(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
人間を含む真核生物において、一の生物のゲノムDNAとは、該生物に含まれるDNA中の全部
の遺伝情報である。ゲノムDNAとヒストンとは非共有結合によって結合されるのであり、
このため、DNAとヒストンを如何に分離させるかということは、ゲノムDNAの抽出において
キーとなっており、かつ難点である。実際に、ゲノムDNAの様々な抽出方法においては、
前期のサンプル予め処理(細胞溶解)及び後期のDNAの沈殿、洗浄等のステップは大体同
様であるが、それらの主な相違はDNAとヒストンを如何に効果的に分離させるということ
にある。
【0003】
最もクラシックな手段としてプロテアーゼK法は、プロテアーゼKによってヒストンのデグ
レーションを行う。これによって、ゲノムDNAを釈放する。この方法の欠点は、以下のと
おりにある。(1)プロテアーゼKのインキュベーション温度が50〜65℃であり、付加な加
熱設備が必要である。(2)プロテアーゼKのヒストンに対する消化に時間がかかり、一般
に0.5hから徹夜で、試験が長時間にわたる。(3)放置時間が経ち、また繰り返して凍っ
て融解する回数が増加するにつれて、プロテアーゼKの酵素活性が低下し、試験の再生性
と安定性が悪い。
【0004】
プロテアーゼK法の欠点に対して、実際の使用ではカオトロープ剤によってヒストンとゲ
ノムDNAを分離することが多い。カオトロープ剤によっては、ヒストンとゲノムDNAの間の
非共有作用力(水素結合、双極子相互作用、疎水性相互作用)を崩し、ヒストンに可逆的
な変性を引き起こすことができ、これによって、ゲノムDNAを釈放して、ゲノムDNAの抽出
を実現する。ゲノムDNAの抽出では、よく使われるカオトロープ剤は、塩酸グアニジニウ
ム、グアニジンチオシアン酸塩、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウムがある。これら
において、塩酸グアニジニウム、グアニジンチオシアン酸塩法は試薬濃度が高く、過塩素
酸ナトリウム、過塩素酸リチウム法は試薬濃度が低いが、過塩素酸塩の塩基価数が+7で高
いので、試薬の酸素化性が強い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、プロテアーゼK法と過塩素酸塩法による欠点を克服し、ヒストンとゲノ
ムDNAを快速に分離させるカオトロープ剤、及びDNAの抽出方法を提供することにある。
【0006】
カオトロープ剤は、ヒストンとゲノムDNAの間の非共有作用力を崩すことができる化合物
系であって、ヒストンに可逆的な変性を引き起こすことが可能で、これにより、ゲノムDN
Aを釈放して、ゲノムDNAの抽出目的を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カオトロープ剤であって、臭素酸塩を含むことを特徴とする前記カオトロープ
剤を提供する。
【0008】
好ましくは、前記臭素酸塩は臭素酸ナトリウムである。
【0009】
前記臭素酸ナトリウムの終濃度が0.1〜3mol/Lになるようヒストン及びゲノムDNAを含むサ
ンプルと前記カオトロープ剤を混合する。
【0010】
好ましくは、前記臭素酸ナトリウムの終濃度が0.2〜3mol/Lになるようヒストン及びゲノ
ムDNAを含むサンプルと前記カオトロープ剤を混合する。
【0011】
より好ましくは、前記臭素酸ナトリウムの終濃度が1〜3mol/Lになるようヒストン及びゲ
ノムDNAを含むサンプルと前記カオトロープ剤を混合する。
【0012】
また、本発明は、前記カオトロープ剤によるゲノムDNAの抽出方法において、抽出される
前に前記DNAがヒストンに結合されている方法は、下記の通りである。
【0013】
(1)サンプルを分散して細胞浮遊液になって、細胞溶解液を入れて細胞を破枠して、細胞
核内のヒストンとバーストゲノムDNAの複合物を釈放する。
【0014】
(2)前記ステップ(1)で得られる材料と前記カオトロープ剤を均一に混ぜて、ヒストン
とゲノムDNAを分離させた材料が得られる。
【0015】
(3)前記ステップ(2)で得られる材料と蛋白質抽出液を均一に混ぜて、遠心分離して、
蛋白質が抽出された上澄み液が得られる。
【0016】
(4)前記蛋白質が抽出された上澄み液とDNA沈殿剤を混合して、遠心分離して、DNA沈殿が
得られる。
【0017】
前記方法は、さらに、前記DNA沈殿に対し、洗浄また再溶解を行うことを含む。
【0018】
上記の技術案によれば、本発明ではプロテアーゼKに代わって化学物質である臭素酸ナト
リウム(NaBrO
3)を使ってヒストンとゲノムDNAを解離するもので、以下の利点がある。
(1)プロテアーゼKを使うことなく、加熱や時々均一に混ぜるなどの手間を回避し、操作
が簡単で、加熱設備が要らない。(2)プロテアーゼKの長時間消化を回避し、操作時間を
節約する。(3)化学試薬によってサンプルを処理するので、プロテアーゼKの消化不十分
による欠点を克服して、快速に充分的にヒストンとDNAを分離することができ、DNAの獲得
率と純粋度が高い。(4)プロテアーゼKの活性変化傾向による欠点を克服して、再生性と
安定性がよい。従来のプロテアーゼKによる消化法に比べて、本発明では、効率よく、快
速にかつ簡単に人間を含む真核生物のゲノムDNAを抽出することができる。
【発明の効果】
【0019】
過塩素酸ナトリウムや過塩素酸リチウム法に比べると、本発明の方法によって抽出される
ゲノムDNAの純粋度と濃度が該当することができながら、カオトロープ剤のハロゲン原子
の価数が+5で低いので、試薬の酸化性が弱い。抽出されるDNAの純粋度と濃度は、PCR遺伝
子のアンプリフィケイション、チップ分析、モレキュラークローニング、遺伝子(ゲノム
)シーケンシング/測定など分子生物学相関試験の要求にあわせる。
【0020】
本発明のその他の特徴と有益な点は下記の具体的な実施形態で詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の最も優れた実施形態を説明する。
【0026】
以下、図面とともに本発明に係る具体的な実施形態について詳細に説明する。これらの具
体的な実施形態は本発明の説明と解釈にのみ用いられ、本発明を限定するものではないこ
とを理解すべきである。
【0027】
本発明はカオトロープ剤を提供している。該カオトロープ剤は、ヒストンとゲノムDNAの
間の非共有作用力を破枠できる化合物であって、ヒストンに可逆的な変性を引き起こすこ
とができ、これにより、ゲノムDNAを釈放して、ゲノムDNA抽出の目的を実現する。
【0028】
前記臭素酸ナトリウムの終濃度が0.1〜3mol/Lになるよう、好ましくは0.2〜3mol/Lになる
よう、より好ましくは1〜3mol/Lになるようヒストン及びゲノムDNAを含むサンプルと前記
カオトロープ剤を混合する。
【0029】
また、他の側面において、本発明に係るDNAの抽出方法を提供し、抽出される前に前記DNA
がヒストンに結合されされ、(1)サンプルを分散して細胞浮遊液になって、細胞溶解液
を入れて細胞を破枠して、細胞核内のヒストンとバーストゲノムDNAの複合物を釈放する
こと、(2)前記ステップ(1)で得られる材料と前記カオトロープ剤を均一に混ぜて、
ヒストンとゲノムDNAを分離させた材料が得られること、(3)前記ステップ(2)で得ら
れる材料と蛋白質抽出液を均一に混ぜて、遠心分離して、蛋白質が抽出された上澄み液が
得られること、及び(4)前記蛋白質が抽出された上澄み液とDNA沈殿剤を混合して、遠
心分離して、DNA沈殿が得られること、を含む。
【0030】
前記方法に於いて、より好ましい実施形態として、前記DNA沈殿に対し、洗浄また再溶解
を行うことを含む。
【0031】
この方法において、本発明に係る該方法は、さらに、真核生物の材料に予め処理を行って
、溶解に直接に適用できるヒストンとゲノムDNAを含む生物材料を獲得することを含む。
前記予め処理の操作は洗浄、乾燥、破砕、ラビング、冷凍及び凍結融解の少なくとも一つ
を含む。本分野の常規手段によって予め処理の操作を行えばよく、例えば『モレキュラー
クローニング試験指導』に記載の内容に従って操作を行えば良い。
【0032】
この方法において、前記真核生物の材料は、組織、器官、インディビデュアル及び片利共
生なものの少なくとも一つを含むことができる。前記生物材料は、口腔粘膜上皮細胞、血
液及び人工培養細胞の少なくとも一つを含むことができる
【0033】
該方法は、さらに、前記DNAに沈殿、洗浄及び再溶解を行うことを含む。この方法におい
て、ゲノムDNAの沈殿に用いられる試薬は、2〜2.5倍体積の95%エタノールや無水エタノー
ル、または等体積のイソプロパノールであってもよい。洗浄に用いられる洗浄液は、60〜
80体積%濃度のエタノール水溶液であってもよい。再溶解に用いられる溶剤は、水又はTE
緩衝液であってもよい。
【0034】
以下、実施例によって本発明のさらなる詳細な説明を行う。
【0037】
本実施例は、二つ異なる方法によって唾液サンプルからDNAを抽出する操作を説明する
ためである。
【0038】
(1)2000gの唾液を10min遠心分離して、上澄みを処分して、1mLの生理的塩類溶液に口
腔粘膜上皮細胞を浮遊させて、再び2000gを10min遠心分離して、上澄みを処分するサンプ
ルの予め処理。
【0039】
(2)Eppendorf(EP)管に400μLの細胞溶解液を入れて、はっきりした細胞集団がない
よう充分に均一に混ぜる。その細胞溶解液の成分は、10mmol/LTris-HCl(pH8.0)、30mmol/
LEDTA(pH8.0)、0.5%SDS、RNaseA(20μg/mL)である。
【0040】
(3)それぞれプロテアーゼK法と臭素酸ナトリウム法によってゲノムDNAを抽出する。プ
ロテアーゼK法においては、ステップ(2)におけるEP管に終濃度が100μg/mLのプロテア
ーゼKを入れて充分に均一に混ぜて、56℃で40min放置しながら、時々均一に混ぜる。臭素
酸ナトリウム法においては、ステップ(2)におけるEP管に終濃度が1mol/Lのカオトロー
プ剤である臭素酸ナトリウムを入れて充分に均一に混ぜる。その他のステップは同じであ
る。
【0041】
ステップ(3)におけるEP管に等体積のフェノール/クロロフォルム/イソプロパノール(25:2
4:1)を入れて振り動して均一に混ぜて、液層に分かれるよう遠心分離して、上層液体を別
の清潔的なEP管に移す。本ステップは一回繰り返してもよいが、この場合、クロロフォル
ムによって一回にて上澄みを吸い上げ、上澄みを別の清潔的なEP管に移す。
【0042】
(5)
ステップ(4)におけるEP管に2.5倍体積の無水エタノールを入れる。ただし、プロテアーゼ
Kの場合、1/10体積のNaAc(3mol/L、pH5.2)を入れておく必要がある。そして、-20℃で2
0min放置して、遠心分離してゲノムDNAを収集する。
【0043】
(6)ステップ(5)におけるEP管に1mLの70%エタノールを入れてDNAを洗浄して、上澄み
を除去して、ふさがられないままゲノムを干す。
【0044】
(7)ステップ(6)におけるEP管に100μLのTE緩衝液を入れて、ゲノムDNA沈殿を溶解する
。光学密度測定法によってゲノムDNAの濃度を測定して、アガロースゲル電気泳動によっ
てゲノムDNAの完全性を検出する。
【0047】
本実施例は、二つ異なる方法によって口腔清拭法で採集される口腔粘膜上皮細胞中からDN
Aを抽出する操作を説明するためである。
【0048】
(1)口腔粘膜上皮細胞が持たれている材料を切り取って、Eppendorf(EP)管に放置す
るサンプルの予め処理。
【0049】
(2)EP管に400μLの細胞溶解液を入れて、はっきりした細胞集団がないよう充分に均一
に混ぜる。その細胞溶解液の成分はk10mmol/LTris-HCl(pH8.0)、30mmol/LEDTA(pH8.0)、0
.5%SDS、RNaseA(20μg/mL)である。
【0050】
(3)それぞれプロテアーゼK法と臭素酸ナトリウム法によってゲノムDNAを抽出する。プ
ロテアーゼK法においては、ステップ(2)におけるEP管に終濃度が100μg/mLのプロテア
ーゼKを入れて充分に均一に混ぜて、56℃で40min放置しながら、時々均一に混ぜる。臭素
酸ナトリウム法においては、ステップ(2)におけるEP管に終濃度が1mol/Lのカオトロー
プ剤である臭素酸ナトリウムを入れて充分に均一に混ぜる。その他のステップは同じであ
る。
【0051】
(4)ステップ(3)におけるEP管に等体積のフェノール/クロロフォルム/イソプロパノー
ル(25:24:1)を入れて振り動して均一に混ぜて、液層に分かれるよう遠心分離して、上層
液体を別の清潔的なEP管に移す。本ステップは一回繰り返してもよいが、この場合、クロ
ロフォルムによって一回にて上澄みを吸い上げ、上澄みを別の清潔的なEP管に移す。
【0052】
(5)
ステップ(4)におけるEP管に2.5倍体積の無水エタノールを入れる。ただし、プロテアーゼ
Kの場合、1/10体積のNaAc(3mol/L、pH5.2)を入れておく必要がある。そして、-20℃で2
0min放置して、遠心分離してゲノムDNAを収集する。
【0053】
(6)ステップ(5)におけるEP管に1mLの70%エタノール洗浄DNA、上澄みを除去して、ふ
さがられないままゲノムを干す。
【0054】
(7)ステップ(6)におけるEP管に100μLのTE緩衝液を入れて、ゲノムDNA沈殿を溶解する
。光学密度測定法によってゲノムDNAの濃度を測定して、アガロースゲル電気泳動によっ
てゲノムDNAの完全性を検出する。
【0057】
本実施例は、臭素酸ナトリウム法(NaBrO
3法)とプロテアーゼK短時間消化法によって
それぞれ唾液中の口腔粘膜上皮細胞DNAを抽出する操作を説明するためである。
【0058】
(1)2000gの唾液を10min遠心分離して、上澄みを処分して、そして、1mLの生理的塩類溶
液に口腔粘膜上皮細胞を浮遊させて、再び2000gを10min遠心分離して、上澄みを処分する
サンプルの予め処理。
【0059】
(2)Eppendorf(EP)管に400μLの細胞溶解液を入れて、はっきりした細胞集団がないよ
う充分に均一に混ぜる。その細胞溶解液の成分は、10mmol/LTris-HCl(pH8.0)、30mmol/LE
DTA(pH8.0)、0.5%SDS、RNaseA(20μg/mL)である。
【0060】
(3)それぞれプロテアーゼK短時間消化法と臭素酸ナトリウム法によってゲノムDNAを抽
出する。プロテアーゼK法においては、ステップ(2)におけるEP管に終濃度が100μg/mL
のプロテアーゼKを入れて充分に均一に混ぜて、56℃で5min消化させる。臭素酸ナトリウ
ム法においては、ステップ(2)におけるEP管に終濃度が1mol/Lのカオトロープ剤である
臭素酸ナトリウムを入れて充分に均一に混ぜる。その他のステップは同じである。
【0061】
(4)ステップ(3)におけるEP管に等体積のフェノール/クロロフォルム/イソプロパノー
ル(25:24:1)を入れて振り動して均一に混ぜて、液層に分かれるよう遠心分離して、上層
液体を別の清潔的なEP管に移す。本ステップは一回繰り返してもよいが、この場合、クロ
ロフォルムによって一回にて上澄みを吸い上げ、上澄みを別の清潔的なEP管に移す。
【0062】
(5)ステップ(4)におけるEP管に2.5倍体積の無水エタノールを入れる。ただし、プロテ
アーゼKの場合、1/10体積のNaAc(3mol/L、pH5.2)を入れておく必要がある。そして、-2
0℃で20min放置して、遠心分離してゲノムDNAを収集する。
【0063】
(6)ステップ(5)におけるEP管に1mLの70%エタノールを入れてDNAを洗浄して、上澄み
を除去して、ふさがられないままゲノムを干す。
【0064】
(7)ステップ(6)におけるEP管に100μLのTE緩衝液を入れて、ゲノムDNA沈殿を溶解する
。光学密度測定法によってゲノムDNAの濃度を測定して、アガロースゲル電気泳動によっ
てゲノムDNAの完全性を検出する。
【0067】
本実施例は、異なる濃度の臭素酸ナトリウム(NaBrO
3)と1mol/Lの過塩素酸ナトリウム
によってそれぞれ人間血液白細胞DNAを抽出する操作を説明するためである。
【0068】
(1)200μLの抗凝血に400μLの赤細胞溶解液を入れて均一に混ぜて、2000gを10min遠心
分離して、上澄みを処分するサンプルの予め処理(可選)。もし多い赤細胞が残られたら
、一回繰り返して溶解すればよい。
【0069】
(2)Eppendorf(EP)管に400μLの上記細胞溶解液を入れて、はっきりした細胞集団がな
いよう充分に均一に混ぜる。
【0070】
(3)それぞれ過塩素酸ナトリウム法と臭素酸ナトリウム法によってゲノムDNAを抽出する
。過塩素酸ナトリウム法においては、ステップ(2)におけるEP管に終濃度が100μg/mLの
過塩素酸ナトリウムを入れて充分に均一に混ぜる。臭素酸ナトリウム法においては、ステ
ップ(2)におけるEP管に終濃度が0.1mol/L、0.2mol/L、0.5mol/L、1mol/Lと3mol/Lの臭
素酸ナトリウムを入れて充分に均一に混ぜる。その他のステップは同じである。
【0071】
(4)ステップ(3)におけるEP管に等体積のフェノール/クロロフォルム/イソプロパノー
ル(25:24:1)を入れて振り動して均一に混ぜて、液層に分かれるよう遠心分離して、上層
液体を別の清潔的なEP管に移す。本ステップは一回繰り返してもよいが、この場合、クロ
ロフォルムによって一回にて上澄みを吸い上げ、上澄みを別の清潔的なEP管に移す。
【0072】
(5)ステップ(4)におけるEP管に2.5倍体積の無水エタノールを入れて、-20℃で20min放
置して、遠心分離してゲノムDNAを収集する。
【0073】
(6)ステップ(5)におけるEP管に1mLの70%エタノールを入れてDNAを洗浄して、上澄み
を除去して、ふさがられないままゲノムを干す。
【0074】
(7)ステップ(6)におけるEP管に100μLのTE緩衝液を入れて、ゲノムDNA沈殿を溶解する
。光学密度測定法によってゲノムDNAの濃度を測定して、アガロースゲル電気泳動によっ
てゲノムDNAの完全性を検出する。
【0077】
実施例1〜4において抽出される人間ゲノムDNAの純粋度と濃度についてまとめて、その
結果を表1に示す。
【0078】
表1. 異なる方法による不同出所のサンプルから抽出のゲノムDNAのパラメータ比較。
【0080】
表1のデータによれば、プロテアーゼKの消化時間が充分(実施例では40minの消化時間)
の場合、同様出所の口腔粘膜上皮細胞は、臭素酸ナトリウム法とプロテアーゼK法によるD
NA獲得率及び純粋度が該当する。しかしながら、消化時間が大幅に短縮されたら(実施例
では5minの消化時間)プロテアーゼKが充分にヒストンを消化できないようになる場合、
プロテアーゼK法によるDNA獲得率が大幅に低下する。一方、本発明にかかるカオトロープ
剤である臭素酸ナトリウムが快速にヒストンとゲノムDNAを分離させることができる。本
方法によればDNAの獲得率がほぼプロテアーゼK法の5倍でありながら、DNAの純粋度が影響
されていない。0.1〜3mol/Lの臭素酸ナトリウムであればゲノムDNAを抽出することが可能
で、1〜3mol/Lの臭素酸ナトリウムによる抽出濃度が最高で且つ相対に安定である。1mol/
Lの臭素酸ナトリウムと1mol/Lの過塩素酸ナトリウムによって抽出されるゲノムDNAは獲得
率と純粋度が該当する。
【0082】
実施例1〜4で抽出される人間のゲノムDNAに対して電気泳動検出を行って、その結果を
図1〜
図3に示す。具体的には、以下のとおり。
【0083】
図1はそれぞれ臭素酸ナトリウム法(NaBrO
3法)とプロテアーゼK法(40min消化)によ
る唾液抽出法と口腔清拭法によって採集される口腔粘膜上皮細胞DNAの電気泳動検出結果
である。MはDNA marker(分子量は上からそれぞれ2000、1000、750、500、250、100。そ
の単位がbp)である。泳道1はプロテアーゼK法によって抽出される唾液出所の口腔粘膜上
皮細胞DNA。泳道2は臭素酸ナトリウム法によって抽出される唾液出所の口腔粘膜上皮細胞
DNA。泳道3はプロテアーゼK法によって抽出される口腔清拭出所の口腔粘膜上皮細胞DNA。
泳道4は臭素酸ナトリウム法によって抽出される口腔清拭出所の口腔粘膜上皮細胞DNA。図
1からわかるように、プロテアーゼKの消化時間が充分の場合、、同様出所の口腔粘膜上皮
細胞は、臭素酸ナトリウム法とプロテアーゼK法によるDNA獲得率及び純粋度が該当する。
【0084】
図2はそれぞれ臭素酸ナトリウム法(NaBrO
3法)とプロテアーゼK法(消化時間が5minの
み)による唾液抽出法によって採集される口腔粘膜上皮細胞DNAの電気泳動検出結果であ
る。MはDNA marker(分子量は上からそれぞれ2000、1000、750、500、250、100。その単
位がbp)である。泳道1はプロテアーゼK法によって抽出される唾液出所の口腔粘膜上皮細
胞DNA。泳道2は臭素酸ナトリウム法によって抽出される唾液出所の口腔粘膜上皮細胞DNA
。
図2からわかるように、消化時間が短かい場合、本発明に用いられる臭素酸ナトリウム
法は従来のプロテアーゼK法より高いDNA獲得率が得られる。
【0085】
図3はそれぞれ異なる濃度の臭素酸ナトリウム(NaBrO
3)と1mol/Lの過塩素酸ナトリウ
ムによる抽出の人間血液白細胞DNAの電気泳動検出結果である。MはDNA marker(分子量は
上からそれぞれ2000、1000、750、500、250、100。その単位がbp)である。泳道1〜5はそ
れぞれ終濃度が0.1mol/L、0.2mol/L、0.5mol/L、1mol/Lと3mol/LのNaBrO
3による抽出の人
間血液白細胞ゲノムDNA。泳道6は終濃度が1mol/Lの過塩素酸ナトリウムによる抽出の人血
液白細胞ゲノムDNA。
図3からわかるように、0.1mol/L〜3mol/LのNaBrO
3であれば細胞ゲノ
ムDNAを抽出することが可能で、1mol/L〜3mol/LのNaBrO
3による抽出のゲノムは差別が大
きくない。1mol/L〜3mol/LのNaBrO
3と1mol/Lの過塩素酸ナトリウム法による獲得率が該当
する。
【0086】
以上、図面をもちいて本発明に係る好ましい実施形態について説明したが、本発明は上
記の実施形態の中の具体的な事項に制限されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内
において、本発明の技術方案について多種の容易な変形を施すことができ、これらの多種
の容易な変形は全て本発明の保護範囲に属する。
【0087】
それ以外に説明する必要が有るのは、上記の具体的な実施形態における各具体的な技術
特徴は矛盾が存在しない状況下において、いかなる方式を通じても結合することができ、
不必要な重複を避けるために、本発明は各種の可能な結合方式については説明しない。
【0088】
また、本発明の各種の異なる実施形態の間で任意の結合を実施することができ、発明思
想を逸脱しない範囲において、本発明の公開の内容を同様にみなすべきである。