【文献】
J. Inf. Recording,2000年,25,69−86
【文献】
J. Ind. Eng. Chem.,2005年,11,688−691
【文献】
Angew. Chem. Int. Ed.,1999年,38,1649−1652
【文献】
J. Phys. Chem. A,2005年,109,1570−1575
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラスチックが、ビニルポリマー、ポリエステル、およびポリカーボネートから選択される少なくとも1種のプラスチックであることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
前記プラスチックが、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート、またはポリカーボネートであることを特徴とする、請求項5または6のいずれか1項に記載の使用。
プラスチックをバルク着色するための方法であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1種の染料が、少なくとも1種の溶融されたプラスチックと混合され、この混合物が次いで均質化されることを特徴とする、プラスチックをバルク着色するための方法。
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をバルク着色するための方法であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1種の染料が、少なくとも1種のメタクリル酸メチルモノマーと混合されるかまたはそれらの中に溶解され、次いでこの混合物または溶液が、少なくとも1種の重合触媒の存在下に、重合されることを特徴とする、ポリメタクリル酸メチルをバルク着色するための方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
R
2およびR
4〜R
8の定義におけるアルキルは、非置換であるか、または同一もしくは異なった置換基によって一置換もしくは多置換された直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、たとえば、直鎖状もしくは分岐状のC
1〜C
6−アルキル、好ましくは直鎖状もしくは分岐状のC
1〜C
4−アルキル、特には、メチル、エチル、n−およびイソ−プロピルを指しているが、それらは、それぞれの場合において、任意選択により、同一もしくは異なった置換基、たとえば、ハロゲンたとえば塩素、臭素もしくはフッ素、さらには−OH、−CN、−NH
2、またはC
1〜C
6−アルコキシによって一置換もしくは多置換されていてもよい。
【0007】
R
1およびR
3の定義におけるハロゲンは、たとえば、フッ素、塩素または臭素を指している。
【0008】
また別な実施態様においては、本発明は、次の基を有する式(I)のメチン染料に関する:
式中、
R
1が、水素、ハロゲン、COOH、またはCOOR
7であり、
R
2が、水素、またはアルキルであり、
R
3が、水素、ハロゲン、CN、COOH、またはCOOR
8であり、
R
4が、アルキルまたはフェニルであり、
かつ
R
5およびR
6がそれぞれ独立して、アルキルであり、
かつ
R
7およびR
8がそれぞれ独立して、アルキルであるが、
ただし、R
1とR
3が二つとも水素であるということはないという条件付きである。
【0009】
好ましいのは、次の基を有する式(I)の染料である:
式中、
R
1が、水素、ハロゲン、COOH、またはCOOR
7であり、
R
2が、水素であるか、またはC
1〜C
4−アルキルであるが、後者は、任意選択により、同一もしくは異なったハロゲンおよび/またはヒドロキシルによって一置換〜三置換されており、
R
3が、水素、ハロゲン、CN、COOH、またはCOOR
8であり、
R
4が、C
1〜C
4−アルキルまたはフェニルであり、
R
5およびR
6がそれぞれ独立して、C
1〜C
4−アルキルであり、
かつ
R
7およびR
8がそれぞれ独立して、C
1〜C
4−アルキルである。
【0010】
また別な実施態様においては、好ましいのは、次の基を有する式(I)の染料である:
式中、
R
1が、水素、ハロゲン、COOH、またはCOOR
7であり、
R
2が、水素であるか、またはC
1〜C
4−アルキルであるが、後者は、任意選択により、同一もしくは異なったハロゲンおよび/またはヒドロキシルによって一置換〜三置換されていてよく、
R
3が、水素、ハロゲン、CN、COOH、またはCOOR
8であり、
R
4が、C
1〜C
4−アルキルまたはフェニルであり、
R
5およびR
6がそれぞれ独立して、C
1〜C
4−アルキルであり、
かつ
R
7およびR
8がそれぞれ独立して、C
1〜C
4−アルキルであるが、
ただし、R
1とR
3が二つとも水素であるということはないという条件付きである。
【0011】
特に好ましいのは、次の基を有する式(I)の染料である:
式中、
R
1が、水素、フッ素、塩素、COOH、またはCOOR
7であり、
R
2が、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、もしくはtert−ブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、またはCF
3であり、
R
3が、水素、フッ素、塩素、CN、またはCOOR
8であり、
R
4が、メチルまたはフェニルであり、
R
5およびR
6がそれぞれ独立して、メチルまたはエチルであり、
かつ
R
7およびR
8がそれぞれ独立して、メチルまたはエチルである。
【0012】
特に好ましいのはさらにまた別の、次の基を有する式(I)の染料である:
式中、
R
1が、水素、フッ素、塩素、COOH、またはCOOR
7であり、
R
2が、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、もしくはtert−ブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、またはCF
3であり、
R
3が、水素、フッ素、塩素、CN、またはCOOR
8であり、
R
4が、メチルまたはフェニルであり、
R
5およびR
6がそれぞれ独立して、メチルまたはエチルであり、
かつ
R
7およびR
8がそれぞれ独立して、メチルまたはエチルであるが、
ただし、R
1とR
3が二つとも水素であるということはないという条件付きである。
【0013】
極めて特に好ましいのは、次の基を有する式(I)の染料である:
式中、
R
1が、水素、フッ素、塩素、またはCOOCH
3であり、
R
2が、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、またはヒドロキシエチルであり、
R
3が、水素、フッ素、または塩素であり、
かつ
R
4、R
5およびR
6がそれぞれ、メチルである。
【0014】
極めて特に好ましいのはさらに、次の基を有する式(I)の染料である:
式中、
R
1が、水素、フッ素、塩素、またはCOOCH
3であり、
R
2が、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、またはヒドロキシエチルであり、
R
3が、水素、フッ素、または塩素であり、
かつ
R
4、R
5およびR
6がそれぞれ、メチルであるが、
ただし、R
1とR
3が二つとも水素であるということはないという条件付きである。
【0015】
式(I)の染料は、立体異性体として存在することも可能である。式(I)としては特に、次の式(Ia)〜(Id):
【化2】
の四つのEおよびZ異性体を挙げることができる。ここで、置換基R
1〜R
6は、式(I)で特定された、一般的および好ましい定義を有している。
【0016】
さらにまた別な実施態様においては、本発明は、その中で、置換基R
1〜R
6が式(I)について特定された、一般的および好ましい定義を有する、式(Ia)のメチン染料に関する。
【0017】
本発明における式(I)の染料を使用すると、プラスチックを赤色に着色することが可能であるが、驚くべきことに、公知の染料を用いて達成することが可能な着色に比較して、高い色濃度(colour strength)、および同時に高い色明度(colour brilliance)の両方を特徴としている。
【0018】
本発明における染料を使用すれば、今日までに公知の、プラスチックを着色するための赤色染料で達成される性能プロファイルをはるかに凌駕することが可能である。
【0019】
本発明はさらに、プラスチックをバルク着色するための、本発明における式(I)の染料の使用にも関する。その場合、本発明における染料は、個別に使用することもできるし、あるいは、相互に所望の混合物の形で使用することもできる。
【0020】
この場合における「バルク着色(bulk colouration)」とは、特に、溶融させたプラスチック材料の中に、たとえば、エクストルーダーの手段を用いて染料を組み入れる方法か、または、プラスチックを調製するための出発成分、たとえば重合前のモノマーに、染料をあらかじめ添加しておく方法を意味していると理解されたい。
【0021】
特に好ましいプラスチックは、熱可塑性プラスチック、たとえばビニルポリマー、ポリエステル、およびポリカーボネートである。極めて特に好ましいのは、ビニルポリマー、特にポリスチレン、ならびにポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ならびにポリカーボネートである。
【0022】
好適なビニルポリマーは、数ある内でも、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルターポリマー、ポリメタクリレート、およびポリ塩化ビニルである。
【0023】
好適なポリエステルは、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート、ポリカーボネート、およびセルロースエステルである。
【0024】
着色対象のプラスチックは、プラスチック材料または溶融物として、個別に存在させてもよいし、あるいは相互に混合したものとして存在させてもよい。
【0025】
プラスチックをバルク着色するために使用する場合、染着のために微細に粉砕した形で本発明における染料(I)を適用するのが好ましく、分散剤を付随的に使用してもよいが、必ず使用しなければならないという訳ではない。
【0026】
プラスチックをバルク着色するために使用する場合、たとえば、重合が完了した後のプラスチックを調製するプロセスで、本発明における染料(I)を直接使用することもできる。この場合においては、本発明における少なくとも1種の染料(I)を、好ましくは、プラスチックの粒状物と乾燥した形で混合するか、または共に摩砕して、その混合物を、たとえば混合ロール上またはスクリュー内で、可塑化および均質化させるのが好ましい。しかし、本発明における染料(I)は、溶融した液状の材料に添加し、撹拌することにより均質に分散させてもよい。このようにしてあらかじめ着色した材料を、次いで、たとえば紡糸により剛毛や糸などにするか、あるいは押出成形または射出成形プロセスにより成形物を得てもよい。
【0027】
本発明はさらに、プラスチックをバルク着色するための方法にも関し、それは、式(I)の少なくとも1種の染料を、少なくとも1種の溶融させたプラスチックと混合し、次いでその混合物を均質化させることを特徴としている。
【0028】
染料(I)は重合触媒、特にペルオキシドに対する抵抗性を有しているので、たとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA)のようなプラスチック調製物のためのモノマー性の出発物質に本発明における染料(I)を添加し、次いで重合触媒の存在下に重合させることも可能である。この目的のためには、染料を、モノマー成分の中に溶解させるか、またはそれらと密に混合するのが好ましい。
【0029】
本発明はさらに、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をバルク着色するための方法にも関し、それは、式(I)の少なくとも1種の染料を、少なくとも1種のメタクリル酸メチルモノマーと混合するか、またはその中に溶解させ、次いでその混合物または溶液を、少なくとも1種の重合触媒の存在下に、重合させることを特徴としている。
【0030】
上述のプラスチック、特にポリアミドを着色するための、本発明における式(I)の染料は、ポリマーの量を規準にして、好ましくは0.0001〜1重量%、特には0.01〜0.5重量%の量で使用される。
【0031】
ポリマー中には不溶性の顔料、たとえば二酸化チタンを添加することによって、相当する有用な被覆着色(covered colouration)を得ることが可能である。
【0032】
二酸化チタンは、ポリマーの量を規準にして、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で使用するのがよい。
【0033】
本発明はさらに、プラスチックをバルク着色するための方法にも関するが、その場合、少なくとも1種の式(I)の染料を、好ましくは粒状物の形態にある少なくとも1種のプラスチックと、乾燥した形で混合するか、または共に摩砕して、その混合物を、たとえば混合ロール上またはスクリュー中で、可塑化および均質化させる。
【0034】
しかし、本発明における染料(I)は、溶融した液状の材料に添加し、撹拌することにより均質に分散させてもよい。プラスチックの調製におけるモノマー性の出発成分に本発明における染料(I)を添加し、次いで重合させるということも同様に可能である。
【0035】
このようにしてあらかじめ着色した材料を、次いで、たとえば紡糸により剛毛や糸などにするか、あるいは押出成形または射出成形プロセスにより成形物を得てもよい。
【0036】
本発明による方法の手段により、極めて良好な耐熱性および耐光性も有する、透明もしくは艶消しで鮮明な(covered brilliant)赤色の着色が得られる。
【0037】
本発明による方法を実施するために、本発明における式(I)の染料と、他の染料、ならびに/または無機および/もしくは有機顔料との混合物を使用することもまた可能である。
【0038】
本発明はさらに、本発明における式(I)の染料を調製するための方法にも関する。
【0039】
本発明における式(I)の染料は、少なくとも1種の式(II):
【化3】
[式中、
R
1、R
3、R
4、R
5およびR
6は、式(I)について規定した一般的および好ましい定義を有する]
のアルデヒドを、式(III):
【化4】
[式中、
R
2は、式(I)で規定された一般的および好ましい定義を有する]
の少なくとも1種のピリドン誘導体と反応させることにより、調製することができる。
【0040】
式(II)のアルデヒドは、立体異性体として存在することができる。式(II)には、可能性のあるE形およびZ形の両方が含まれる。
【0041】
式(II)のアルデヒドを、式(III)のピリドン誘導体と反応させることによる、本発明における染料(I)を調製するための方法は、それ自体公知の方法で実施することができる。
【0042】
本発明における染料(I)を調製するための方法は、一般的には−10〜180℃、好ましくは0〜100℃、特に好ましくは10〜90℃の範囲の温度で実施される。
【0043】
本発明における染料(I)を調製するための方法は、一般的には900〜1100hPaの圧力、好ましくは周囲圧力で実施される。「周囲圧力(ambient pressure)」とは、約925hPa〜1070hPaの範囲の空気圧を意味していると理解されたい。
【0044】
本発明における染料(I)を調製するための方法は、少なくとも1種の溶媒の存在下に実施することもできる。好適な溶媒は、たとえば、一連のアルコールおよびホルムアミドからのものである。本発明における染料(I)を調製するための方法は、メタノール、エタノール、プロパノールのシリーズからの少なくとも1種のアルコール、および/またはジメチルホルムアミドおよびジエチルホルムアミドのシリーズからの少なくとも1種のホルムアミドの存在下に実施するのが好ましく、メタノールおよび/またはジメチルホルムアミドの存在下に実施するのが特に好ましい。
【0045】
本発明における染料(I)を調製するための方法は、少なくとも1種の塩基の存在下で実施する。好適な塩基は、たとえば、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属アルコキシドである。水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび/またはカリウムtert−ブトキシドを使用するのが好ましく、特に好ましいのは、水酸化ナトリウムおよび/またはカリウムtert−ブトキシドである。
【0046】
一般的には、本発明における染料(I)を調製するための方法は、次のようにして実施する:まず最初にアルデヒド(II)を仕込み、そしてピリドン誘導体(III)を添加し、反応が完結したら、式(I)の化合物を単離する。その単離は、慣用されるプロセス、好ましくは濾過によって実施することができる。そのようにして得られた反応生成物は、任意選択により、さらなる方法工程、たとえば洗浄および乾燥によって処理してもよい。
【0047】
その方法を実施するためには、一般的には、アルデヒド(II)の1moleあたり、0.8〜1.5molのピリドン誘導体(III)を使用する。アルデヒド(II)の1moleあたり0.9〜1.1molのピリドン誘導体(III)を使用するのが好ましく、アルデヒド(II)の1moleあたり1molのピリドン誘導体(III)を使用すれば特に好ましい。
【0048】
式(III)のピリドン誘導体は公知であり、たとえばAlfa Acerから市販品として購入することができる。
【0049】
式(II)のアルデヒドもまた公知であって、たとえば、当業者公知の方法により2段階合成法で調製することができる。その場合、第一段階a)において、式(IV):
【化5】
[式中、
R
5およびR
6は、式(I)で規定された一般的および好ましい定義を有する]
の少なくとも1種のインドール誘導体を、少なくとも1種のアルキル化剤と反応させ、次いで、第二段階b)において、第一段階の中間体を、少なくとも1種のホルミル化剤と反応させる。
【0050】
段階b)に記載されているタイプの反応は、Vilsmeier反応の名称で文献でも公知である。
【0051】
一般的には、段階a)における反応は、一般式(IV)のインドール誘導体を最初に仕込み、任意選択により溶媒の存在下にアルキル化剤を添加するようにして実施される。
【0052】
反応の第一段階a)は、一般的には10〜80℃、好ましくは20〜70℃、特に好ましくは30〜60℃の範囲の温度で実施される。
【0053】
段階a)における反応は、一般的には900〜1100hPaの圧力、好ましくは周囲圧力で実施される。「周囲圧力」とは、約925hPa〜1070hPaの範囲の空気圧を意味していると理解されたい。
【0054】
段階a)における反応は、少なくとも1種の溶媒の存在下に実施してもよい。好適な溶媒は、たとえば、一連のアルコールおよび水からのものである。段階a)における反応は、溶媒としての水の存在下に実施するのが好ましい。
【0055】
原理的には、公知のすべてのアルキル化剤、たとえば硫酸ジメチル、ヨウ化メチル、またはジアゾメタンがアルキル化剤として好適である(たとえば次の文献参照:B.K.Schwetlick,Organikum,VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften,Berlin,15th edition,1977,p.260,253,674)。硫酸ジメチルを使用するのが好ましい。
【0056】
一般的には、インドール誘導体の1moleあたり、少なくとも1moleのアルキル化剤が使用される。インドール誘導体の構造にもよるが、上記の化学量論量に関連して、より高いモル量を使用してもよい。インドール誘導体(IV)の1moleあたり、好ましくは0.9〜1.1mol、特に好ましくは1molのアルキル化剤が使用される。
【0057】
段階a)において調製された中間体は、慣用される方法、たとえば濾過によって単離することができる。段階a)において調製された中間体は、単離することなく、次の段階b)で直接反応させるのが好ましい。
【0058】
一般的には、段階b)における反応は次のような方法で実施される:反応溶液の形態にある、第一段階a)から得られたアルキル化化合物を最初に仕込み、そして任意選択により少なくとも1種の溶媒の存在下にホルミル化剤を添加し、次いで、任意選択により好適な量の好適な沈殿剤を添加することによって、そのようにして調製された式(II)のアルデヒドを沈殿させ、次いでその式(II)のアルデヒドを、慣用される方法、たとえば濾過によって単離する。
【0059】
段階b)における反応は、一般的には10〜80℃、好ましくは20〜70℃、特に好ましくは30〜60℃の範囲の温度で実施される。
【0060】
段階b)における反応は、一般的には900〜1100hPaの圧力、好ましくは周囲圧力で実施される。「周囲圧力」とは、約925hPa〜1070hPaの範囲の空気圧を意味していると理解されたい。
【0061】
段階b)における反応は、少なくとも1種の溶媒の存在下に実施してもよい。好適な溶媒は、たとえばホルムアミドである。好ましいのは、ジメチルホルムアミドおよびジエチルホルムアミドであり、ジメチルホルムアミドを使用するのが特に好ましい。ジメチルホルムアミドを使用する場合には、それを過剰に使用するのが特に好ましいが、そうすれば、ジメチルホルムアミドが、ホルミル化剤および溶媒として同時に機能する。
【0062】
段階b)において使用されるホルミル化剤は、一般的には、少なくとも1種のホルムアミドと少なくとも1種のリン酸塩化物との混合物である。
【0063】
好ましいホルムアミドは、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、およびジブチルホルムアミドである。
【0064】
好ましいリン酸塩化物は、オキシ塩化リンである。
【0065】
使用されるホルミル化剤は、特に好ましくは、ジメチルホルムアミドとオキシ塩化リンとの混合物である。
【0066】
段階1からのアルキル化化合物の1moleあたり、一般的には少なくとも1mol、好ましくは1.1〜1.5mol、特に好ましくは1.1〜1molのホルミル化剤が使用される。
【0067】
好適な沈殿剤は、たとえばアルコール、たとえばメタノールおよび/またはエタノールである。
【0068】
使用される沈殿剤は、好ましくはメタノールおよび/またはエタノール、特にはメタノールである。
【0069】
式(IV)のインドール誘導体は、当業者には公知である。それらは、自体公知の以下の2段階合成で調製することができる。すなわち、式(V):
【化6】
[式中、
R
1およびR
3は、式(I)で規定された一般的および好ましい定義を有する]
のアニリン誘導体を、ジアゾ化剤と反応させ、次いで、式(VI):
【化7】
[式中、
R
5およびR
6は、式(I)で規定された一般的および好ましい定義を有する]
のケトンを用いた閉環反応をさせる。
【0070】
そのジアゾ化反応は、一般的には、最初にアニリン誘導体を仕込み、そして0〜10℃の範囲の温度と標準圧力で水性媒体中のジアゾ化剤を添加することにより実施される。
【0071】
原理的には、各種好適なジアゾ化剤が、ジアゾ化剤として選択される。亜硝酸ナトリウム水溶液を使用するのが好ましい。
【0072】
一般的には、ジアゾ化剤は、アニリン誘導体(V)を規準にして少なくとも2moleの量で使用する。
【0073】
式(VI)のケトンを用いた閉環反応は、それ自体公知の方法で、ワンポット反応で実施され、そこでは、アニリン誘導体(V)のジアゾニウム塩を還元してヒドラゾンとし、そのヒドラゾンを一般式(VI)のケトンと、好ましくは40〜100℃の範囲の温度、好ましくは水溶液中で反応させ、次いで、式(IV)のインドール誘導体を、慣用される方法、好ましくは濾過によって単離し、洗浄する。
【0074】
式(V)のアニリン誘導体および式(VI)のケトンは公知であり、たとえばAlfa AcerまたはSigma−Aldrichから市販品として購入することができる。
【0075】
以下の実施例によって本発明を説明するが、本発明がそれらによって限定されることはなく、また実施例中の「部」は重量部であり、パーセントの値は重量パーセント(重量%)である。
【実施例】
【0076】
実施例1
本発明の式(I)の化合物の調製法
【化8】
[式中、R
1=COOCH
3;R
2=C
4H
9、R
3=H、かつR
4、R
5、およびR
6=CH
3]
160mLの無水酢酸の中に、25.9g(0.1mol)の式(II)のアルデヒド(R
1=COOCH
3;R
3=H、かつR
4、R
5およびR
6=CH
3)、および20.6g(0.1mol)のN−ブチル−6−ヒドロキシ−3−シアノ−4−メチル−2−ピリドン、および5gの塩化アンモニウムを導入した。次いで、その反応混合物を加熱して、105℃の温度とし、約6時間撹拌した。次いでその混合物を冷却して25℃とし、そして200mLのメタノールを添加し、その反応生成物を、Nutscheフィルター上で単離した。約600mLのメタノールおよび約4000mLの温度90℃の水を用い、そのフィルターケーキを洗浄した。洗浄した反応生成物を、真空乾燥キャビネット中、温度80℃、圧力200hPaで乾燥させた。
収量:38.2g(理論の85%に相当)、融点:261℃。
【0077】
実施例2〜4
本発明の式(I)の化合物の調製(式中、置換基R
1〜R
6は、表1に示す定義を有している)
【0078】
【表1】
【0079】
実施例2〜4の化合物の調製および後処理はそれぞれ、実施例1と同様にして実施したが、以下の点で異なっている。
【0080】
実施例2
90mLの酢酸および160mLの無水酢酸を最初に仕込んだ。実施例1で使用したアルデヒドに代えて、20.1g(0.1mol)の式(II)のアルデヒド(R
1およびR
3=H、ならびにR
4、R
5およびR
6=CH
3)、および4gの塩化アンモニウムも使用した。冷却して25℃としてから、170mLのメタノールを添加し、その反応生成物をNutscheフィルター上で単離し、100mLのメタノールおよび約400mLの90℃の温度の水を用い、そのフィルターケーキを洗浄した。
収量:35.2g(理論の90%に相当)、融点:254℃。
【0081】
実施例3
190mLの酢酸を最初に仕込んだ。実施例1で使用したアルデヒドに代えて、23.6g(0.1mol)の式(II)のアルデヒド(R
1=Cl;R
3=H、ならびにR
4、R
5およびR
6=CH
3)、および6gの塩化アンモニウムを使用した。冷却して25℃としてから、250mLのメタノールを添加し、その反応生成物をNutscheフィルター上で単離し、150mLのメタノールおよび約600mLの90℃の温度の水を用い、そのフィルターケーキを洗浄した。
収量:33.2g(理論の78%に相当)、融点:273℃。
【0082】
実施例4
190mLの酢酸を最初に仕込んだ。実施例1で使用したアルデヒドに代えて、21.9g(0.1mol)の式(II)のアルデヒド(R
1=H;R
3=F,ならびにR
4、R
5およびR
6=CH
3)、および2.5gの塩化アンモニウムも使用した。冷却して25℃としてから、200mLのメタノールを添加し、その反応生成物をNutscheフィルター上で単離し、150mLのメタノールおよび約600mLの90℃の温度の水を用い、そのフィルターケーキを洗浄した。
収量:33.8g(理論の86%に相当)、融点:253℃。
【0083】
前駆体の調製
実施例5
式(II)のアルデヒドの調製
【化9】
[式中、R
1=COOCH
3;R
3=H、ならびにR
4、R
5およびR
6=CH
3]
a)ジアゾ化:
139.9gのp−アミノ安息香酸を、270gの30%塩酸に導入し、外部冷却によりその混合物を冷却して0℃とした。次いで、174gの、亜硝酸ナトリウムの40%水溶液を添加した。その混合物を30分間撹拌してから、約0.5gのアミドスルホン酸を用いて過剰の亜硝酸塩を除去した。
【0084】
b)ヒドラゾンの調製および閉環:
250gの水と660gの亜硫酸水素ナトリウム(39%水溶液の形態)との混合物のpHを、80gの40%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、6.5に調節した。100gの40%水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりpHを約6.5に維持しながら、約30分かけて、段階a)で調製したジアゾ化溶液を添加した。次いで、その反応混合物を、温度40℃で約1時間撹拌した。次いで、560gの96%硫酸、それに続けて86.1gのメチルイソプロピルケトンを滴下により添加した。その反応混合物を加熱して70℃とし、約4時間撹拌した。次いでその反応混合物を、加熱して80℃としてから、さらに約4時間撹拌した。次いで、その反応混合物を冷却して25℃とし、約800gの40%水酸化ナトリウム水溶液を用いてそのpHを6.5に調節した。その反応混合物を30分間撹拌し、次いでその反応生成物を、Nutscheフィルター上で単離し、2リットルの水を用いて洗浄した。
【0085】
c)アルデヒドの調製:
段階b)からの閉環された反応生成物の湿ったプレスケーキを、1200gの水の中に導入した。次いで、約70gの40%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、そのpHを10に調節した。200gの40%水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりそのpHを約8.5に維持しながら、1時間かけて、325gの硫酸ジメチルを滴下により添加した。その反応混合物を加熱して40℃とし、約5時間撹拌した。次いで、その反応混合物を加熱して60℃としてから、さらに1時間撹拌した。次いで、その反応混合物を静置すると、それによって、1時間以内に相分離が起きた。次いで、その水相を除去した。残存している水は、減圧下、80℃、20hPaで、その有機相から除去した。次いでその有機相に、310gのジメチルホルムアミドを滴下により添加した。次いで、263gのオキシ塩化リンを、40℃で、3時間かけて添加し、その反応混合物を5時間撹拌した。次いでその混合物を冷却して20℃とし、160gのメタノールを添加した。次いで、約200gの40%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、そのpHを11に調節した。次いで、その反応混合物を60分間撹拌してから、その反応生成物をNutscheフィルター上で単離し、160gのメタノールおよび2000gの水を用いて洗浄した。洗浄した反応生成物を、真空乾燥キャビネット中、温度80℃、圧力200hPaで乾燥させた。
収量:176.3g(理論の68%に相当)。
【0086】
実施例6
式(II)のアルデヒド(R
1=Cl、R
3=H、ならびにR
4、R
5およびR
6=CH
3)の調製
【0087】
a)ジアゾ化:
ジアゾ化溶液の調製は、実施例5a)で示したようにして実施したが、ただし、p−アミノ安息香酸に代えて、268gの30%塩酸を用い、127.6gの4−クロロアニリンを使用した。
【0088】
b)ヒドラゾンの調製および閉環
ヒドラゾンの調製は、実施例5b)と同様にして実施したが、ただし実施例6a)からのジアゾ化溶液を使用した。
【0089】
c)アルデヒドの調製:
段階b)からの閉環された反応生成物の湿ったプレスケーキを、1200gの水の中に導入した。次いで、約5gの40%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、そのpHを10に調節した。90gの40%水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりそのpHを約8.5に維持しながら、1時間かけて、153gの硫酸ジメチルを滴下により添加した。その反応混合物を加熱して40℃とし、約5時間撹拌した。次いで、その反応混合物を加熱して60℃としてから、さらに1時間撹拌した。次いで、その反応混合物を静置すると、それによって、1時間以内に相分離が起きた。次いで、その水相を除去した。残存している水は、減圧下、80℃、20hPaで、その有機相から除去した。次いでその有機相に、275gのジメチルホルムアミドを滴下により添加した。次いで、116gのオキシ塩化リンを、40℃で、3時間かけて添加し、その反応混合物を5時間撹拌した。次いでその混合物を冷却して20℃とし、160gのメタノールを添加した。次いで、約180gの40%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、そのpHを11に調節した。次いで、その反応混合物を60分間撹拌してから、その反応生成物をNutscheフィルター上で単離し、160gのメタノールおよび2000gの水を用いて洗浄した。洗浄した反応生成物を、真空乾燥キャビネット中、温度80℃、圧力200hPaで乾燥させた。
収量:141.4g(理論の60%に相当)。
【0090】
実施例7
式(II)のアルデヒド(R
1=H、R
3=F、ならびにR
4、R
5およびR
6=CH
3)の調製
a)ジアゾ化:
ジアゾ化の調製は、実施例5a)に示したようにして実施したが、p−アミノ安息香酸に代えて、375gの30%塩酸を用い、155.5gの3−フルオロアニリンを使用した。
【0091】
b)ヒドラゾンの調製および閉環:
250gの水と918gの亜硫酸水素ナトリウム(39%水溶液の形態)との混合物のpHを、120gの40%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、6.5に調節した。140gの40%水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりpHを約6.5に維持しながら、約30分かけて、段階a)で調製したジアゾ化溶液を添加した。次いで、その反応混合物を、温度40℃で約1時間撹拌した。次いで、776gの96%硫酸、それから120.4gのメチルイソプロピルケトンを滴下により添加した。その反応混合物を加熱して70℃とし、約4時間撹拌した。次いでその反応混合物を、加熱して80℃としてから、さらに約4時間撹拌した。次いで、その反応混合物を冷却して25℃とし、約1150gの40%水酸化ナトリウム水溶液を用いてそのpHを6.5に調節した。その反応混合物を30分間撹拌し、次いでその反応生成物を、Nutscheフィルター上で単離し、2リットルの水を用いて洗浄した。
【0092】
c)アルデヒドの調製:
段階b)からの閉環された反応生成物の湿ったプレスケーキを、1200gの水の中に導入した。次いで、約10gの40%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、そのpHを10に調節した。120gの40%水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりそのpHを約8.5に維持しながら、1時間かけて、194gの硫酸ジメチルを滴下により添加した。その反応混合物を加熱して40℃とし、約5時間撹拌した。次いで、その反応混合物を加熱して60℃としてから、さらに1時間撹拌した。次いで、その反応混合物を静置すると、それによって、1時間以内に相分離が起きた。次いで、その水相を除去した。残存している水は、減圧下、80℃、20hPaで、その有機相から除去した。次いでその有機相に、350gのジメチルホルムアミドを滴下により添加した。次いで、147gのオキシ塩化リンを、40℃で、3時間かけて添加し、その反応混合物を5時間撹拌した。次いでその混合物を冷却して20℃とし、160gのメタノールを添加した。次いで、約200gの40%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、そのpHを11に調節した。次いで、その反応混合物を60分間撹拌してから、その反応生成物をNutscheフィルター上で単離し、160gのメタノールおよび2000gの水を用いて洗浄した。洗浄した反応生成物を、真空乾燥キャビネット中、温度80℃、圧力200hPaで乾燥させた。
収量:169.1g(理論の55%に相当)
【0093】
【表2】
【0094】
分光学的測定
UV/VIS測定の結果、ならびに実施例1〜4の本発明の化合物の吸収値および本発明ではない比較加工物のそれを、表2に示す。
【0095】
本発明の化合物および本発明ではない化合物のUV/VIS吸収スペクトルはすべて、酢酸1−メトキシ−2−プロピル(CAS No.108−65−6)溶媒の中で測定した。
【0096】
【表3】
【0097】
色濃度と高い色明度の両方を有している染料の特徴は、それらが、可視スペクトル領域で、半値で狭いピーク幅を有すると同時に、吸収極大の波長のところに高い吸光係数を有しているということである。
【0098】
本発明の化合物および本発明ではない化合物について計算された半値でのピーク幅(WHM)と、吸収極大でのモル吸光係数(εmax)を表3に示す。
【0099】
【表4】
【0100】
色濃度(colour strength)および明度(brilliance)の測定:
実施例1〜4の本発明サンプルおよび本発明ではない比較例の色濃度および明度を測定するために、それぞれのサンプルを、以下に示す手段に従って、色の測定にかけた。
【0101】
500gの2重量%の二酸化チタンを用いて着色したポリスチレンに、0.10重量%染料粉体を、密封したプラスチックバッグの中で振盪することにより混合した。その均質とした粒状の染料混合物から、射出成形機を用い、原料温度240℃、動圧20bar、成形温度60℃で、4cm×6cm×0.2cmのサンプルプレートを調製した。
【0102】
10回以上の射出サイクルの後で、色の測定のためのサンプルプレートを抜き出し、室温で少なくとも1時間静置した。
【0103】
それらのサンプルプレートについて、d/8°の分光光度計を使用して反射率の測定を行った。色濃度および残存色差(residual colour difference)は、DIN 55986に従って測定し、明度は、DIN EN ISO 11664−4に従って測定した。
【0104】
本発明化合物および本発明ではない化合物についての、色明度および色濃度の測定結果を表4に示す。
【0105】
【表5】