(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704469
(24)【登録日】2020年5月14日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】エアバッグカバー弱化パターン及び関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B60R 21/2165 20110101AFI20200525BHJP
D03D 1/02 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
B60R21/2165
D03D1/02
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-550678(P2018-550678)
(86)(22)【出願日】2017年3月21日
(65)【公表番号】特表2019-516600(P2019-516600A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】US2017023295
(87)【国際公開番号】WO2017176451
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2018年10月23日
(31)【優先権主張番号】15/090,517
(32)【優先日】2016年4月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597065363
【氏名又は名称】オートリブ エーエスピー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、デイビッド、ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウィット、ジョン エフ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ソダーストム、ジャン、ポンタス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス、ウリエル、パディラ
【審査官】
村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0001410(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02878497(EP,A1)
【文献】
国際公開第2010/026970(WO,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0079927(KR,A)
【文献】
特開2015−020568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/2165
D03D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグクッション用カバーであって、
エアバッグクッションの展開中に前記カバーの分離を容易にするように構成された弱化領域を備え、前記弱化領域が、
連続的に湾曲したパターンを有する第1のテアシームと、
連続的に湾曲したパターンを有する第2のテアシームとを含み、
前記第1のテアシームと第2のテアシームとが互いに、反射像として重なり合うことを特徴とするエアバッグクッション用カバー。
【請求項2】
前記第1のテアシームと前記第2のテアシームとの形状が、連続的なカーブを有する正弦波形状であることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記カバーが、基板を更に備え、
前記基板が、基板テアシームを備え、
前記第1のテアシームと前記第2のテアシームが、前記基板テアシームを中心に鏡映対称に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカバー。
【請求項4】
前記第1のテアシームの曲率半径及び、前記第2のテアシームの曲率半径が変化することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のカバー。
【請求項5】
前記第1のテアシームの曲率半径が、長さ方向の全域にわたって少なくとも0.5mmであり、前記第2のテアシームの曲率半径が、長さ方向の全域にわたって少なくとも0.5mmである、請求項4に記載のカバー。
【請求項6】
前記カバーが、皮革素材を含み、前記弱化領域が、前記皮革素材内に形成される、請求項1乃至5の何れか1項に記載のカバー。
【請求項7】
前記カバーが、前記皮革材料に隣接して位置付けられた基板を更に備える、請求項6に記載のカバー。
【請求項8】
前記弱化領域が、前記基板内に更に形成される、請求項7に記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
エアバッグクッションは、多くの場合、カバー、場合によっては、皮革カバーに包まれており、エアバッグクッションを隠し、車両の内部により審美的に美しい外観をもたらす。そのようなカバーには、通常、展開時にカバーからエアバッグクッションが出ることを容易にするためのテアシームが設けられる。そのようなテアシームは、多くの場合、皮革/カバーを穿孔するためのニードル、又はカバーの基材及びカバーの上層の厚さの一部を通るボアを作製するためのレーザを使用して作製される。しかしながら、これらのプロセスは、多くの場合、非常に低速で、時間がかかる。加えて、それらは、精密に制御することが困難であり、多くの場合、結果としてカバーの外観(「リードスルー」)が劣り得る。加えて、先行技術によって提供されたパターンは、多くの場合、所望の破過/展開特性を生成するのに理想的ではないことが多い。
【0002】
したがって、本発明者らは、先行技術の上記制限及び/又は他の制限のうちの1つ以上を克服する装置、アセンブリ、及び方法を提供することが望ましいと判断した。例えば、本発明者らは、いくつかの実施形態では、エアバッグ展開特性を改善し、及び/又はカバーの外観を改善するように構成された特定の弱化パターンを有するカバー(例えば、リードスルーを低減することによって)を提供することが、上で言及された制限、及び/又は従来技術の他の制約を回避又は改善し得ると判断した。
【0003】
エアバッグクッション用カバーの実施形態のより具体的な例では、カバーは、エアバッグクッションの展開中にカバーの分離を容易にするように構成された弱化領域を備え得る。弱化領域は、曲率領域及び角度付き領域の少なくとも一方を備える第1の線によって画定された第1の形状を含む、第1のテアシームと、曲率領域及び角度付き領域の少なくとも一方を備える、第2の線によって画定された第2の形状を含む、第2のテアシームと、を備え得る。いくつかの実施形態では、第1の形状は、第2の形状の反射像を含み得るか、又は少なくとも実質的に含み得る。
【0004】
いくつかの実施形態では、第1の形状は、第2の形状のシフトされた反射像を含み得る。他の実施形態では、第1の形状は、第2の形状のシフトされていない反射像を含み得、そのため、第1の形状が、第2の形状に対して鏡映対称を有する。いくつかのかかる実施形態では、第1の形状は、第2の形状に対して、別のテアシームによって画定された対称線を中心とした鏡映対称を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、カバーは、基板を更に備え得る。いくつかの実施形態では、基板は、基板テアシームを備え得る。いくつかのかかる実施形態では、第1の形状は、第2の形状に対して、基板テアシームによって画定された対称線を中心とした鏡映対称を有し得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の線及び/又は第2の線は、いかなる鋭角も欠き得る。例えば、いくつかの好ましい実施形態では、第1の形状は、第1の正弦波パターンを含み得、第2の形状は、第1の正弦波パターンに対して反映された第2の正弦波パターンを含み得る。このように、弱化パターンは、二重正弦波形状を含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の線の曲率半径は、第1の形状内部で変化し得、第2の線の曲率半径は、第2の形状内部で変化し得る。いくつかの実施形態では、パターンの他の特徴は、例えば、切れ目の深さ、パターンのプロファイル/振幅、1つ以上のテアシームの波長(例えば、正弦波を含むパターン)等のパターン全体にわたって変動し得る。いくつかの実施形態では、第1の線の曲率半径は、第1の線の全長に沿って、少なくとも0.5mmであり得る。同様に、いくつかの実施形態では、第2の線の曲率半径は、第2の線の全長に沿って、少なくとも0.5mmでもあり得るか、又は代替的にそうであり得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、カバーは、皮革材料を含み得る。いくつかの実施形態では、弱化領域は、皮革材料内に形成され得る。いくつかの実施形態では、弱化領域は、カバーの別の層/部分内にも形成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、カバーは、皮革材料に隣接して位置付けられた基板を更に備え得る。いくつかの実施形態では、弱化領域は、基板内に更に形成され得る。
【0008】
いくつかの実装形態によるエアバッグクッションカバーを製造するための方法の特定の例では、本方法は、エアバッグクッションカバーの第1の層を得ることと、第1の弱化パターンが、第1の層の分離を容易にし、それを通してエアバッグクッションの展開を可能にするように、第1の層に第1の弱化パターンを形成することと、を含み得る。第1の弱化パターンは、第1の形状を含み得る。また、第2の弱化パターンは、第2の弱化パターンが第1の層の分離を更に容易にし、それを通してエアバッグクッションの展開を可能にするように、第1の層に形成され得る。いくつかの実装形態では、第2の弱化パターンは、第1の形状の反射像を含む第2の形状を含み得る。
【0009】
例えば、第1の形状は、第1の正弦波パターンを含み得、第2の形状は、第2の正弦波パターンを含む。いくつかの実装形態では、第1の正弦波パターンは、第2の形状に対して、対称線を中心とした鏡映対称を有し得る。
【0010】
いくつかの実装形態は、エアバッグクッションカバーの第2の層を第1の層に結合させることと、第2の層にテアシームを形成することと、を更に含み得る。いくつかのそのような実装形態では、テアシームは、第1の弱化パターンと第2の弱化パターンとの間に位置付けられ得る。いくつかの実装形態では、対称線は、テアシームと一致するか、少なくとも実質的に一致し得る。
【0011】
エアバッグクッションカバーを製造するための方法の別の例では、本方法は、エアバッグクッションカバーの第1の層に第1のテアシームを形成することと、エアバッグクッションカバーの第2の層に第2のテアシームを形成することと、を含み得る。テアシームの一方又は両方は、振動ナイフ機構を使用して形成され得る。いくつかの実装形態では、振動ナイフを備えるコンピュータ化された数値制御機械が使用され得る。いくつかの実装形態では、第2のテアシーム(又は、いくつかの実施では、すべてのテアシーム)が、振動ナイフ機構を第2の層から引き出すことなく、連続的に形成され得る。いくつかの実装形態では、第2のテアシームは、変化する曲率半径を含む第1の形状に形成され得る。
【0012】
いくつかの実装形態では、第3のテアシームは、振動ナイフ機構を使用して、エアバッグクッションの第2の層に形成され得る。いくつかのそのような実装形態では、第3のテアシームは、振動ナイフ機構を第2の層から引き出すことなく、連続的に形成され得る。いくつかのそのような実装形態では、第3のテアシームは、変化する曲率半径を有する第2の形状に形成され得る。
【0013】
いくつかの実装形態において、第1の形状及び/又は第2の形状の変化する曲率半径は、それぞれの第2及び/又は第3のテアシームの全長に沿って少なくとも0.5mmであり得る。
【0014】
いくつかの実装形態において、振動ナイフ機構の第1のブレードは、第2のテアシームを形成するために使用され、振動ナイフ機構の第2のブレードは、第3のテアシームを形成するために使用され得る。代替的に、両方のテアシーム(及びいくつかの実装形態では、追加のテアシーム)が、同じブレードによって形成されてもよい。
【0015】
いくつかの実装形態では、振動ナイフ機構は、コンピュータ化された数値制御機械を備え得、これは、変化するテアシームの適用/形成中に、第2及び第3のテアシームの変化する曲率半径を制御することが可能であるように構成され得る。
【0016】
一実施形態に関連して本明細書に開示された特徴、構造、ステップ、又は特性が、任意の好適な方法で、1つ以上の代替的な実施形態及び/又は実装形態において組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の非限定的及び非網羅的な実施形態が説明され、図面を参照した本開示の様々な実施形態を含む。
【0018】
【
図1】好ましい実施形態によるエアバッグカバーを描画する。
【0019】
【
図2】
図1に示される2−2線に沿った断面図である。
【0020】
【
図3】エアバッグカバーの代替的な実施形態を描画する。
【0021】
【
図4】エアバッグクッションのためのカバーのいくつかの実施形態に関連して使用するための、2つの重なり合うテアシームを備える弱化パターンの拡大図である。
【0022】
【
図5】エアバッグクッションのためのカバーのいくつかの実施形態に関連して使用するための、2つの重なり合うテアシームを備える、代替の弱化パターンの拡大図である。
【0023】
【
図6】エアバッグクッションのためのカバーのいくつかの実施形態に関連して使用するための、2つの重なり合うテアシームを備える、更に別の弱化パターンの拡大図である。
【0024】
【
図7】エアバッグクッションのためのカバーのいくつかの実施形態に関連して使用するための、2つの重なり合うテアシームを備える、更に別の弱化パターンの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の様々な実施形態と整合する装置、システム、及び方法の詳細な説明が、以下に提供される。数個の実施形態が記載されているが、本開示は、開示された特定の実施形態のいずれかに限定されず、代わりに、数多くの代替、改変、及び等価物を包含することが理解されるべきである。加えて、本明細書に開示される実施形態の完全な理解を提供するために、以下の記述で数多くの特定の詳細が述べられているが、いくつかの実施形態は、これらの詳細のいくつか又はすべてを伴わずに実践することができる。更に、明確にすることを目的として、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために、関連技術分野で既知である、ある技術的材料は、詳細に記載されていない。
【0026】
エアバッグ弱化パターンに関する装置、方法、及びシステムが本明細書に開示され、これらは、いくつかの好ましい実施形態及び実装形態では、エアバッグカバー内に形成され得る。より具体的には、いくつかの実施形態及び実装形態では、様々な弱化パターン、例えば特定の形状を確定するテアシームは、エアバッグカバー、例えば皮革巻きエアバッグカバー等に関連して形成及び使用され得る。また、そのような弱化パターンを形成するための方法の様々な実装形態が、本明細書に開示される。例えば、このような方法のある好ましい実装形態では、振動ナイフ、例えばコンピュータ数値制御振動ナイフは、好ましい弱化パターンを適用するために使用されてもよい。
【0027】
本開示の実施形態は、図面を参照して最もよく理解することができ、同様の部分は、同様の番号によって示されている。本明細書において概略的に説明され、図面で図示される、本開示の本実施形態の構成要素は、多様な異なる構成で配置及び設計することができることが容易に理解されよう。このように、本開示の装置及び方法の実施形態の以下の詳細な説明は、本開示の範囲を特許請求されたように限定することは意図されておらず、本開示の可能な実施形態を単に表している。加えて、本方法のステップは、特に断らない限り、任意の特定の順序で、あるいは順次実行されることを必ずしも必要とせず、又はそのステップが一度のみ実行されることも必ずしも必要としない。ここで、添付の図面を参照して、ある好ましい実施形態及び実装形態に関する更なる詳細がより詳細に記述される。
【0028】
図1は、エアバッククッションカバー100の実施形態を描画する。カバー100は、エアバッグクッション用カバーを備え得、単一の層を備え得るか、又は代替的には、多数の層を備え得る。例えば、いくつかの実施形態では、カバー100は、いくつかの実施形態では、皮革又は別の装飾材料で構成され得る上層110を備え得る。基板150又は第2の層は、上層110に隣接して位置付けられ得る。基板150は、上層110に対して別個の材料から構成されてもよいが、必ずしもそうである必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、基板150は、熱可塑性材料を含み得る。
【0029】
1つ以上の弱化領域120は、カバー100の上に/その中に位置付けられてもよく、これは、エアバッグクッション(図示せず)の展開中に、カバー100の分離を容易にするように構成され得る。弱化領域120は、いくつかの実施形態では、1つ以上のテアシーム、例えばテアシーム122及び124から構成され得る。いくつかの実施形態では、テアシーム122及び/又は124は、カバー100の多数の層、例えば層110及び150を通して完全に、又は部分的に通って延在してもよい。代替的に、テアシーム122及び/又は124は、カバー100の1つの層、例えば層110のみを通して延在してもよい。いくつかの実施形態では、テアシーム122及び/又は124は、層110、又はカバー100の別の層のみを部分的に通して延在してもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、弱化領域120は、所望の方法でカバー100の1つ以上の層の分離を容易にし得る好ましい形状を画定するテアシームを備える。例えば、
図1に描画された実施形態では、弱化領域120は、第1の形状を含む第1のテアシーム122と、第2の形状を含む第2のテアシーム124と、を備え得る。これら2つの形状は、互いに関連付けられていてもよい。例えば、描画された実施形態では、第1のテアシーム122は、第1の形状を画定する第1の線によって画定され得、及び/又は少なくとも実質的にたどり得、第2のテアシーム124は、第1の形状と同様であり得る第2の形状を画定する第2の線によって画定され得、及び/又は少なくとも実質的にたどり得る。したがって、いくつかの実施形態では、第1の形状は、第2の形状の反射像を含む。いくつかの実施形態では、第1の形状は、第2の形状のシフトされた反射像を含み得る。しかしながら、描画された実施形態では、第1の形状は、第2の形状のシフトされていない反射像である。
【0031】
より具体的には、
図1に描画された特定の例では、第1のテアシーム122は、第1の正弦波パターンを画定し、第2のテアシーム124は、第1の正弦波に対して反射された第2の正弦波パターンを画定する。加えて、いくつかの実施形態では、2つのテアシームが、カバー100の別の層に形成され得る別のテアシーム又は他の弱化領域にわたって前後に集合的に延在してもよい。例えば、描画された実施形態では、直線状のテアシーム152は、基板150内に形成され、テアシーム122及び124は、弱化領域120のパターンに沿って、テアシーム152にわたって前後方向に延在する。いくつかの実施形態では(
図1の実施形態を含む)、テアシーム152は、対称線を画定し、そのため、テアシーム122によって画定された第1の形状が、テアシーム124によって画定された第2の形状に対して、基板150名部に形成されたテアシーム152によって画定された対称線を中心とした鏡映対称を有する。
図1の実施形態では、テアシーム152は、弱化領域120の一部(すなわち、弱化領域120の上部)の周囲にのみ延在するとして示されているが、他の実施形態では、テアシーム152は、弱化領域のパターン全体の周囲に延在してもよく、又は弱化領域120の異なる部分(例えば、弱化領域120の底部等)の周囲に延在してもよい。
【0032】
ある好ましい実施形態は、基板150内に形成されたテアシーム152又はカバー100の別の部分によって画定された対称線を含み得るが、本明細書に開示された弱化パターンは、ある所望の分離/展開特性を改善し得るため、上層110の弱化パターンは、別の層、例えば基板150のテアシーム152で弱化パターンを緊密にたどることが重要でない可能性があることが理解されるべきである。このように、テアシーム152が対称線を画定する必要がなく、及び/又は、テアシーム152が弱化パターン120のみを漠然とたどり得るか、若しくはともに存在しない場合がある、いくつかの実施形態が意図される。
【0033】
本明細書で開示される様々な弱化パターンは、振動ナイフ、例えば、連続的に接触する振動型のコンピュータ数値制御ナイフシステムの使用を伴う好ましい製造方法に特に好適であり得る。これは、カバーの「A」表面(すなわち、車両の乗客が車両内にいる間、通常目にし、及び/又は最も近いカバーの表面)からの、1つ以上の方向(x、y、及びz)における寸法にわたる比較的精密な制御を可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態及び実装形態では、そのような切断手段の使用は、所望の曲率半径を、弱化領域に沿って、非常に制御された方法で維持することを可能にし得る。例えば、より小さな曲率半径は、材料のリードスルーを増大させる傾向があるため、いくつかの実施形態では、それぞれこのような線の全長に沿って少なくとも0.5mmの弱化領域に関連する1つ以上の線の曲率半径を維持することが所望され得る。例えば、リードスルーが大きな懸念ではない場合がある他の実施形態では、より小さな曲率半径を維持することが望ましい場合がある。
【0034】
製造方法のいくつかの実装形態では、パターンの全体的な適用中、又は少なくともパターンの1つのテアシームの適用中、ブレードがカバー、例えば皮革及び/又は上層110と接触したまま維持される、二重の正弦波又は他の所望のパターン(例えば、接続する幾何学的形状等)が適用されてもよい。このことは、数多くの異なる理由、例えば切断速度を増大させ、皮革/層/カバーの移動を制御するために有用であり得る。これはまた、カバーの様々な層のテアシーム、例えばテアシーム152の、テアシーム122/124との整合におけるプロセス自由度をより大きくすることを可能にし得る。加えて、これは、切断プロセス中に連続的な半径の変化がなされることを可能にし得、これは、皮革/上層テアシームに対する基板テアシームの整合の無限の、又はほぼ無限の設計多様性を可能にし、エアバッグ展開中の伝播を促進し得る。
【0035】
図2は、
図1に示される2−2線に沿った断面図である。図に描画されるように、弱化領域120は、テアシーム122及び124で構成され、層110にのみ適用され得るのに対し、テアシーム152は、基板150のみに適用され得る。このように、カバー100を製造するために使用される方法のある実装形態では、振動ナイフ又は他の切断手段を使用して、層110を基板150に結合する前に、弱化領域120のパターンを層110に適用し得る。代替的に、2つの層(又は、他の実施形態においては、任意の数の層)がともに結合された後、振動ナイフ又は他の切断手段を適用してもよい。このように、いくつかのそのような実施形態及び/又は実装形態では、1つ以上のテアシームを備える弱化領域が適用されてもよく、ここでは、テアシームが、カバーの1つ以上の層、例えば上層110を通して完全に延在し、かつカバーの1つ以上の他の層、例えば基板150を通して部分的にのみ延在する。加えて、連続的なテアシームを作製することは、ある用途に好適であり得るが、1つ以上の弱化領域の1つ以上のテアシームが、部分的又は破断されたテアシームを備え得る代替的な実施形態が意図される。
【0036】
いくつかの実施形態及び/又は実装形態では、様々な切れ目の切れ目深さ及び/又は長さを、テアシームのうちの1つ以上の異なる部分において所望のように変化させ、異なるテアシーム厚さ及び/又はブリッジを作製してもよい。しかしながら、ある実施形態では、切れ目深さは、カバー110の上層100を構成する皮革又は他の材料に至るまで全体には延在せず、それによって、弱化パターン120の外観が、上層110の表面(「A」面)上では視認不能であることが好ましい場合がある。
【0037】
図3は、エアバッグクッションカバー300の代替的な実施形態を描画する。カバー100と同様に、カバー300は、基板350上に位置付けられた上層310を備える。再度、弱化領域320は、層310内部に形成される。しかしながら、弱化領域120とは異なり、弱化領域320は、第1のパターンで構成された底部325と、第2のパターンで構成された上部330と、を備える。弱化領域320の底部325は、テアシーム322及び324を備え、弱化領域320の上部330は、テアシーム332及び334を備える。
【0038】
弱化領域320の上部330及び底部325の両方が、弱化領域120のものと同様の、反射正弦波形状から構成される二重の正弦波パターンを含む。しかしながら、テアシーム322及び324によって画定されたパターンは、テアシーム332及び334によって画定されたパターンとは異なる。より具体的には、テアシーム322及び324に関連付けられた正弦波は、テアシーム332及び334関連付けられた正弦波に対して長くされる。換言すれば、各正弦波パターンの「波長」は、上部330においてよりも、底部325において大きい。
【0039】
上で言及されたように、エアバッグカバー300を製造するための方法のある好ましい実装形態において、振動ナイフの使用は、フライにそのような変化をなすことを可能にするのに十分な制御を提供し得る。これは、エアバッグ展開特性を微調整するために所望されるように、弱化パターンを改変することを可能にし得る。いくつかの実施形態及び実装形態では、異なるテアシーム又は弱化パターン特性を有する様々な領域、例えば
図3の上部330及び底部325、又は少なくともそのような領域のサブセットを、振動ナイフを1つのそのような領域から別のそのような領域への遷移中に持ち上げる必要がないように、互いに接続してもよい。このように、
図3において見ることができるように、より長い波長のテアシーム332及び334は、より短い波長のテアシーム324の322とスムーズに結合される。加えて、底部325と上部330との間の遷移は、どのようにして弱化パターンの線又はテアシームの曲率半径がパターン内で変化し得るかの一例を表す。
【0040】
当然ながら、多種多様な代替的なオプション、特徴、及び/又はステップが想定される。例えば、いくつかの実施形態及び実装形態では、テアシーム322及び324によって画定されたパターンは、テアシーム332及び334によって他の方法で画定されたパターンとは別個であってもよい。例えば、1組のテアシームのパターンの「振幅」は、別のパターンの振幅よりも大きくてもよい。換言すれば、パターンの対向するピーク間の距離は、弱化パターンの一領域において、別の領域よりも大きくてもよい。直線状のテアシーム352内が基板350に形成される実施形態では、テアシーム352と、弱化パターンの両端の周辺部のいずれかとの間の距離は、パターンの1つの部分に沿って、別の部分よりも大きくてもよい。振動ナイフ、特にCNC振動ナイフを利用する実装形態では再び、カバー300からナイフを持ち上げることなく、様々な領域間の遷移がフライ上で行われ得る。更なる別の代替として、いくつかの実施形態及び実装形態では、弱化パターン320の1つの領域に関連付けられた切れ目の深さは、別の領域とは異なってもよい。例えば、カバー300の特定の縁又は部分を最初に開放することが所望される場合、弱化パターン320の切れ目の深さは、この領域で最大であり得、その後、好ましくは展開プロセスで後に分離される領域に沿って減少し得る。
【0041】
図4は、テアシーム422と424の対称線として機能するテアシーム452に沿って延在するテアシーム422及び424を含む弱化パターンの拡大図を図示する。先に言及されたように、いくつかの実施形態では、テアシーム452は、1つ以上の材料層、例えば基板に形成されてもよく、テアシーム422及び424を作成する弱化パターンは、エアバッグカバーを構成する材料の1つ以上の別個の層、例えば基板に隣接して位置付けられた皮革装飾層等に形成されてもよい。
【0042】
図4に示すように、テアシーム422は、第1の正弦波形状を含み、テアシーム424は、テアシーム422に対して鏡映対称を有する第2の正弦形状を含む。描画された実施形態では、テアシーム452は、独立したテアシームとしてのみならず、上で言及された鏡映対称に対する対称線としても機能する。いくつかの実装形態では、単一のナイフブレード、好ましくは振動ナイフを使用して、両方のテアシーム422及び424を形成し得る。例えば、いくつかの実装形態では、振動ナイフブレードは、テアシーム422を一方向、次いで、逆方向に形成し、テアシーム424を反対方向に形成し得る。いくつかのそのような実装形態では、本プロセスは、テアシーム422及び424が形成されている材料から、ナイフブレードを持ち上げることなく行われ得る。
【0043】
他の実装形態では、2つ以上の個別のブレードを用いてもよい。このように、例えば、第1のブレードが、テアシーム422を形成するために使用されてもよく、第2のブレードが、テアシーム424を形成するために、同時又は順次のいずれかで使用されてもよい。いくつかのそのような実施形態及び実装形態では、弱化パターンの少なくとも1つの線又はテアシームは、いかなる鋭角も欠き得る。いくつかのそのような実施形態及び実装形態では、弱化パターンにおける線及び/又はテアシームのすべては、いかなる鋭角も欠き得る。これは、リードスルーを回避するための弱化パターンの能力を向上させることができる。
【0044】
しかしながら、鋭角を有する弱化パターンを含む他の実施形態が意図され、かついくつかの用途では、実行可能であってもよい。例えば、
図5に描画された弱化パターンは、第1のテアシーム522及び第2のテアシーム524を含む。
図4に描かれたパターンのように、テアシーム522は、テアシーム524に対して鏡映対称を有する。しかしながら、
図4に描画されたパターンとは異なり、テアシーム522及び524の両方が、鋭角を有する線を含み、それによって、各テアシームが、それぞれのテアシーム552にわたって前後方向に延在する「ジグザグ」パターンを画定するようにされ、これは再度、カバー、例えば基板の材料の別個の部分に形成され得る。
【0045】
図6は、いくつかの実施形態及び実装形態による、弱化パターンの更に別の例を描画する。再度、
図6の弱化パターンは、2つのテアシーム、すなわちテアシーム622及びテアシーム624を備え、これらは、少なくとも実質的に直線のテアシーム652にわたって前後に延在する。しかしながら、
図6の弱化パターンは、テアシームのうちの1つ(テアシーム622)が、連続的な切れ目ではなく、一連の離間した切れ目によって画定されたテアシームを含む点において、
図4及び5のものとは異なる。その他のテアシームのパターン(テアシーム624)は、先に述ベられたように、連続的な切れ目を含む。当然ながら、所望される場合、テアシーム622及び624の両方か、又は両方のテアシームのうちの少なくとも一部が、断続的又は離間した切れ目を含む他の実施形態が意図される。
【0046】
図7は、いくつかの実施形態及び実装形態による、弱化パターンの更に別の例を描画する。再度、
図7の弱化パターンは、2つのテアシーム、すなわちテアシーム722及びテアシーム724を備え、これらは、少なくとも実質的に直線のテアシーム752にわたって前後に延在する。しかしながら、
図7の弱化パターンは、前述の図の例とはいくつかの点で異なる。最も注目すべきは、テアシーム722の形状は、テアシーム724の形状のシフトされた反射画像であるが、テアシーム724の形状に対する鏡映対称を有しない。なお、
図6のパターンのように、
図7のパターンでは、両テアシーム722、724は、連続した切れ目を備える。上で言及されたように、ある好ましい実施形態では、両方のテアシーム722及び724 が、カバーの層、例えば、カバー100の層110を部分的にのみ通して延在する連続的な切れ目を備える。
【0047】
前述の本明細書は、様々な実施形態及び実装形態を参照して記載されてきた。しかしながら、当業者においては、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な改変及び変更をなすことができることが理解されよう。例えば、様々な動作ステップに加えて、動作ステップを実行するための構成要素は、特定の用途に依存して、又はシステムの動作に関連付けられた任意の数のコスト関数を考慮して、様々な方法で実施され得る。したがって、ステップのうちのいずれか1つ以上が、削除されるか、修正されるか、又は他のステップと組み合わされてもよい。更に、本開示は、限定的ではなく、むしろ例示的な意味で見なされるべきであり、すべてのそのような改変は、その範囲内に含まれることが意図される。同様に、利益を、他の利点、及び問題の解決策が、様々な実施形態に関して上述されてきた。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及びいずれかの利益、利点、又は解決策を生じさせ得るか又は更に明白になり得るいかなる要素も、重要であるか、必要とされるか、又は必須である特徴又は要素であるとして解釈されるものではない。
【0048】
本発明の原則から逸脱することなく上記実施形態の詳細に多くの変更を加えられてもよいことを、当業者は理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の請求項によってのみ判定されるべきである。