(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の振動マスは、一対の振動マスを備え、前記ジャイロスコープコントローラは、前記一対の振動マスの各振動マスの前記複数の電極の前記第1の電極に与えられる前記駆動信号を生成することにより、前記駆動力を与えて、前記振動マスの各々の前記3つの直交軸の前記第1の軸に沿って互いに等しくかつ逆向きの面内周期振動運動を容易にするように構成された、請求項1に記載のジャイロスコープシステム。
前記ジャイロスコープコントローラは、複数の期間の各々において前記駆動信号を介して前記第1、第2、および第3のセンサシステムの各々が沿って駆動される前記軸を交互に変化させて、前記第1、第2、および第3のセンサシステムの各々についての前記複数の期間のうちの2つにおける前記直交軸のうちの所与の1つを中心とした前記センサシステムの回転の差分計算に基づいて、前記第1、第2、および第3のセンサシステムのキャリブレーションを交互に行うように構成された、請求項8に記載のジャイロスコープシステム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、一般に、センサシステムに関し、詳細には、振動マスジャイロスコープシステムに関する。振動マスジャイロスコープシステムは、センサシステムとジャイロスコープコントローラとを含む。センサシステムは、実質的に平坦な振動マスとして構成され得る少なくとも1つの振動マスと、1組の電極とを含み得る。電極は、駆動信号をジャイロスコープコントローラから受け取り、振動マスの駆動力を3つの直交軸のうちの第1の軸に沿って与えることにより、振動マスの面内振動運動を与える第1の電極を含み得る。また、電極は、ジャイロスコープコントローラによって与えられる第1のフォースリバランス信号を受け取る第2の電極と、ジャイロスコープコントローラによって与えられる第2のフォースリバランス信号を受け取る第3の電極とを含み、振動マスのフォースリバランスを3つの直交軸のうちの第2および第3の軸の各々の向きに与え得る。この結果、ジャイロスコープコントローラは、フォースリバランス信号に基づいて(例えば、フォースリバランス信号の振幅に基づいて)ジャイロスコープシステムの第2および第3の軸を中心とした回転を求め得る。センサシステムは1つだけで、振動マスの3つの直交軸の各々の向きの駆動および/またはフォースリバランスを制御し得る。
【0008】
例として、ジャイロスコープシステムは、複数のセンサシステムを含み得る。ジャイロスコープコントローラは、駆動信号をセンサシステムの各々に与えることにより、駆動力をそれぞれの振動マスに別々の軸に沿って与え、かつセンサシステムの各々について、3つの直交軸の他の軸にフォースリバランス信号を与えるように構成され得る。この結果、ジャイロスコープコントローラは、3つの直交軸に対して加えられた別々のフォースリバランス信号に基づいて、ジャイロスコープシステムの3つの直交軸を中心とした回転を求め得る。さらに、ジャイロスコープコントローラは、センサシステムの各々に加えられる駆動信号(したがってフォースリバランス信号も)がそれぞれ沿う軸を交互に変更するように構成され得る。この結果、所与の1つのセンサシステムは、別々の期間におけるジャイロスコープシステムの3つの直交軸を中心とした回転を求めることを容易にするように構成され得る。さらに、複数のセンサシステムについて、ジャイロスコープシステムの所与の1つの軸を中心とした回転は、2つの別々の期間において差分計算されることにより、ジャイロスコープシステムのその軸を中心とした回転に対するセンサシステムのキャリブレーションを容易にし得る。
【0009】
図1は、一例である振動マスジャイロスコープシステム10を示す。振動マスジャイロスコープシステム10は、航空および航海などの、回転の正確な測定が必要とされ得る様々な用途において実装され得る。振動マスジャイロスコープシステム10は、センサシステム12およびジャイロスコープコントローラ14を含む。
【0010】
センサシステム12は、実質的に平坦な慣性マスとして構成され得る少なくとも1つの振動マス16を含む。例として、振動マス16は、対となるように配置された偶数量(例えば、4個)の振動マスとして構成される。例えば、振動マス16は、一層のシリコンとして作製され、そして略正方形状に作成されることにより、3つの直交軸に沿った面内移動を可能とし得る。
図1の例において、センサシステム12は、1組以上のX軸電極18と、1組以上のY軸電極20と、1組以上のZ軸電極22とを含む。X、Y、およびZ軸電極18、20、22の各々は、振動マス16のうちのそれぞれの1つに接続されて、振動マス16の各々がX、Y、およびZ軸電極18、20、22の各々のそれぞれの組に関連付けられるようにされ得る。
【0011】
例として、上記組のX、Y、およびZ軸電極18、20、22は、振動マス16の周辺に配置され、3つの直交軸の各々の向きに振動マス16の面内周期振動移動およびフォースリバランスを提供し得る。例えば、上記組のX、Y、およびZ軸電極18、20、22の各々は、容量結合された電極対を含み得る。これらの電極対は、振動マス16に対して静電引力を生成して、固定筐体(例えば、X、Y、およびZ軸電極18、20、22が接続される)に対して振動マス16を移動させるように構成される。本明細書において、センサシステム12の動作中の所与の時点において、X、Y、およびZ軸電極18、20、22のうちの1つは、面内周期振動移動を容易にするために振動マス16に与えられる駆動力が沿う駆動軸に対応し、X、Y、およびZ軸電極18、20、22のうちの他の2つは、ジャイロスコープシステム10のそれぞれの感知軸を中心とした回転を求めるための感知軸に対応し得る。
【0012】
ジャイロスコープコントローラ14は、X、Y、およびZ軸電極18、20、22にまとめて関連付けられ得るピックオフ信号POを受け取るように構成されて、振動マス16のフォースリバランスを与えるようにされる。また、ジャイロスコープコントローラ14は、所与の期間において上記組のX、Y、およびZ軸電極18、20、22のうちの1つに与えられる1つ以上の駆動信号DRVを生成することにより、静電気力を生成して、直交軸のうちの1つに関連付けられたそれぞれの駆動軸に沿った振動マス16の面内周期振動運動を与えるように構成され得る。例えば、駆動信号DRVは、X、Y、およびZ軸電極18、20、22が接続された対応する筐体に振動マス16を接続する1つ以上の湾曲部(flexures)に関連付けられた共振周波数に略等しい周波数を有し得る。例として、本明細書にてより詳細に説明するように、振動マス16が複数ある例において、各所与の対の振動マス16に対して、180°位相のずれた面内周期振動運動が与えられて、振動マス16の相殺運動が与えられ得る。したがって、本明細書において説明するように、センサシステム12は、振動マス16がそれぞれのX、Y、およびZ軸電極18、20、22のいずれかに加えられている駆動信号DRVに応答して3つの直交軸のいずれかに沿って駆動される際、いずれの場合も実質的に同様に駆動され得るように構成される。
【0013】
また、ジャイロスコープコントローラ14は、駆動信号DRVに対してX、Y、およびZ軸電極18、20、22の他の2つの組に対し与えられるフォースリバランス信号FRBを生成することにより、各々駆動軸に対して直交するそれぞれの感知軸に沿って静電気力を生成し、センサシステム12のそれぞれの感知軸を中心とした回転に応答して(例えば、感知ピックオフ信号POに応答して)振動マス16の感知ピックオフおよび動きをゼロにするように構成される。例えば、フォースリバランス信号FRBは、駆動信号DRVを受け取っていないX、Y、およびZ軸電極18、20、22のうちの各2つに与えられる第1のフォースリバランス信号FRB
1および第2のフォースリバランス信号FRB
2を含み得る。例として、フォースリバランス信号FRBは、駆動信号DRVの周波数に略等しい(例えば、対応する湾曲部の共振周波数に略等しい)周波数を有し得る。
【0014】
駆動信号DRVおよびフォースリバランス信号FRBは、
図1の例に信号POとして示される復調ピックオフ信号に基づく振幅で生成され得る。例として、復調感知ピックオフ信号POは、フォースリバランス信号FRBの周波数よりも著しく大きな(例えば、一桁以上)周波数を有し得る。したがって、センサシステム12の所与の軸を中心とした回転によって、駆動軸に関連付けられた面内周期振動運動に対して直交する、振動マス16のコリオリ力誘導運動が生じ得る。したがって、フォースリバランス信号FRBに応答して他2つの直交軸の向きのフォースリバランスによって生成された静電気力は、振動マス16を、それぞれの感知軸に沿ったゼロ位置に強制的に維持し得る。本明細書において、用語「ゼロ位置」は、復調ピックオフ信号に関連付けられた約ゼロ値に対応する感知軸に沿った振動マス16の位置に対応する。
【0015】
ジャイロスコープコントローラ14は、プロセッサ24と、信号生成器26と、復調器システム28を含む。信号生成器26は、X、Y、およびZ軸電極18、20、22に与えられる駆動信号DRVおよびフォースリバランス信号FRBを生成するように構成される。駆動信号DRVおよびフォースリバランス信号FRBの印加に応答して、ピックオフ信号POは、復調器システム28に与えられる。例として、ピックオフ信号POは、振動マス16の動きに応答してX、Y、およびZ軸電極18、20、22に容量結合された振幅変調ピックオフ信号に対応し得る。このように、ピックオフ信号POは、復調器システム28を介して復調され、それぞれの駆動信号DRVおよび/またはフォースリバランス信号FRBの適切な大きさを決定し、よって、それぞれ、振動マス16の面内周期振動運動を維持し、振動マス16を感知軸におけるゼロ位置に維持し得る。
【0016】
このように、プロセッサ24は、センサシステム12のそれぞれの感知軸を中心とした角回転速度を示すように、フォースリバランス信号FRBの大きさを求め得る。例として、振動マス16を感知軸のうちの所与の1つに沿ったゼロ位置に維持するために必要なフォースリバランス信号FRBの大きさ、およびしたがって静電気力は、センサシステム12の各感知軸を中心とした回転速度に対応し得る。したがって、フォースリバランス信号FRBの大きさは、センサシステム12のそれぞれの感知軸を中心とした角回転を求めるように、プロセッサ24によって実現され得る。したがって、ジャイロスコープコントローラ14は、それぞれの感知軸を中心とした回転の角速度の測定値を出力信号ROTとして与え得る。
【0017】
図2は、一例のセンサシステム50を示す。センサシステム50は、
図1の例におけるセンサシステム12に対応し得る。したがって、以下の
図2の例において
図1の例を参照する。
【0018】
センサシステム50は、デカルト座標系56および58によって示されるように、直交する2つの平面視52および54において示される。センサシステム50は、ばね湾曲部の群64を介して筐体62に接続された振動マス60を含む。なお、
図2の例は、振動マス60は、ばね湾曲部64の対を介して筐体62の内壁の各々に接続されていることを示すが、湾曲部64は、任意の構成を有し得る。湾曲部の群64は、静電気力および/またはコリオリ力に応答した、振動マス60の筐体62に対する3つの直交軸の各々の向きの動きを容易にするように構成される。さらに、また、センサシステム50は、
図2の例においてX軸電極66、Y軸電極68、およびZ軸電極70として示される複数組の電極を含む。なお、図示を簡単にするために、Z軸電極70は、第1の平面視52において見えておらず、Y軸電極は、第2の平面視54において見えていない。
【0019】
このように、
図2の例に示されるように、センサシステム50は、3つの直交軸の各々を中心として略対称であり、所与の一回に駆動信号DRVを複数組の電極66、68、および70のうちの所与の1つに与えて、その軸を駆動軸とし、その軸に沿って面内周期振動運動させ、よって、複数組の電極66、68、および70のうちの他の2つの各々は、それぞれのフォースリバランス信号を複数組の電極66、68、および70のうちの他の2つに与えたことに基づき、センサシステム50のそれぞれの感知軸を中心とした回転を求めるための感知軸に対応し得る。
【0020】
図3は、センサシステム50の動きの図示例100を示す。図示100は、センサシステム50およびセンサシステム50の関連構成要素を示す。したがって、以下の
図3の例において、同様の参照符号を用い、
図1および2を参照する。
【0021】
図示100は、センサシステム50の第1の動き102を含む。第1の動き102において、駆動信号DRVは、X軸電極66に与えられて、振動マス60のX軸に沿った(102に示す+X方向および102に示す−X方向)の面内周期振動運動を与える。例として、駆動信号DRVは、X軸電極66のうちの一方に与えられて、一位相において一方向(例えば、+X方向)に静電引力を与える単一信号を含み得、そして、ばね湾曲部の群64は、逆位相(例えば、180°)において逆方向に振動マス60の反動の動きを与える。別の例として、駆動信号DRVは、互いに対して180°位相がずれており、互いに逆の各位相において互いに逆の各X軸方向に静電引力を与える一対の駆動信号DRVを含み得る。例として、ジャイロスコープコントローラ14は、第1の動き102において駆動信号DRVをX軸電極66に与えながら、第1のフォースリバランス信号FRB
1をY軸電極68に与え、第2のフォースリバランス信号FRB
2をZ軸電極70に与えて、振動マス60をYおよびZ感知軸のそれぞれに沿ったゼロ位置に維持し得る。
【0022】
図示100は、センサシステム50の第2の動き104を含む。第2の動き104において、駆動信号DRVは、Y軸電極68に与えられて、振動マス60のY軸に沿った(104に示す+Y方向および104に示す−Y方向)の面内周期振動運動を与える。例として、駆動信号DRVは、Y軸電極68のうちの一方に与えられて、一位相において一方向(例えば、+Y方向)に静電引力を与える単一信号を含み得、そして、ばね湾曲部の群64は、逆位相(例えば、180°)において逆方向に振動マス60の反動の動きを与える。別の例として、駆動信号DRVは、互いに対して180°位相がずれており、互いに逆の各位相において互いに逆の各Y軸方向に静電引力を与える一対の駆動信号DRVを含み得る。例として、ジャイロスコープコントローラ14は、第2の動き104において駆動信号DRVをY軸電極68に与えながら、第1のフォースリバランス信号FRB
1をX軸電極66に与え、第2のフォースリバランス信号FRB
2をZ軸電極70に与えて、振動マス60をXおよびZ感知軸のそれぞれに沿ったゼロ位置に維持し得る。
【0023】
図示100は、センサシステム50の第3の動き106を含む。第3の動き106において、駆動信号DRVは、Z軸電極70に与えられて、振動マス60のZ軸に沿った(106に示す+Z方向および106に示す−Z方向)の面内周期振動運動を与える。例として、駆動信号DRVは、Z軸電極70のうちの1つに与えられて、一位相において一方向(例えば、+Z方向)に静電引力を与える単一信号を含み得、そして、ばね湾曲部の群64は、逆位相(例えば、180°)において逆方向に振動マス60の反動の動きを与える。別の例として、駆動信号DRVは、互いに対して180°位相がずれており、互いに逆の各位相において互いに逆の各Z軸方向に静電引力を与える一対の駆動信号DRVを含み得る。例として、ジャイロスコープコントローラ14は、第3の動き106において駆動信号DRVをZ軸電極70に与えながら、第1のフォースリバランス信号FRB
1をX軸電極66に与え、第2のフォースリバランス信号FRB
2をY軸電極68に与えて、振動マス60をXおよびY感知軸のそれぞれに沿ったゼロ位置に維持し得る。
【0024】
図4は、別の例のセンサシステム150を示す。センサシステム150は、
図1の例のセンサシステム12に対応し得る。したがって、以下の
図4の例において、
図1の例を参照する。
【0025】
センサシステム150は、デカルト座標系152によって示されるように、Z軸に沿った平面図において示される。センサシステム150は、筐体156にばね湾曲部の群158を介して接続された4つの振動マス154を含む。なお、
図4に示す例では、振動マス群154の各々が筐体156の各々の内壁にばね湾曲部の対158を介して接続されるが、湾曲部158は任意の構成を有し得る。湾曲部の群158は、静電気力および/またはコリオリ力に応答した、振動マス154の筐体156に対する3つの直交軸の各々の向きの動きを容易にするように構成される。例として、振動マス群154の面内周期振動運動は、各所与の振動マス群154の対について、180°位相がずれて与えられて、振動マス154の動きを相殺する。さらに、また、センサシステム150は、複数組の電極を含む(
図4の例では、複数組のX軸電極160、複数組のY軸電極162、および複数組のZ軸電極(
図4の例では見えていない)が示されている)。
【0026】
このように、
図4の例に示されるように、センサシステム150は、3つの直交軸の各々を中心として略対称であり、所与の一回に駆動信号DRVを複数組の電極160、162、およびZ軸電極のうちの所与の1つに与え、その軸を駆動軸とし、その軸に沿って面内周期振動運動させ、よって、複数組の電極160、162、およびZ軸電極のうちの他の2つの各々は、それぞれのフォースリバランス信号を複数組の電極160、162、およびZ軸電極のうちの他の2つに与えたことに基づき、センサシステム150のそれぞれの感知軸を中心とした回転を求めるための感知軸に対応し得る。
【0027】
図5は、センサシステム150の動きの図示例200を示す。図示200は、センサシステム150およびセンサシステム150の関連構成要素を示す。したがって、
図5に示す以下の例において、同様の参照符号を用い、
図1および4を参照する。
【0028】
図示200は、センサシステム150の動きを含む。この動きにおいて、駆動信号DRVは、複数組のX軸電極160に与えられて、振動マスの群154のX軸に沿った面内周期振動運動を与える。
図5の例において、振動マス154は、振動マス群154の各対について約180°位相がずれているように示されており、よって、振動マス群154の各対は、同時に+X方向および−X方向の両方へ移動している。上記と同様に、駆動信号DRVは、複数組のX軸電極160のうちの所与の1つに与えられ、一位相において一方向(例えば、+X方向)に静電引力を与える単一信号を含み得、そして、ばね湾曲部の群158は、逆位相(例えば、180°)において逆方向に振動マス154の反動の動きを与える。別の例として、駆動信号DRVは、互いに対して180°位相がずれており、互いに逆の各位相において互いに逆の各X軸方向に静電引力を与える一対の駆動信号DRVを含み得る。例として、ジャイロスコープコントローラ14は、駆動信号DRVを複数組のX軸電極160に与えながら、第1のフォースリバランス信号FRB
Yを複数組のY軸電極162に与え、第2のフォースリバランス信号FRB
Zを複数組のZ軸電極(
図4および5の例において図示せず)に与えて、振動マス154をYおよびZ感知軸のそれぞれに沿ったゼロ位置に維持し得る。
【0029】
なお、
図5の例は、振動マス群154のX軸に沿った動きのみを示すが、駆動信号DRVは、複数組のY軸電極162または複数組のZ軸電極に与えられて、
図3の例における説明と同様に、それぞれYおよびZ軸に沿った面内周期振動運動を与える。
【0030】
図1の例を再び参照する。上記のように、ジャイロスコープシステム10は、駆動信号DRVを複数組の電極18、20、および22のうちの1つに与えて、振動マス16を直交軸のうちの対応の1つに沿って駆動したことに基づいて、直交軸のうちの2つを中心とした回転速度ROTを求め、かつフォースリバランス信号FRBを電極18、20、および22のうちの他の2つの組に与えることによって、電極18、20、および22のうちの他の2つの組に関連付けられた対応の2つの直交軸を中心とした回転速度ROTを求めるように構成され得る。しかし、振動マス16は、3つの直交軸のいずれに沿っても駆動され得るように構成されているので、ジャイロスコープコントローラ14は、ジャイロスコープシステム10の動作中に駆動軸を変化させ、したがって、ジャイロスコープシステム10の感知軸を変化させるように構成され得る。この結果、所与の1つのセンサシステム12は、駆動軸を異なる期間において変化させることに応答した、異なる期間の各々において直交軸のうちの任意の2つを中心とした回転速度ROTの計算を容易にするように構成され得る。例として、駆動信号DRVを複数組の電極18、20、および22のうちの異なる1つに与えることに基づいて駆動軸を変化させることにより、それぞれ他の2つの直交軸を中心とした回転速度ROTの測定が交互に容易にされ、したがって、1つのセンサシステム12によって、異なる期間にわたり、3つの直交軸のすべてを中心とした回転速度ROTを測定することが可能となる。別の例として、本明細書においてより詳細に説明するように、複数のセンサシステム12を実装することによって、3つの直交軸のすべてを中心とした回転ROTの同時の計算が容易にされ得、そしてセンサシステム12のうちの1つ以上のキャリブレーションが可能となり得る。
【0031】
例として、ジャイロスコープシステム10は、複数の実質的に同一のセンサシステム12を含み得る。一例として、ジャイロスコープシステム10は、2つの実質的に同一のセンサシステム12を含み得る。別の例として、ジャイロスコープシステム10は、3つの実質的に同一のセンサシステム12を含み得る。例えば、センサシステム12は、実質的に共通の、すなわち同一の平面上に配置され得る。複数のセンサシステム12の一例において、駆動信号DRVは、異なるセンサシステム12の各々における、異なる組の電極18、20、および22に与えられ得る。したがって、回転速度ROTは、3つの直交軸の各々について同時に求められ得る。さらに、軸のうちの少なくとも1つを中心とした回転速度ROTが冗長に求められ得る。例えば、そのような冗長性は、直交軸のうちの所与の1つを中心としたそれぞれのセンサシステム12のキャリブレーションを容易にし得る。
【0032】
図6は、別の例のジャイロスコープシステム250を示す。ジャイロスコープシステム250は、
図1の例におけるジャイロスコープシステム10の一部に対応する。
図6の例において、ジャイロスコープシステム250は、第1のセンサシステム252と、第2のセンサシステム254とを含む。例として、センサシステム252および254の各々は、
図2の例におけるセンサシステム50または
図4の例におけるセンサシステム150と実質的に同様に構成され得る。したがって、以下の
図6の例の説明において、
図1〜5の例を参照する。
【0033】
図6の例において、第1のセンサシステム252は、X軸駆動信号DRV
X1を与えられて、振動マスのX軸に沿った面内周期振動運動を容易にすることを模式的に示している。したがって、
図6の例において、X軸は、第1のセンサシステム252についての駆動軸に対応する。また、第1のセンサシステム252は、Y軸フォースリバランス信号FRB
Y1を与えられて、振動マスのY軸の向きのフォースリバランスを容易にし、かつZ軸フォースリバランス信号FRB
Z1を与えられて、振動マスのZ軸の向きのフォースリバランスを容易にすることを模式的に示している。この結果、ジャイロスコープコントローラ14は、Y軸およびZ軸に対して振動マスに作用するコリオリ力から生じるピックオフ信号POに基づいて、第1のセンサシステム252のY軸およびZ軸を中心とした回転速度をそれぞれに求めるように構成され得る。
【0034】
同様に、第2のセンサシステム254は、Y軸駆動信号DRV
Y2を与えられて、振動マスのY軸に沿った面内周期振動運動を容易にすることを模式的に示している。したがって、
図6の例において、Y軸は、第2のセンサシステム254についての駆動軸に対応する。また、第2のセンサシステム254は、X軸フォースリバランス信号FRB
X2を与えられて、振動マスのX軸の向きのフォースリバランスを容易にし、かつZ軸フォースリバランス信号FRB
Z2を与えられて、振動マスのZ軸の向きのフォースリバランスを容易にすることを模式的に示している。この結果、ジャイロスコープコントローラ14は、X軸およびZ軸に対して振動マスに作用するコリオリ力から生じるピックオフ信号POに基づいて、第2のセンサシステム254のX軸およびZ軸を中心とした回転速度をそれぞれに求めるように構成され得る。
【0035】
例として、第1および第2のセンサシステム252および254は、それぞれ駆動信号DRV
X1およびDRV
Y2信号を同時に与えられ得、同様にそれぞれフォースリバランス信号FRB
Y1およびFRB
Z1、ならびにフォースリバランス信号FRB
X2およびFRB
Z2を同時に与えられ得る。したがって、ジャイロスコープシステム250は、第1のセンサシステム252に関連するフォースリバランス信号FRB
Y1およびFRB
Z1に基づいて、YおよびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定するように構成され得、かつ第2のセンサシステム254に関連付けられたフォースリバランス信号FRB
X2およびFRB
Z2に基づいて、XおよびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定し得る。したがって、ジャイロスコープシステム250は、2つのセンサシステム252および254だけを用いて、3つの直交軸のすべてを中心としたジャイロスコープシステム250の回転速度を同時に求めるように構成され得る。この結果、ジャイロスコープシステム250は、直交軸ごとに別々のセンサシステムを実装するジャイロスコープシステムよりも低コストかつ簡易に実現され得る。さらに、第1および第2のセンサシステム252および254は、共通の平面上に作製されることにより、ジャイロスコープシステム250は、より小型かつ平坦な構成で作製され占有空間を低減し得る。
【0036】
さらに、上記のように、ジャイロスコープコントローラ14は、異なる期間の各々においてセンサシステム252および254の各々の駆動軸を変化させて、センサシステム252および254の各々の駆動軸、およびしたがって感知軸、を変化させるように構成され得る。例として、
図6の例は、第1のセンサシステム252がX軸に沿って駆動されて、Y軸およびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定し、第2のセンサシステム254がY軸に沿って駆動されて、X軸およびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定することを示すが、ジャイロスコープコントローラ14は、それぞれの駆動軸を交互にまたは同時に変化させ得る。例えば、ジャイロスコープコントローラ14は、後の期間において、Y軸駆動信号DRV
Y1、X軸フォースリバランス信号FRB
X1、およびZ軸フォースリバランス信号FRB
Z1を第1のセンサシステム252に与え得、Z軸駆動信号DRV
Z2、X軸フォースリバランス信号FRB
X2、およびY軸フォースリバランス信号FRB
Y2を第2のセンサシステム254に与え得る。この結果、後の期間において、第1のセンサ252は、Y軸に沿って駆動されて、X軸およびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定し得、第2のセンサシステム254は、Z軸に沿って駆動され、X軸およびY軸を中心とした回転速度ROTを測定し得る。例として、ジャイロスコープコントローラ14は、フォースリバランス信号FRBに基づいて前の期間の駆動軸に沿った面内周期振動運動を停止し得、また、駆動軸を変化させた際に2つの直交軸を中心とした回転速度ROTを求める前に、振動マスがその軸に沿ってゼロとなるまで待機し得る。センサシステム252および254のうちの1つが1つの駆動軸から別の駆動軸に変化するが、センサシステム252および254のうちの他方がリアルタイムに2つの直交軸を中心とした回転速度ROTを継続して求め得る。
【0037】
図7は、別の例のジャイロスコープシステム300を示す。ジャイロスコープシステム300は、
図1の例におけるジャイロスコープシステム10の一部に対応し得る。
図7の例において、ジャイロスコープシステム300は、第1のセンサシステム302と、第2のセンサシステム304と、第3のセンサシステム306とを含む。例として、センサシステム302、304、および306の各々は、
図2の例におけるセンサシステム50または
図4の例におけるセンサシステム150と実質的に同様に構成され得る。したがって、以下の
図7の例の説明において、
図1〜5の例を参照する。
【0038】
図7の例において、第1のセンサシステム302は、X軸駆動信号DRV
X1を与えられて、振動マスのX軸に沿った面内周期振動運動を容易にすることを模式的に示している。したがって、
図7の例において、X軸は、第1のセンサシステム302についての駆動軸に対応する。また、第1のセンサシステム302は、Y軸フォースリバランス信号FRB
Y1を与えられ、振動マスのY軸の向きのフォースリバランスを容易にし、かつZ軸フォースリバランス信号FRB
Z1を与えられて、振動マスのZ軸の向きのフォースリバランスを容易にすることを模式的に示している。この結果、ジャイロスコープコントローラ14は、Y軸およびZ軸に対して振動マスに作用するコリオリ力から生じるピックオフ信号POに基づいて、第1のセンサシステム302のY軸およびZ軸を中心とした回転速度をそれぞれに求めるように構成され得る。
【0039】
同様に、第2のセンサシステム304は、Y軸駆動信号DRV
Y2を与えられて、振動マスのY軸に沿った面内周期振動運動を容易にすることを模式的に示している。したがって、
図7の例において、Y軸は、第2のセンサシステム304についての駆動軸に対応する。また、第2のセンサシステム304は、X軸フォースリバランス信号FRB
X2を与えられて、振動マスのX軸の向きのフォースリバランスを容易にし、かつZ軸フォースリバランス信号FRB
Z2を与えられて、振動マスのZ軸の向きのフォースリバランスを容易にすることを模式的に示している。この結果、ジャイロスコープコントローラ14は、X軸およびZ軸に対して振動マスに作用するコリオリ力から生じるピックオフ信号POに基づいて、第2のセンサシステム304のX軸およびZ軸を中心とした回転速度をそれぞれに求めるように構成され得る。
【0040】
同様に、第3のセンサシステム306は、Z軸駆動信号DRV
Z3を与えられて、振動マスのZ軸に沿った面内周期振動運動を容易にすることを模式的に示している。したがって、
図7の例において、Z軸は、第3のセンサシステム306についての駆動軸に対応する。また、第3のセンサシステム306は、X軸フォースリバランス信号FRB
X3を与えられて、振動マスのX軸の向きのフォースリバランスを容易にし、かつY軸フォースリバランス信号FRB
Y3を与えられて、振動マスのY軸の向きのフォースリバランスを容易にすることを模式的に示している。この結果、ジャイロスコープコントローラ14は、X軸およびY軸に対して振動マスに作用するコリオリ力から生じるピックオフ信号POに基づいて、第3のセンサシステム306のX軸およびY軸を中心とした回転速度をそれぞれに求めるように構成され得る。
【0041】
例として、センサシステム302、304、および306は、それぞれ駆動信号DRV
X1、DRV
Y2、およびDRV
Z3信号を同時に与えられ得、同様にフォースリバランス信号FRB
Y1およびFRB
Z1、フォースリバランス信号FRB
X2およびFRB
Z2、ならびにフォースリバランス信号FRB
X3およびFRB
Y3を同時に与えられ得る。したがって、ジャイロスコープシステム300は、第1のセンサシステム302に関連付けられたフォースリバランス信号FRB
Y1およびFRB
Z1に基づいて、YおよびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定するように構成され得、第2のセンサシステム304に関連付けられたフォースリバランス信号FRB
X2およびFRB
Z2に基づいて、XおよびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定し得、かつ第3のセンサシステム306に関連付けられたフォースリバランス信号FRB
X3およびFRB
Y3に基づいて、XおよびY軸を中心とした回転速度ROTを測定し得る。したがって、ジャイロスコープシステム300は、3つの直交軸のすべてを中心としたジャイロスコープシステム300の回転速度を同時に求めるように構成され得る。さらに、センサシステム302、304、および306は、共通の平面上に作製されることにより、ジャイロスコープシステム300は、小型かつ平坦な構成で作製され占有空間を低減し得る。
【0042】
さらに、上記のように、ジャイロスコープコントローラ14は、異なる期間の各々においてセンサシステム302、304、および306の各々の駆動軸を変化させて、センサシステム302、304、および306の各々の駆動軸、およびしたがって感知軸、を変化させるように構成され得る。例として、
図7の例は、第1のセンサシステム302がX軸に沿って駆動されて、Y軸およびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定し、第2のセンサシステム304がY軸に沿って駆動されて、X軸およびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定し、第3のセンサシステム306がZ軸に沿って駆動され、X軸およびY軸を中心とした回転速度ROTを測定することを示す。しかし、上記のように、ジャイロスコープコントローラ14は、それぞれの駆動軸を交互にまたは同時に変化させ得る。例えば、ジャイロスコープコントローラ14は、後の期間において、Y軸駆動信号DRV
Y1、X軸フォースリバランス信号FRB
X1、およびZ軸フォースリバランス信号FRB
Z1を第1のセンサシステム302に与え得、Z軸駆動信号DRV
Z2、X軸フォースリバランス信号FRB
X2、およびY軸フォースリバランス信号FRB
Y2を第2のセンサシステム304に与え得、X軸駆動信号DRV
X3、Y軸フォースリバランス信号FRB
Y3、およびZ軸フォースリバランス信号FRB
Z3を第3のセンサシステム306に与え得る。この結果、後の期間において、第1のセンサ302は、Y軸に沿って駆動されて、X軸およびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定し得、第2のセンサシステム304は、Z軸に沿って駆動されて、X軸およびY軸を中心とした回転速度ROTを測定し得、第3のセンサシステム306は、X軸に沿って駆動されて、Y軸およびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定し得る。したがって、本明細書にてより詳細に説明するように、センサシステム302、304、および306の1つは、ある駆動軸から別の駆動軸へ変化するが、センサシステム302、304、および306の他の2つは、合わせて、3つの直交軸を中心とした回転速度ROTをリアルタイムに継続して求め、連続動作を提供し得る。
【0043】
図8は、センサシステム352、354、および356の動きの別の図示例350を示す。図示350は、
図7の例のジャイロスコープシステム300に対応し得る。ここで、第1のセンサシステム352は、第1のセンサシステム302に対応し、第2のセンサシステム354は、第2のセンサシステム304に対応し、第3のセンサシステム356は、第3のセンサシステム306に対応する。したがって、以下の
図8の例の説明において、
図7の例を参照する。
【0044】
図示350は、第1のセンサシステム352の動きを含む。この動きにおいて、駆動信号DRVは、複数組のX軸電極358に与えられて、振動マス群360のX軸に沿った面内周期振動運動を与える。
図8の例において、振動マス群360は、各振動マス群360の対について約180°位相がずれているように示されており、よって、振動マス群360の各対360は、同時に+X方向および−X方向の両方へ移動している。上記と同様に、駆動信号DRV
X1は、複数組のX軸電極358のうちの所与の1つに与えられて、一位相において一方向(例えば、+X方向)に静電引力を与える単一信号を含み得、そして、ばね湾曲部の群362は、逆位相(例えば、180°)において逆方向に振動マス360の反動の動きを与える。別の例として、駆動信号DRV
X1は、互いに対して180°位相がずれており、互いに逆の各位相において互いに逆の各X軸方向に静電引力を与える一対の駆動信号DRV
X1を含み得る。例として、ジャイロスコープコントローラ14は、駆動信号DRV
X1を複数組のX軸電極358に与えながら、第1のフォースリバランス信号FRB
Y1を複数組のY軸電極364に与え、第2のフォースリバランス信号FRB
Z1を複数組のZ軸電極366に与えて、振動マス360をYおよびZ感知軸のそれぞれに沿ったゼロ位置に維持し得る。
【0045】
図示350は、第2のセンサシステム354の動きを含む。この動きにおいて、駆動信号DRV
Y2は、複数組のY軸電極364に与えられて、振動マス群360のY軸に沿った面内周期振動運動を与える。
図8の例において、振動マス群360は、振動マス群360の各対について約180°位相がずれているように示されており、よって、振動マス群360の各対は、同時に+Y方向および−Y方向の両方へ移動している。上記と同様に、駆動信号DRV
Y2は、複数組のY軸電極364のうちの所与の1つに与えられて、一位相において一方向(例えば、+Y方向)に静電引力を与える単一信号を含み得、そして、ばね湾曲部の群362は、逆位相(例えば、180°)において逆方向に振動マス360の反動の動きを与える。別の例として、駆動信号DRV
Y2は、互いに対して180°位相がずれており、互いに逆の各位相において互いに逆の各Y軸方向に静電引力を与える一対の駆動信号DRV
Y2を含み得る。例として、ジャイロスコープコントローラ14は、駆動信号DRV
Y2を複数組のY軸電極364に与えながら、第1のフォースリバランス信号FRB
X2を複数組のX軸電極358に与え、第2のフォースリバランス信号FRB
Z2を複数組のZ軸電極366に与えて、振動マス360をXおよびZ感知軸のそれぞれに沿ったゼロ位置に維持し得る。
【0046】
図示350は、第3のセンサシステム356の動きを含む。この動きにおいて、駆動信号DRV
Z3は、複数組のZ軸電極366に与えられて、振動マス群360のZ軸に沿った面内周期振動運動を与える。
図8の例において、振動マス群360は、振動マス群360の各対について約180°位相がずれているように示されており、よって、振動マス群360の各対は、同時に+Z方向および−Z方向の両方へ移動している。上記と同様に、駆動信号DRV
Z3は、複数組のZ軸電極366のうちの所与の1つに与えられて、一位相において一方向(例えば、+Z方向)に静電引力を与える単一信号を含み得、そして、ばね湾曲部の群362は、逆位相(例えば、180°)において逆方向に振動マス360の反動の動きを与える。別の例として、駆動信号DRV
Z3は、互いに対して180°位相がずれており、互いに逆の各位相において互いに逆の各Z軸方向に静電引力を与える一対の駆動信号DRV
Z3を含み得る。例として、ジャイロスコープコントローラ14は、駆動信号DRV
Z3を複数組のZ軸電極366に与えながら、第1のフォースリバランス信号FRB
X3を複数組のX軸電極358に与え、第2のフォースリバランス信号FRB
Y3を複数組のY軸電極364に与えて、振動マス360をXおよびY感知軸のそれぞれに沿ったゼロ位置に維持し得る。
【0047】
例として、センサシステム352、354、および356は、それぞれ駆動信号DRV
X1、DRV
Y2、およびDRV
Z3信号を同時に与えられ得、同様にフォースリバランス信号FRB
Y1およびFRB
Z1、フォースリバランス信号FRB
X2およびFRB
Z2、ならびにフォースリバランス信号FRB
X3およびFRB
Y3を同時に与えられ得る。したがって、ジャイロスコープシステム350は、第1のセンサシステム352に関連付けられたフォースリバランス信号FRB
Y1およびFRB
Z1に基づいて、YおよびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定するように構成され得、第2のセンサシステム354に関連付けられたフォースリバランス信号FRB
X2およびFRB
Z2に基づいて、XおよびZ軸を中心とした回転速度ROTを測定し得、かつ第3のセンサシステム356に関連付けられたフォースリバランス信号FRB
X3およびFRB
Y3に基づいて、XおよびY軸を中心とした回転速度ROTを測定し得る。したがって、ジャイロスコープシステム350は、3つの直交軸のすべてを中心としたジャイロスコープシステム350の回転速度を同時に求めるように構成され得る。さらに、センサシステム352、354、および356は、共通の平面上に作製されることにより、ジャイロスコープシステム350は、小型かつ平坦な構成で作製され占有空間を低減し得る。
【0048】
上記のように、冗長なセンサシステム352、354、および356を実装することによって、それぞれのセンサシステム12の直交軸のうちの所与の1つを中心とした回転速度ROTのキャリブレーションが容易にされ得る。例えば、直交軸のうちの所与の1つを中心とした回転速度ROTの計算は、直交軸のうちのその軸を中心とした回転と、対応の駆動軸に沿った振動マス360の駆動モード信号とのベクトルクロス積に基づく。ジャイロスコープコントローラ14がセンサシステム352、354、および356の所与の1つに対して異なる駆動軸間で循環する場合、ベクトルクロス積は、クロス積関数変数の切り換えに基づいて極性を変化させる。この結果、直交軸の所与の1つに対して、その直交軸を中心とした回転速度は、駆動軸がある軸から別の軸に変化した2つの異なる期間について、差分計算され、したがって互いに逆の極性で計算され得る。この結果、所与の駆動軸に対するセンサシステム352、354、および356の対応の1つに関連付けられた任意のバイアスエラーは、2つの異なる期間の回転速度ROTの計算の間で互いに等しくかつ逆向きに実質的に相殺される。この結果、以下の
図9〜17の例において説明するように、ジャイロスコープシステム350は、センサシステムの各々352、354、および356の各々について駆動軸のそれぞれの変化のサイクルにわたりキャリブレーションされ得る。
【0049】
図9〜17の各例は、「センサシステム1」、「センサシステム2」、および「センサシステム3」と称する3つのセンサシステムを示す。これらは、上記のような3つのセンサシステム(例えば、それぞれセンサシステム352、354、および356)にそれぞれ対応し得る。
図9〜17の各例は、それぞれのセンサシステムを含むジャイロスコープシステムのキャリブレーションを完了させる期間において生じ得る異なる期間に対応し得る。したがって、以下の
図9〜17の例の説明は、全体として、それぞれのジャイロスコープシステム(例えば、前記ジャイロスコープシステム350)のキャリブレーションのシーケンスに対応し得る。
図9〜17の例において、センサシステムは、それぞれの3つの直交軸によってのみ示され、本明細書にて提供するように、駆動軸が変化しているか、駆動信号DRVがそれぞれの電極に印加されているか、またはフォースリバランス信号がそれぞれの電極に印加されて、それぞれの軸を中心とした回転速度Ωが測定されているかのいずれかである。
【0050】
図9は、第1のキャリブレーション期間の図示例400を示す。第1のキャリブレーション期間において、第1のセンサシステムは、駆動軸をX軸からY軸に変化させるように示されている。ここで、そのXおよびY軸は、破線で示され、その遷移は、矢印402で示される。例として、Y軸は、直前の期間(例えば、第1のキャリブレーション期間の直前)においてX軸駆動信号DRV
X1を与えられた後に、Y軸駆動信号DRV
Y1を与えられ始め得る。さらに、例として、X軸電極は、フォースリバランス信号FRB
X1を与えられて、X軸について振動マスをゼロにし得、フォースリバランス信号FRB
Z1を与えられて、振動マスをZ軸について、直前の期間(例えば、第1のキャリブレーション期間の直前)からゼロに維持し得る。したがって、第1のセンサシステムは、第1のキャリブレーション期間において、回転速度ROTの計算の容易化を行っていない。
【0051】
また、図示400は、第2のセンサシステムの通常動作状態を示す。第1のキャリブレーション期間において、第2のセンサシステムは、Y軸駆動信号DRV
Y2を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するY軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第2のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X2およびFRB
Z2を与えられて、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。上記のように、回転速度は、駆動軸およびそれぞれの感知軸のベクトルクロス積に基づいて求められる。したがって、
図9の例において、第2のセンサシステムは、X軸を中心とした正の回転速度+Ω
X2およびZ軸を中心とした負の回転速度−Ω
Z2を与える。
【0052】
同様に、図示400は、第3のセンサシステムの通常動作状態をさらに示す。第1のキャリブレーション期間において、第3のセンサシステムは、Z軸駆動信号DRV
Z3を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するZ軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第3のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X3およびFRB
Y3を与えられて、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびY軸を中心とした回転速度Ω
Yの計算を容易にする。上記のように、回転速度は、駆動軸およびそれぞれの感知軸のベクトルクロス積に基づいて求められる。したがって、
図9の例において、第3のセンサシステムは、X軸を中心とした正の回転速度+Ω
X3およびY軸を中心とした負の回転速度−Ω
Y3を与える。
【0053】
図10は、第2のキャリブレーション期間の図示例410を示す。第2のキャリブレーション期間は、図示400における第1のセンサシステムの駆動および感知軸の完全な遷移に対して応答するなどして、
図9の例における図示400によって示された第1のキャリブレーション期間の直後に続く期間であり得る。図示410は、第1のセンサシステムの通常動作状態を示す。第1のキャリブレーション期間において駆動軸を変化させた後、第2のキャリブレーション期間において、第1のセンサシステムは、Y軸駆動信号DRV
Y1を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するY軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第1のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X1およびFRB
Z1を与えられて、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図10の例において、第1のセンサシステムは、X軸を中心とした正の回転速度+Ω
X1およびZ軸を中心とした負の回転速度−Ω
Z1を与える。
【0054】
第2のキャリブレーション期間において、第2のセンサシステムは、駆動軸をY軸からZ軸に変化させるように示されている。ここで、そのYおよびZ軸は、破線で示され、その遷移は、矢印412で示される。例として、Z軸は、第1のキャリブレーション期間においてY軸駆動信号DRV
Y2を与えられた後に、Z軸駆動信号DRV
Z2を与えられ始め得る。さらに、例として、Y軸電極は、フォースリバランス信号FRB
Y2を与えられて、Y軸について振動マスをゼロにし得、フォースリバランス信号FRB
Z2を与えられ、振動マスをZ軸について、第1のキャリブレーション期間からゼロに維持し得る。したがって、第2のセンサシステムは、第2のキャリブレーション期間において、回転速度ROTの計算の容易化を行っていない。
【0055】
図示410は、第3のセンサシステムの通常動作状態をさらに示す。第2のキャリブレーション期間において、第3のセンサシステムは、Z軸駆動信号DRV
Z3を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するZ軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第3のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X3およびFRB
Y3を与えられて、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびY軸を中心とした回転速度Ω
Yの計算を容易にする。
図10の例において、第3のセンサシステムは、X軸を中心とした負の回転速度−Ω
X3およびY軸を中心とした負の回転速度−Ω
Y3を与える。
【0056】
図11は、第3のキャリブレーション期間の図示例420を示す。第3のキャリブレーション期間は、図示410における第2のセンサシステムの駆動および感知軸の完全な遷移に対して応答するなどして、
図10の例における図示410によって示された第2のキャリブレーション期間の直後に続く期間であり得る。図示420は、第1のセンサシステムの通常動作状態を示す。第3のキャリブレーション期間において、第1のセンサシステムは、Y軸駆動信号DRV
Y1を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するY軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第1のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X1およびFRB
Z1を与えられて、そのY軸を中心とした回転速度Ω
YおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図11の例において、第1のセンサシステムは、X軸を中心とした正の回転速度+Ω
X1およびZ軸を中心とした負の回転速度−Ω
Z1を与える。
【0057】
同様に、図示420は、第2のセンサシステムの通常動作状態をさらに示す。第2のキャリブレーション期間において駆動軸を変化させた後、第3のキャリブレーション期間において、第2のセンサシステムは、Z軸駆動信号DRV
Z2を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するZ軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第2のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X2およびFRB
Y2を与えられて、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびY軸を中心とした回転速度Ω
Yの計算を容易にする。
図11の例において、第2のセンサシステムは、X軸を中心とした負の回転速度−Ω
X2およびY軸を中心とした負の回転速度−Ω
Y2を与える。
【0058】
第3のキャリブレーション期間において、第3のセンサシステムは、駆動軸をZ軸からX軸に変化させるように示されている。ここで、そのXおよびZ軸は、破線で示され、その遷移は、矢印422で示される。例として、X軸は、第2のキャリブレーション期間においてZ軸駆動信号DRV
Z3を与えられた後に、X軸駆動信号DRV
X3を与えられ始め得る。さらに、例として、Z軸電極は、フォースリバランス信号FRB
Z3を与えられて、Z軸について振動マスをゼロにし得、フォースリバランス信号FRB
Y3を与えられ、振動マスをY軸について、第2のキャリブレーション期間からゼロに維持し得る。したがって、第3のセンサシステムは、第3のキャリブレーション期間において、回転速度ROTの計算の容易化を行っていない。
【0059】
図12は、第4のキャリブレーション期間の図示例430を示す。第4のキャリブレーション期間は、図示420における第3のセンサシステムの駆動および感知軸の完全な遷移に応答するなどして、
図11の例における図示420によって示された第3のキャリブレーション期間の直後に続く期間であり得る。第4のキャリブレーション期間において、第1のセンサシステムは、駆動軸をY軸からZ軸に変化させるように示されている。ここで、そのYおよびZ軸は、破線で示され、その遷移は、矢印432で示される。例として、Z軸は、第3のキャリブレーション期間においてY軸駆動信号DRV
Y1を与えられた後に、Z軸駆動信号DRV
Z1を与えられ始め得る。さらに、例として、Y軸電極は、フォースリバランス信号FRB
Y1を与えられて、Y軸について振動マスをゼロにし得、フォースリバランス信号FRB
X1を与えられて、振動マスをX軸について、第3のキャリブレーション期間からゼロに維持し得る。したがって、第1のセンサシステムは、第4のキャリブレーション期間において、回転速度ROTの計算の容易化を行っていない。
【0060】
また、図示430は、第2のセンサシステムの通常動作状態を示す。第4のキャリブレーション期間において、第2のセンサシステムは、Z軸駆動信号DRV
Z2を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するZ軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第2のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X2およびFRB
Y2を与えられて、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびY軸を中心とした回転速度Ω
Yの計算を容易にする。
図11の例において、第2のセンサシステムは、X軸を中心とした負の回転速度−Ω
X2およびY軸を中心とした負の回転速度−Ω
Y2を与える。
【0061】
同様に、図示430は、第3のセンサシステムの通常動作状態をさらに示す。第3のキャリブレーション期間において駆動軸を変化させた後、第4のキャリブレーション期間において、第3のセンサシステムは、X軸駆動信号DRV
X3を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するX軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第3のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
Y3およびFRB
Z3を与えられて、そのY軸を中心とした回転速度Ω
YおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図12の例において、第3のセンサシステムは、Y軸を中心とした正の回転速度+Ω
Y3およびZ軸を中心とした正の回転速度+Ω
Z3を与える。
【0062】
図13は、第5のキャリブレーション期間の図示例440を示す。第4のキャリブレーション期間は、図示430における第1のセンサシステムの駆動および感知軸の完全な遷移に応答するなどして、
図12の例における図示430によって示された第4のキャリブレーション期間の直後に続く期間であり得る。図示440は、第1のセンサシステムの通常動作状態を示す。第4のキャリブレーション期間において駆動軸を変化させた後、第5のキャリブレーション期間において、第1のセンサシステムは、Z軸駆動信号DRV
Z1を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するZ軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第1のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X1およびFRB
Y1を与えられて、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびY軸を中心とした回転速度Ω
Yの計算を容易にする。
図13の例において、第1のセンサシステムは、X軸を中心とした負の回転速度−Ω
X1およびY軸を中心とした負の回転速度−Ω
Y1を与える。
【0063】
第5のキャリブレーション期間において、第2のセンサシステムは、駆動軸をZ軸からX軸に変化させるように示されている。ここで、そのXおよびZ軸は、破線で示され、その遷移は、矢印442で示される。例として、X軸は、第4のキャリブレーション期間においてZ軸駆動信号DRV
Z2を与えられた後に、X軸駆動信号DRV
X2を与えられ始め得る。さらに、例として、Z軸電極は、フォースリバランス信号FRB
Z2を与えられて、Z軸について振動マスをゼロにし得、フォースリバランス信号FRB
Y2を与えられて、振動マスをY軸について、第4のキャリブレーション期間からゼロに維持し得る。したがって、第2のセンサシステムは、第5のキャリブレーション期間において、回転速度ROTの計算の容易化を行っていない。
【0064】
図示440は、第3のセンサシステムの通常動作状態をさらに示す。第5のキャリブレーション期間において、第3のセンサシステムは、X軸駆動信号DRV
X3を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するX軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第3のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
Y3およびFRB
Z3を与えられて、それぞれのY軸を中心とした回転速度Ω
YおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図13の例において、第3のセンサシステムは、Y軸を中心とした正の回転速度+Ω
Y3およびZ軸を中心とした正の回転速度+Ω
Z3を与える。
【0065】
図14は、第6のキャリブレーション期間の図示例450を示す。第6のキャリブレーション期間は、図示440における第2のセンサシステムの駆動および感知軸の完全な遷移に応答するなどして、
図13の例における図示440によって示された第5のキャリブレーション期間の直後に続く期間であり得る。図示450は、第1のセンサシステムの通常動作状態を示す。第6のキャリブレーション期間において、第1のセンサシステムは、Z軸駆動信号DRV
Z1を与えられ、振動マスの駆動軸に対応するZ軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第1のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X1およびFRB
Y1を与えられ、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびY軸を中心とした回転速度Ω
Yの計算を容易にする。
図14の例において、第1のセンサシステムは、X軸を中心とした負の回転速度−Ω
X1およびY軸を中心とした負の回転速度−Ω
Y1を与える。
【0066】
同様に、図示450は、第2のセンサシステムの通常動作状態をさらに示す。第5のキャリブレーション期間において駆動軸を変化させた後、第6のキャリブレーション期間において、第2のセンサシステムは、X軸駆動信号DRV
X2を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するX軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第2のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
Y2およびFRB
Z2を与えられ、そのY軸を中心とした回転速度Ω
YおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図14の例において、第2のセンサシステムは、Y軸を中心とした正の回転速度+Ω
Y2およびZ軸を中心とした正の回転速度+Ω
Z2を与える。
【0067】
第6のキャリブレーション期間において、第3のセンサシステムは、駆動軸をX軸からY軸に変化させるように示されている。ここで、そのXおよびY軸は、破線で示され、その遷移は、矢印452で示される。例として、Y軸は、第5のキャリブレーション期間においてX軸駆動信号DRV
X3を与えられた後に、Y軸駆動信号DRV
Y3を与えられ始め得る。さらに、例として、X軸電極は、フォースリバランス信号FRB
X3を与えられて、X軸について振動マスをゼロにし得、フォースリバランス信号FRB
Z3を与えられ、振動マスをZ軸について、第5のキャリブレーション期間からゼロに維持し得る。したがって、第3のセンサシステムは、第6のキャリブレーション期間において、回転速度ROTの計算の容易化を行っていない。
【0068】
図15は、第7のキャリブレーション期間の図示例460を示す。第7のキャリブレーション期間は、図示450における第3のセンサシステムの駆動および感知軸の完全な遷移に応答するなどして、
図14の例における図示450によって示された第6のキャリブレーション期間の直後に続く期間であり得る。第7のキャリブレーション期間において、第1のセンサシステムは、駆動軸をZ軸からX軸に変化させるように示されている。ここで、そのXおよびZ軸は、破線で示され、その遷移は、矢印462で示される。例として、X軸は、第6のキャリブレーション期間においてZ軸駆動信号DRV
Z1を与えられた後に、X軸駆動信号DRV
X1を与えられ始め得る。さらに、例として、Z軸電極は、フォースリバランス信号FRB
Z1を与えられて、Z軸について振動マスをゼロにし得、フォースリバランス信号FRB
Y1を与えられて、振動マスをY軸について、第6のキャリブレーション期間からゼロに維持し得る。したがって、第1のセンサシステムは、第7のキャリブレーション期間において、回転速度ROTの計算の容易化を行っていない。
【0069】
また、図示460は、第2のセンサシステムの通常動作状態を示す。第7のキャリブレーション期間において、第2のセンサシステムは、X軸駆動信号DRV
X2を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するX軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第2のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
Y2およびFRB
Z2を与えられて、そのY軸を中心とした回転速度Ω
YおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図15の例において、第2のセンサシステムは、Y軸を中心とした正の回転速度+Ω
Y2およびZ軸を中心とした正の回転速度+Ω
Z2を与える。
【0070】
同様に、図示460は、第3のセンサシステムの通常動作状態をさらに示す。第6のキャリブレーション期間において駆動軸を変化させた後、第7のキャリブレーション期間において、第3のセンサシステムは、Y軸駆動信号DRV
Y3を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するY軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第3のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X3およびFRB
Z3を与えられて、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図15の例において、第3のセンサシステムは、X軸を中心とした正の回転速度+Ω
X3およびZ軸を中心とした負の回転速度−Ω
Z3を与える。
【0071】
図16は、第8のキャリブレーション期間の図示例470を示す。第8のキャリブレーション期間は、図示460における第1のセンサシステムの駆動および感知軸の完全な遷移に応答するなどして、
図15の例における図示460によって示された第7のキャリブレーション期間の直後に続く期間であり得る。図示470は、第1のセンサシステムの通常動作状態を示す。第7のキャリブレーション期間において駆動軸を変化させた後、第8のキャリブレーション期間において、第1のセンサシステムは、X軸駆動信号DRV
X1を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するX軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第1のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
Y1およびFRB
Z1を与えられて、そのY軸を中心とした回転速度Ω
YおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図16の例において、第1のセンサシステムは、Y軸を中心とした正の回転速度+Ω
Y1およびZ軸を中心とした正の回転速度+Ω
Z1を与える。
【0072】
第8のキャリブレーション期間において、第2のセンサシステムは、駆動軸をX軸からY軸に変化させるように示されている。ここで、そのXおよびY軸は、破線で示され、その遷移は、矢印472で示される。例として、Y軸は、第7のキャリブレーション期間においてX軸駆動信号DRV
X2を与えられた後に、Y軸駆動信号DRV
Y2を与えられ始め得る。さらに、例として、X軸電極は、フォースリバランス信号FRB
X2を与えられて、X軸について振動マスをゼロにし得、フォースリバランス信号FRB
Z2を与えられ、振動マスをZ軸について、第7のキャリブレーション期間からゼロに維持し得る。したがって、第2のセンサシステムは、第8のキャリブレーション期間において、回転速度ROTの計算の容易化を行っていない。
【0073】
図示470は、第3のセンサシステムの通常動作状態をさらに示す。第8のキャリブレーション期間において、第3のセンサシステムは、Y軸駆動信号DRV
Y3を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するY軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第3のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X3およびFRB
Z3を与えられて、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図16の例において、第3のセンサシステムは、X軸を中心とした正の回転速度+Ω
X3およびZ軸を中心とした負の回転速度−Ω
Z3を与える。
【0074】
図17は、第9のキャリブレーション期間の図示例480を示す。第9のキャリブレーション期間は、図示470における第2のセンサシステムの駆動および感知軸の完全な遷移に応答するなどして、
図16の例における図示480によって示された第8のキャリブレーション期間の直後に続く期間であり得る。図示480は、第1のセンサシステムの通常動作状態を示す。第9のキャリブレーション期間において、第1のセンサシステムは、X軸駆動信号DRV
X1を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するX軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第1のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
Y1およびFRB
Z1を与えられて、そのY軸を中心とした回転速度Ω
YおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図17の例において、第1のセンサシステムは、Y軸を中心とした正の回転速度+Ω
Y1およびZ軸を中心とした正の回転速度+Ω
Z1を与える。
【0075】
同様に、図示480は、第2のセンサシステムの通常動作状態をさらに示す。第8のキャリブレーション期間において駆動軸を変化させた後、第9のキャリブレーション期間において、第2のセンサシステムは、Y軸駆動信号DRV
Y2を与えられて、振動マスの駆動軸に対応するY軸に沿った面内周期振動運動を与える。さらに、第2のセンサシステムは、フォースリバランス信号FRB
X2およびFRB
Z2を与えられて、そのX軸を中心とした回転速度Ω
XおよびZ軸を中心とした回転速度Ω
Zの計算を容易にする。
図17の例において、第2のセンサシステムは、X軸を中心とした正の回転速度+Ω
X2およびZ軸を中心とした負の回転速度−Ω
Z2を与える。
【0076】
第9のキャリブレーション期間において、第3のセンサシステムは、駆動軸をY軸からZ軸に変化させるように示されている。ここで、そのYおよびZ軸は、破線で示され、その遷移は、矢印482で示される。例として、Z軸は、第8のキャリブレーション期間においてY軸駆動信号DRV
Y3を与えられた後に、Z軸駆動信号DRV
Z3を与えられ始め得る。さらに、例として、Y軸電極は、フォースリバランス信号FRB
Y3を与えられて、Y軸について振動マスをゼロにし得、フォースリバランス信号FRB
X3を与えられ、振動マスをX軸について、第8のキャリブレーション期間からゼロに維持し得る。したがって、第3のセンサシステムは、第9のキャリブレーション期間において、回転速度ROTの計算の容易化を行っていない。
【0077】
図9〜17の例のセンサシステムを含む対応するジャイロスコープシステムは、このように、9つのキャリブレーション期間を連続して循環しており、所与の期間において、3つのセンサシステムのうちの1つは駆動軸を変化しているようにされ得る。例として、また、ジャイロスコープシステムは、通常動作モードを含み得る。通常動作モードにおいて、3つのセンサシステムの各々は、駆動軸に沿って駆動信号DRVを与えられる別々の直交軸を有する。センサシステムのうちの所与の1つに対する、駆動軸における回転および上記軸のうちの所与の1つを中心とした回転速度のそれぞれの差分測定に基づいて、ジャイロスコープコントローラ14は、また、センサシステムのキャリブレーションを行うように構成され得る。例として、プロセッサ24は、回転速度の差分測定に基づいてバイアスエラーを特定するように構成され得、回転速度の計算からのバイアスエラーをリアルタイムに実質的に相殺し得る。
【0078】
例として、
図10および11の例において、第1のセンサシステムは、Z軸を中心とした負の回転速度−Ω
Z1を与える。
図16および17の例において、第1のセンサシステムは、Z軸を中心とした正の回転速度+Ω
Z1を与える。同様に、
図10および11の例において、第1のセンサシステムは、X軸を中心とした正の回転速度+Ω
X1を与える。
図13および14において、第1のセンサシステムは、X軸を中心とした負の回転速度−Ω
X1を与える。同様に、
図13および14において、第1のセンサシステムは、Y軸を中心とした負の回転速度−Ω
Y1を与える。
図16および17の例において、第1のセンサシステムは、Y軸を中心とした正の回転速度+Ω
Y1を与える。したがって、第1のセンサシステムは、異なる期間の各々において、3つの直交軸の各々の正および負の回転速度Ωの計算を与えるように構成される。上記のように、所与の駆動軸に対するセンサシステム(例えば、センサシステム352、354、および356)のうちの1つに関連付けられたバイアスエラーはいずれも、2つの異なる期間の回転速度ROTの計算の間で互いに等しくかつ逆向きに実質的に相殺される。この結果、ジャイロスコープコントローラ14は、正および負の回転速度によって与えられる差分測定に基づいて、キャリブレーション期間にわたり第1のセンサシステムによって与えられる回転速度Ω
X1、Ω
Y1、およびΩ
Z1の各々の測定のキャリブレーションを行うように構成され得る。言い換えると、バイアスエラーは、ジャイロスコープコントローラ14により差分測定に基づいて特定され得るので、バイアスエラーは、所与の時点でセンサシステムの回転速度の所与の計算において相殺され得る。
【0079】
同様に、第2および第3のセンサシステムは、9つのキャリブレーション期間にわたって同様にキャリブレーションされ得る。特に、第2のセンサシステムは、
図9および17の例において計算された回転速度+Ω
X2に対する
図11および12の例において計算された回転速度−Ω
X2に基づいて、X軸を中心とした回転速度についてキャリブレーションされ得る。また、第2のセンサシステムは、
図14および15の例において計算された回転速度+Ω
Y2に対する
図11および12の例において計算された回転速度−Ω
Y2に基づいて、Y軸を中心とした回転速度についてキャリブレーションされ得る。また、第2のセンサシステムは、
図14および15の例において計算された回転速度+Ω
Z2に対する
図9および17の例において計算された回転速度−Ω
Z2に基づいて、Z軸を中心とした回転速度についてキャリブレーションされ得る。同様に、第3のセンサシステムは、
図15および16の例において計算された回転速度+Ω
X3に対する
図9および10の例において計算された回転速度−Ω
X3に基づいて、X軸を中心とした回転速度についてキャリブレーションされ得る。また、第3のセンサシステムは、
図12および13の例において計算された回転速度+Ω
Y3に対する
図9および10の例において計算された回転速度−Ω
Y3に基づいて、Y軸を中心とした回転速度についてキャリブレーションされ得る。また、第3のセンサシステムは、
図12および13の例において計算された回転速度+Ω
Z3に対する
図15および16の例において計算された回転速度−Ω
Z3に基づいて、Z軸を中心とした回転速度についてキャリブレーションされ得る。したがって、ジャイロスコープシステム10は、ジャイロスコープシステム10の3つの直交軸のすべてを中心とした回転速度を求めるためのジャイロスコープシステム10の通常動作を中断することなく、実質的に連続してキャリブレーションされ得る。
【0080】
上記の構造的および機能的な特徴を鑑みれば、本発明の種々の局面における方法は、
図18を参照することによってより良く理解される。なお、説明を簡単にするために
図18の方法は、逐次的に実行されるように図示および説明されるが、本発明は、例示の順序に限定されない。本明細書の図示および説明とは別に、本発明にしたがい、いくつかの局面は、異なる順序で実行され得、および/または他の局面と同時に実行され得る。さらに、本発明のある局面の方法を実現するために、すべての例示の特徴を必ずしも必要としない。
【0081】
図18は、3つの直交軸の各々を中心とした回転を、ジャイロスコープシステム(例えば、前記ジャイロスコープシステム10)を介して測定する一例の方法500を示す。ステップ502において、第1の期間(例えば、図示400の第1のキャリブレーション期間)において、駆動信号(例えば、駆動信号DRV)が第1の電極(例えば、複数組の電極18、20、22のうちの1つ)に与えられて、駆動力を振動マス(例えば、振動マス16)に3つの直交軸のうちの第1の軸に沿って与える。ステップ504において、第1の期間において、第1のフォースリバランス信号(例えば、フォースリバランス信号FRB)が第2の電極(例えば、複数組の電極18、20、22のうちの別の1つ)に与えられて、第1のフォースリバランスを振動マスに3つの直交軸うちの第2の軸の向きに与え、第1のフォースリバランス信号に基づいて、ジャイロスコープシステムの第2の軸を中心とした回転を求める。ステップ506において、第1の期間において、第2のフォースリバランス信号が第3の電極(例えば、複数組の電極18、20、22のうちの別の1つ)に与えられて、第2のフォースリバランスを振動マスに3つの直交軸のうちの第3の軸に与え、第2のフォースリバランス信号に基づいて、ジャイロスコープシステムの第3の軸を中心とした回転を求める。ステップ508において、第2の期間(例えば、図示410の第2のキャリブレーション期間)において、駆動信号が第2の電極に与えられて、駆動力を振動マスに第2の軸に沿って与える。ステップ510において、第2の期間において、第1のフォースリバランス信号が第1の電極に与えられ、第1のフォースリバランスを振動マスに第1の軸の向きに与え、第1のフォースリバランス信号に基づいて第1の軸を中心としたジャイロスコープシステムの回転を求める。
【0082】
上記は、本発明の例である。本発明を説明する目的において構成要素や方法の考えられ得るすべての組み合わせを説明することは当然ながらできないが、当業者には、本発明の多くのさらなる組み合わせや並び替えがあり得ることが理解される。したがって、本発明には、添付の特許請求の範囲を含む、本願の範囲に含まれるすべてのそのような変更、改良、および変例が含まれることが意図される。さらに、本明細書や特許請求の範囲に記載の要素(「1つの要素」、「ある要素」、「第1の要素」、「別の要素」、それらに均等なものなど)は、そのような要素が1つ以上含まれると解釈され、そのような要素が2つ以上であることを必須としないし、また排除もしない。本明細書において、用語「含む」は、含むことを意味するが、それに限定されない。用語「基づく」は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。