(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。複数の図面において同一の符号は同一の要素を表し、重複した説明は省略する。
【0013】
図1は、本発明に係るクーポン・広告情報の表示を最適化するシステムの構成を例示する図である。クーポン・広告情報の表示を最適化するシステムは、概略的に、管理用サーバ120、ネットワーク130および自動販売機140a、140b、・・・140n(以下、総称して「自動販売機140」という)が例示される。
図1はまた、クーポン・広告情報の表示を最適化するシステムと運営者デバイス100が、ネットワーク110を介して接続されることが例示される。
【0014】
運営者デバイス100は、自動販売機のマーケティング担当者等により操作されるデバイスであり、例えば、PC、タブレット、スマートフォン等とすることができる。運営者デバイス100は、クーポン・広告情報、商品属性情報、店舗所在地情報、自動販売機所在地情報等の入力を受け付けて、ネットワーク110を介して管理用サーバ120に送信することができる。
【0015】
クーポン・広告情報は、例えば、クーポン、各種広告、アプリダウンロードサイト、各種ポイント加算、オンラインゲーム等のアイテム獲得などに関する情報(画像、文字、二次元コード等)とすることができる。クーポン・広告情報は、対象商品、決済手段、年齢、性別、環境特性(季節、外気温・湿度、およびそれらの変動状況)、購入時間帯、立地特性、対象者の職業およびその他の情報との相関のパラメータを関連付けて登録することができる。立地特性は、例えば、モール・商店街近傍、ビジネス街、学校近傍、一般住宅地等とすることができる。クーポンには、有効期限、発行期間、時間、発行対象地域等を関連付けて登録することもできる。このようにすることで、地域・期間限定の特別クーポンの発行が可能となる。
【0016】
商品属性情報は、自動販売機で販売する商品の購入者属性(年齢、性別、職業等)に関連するパラメータとすることができる。例えば、栄養ドリンクの購入者属性として、30〜40代の男性会社員等のように、商品と購入者属性とを関連付けて登録することができる。
【0017】
店舗所在地情報は、クーポン、広告等を発行する企業または店舗の所在地を示す情報であり、経緯度、所在地の郵便番号、地域を一意に識別する地域コード等とすることができる。
【0018】
自動販売機所在地情報は、自動販売機の所在地を示す情報であり、経緯度、所在地の郵便番号、地域を一意に識別する地域コード等とすることができる。自動販売機所在地情報は、上述した立地特性を関連付けて登録してもよい。自動販売機所在地情報は、自動販売機140に備えられたGPS機能から位置情報を取得するか、または周辺の基地局情報から自動的に取得してもよい。
【0019】
管理用サーバ120は、1つまたは複数のサーバで構成され、ネットワーク110を介して、クーポン・広告情報等の各種情報を運営者デバイス100から受信してデータベース121に格納することができる。また、管理用サーバ120は、ネットワーク130を介して、各種情報を1つまたは複数の自動販売機140に送信することができる。管理用サーバ120は、自動販売機140が各動作を行うためのプログラムおよびプログラムのアップデート等を自動販売機140に送信してもよい。
【0020】
ネットワーク110は、例えばインターネット等、運営者デバイス100と管理用サーバ120との間で相互通信可能な周知のネットワークとすることができ、特に限定されることはない。また、ネットワーク130は、例えばインターネット等、管理用サーバ120と自動販売機140との間で相互通信可能な周知のネットワークとすることができ、特に限定されることはない。
【0021】
自動販売機140は、街中の様々な場所に設置された自動販売機である。自動販売機140は、通常の商品販売処理のほか、デジタルサイネージ用のディスプレイを備え、クーポン・広告等の表示を行うことができる。
【0022】
図2は、本発明に係る自動販売機140の構成を例示する図である。自動販売機140は、概略的に、IF部141、表示部142、購入商品情報取得部143、表示情報最適化部144、およびデータベース146を備える。自動販売機140はまた、任意的に外部環境情報取得部145を備えてもよい。
【0023】
IF部141は、管理用サーバ120からクーポン・広告情報等の各種情報を受信するインタフェースである。受信した各種情報は、データベース146に保存される。自動販売機140は、IF部141を介して、商品の購入履歴、クーポン・広告情報の表示履歴等を管理用サーバ120に送信してもよい。
【0024】
表示部142は、1つまたは複数のデジタルサイネージのディスプレイであり、クーポン、広告等の情報を表示することができる。表示部142はまた、タッチパネル機能を備えてもよい。クーポン、広告等の情報は、例えば、QRコード(登録商標)等の二次元コードにより表示されてもよい。表示部142はまた、表示されたクーポン・広告情報以外の情報を表示できるようにしてもよい。例えば、「次のページへ」、「もっと見る」等の表示に従って、利用者がボタンまたはタッチパネル操作を行うことにより、追加的な情報が表示されるようにしてもよい。
【0025】
購入商品情報取得部143は、購入された商品の情報を取得することができる。購入された商品の情報は、商品を購入する際のボタン操作またはタッチパネル操作によって選択された商品および決済手段(現金、クレジットカード、電子マネー等)の情報である。決済手段の情報は、ボタン操作またはタッチパネル操作による選択の他、例えば自動販売機140の硬貨投入口または紙幣投入口に購入金額が投入されること、ICカードが読み取られること等により取得することができる。決済手段の情報は、例えば電子マネーで商品を購入する利用者がより若年層であるという判断に使用することができる。
【0026】
表示情報最適化部144は、クーポン・広告情報および自動販売機所在地情報に基づいて、初期表示クーポン・広告情報を決定することができる。初期表示クーポン・広告情報は、店舗所在地情報および環境情報のうちの少なくとも1つにさらに基づいて決定することができる。例えば、自動販売機所在地情報から、近隣で開催されるイベントで使用可能なクーポン・広告情報を決定することができる。また、例えば店舗所在地情報と自動販売機所在地情報から近隣の店舗を特定することができるため、近隣の店舗で使用可能なクーポン等を決定することができる。さらに、例えば気温が30度以上という環境情報と近隣の店舗の情報により、カフェまたはアイスクリームの店舗等で使用可能なクーポンを優先するように決定することができる。表示情報最適化部144は、定期的に初期表示クーポン・広告情報を決定してもよい。
【0027】
表示情報最適化部144はまた、クーポン・広告情報、商品属性情報、および購入商品情報に基づいて、更新表示クーポン・広告情報を決定することができる。更新表示クーポン・広告情報は、表示部142に表示されている初期表示クーポン・広告情報の表示を更新するクーポン・広告情報である。更新表示クーポン・広告情報はまた、店舗所在地情報、自動販売機所在地情報、および環境情報のうちの少なくとも1つにさらに基づいて決定することができる。例えば、商品属性情報と購入商品情報から購入された商品のターゲット層を特定することができるため、顧客の属性に応じたクーポン・広告情報を決定することもできる。表示が更新されたクーポン・広告情報は、次回購入がされるまでの初期表示されたクーポン・広告情報としてもよい。
【0028】
表示情報最適化部144はさらに、各種情報の優先度の重み付けを使用して表示するクーポン・広告情報を決定することができる。例えば、自動販売機所在地およびクーポン・広告情報の時間の重み付けを大きくすることによって、東京都お台場限定の特別クーポンを3月1日の12:00〜17:00等のような特定の地域、時間に発行することができる。
【0029】
外部環境情報取得部145は、計測機器(温度計、湿度計等)によって任意的に構成することができ、時間、季節、気温、湿度等の外部環境の情報を取得することができる。外部環境情報取得部145は、管理用サーバ120が天気予報サイト等から情報を取得し、自動販売機140に送信することによって、外部環境の情報を取得するように構成されてもよい。外部環境の情報は、地域、季節等の統計情報により取得されてもよい。
【0030】
データベース146は、クーポン・広告情報、商品属性情報、店舗所在地情報、自動販売機所在地情報、および外部環境情報を格納し、保持することができるデータベースである。データベース146は、表示部142を構成するデジタルサイネージに備わったストレージにより構成されてもよい。
【0031】
自動販売機140の利用者は、自動販売機140の表示部142に表示されたクーポン・広告情報の二次元コード等をスマートフォン等により読み取ることができる。読み取られた情報には、クーポンを取得可能なWebサイトのアクセス用URL、ポイント取得用のパスワード、アクセスキー等の情報を含んでもよい。クーポンを取得可能なWebサイトのアクセス用URLは、例えば管理用サーバ120またはクーポン・広告を提供する企業、店舗等のサーバとすることができる。
【0032】
管理用サーバ120に登録された各種の情報に変更があったときは、変更の都度または定期的に、差分または情報全てについて、自動販売機140に送信されるように構成されてもよい。
【0033】
図3は、本発明に係る商品属性情報のデータ項目を例示する図である。
図3は、商品、年齢、性別を含むデータ項目を例示しているが、他のデータ項目を含むことも可能である。
図3の一例として、紅茶は、10〜30代の女性をターゲット層とする商品であることを示している。
【0034】
図4は、本発明に係るクーポン・広告情報のデータ項目を例示する図である。
図4は、クーポン・広告、決済手段、年齢、性別、時間、季節、気温、湿度、地域、立地を含むデータ項目を例示しているが、他のデータ項目を含むことも可能である。
図4の一例として、居酒屋クーポンは、20代以降の男性向けに、18時以降で表示されるクーポンであることを示している。また、
図4において、「null」は条件の制約がないことを示しているが、任意の文字列、ブランク、0等により表現されてもよい。
【0035】
図5は、本発明に係るクーポン・広告情報最適化の事前処理フローを例示する図である。
【0036】
ステップS501で、自動販売機のマーケティング担当者等は、運営者デバイス100を使用してクーポン・広告情報、商品属性情報、店舗所在地情報を入力し、管理用サーバ120に送信する。クーポン・広告情報は、文字、画像、その他任意の形式のデータとすることができる。また、自動販売機のマーケティング担当者等は、自動販売機所在地情報を入力してもよい。
【0037】
ステップS502で、管理用サーバ120は、運営者デバイス100から受信したクーポン・広告情報等の各種情報をデータベース121に格納する。
【0038】
ステップS503で、管理用サーバ120は、自動販売機140にクーポン・広告情報等の各種情報を送信する。各種情報の送信は、各種情報が更新されたタイミングで実施されてもよく、定期的に実施されてもよい。
【0039】
ステップS504で、自動販売機140は、管理用サーバ120から受信したクーポン・広告情報等の各種情報をデータベース146に格納する。
【0040】
このようにすることで、自動販売機のマーケティング担当者等が入力したクーポン・広告情報等の各種情報が自動販売機140のデータベース146に格納され、保持される。
【0041】
図6は、本発明に係るクーポン・広告情報最適化の処理フローを例示する図である。以下、自動販売機140の利用者が商品を購入し、クーポンが発行される場面について説明する。
【0042】
ステップS601において、自動販売機140は、表示情報最適化部144によって、クーポン・広告情報および自動販売機所在地情報に基づいて、初期表示クーポン・広告情報を決定する。初期表示クーポン・広告情報は、店舗所在地情報および環境情報のうちの少なくとも1つにさらに基づいて決定されてもよい。自動販売機140は、表示部142によって、決定されたクーポン・広告情報を初期表示する。初期表示クーポン・広告情報は、例えば、自動販売機140の設置場所に近接した居酒屋クーポンを取得可能な二次元コード等とすることができる。
【0043】
ステップS602において、自動販売機140の利用者は、ボタン操作またはタッチパネル操作等により商品を選択して、決済を行う。自動販売機140は、購入商品情報取得部143によって、購入された商品および決済手段の情報を取得する。
【0044】
ステップS603において、自動販売機140は、選択された商品を排出し、商品販売処理を完了する。自動販売機140の商品販売処理については、従来から広く行われているものであるため、説明を省略する。
【0045】
ステップS604において、自動販売機140は、表示情報最適化部144によって、クーポン・広告情報、商品属性情報および購入商品情報に基づいて、更新表示クーポン・広告情報を決定する。更新表示クーポン・広告情報は、店舗所在地情報、自動販売機所在地情報、および環境情報のうちの少なくとも1つにさらに基づいて決定されてもよい。例えば、購入された商品が紅茶である場合、表示情報最適化部144は、データベース146に格納された商品属性情報(
図3参照)を参照し、利用者が10〜30代の女性であると識別する。次に、表示情報最適化部144は、データベース146に格納されたクーポン・広告情報(
図4参照)を参照し、10〜30代の女性という条件で、最適な更新表示クーポン・広告情報を決定する。更新表示クーポン・広告情報は、店舗所在地情報、自動販売機所在地情報等にさらに基づいて決定されてもよい。この例では、表示情報最適化部144は、自動販売機の設置場所に近接するドラッグストアで利用可能なクーポンが利用者に適していると決定する。自動販売機140はさらに、表示部142によって、ステップS601で初期表示されている居酒屋クーポンの二次元コード等から、ドラッグストアクーポンを取得可能な二次元コード等の表示に更新する。
【0046】
ステップS605において、自動販売機140の利用者は、自動販売機140の表示部142に表示されたクーポン・広告情報を読み取る。自動販売機140の利用者は、例えば二次元コードをスマートフォン等で読み取ることによって、ドラッグストアクーポン取得用のURL等の情報を取得することができる。
【0047】
ステップS606において、自動販売機140の利用者は、ステップS605で読み取った情報に基づいて、例えばドラッグストアクーポン取得用のURLにアクセスすることができる。アクセスは、例えば管理用サーバ120にクーポン取得のリクエストを送信するようにしてもよく、クーポンを発行するドラッグストアのWebサイトに直接アクセスしてもよい。
【0048】
ステップS607において、管理用サーバ120は、クーポン・広告情報を送信する。例えば、管理用サーバ120は、自動販売機140の利用者のスマートフォンからのクーポン取得リクエストに応答して、ドラッグストアクーポンの画像データ等を送信することができる。管理用サーバ120はまた、例えばクーポン発行店舗のWebサイトにリダイレクトさせるようにしてもよい。管理用サーバ120は、自動販売機140のクーポン表示回数とアクセス回数を分析し、クーポンの利用率、ダウンロード率等を計算して各種情報または最適化アルゴリズムを更新してもよい。
【0049】
このようにすることで、自動販売機140の利用者および利用シーンに適したクーポンを発行し、または広告等を表示することができる。
【0050】
別の実施形態において、自動販売機140に二次元コードの読み取り装置を備え、利用者のスマートフォン等に表示された二次元コードを読み取る構成としてもよい。利用者のスマートフォン等に表示された二次元コードは、例えば、購入履歴、利用者のプロフィール、過去に取得したクーポンの種類、ポイントサイトまたはオンラインゲームのアカウント情報、興味のある分野等の情報が含まれてもよい。このような利用者から提供される情報に基づいて、クーポン・広告等を決定する構成にすることで、利用者が所望するクーポン・広告等を表示することができる。利用者から提供される情報は、利用者が所有する接触型または非接触型のICカード等により読み取られるようにしてもよい。
【0051】
また、別の実施形態において、自動販売機140の表示部142に表示されたクーポン・広告情報を読み取るために、専用のスマートフォン用アプリ等を使用してもよい。例えば、専用のスマートフォン用アプリ等を使用することで、クーポン・広告の読み取り履歴、使用履歴の情報を管理用サーバ120および/またはスマートフォン上で管理することができる。利用者は、読み取ったクーポン・広告情報と関連付けて、読み取り履歴、使用履歴の情報を管理用サーバ120またはクーポン・広告の提供者のサーバに送信することができる。管理用サーバ120は、受信した読み取り履歴等の情報および利用者の識別情報を保持することで、利用者のスマートフォンからのクーポン取得リクエストに応答して、クーポン重複発行の抑止、推奨する他のクーポンの提示等を行うことができる。
【0052】
さらに、別の実施形態において、自動販売機140の表示部142に表示する二次元コード等に、自動販売機140を一意に識別するID等の情報を含めてもよい。このようにすることで、利用者が読み取った二次元コード等を介してクーポン、広告情報にアクセスした場合に、どの自動販売機140に表示されたクーポン・広告情報であるかが識別できるため、マーケティングの効果測定等に利用可能となる。
【0053】
さらに、別の実施形態において、自動販売機140は、データベース146によって、購入時間、購入商品等の購入履歴を保持し、購入履歴を初期表示クーポン・広告情報の決定に使用してもよい。例えば、特定の自動販売機について、炭酸飲料の購入頻度が他の商品の購入頻度よりも高い場合、炭酸飲料のターゲット層に向けた広告の優先度を重み付けし、初期表示クーポン・広告情報の決定に使用してもよい。
【0054】
さらに、例えば管理用サーバ120と自動販売機140との間、または近接した複数の自動販売機140の間で処理の委譲、情報の連携等を行ってもよい。説明のため各処理を分けて記載したが、各処理を統合、連携させ、それぞれが有する処理の一部または全部を他方が行うように実装されてもよい。
【0055】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成および細部において変更する様々な実施形態を実現可能である。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様を採用することが可能である。