(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。
【0010】
以下に説明する実施形態は、物流事業の事故要因の推定において、人の心理や精神に影響する要因を、要因探索の対象に含める。以下の説明において、物流における事故は、作業不良を含む。物流業者は、事故発生時にその要因を詳細に推定し、クライアントに報告することでクライアントの信頼を得て、契約を更新してもらう、あるいは潜在クライアントに対する提案時に高度な管理をアピールして、新たな発注を受ける、ことを望む。
【0011】
しかし工場の生産ラインとは異なり、物流の作業は複雑であり、また、作業者が置かれている環境や条件が、作業者の心理や精神に影響を与え、それが事故発生に繋がる。従って、物流における事故要因を詳細に推定することは、困難であった。以下に説明する本実施例の事故要因の推定は、ある工程のある作業で事故が発生した(事故が発生した工程及び作業が同定されている)、あるいは検品などで事故が発見され、事故が発生した工程及び作業が不明であるシーンを想定する。
【0012】
米国安全運輸委員会は、事故要因の四つのカテゴリ(4M)を定義している。
・人的要因(Man)
心理的要因:怠け、プレッシャ、考え事をしているなど
生理的要因:疲労、年齢、病気、睡眠不足など
職場的要因:コミュニケーション不足など
・機械要因(Machine)故障など
・環境要因(Media)作業動作や方法の不良、作業環境や空間の不良など
・管理要因(Management)マニュアル不備、教育不足、配置不備など
【0013】
本実施形態は、作業者が心理的影響を受ける心理的要因において、特に、
・注意力低下要因
に注目する。さらに、本実施例は、注意力低下要因に、
・生理的要因
・作業環境要因
・管理不備要因
を加えた、四種類の要因において、事故要因を推定する。
【0014】
職場的要因は計測困難であるため、本実施例の対象から外される。機械要因は、事故要因が明確に特定できる可能性が高いため、公知の要因推定方法(例えば、特開平10−326816)を利用できる。
【0015】
注意力低下要因は、事故要因としての注意力の低下を意味する。注意力低下を直接に観測することはできないため、以下に開示の例は、注意力低下を引き起こし得る事項を、潜在的な注意力低下要因に含める。この点は、他の人的要因について同様である。
【0016】
注意力低下要因の推定において使用される評価パラメータ(潜在的注意力低下要因)は、以下の例を含む。作業量が多すぎるとき、作業者のモチベーションは低下し、注意力が低下する。一方、作業量が通常より少なすぎるとき、作業者は安心して、その注意力は低下する。従って、本実施例は、作業量/人時を、評価パラメータとして使用する。
【0017】
作業が面倒であるとき、作業者のモチベーションは低下する。多くの場合、ピッキングのリストは1行=1商品で作成されるため、少量のピース数の多くの商品をピッキングしなくてはならないときには作業の煩雑さが高い。この場合、モチベーションが下がり、注意力が低下する。従って、本実施例は、ピース/行を、評価パラメータとして使用する。
【0018】
梱包作業で1箱に多くのピース数を詰めなくてはならないとき、作業の煩雑さが高いため、モチベーションが下がり、注意力が低下する。従って、本実施例は、ピース/箱を、評価パラメータとして使用する。商品が扱いにくいとき、作業の煩雑さが高いため、モチベーションが下がり、注意力が低下する。従って、本実施例は、商品の扱いにくさの指標である商品容積を、評価パラメータとして使用する。
【0019】
生理的要因の推定において考慮される評価パラメータは、以下の例を含む。作業時間が長いときモチベーションが下がるため、本実施例は、作業累積時間/日を評価パラメータとして使用する。作業時刻が通常と比べて遅過ぎるときや早過ぎるとき、モチベーションが下がるため、本実施例は、作業時刻を評価パラメータとして使用する。一般に、高齢により集中力の持続時間が短くなるため、本実施例は、作業者の年齢を評価パラメータとして使用する。
【0020】
作業環境要因の推定において使用される評価パラメータは、以下の例を含む。寒い又は暑いときモチベーションが下がるため、本実施例は、作業エリア温度、気温、天気を評価パラメータとして使用する。棚の高い場所又は低い場所に保管されている商品が通常より多く出荷される場合、補充やピッキングがしにくく、モチベーションが低下する。従って、本実施例は、一日の出荷頻度、棚番号、間口高さを、評価パラメータとして使用する。
【0021】
商品容積に対して狭い間口が割り当てられており、その商品が通常より多く出荷される場合、補充やピッキングがしにくくモチベーションが低下する。従って、本実施例は、間口容積/商品容積を評価パラメータとして使用する。ピッキング時に渋滞が発生する頻度が高いと、商品を取得してくる際にはモチベーションが低下する。従って、本実施例は、作業エリア面積/作業人数を評価パラメータとして使用する。多くの倉庫では周期性をもって物量が変化し、作業が難しい曜日と容易な曜日の印象が、作業者の頭の中に形成される。従って、本実施例は、曜日を評価パラメータとして使用する。
【0022】
管理不備要因の推定において使用される評価パラメータは、以下の例を含む。作業者の教育や能力が不足し、その作業に不安があるとき、その作業者は事故を起こしやすい。従って、本実施例は、作業者の新人教育時間/人日、作業者名を、評価パラメータとして使用する。
【0023】
新人教育時間は、作業日の新人の作業者に対する教育時間を示す。例えば、初めてその作業を担当する作業員に対して、作業日に教育が行われる。発生した事故の原因が、担当作業の朝の教育時間不足にある可能性が抽出される。なお、既に教育を受けた作業員の新人教育時間/人日は、0に設定される。
【0024】
新人は作業に慣れておらずその不安があるため、本実施例は、作業者勤務期間を評価パラメータに含める。作業に慣れていない新人や派遣社員が多いとき、事故が起きやすいため、本実施例は、新人率や派遣率を、評価パラメータとして使用する。新人率及び派遣率は、例えば、工程及び作業の組毎に計算される。新人の定義は設計に依存する。
【0025】
図1は、物流倉庫のための事故要因推定システム201のハードウェア構成例を示す。事故要因推定システム201は、例えば、コンピュータを使用して構成できる。
図1に示すように、事故要因推定システム201は、CPU2011、主記憶装置2012、補助記憶装置2013、記憶媒体202、記憶媒体読取装置203、入力装置204、出力装置205、インタフェース(I/F)206を含む。主記憶装置2012、補助記憶装置2013、及びこれらの組み合わせは、それぞれ、記憶装置である。
【0026】
CPU2011は、事故要因推定システム201を制御し、主記憶装置2012に格納されたプログラム2015を実行することにより各種機能部として動作して、各種機能を実現する。記憶媒体読取装置203は、記憶媒体202に記録されているプログラムやデータを読み取るための装置である。読み取られたプログラムやデータは主記憶装置2012に格納される。
【0027】
例えば主記憶装置2012に記憶されているプログラム2015は、記憶媒体読取装置203を用いて記憶媒体202から読み取られ、主記憶装置2012に格納される。記憶媒体202としては、例えばCD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、半導体主記憶装置、磁気テープ等を用いることができる。記憶媒体読取装置203は、事故要因推定システム201に内蔵されてもよく、外付されてもよい。
【0028】
入力装置204は、オペレータによる事故要因推定システム201へのデータの入力のために用いられる。入力装置204としては、例えばキーボードやマウス、マイク、センサ等が用いられる。出力装置205は情報を外部に出力するための装置である。出力装置205としては、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカ等が用いられる。
【0029】
事故要因推定システム201は、I/F206及びネットワークを介して、他の業務システムと通信する。他の業務システムは、例えば、WMS(Warehouse Management System)211、勤怠システム、ERP(Enterprise Resource Planning)212等である。
図1は、WMS211及びERP212を例として示す。
【0030】
図2は、事故要因推定システム201のソフトウェア構成例を示す。補助記憶装置2013は、事故関連情報格納データベース3011、事故関連情報格納マスタ3012、事故要因・施策格納データベース3013を格納する。主記憶装置2012は、事故関連情報学習プログラム3014、事故要因抽出プログラム3015、事故頻度警告プログラム3016、事故要因報告プログラム3017を格納する。これらプログラムは、例えば、補助記憶装置2013又は記憶媒体202から主記憶装置2012にロードされ、CPU2011によって実行される。データは、入力装置204を介してコンピュータに入力される。
【0031】
図3は、本実施例の事故要因推定システム201の、基本処理フローを示している。ステップ101において、事故要因推定システム201は、ユーザから、入力装置204を介して、事故を特定するための情報を受け付ける。事故が発生した工程及び作業が明確な場合、事故要因推定システム201は、例えば、事故が発生した工程及び作業の組、並びに、伝票番号を受け付ける。
【0032】
事故が発生した工程及び作業が不明の場合、事故要因推定システム201は、ユーザから、事故が発見された工程及び作業、工程及び作業不明フラグの値、及び伝票番号を受け付ける。工程及び作業不明フラグは、事故が発生した工程及び作業が、明確であるか又は不明確であるかを示す。この場合、当該フラグは、事故が発生した工程及び作業が不明であることを示す値を有する。
【0033】
事故要因推定システム201は、受け付けた情報を、事故関連情報格納データベース3011に格納する。加えて、事故要因推定システム201は、ユーザから、事故要因の探索期間を受け付け、主記憶装置2012に格納する。
【0034】
図4は、事故関連情報格納データベース3011が格納する事故関連情報格納データテーブル401を示す。一つのレコードは、一つの注文のための業務において発生した一つの事故を示す。事故関連情報格納データテーブル401は、事故要因となり得る事故関連項目(評価パラメータ)それぞれの値を格納する。
【0035】
事故関連情報格納データテーブル401は、伝票番号、事故番号、事故発生日、事故発生会社、顧客名、工程、作業、工程及び作業不明フラグ、ロット番号、事故の発生場所、届先名、届先コード、の情報を格納する。
【0036】
事故関連情報格納データテーブル401は、さらに、生理的要因となり得る事故関連項目として、作業(事故発見)時刻、作業累積時間/日、年齢、の情報を格納する。事故関連情報格納データテーブル401は、さらに、管理不備要因となり得る事故関連項目として、作業者名、作業者勤務期間、新人教育時間/人日、派遣率、新人率、の情報を格納する。
【0037】
事故関連情報格納データテーブル401は、さらに、作業環境要因となり得る事故関連項目として、曜日、気温、作業エリア温度、天気、作業エリア面積/作業人数、商品の出荷頻度/日、棚番号(棚位置)、間口高さ、間口容積/商品容積、の情報を格納する。
【0038】
事故関連情報格納データテーブル401は、さらに、注意力低下要因となり得る事故関連項目として、商品名、商品コード及び商品容積の情報、並びに、作業部署(全体)別及び個人別に、行/人時、ケース/人時、ピース/人時、箱/人時、行/人日、ケース/人日、ピース/人日、箱/人日、ピース/行時、ピース/箱時、ピース/行日、及びピース/箱日、の情報を格納する。ここで、作業部署は、倉庫の組織(例えば営業所)において、例えばクライアント毎に割り当てられる、内部組織である。
【0039】
ステップ101は、事故関連情報格納データテーブル401のレコードにおいて、ユーザから受信した情報と、事故番号とを格納する。事故番号4011は、例えば、年月日及び番号の組み合わせを示し、事故要因推定システム201により生成される。工程4012は、物流業務の工程を示し、例えば、入荷、保管、補充、出荷、積込、配送等、予め定められた工程から選択された一つ、又は全工程を、数字によって示す。以下に説明する例において、全工程は、「0」によって示される。
【0040】
作業4013は、各工程に予め関連付けられた作業から選択された、一つの作業を数字で示す。出荷工程における作業の例は、ピッキング、検品、梱包である。一つの工程内の全作業は、「00」によって示される。工程及び作業不明フラグ4014は、事故が発生した工程及び作業が明確である場合に0を示し、事故発見時に事故が発生した工程及び作業が不明な場合に1を示す。
【0041】
図3に戻って、ステップ102において、事故要因推定システム201は、事故関連情報格納マスタ3012を参照し、ユーザに指定された事故について、事故関連情報格納マスタ3012が示す情報を、他の業務システムから取得し、事故関連情報格納データベース3011に格納する。
【0042】
事故要因推定システム201は、ユーザに指定された伝票番号をキーとして、学習済みの、注意力低下情報、生理的情報、作業環境情報、及び管理不備情報を他の業務システムから取得する。他の業務システムの例は、WMS、勤怠システム、ERPシステム、などである。これにより、ユーザの作業を要することなく必要な情報が収集できる。
【0043】
図5A及び
図5Bは、事故関連情報格納マスタ3012に格納されている、事故関連情報格納マスタテーブル501の例を示す。事故関連情報格納マスタテーブル501は、事故関連情報格納データテーブル401に格納すべき事故関連項目を示す。さらに、事故関連情報格納マスタテーブル501は、事故関連情報格納データテーブル401の各事故関連項目に対して、属性の値を定義する。事故関連情報格納マスタテーブル501が示す情報に従って事故要因の探索を行うことで、事故関連項目に応じて適切な推定を行うことができる。
【0044】
情報番号5011は、各事故関連項目を同定する番号を示す。要因種別5012は、各事故関連項目の要因の種別、具体的には、注意力低下要因、生理的要因、作業環境要因、管理不備要因の一つを示す。例えば、生理的要因の値が1、管理不備要因の値が2、作業環境要因の値が3、注意力低下要因の値が4である。
【0045】
工程5013は、事故関連項目に関連する工程を示す。「0」は全行程を示す。作業5014と、事故関連項目に関連する作業を示す。「00」は一つの工程内の全作業を示す。離散/連続フラグ5015は、事故関連項目の値が、離散値であるか、連続値であるかを示す。例えば、「1」は離散値を示し、「2」は連続値を示す。離散値の事故関連項目は名義尺度であり、連続値の事故関連項目は比例尺度である。
【0046】
閾値符号5016は、連続値の事故関連項目について、事故要因の抽出で使用する閾値の符号(+又は−)を示す。閾値符号は、情報の評価方向性を示す。比較対象5017は、事故要因抽出で使用する比較対象を示す。
【0047】
AND5018は、他の事故関連項目とAND条件で事故要因となる場合、当該他の事故関連項目(の情報番号)を示す。OR5019は、複数の他の事故関連項目とAND条件で事故要因となる場合に、ORの条件を満たす他の事故関連項目(の情報番号)を示す。
図5A及び5Bにおいて、(17AND19)OR(17AND20)OR(17AND23)が、事故要因となる条件を示す。
【0048】
事故関連情報格納マスタテーブル501を生成又は更新するための学習処理を説明する。
図6は、注意力低下情報、生理的情報、作業環境情報、管理不備情報の学習処理のフローチャートを示す。事故関連情報学習プログラム3014は、
図6のフローチャートに従って、WMS、勤怠システム、ERPシステムなどの業務システムから情報を取得し、事故関連情報を学習する。
【0049】
ステップ601で、事故関連情報学習プログラム3014は、特定期間の事故群に対し、伝票番号をキーに、物量、請求、作業、勤怠、環境情報などを、WMS、勤怠システム、ERPシステムなどの業務システムから取得する。取得される情報は、
図4及び5に示す事故関連項目を含む。
【0050】
または、ステップ602で、事故関連情報学習プログラム3014は、ユーザから追加の事故関連情報を受け付ける。事故関連情報の取得期間は、例えば、倉庫が顧客に事故実績を報告する1年間である。
【0051】
次に、ステップ603で、事故関連情報学習プログラム3014は、ステップ601又は602において取得した、物量、請求、作業、勤怠、環境情報を探索し、離散値の項目であって、規定数(1又はより多く)より多い事故発生日に共通の値を有する項目を、事故関連項目(事故関連情報)として抽出する。
【0052】
ステップ604で、事故関連情報学習プログラム3014は、ステップ601、602において取得した物量、請求、作業、勤怠、環境情報を探索し、連続値の項目であって、取得期間の事故発生日(0、1)と、項目値のとの相関値が、規定範囲(例えば+0.5以上又は−0.5以下)の項目を、事故関連項目(事故関連情報)として抽出する。
【0053】
ステップ605で、事故関連情報学習プログラム3014は、抽出された項目に対して、情報番号5011、要因種別5012、工程5013、作業5014、離散/連続フラグ5015、閾値符号5016、比較5017、AND5018、そしてOR5019の値を、ユーザから受け付け、事故関連情報格納マスタテーブル501に登録する。
【0054】
以上のように、事故に対して規定値以上の相関を示すと判定された事故関連項目を事故関連情報格納マスタテーブル501に登録することで、より適切な事故要因の探索及び推定を行うことができる。
【0055】
図3に戻って、ステップ103において、事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納データテーブル401から選択した対象事故と、ユーザに指定された探索期間内で発生した規定数より多い他の事故との間において、値が共通の離散値の事故項目を、対象事故の事故要因として抽出する。規定数は0以上の自然数であり、探索期間は、例えば、事故関連情報格納データテーブル401の一部又は全部の期間である。関連情報格納データテーブル401は、過去の注文の業務履歴情報である。
【0056】
離散値の事故関連項目から事故要因を抽出する、事故要因抽出プログラム3015の処理フローを、
図7を参照して詳細に説明する。
図7は、一つの対象事故の事故関連情報において、離散値の事故関連項目から、事故要因を抽出する処理のフローチャートを示す。
【0057】
ステップ701で、事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納データテーブル401において、対象事故のレコードが示す、工程及び作業を選択する。レコードは、事故が発見された又は事故が発生した工程及び作業を示す。
【0058】
事故要因抽出プログラム3015は、さらに、対象事故のレコードから、対象事故のレコードにおいて、離散値の最初の事故関連項目を選択する。事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納マスタテーブル501の離散/連続フラグ5015を参照することで、離散値の事故関連項目を特定できる。
【0059】
ステップ702で、事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照して、選択した事故関連項目が関連する工程及び作業を特定する。事故要因抽出プログラム3015は、関連する工程及び作業の他の事故を、探索期間内の事故から選択する。選択される事故は、例えば、未選択の事故であって最も古い事故である。関連する工程及び作業の他の事故を選択することで、事故関連項目毎に適切な探索を行うことができる。
【0060】
例えば、関連する工程及び作業が、特定の工程及び作業である場合、選択される他の事故の工程及び作業は、当該特定の工程及び作業と一致する。関連する工程及び作業が、全工程(0)及び全作業(00)を示す場合、選択される他の事故の工程及び作業は、任意である。関連する工程が特定の工程であり、関連する作業が全作業(0)である場合、選択される他の事故の工程は上記特定の工程と一致し、作業は任意である。
【0061】
事故要因抽出プログラム3015は、対象事故の選択した事故関連項目の離散値と、選択した他の事故の同事故関連項目の離散値とを比較する。二つの値が一致する場合、事故要因抽出プログラム3015は、一致数(を示す変数)をインクリメントする。
【0062】
ステップ703で、事故要因抽出プログラム3015は、対象事故と、探索期間内の他の全ての他の事故と比較したか判定する。事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納データテーブル401の事故発生日と、探索期間と、から、今回の比較対象の事故が探索期間内の最後の比較すべき事故であるか判定できる。
【0063】
未選択の事故が存在する場合(ステップ703:NO)、事故要因抽出プログラム3015は、ステップ704で次の事故を選択して、ステップ702に戻る。全ての選択すべき事故を選択済みの場合(ステップ703:YES)、事故要因抽出プログラム3015は、ステップ705で、事故関連情報格納データテーブル401の離散値の全事故関連項目について比較したか判定する。事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納データテーブル401における注意力低下要因については、全体及び個人を異なる事故関連項目と見なす。
【0064】
未選択の事故関連項目が残っている場合(ステップ705:NO)、ステップ706で、事故要因抽出プログラム3015は、次の離散値の事故関連項目を選択し、その後、ステップ702に戻る。
【0065】
離散値の全事故関連項目について比較済みである場合(ステップ705:YES)、ステップ707で、事故要因抽出プログラム3015は、対象事故の工程及び作業不明フラグを参照して、事故が発生した工程及び作業が不明であるか判定する。工程及び作業不明フラグが「0」である場合、対象事故が発生した工程及び作業は、特定されている。工程及び作業不明フラグが「1」であれば、事故が発生した工程及び作業が不明である。
【0066】
工程及び作業不明フラグが「1」である場合(ステップ707:NO)、ステップ708で、事故要因抽出プログラム3015は、現在の工程及び作業が、物流業務における最初の工程及び作業であるか判定する。なお、工程の順序及び各工程における作業順序は予め定義されている。
【0067】
現在の工程及び作業が、最初の工程及び作業でなければ(ステップ708:NO)、ステップ709で、事故要因抽出プログラム3015は、直前の工程及び作業を選択する。さらに、事故要因抽出プログラム3015は、伝票番号をキーとして使用して、新たに選択した工程及び作業における、注意力低下情報、生理的情報、作業環境情報、管理不備情報を、他の業務システム又はユーザから取得する。その後、事故要因抽出プログラム3015は、ステップ702に戻る。
【0068】
工程及び作業不明フラグが「0」である場合(ステップ707:YES)、又は、現在の工程及び作業が、最初の工程及び作業である場合(ステップ708:YES)、ステップ710において、事故要因抽出プログラム3015は、一致数が規定値に達している事故関連項目を事故要因として抽出する。一致数により、離散値事故関連項目において、適切に事故要因を推定できる。
【0069】
図3に戻って、ステップ104では、事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納データテーブル401から選択した対象事故の連続値の事故関連項目において、事故要因を探索する。事故要因抽出プログラム3015は、その値が、過去の特定期間の注文に対する業務履歴(業務履歴情報)における同事故関連項目の統計値(例えば平均値)と比べて、異常である事故関連項目を、対象事故の事故要因として抽出する。
【0070】
統計値は、例えば、特定期間の注文に対する無事故の業務における事故関連項目の値の統計値である。事故が発生した注文のデータが含まれてもよい。特定期間は探索期間と異なる予め定められた期間、又は、探索期間と同一でもよい。事故要因抽出プログラム3015は、他の業務システム又はユーザから、特定期間の業務のデータを取得できる。取得するデータは、事故関連情報格納マスタテーブル501が示す連続値の事故関連項目のデータを含む。
【0071】
連続値の事故関連項目から事故要因を抽出する、事故要因抽出プログラム3015の処理フローを、
図8を参照して詳細に説明する。
図8は、一つの対象事故の事故関連情報において、連続値の事故関連項目から、事故要因を抽出する処理のフローチャートを示す。
【0072】
ステップ801で、事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納データテーブル401において、対象事故のレコードが示す、工程及び作業を選択する。レコードは、事故が発見された又は事故が発生した工程及び作業を示す。
【0073】
事故要因抽出プログラム3015は、さらに、対象事故のレコードから、対象事故のレコードにおいて、連続値の最初の事故関連項目を選択する。事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納マスタテーブル501の離散/連続フラグ5015を参照することで、連続値の事故関連項目を特定できる。
【0074】
ステップ802で、事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照して、選択した事故関連項目が関連する工程及び作業を特定する。さらに、事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照して、選択した事故関連項目の比較5017の値を読み出す。
【0075】
事故要因抽出プログラム3015は、比較5017が示す比較対象のデータを、特定期間の業務データから抽出する。比較5017が「自分」を示す場合、事故要因抽出プログラム3015は、対象事故の作業者の業務データを抽出し、比較5017が「組織」を示す場合、事故要因抽出プログラム3015は、作業者が属する組織の業務データを抽出する。
【0076】
事故要因抽出プログラム3015は、さらに、抽出した業務データから、対象事故の工程及び作業に関連する工程及び作業の業務データを抽出する。関連する工程及び作業の特定方法は、ステップ702において上述した通りである。
【0077】
事故要因抽出プログラム3015は、対象事故の工程及び作業並びに選択した事故関連項目の比較対象に基づいて抽出された業務データから、選択した事故関連項目の閾値を計算する。事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照して、選択した事故関連項目の閾値符号5016の値を取得する。
【0078】
閾値符号5016が「+」を示す場合、事故要因抽出プログラム3015は、平均μ+分散σを計算し、「−」を示す場合、事故要因抽出プログラム3015は、平均μ−分散σを計算する。閾値符号5016が「+/−」を示す場合、事故要因抽出プログラム3015は、双方の閾値を計算する。閾値は他の計算方法により計算されてもよい。
【0079】
事故要因抽出プログラム3015は、計算した1又は複数の閾値と、対象事故の選択した事故関連項目の値とを比較する。閾値符号5016が「+」を示す場合、対象事故の値が閾値よりも大きい場合に、選択した事故関連項目が、事故要因の候補と判定される。
【0080】
閾値符号5016が「−」を示す場合、対象事故の値が閾値よりも小さい場合に、選択した事故関連項目が、事故要因の候補と判定される。閾値符号5016が「+/−」を示す場合、対象事故の値が、二つの閾値の一方に対して上記条件を満たす場合、選択した事故関連項目が、事故要因の候補と判定される。統計値を使用することで、連続値事故関連項目において、適切に事故要因を推定できる。
【0081】
事故要因抽出プログラム3015は、さらに、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照して、選択した事故関連項目のAND5018の値を取得する。AND5018が、他の事故関連項目を示している場合、事故要因抽出プログラム3015は、当該他の事故関連項目も事故要因候補である場合に、当該事故関連項目及び当該他の事故関連項目が事故要因と判定する。
【0082】
事故関連情報格納マスタテーブル501のOR5018に情報番号5011の値が格納されていれば、事故要因抽出プログラム3015は、各番号の項目が事故要因候補であるか判定する。いずれか一つの番号の項目でも事故要因候補である場合、選択している事故関連項目と、OR5018が示す事故関連項目において、事故要因候補であると判定された事故関連項目とを合わせて、事故要因として抽出する。
【0083】
事故要因抽出プログラム3015は、ステップ803で、事故関連情報格納データテーブル401の連続値の全事故関連項目について比較したか判定する。事故要因抽出プログラム3015は、事故関連情報格納データテーブル401における注意力低下要因については、全体及び個人を異なる事故関連項目と見なす。
【0084】
未選択の事故関連項目が残っている場合(ステップ803:NO)、ステップ804で、事故要因抽出プログラム3015は、次の連続値の事故関連項目を選択し、その後、ステップ802に戻る。
【0085】
連続値の全事故関連項目について比較済みである場合(ステップ803:YES)、ステップ805で、事故要因抽出プログラム3015は、対象事故の工程及び作業不明フラグを参照して、事故が発生した工程及び作業が不明であるか判定する。
【0086】
工程及び作業不明フラグが「1」である場合(ステップ805:NO)、ステップ806で、事故要因抽出プログラム3015は、現在の工程及び作業が、物流業務における最初の工程及び作業であるか判定する。
【0087】
現在の工程及び作業が、最初の工程及び作業でなければ(ステップ806:NO)、ステップ807で、事故要因抽出プログラム3015は、直前の工程及び作業を選択する。さらに、事故要因抽出プログラム3015は、伝票番号をキーとして使用して、新たに選択した工程及び作業における、注意力低下情報、生理的情報、作業環境情報、管理不備情報を、他の業務システム又はユーザから取得する。その後、事故要因抽出プログラム3015は、ステップ802に戻る。
【0088】
工程及び作業不明フラグが「0」である場合(ステップ805:YES)、又は、現在の工程及び作業が、最初の工程及び作業である場合(ステップ806:YES)、事故要因抽出プログラム3015は、本フローを終了する。事故要因は、ステップ802で抽出されている。
【0089】
ここでステップ103、104の事故要因抽出プログラム3015の事故要因抽出結果例を、
図9を参照して説明する。
図9は、事故要因抽出結果例の概念
図901を示す。上述のように、事故要因抽出プログラム3015は、ユーザから工程及び作業の組別に、事故が発生した注文の伝票番号を受け付け、事故実績群において共通する事故関連項目及び異常値を示す事故関連項目を、事故要因と推定する。
【0090】
セクション9011は、工程「出荷」、作業「梱包」において、登録された事故(3)と、事故実績群の事故(1)、(2)と比較して抽出された事故要因とを示す。抽出された事故要因は、離散値の事故関連項目の「作業者名」と、連続値の事故関連項目「ピース/箱」である。
【0091】
「作業者名」は管理不備要因の一つである。事故(1)、(2)、(3)の間で「作業者名」が共通であり、事故要因として抽出されている。「ピース/箱」は注意力低下要因の一つである。事故(3)の「ピース/箱」の値が、値が過去の自分自身の平均μ−分散σと比較した際に小さく事故要因として抽出されている。
【0092】
セクション9012は、工程「出荷」、作業「検品」において発見された事故(4)の情報を示す。事故(4)が起きた工程及び作業は、不明である。事故要因抽出プログラム3015は、工程及び作業を遡り、上流の工程及び作業の組毎に、事故要因を探索する。セクション9012は、工程「入荷」において、「商品名A」が事故要因として抽出されていることを示す。工程「入荷」に関連付けられた作業は存在しない。「商品名」は、離散値の事故関連項目であり、注意力低下要因の一つである。
【0093】
以下において、注意力低下情報、生理的情報、作業環境情報、管理不備情報を使用して事故要因を推定する効果について説明する。注意力低下要因は、商品名、商品コード、商品容積、行/人時、ケース/人時、ピース/人時、箱/人時、行/人日、ケース/人日、ピース/人日、箱/人日、ピース/行時、ピース/箱時、ピース/行日、ピース/箱日を含む。
【0094】
離散値の商品名及び商品コードは、ステップ103において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、探索期間内で時間順に発生した事故の商品名及び商品コードと比較され、一致した場合に事故要因として抽出される。これにより、商品の種別によっては扱い難いため煩わしさを感じることに起因する人への影響を考慮して、事故要因を推定できる。
【0095】
連続値の商品容積は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の組織の商品容積の平均μ+分散σよりも大きい、または平均μ−分散σよりも小さい、かつ出荷頻度/日が、過去特定期間内の自分自身の出荷頻度/日の平均μ+分散σよりも大きいとき、事故要因として抽出される。これにより通常よりも出荷頻度が高く、商品が大きすぎて、または小さすぎて扱い難いため煩わしさを感じることに起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0096】
連続値の行/人時、ケース/人時、ピース/人時、箱/人時、行/人日、ケース/人日、ピース/人日、箱/人日は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、作業部署(全体)別、個人別に過去特定期間内の自分自身の平均μ+分散σよりも大きい、または平均μ−分散σよりも小さいとき、事故要因として抽出される。これにより作業量が通常に比べ多くプレッシャを感じることに起因する人への影響と、作業量が通常に比べ少なく安心することに起因する人への影響と、を考慮できる。
【0097】
連続値のピース/行時、ピース/行日は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、作業部署(全体)別、個人別に過去特定期間内の自分自身の情報の平均μ−分散σよりも小さいとき、事故要因として抽出される。これによりピッキング作業の内容が重いため煩わしさを感じることに起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0098】
連続値のピース/箱時、ピース/箱日は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、作業部署(全体)別、個人別に過去特定期間内の自分自身の情報の平均μ+分散σよりも大きいとき、事故要因として抽出される。これにより梱包作業の内容が重いため煩わしさを感じることに起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0099】
生理的要因は、作業(事故発見)時刻、作業累積時間/日、年齢を含む。連続値の作業(事故発見)時刻は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の自分自身の作業(事故発見)時刻の平均μ+分散σよりも大きい、または平均μ−分散σよりも小さいとき、事故要因として抽出される。これにより作業時刻が早い、又は遅いことによる疲れや作業を早く終わらせようとする焦りに起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0100】
連続値の年齢は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の組織の年齢の平均μ+分散σよりも大きい、又は平均μ−分散σよりも小さいとき、事故要因として抽出される。これにより高齢による集中力の低下、若すぎることによる注意不足に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0101】
連続値の作業累計時間/日は、テップ104において、過去特定期間内の自分自身の作業累計時間/日の平均μ+分散σよりも大きいとき、事故要因として抽出される。これにより作業累計時間が長くなることでの疲れや作業を早く終わらせようとする焦りに起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0102】
作業環境要因は、曜日、気温、作業エリア温度、天気、作業エリア面積/作業人数、商品の出荷頻度/日、棚番号(棚位置)、間口高さ、間口容積/商品容積を含む。
【0103】
離散値の曜日は、ステップ103において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、探索期間内で時間順に発生した事故の曜日と比較され、一致した場合に事故要因として抽出される。これにより周期性をもって物量が変化し、曜日によって作業が難しい曜日と容易な曜日が作業者の頭の中にイメージとして形成されていることによる心理的負荷に起因する事故要因を推定できる。
【0104】
連続値の気温、作業エリア温度は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の自分自身の気温、作業エリア温度の平均μ+分散σよりも大きい、又は平均μ−分散σよりも小さいとき、事故要因として抽出される。これにより暑すぎる、寒すぎるときのモチベーション低下に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0105】
離散値の天気は、ステップ103において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、探索期間内で時間順に発生した事故の天気と比較され、一致した場合に事故要因として抽出される。これにより天気が悪いときのモチベーション低下に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0106】
連続値の作業エリア面積/作業人数は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の自分自身の気温、作業エリア面積/作業人数の平均μ+分散σよりも大きいとき、事故要因として抽出される。これにより渋滞の中で作業を行うときの圧迫感や作業のし難さからのモチベーション低下に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0107】
離散値の棚番号(位置)は、ステップ103において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、探索期間内で時間順に発生した事故の棚番号(位置)と比較され、一致した場合に事故要因として抽出される。これにより入荷や補充、ピッキングなどがし難い場所や位置に棚があることによるモチベーションの低下に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0108】
連続値の間口高さは、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の組織の商品の間口高さの平均μ+分散σよりも大きい、又は平均μ−分散σよりも小さい、かつ出荷頻度/日が、過去特定期間内の自分自身の出荷頻度/日の平均μ+分散σよりも大きいとき、事故要因として抽出される。
【0109】
これにより通常よりも出荷頻度が高く、商品が高い間口に格納されている、または低い間口に格納されているため入荷、補充、ピッキングなどがし難いことによるモチベーション低下に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0110】
連続値の間口容積/商品容積は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の組織の商品の間口容積/商品容積の平均μ−分散σよりも小さい、かつ出荷頻度/日が、過去特定期間内の自分自身の出荷頻度/日の平均μ+分散σよりも大きいとき、事故要因として抽出される。
【0111】
これにより通常よりも出荷頻度が高く、商品当たりの間口が狭いため入荷、補充、ピッキングなどがし難いことによるモチベーションの低下に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0112】
管理不備要因は、作業者名、作業者勤務期間、新人教育時間/人日、派遣率、新人率を含む。
【0113】
離散値の作業者名は、ステップ103において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、探索期間内で時間順に発生した事故の作業者名と比較され、一致した場合に事故要因として抽出される。これにより能力が不足している作業者が割り当たることによる周囲のモチベーション低下や本人の負い目に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0114】
連続値の作業勤務期間は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の組織の作業員の作業勤務期間の平均μ−分散σよりも小さいとき、事故要因として抽出される。これにより新人が割り当たることによる周囲のモチベーション低下や本人の不安に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0115】
連続値の新人教育期間/人日は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の自分自身の新人教育期間/人日の平均μ−分散σよりも小さいとき、事故要因として抽出される。これにより教育が不十分であることによる作業者の不安に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0116】
連続値の新人率は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の自分自身の新人率の平均μ+分散σよりも大きいとき、事故要因として抽出される。これにより新人が多いことによる周囲の不安と新人本人の不安に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0117】
連続値の派遣率は、ステップ104において、事故関連情報格納マスタテーブル501を参照し、過去特定期間内の自分自身の派遣率の平均μ+分散σよりも大きいとき、事故要因として抽出される。これにより派遣が多いことによる周囲の不安と派遣本人の不安に起因する人への影響を考慮して事故要因を推定できる。
【0118】
図3に戻って、ステップ105では、事故要因抽出プログラム3015は、ステップ103、104で抽出した事故要因を事故要因及び施策格納データベース3013に格納し、さらに、要因に対して取った施策をユーザから受け付けて、事故要因・施策格納データベース3013に格納する。
【0119】
図10は、事故要因及び施策格納データベース3013が格納する事故要因及び施策格納データテーブル1001の例を示す。事故要因及び施策格納データテーブル1001は、事故番号、工程、作業、事故要因、一致件数、施策を関連付けて格納する。一致件数は、離散値の事故要因に対して与えられる。施策はユーザから入力される。
【0120】
ステップ106では、事故頻度警告プログラム3016は、規定の異常を検知した場合、例えば、月の事故数又は事故要因数が所定の数、例えば前年の月平均事故数を超える場合に、出力装置205においてアラートを出力する。
【0121】
ステップ107では、事故要因報告プログラム3017は、事故報告画像において、抽出した事故要因、施策を表示し、さらに、事故頻度が高い場合には警告を表示する。出力装置205において表示される。
図11は、事故報告画像例1101を示す。事故報告画像1101は、例えば、顧客との定例会議において、事故要因の抽出結果や、発生事故の年間の推移、施策の効果などを報告するための画像である。事故報告画像例1101、推定された事故要因を、注意力低下要因、生理的要因、作業環境要因、管理不備要因に分類して提示する。
【0122】
図11の事故報告画像1101において、セクション1102は、工程、作業別に顧客と合意した事故分類に基づいた事故実績数、事故分類に基づいた事故発生数の時間的推移、報告月の事故要因及び施策を表示する。事故分類に基づいた事故実績数が、円グラフで示されている。
【0123】
セクション1103は、注意力低下要因、生理的要因、作業環境要因、管理不備要因の発生状況と、それらの発生数の時間的推移を示す。注意力低下要因、生理的要因、作業環境要因、管理不備要因の発生状況は、円グラフで示されている。
【0124】
セクション1103では、管理不備要因「作業者名」が、事故要因として、2015年7月に抽出されている。セクション1102において、適切に対策が実施された結果、梱包不良が削減されている。このように、事故報告画像1101により、ユーザが、今まで要因特定が困難であった、人に影響する要因の発生規模とそれに対する施策の効果を確認できる。
【0125】
以上のよに、本実施形態は、工程、作業別に事故実績を収集・学習し、作業者が影響を受ける心理的要因、特に注意力低下要因と、生理的要因、作業環境要因、管理不備要因まで考慮して、事故要因を推定する。例えば、作業の困難さを表すピース/行が重いといった人の注意力低下要因や疲れに繋がる作業時刻が遅いといった生理的要因まで考慮し、工程内で事故発生時に共通、あるいは異常値を出している指標を探索する。
【0126】
物流事業において、作業者が影響を受ける注意力低下要因や生理的要因、作業環境要因、管理不備要因まで考慮して事故要因を推定することができるため、事故発生時にその要因を詳細に探索し、顧客との定例で報告することで信頼を得て契約更新、あるいは提案時に高度な管理をアピールして受注拡大などの効果が期待できる。
【0127】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0128】
また、上記の各構成・機能・処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、主記憶装置や、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード等の記録媒体に置くことができる。
【0129】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。