特許第6704496号(P6704496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーメンス アクティエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許67044962つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール
<>
  • 特許6704496-2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール 図000002
  • 特許6704496-2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール 図000003
  • 特許6704496-2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール 図000004
  • 特許6704496-2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール 図000005
  • 特許6704496-2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール 図000006
  • 特許6704496-2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール 図000007
  • 特許6704496-2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール 図000008
  • 特許6704496-2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール 図000009
  • 特許6704496-2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704496
(24)【登録日】2020年5月14日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/48 20060101AFI20200525BHJP
   F16J 15/44 20060101ALI20200525BHJP
   F01D 11/08 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   F16J15/48
   F16J15/44 Z
   F01D11/08
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-143777(P2019-143777)
(22)【出願日】2019年8月5日
(65)【公開番号】特開2020-24041(P2020-24041A)
(43)【公開日】2020年2月13日
【審査請求日】2019年10月24日
(31)【優先権主張番号】18187429.8
(32)【優先日】2018年8月6日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・シマンスキー
(72)【発明者】
【氏名】ファウスト・ティドナ
【審査官】 的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0100000(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第03290756(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00−11/24
F16J 15/16−15/32
15/324−15/3296
15/40−15/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシール(2)であって、前記機械構成部材のうちの一方が、他方の前記機械構成部材に対して軸方向(A)回りに回転できるように取り付けられており、
前記機械構成部材間に非接触型シール作用を確立するための少なくとも1つのシュー(6)と、前記シュー(6)を一方の前記機械構成部材に支持し、それにより、前記シュー(6)への流体圧の作用に応じて前記シュー(6)の径方向運動(R)を可能とする少なくとも1つのバネ素子(8)と、を備える主シール(4)と、
前記バネ素子(8)を前記軸方向(A)でシールする補助シール(12)であって、前記軸方向(A)で互いに隣接する少なくとも2つの層(14、20)を有する、補助シールと、
を備え、
−前記層(14、20)が、互いに径方向に隣接する2つのシート(16、18、22、24)を各別に備え、
−前記層それぞれにおいて、一方の前記シート(16、22)が、静止しており、他方の前記シート(16、22)が、前記シュー(6)に固定されることによって移動可能に取り付けられており、
−2つの前記層(14、20)それぞれにおける2つの移動可能な前記シート(18、24)が、異なる幅を有しており、径方向(R)から見ると、2つの移動可能な前記シートのうち幅広である一方が、前記層(20)を構成するために幅狭の静止した前記シート(22)と組み合わされており、2つの移動可能な前記シート(18、24)のうち幅狭の前記シート(18)が、前記層(14)を構成するために幅広の静止した前記シート(16)と組み合わされており、
−一方の前記層(20)の幅広の移動可能な前記シート(24)が、径方向(R)において、他方の前記層(14)の幅広の静止したシート(16)と重なることを特徴とするシール。
【請求項2】
前記層(14、32)ごとに、複数の移動可能な前記シート(18、34)が、周方向(U)に設けられており、一方の前記層(32)の幅広の移動可能な前記シート(34)が、周方向(U)において、他方の前記層(14)の幅狭の移動可能な前記シート(18)と重なることを特徴とする請求項1に記載のシール。
【請求項3】
前記層(14、20、26、32)が、少なくとも重畳領域において互いに接触しないように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のシール。
【請求項4】
一方の前記層(14、20、26、32)の前記シート(16、18、22、24、28、30)が、互いに接触しないように配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシール。
【請求項5】
少なくとも1つの層(14、20、26、32)において、移動可能な前記シート(18、24、30)の数が、前記シュー(6)の数に対応することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシール。
【請求項6】
複数の前記層のうち前記シュー(6)に最も近接して位置する前記層(14)の静止した前記シート(16)が、中間プレートを介して形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のシール。
【請求項7】
複数の前記層のうち前記シュー(6)に最も近接して位置する前記層(14)の移動可能な前記シート(18)が、前記シュー(6)を径方向に取り付けることによって形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のシール。
【請求項8】
3つの前記層(14、20、26)が設けられ、
複数の前記層のうち前記シュー(6)に最も近接して位置す前記層(14)及び最も離間して位置する前記層(26)が、同一構造であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のシール。
【請求項9】
前記主シール(4)のキャリア(10)と、前記キャリア(10)に固定された静止した前記シート(16、22、28)と、を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のシール。
【請求項10】
2つの機械構成部材を備えるユニットであって、
前記機械構成部材のうちの一方が、他方の前記機械構成部材に対して軸方向(A)回りに回転可能に取り付けられ、
2つの前記機械構成部材間には、周方向に延在する間隙が構成され、前記間隙には、請求項1から9のいずれか1項に記載のシールが配置され、
複数の層のうち前記シュー(6)に最も近接して位置する前記層(14)の軸方向厚さが、前記補助シール(12)の位置によって、前記シュー(6)と対向する前記機械構成部材との間の間隙の寸法を設定可能に選択されることを特徴とするユニット。
【請求項11】
複数の層のうち前記シュー(6)に最も近接して位置する前記層(36)が、シール作用を伴わずに、単にスペーサ要素としてシールする前記層(20、26)の下方に配置されることを特徴とする請求項10に記載のユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシールに関し、機械構成部材のうちの一方は、他方の機械構成部材に対して軸方向回りに回転できるように取り付けられており、このシールは、機械構成部材間で非接触型シール作用を確立するための少なくとも1つのシュー、及び、シューへの流体圧の作用に反応してシューの径方向の動きが可能となるように、機械構成部材のうちの1つにシューを支持する少なくとも1つのバネ素子を備える主シールと、バネ素子を軸方向にシールする補助シールであって、軸方向に互いに隣接する少なくとも2つの層を有する、補助シールと、を備えている。
【背景技術】
【0002】
請求項1の前提部分に従ったシールは、例えば、特許文献1から知られている。シールは、特に、ロータとターボマシンのハウジングとの間の間隙をシールするために使用される。
【0003】
上述のシールの利点は、シールを横切って作用する体積流によってシール間隙が設定され、従って、ロータ及びハウジングの異なる位置の場合に柔軟に再調整されることである。この動作原理は、キャリア上にバネ状に懸下されたシューとして知られているものに実装される。このシステムは、主シールシステム(主シールとも称される)である。
【0004】
上記径方向可撓性シールは、軸方向補助シールシステムすなわち補助シールを必要とし、この補助シールは、同様に、変化する軸方向間隙を可撓性の態様でシールする。これは、例えば、各別にスプリングシステムを備えた2つのシートを介して、キャリアに押し付けられ、従って、シューの方向に開口間隙を閉じる。2つのスプリングシステム、すなわちシューのスプリングシステム及び補助シールのスプリングシステムが低摩擦の態様で並列に動作し得、同時に、補助シールのためのスプリングシステムの領域が同様に被覆されたままであるために、2つの構成部材、すなわち中間プレート及びカバーを設ける。カバーは、主シールシステムに関して遊びを有し、補助シールシステムに関して互いに隙間を有する。ガスタービンの用途では、上記作動原理は、非常に複雑な構成部材によって実現されなければならない。結果として、非常に高い製造精度を維持しなければならず、製造の不正確さの結果としての、及び、温度の影響の結果としての、構成部材の歪みは、補助シールシステムを閉塞し得、補助シールの対応する幅狭のシートは、必要に応じて、シューの方向に開口軸方向の間隙を完全に閉じることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/100000号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術と比較して機能性の信頼性が高く、ガスタービンでの使用により特に適したシールを具現化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、目的は、2つの機械構成部材間にある周方向に延在する間隙をシールするためのシールによって達成され、この機械構成部材のうちの一方が、他方の機械構成部材に対して軸方向回りに回転できるように取り付けられており、シールは、機械構成部材間に非接触型シール作用を確立するための少なくとも1つのシューと、シューを一方の機械構成部材に支持し、それにより、シューへの流体圧の作用に応じてシューの径方向運動を可能とする少なくとも1つのバネ素子と、を備える主シールと、バネ素子を軸方向でシールする補助シールであって、軸方向で互いに隣接する少なくとも2つの層を有する、補助シールと、を備え、層は、互いに径方向に隣接する2つのシートを各別に備え、層それぞれにおいて、一方のシートは、静止しており、他方のシートは、シューに固定されることによって移動可能に取り付けられており、2つの層それぞれにおける2つの移動可能なシートは、異なる幅を有しており、径方向から見ると、2つの移動可能なシートのうち幅広である一方は、層を構成するために幅狭の静止したシートと組み合わされており、2つの移動可能なシートのうちの幅狭のシートは、層を構成するために幅広の静止したシートと組み合わされており、一方の層の幅広の移動可能なシートは、径方向において、他方の層の幅広の静止したシートと重なる。
【0008】
本発明は、シールシステムを提案することの検討に基づいており、このシールシステムにおいて、さらなるバネシステムを必要とせず、シールシステムの脆弱性及び複雑な設計は、既知の補助シールシステムの重要なポイントの1つであると考えられる。提案されたシールにおいて、特に、中間プレートが分配されており、その結果、従来技術による補助シールと中間プレートとの間の危機的な相互作用を回避する。補助シールのクランプをもはや必要としないので、シールの信頼性はかなり改善される。さらに、補助シールのシートの不均一性がなくなるため、潜在的な再加工作業を大幅に削減する。積層構造のために、シールの組立中の複雑さも同様に大幅に低減する。補助シールに対して複雑に作用するシステムはもはや存在せず、その結果、設計及び組立を簡素化し、シールの製造中の試験の数を減少させる。
【0009】
ここで、層は、同一の位置軸方向を有する単一シートまたは2つ以上のシートの径方向並置を意味すると理解される。
【0010】
2層の場合において、軸方向外側の層は、隣接する層の一部と最大伸長位置で径方向に重なり合う。これは、次に、複数回交互に行われ得る。径方向内側の層は、あるときに重なり、径方向外側の層は、あるときに重なる。重なり合うシートのためのスペースを提供するそれぞれの短いシートは、単に軸方向スペーサ要素であると理解され、それにより、上に位置する次の層が再び平面状に位置する。
【0011】
さらなる単一シートは、選択的に、最後の最外層として任意に適用し得、このシートは、このシートの下にある層と周方向で重なり、キャリアに直接または間接的に固定される。上記層は、輸送、設置及び場合によっては操作のために、この層の下にある薄く損傷しやすいシートの保護機能を果たす。
【0012】
シートは、高温耐性及び/または耐腐性材料、特に鋼から好都合に構成される。移動可能なシートは、特に、定めた作動寿命の間、シール面を構成するために必要な表面品質を維持し、上記時間の作動中の強度の要件を満たす材料から構成される。高温用途では、高温耐性鋼、ニッケル合金またはコバルト基合金、例えばインコネル(登録商標)、ヘインズ(登録商標)または同等の材料を選択し得る。十分な強度を有する耐食性材料は、全ての用途に便利であり、比較的低い温度負荷を有するものであっても、これら耐食性材料は、耐用年数にわたってシール面を構成するために必要な表面品質を有する。
【0013】
好ましい一実施形態によれば、複数の移動可能なシートが、周方向に設けられており、一方の層の幅広の移動可能なシートが、周方向において、他方の層の幅狭の移動可能なシートと重なる。周方向に結果として生じる重畳は、シールのシール特性をさらに改善する。
【0014】
さらなる好ましい実施形態によれば、層は、少なくとも重畳領域内で互いに接触しないように配置される。それぞれのさらなる層の構成において、特に、幅狭のシートは、下にある層と新しい層との間に一時的に導入され得、この幅狭のシートは、シートをその位置に固定した後に再び除去される。その結果、一定の遊びを実現し得、この遊びは、シート層間の摩擦を減少させ、広がっている圧力の横方向力を受けてシステムを阻害しない。
【0015】
1つの層のシートは、好ましくは、互いに接触しないように配置される。 これは、特に、シールのシューに流体圧を加える間に当てはまる。ここで、1つの層のシート間に生じる径方向間隙は、径方向にかつ場合によっては周方向に互いに直接隣接する2つの層のシートの重畳によってシールされる。
【0016】
少なくとも1つの層において、移動可能なシートの数は、好ましくは、シューの数に対応する。ここで、移動可能なシートは、円弧状であり、それらのサイズは、シューのサイズに最適な方法で適合される。
【0017】
最内層の静止したシートは、好ましくは、中間プレートを介して形成される。上記中間プレートは、高い剛性を有していなければならず、そのため、他のシート層の圧力を支持し得る。その結果、軸方向の力は、中間プレートを介して吸収される。従って、上記力が機能性を損なうことになるので、移動可能なシューを押すことを防止する。その結果、シールの移動可能部分と剛性のある外形との間の相互作用を分離し、移動可能性を確保する。中間プレートに加えて補助シールの層をさらに1層だけ導入する場合では、構成部材の数が最も少ない場合においても、基本的に同じ機能を達成することができる。
【0018】
さらに、最内層の移動可能シートは、好ましくは、シューを径方向に取り付けることによって形成される。従って、最内層の移動可能シートは、シューの不可欠な構成部材であり、その結果、必要な部品の数及び締結作業の数をさらに減少させる。
【0019】
シールの特に満足なシール作用に関して、3つの層が設けられており、軸方向最内層及び最外層は、同一構造である。ここで、軸方向最内層及び最外層それぞれは、幅広の静止したシートと組み合わされた幅狭の移動可能なシートを有し、これら層間に位置する中間層は、幅狭の静止したシートと組み合わされた幅広の移動可能なシートを有する、または、その逆を有する。
【0020】
移動可能なシートは、有利には、シューに固定される。さらに、有利であることは、シールが主シール用のキャリアを有し、静止したシートがキャリアに固定されている。このようにして、移動可能なシートとシューとの間、及び/または、静止したシートとキャリアとの間には、信頼性のある、破壊のない接続が確立され、この接続は、動作中に解放され得ない。遊びは、積層構造の結果として溶接中に直接設定され得る。さらに、シートを直接溶接しかつ対応する遊びを一時的なスペーサ要素によって設定し得るので、不均一性を無視し得る。クランプ及び組立装置は、特に、その結果として分配される。ここで、シートは、例えば、対応する幾何学的形状に溶接される、ロウ付けされ、填隙される(calking)、または、添加方法によって溶融される、または、ネジ締めまたはリベット締めによって固定される。
【0021】
また、本発明によれば、本発明の目的は、2つの機械構成部材を備えるユニットにより達成され、機械構成部材のうちの一方は、他方の機械構成部材に対して軸方向回りに回転可能に取り付けられ、2つの機械構成部材間には、周方向に延在する間隙が構成され、周方向に延在する間隙には、上記請求項のいずれか1項に記載のシールが配置され、軸方向最内層の軸方向厚さは、補助シールの位置によって、シューと対向する機械構成部材との間の間隙の寸法を設定可能に選択する。ここでの利点は、シールと機械構成部材との間の必要な非接触型間隙を、シートの位置に起因して、補助シールのレバー作用を介して技術的に許容される限度内に設定し得ることである。
【0022】
シートをシュー上に正確に軸方向位置決めした補助シールの簡略化された実施態様に関して、軸方向最内層は、好ましくは、シール作用なしに、単にスペーサ要素としてシール層の下方に配置される。
【0023】
図面を用いて本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】主シールを有するシールの円弧状の詳細部の平面図を示す。
図2】径方向に重なるシートを有する補助シール層を有する第1実施形態にかかるシールの平面図を示す。
図3図2によるシールの断面図を示す。
図4】補助シールの第2層を有する第1実施形態にかかるシールの平面図を示す。
図5図4によるシールの断面図を示す。
図6】第3層を有する第1実施形態によるシールを通るさらなる断面を示す。
図7】補助シールの第1層を有するシールの円弧状の詳細部の平面図を示す。
図8】径方向及び周方向に重なるシートを有する補助シール層を有するシールの第2実施形態の平面図を示す。
図9】第3実施形態にかかるシールを通る断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
同一の参照符号は、図において同じ意味を有する。
【0026】
図1は、2つの機械構成部材(ここではより詳細には示されていない)間の周方向に延在する間隙をシールするためのシール2の一部を示しており、これら2つの機械構成部材は、軸方向回りに互いに相対的に回転され得る。軸方向は、点Aによって記号的に識別されており、間隔比は、図面では維持されないが、点Aは、完全なシール2によって形成される円の中心を表すことを意図する。また、図1は、径方向R及び周方向Uを示す。
【0027】
シール2は、機械構成部材間に非接触型シールを確立するための複数のシュー6として知られているものを有する主シール4を含む。機能を果たすことを可能とするために、シュー6は、それぞれにおいて、1つのバネ素子8を介してバネ付勢態様でキャリア10上に取り付けられている。シュー6は、キャリア10によって機械構成部材のうちの一方に支持されており、それにより、シューの径方向の動きは、シュー6に流体圧が作用することに応じて可能となる。
【0028】
さらに、シール2は、積層構造の補助シール12を有しており、この積層構造は、バネ素子8を軸方向Aにシールしており、補助シール12は、軸方向Aから見て、互いに隣接する少なくとも2つの層を有する。
【0029】
第1層14を図2及び図3に示す。第1層14は、2つの円状または円弧状のシート16、18によって形成されており、これらシートは、互いに径方向に隣接して配置されている。径方向外側シート16は、キャリア10上に支持されることによって固定される。径方向内側にあるシート18は、シュー6に固定されてシューと共に径方向に移動することによって、移動可能に取り付けられている。径方向の設置スペースは、2つのシート16、18を介して対称的に利用されない。2つのシート16、18のうちの一方は、幅が広く、他方は、幅が狭く、この配置は、任意である(この場合は、径方向外側にある静止シート16が内側にある移動可能シート18より幅広である)。
【0030】
層14は、主シール上に直接溶接され、シート16、18は、最大押圧位置で接触されないべきであり、従って、内部間隙19は、2つのシート16、18の間に構成される。
【0031】
シール2の第2層20は、図4及び図5からわかる。同様に、第2層20は、静止シート22と、複数片の移動可能シート24と、を備えており、上記層中で上述では径方向に幅広のシートは、第1層と比較してより薄いが、その逆も同様である(ここでは、径方向外側にある静止シート22が幅狭であり、径方向内側にある移動可能シート24が幅広である場合を示す)。
【0032】
層14、20の間には、中間間隙25があり、その結果、層14、20は、互いに接触することなく取り付けられる。
【0033】
幅狭のシートと幅広のシートとを交互にすることにより、第1層14の幅広の静止シート16が第2層20の幅広の移動可能シート24と重なることが導かれる。従って、軸方向Aに流れる流体に対するバリアが形成され、その結果、補助シール12、特にバネ素子8の背後の空間は、軸方向にシールされる。
【0034】
図2から図5の実施形態の代替例として、第1層14は、幅狭の静止シートと組み合わされた幅広の移動可能シートから形成され、第2層20は、幅広の静止シートと組み合わされた幅狭の移動可能シートから形成されることが可能である。
【0035】
ここで、層14、20それぞれのシート16、18、22、24は、同じ軸方向厚さを有する、または、少なくとも同じ軸方向位置にある。ここで、静止シート16、22は、特に、それぞれの次の層の準備表面として働く、すなわち、次の層の静止シートの高さは、それらを用いて形成される。これは、図6からも分かり、この図6から第3層26も同様に明らかである。第3層26は、幅狭の移動可能シート30によって補完された幅広の静止シート28を含む。従って、図示の例示的な実施形態では、第1層14及び第3層26は、同じ構造を有する。厚さ及び間隙は、軸方向に広がる圧縮力が常にシート16、18、22、24の接触を確実にするが、互いの間の妨害またはシュー6の軸方向弾性の結果としての閉塞を防止するように設計される。
【0036】
静止シート16、22、28は、特に、円状、半円状または円弧状のシートである。移動可能シート18、24、30は、セグメント化されている。移動可能シート18、24、30の数は、シュー6の数に相当し、純粋な径方向の重畳の場合には、周方向Uの長さもシュー6の長さにほぼ対応する。周方向Uに重なる場合には、周方向Uにおける全て移動可能シート18、24、30の全長は、全てのシュー6の全長にほぼ対応する。
【0037】
さらに、図6による第3層26は、第2層20のうちの1以上の幅広の移動可能シート24と重なり合う、幅広の静止シート28のみからなることも考えられる。
【0038】
本発明によるさらなる実施形態を図7及び図8に示す。補助シール12の第1層14は、図7から見られ得、第1層14は、図2による第1層14と同一である。さらなる層32の場合において、静止シート22は、同様に、図4による静止シート22と同じである。しかしながら、セグメント化した移動可能シート34は、周方向に長い構成であり、その結果、第1層14の移動可能シート18と重なる。従って、径方向R及び周方向U双方における重畳は、2つの層14、32の間で生じる。
【0039】
径方向の重畳と同等の方法で、この構造は、径方向外側にある不動領域内の周方向Uで不連続とされていないシート16と、移動可能領域内のシュー6ごとに互いに独立しているセグメント化したシート18と、からも始まる。上記層14は、主シールに直接溶接され、対応する溝を介して填隙され(calked)、付加的に製造された全体設計を介してロウ付けまたは溶融されており、最大押圧位置で接触させない。この基本位置は、摩擦を避けるために必要である。
【0040】
ここで、移動可能シート24、30及び/または静止シート22、28それぞれは、1つのユニットを構造的に形成し得る、または、このタイプのユニットとして設置され得る。
【0041】
対照的に、次の層32は、周方向Uで1つの移動可能シュー6から次のシュー6まで重畳が生じる点で第1のアプローチとは異なる。次に、次の層は、同じ原理に従ってもたらされるが、逆方向に重なり合う。ここで、それぞれにおいて互いに上方に位置する層14、32は、溶接する、ロウ付けする、または、填隙する間、幅狭のスペーサシートによって互いに任意に分離され得、それにより、摩擦を最小限に抑え、上記想定された間隙を達成し、これら間隙は、軸方向の圧縮荷重の下でシールを可能にするが、シート16、18、22、24、28、30自体の弾性に、または、シュー6及びバネ素子8の弾性にもかかわらず、閉塞しない。
【0042】
同様に、本実施形態では、径方向外側領域において、保護シートが、径方向外側領域として、単一の、いくぶん厚い保護シート(ここには示されていない)を連続的に適用し得、この径方向外側領域は、径方向内側領域において互いに独立しているセグメント化したシート34と重なり合う。この下の層の径方向外側にある不動領域にシートが導入されていない場合において、対応する間隙(当該シートの軸方向全高)を考慮しなければならない。上記選択的なシートを導入する場合において、このシートは、非常に剛性を有しており、それにより、圧力は、シート積層体に伝達され得る。接合中に一時的な幅狭の中間層を介して最小の遊びを導入することは、同様に、より高い摩擦を避けるために、ここでは適切である。
【0043】
図9は、さらなる実施形態を示しており、この実施形態では、補助シール12のシール動作が単に第2層20及び第3層26を介して確立されている。第1層36は、スペーサ層であり、ここでは、幅狭の静止シート16及び幅狭の移動可能シート18双方を備え、これらシート間には、大きな内部間隙19がある。シール層20、26の軸方向位置は、上記層36によって画定されており、この層は、シール層20、26の間の直接的なシール作用を伴わずに、静止シート16及び移動可能シート18を備えており、それにより、シールと回転可能な機械構成部材(ロータ)との間の必要な非接触型間隙は、技術的に許容される限度内に設定され得る。厚いスペーサ層36を介して補助シール12の位置を軸上流に移動させると、主シール4と回転機械構成部材との間の間隙が開く。スペーサ層36を減少させ、従って、補助シール12の位置を軸方向下流に移動させると、主シール4と回転機械構成部材との間の間隙を閉じる。従って、最終接合前の上記中間層の厚さを設定することを用いて、各シールを品質試験に付し、上記スペーサ層36の適切な厚さを選択し得、それにより、主シール4と回転機械構成部材との間の間隙の要件を満足させ、次いで、最終状態で組み立てられ接合されるようにする。
【符号の説明】
【0044】
2 シール、4 主シール、6 移動可能シュー、8 バネ素子、10 キャリア、12 補助シール、14 第1層、16 径方向外側シート,移動可能シート、18 シート、20 第2層,シール層、22,28 静止シート、24 移動可能シート、26 第3層,シール層、32 さらなる層、34 移動可能シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9