向の断面図である。
図5は、フレーム10に導光板2と発光ユニット3Lとを組み込んだ面状ライトユニット40の平面図である。
【0034】
図6は、発光ユニット3Lと柔軟性樹脂6の位置関係を示す断面図である。
図7は、面状ライトユニット40の水平方向の断面図である。
図7では、導光板2の凹部2aの上部を切り取るようにして、発光ユニット3Lと柔軟性樹脂6を凹部2aに組み込んだ状態が観察できるようにしている。
図8は、面状ライトユニット40を用いた表示装置50の分解斜視図である。
【0035】
(第1実施形態における光源部の説明・
図1〜
図4)
図1は、面状ライトユニット40に含まれる光源部30の要部断面図である。
図1では、光源部30を構成する部材が分解された状態で示されている。
図1に示すように、光源部30は、導光板2の側端を占める入射部2f、柔軟性樹脂6、半導体発光素子3及び光源基板4を含んでいる。導光板2は、上面に出射面2g、下面に反射面2hを有し、左側端部を入射部2fとしている。
【0036】
入射部2fには、凹部2aと、その上下面に曲面をなす反射形状部2bとが形成されている。凹部2aの底部(図と垂直な平面)は、入射面2cとなっている。半導体発光素子3(以下、発光素子3と略記する)は、モジュール基板3aと、モジュール基板3aに実装されたLEDダイ1と、LEDダイ1を被覆する封止樹脂3cと、封止樹脂3cの周囲に設けられた反射性樹脂枠3bから構成されている。発光素子3は、光源基板4に実装され、図示しない配線電極を介して電力供給される。透光性の柔軟性樹脂6は、導光板2の凹部2aと発光素子3の間に配置される。
【0037】
なお、発光素子3は、いわゆるR、G、B−LEDである。LEDダイ1自体がR(赤)G(緑)又はB(青)で発光する場合には封止樹脂3cは透明樹脂でよい。LEDダイ1自体が青色又は紫外光で発光する場合には、封止樹脂3cは蛍光粒子を混入した蛍光樹脂とする(B発光LEDダイを含むB−LEDを除く)。
【0038】
図2は、光源部30の要部断面図である。
図2では、
図1に示した部材を光源部30に組みあげた状態を示す。
図2に示すように、光源部30では、柔軟性樹脂6が導光板2の凹部2aに挿入され、発光素子3が柔軟性樹脂6の左端に押し当てられている。この結果、柔軟性樹脂6は、圧縮されて凹部2a全体を満たすように変形する。
【0039】
導光板2は、アクリル、ポリカーボネート、シリコーン等の透光性樹脂によって構成される。金型成形によって、断面略矩形状の凹部2aと反射形状部2bが導光板2に形成される。なお、凹部2aの断面形状は、入り口側が少し広いテーパー形状になっている。このテーパー形状は、金型加工及び柔軟性樹脂6の挿入を容易にしている。また、凹部2aの入り口側の上下にも平坦部がある。この平坦部も金型加工の制約により設けられている。凹部2aは、反射形状部2bの形成部分より深く形成されている。反射形状部2bの曲面形状は、
図2に示す断面で、弧の一部又は2次曲線の一部である。反射形状部2bは、発光素子3から斜め上方(又は下方)へ出射する光を全反射して導光板2内に導く。
【0040】
図1に示すように柔軟性樹脂6の奥行(図の横方向の幅)は、凹部2aの深さ(図の横方向の幅)より大きい。この条件のもと、
図2に示すように柔軟性樹脂6は、入射面2cと発光素子3の間で圧縮変形する。この圧縮変形により、発光素子3と導光板2との間の光学的及び機械的接続が安定化する。また、柔軟性樹脂6の奥行を充分に大きくし、発光素子3の出射面を凹部2aの外側に配置することにより、振動などを原因とする発光素子3と導光板2との接触が回避されている。
【0041】
この柔軟性樹脂6は、圧縮変形して部品の形状誤差や温度特性による熱膨張変形を吸収する。すなわち、導光板3と発光素子2の間に介在する柔軟性樹脂6は、高い柔軟性を必要とする。例えば、柔軟性樹脂6のヤング率を0.1〜1MPa程度にすると良い。ヤング率が0.1〜1MPa程度の柔軟性樹脂6は、発光素子3に対し10MPa程度の圧力を与える。発光素子3は、100MPa程度の圧力で破壊するので、10MPa程度の圧力であれば破壊しない。
【0042】
また柔軟性樹脂6の屈折率は1.4〜1.6であることが好ましい。よく知られているように、屈折率n1の媒質から屈折率n2の媒質に光が侵入しようとすると反射が発生する(以下、反射に伴う光量の減少をフレネル損失という)。フレネル損失は、屈折率n1と屈折率n2の差が大きくなればなるほど大きくなる。導光板2及び発光素子3に含まれる封止樹脂3cの屈折率は1.5程度であるため、柔軟性樹脂6の屈折率を1.4〜1.6にすればフレネル損失を無視できるようになる。
【0043】
図3は、
図2に示した光源部30の要部断面図に、発光素子3から導光板2へ入射する光線を書き加えたものである。
図3では光線の挙動が矢印で示されている。
図3に示すように、発光素子3の封止樹脂3cと導光板2の入射面2cが柔軟性樹脂6によって完全に密着している。このため、LEDダイ1から導光板2に向かう光線のうち中心付近の光線Psはフレネル損失がほとんど発生することなく導光板2の内部に導かれていく。斜め上方(又は下方)に向かう光線Phは、凹部2aの側壁から導光板2に入射した後、反射形状部2bによって全反射され、導光板2の内部に導かれていく。
【0044】
発光素子3の出射面(封止樹脂3c)と凹部2aの側壁の間は柔軟性樹脂6を介して密着しているので、光線Phの光路でもフレネル損失がほとんど発生しない。以上のように、柔軟性樹脂6は、圧縮変形することで中心付近の光線Ps及び斜め上方(又は下方)に向かう光線Phのフルネル損失を軽減する。なお、光線Phは、反射形状部2bがない場合、利用できない光線Pmとなってしまう。しかしながら光源部30では、光線Phは、反射形状部2bの全反射によって有効化されている。これらの結果、光源部30において発光素子3と導光板2との光学的な接続が著しく高められている。
【0045】
図4は、光源部30全体を含む導光板2の水平方向(
図3と垂直な方向)の断面図である。すなわち
図4は、導光板2の厚さ方向の中央を通るように切断して描いた断面図である。
図4では、各要素の構成を解りやすくするため導光板2の凹部2a部分を切り欠いている。このため、柔軟性樹脂6が直接的に観察される。図示していないが、導光板2の水平断面では、凹部2aの側壁は、柔軟性樹脂6の奥側にも存在し、導光板2の下側の切り欠き部を構成する横に長い板状部材である。凹部2aの側壁に相当する板状部材の両端には2本の突起部2dが観察される。さらに凹部2aと反対側の導光板2の側面には、弾性支持部材8(
図5参照)の収納部2eが2個設けられている。
【0046】
発光ユニット3Lは長方形の光源基板4と複数の発光素子3からなる。光源基板4には発光素子3が所定間隔で実装されている。1つの柔軟性樹脂6が全ての発光素子3の出射面をカバーしている。なお、
図2に示したように、導光板2の凹部2aに嵌め込まれた柔軟性樹脂6の下辺は、圧縮変形により発光素子3の存在部ごとに凹んでいる。しかしながら
図4では説明のため柔軟性樹脂6の下辺を直線で描いている。
【0047】
(第1実施形態における面状ライトユニットの説明・
図5〜
図7)
次に面状ライトユニット40の全体構成について説明する。
図5は面状ライトユニット40の平面図である。
図5に示すように、金属製のフレーム10の一方の内壁10aには、所定の位置に2個の弾性支持部材8が固定されている。内壁10aと対向する他方の内壁10bには、発光ユニット3Lを構成する光源基板4が接着テープ9によって接着されている。この状態で、導光体2、発光ユニット3L及び柔軟性樹脂6がフレーム10に組み込まれている。
【0048】
導光板2には、
図4で説明したように、凹部2aの両端に2本の突起部2dが設けられている。突起部2dは、フレーム10の内壁10bに突きあてられ、導光板2を支えている。このとき導光板2は、収納部2eに配置された弾性支持部材8により
図5の右方向に押されている。このようにして導光板2はフレーム10の枠内に押圧固定される。また、発光ユニット3Lは、前述のようにフレーム10の内壁10bに接着テープ9で固定されている。発光ユニット3Lは、柔軟性樹脂6を圧縮し、柔軟性樹脂6及び凹部2aを介して導光板2と機械的に接続する。
【0049】
このとき、発光ユニット3Lが受ける力は、柔軟性樹脂6の反発力だけである。すなわち、発光ユニット3Lが受ける力は、弾性支持部材8が導光板2をフレーム10に押し当てる力に比べて著しく弱いものとなる。このため部材寸法がばらついたり、部材が温度変化したりしても、柔軟性樹脂6の反発力はほとんど変化しない。この結果、発光ユニット3Lと導光板2との機械的な接続が安定したものとなる。なお、導光板2の長溝形状の凹部2a内に収納されている柔軟性樹脂6の外形が、
図5中に点線で示されている。
【0050】
図6は発光ユニット3Lと柔軟性樹脂6の断面図である。
図6に示すように、発光ユニット3Lにおいて、発光素子3は、長方形で板状の光源基板4の表面に一定間隔で実装されている。また、柔軟性樹脂6は、光源基板4に実装された複数の発光素子3を一括して押圧するように長い角柱形状となっている。
【0051】
次に
図7により、面状ライトユニット40の構成をさらに詳しく説明する。
図7は、光源部30に含まれる各要素の構成を解りやすくするため、柔軟性樹脂6が直接観察できるようにした面状ライトユニット40の水平断面図である。
【0052】
図7に示した面状ライトユニット40の基本的構成は
図5で説明したとおりである。そこで
図7について、重複する説明は省略し、主に組み立て手順を説明する。
【0053】
面状ライトユニット40の組み立て手順は以下の通りである。まず、フレーム10の内壁10aに弾性支持部材8を接着する。次に、発光素子3が実装された光源基板4(発光ユニット3L)を接着テープ9によりフレーム10の内壁10bに接着する。次に、導光板2の凹部2aに角柱形状の柔軟性樹脂6の一部を埋設した状態で、導光板2をフレーム10に嵌め込む。このとき導光板2を少し変形させながらフレーム10に嵌め込む。すなわち弾性支持部材8に圧力をかけながら、導光板2を撓ませ、柔軟性樹脂6が発光素子3を押圧するようにする。
【0054】
同時に導光板2の突起部2dをフレーム10の内壁10bに突き当て導光板2を固定する。なお突起部2dは、フレーム10の内壁10bに突き当たるとき、弾性支持部材8から加えられるほとんどの押圧力をフレーム10に伝えている。また前述したように発光ユニット3Lが柔軟性樹脂6を介して導光板2を押し返す力は、フレーム10が突起部2dを介して導光板2を押し返す力に比べて著しく弱い。
【0055】
突起部2dは、フレーム10に導光板2及び光源部30を精度良く位置決め固定するため、凹部2aの両側に設けられている。突起部2dの長さ(
図7の左右方向)は発光ユニット3Lの高さ(
図7の左右方向)に、柔軟性樹脂6の高さ(
図7の左右方向)を加えたものより少し短くしておく。発光ユニット3Lと導光板2の入射面2cの間における柔軟性樹脂6の圧縮代(しろ)を形成するためである。この柔軟性樹脂6の圧縮代は、発光素子3の破損を防止したり、導光板2や発光素子3の加工誤差や熱膨張による寸法変化を吸収したりする。
【0056】
この結果、面状ライトユニット40は、これらを原因とする不良を出すことなく量産することができる。なお、温度変化に伴う導光板2の長さ(
図7の左右方向)の変化は一辺全体に及ぶ一方、光源部30における長さ(
図7の左右方向)の変化は突起部2dの長さ(
図7の左右方向)の変化だけになる。すなわち、面状ライトユニット40は、温度変化に伴う導光板2の膨張変形があっても、光源部30における変形は突起部2dの変形の範囲に限定される。このため、温度変化の影響を少なくすることが可能となる。
【0057】
(第1実施形態における面状ライトユニット付き表示装置の説明・
図8)
次に
図8に示す面状ライトユニットを備えた表示装置を説明する。
図8は面状ライトユニット40を備えた表示装置50の分解斜視図である。なお
図8では、面状ライトユニット40の内部が良く見えるように、フレーム10及び突起部2dを描いていない。
【0058】
図8に示すように角柱形状の柔軟性樹脂6は、導光板2の凹部2aに嵌め込まれ、発光ユニット3Lの複数の発光素子3で押圧される。導光板2の下面側には反射シ−ト11が配置される。反射シート11は、高反射性の金属板や、酸化ケイ素等の拡散剤を含む反射性インクを印刷した樹脂フィルムにより構成され、導光板2から漏れ出した光を反射させて導光板2の出射面側に戻す。面状ライトユニット40の上面側(出射面側)には液晶セル12が配置される。さらに必要に応じて導光板2と液晶セル12の間に光学シート13が配置される。光学シート13としては、液晶セル12への偏光成分を増やす反射型偏光フィルム、照明光を拡散する拡散フィルム、指向性を制御し輝度向上を図るプリズムシート等がある。
【0059】
(第1実施形態における面状ライトユニット付き表示装置の効果)
面状ライトユニット40では、導光板2に凹部2aと反射形状部2bを形成し、柔軟性樹脂6により発光素子3と導光板2とを光学的及び機械的に結合している。柔軟性樹脂6は、発光素子3と導光板2との間で圧縮され、発光素子3と導光板2との間に空気層を存在させない。この結果、面状ライトユニット40は、導光板の平坦な入射面に空気層を介して発光素子の発光を入射させる面状ライトユニットに比べ、輝度が25%程度向上した。
【0060】
また、導光板の平坦な入射面に空気層を介して発光素子の発光を入射させる面状ライトユニットには、発光素子の封止樹脂が蛍光体を含有しているとき、出射光の色度管理が難しいという課題がある。例えば、発光素子の発光色が、x=0.2785±0.0045、y=0.2565±0.0185(x、yはCIE色度図の座標)であるとき、面状ライトユニットの発光色は、x=0.3061±0.019、y=0.3010±0.0027となる。すなわち、この面状ライトユニットの発光色は、発光素子の発光色から長波長側にシフト(黄変)し、さらに変動幅が大きくなる。
【0061】
この現象について、発光素子が青色LEDダイを含み、LEDダイを封止する樹脂が黄色系の蛍光体を含有している場合で説明する。上記面状ライトユニットでは、発光素子と導光板の間に空気層が存在する。発光素子に含まれる青色LEDダイから発し、封止樹脂で波長変換されなかった青色光の一部分は、封止樹脂と空気との界面で反射する。この青色光は、再び封止樹脂に戻り、一定の割合で封止樹脂中の蛍光樹脂によって波長変換される。同様に空気層と導光板の入射面で反射し、封止樹脂に戻された青色光も波長変換を受ける。すなわち、この面状ライトユニットでは、空気層との界面における反射で青色成分が減少する一方で長波長成分が増加する。この結果、面状ライトユニットの発光色はLED単体で測定した発光色から長波長側にシフトしてしまう。さらに反射量の制御が困難であるため、シフト量等の変動幅が大きくなる。
【0062】
これに対し面状ライトユニット40は、発光素子3と導光板2の入射面2cとの間に柔軟性樹脂6を備え、発光素子3と入射面2cが光学的に密着しているため、界面による反射がほとんど起きない。この結果、面状ライトユニット40では、発光素子3の発光色が面状ライトユニット40の発光色とほぼ等しくなる。しかしながら、この発光色は、発光素子3から測定器のセンサまでの間に屈折率の段差がないと仮定したものである。実際には、発光素子3の発光色は空気中で測定される。このため、前述のように発光面における反射により発光素子3の発光色は、上記仮想的な発光色より長波長側にシフトする。
【0063】
そこで、面状ライトユニット40の目標とする発光色に対し、発光素子3の実際の発光色を長波長側に設定する。例えば、目標とする発光色の色度座標がX0であれば、発光素子3の色度座標をX0+(0.02〜0.05)にする。なおy座標は、発光素子3と導光板2の間に柔軟性樹脂6を介在させても、x座標に比べて大きく変動しない。
【0064】
面状ライトユニット40は、柔軟性樹脂6としてエラストマー(シリコーン樹脂)を使用した。エラストマーは重合度が低いので未重合のシリコーン樹脂が染み出てくることがある。これに対し面状ライトユニット40では、入射部2fに形成した凹部2aにエラストマーを配している。すなわち染み出たシリコーン樹脂のほとんどが凹部2aに留まる。この結果、面状ライトユニット40は、エラストマーから染み出てくる樹脂による他の部品への影響が少ないという特徴がある。
【0065】
[第2実施形態]
次に
図9により、本発明の第2実施形態として示す面状ライトユニット42に含まれる光源部31を説明する。
【0066】
図9は、面状ライトユニット42において光源部31を含む導光板2の水平断面図である。
図9に示す面状ライトユニット42の断面構成は、
図4に示す面状ライトユニット40の断面構成と基本的に同じなので、同一部材には同一番号を付し、重複する説明を省略する。また、
図4と同様に、
図9でも凹部2aの上部を切り欠いて発光ユニット3Lと柔軟性樹脂6との接続状態がよく見えるようにしている。
【0067】
図9に示す水平断面が
図4に示す水平断面と異なるところは、発光ユニット13Lの構成だけである。面状ライトユニット40に含まれる発光ユニット3Lでは、光源基板4の上に複数の発光素子3が所定間隔で実装されていた(
図4参照)。これに対し面状ライトユニット42に含まれる発光ユニット13Lでは、
図9に示すように、光源基板4に複数のLEDダイ1が所定の間隔で実装され、これら複数のLEDダイ1が封止樹脂3cにより一括封止されている。すなわち面状ライトユニット42では、発光素子と光源基板4が一体化している。
【0068】
面状ライトユニット42では、導光板2の凹部2aに挿入された柔軟性樹脂6に対して、発光ユニット13Lを構成する封止樹脂3cが全面で突き当たる。このため、発光ユニット13Lと柔軟性樹脂6の光学的及び機械的接続が、面状ライトユニット40に比べ、より安定した状態となる。
【0069】
[第3実施形態]
次に
図10により、本発明の第3実施形態として示す面状ライトユニット43に含まれる光源部32について説明する。
【0070】
図10は、面状ライトユニット43おける光源部32を含む導光板2の水平断面図である。
図10に示す面状ライトユニット43の断面構成は、
図9に示す面状ライトユニット42の断面構成と基本的に同じなので、同一部材には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
図10に示す水平断面が
図9に示す水平断面が異なるところは、発光ユニット23Lの構成だけである。面状ライトユニット42に含まれる発光ユニット13Lでは、光源基板4の上に複数のLEDダイ1が所定の間隔で実装され、複数のLEDダイ1が封止樹脂3cにより一括封止されていた(
図9参照)。これに対し面状ライトユニット43に含まれる発光ユニット23Lは、光源基板4に複数のLEDダイ1が所定の間隔で実装され、複数のLEDダイ1が柔軟性樹脂6により一括封止されている。すなわち、面状ライトユニット43では、LEDダイ1と光源基板4と柔軟性樹脂6が一体化している。
【0071】
なお面状ライトユニット43では、LEDダイ1と発光素子3の何れの発光体でも使用可能である。発光体が発光素子3の場合には、柔軟性樹脂6として透明樹脂を用いる。発光体がLEDダイ1の場合には、柔軟性樹脂6として蛍光粒子を混入した蛍光樹脂を用いるか、LEDダイ1の発光面に蛍光体層を設けておくと良い。面状ライトユニット43では、柔軟性樹脂6を封止樹脂と別体で設けることなく、発光ユニット23Lに一体的に設けているため、部品点数が削減され組み込み易くなる。
【0072】
[第4実施形態]
次に
図11により、本発明の第4実施形態として示す面状ライトユニット44における光源部33について説明する。
【0073】
図11は、面状ライトユニット44において光源部33を含む導光板2の水平断面図である。
図11に示す面状ライトユニット44の断面構成は、
図4に示す面状ライトユニット40の断面構成と基本的に同じなので、同一部材には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0074】
図11に示す水平断面が
図4に示す水平断面と異なるところは、柔軟性樹脂6の構成だけである。面状ライトユニット40では、1本の長い角柱形状の柔軟性樹脂6で複数の発光素子3の全てを覆うように配設されていた(
図4参照)。これに対し面状ライトユニット44では、柔軟性樹脂6が個々に分割されていて、光源基板4に実装された複数の発光素子3ごとに個々の柔軟性樹脂6が配設されている。このため、面状ライトユニット44では、柔軟性樹脂6の量が少なくできる。また、発光素子3の発光が柔軟性樹脂6の内部から図の横方向に漏れる量を少なくすることができる。
【0075】
[第5実施形態]
次に
図12により、本発明の第5実施形態として示す面状ライトユニット45における光源部34について説明する。
【0076】
図12は面状ライトユニット45に含まれる光源部34の要部断面図である。
図12に示す光源部34の断面構成は、
図2に示す光源部30の断面構成と基本的に同じなので、同一部材には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0077】
面状ライトユニット45の光源部34が面状ライトユニット40の光源部30と異なるところは、導光板2に対する発光素子3の位置だけである。すなわち、面状ライトユニット40では、発光素子3の先端が導光板2の凹部2aの外側に位置決めされていた(
図2参照)。これに対し面状ライトユニット45では、発光素子3の先端は導光板2の凹部2aの内側に位置決めされている。このため、光源部34を光源部30より少し小さくできる。また、発光素子3の先端と導光板2の入射面2cとの距離を短くすることができる。この結果、発光素子3と導光板2との光学的結合状態を向上させることができる。
【0078】
[第6実施形態]
次に
図13により、本発明の第6実施形態として示す面状ライトユニット46に含まれる光源部35について説明する。
【0079】
図13は、面状ライトユニット46に含まれる光源部35の要部断面図である。
図13に示す光源部35の断面構成は、
図2に示す光源部30と基本的に同じなので、同一部材には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
面状ライトユニット46が面状ライトユニット40と異なるところは、導光板の構成だけである。すなわち、面状ライトユニット40では、導光板2が一体化していた(
図2参照)。これに対し面状ライトユニット46では、導光板が前部導光板20と後部導光板21の二体構成となっている。前部導光板20と後部導光板21は、断面楔状の切断面で分離されている。この切断面を透明接着剤で接着することにより、前部導光板20と後部導光板21は、光学的に結合されて一体化する。
【0081】
上記構成は、光源部35の組み立ての容易化に有利である。すなわち、面状ライトユニット40の導光板2の入射部2fに形成された細長い凹部2aに、細い長い角柱形状の柔軟性樹脂6を位置決め挿入するのは一定の困難性を伴う。面状ライトユニット46では、導光板を前部導光板20と後部導光板21の二体構成とし、前部導光板20を小型化し取り扱い易くしている。さらに面状ライトユニット46では、前部導光板20と後部導光板21の接続部を断面楔形とし、接続時に光軸がずれないようにしている。
【0082】
[第7実施形態]
図14〜
図17を用いて本発明の第7実施形態として示す面状ライトユニット47について説明する。
【0083】
図14は面状ライトユニット47に含まれる導光板23の斜視図である。
図15は
図14に示す導光板23のA−A断面図である。
図16は
図15に示す導光板23に柔軟性樹脂6及び発光素子3を組み込んだ状態を示す光源部36の要部断面図である。
図17は光源部36全体を含む導光板23の水平方向の断面図である。
【0084】
(第7実施形態における光源部の説明・
図14〜
図17)
図14は面状ライトユニット47に含まれる導光板23の斜視図である。
図14に示す面状ライトユニット47の導光板23の基本的構成は、
図1に示す面状ライトユニット40の導光板2と同じであるから、同一要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0085】
導光板23が導光板2と異なるところは、導光板の入射部に設けられた凹部23aの構成である。導光板2では、凹部2aは断面矩形状の長溝形状であった(
図1参照)。これに対し導光板23の凹部23aの内部には、一対の側面反射部23i、23jを備えた複数の個別収納部23kが所定間隔で設けられている。なお、
図14では、凹部23aにおいて多数形成される個別収納部23kを2個だけで示すとともに、凹部23aの両端に設けられる突起部(
図17参照)を描いていない。
【0086】
図15に示すように、一対の側面反射部23i、23jは、内側が垂直面で外側が湾曲面となっている。対向する側面反射部23i、23jの垂直面と入射面23cで囲まれる範囲が個別収納部23kである。
【0087】
次に
図16により光源部36の構成及び動作を説明する。
【0088】
図16は、導光板23に柔軟性樹脂6及び発光素子3を組み込んだ状態を示す光源部36の要部断面図である。
図16に示すように、導光板23の各個別収納部23kには柔軟性樹脂6が配設されている。また、光源基板4に実装された発光素子3は、柔軟性樹脂6に当接し、柔軟性樹脂6を導光板23の入射面23cに押圧している。
【0089】
この状態において、柔軟性樹脂6を通過し導光板23の上面又は下面(図に垂直な方向)へ向かう光は、上下面の反射形状部23b(
図14参照)で全反射し導光板23内を伝搬する。柔軟性樹脂6の左右の側面から発し図の左右方向に向かう光は、側面反射部23i、23jの外側の湾曲面によって全反射され、導光板23の長手方向に向かう。
【0090】
図17は光源部36全体を含む導光板23の水平断面図(導光板23の厚さ方向の中央を通るように切断して描いた断面図)である。各要素の構成を解りやすくするために、導光板23の凹部23aに収納された柔軟性樹脂6が直接見えるようにしている。なお
図14〜
図16では説明のため個別収納部23kを2個としていたが、
図17では現実的な構成として個別収納部23kが多数存在する。
図17に示すように、導光板23には一対の側面反射部23i、23jによって挟まれた空間である個別収納部23kが複数設けられている。各個別収納部23kにはそれぞれ柔軟性樹脂6が配設されている。また、長方形で板状の光源基板4と複数の発光素子3からなる発光ユニット3Lが導光板23の下辺部に組み込まれることによって、各発光素子3が各柔軟性樹脂6に当接し、柔軟性樹脂6を押圧する。
【0091】
上記構成により、面状ライトユニット47は、各個別収納部23kに配設された柔軟性樹脂6を通って上下方向及び左右方向へ向かおうとする光を有効光として導光板23に供給することができる。すなわち、面状ライトユニット47は上下方向へ漏れ出そうとする光の有効活用に加えて、左右方向へ外れようとする光の有効活用ができるため、さらに出射効率が向上する。
【0092】
[第8実施形態]
次に
図18、
図19を用いて本発明の第8実施形態として示す面状ライトユニット48の光源部37について説明する。
【0093】
図18は面状ライトユニット48に含まれる光源部37の要部断面図である。
図18に示す光源部37の断面構成は、
図2に示す光源部30の断面構成と基本的に同じなので、同一部材には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0094】
面状ライトユニット48の光源部37が面状ライトユニット40の光源部30と異なるところは導光板24の形状である。面状ライトユニット40では、導光板2の入射面2cの形状が平面であった(
図1参照)。これに対し面状ライトユニット48では、導光板24の入射面24cの形状が凹凸形状になっている。この結果、導光板24の凹部24aに配設された柔軟性樹脂6は、導光板24の入射面24cの凹凸形状に嵌合するように変形している。
【0095】
図19は、
図18に示した光源部37の要部断面図に対し、発光素子3から導光板24へ入射する光線(矢印)を書き加えたものである。
【0096】
前述のように面状ライトユニット40では、光源部30における入射面2cが平面であった(
図2参照)。入射面24cが平面であると仮定した場合、LEDダイ1から発し導光板24の出射面24gと平行に直進する光線Ps(点線)は、導光板24の内部を直進し、入射面24cと反対側の導光板24の側面(図示せず)に達する。この反対側面で反射され入射面24cに戻ってくる光線は、入射面24cと反対面の間で反射を繰り返しているうちに消滅する。すなわち入射面24cが平面の場合、比較的分量の多い光線Psが有効な光として出射面24gから出射しないため、出射効率の低下を招くこととなる。
【0097】
これに対し、面状ライトユニット48では、入射面24cが凹凸形状を有する。このため、LEDダイ1から発し出射面24gと平行に直進しようとする光線Psは、凹凸形状を有する入射面24cにより拡散させられた光線Ps’となる。光線Ps’は、出射面24g及び反射面24hで全反射しながら導光板24内を伝搬し、反射面24hに形成された反射ドット(図示せず)で伝搬方向を変えられ出射面24gから有効光として出射されていく。この結果、光線Psが有効な光線Ps’に変換されるため、面状ライトユニット48の出射効率が向上する。
【0098】
[第9実施形態]
次に
図20を用いて本発明の第9実施形態として示す面状ライトユニット49の光源部38について説明する。
【0099】
図20は面状ライトユニット49に含まれる光源部38の要部断面図である。
図20に示す光源部38の断面構成は、
図12に示す光源部34の断面構成と基本的に同じなので、同一部材には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0100】
面状ライトユニット49の光源部38が面状ライトユニット45の光源部34と異なるところは光源基板14の形状である。光源部34では、光源基板4の導光板2側の面は平坦であった(
図12参照)。これに対し光源部38では、光源基板14の導光板2側の面は、発光素子3を実装する部分に凸形状部14aを備えている。また面状ライトユニット49が組みあがった状態(凸形状部14aに実装された発光素子3が、導光板2の凹部2aに配設された柔軟性樹脂6を押圧した状態)では、凸形状部14aの先端部14bが凹部2aの内部に配設されている。
【0101】
次に面状ライトユニット49の光源部38に振動衝撃が加えられたときの動作を、面状ライトユニット45の光源部34と対比して説明する。
【0102】
図12に示した面状ライトユニット45では、発光素子3の先端部が導光板2に設けられた凹部2a内に配設されていた。光源部34に振動衝撃が加えられると、発光素子3の先端位置が移動し、導光板2に設けられた凹部2aの内壁に柔軟性樹脂6を介して衝突する。この結果、発光素子3に衝撃が加わって、発光素子3が壊れる危険性がある。
【0103】
これに対し、
図20に示す面状ライトユニット49では、導光板2に設けられた凹部2a内に、発光素子3と凸形状部14aが配設されている。この光源部38に振動衝撃が加えられると、発光素子3の位置が移動したとしても、凸形状部14aの先端部14bが導光板2の凹部2aの内壁に衝突する。したがって、面状ライトユニット49では発光素子3の破壊が防止される。また、光源部38は、振動衝撃による発光素子3の破壊を防止することに加え、発光素子3を凹部2a内に配設することで光源部38の小型化を図っている。
【0104】
以上のように本発明の面状ライトユニットでは、発光ユニットと導光板との接合を柔軟性樹脂の押圧によって行うので、発光ユニットと導光板との光学的及び機械的接合が安定する。この結果、本発明の面状ライトユニットは、半導体発光素子の発光を導光板に効率良く導くことができる。また、本発明の面状ライトユニットでは、柔軟性樹脂が変形することにより、構成要素の加工誤差や、熱膨張による寸法変化を吸収できる。このため、面状ライトユニットの破損等のトラブルを防止することが出来る。すなわち本発明は、発光効率や出射面における輝度の均一性に優れた面状発光ユニットを、安定した品質で量産することができる。