特許第6704494号(P6704494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6704494
(24)【登録日】2020年5月14日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】エアノズル
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/02 20060101AFI20200525BHJP
   F26B 5/00 20060101ALI20200525BHJP
   B05B 3/06 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B08B5/02 Z
   F26B5/00
   B05B3/06 Z
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-141587(P2019-141587)
(22)【出願日】2019年7月31日
【審査請求日】2019年8月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115935
【氏名又は名称】イースタン技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】奥脇 久男
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−187530(JP,A)
【文献】 特開2004−148303(JP,A)
【文献】 特開平05−329404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−3/18
B05B 7/00−9/08
B08B 1/00−1/04
B08B 5/00−13/00
F26B 1/00−25/22
B05D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向一端が開口された円筒ハウジング部と,該円筒ハウジング部の軸方向他端側接続されると共に内部に円筒状貫通部が形成された固定ベース部とを有する固定本体と、空気流路が形成された回転ベース部と,該回転ベース部に装着されると共に該回転ベース部の回転方向に沿い且つ該回転ベース部の軸芯線に対して空気噴射方向の傾斜角度を有する構成とした噴射管部と,該噴射管部の先端が挿通する噴射用孔部が形成され前記回転ベースに装着される円板部とを有し前記固定本体内で回転自在とされる回転本体と、該回転本体に固着される回転板部と該回転板部に装着されると共に、該回転板部で外端部より出入自在とし前記円筒ハウジング部の内周側面を当接可能とした回転規制部とを有する回転規制体とを備え、前記回転規制部は、前記回転規制体に、回転自在に軸支される円筒形状のローラを備え、前記回転本体の回転による遠心力にて前記ローラは、前記円筒ハウジング部の内周側面に当接する構成としてなることを特徴とするエアノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のエアノズルにおいて、前記回転規制体の前記回転板部は、平帯板状の回転主板部として形成され、前記ローラは前記回転主板部の長手方向両端から出入する構成としてなることを特徴とするエアノズル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエアノズルにおいて、前記ローラを回転自在に支持する軸支部材が備えられ、前記回転板部には軸支長孔が形成され、前記軸支部材は前記軸支長孔に沿って移動するように挿入されてなることを特徴とするエアノズル。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のエアノズルにおいて、前記回転規制部は前記ローラを支持する揺動片とを有し、該揺動片は前記回転板部に揺動自在に枢支連結されてなることを特徴とするエアノズル。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記ローラは、前記回転板部の長手方向両側に設けられてなることを特徴とするエアノズル。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5の何れか一方の記載のエアノズルにおいて、前記回転ベース部には、内部に空隙部が設けられ且つ前記回転ベース部の外周に沿って連続する容器部が具備されてなることを特徴とするエアノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造過程又は製造完了した製造物に対して洗浄液での洗浄による残留液或いは付着した切粉,塵,油汚れ等をエア(空気)噴射の圧力にて吹き飛ばし、製造物の表面をクリーニングするエアノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の製造物の製造過程において、その最終段階で、洗浄液で洗浄が行われた後に、洗浄された後に製造品の表面に残留した水分を除去し、乾燥させる必要がある。この製造物から水分を除去し乾燥させるまでの工程は、製造物の製造効率を向上させるためにも短時間であることが要求される。製造物の洗浄行程における、乾燥行程は、通常は、高圧のエア噴射によって、製造物の表面に残留した液を吹き飛ばすようにして乾燥させている。
【0003】
また、機械部品の製造の業界などでは、機械部品等の製造過程において製造物の表面に付着した切粉、塵或いは残留した切削油或いは離型剤等を洗浄液で洗浄した後でエアー・ガンで吹き飛ばして除去したり、或いは洗浄液で洗浄することなくエアー・ガンで吹き飛ばして除去することが一般的に行われている。
【0004】
ここで、洗浄液による洗浄行程及びその後の乾燥行程が必要な製造物として、具体的には、樹脂成型品で、食品,衣類,機械部品等を収納するトレイ、及びHDD用ケース及び該HDD用ケースを収納するトレイ等があり、その他の樹脂成型品,機械加工品等が存在する。なお、トレイの具体例として、コンビニエンスストア又はスーパー等で販売されるお弁当を収納する樹脂製の容器が存在する。また、トレイとして、半導体チップを出荷する工程で、半導体チップを保護するための容器があり、このようなトレイも温水シャワーで洗浄することがあり、このようなものが乾燥作業行程の対象となる。
【0005】
そして、機械製造業では、その生産現場において、前述した製造物の油汚れ,切粉,くずを、洗浄液を噴射して洗浄し、次いでエアーによって水分を吹き飛ばし、このような洗浄と乾燥を行うことが頻繁に行われている。特に、製造過程における製造物の洗浄液を吹き飛ばすための装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018−187530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の洗浄装置において、例えばエアガン等が存在する。トレイ等の表面に凹凸のある製造物から切粉、塵或いは残留した切削油等の残留物を取り除くため洗浄液等にて洗浄後、前述のエアガンによって、表面の大部分に残った水分を乾燥させることはできるものであった。しかし、製造物の凹凸表面の窪んだところに残留する洗浄液の水切りを略完全に行うことは困難であった。
【0008】
そのために、洗浄液の水切りを略完全に行うために、製造物を立掛けた状態とし、製造物から洗浄液が自然に下方に落下して流れ出すように搬送する、又は長時間、エアーを噴きつける、或いはエアーの温度を上げるなどさまざまな手段がとられている。しかし、これらの作業は、極めて非効率的であり、製造物の洗浄行程にかなりの時間が占められることになる。
【0009】
そして、このような洗浄,乾燥の手段では多くの作業員が必要であり、またコンプレッサ等の関連機器も大量に必要とするため、設備を拡張させなくてはならず、自動化及びコスト面でも大きな負担となる。最近の洗浄装置においては、上記問題点を解決することはできるものの、製造物の表面はもちろん、溝,孔等の窪んだ箇所に残留する液,塵を積極的に掻き出し、容易に水切りを完全に行うことができるとは言えず、さらなる開発が要求されている。
【0010】
さらに、特許文献1における回転波動ノズルのように、ノズルからの空気噴射による、噴射力の分力である回転力にて回転体と共に噴射部分が回転し、洗浄後の乾燥作業で、波動状或いは間欠状の空気噴射を当てて洗浄液等の水分を吹き飛ばすものが開発されている。そして、この種のものでは、図11の回転体の回転数と乾燥品質の関係を示すグラフに見られるように、回転体の回転数(回転速度)が過剰に上昇し、一定の回転数を越えたあたりから空気噴射の波動性或いは間欠性効果が劣化し、連続的な空気噴射となり、乾燥品質(乾燥作業性能と呼んでもよい)が劣化する現象が生じることがある。
【0011】
特許文献1では、従来の同種のものに対して、以下のような問題点が提示されている。この問題点を記載すると、回転波動ノズルは、回転軸が軸受で回転自在に支持されているので、低圧の圧縮空気でも容易に回転できるため、回転数が上がり易いという特性を有している。そして、高回転数では乾燥品質が悪くなるとされている。つまり、回転波動ノズルの回転数と乾燥品質との間には、回転数がその最適値を超えて上昇すると、液滴を効率よく吹き飛ばすことが困難になる。
【0012】
そして、回転数がその最適値に達するまでは、回転波動ノズルは、圧縮空気を波動状(周期的、間欠的)にワークに吹き付けているため、液滴を効率よく吹き飛ばすことが可能であるとされている。しかし、回転数がその最適値を超えてしまうと、波動状に吹き付けられる圧縮空気の間隔が次第に短くなっていき、やがて圧縮空気が波動を生じなくなる。これでは、圧縮空気を連続的に噴射することと等しくなるため、乾燥品質が低下することになると指摘されている(図13参照)。さらにまた、回転波動ノズルの回転数が高くなると、軸受の寿命が短くなり、騒音も大きくなるという問題も指摘されている。
【0013】
特許文献1では、このような、回転体の回転数(回転速度)の過剰な上昇を抑制するための回転数抑制手段が具備されている。しかしながら、特許文献1における回転数抑制手段は、その構造が極めて複雑であり、そのために製造が困難で且つ高価なものとなるおそれが十分にある。
【0014】
そこで、本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、部品の表面はもちろん窪んだところに残留する水分も積極的に掻き出し、付着した液体の水切り又は付着した油及び塵が混じった油汚れを容易に吹き飛ばし、また切粉等の粉塵を吹き飛ばすことを効率的に行い、さらに、過剰に回転数が上昇することを抑制するための手段を極めて簡単な構成としたエアノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、請求項1の発明を、軸方向一端が開口された円筒ハウジング部と,該円筒ハウジング部の軸方向他端側接続されると共に内部に円筒状貫通部が形成された固定ベース部とを有する固定本体と、空気流路が形成された回転ベース部と,該回転ベース部に装着されると共に該回転ベース部の回転方向に沿い且つ該回転ベース部の軸芯線に対して空気噴射方向の傾斜角度を有する構成とした噴射管部と,該噴射管部の先端が挿通する噴射用孔部が形成され前記回転ベースに装着される円板部とを有し前記固定本体内で回転自在とされる回転本体と、該回転本体に固着される回転板部と該回転板部に装着されると共に、該回転板部で外端部より出入自在とし前記円筒ハウジング部の内周側面を当接可能とした回転規制部とを有する回転規制体とを備え、前記回転規制部は、前記回転規制体に、回転自在に軸支される円筒形状のローラを備え、前記回転本体の回転による遠心力にて前記ローラは、前記円筒ハウジング部の内周側面に当接する構成としてなるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。
【0016】
請求項2の発明を、請求項1に記載のエアノズルにおいて、前記回転規制体の前記回転板部は、平帯板状の回転主板部として形成され、前記ローラは前記回転主板部の長手方向両端から出入する構成としてなるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2に記載のエアノズルにおいて、前記ローラを回転自在に支持する軸支部材が備えられ、前記回転板部には軸支長孔が形成され、前記軸支部材は前記軸支長孔に沿って移動するように挿入されてなるエアノズルとしたことにより上記課題を解決した。
【0017】
請求項4の発明を、請求項1又は2に記載のエアノズルにおいて、前記回転規制部は前記ローラを支持する揺動片とを有し、該揺動片は前記回転板部に揺動自在に枢支連結されてなるエアノズルとしたことにより上記課題を解決した。
【0018】
請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記ローラは、前記回転板部の長手方向両側に設けられてなるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5の何れか一方の記載のエアノズルにおいて、前記回転ベース部には、内部に空隙部が設けられ且つ前記回転ベース部の外周に沿って連続する容器部が具備されてなるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明では、回転本体に固着される回転板部と該回転板部に装着されると共に、該回転板部で外端部より出入自在とし前記円筒ハウジング部の内周側面を当接可能とした回転規制部とを有する回転規制体とを備え、回転本体の回転による遠心力にて前記回転規制体の前記回転規制部が、前記円筒ハウジング部の内周側面に当接可能とし、回転本体の回転による遠心力にて前記回転規制体の前記回転規制部は、前記円筒ハウジング部の内周側面に当接する構成としたものである。
【0020】
そして、回転本体の回転数(回転速度)が過剰に増加することで、遠心力が次第に増加し、回転規制部の円筒ハウジング部の内周側面に対する当接の圧力も増加する。そして、乾燥能力が低下し始める過剰な回転数に到達しようとする以前に、回転規制部の円筒ハウジング部の内周側面に対する当接の圧力が増加し、これが回転本体の回転に対する抵抗となって作用する。これによって、回転本体は乾燥品質が劣化する過剰な回転数とならないように抑制し、回転本体が適正な回転数(回転速度)を維持できるようにすることができる。
【0021】
したがって、本発明のエアノズルは、製造物に付着した(洗浄液等の)液体や、塵埃,油汚れ等の吹き飛ばしの効果を最良なものとし乾燥品質を極めて良好なものにできる。従来の乾燥用のエアノズルは、回転本体の回転数(回転速度)が過剰に増加しすぎることによって、エアノズルの空気噴射による製造物に対する乾燥品質或いは乾燥作業の効率が劣化することがあり、本発明のエアノズルは、このような不都合を解決したものである。さらに、前記当接部材は回転自在としたローラとした構成により、ローラが回転しつつ、円筒ハウジング部の内周側面に当接且つ圧力をかけるので、騒音が発生し難く、且つ円滑に回転数(回転速度)の規制ができる。
【0022】
請求項2の発明では、前記回転規制体の前記回転板部は、帯状板として形成され、前記回転規制部は前記帯状板の長手方向両端から出入する構成としたことにより、部品の小型化及び軽量化にすることができし、極めて簡単な構成にできる。請求項3の発明では、前記回転規制部は当接部材と、該当接部材を支持する軸部材とを備え、前記回転板部には長孔が形成され、前記軸部材は前記軸支長孔に挿入される構成により、より一層簡単な構成にできる。請求項4の発明では、前記回転規制部は当接部材と、該当接部材を軸支する揺動片とを有し、該揺動片は前記回転板部に揺動自在に枢支連結されてなる構成により安定した回転規制を行うことができる。
【0023】
請求項5の発明では、前記回転規制体の回転規制部は回転板部の長手方向両側に設けられてなる構成としたことにより、バランスの取れた回転数(回転速度)の規制ができる。
【0024】
請求項6の発明では、上側エアノズルユニットのエアノズルに容器部が具備されているので、エアノズルに装着されている軸受等の部品でグリース等の潤滑剤(油)が使用されているものでは、その潤滑剤(油)が漏れ出しても、前記容器部内の空隙部に貯蔵され、エアノズルの外部に潤滑剤(油)が漏れ出すことを防ぎながら、乾燥作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(A)は本発明の第1実施形態における縦断正面図、(B)は本発明における第1実施形態の開口側から見た一部切除した平面図である。
図2】(A)は本発明の第1実施形態における開口側より見た回転本体の斜視図、(B)は本発明の第1実施形態における後方側より見た一部切除した斜視図である。
図3】(A)は本発明の第1実施形態における回転本体の分解した縦断側面図、(B)は本発明の第1実施形態における回転規制体の平面図である。
図4】本発明の第1実施形態の固定本体の分解した縦断側面図である。
図5】(A)は第1実施形態のエアノズルにおいて停止又は通常回転数の状態を示す開口側から見た円板部を外した状態の図、(B)は第1実施形態のエアノズルにおいて過剰の回転数の状態を示す開口側から見た円板部を外した状態の図である。
図6】(A)は本発明の第2実施形態における縦断正面図、(B)は本発明における第1実施形態の開口側から見た一部切除した平面図、(C)は回転規制部の第2実施形態の要部断面図である。
図7】(A)は第2実施形態のエアノズルにおいて停止又は通常回転数の状態を示す開口側から見た円板部を外した状態の図、(B)は第2実施形態のエアノズルにおいて過剰の回転数の状態を示す開口側から見た円板部を外した状態の図である。
図8】(A)は本発明における4個のエアノズルがベースに装着された平面図、(B)は(A)のX1−X1矢視断面図、(C)は本発明における2個のエアノズルがベースに装着された平面図である。
図9】(A)は本発明におけるエアノズルのエア(圧縮空気)及び空気噴射の流れを示す開口側より見た断面図、(B)は(A)の(α)部拡大図である。
図10】(A)は本発明のエアノズルをエア噴射乾燥システムに適用した縦断側面略示図である。
図11】エアノズルの回転数と乾燥品質の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明のエアノズルAnは、基本的な構成として、主に固定本体A1と回転本体A2と回転規制体A3を備えたものである(図1図6参照)。回転本体A2には噴射管部4が備わり、該噴射管部4の先端(先端噴射口41)は、回転ベース部3の回転方向に沿い且つ該回転ベース部3の軸芯線Lに対して空気噴射方向の傾斜角度θを有する構成としたものである。なお、傾斜角度θは、噴射角度θと称しても良い。
【0027】
回転規制体A3は、エアノズルAnの回転本体A2の回転数(回転速度)が過剰に上昇し、空気噴射の波動性或いは間欠性効果が劣化し、連続的な空気噴射となり、乾燥品質(乾燥作業性能と呼んでもよい)が劣化することが生じないように、回転数(回転速度)が一定以上の速度とならないように規制する役目をなすものである。
【0028】
以上の構成を備えたエアノズルAnは、前記回転規制体A3の構成によって、複数の実施形態が存在する。まず、エアノズルAnの実施形態において共通する構成の説明を行い、その後で各実施形態における構成について説明する。前記固定本体A1は、非回転の構造物であり、該固定本体A1に対して前記回転本体A2は、固定本体A1に回転自在となる構造にて装着されたものである(図1乃至図4等参照)。なお、本発明では、エアノズルAnより噴射される空気の気体は、主に普通の空気であるが、種々の種類の気体も含まれる。また、以下説明において空気とした文言は、気体と称しても良い。
【0029】
固定本体A1は、主に固定ベース部1と円筒ハウジング部2とから構成されている(図1図6参照)。ここで、本発明において、エアノズルAnは、軸方向において「開口側」と「後方側」とを有する(図1図6等参照)。また、前記開口側については、前方側と称しても良い。軸方向は、回転本体A2が回転するときの回転中心となる軸芯の線方向のことを言う。回転中心となる軸芯の線のことを回転本体A2の軸芯線Lと称する。また、軸芯線Lは、エアノズルAn全体の軸芯線でもあり、よって、該軸芯線Lは、回転本体A2を構成する回転ベース部3及び円板部5にも適用される。軸芯線Lは、主要な図に記載されている。
【0030】
エアノズルAnを構成する固定本体A1と回転本体A2と回転規制体A3は、固定本体A1に回転本体A2,回転規制体A3が組み込まれた状態で、それぞれの軸芯が前記軸芯線Lに一致する状態であり、前記開口側(前方側)及び前記後方側の位置が決定される。なお、軸芯線Lは、固定本体A1の軸芯にも適用される。つまり、固定本体A1に回転本体A2を装着した状態で、それぞれの中心は軸芯線Lに一致又は略一致する(図1参照)。
【0031】
固定ベース部1は、固定円筒部11と接続用固定フランジ部12とを有する〔図1図2(A)参照〕。固定円筒部11は、略中空円筒形状に構成されたものであり(図1乃至図3参照)、後述する回転本体A2の円筒回転板部3が軸芯線Lを回転の軸として回転自在となるように装着される。固定円筒部11は、前述したように、略中空円筒形状であり、円筒形状における軸芯線Lに沿う軸方向両側が開放された円筒状貫通部11bを有する。固定円筒部11の後方側端部の開口周縁には、内ネジが形成されたネジ孔11cが前記周縁に沿って等間隔に形成されている。
【0032】
接続用固定フランジ部12は、固定円筒部11内と、回転本体A2との間に装着される軸受34とスペーサ35とを収納配置するときの蓋としての役目と、後述するエアノズルベース81にエアノズルAnを装着するための接続部材としての役目をなす(図1図6参照)。接続用固定フランジ部12は、固定円筒部11の軸方向一端にビス等の複数の固着具13にて固着される。接続用固定フランジ部12は、環状の円板形状に形成され前記固定円筒部11の外径寸法よりも大きい。接続用固定フランジ部12には固定貫通孔12a,接続孔12b及び接続孔12cが形成されている。固定円筒部11と接続用固定フランジ部12との連結には固着具13と接続孔12bとネジ孔11cとによって行われる。
【0033】
円筒ハウジング部2は、前記固定ベース部1の固定円筒部11よりも直径が大きく形成されたものであり、円筒状の容器形状をなしている(図1図4参照)。該円筒ハウジング部2は、円筒状側壁板部21と閉鎖板部22とを有し、軸方向の一端側で且つ前記閉鎖板部22と反対側が開口部2aとなっている。そして、前述したように、固定本体A1の円筒ハウジング部2の開口している側を開口側(前方側)とし、軸芯線Lに沿う軸方向において反対側を後方側とする(図1乃至図3等参照)。
【0034】
円筒ハウジング部2の閉鎖板部22側には、前記固定ベース部1の固定円筒部11の軸方向一端が挿入する貫通孔22aが形成され、固定円筒部11と、円筒ハウジング部2の閉鎖板部22とが溶接等の固着手段にて固着される。このとき、固定円筒部11の軸方向一端側の一部は、円筒ハウジング部2の閉鎖板部22に喰い込む状態である〔図1図2(A)参照〕。つまり、固定円筒部11の軸方向一端の一部が円筒ハウジング部2内に入り込んでいる。
【0035】
そのために固定円筒部11の軸方向開口側(前方側)寄りの外周側面は、直径が小さくなる小径部となり、その段差となる段差部11aが存在する。段差部11aは、固定円筒部11の小径部を円筒ハウジング部2の閉鎖板部22の貫通孔22aに挿入接続するためのストッパ及び位置合せの役目をなしている。
【0036】
次に、回転本体A2は、回転ベース部3と、噴射管部4と、円板部5とを有する〔図1(A),図6(A)等参照〕。回転ベース部3は、回転円筒部31と回転フランジ部32とから構成される〔図3(A)参照〕。回転円筒部31は、円筒カップ状に形成され、円筒側面部31aと先端面部31bから構成される。円筒側面部31aは、回転円筒部31の外周を構成し、先端面部31bは、回転円筒部31の軸方向開口側(前方側)を閉鎖する部位である。回転円筒部31の内部は円筒状の空隙とした空気流路31sが形成されている。
【0037】
回転円筒部31の後方側は、開口された空気入口31dとなっている。回転円筒部31の先端面部31b側箇所或いはその付近には、内部と外部との間を貫通する貫通孔とした空気排出部31cが形成されている。該空気排出部31cは、後述する噴射管部4の付根部4jが挿入され、該噴射管部4の内部と前記空気流路31sとを連通させる部位である。回転円筒部31の軸方向後方側には、回転フランジ部32がビス等の固着具33にて固着される〔図1図3(A)参照〕。回転フランジ部32は、前記固定本体A1に装着されたときに、該固定本体A1の接続用固定フランジ部12に回転自在に係止し、安定した状態で回転本体A2が回転できるようにする役目をなす。
【0038】
回転フランジ部32は、環状円板状をなし、空気入口孔32aが形成され、該空気入口孔32aの周縁に接続孔32bが形成されている。回転円筒部31の軸方向後方側の端面にはネジ孔31eが形成され、回転フランジ部32が回転円筒部31に、接続孔32b,ネジ孔31e及び固着具33により固着される(図1図3参照)。回転フランジ部32の外周縁は、固定本体A1の接続用固定フランジ部12の固定用貫通孔12aの内周縁に回転自在に係止できるようになっている(図1参照)。
【0039】
噴射管部4は、前記回転円筒部31に1又は2以上が装着されている(図1図6参照)。本発明における説明では、噴射管部4は2として説明する。噴射管部4は、空気を流通させて、洗浄用の空気噴射と、回転本体A2を回転させる回転力となる推進用の空気噴射を発生させる管部材である。噴射管部4の一端である付根部4jが回転円筒部31の空気排出部31cに配置又は挿入される(図9参照)。そして、噴射管部4の先端噴出口41付近は、回転本体A2が設定された回転方向に回転する方向とは反対方向で、且つ回転ベース部3は、回転ベース部3の回転方向に沿って且つ軸芯線Lに対して傾斜角度θを有する構成である。
【0040】
回転本体A2の回転方向は、エアノズルAnの開口側(前方側)より見て時計方向又は半時計方向の何れかに設定される。そして、先端噴出口41から噴射される空気(エア)の噴射力をFとするとこのFの方向は、エアノズルAnの軸芯線Lに対して角度θの傾きとなる〔図4(C)参照〕。したがって、乾燥(洗浄)するための乾燥噴射力はFcosθとなる。また、回転本体A2を回転させるための回転推進力はFsinθとなる〔図1(A)参照〕。
【0041】
このように、エアノズルAnの回転本体A2は、噴射管部4の先端噴出口41から噴射される空気(エア)の噴射力Fから生じる分力である回転させるための回転推進力Fsinθによって、回転本体A2を回転させることができる。その傾斜角度θは、最小角度の範囲は約10度程度で、最大角度は約30度程度である。好ましくは最小角度〜最大角度の範囲は約15度乃至役20度程度であり、好適には約15度程度である。
【0042】
噴射管部4は、直線状部4aと屈曲状部4bと、付根部4jとからなる。直線状部4aと屈曲状部4bとの連続する部分は、緩やかに連続形成されており、該屈曲状部4bの先端は、先端噴出口41が位置し、前記直線状部4aの先端は付根部4jが位置している。該付根部4jは、空気排出部31cに配置又は挿入され、前記屈曲部4bの軸芯線Lに対する傾斜角度によって、前記先端噴出口41の噴射方向の傾斜角度が設定される。
【0043】
円板部5は、噴射管部4の先端噴出口41の噴射エアが通過可能としたものである。そして、円板部5は、回転ベース部3の回転円筒部31の先端面部31bに、円板部5と回転ベース部3との回転中心が一致又は略一致するように接続される。このとき、該先端面部31bと前記円板部5との間には、所定間隔を設けるために円筒状のカラー部53が設けられ、先端面部31bと円板部5とカラー部53とがビス等の固着具54にて固着される。
【0044】
円板部5の直径中心位置には、取付用貫通孔5nが形成され、該取付用貫通孔5nにビス等の固着具54の螺子部が貫通され、カラー部53の螺子孔に固着具54が螺合される。回転本体A2において、円板部5及び噴射管部4は、回転ベース部3を軸芯線Lに沿う回転軸として回転動作を行うものである。また、前記カラー部53は、回転ベース部3の回転円筒部31の先端面部31bに、一体形成されることある〔図8(A)参照〕。
【0045】
円板部5は、固定本体A1の円筒ハウジング部2の開口部2aの開口周縁よりも軸方向後方側に位置するように設定される。そして、円板部5は、円筒ハウジング部2の開口部2aよりも内方側、つまり円筒ハウジング部2の後方側に位置する構造となる。そして、円筒ハウジング部2の開口部2aと、円板部5とによって、開口部2aから深さ寸法Hとなる略扁平円筒状の空隙室Sが円筒ハウジング部2の開口側に形成される(図1参照)。
【0046】
前記深さ寸法Hは、空隙室Sの容積を設定する量であり、深さ寸法Hを適宜調整することで、容積も適宜設定できる。具体的には、空隙室Sの深さ寸法Hは、円筒ハウジング部2の全体の高さに比較して僅かな量である。さらに、円板部5の外周縁5aは円筒ハウジング部2の円筒状側壁板部21の内周側に非接触状態となるように設置されている。
【0047】
円板部5には、外周縁側寄りの位置に、噴射用孔部51が形成されている。該噴射用孔部51は、噴射管部4の個数と同数が円板部5に形成される。噴射用孔部51には前記噴射管部4の先端噴出口41が位置する。具体的には、噴射管部4の先端噴射口41が噴射用孔部51を貫通する。その貫通する状態は、先端噴射口41が噴射用孔部51に僅かで量でも貫通していればよい。
【0048】
また、噴射管部4の先端噴出口41は、円筒ハウジング部2の開口部2aを超えない構成となっている(図1参照)。つまり、噴射管部4の先端噴出口41は、円筒ハウジング部2の開口部2aを越えることなく、内方に位置し、外方に突出することはない。噴射用孔部51は、楕円形状の貫通孔としたり、先端噴射口41の噴射用孔部51に貫通する部分よりも一回り大きく形成されたり、或いは図示しないが、円板部5の外周縁で開放された部分を有する略U字形状の切り欠きとすることもある。
【0049】
本発明におけるエアノズルAnにおける固定本体A1と回転本体A2との組付けについて説明する。エアノズルAnには2個の軸受34が備わっている。まず、固定本体A1において固定ベース部1の軸方向の後方側の開口箇所から第1の軸受34が挿入され、次いでスペーサ35が挿入され、次いで、第2の軸受34が挿入される。
【0050】
次に、回転本体A2の回転ベース部3が第1及び第2の軸受34の内周側に挿入される。スペーサ35は、2個の円筒状リングであって、その1つは固定本体A1の固定円筒部11の円筒状貫通部11bの内周側に沿うようにして装着され、他の1つは回転本体A2の円筒回転板部3の円筒側面部31aに沿うように装着される(図1参照)。
【0051】
そして、固定本体A1の固定ベース部1の後方側端部に接続用固定フランジ部12がビス等の固着具13によって固着され、第1,第2の軸受34及びスペーサ35が固定本体A1の固定ベース部1と、回転本体A2の回転ベース部3との間に固定される。さらに、前記接続用固定フランジ部12の固定貫通孔12a箇所で、且つ回転本体A2の回転円筒部31の後方側端に回転フランジ部32がビス等の固着具33にて固着される。これによって、固定本体A1に対して回転本体A2が回転自在に装着され、該回転本体A2は軸芯線Lを回転中心線として回転する(図1図3参照)。
【0052】
回転本体A2には、内部に空隙部36bが設けられた扁平円筒形状の容器部36が具備される実施形態が存在する(図1図3参照)。容器部36は、略ドーナツ或いは浮き輪状に形成されたものであり、内部が中空状の空隙部36bを有するものである。該容器部36は、回転本体A2の回転ベース部3に固着され且つ固定本体A1の円筒ハウジング部2の閉鎖板部22側寄りの位置に設置される。
【0053】
容器部36は、回転本体A2と共に回転する。容器部36には、円筒ハウジング部2の閉鎖板部22側に近接する面に環状の挿入用貫通孔36aが形成されており、該挿入用貫通孔36aに前記固定本体A1の固定円筒部11の軸方向開口側の先端部分が挿入する構成である(図1図3参照)。容器部36の挿入用貫通孔36aの内周縁と固定ベース部1の固定円筒部11の外周との間には隙間を生じるようにしており、相互に非接触である。固定円筒部11の軸方向開口側の先端部分には、固定本体A1と回転本体A2との間に設けられる軸受34が配置されている。
【0054】
つまり、固定本体A1と回転本体A2との間に装着された軸受34の位置する箇所の周囲が、容器部36によって包囲されると共に環状の空隙部36bが存在する構成となっている(図1図3参照)。そして、軸受34のグリース又は潤滑用オイル等が漏れ出して、固定本体A1と回転本体A2との間から垂れ落ちた油分を、容器部36の空隙部6b内に溜めることができる〔図9(B)参照〕。つまり容器部36は、漏れ出したグリース又は潤滑用オイルのための溜め容器である。これによって、油分の汚れが円筒ハウジング部2内に拡散しないようにすることができるとともに、製造物9の乾燥作業で、該製造物9を汚してしまうことを防止できる。エアノズルAnには容器部36は装着されなくても構わない。
【0055】
次に、一般的な乾燥作業に使用されるエアノズルは、エア噴射の管が設けられた回転板部分が軸受で支持されており、円滑な回転性能を有しているので、前記回転板部分の回転数(回転速度)が上昇し易いものである。特に、回転数(回転速度)が過剰に上昇しすぎた高回転数域では乾燥品質或いは乾燥効率が劣化するという問題がある。すなわち、エアノズルAnの回転板部分の回転数と乾燥品質との間には、回転数(回転速度)おける回転数がその最適値に到達するまでは、乾燥効率又は乾燥品質は向上してゆくが、回転速度おける回転数がその最適値を越えて上昇し続けると、液滴を効率よく吹き飛ばすことが困難になる(図11参照)。
【0056】
つまり、回転数がその最適値に達するまでは、圧縮空気を波動状(周期的、間欠的)にワークに吹き付けることができ、液滴を効率よく吹き飛ばすことができる。しかし、回転数(回転速度)が過剰に上昇し、回転数がその最適値を超えると、波動状に吹き付けられる圧縮空気の間隔が次第に短くなっていき、やがて、圧縮空気が波動を生じなくなる。これでは、圧縮空気を連続的に噴射することに等しいため、乾燥品質及び乾燥作業効率が低下することになる。また、回転波動ノズルの回転数が高くなると、軸受の寿命が短くなり、騒音も大きくなるという問題がある。
【0057】
回転規制体A3は、本発明におけるエアノズルAnの回転本体A2の回転数(回転速度)が一定の速度以上とならないように、回転本体A2の回転数(回転速度)を規制する役目をなすものである。回転規制体A3には、複数の実施形態が存在するが、共通する基本的な回転規制体A3の構成は、回転板部6と回転規制部7を備えたものである。前記回転板部6は、回転本体A2に固着され、回転本体A2と共に回転する。回転規制部7は、前記回転板部6に装着されると共に、該回転板部6で外端部より出入自在とし、前記円筒ハウジング部2の円筒状側壁板部21の内周側面21aを押圧可能としたものである〔図1(B),図6(B)参照〕。
【0058】
回転規制体A3の第1実施形態を図1乃至図3等に基づいて説明する。回転板部6は、比較的薄板状で且つ略長方形状の平帯状として形成された回転主板部61である〔図1図2図3(B)等参照〕。該回転主板部61の長手方向の両端付近には、回転主板部61の長手方向中間位置には取付用貫通孔61aが形成されている〔図3(B)参照〕。また、回転主板部61の長手方向両側端部付近には、該回転主板部61の長手方向に沿って軸支長孔61bが形成されている〔図2(B),図3(B)参照〕。
【0059】
回転規制部7は、当接部材71と、当接部材を支持する軸支部材72とを備えており、当接部材71に軸支部材72が装着されている。当接部材71には支持孔71aが形成されている。軸支部材72は、前記軸支長孔61b及び当接部材71の支持孔71aに挿入され、軸支部材72が、前記軸支長孔61bをその長手方向に沿って移動できるようになっている。そして、軸支部材72と共に当接部材71が軸支長孔61bの長手方向に沿って移動することができるようになっている〔図3(B)参照〕。回転主板部61には、2つの当接部材71,71が設けられるものである。軸支部材72は、具体的には、ビス等のネジ軸72aが使用され、ナット72b,座金72cが用いられることもある〔図3(A)参照〕。
【0060】
回転規制体A3は、回転本体A2の回転ベース部3に固着され、固定本体A1の円筒ハウジング部2の内部で且つ円板部5よりも円筒ハウジング部2の内部に収納される構成となる(図1参照)。具体的には、回転規制体A3の回転主板部61は、回転ベース部3の先端面部31bにカラー部53を介して回転本体A2に固着される。さらに、具体的にはカラー部53が軸方向に沿って2部材構成とされ、2部材としたカラー部53の間に挟持されるようにして、回転規制体A3の回転主板部61が配置され、これら2部材としたカラー部53と、回転主板部61の取付用貫通孔61aと、円板部5の取付用貫通孔5nにビス等の固着具54が挿通されて、回転ベース部3の先端面部31bに固着される〔図1(A),図3等参照〕。
【0061】
回転規制部7の当接部材71は、円筒形状のローラ711とし、直径方向の中心に支持孔71aが形成され、該支持孔71aに軸支部材72のネジ軸72aが挿通され、ローラ711が回転主板部61等とした回転板部6に対して回動自在に装着される。ローラ711は、その材質として合成樹脂又は硬質又は軟質のゴムが好適である。軸支部材72は、前述したように、ネジ軸72a,ナット72b,座金72cが使用され、軸支部材72が軸支長孔61bに沿って移動し、これと共にローラ711も軸支長孔61bの長手方向に沿って移動する。
【0062】
回転規制体A3は、エアノズルAnの稼働時において、回転本体A2と共に回転板部6(回転主板部61)が固定本体A1の円筒ハウジング部2の内部で回転する。回転規制部7は、回転本体A2が停止しているとき、或いは回転数(回転速度)が通常又は小さいときでは、回転板部6(回転主板部61)に対して外方に移動しない〔図5(A)参照〕。
【0063】
そして、回転本体A2の回転数(回転速度)が、適正な回転数を越えて過剰な回転数(回転速度)になると、遠心力によって回転板部6(回転主板部61)の長手方向両側の回転規制部7が、回転板部6(回転主板部61)の長手方向両側端より、さらに外方に突出するように移動する。回転規制部7が円筒ハウジング部2の円筒状側壁板部21の内周側面21aに当接し、該内周側面21aを押圧可能としたものである。
【0064】
そして、遠心力の増加によって、回転規制部7の円筒ハウジング部2の内周側面21aに対する当接状態における圧力が増加する。そして、乾燥能力が低下し始める過剰な回転数に到達しようとする以前に、回転規制部7の円筒ハウジング部2の内周側面21aに対する当接の圧力の増加により、回転本体A2の回転に対する抵抗となって作用する〔図5(B)参照〕。これによって、回転本体A2は、乾燥品質が劣化する過剰な回転数とならないように抑制し、回転本体A2が適正な回転数(回転速度)を維持し、乾燥品質を良好にすることができる。
【0065】
また、回転規制部7をローラ711とした場合には、該ローラ711が円筒ハウジング部2の内周側面21aに回転自在に当接する。そして、回転本体A2の回転数(回転速度)が一定の速度を超えようとすると、円筒ハウジング部2の内周側面21aに当接しているローラ711は、回転しながら遠心力の増加にてローラ711は円筒ハウジング部2の内周側面21aを押圧する力が増加する。
【0066】
このように、回転規制体A3のローラ711は回転しながら、円筒ハウジング部2の内周側面21aに当接且つ圧力をかけるので、騒音が発生し難く、且つ円滑に回転本体A2の回転数(回転速度)の規制ができる。回転規制部7(ローラ711)による抵抗力も増加し、回転本体A2が一定以上の回転数(回転速度)とならないように、回転本体A2に対する速度規制が行われる。
【0067】
次に、回転規制体A3の第2実施形態について、図6図7に基づいて説明する。この第2実施形態では、回転規制部7は当接部材71と揺動片73とを有している。揺動片73は、当接部材71を回転自在に軸支している。そして、揺動片73は、前記回転板部6に揺動自在に枢支連結されている。この枢支連結された部分は枢支部7pと称する。回転板部6は、第1実施形態と同様に略平帯板状の回転主板部61が使用される。具体的には、回転主板部61の長手方向両側端部付近に枢支孔61cが形成されている。揺動片73は、回転主板部61の長手方向の長さに比較して短く形成された平帯板である。
【0068】
揺動片73の長手方向の一端には、枢支孔73aが形成されている。そして、回転主板部61の枢支孔61cと、揺動片73にも枢支孔73aとが枢支部材74にて連結される。枢支部材74は、ビス等のネジ軸74aが使用され、ナット74b,座金74cが用いられることもある。このようにして、揺動片72と回転主板部61とが枢支連結されて枢支部7pが構成される(図6図7参照)。また、揺動片72の長手方向の他端には回転規制部7の当接部材71が設けられている。
【0069】
回転規制体A3の第2実施形態において、回転規制部7の当接部材71の構成は、第1実施形態と略同様であり、円筒形状のローラ711とし、直径方向の中心に支持孔71aが形成され、該支持孔71aに軸支部材72のネジ軸72aが挿通され、ローラ711が回転主板部61等とした回転板部6に対して回動自在に装着される。ローラ711の材質は、前述したように、合成樹脂又は硬質又は軟質のゴムが好適であり、軸支部材72は、前述したように、ネジ軸72a,ナット72b,座金72cが使用されている。
【0070】
回転規制体A3の第2実施形態は、回転板部6(回転主板部61)に対して、揺動片72が枢支部7pを中心として揺動することによって、当接部材71が回転主板部61に対して出入する構成となる。そして、第2実施形態の回転規制体A3は、第1実施形態の回転規制体A3と同様に、回転本体A2の回転ベース部3に固着され、固定本体A1の円筒ハウジング部2の内部で且つ円板部5よりも円筒ハウジング部2の内部に収納される構成となる。
【0071】
第2実施形態における回転規制体A3は、エアノズルAnの稼働時において、回転本体A2と共に回転板部6(回転主板部61)が回転し、回転主板部61の長手方向両側に枢支部7pで枢支連結されている揺動片73が回転本体A2の回転時の遠心力によって、回転主板部61の長手方向両側端より、揺動しつつ外方に突出するように移動し、回転規制部7が円筒ハウジング部2の円筒状側壁板部21の内周側面21aに当接し、該内周側面21aを押圧可能としたものである。
【0072】
そして、ローラ711とした回転規制部7は、円筒ハウジング部2の内周側面21aに回転自在に当接し、当接したローラ711は回転しながら、回転本体A2の回転数(回転速度)が一定の速度を超えて過剰な回転数(回転速度)に到達しようとする以前に、遠心力の増加にてローラ711である回転規制部7が円筒ハウジング部2の内周側面21aを押圧する力が増加し、回転本体A2が一定以上の過剰な回転数(回転速度)とならないように、回転本体A2に対する速度規制が行われる(図7参照)。
【0073】
前記当接部材71は、ローラ711とする実施形態の他に、円筒ハウジング部2の内周側面21aに対して、回転しないで、単に当接し、その当接によって回転数(回転速度)上昇に対する抵抗となる非回転の部材としてもよい。この実施形態では、円筒ハウジング部2の内周側面21aとの接触面を相互に比較的円滑に接触できる材質にすることが好ましい。
【0074】
また、前記回転板部6は、回転主板部61のように略長尺な長方形状の平帯板とする実施形態以外にも、図示しないが、三角板形状、方形状又は多角形状としたり単に円板形状とすることもある。回転板部6は、三角形状の場合には、3個の角部箇所の全てに回転規制部7(ローラ711等)を設けることができる。また、回転板部6を方形板状とした場合には4個の角部箇所の全てに回転規制部7(ローラ711等)を設けることができる。
【0075】
また、回転規制部7は長手方向又は直径方向の両側端部付近ではなく、片側の端部付近に1個の回転規制部7(ローラ711等)を設ける構成としてもよい。また、回転規制体A3は、回転規制部7のみからなる構成とし、円板部5を回転板部6を兼用するものとし、円板部5に複数又は1つの支持孔71aを設け、複数又は1つの回転規制部7を設けたり、或いは円板部5の外周付近に揺動片72を複数又は1つ設けて回転規制部7とをすることもある。
【0076】
本発明では、エアノズルAnにおける回転本体A2の回転数(回転速度)が過剰に上昇しすぎることによって、上述したように、エアノズルAnの空気噴射による製造物9に対する乾燥作業の効率が劣化し、乾燥作業が上手く行かないという事態が生じることを防止し、また、回転本体A2の回転数(回転速度)が過剰に増加することで軸受や他の部材に対しても負担がかかることも防止できる。
【0077】
つまり、回転本体A2の回転数(回転速度),回転数には、適正な数値が存在する。また、製造物9の形状及びサイズによっても、回転本体A2の回転数(回転速度)を調整し最適な状態にすることが好ましい。回転規制体A3は、回転本体A2の回転数(回転速度)増加し、乾燥効率が劣化する所定の回転数(回転速度)を越えようとするときに、遠心力が増加によって、回転規制部7が円筒ハウジング部2の内周側面21aを押圧する力が増加し、回転本体A2の回転数(回転速度)の過剰な増加を規制(抑制)し、最適な回転数(回転速度)を維持することができるようにしている。そして、噴射管部4の先端噴射出口41からの空気噴射は、波動状(周期的、間欠的)にして、製造物9に吹き付けることができ、液滴を効率よく吹き飛ばすことができる。製造物9に付着した(洗浄液等の)液体や、塵埃,油汚れ等の吹き飛ばし、乾燥作業の効果を最良なものにできる。
【0078】
本発明におけるエアノズルAnは、エアノズルベース81に接続装着されてエアノズルユニットとして使用されるものである(図11参照)。具体的には、複数のエアノズルAnが、エアノズルベース81に装着されて使用されるものである。さらに、エアノズルユニットは、エア噴射乾燥システムの枠体82に組み付けられる(図12参照)。エア噴射乾燥システムの枠体82には、送風部822が備え付けられている。該送風部822は、電動コンプレッサ等の圧縮空気を製造するものであり、該送風部822からエアノズルベース81を介して該エアノズルベース81に装着されたエアノズルAnに圧縮空気が供給される(図12参照)。
【0079】
エアノズルベース81は、ベース本体811と、空気入口812と、空気供給口813と、空気室814と、取付部815とを有する(図11参照)。ベース本体811は、略筐体状に形成されており、その内部は圧縮空気が流通する空気室814を有している。複数のエアノズルAnと、エアノズルベース81からなるエアノズルユニットは、エアノズルベース81の取付部815を介して、エア噴射乾燥システムの枠体82の所定位置に装着される。
【0080】
乾燥作業エリアにボルト,ナット等の固着具を介して装着される。ベース本体811には、エアノズルAnが接続設置される平坦状の設置面部811aを有しており、該設置面部811aに、1又は2以上の空気供給口813が設けられている〔図11(B)参照〕。また、ベース本体811の背面部811b には、圧縮空気を流入させる空気入口812を有する。
【0081】
そして、送風部822によって、圧縮空気がベース本体811の空気入口812から空気室814に流入し、さらに、該空気室814から空気供給口813に圧縮空気が流れて、エアノズルAnの回転本体A2の空気入口31dから空気流路31sに流れ込む。さらに、空気流路31s内の圧縮空気が噴射管部4に流入し、先端噴出口41から軸芯線Lに対して傾斜状にエア噴出が行われ、回転本体A2が自動的に回転動作を行う。回転本体A2が自動的な回転動作を行いつつ、噴射管部4から噴射されたエア(空気)が製造物9に付着した洗浄液等の水分,油分,切粉等の塵を吹き飛ばすことができる。
【0082】
エア噴射乾燥システムは、枠体82に搬送部821が装着されている。搬送部821は、枠体82の搬送入口側から搬送出口側に向う方向に沿って配置された搬送駆動部821aと、該搬送駆動部821aによって、移動動作する搬送台821bとによって構成されている。搬送駆動部821aは、例えばコンベア等であり、モータ等の電動にて駆動する。エアノズルユニットは、エア噴射乾燥システムの搬送入口側を正面より見て、搬送部821の上下方向及び左右(幅)方向を囲むようにして設置されている。
【0083】
そして、搬送部821の上方に位置するエアノズルユニットは上下方向に位置調整可能であり、また搬送部821の左右両側に装着されるエアノズルユニットは、左右方向に間隔を調整できるようになっている。エア噴射乾燥システムによって、製造物9に付着した洗浄液等の水分,油分或いは切粉等の塵を吹き飛ばして製造物9の乾燥(洗浄ともいう)を行うときには、エア噴射乾燥システムの枠体82に装着された搬送部821によって移動を行う。
【0084】
搬送部821の搬送台821b上に載置された製造物9がエアノズルユニットの装着箇所に搬送され、そこで搬送部821の上方側,下方側,左方側及び右方側に設置されたエアノズルユニットの設置箇所を乾燥作業領域とし、製造物9を載置した搬送台821bが乾燥作業領域を通過する過程で、上側,下側,左側及び右側のそれぞれのエアノズルAnからの空気噴射にて、製造物9に付着した洗浄液及び、その前過程で落としきれなかった塵,埃或いは油汚れを吹き飛ばし、製造物9を乾燥させるものである。さらに、場合によっては洗浄も乾燥と共に行われることもある。
【0085】
また、エアノズルAnにおいては、回転本体A2が動作時で、円筒ハウジング部2の開
口部2aと、円板部5とによって形成された空隙室Sでは、噴射管部4の先端噴出口41から噴射された空気(エア)の流れが乱流状態となる〔図9(A),図10(A)参照〕。さらに、空隙室S内で噴射管部4からの空気噴出と、前述した乱流状態の空気(エア)の流れがとが、混ざり合って、より一層活発で複雑な空気流を発生させ、製造物9に付着した洗浄液等の液体,油分又は切粉等の塵の吹飛しと、乾燥或によるクリーニングを極めて効率的に行うことができる〔図9(A),図10(A)参照〕。なお、図中において、空気の流れは、エアの流れと表示している。
【符号の説明】
【0086】
A1…固定本体、1…固定ベース部、11b…円筒状貫通部、
2…円筒ハウジング部、A2…回転本体、3…回転ベース部、31s…空気流路、
4…噴射管部、5…円板部、51…噴射用孔部、A3…回転規制体6…回転板部、
7…回転規制部。
【要約】
【目的】製造過程又は製造完了した製造物に対して洗浄による残留液或いは付着した切粉,塵,油汚れ等をエア噴射の圧力にて吹き飛ばし、製造物の表面をクリーニングするエアノズルに関する。
【構成】円筒ハウジング部2と,内部に円筒状貫通部11bが形成された固定ベース部1とを有する固定本体A1と、空気流路31sが形成された回転ベース部3と,回転ベース部3の軸芯線に対して空気噴射方向の傾斜角度を有する構成とした噴射管部4と,該噴射管部4の先端が挿通する噴射用孔部51が形成され回転ベース3に装着される円板部5とを有する回転本体A1と、回転本体A1に固着される回転板部6と該回転板部6に装着されると共に、該回転板部6で外端部より出入自在とし円筒ハウジング部2の内周側面21aに当接可能とした回転規制部7とを有する回転規制体A3とを備えること。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11