【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年2月12日 http://www.pref.miyagi.jp/site/suisan/sub−jigyo2−3−1.htmlを通じて発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、農林水産省、サケ科魚類養殖業の安定化、省コスト・効率化のための実証研究委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
熊谷明 等,EIBSウイルスに対するギンザケ抗体の検出,平成8年度 日本魚病学会大会 プログラムおよび講演要旨,日本魚病学会,1996年,秋季,p. 13, 「07」欄
【文献】
岡田龍 等,赤血球封入体症候群(EIBS)感染ギンザケ血中に見られたレオ様ウイルス粒子,2007年(平成19年)度日本水産学会春季大会(日本農学大会水産部会)講演要旨集,2007年 3月28日,p. 210, 「1107」欄
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.ポリペプチド
本発明は、以下の(1)〜(4)から選択されるいずれかのポリペプチド(以下、本発明のポリペプチドと称する場合がある。)、又は10アミノ酸以上の長さを有するその部分ポリペプチド(以下、本発明の部分ポリペプチドと称する場合がある。)を提供するものである:
(1)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(2)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(3)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ対応する(1)のポリペプチドと実質的に同質の活性を有するポリペプチド;及び
(4)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ対応する(1)のポリペプチドと実質的に同質の活性を有するポリペプチド。
【0012】
上記(3)のポリペプチドに含まれるアミノ酸配列は、配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、より更に好ましくは98%以上(例えば、99%以上)の同一性を有する。
【0013】
本明細書においてアミノ酸配列の「同一性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つのアミノ酸配列をアラインさせた場合の、最適なアラインメント(好ましくは、該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方もしくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである)における、オーバーラップする全アミノ酸残基に対する、同一アミノ酸残基の割合(%)を意味する。
【0014】
本明細書におけるアミノ酸配列の同一性は、NCBIのインターネットホームページ上に公開されている相同性計算アルゴリズムNCBI blastp/Blast 2 sequences(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(Short queries=off/Expect threshold=10/Matrix=BLOSUM62/Gap Costs=Existence:11 Extension:1/Compositional adjustments=Conditional compositional score matrix adjustment/filter=off/Mask=off)にて計算することができる。
【0015】
上記(4)のポリペプチドに含まれるアミノ酸配列は、配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列、例えば、(1)配列番号配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列中の1又は複数(好ましくは1〜100個、より好ましくは1〜30個、更に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1、2、3、4又は5個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(2) 配列番号配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列に1又は複数(好ましくは1〜100個、より好ましくは1〜30個、更に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1、2、3、4又は5個)のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列、(3) 配列番号配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列に1又は複数(好ましくは1〜100個、より好ましくは1〜30個、更に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1、2、3、4又は5個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、(4) 配列番号配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列中の1又は複数(好ましくは1〜100個、より好ましくは1〜30個、更に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1、2、3、4又は5個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または(5)上記(1)〜(4)の変異が組み合わされたアミノ酸配列(欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸の総数が、好ましくは1〜100個、より好ましくは1〜30個、更に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1、2、3、4又は5個)である。
【0016】
上記(2)、(3)及び(4)のポリペプチドは、対応する(1)のポリペプチドと実質的に同質の活性を有する。「対応する(1)のポリペプチド」とは、同一配列番号により特定される(1)のポリペプチドを意味する。即ち、「配列番号Xで表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド」及び「配列番号Xで表されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含むポリペプチド」に対応する(1)のポリペプチドは、「配列番号Xで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」である。「(1)のポリペプチドと実質的に同質の活性」としては、EIBSウイルス粒子中において、レオウイルスタンパク質として、下記の機能を発揮する活性を挙げることができる。
【0018】
また、「(1)のポリペプチドと実質的に同質の活性」として、赤血球封入体症候群に対するワクチン活性を挙げることができる。ワクチン活性の有無は、例えば以下の方法で評価することができる。
【0019】
評価対象のポリペプチドを、ギンザケに腹腔内投与する。抗原投与から4週間後に、EIBSウイルスでギンザケを攻撃する。攻撃から28日後に、血液中のウイルス量を測定し、対照区(未接種区)と比較して、ポリペプチド投与区のウイルス量が低い場合に、当該評価対象のポリペプチドは赤血球封入体症候群に対するワクチン活性を有すると評価する。ギンザケの飼育水温は8〜15℃とする。
【0020】
実質的に同質とは、それらの活性が性質的に(例、生理学的に、または薬理学的に)同質であることを表す。したがって、これらの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.1〜10倍、より好ましくは0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の高さは異なっていてもよい。
【0021】
1つの好ましい態様において、上記(3)のポリペプチドに含まれる「配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列」及び(4)のポリペプチドに含まれる「配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列」は、天然の配列である。「天然の」とは、当該アミノ酸配列が赤血球封入体症候群の天然の病原体ウイルスのゲノム中にコードされていることをいう。
【0022】
ウイルス遺伝子には通常多型(系統差)が存在することが知られている。上記(3)及び(4)のポリペプチドに含まれるアミノ酸配列には、多型により生じた上記(1)ポリペプチドに含まれるアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列が包含され得る。
【0023】
上記(2)〜(4)のポリペプチドは、対応する(1)のポリペプチドと実質的に同質の活性を有する限り、その長さは限定されず、使用目的に応じて所望の長さのポリペプチドを選択することができる。例えば、本発明のポリペプチドとして、長さが3000アミノ酸以下のもの、2500アミノ酸以下のもの、2000アミノ酸以下のもの、1500アミノ酸以下のもの、1000アミノ酸以下のもの、500アミノ酸以下のもの、400アミノ酸以下のもの、300アミノ酸以下のもの等を適宜選択することが出来る。
【0024】
上記(2)〜(4)のポリペプチドにおける、
(2’)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列;
(3’)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列;又は
(4’)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21で表されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列
以外の部分(付加部分)のアミノ酸配列は、対応する(1)のポリペプチドと実質的に同質の活性を有する限り、特に限定されない。
【0025】
本発明のポリペプチドのN末端及び/又はC末端には、少なくとも1つのタグポリペプチド又はシグナル配列が含まれていてもよい。
【0026】
タグポリペプチドとは、ポリペプチドの検出や精製等を容易にならしめるために付加されるポリペプチドをいう。タグポリペプチドとしては、エピトープタグ、蛍光ポリペプチド、イムノグロブリンFc領域等を挙げることが出来るがこれに限定されない。エピトープタグとは、抗体または他の結合パートナーによって特異的に認識されるペプチドをいい、具体的には、Flagタグ、ポリヒスチジンタグ、c-Mycタグ、HAタグ、AU1タグ、GSTタグ、MBPタグ等を挙げることが出来る。蛍光ポリペプチドとしては、GFP、YFP、RFP、CFP、BFP、EGFP等を挙げることが出来る。このようなタグポリペプチドは当業者に周知であり、当該タグポリペプチドを特異的に認識する多様な抗体が市販されている。
【0027】
シグナル配列とは、ポリペプチドの翻訳と同時にまたは翻訳後に、合成部位から細胞内部の特定部位、又は細胞外部へのポリペプチドの運搬や局在を指示するポリペプチド配列をいう。シグナル配列には、ポリペプチドの分泌を誘導するリーダー配列、核移行シグナル配列(例えば、SV40 T抗原の核移行シグナル配列)、核外移行シグナル配列、核小体局在シグナル等を挙げることが出来るがこれに限定されない。このようなシグナル配列は当業者に周知であり、目的に応じて適宜選択することが出来る。
【0028】
付加部分のアミノ酸配列の合計は、上記(2)〜(4)のポリペプチドが、対応する(1)のポリペプチドと実質的に同質の活性を有する限り、その長さは限定されず、使用目的に応じて所望の長さのアミノ酸配列を有する付加部分を採用することができる。例えば、付加部分のアミノ酸配列の合計が、1500アミノ酸以下のもの、1000アミノ酸以下のもの、500アミノ酸以下のもの、300アミノ酸以下のもの、100アミノ酸以下のもの、90アミノ酸以下のもの、80アミノ酸以下のもの、70アミノ酸以下のもの、60アミノ酸以下のもの、50アミノ酸以下のもの、40アミノ酸以下のもの、30アミノ酸以下のもの、20アミノ酸以下のもの、10アミノ酸以下のもの(例、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10アミノ酸)等を適宜選択することが出来る。
【0029】
好ましい態様において、本発明のポリペプチドは、上記(2’)〜(4’)から選択されるいずれかのアミノ酸配列からなる。
【0030】
本発明の部分ポリペプチドは、上記(2’)〜(4’)から選択されるいずれかのアミノ酸配列の部分配列であって、通常10アミノ酸以上、好ましくは15アミノ酸以上、より好ましくは20アミノ酸以上、更に好ましくは50アミノ酸以上、より更に好ましくは100アミノ酸以上の長さを有する部分配列を含む。
【0031】
本発明の部分ポリペプチドは、上記(2’)〜(4’)から選択されるいずれかのアミノ酸配列の部分配列に加えて、そのN末端及び/又はC末端に付加配列を有していてもよい。例えば、本発明のポリペプチドのN末端及び/又はC末端には、少なくとも1つのタグポリペプチド又はシグナル配列が含まれていてもよい。付加配列の長さは、特に限定されないが、例えば、100アミノ酸以下、好ましくは、50アミノ酸以下、より好ましくは20アミノ酸以下、更に好ましくは10アミノ酸以下、より更に好ましくは5アミノ酸以下(例、5、4、3、2又は1アミノ酸)である。
【0032】
本発明の部分ポリペプチドは、好ましくは、上記(2’)〜(4’)から選択されるいずれかのアミノ酸配列の部分配列からなる。
【0033】
一態様において、本発明の部分ポリペプチドは、赤血球封入体症候群に対するワクチン活性を有する。別の態様において、本発明の部分ポリペプチドは、マウス等哺乳動物に投与した際に抗原活性を有する。
【0034】
本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドは修飾されていてもよい。該修飾としては、脂質鎖の付加(脂肪族アシル化(パルミトイル化、ミリストイル化等)、プレニル化(ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化等)等)、リン酸化(セリン残基、スレオニン残基、チロシン残基等におけるリン酸化)、アセチル化、糖鎖の付加(Nグリコシル化、Oグリコシル化)等を挙げることが出来る。
【0035】
本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドは、適当な標識剤、例えば、放射性同位元素(例:
125I、
131I、
3H、
14C等)、酵素(例:β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等)、蛍光物質(例:フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート等)、発光物質(例:ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニン等)、アフィニティタグ(例:ビオチン等)などで標識されていてもよい。
【0036】
本明細書において用語「ポリペプチド」は、その塩をも含む意味として用いられる。ポリペプチドの塩としては生理学的に許容される酸(例:無機酸、有機酸)や塩基(例:アルカリ金属塩)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが挙げられる。
【0037】
本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドは単離又は精製されていることが好ましい。「単離又は精製」とは、目的とする成分以外の因子を除去する操作がなされ、天然に存在する状態を脱していることを意味する。単離又は精製された本発明のポリペプチドの純度(全ポリペプチド重量に対する、本発明のポリペプチドの重量の割合)は、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上(例えば100%)である。
【0038】
本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドの製造方法については特に制限はなく、公知のペプチド合成法に従って製造してもよく、また公知の遺伝子組み換え技術を用いて製造してもよい。ペプチド合成法は、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれであってもよい。本発明のポリペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合し、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的とするポリペプチドを製造することができる。
【0039】
遺伝子組み換え技術を用いて本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを製造する場合には、先ず後述するような本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを取得し、該ポリペプチド又は部分ポリペプチドを発現し得る発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、得られる形質転換体を培養することによって、該ポリペプチドを製造することができる。該ポリヌクレオチド、遺伝子組み換え技術を用いた本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドの製造方法については後述する。
【0040】
本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドは、赤血球封入体症候群に対するワクチンの有効成分、赤血球封入体症候群罹病歴を診断するための試薬の有効成分、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを特異的に認識する抗体を作製する際の抗原等として有用である。
【0041】
2.ポリヌクレオチド
本発明は上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供するものである。
【0042】
本発明のポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであってもよく、あるいはDNA/RNAキメラであってもよい。また、該ポリヌクレオチドは二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。
【0043】
本発明のポリヌクレオチドとしては、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10で表されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを例示することが出来るが、これらに限定されない。配列番号1で表されるヌクレオチド配列は配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを、配列番号2で表されるヌクレオチド配列は配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを、配列番号3で表されるヌクレオチド配列は配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを、配列番号4で表されるヌクレオチド配列は配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを、配列番号5で表されるヌクレオチド配列は配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを、配列番号6で表されるヌクレオチド配列は配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを、配列番号7で表されるヌクレオチド配列は配列番号17で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを、配列番号8で表されるヌクレオチド配列は配列番号18で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを、配列番号9で表されるヌクレオチド配列は、配列番号19又は20で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを、配列番号10で表されるヌクレオチド配列は、配列番号21で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを、それぞれコードする。コード領域(ORF)は、以下の通りである。
【0045】
各コード領域からなるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドも、本発明のポリヌクレオチドの好適な態様の1つである。
【0046】
本発明のポリヌクレオチドは、本明細書の配列表に記載された配列情報に基づき、公知の遺伝子組換え技術を利用することにより容易に製造することが出来る。例えば、配列情報に基づき適当なプライマーを設計し、EIBSウイルスから単離したゲノムRNAから調製したcDNAを鋳型とするRT−PCRにより、本発明のポリヌクレオチドを製造することが出来る。或いは、本明細書の配列表に記載された配列情報に基づいて、ポリヌクレオチド合成装置により本発明のポリヌクレオチドを合成してもよい。
【0047】
取得された本発明のポリヌクレオチドは、目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化するか、リンカーを付加した後に、使用することができる。該ポリヌクレオチドはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することができる。
【0048】
本発明のポリヌクレオチドは単離又は精製されていることが好ましい。「単離又は精製された本発明のポリヌクレオチドの純度(全ポリヌクレオチド重量に対する、本発明のポリヌクレオチドの重量の割合)は、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上(例えば100%)である。
【0049】
なお、本明細書においてヌクレオチド配列は、特にことわりのない限りDNAの配列として記載するが、ポリヌクレオチドがRNAである場合は、チミン(T)をウラシル(U)に適宜読み替えるものとする。
【0050】
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの製造に有用である。
【0051】
3.発現ベクター及び形質転換体
本発明は、上記本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクター及び該発現ベクターを含む形質転換体を提供するものである。
【0052】
該発現ベクターは、本発明のポリヌクレオチドを適当な発現ベクター中のプロモーターに機能可能に連結することにより製造することができる。ベクターの種類としては、プラスミドベクター、ウイルスベクター等を挙げることができ、用いる宿主細胞に応じて適宜選択することが出来る。
【0053】
宿主細胞には、原核生物細胞及び真核生物細胞が含まれる。原核生物細胞としては、エシェリヒア属菌(エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)等)、バチルス属菌(バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)等)等が用いられる。真核生物細胞としては、酵母(サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等)、昆虫細胞(夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)等)、魚類細胞(マスノスケ細胞(CHSE-214等)、ニジマス細胞(RTG-2等)、コイ細胞(EPC等)等)、哺乳動物細胞(ヒト細胞(293等)、サル細胞(COS-7等)、チャイニーズハムスター細胞(CHO細胞等)等)などが用いられる。
【0054】
哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類やウサギ等の実験動物;ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ミンク等の家畜;イヌ、ネコ等のペット;ヒト、サル、カニクイザル、アカゲザル、マーモセット、オランウータン、チンパンジーなどの霊長類等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0055】
魚類としては、特に限定されないが、例えば、食用としては、サケ科に属する魚(例えば、ギンザケ、マスノスケ、タイセイヨウサケ、ニジマス)、タイ科の魚(マダイ、チダイ等)、カレイ目に属する魚種(例えば、ヒラメ科の魚(ヒラメ等)、マコガレイ、ホシガレイ、ターボット等)、ブリ、ボラ、アイナメ、マグロ、ティラピアサケ、コイ、ヤマメ、アマゴ、ウナギ等が挙げられる。また、鑑賞用途としては、コイ、フナ、メダカ、キンギョ等が挙げられる。さらに、研究又は実験用途として、ゼブラフィッシュ、メダカ、キンギョ、ドジョウ等が挙げられる。魚類は好ましくはサケ科に属する魚であり、より好ましくはギンザケである。
【0056】
プラスミドベクターとしては、大腸菌内で増幅可能なプラスミドベクター(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌内で増幅可能なプラスミドベクター(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母内で増幅可能なプラスミドベクター(例、pSH19,pSH15)等を挙げることができ、用いる宿主の種類や使用目的に応じて適宜選択することが出来る。
【0057】
ウイルスベクターの種類は、用いる宿主細胞の種類や使用目的に応じて適宜選択することが出来る。例えば、宿主として昆虫細胞を用いる場合には、バキュロウイルスベクター等を用いることが出来る。また、宿主として哺乳動物細胞を用いる場合には、モロニーマウス白血病ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、シンドビスウイルスベクター等のレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、パルボウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、センダイウイルスベクター等を用いることが出来る。宿主として魚類細胞を用いる場合には、ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)ベクター等を用いることができる。
【0058】
また、プロモーターは、用いる宿主細胞の種類に対応して、該宿主細胞内で転写を開始可能なものを選択することが出来る。例えば、宿主がエシェリヒア属菌である場合、trpプロモーター、lacプロモーター、T7プロモーターなどが好ましい。宿主がバチルス属菌である場合、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどが好ましい。宿主が酵母である場合、PHO5プロモーター、PGKプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。宿主が哺乳動物細胞である場合、サブゲノミック(26S)プロモーター、CMVプロモーター、SRαプロモーター、哺乳類および鳥類由来のβ-アクチン プロモーターなどが好ましい。宿主が魚類細胞である場合、哺乳動物細胞で利用されるプロモーターに加えて、魚類由来のβ-アクチン プロモーターや魚類レトロウイルスのlong terminal repeatなどが好ましい。
【0059】
本発明の発現ベクターは、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを、それぞれ機能可能な態様で含有していてもよい。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(Neo
rと略称する場合がある、G418耐性)等が挙げられる。
【0060】
本発明の発現ベクターは好ましくは単離又は精製されている。
【0061】
本発明の発現ベクターは、適切な宿主細胞内において、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを発現し得るので、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドの製造に有用である。また、EIBSウイルスが感染し得る魚類(例、ギンザケ等のサケ科に属する魚)の細胞内において本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを発現し得る本発明のベクターは、赤血球封入体症候群に対するワクチン(下記に詳述)の有効成分として有用である。
【0062】
上記本発明の発現ベクターを、自体公知の遺伝子導入法(例えば、リポフェクション法、リン酸カルシウム法、マイクロインジェクション法、プロトプラスト融合法、エレクトロポレーション法、DEAEデキストラン法、Gene Gunによる遺伝子導入法等)に従って上記宿主細胞へ導入することにより、該発現ベクターが導入された形質転換体(本発明の形質転換体)を製造することができる。該形質転換体は本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを発現し得る。本発明の形質転換体は、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドの製造等に有用である。
【0063】
本発明の形質転換体を、宿主の種類に応じて、自体公知の方法で培養し、培養物から本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを単離することにより、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを製造することが出来る。宿主がエシェリヒア属菌である形質転換体の培養は、LB培地やM9培地等の適切な培地中、通常約15〜43℃で、約3〜24時間行なわれる。宿主がバチルス属菌である形質転換体の培養は、適切な培地中、通常約30〜40℃で、約6〜24時間行なわれる。宿主が酵母である形質転換体の培養は、バークホールダー培地等の適切な培地中、通常約20℃〜35℃で、約24〜72時間行なわれる。宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体の培養は、約10%のウシ血清が添加されたGrace’s Insect medium等の適切な培地中、通常約27℃で、約3〜5日間行なわれる。宿主が動物細胞である形質転換体の培養は、約10%のウシ血清が添加されたMEM培地等の適切な培地中、通常約30℃〜40℃で、約15〜60時間行なわれる。いずれの培養においても、必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。培養物からの本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドの単離又は精製は、例えば、菌体溶解液や培養上清を、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーなどの複数のクロマトグラフィーに供することにより達成することができる。
【0064】
4.抗体
本発明は、上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを特異的に認識する抗体(以下、本発明の抗体と称することがある)を提供する。
【0065】
抗体による抗原Xの「特異的認識」とは、抗原抗体反応における、抗体の抗原Xに対する結合親和性についてのK
D値が1×10
−7M以下(好ましくは、1×10
−8M以下、より好ましくは1×10
−9M以下)であることを意味する。
【0066】
本発明の抗体は、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを免疫原として用い、既存の一般的な製造方法によって製造することができる。本明細書において、抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)等の天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体や一本鎖抗体、ヒト抗体、およびこれらの結合性断片が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体又はこれらの結合性断片である。結合性断片とは、特異的結合活性を有する前述の抗体の一部分の領域を意味し、具体的には例えばF(ab')
2、Fab'、Fab、Fv、sFv、dsFv、sdAb等が挙げられる(Exp. Opin. Ther. Patents, Vol.6, No.5, p.441-456, 1996)。抗体のクラスは、特に限定されず、IgG、IgM、IgA、IgDあるいはIgE等のいずれのアイソタイプを有する抗体をも包含する。好ましくは、IgG又はIgMであり、精製の容易性等を考慮するとより好ましくはIgGである。
【0067】
本発明の抗体は、本発明のポリペプチドやEIBSウイルス検出のための試薬として有用である。
【0068】
5.核酸プライマー又は核酸プローブ
本発明は、上記本発明のポリヌクレオチドを特異的に検出する核酸プライマー又は核酸プローブをも提供する。
【0069】
本発明のポリヌクレオチドを特異的に検出し得る核酸プローブとしては、上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10で表されるヌクレオチド配列、或いはそのコード領域からなるヌクレオチド配列)に含まれる、約15塩基以上、好ましくは約18〜約500塩基、より好ましくは約18〜約200塩基、いっそう好ましくは約18〜約50塩基の連続したヌクレオチド配列又はその相補配列を含むポリヌクレオチドを挙げることが出来る。
【0070】
本発明のポリヌクレオチドを特異的に検出し得る核酸プライマーは、上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10で表されるヌクレオチド配列、或いはそのコード領域からなるヌクレオチド配列)からなるポリヌクレオチドの一部又は全部の領域を特異的に増幅し得るように設計されたものであればいかなるものであってもよい。例えば、上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10で表されるヌクレオチド配列、或いはそのコード領域からなるヌクレオチド配列)の相補配列の一部にハイブリダイズする、約15〜約50塩基、好ましくは約18〜約30塩基のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドと、このハイブリダイゼーション部位より3’側の上記ヌクレオチド配列の一部にハイブリダイズする、約15〜約50塩基、好ましくは約18〜約30塩基のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドとの組み合わせであり、それらによって増幅される核酸の断片長が約50〜約1,000塩基、好ましくは約50〜約500塩基、より好ましくは約50〜約200塩基である、一対のポリヌクレオチドが挙げられる。
【0071】
核酸プローブ及び核酸プライマーは、特異的検出に支障を生じない範囲で付加的配列(検出対象のポリヌクレオチドと相補的でないヌクレオチド配列)を含んでいてもよい。
【0072】
また、核酸プローブ及び核酸プライマーは、適当な標識剤、例えば、放射性同位元素(例:
125I、
131I、
3H、
14C、
32P、
33P、
35S等)、酵素(例:β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等)、蛍光物質(例:フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート等)、発光物質(例:ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニン等)、ビオチンなどで標識されていてもよい。あるいは、蛍光物質(例:FAM、VIC等)の近傍に該蛍光物質の発する蛍光エネルギーを吸収するクエンチャー(消光物質)がさらに結合されていてもよい。かかる実施態様においては、検出反応の際に蛍光物質とクエンチャーとが分離して蛍光が検出される。
【0073】
核酸プローブ及び核酸プライマーは、DNAであってもRNAであってもよく、また、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。二本鎖の場合は二本鎖DNA、二本鎖RNA、DNA/RNAハイブリッドのいずれであってもよい。従って、本明細書においてあるヌクレオチド配列を有する核酸について記載する場合、特に断らない限り、該ヌクレオチド配列を有する一本鎖ポリヌクレオチド、該ヌクレオチド配列と相補的な配列を有する一本鎖ポリヌクレオチド、それらのハイブリッドである二本鎖ポリヌクレオチドをすべて包含する意味で用いられていると理解されるべきである。
【0074】
上記核酸プローブ及び核酸プライマーは、例えば、本明細書に記載されたヌクレオチド配列の情報に基づいて、DNA/RNA自動合成機を用いて常法に従って合成することができる。
【0075】
6.赤血球封入体症候群に対するワクチン
魚類を本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドにより免疫すると、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドに対する免疫反応が惹起され、本発明のポリペプチド又はその抗原エピトープを含むEIBSウイルスもこの獲得された免疫反応により排除される。従って、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドにより免疫された魚類は、EIBSウイルス感染に対する耐性を獲得する。よって、本発明は、上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチド、或いは上記本発明の発現ベクターを含む、ブリ属魚類の赤血球封入体症候群に対するワクチン(以下、本発明のワクチンと称することがある。)を提供する。本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチド、或いは本発明の発現ベクターの有効量を魚類へ投与することにより、当該魚類における赤血球封入体症候群を予防することができる。
【0076】
本発明のワクチンの投与対象魚類は、EIBSウイルスが感染し得る魚類であれば、特に限定されない。その様な魚類としては、サケ科魚類のギンザケ、マスノスケ、タイセイヨウサケ、ニジマス等が挙げられ、好ましくはギンザケである。
【0077】
本発明のワクチンに含まれる、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドは、好適には、以下の(1’’)〜(4’’)から選択されるいずれかのポリペプチド、又は10アミノ酸以上の長さを有するその部分ポリペプチドである:
(1’’)配列番号19又は21で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(2’’)配列番号19又は21で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(3’’)配列番号19又は21で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ対応する(1’’)のポリペプチドと実質的に同質の活性を有するポリペプチド;及び
(4’’)配列番号19又は21で表されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ対応する(1’’)のポリペプチドと実質的に同質の活性を有するポリペプチド。
【0078】
本発明のワクチンに含まれる、本発明の発現ベクターは、好適には、上記(1’’)〜(4’’)から選択されるいずれかのポリペプチド、又は10アミノ酸以上の長さを有するその部分ポリペプチドを発現するベクターである。
【0079】
本発明のワクチンは、上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチド、或いは本発明の発現ベクターのみを含有するものに限定されず、薬学的に許容される液状又は固体状の担体をさらに含有してもよい。本発明は、このような組成物(水産用医薬組成物)をも提供する。液状の担体としては水、リン酸緩衝液(PBS)、生理食塩水等が挙げられる。固体状の担体としては、タルク、シュークロースなどの賦形剤が挙げられる。本発明のワクチンの形態は特に制限されず、注射剤、経口剤、浸漬剤のいずれであってもよいが、少量の投与で長期間にわたって効果の持続性がある注射剤の形態を採用することが好ましい。また、経口剤の形態である場合には、通常の魚類の飼料に上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチド、或いは本発明の発現ベクターを混合してもよい。
【0080】
本発明のワクチンは、水産用ワクチンにおいて通常用いられる手法、例えば、注射法、浸漬法、経口法等により、投与対象に対して投与される。注射法においては、注射可能な大きさの魚に、本発明のワクチンを、腹腔内、筋肉内、皮下、皮内、静脈内等(好ましくは腹腔内)へ接種する。浸漬法においては、本発明のワクチンの構成成分を含む液中に、魚を0.05〜24時間程度浸漬する。浸漬法は、注射法と比較してワクチン効果が低下する可能性があるため、必要に応じて追加免疫を行ってもよい。経口法では、本発明のワクチンの構成成分を含有する飼料を自由摂餌させる。経口法を採用する場合には、5〜14日間の連続投与が望ましい。
【0081】
注射用ワクチンは、上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチド、或いは本発明の発現ベクターを滅菌した魚類用生理食塩水等に懸濁して調製することができる。なお、当該注射用ワクチンには、上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチド、或いは本発明の発現ベクター、及び生理食塩水の他、当該注射剤に通常用いられる懸濁化剤、安定化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤またはその他の適当な添加剤を配合することもできる。
【0082】
従来からワクチン効果等を向上させるために種々のアジュバントが用いられている。一態様において、本発明のワクチンは、アジュバントを使用するまでもなく、十分なワクチン効果を奏することができる。しかしながら、本発明はアジュバントの使用を何ら制限するものではなく、所望に応じて、上記成分に加えてアジュバントを配合することもできる。
【0083】
アジュバントの例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:油性アジュバント(鉱物、植物及び動物性油脂、ビタミンEなどの油溶性ビタミン等)、これらを添加するための界面活性剤、ミョウバン、アルミニウム化合物、ベントナイト、ムラミルジペプチド誘導体、インターロイキン、内毒素。
【0084】
本発明のワクチンに含まれる本発明のポリペプチドは部分ポリペプチド、或いは本発明の発現ベクターの量は、本発明のワクチンとして用いられた際に、EIBSウイルス感染の予防を達成し得る範囲で特に限定されず、抗原の態様、投与ルート、投与対象等により適宜選択することができる。
【0085】
本発明のワクチンの投与量は、魚類におけるEIBSウイルス感染の予防を達成し得る範囲で特に限定されず、抗原の態様、投与ルート、投与対象等により適宜選択することができる。例えば、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを注射により投与する場合、投与量を、単離された本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドとして、通常1尾あたり10μg〜1mgとする。また、本発明の発現ベクターを注射により投与する場合、投与量を、単離された本発明のベクターとして、通常1尾あたり100ng〜10μgとする。
【0086】
なお、魚に投与するワクチンの体積を増減することによって、有効量を適宜調節することができるので、本発明のワクチン中の本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチド、或いは本発明の発現ベクターの含有量は、上記のものに限定されることはない。
【0087】
本発明のワクチンを魚に腹腔内注射する場合の望ましい投与量は、投与するワクチン中に含有される有効成分の量、魚の種類、年齢及び体重などの種々の要因によって異なり、一概に規定することはできない。しかし、投与量が多すぎると、投与作業が煩雑になり、また、投与量が少なく過ぎると、投与毎の投与量の誤差が増大する懸念があるので、体重5〜100gの魚に対して通常0.025〜0.5mL程度を体重に応じて腹腔内注射することが好ましい。
【0088】
本発明のワクチンは、魚の体重や年齢等に特に制限はされることなく投与することができる。ワクチンをより有効に利用するためには、EIBSウイルスに感染する前、例えば稚魚の段階で投与することが好ましい。
【0089】
本発明のワクチンの投与回数は、そのワクチン効果(EIBSウイルス感染予防効果)が持続する限り1回でよいが、複数回投与してもよい。複数回投与により、ワクチン効果の増強が期待できる。複数回投与の場合の投与間隔は、通常1〜30日である。また投与回数は、通常2〜5回である。本発明のワクチンの投与回数は好ましくは1〜3回、最も好ましくは1回である。
【0090】
また、本発明は、上記本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチド、或いは本発明の発現ベクターのワクチン有効量を魚類に投与すること、および当該魚類を飼育することを含む、魚類の養殖方法を提供する。
【0091】
魚類の飼育方法は、公知であり、適切な人為的な条件下で給餌しながら、市場への出荷に十分な大きさになるまで飼育する。
【0092】
7.赤血球封入体症候群罹病歴の診断方法
本発明は、魚類から採取した生体試料における、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドに対する抗体価を測定することを含む、当該魚類の赤血球封入体症候群罹病歴を診断する方法(以下、本発明の診断方法と称することがある。)を提供する。例えば、魚類から採取した生体試料における、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドに対する抗体価を測定し、当該抗体価を赤血球封入体症候群罹病歴の無い対照魚類と比較する。
【0093】
本発明の診断方法においては、好適には、以下の(1’’’)〜(4’’’)から選択されるいずれかのポリペプチド、又は10アミノ酸以上の長さを有するその部分ポリペプチドに対する抗体価を測定する:
(1’’’)配列番号21で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(2’’’)配列番号21で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(3’’’)配列番号21で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ対応する(1’’’)のポリペプチドと実質的に同質の活性を有するポリペプチド;及び
(4’’’)配列番号21で表されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ対応する(1’’’)のポリペプチドと実質的に同質の活性を有するポリペプチド。
他のポリペプチドと比較して、EIBS感染耐過魚中に高い抗体価が認められるからである。
【0094】
対象魚類は、EIBSウイルスが感染し得る魚類であれば、特に限定されない。その様な魚類としては、サケ科魚類のギンザケ、マスノスケ、タイセイヨウサケ、ニジマス等が挙げられ、好ましくはギンザケである。
【0095】
生体試料としては、血液(血清、血漿等の血液の処理物を包含する)、腹水等を挙げることができるが、好適には血液が用いられる。
【0096】
本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドに対する抗体価の測定は、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを用いて、免疫学的手法により実施することができる。本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを生体試料と接触させ、生体試料中に含まれる本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドに対する抗体と、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドから構成される免疫複合体を形成させて、これを検出する。免疫学的手法としては、ELISA法、ウェスタンブロッティング、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0097】
そして、対照魚類を上回る抗体価を有する場合には、赤血球封入体症候群罹病歴を有すると判定することができる。
【0098】
本発明の診断方法により、対照魚類を上回る抗体価を有する魚類を選択することにより、赤血球封入体症候群罹病歴を有する個体を選択することができる。このような個体は、EIBSウイルスに対する抵抗性(EIBSウイルスに対する免疫)を獲得しているので、これを養殖することにより、EIBSウイルス感染による漁業的被害を回避することができる。
【0099】
また、本発明は、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを含む、赤血球封入体症候群罹病歴を診断するための試薬(以下、本発明の診断試薬と称することがある。)をも提供する。本発明の診断試薬を用いることにより、本発明の診断方法を容易に実施することが出来る。本発明の診断試薬に含まれる本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドは、好適には、上述の(1’’’)〜(4’’’)から選択されるいずれかのポリペプチド、又は10アミノ酸以上の長さを有するその部分ポリペプチドである。
【0100】
本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドは、水もしくは適当な緩衝液(例:TEバッファー、PBSなど)中に適当な濃度となるように溶解されるか、あるいは凍結乾燥された状態で提供される。
【0101】
本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドを適切な支持体の上に結合して、提供してもよい。支持体としては、当該分野で通常用いられている支持体であれば特に限定されず、例えば、メンブレン(例えば、ナイロン膜)、ガラス、プラスチック、金属などが挙げられる。
【0102】
本発明の診断試薬は、抗体価の測定方法に応じて、必要な他の成分を構成としてさらに含むキットとして提供されてもよい。例えば、当該キットには、(標識)二次抗体、発色基質、ブロッキング液、洗浄緩衝液、ELISAプレート、ブロッティング膜等をさらに含むことができる。
【0103】
8.EIBSウイルスの検出方法
本発明は、試料における、本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチド、或いは本発明のポリヌクレオチドを測定することを含む、EIBSウイルスの検出方法を提供する。
【0104】
試料としては、EIBSウイルスの存在が疑われるものであれば、特に限定されない。例えば、EIBSウイルスへの感染の疑いのある魚由来の生体試料や、EIBSウイルスの存在が疑われる海水、漁具等を挙げることが出来る。
【0105】
本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチドの測定は、上述の本発明の抗体を用いて免疫学的手法により行うことが出来る。免疫学的手法としては、フローサイトメトリー解析、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、ELISA法、ウェスタンブロッティング、免疫組織染色等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0106】
本発明のポリヌクレオチドの測定は、上述の本発明の核酸プライマー又は核酸プローブを用いて、自体公知の方法により測定することが出来る。該測定方法としては、例えば、cDNA(又はcRNA)アレイ、RT−PCR、ノザンブロッティング、in situ ハイブリダイゼーション等を挙げることができる。
【0107】
そして、試料中に、バックグラウンドを上回る本発明のポリペプチド又は部分ポリペプチド、或いは本発明のポリヌクレオチドが検出された場合には、当該試料中にEIBSウイルスが存在する可能性があると判断することができる。
【0108】
また、本発明は、上述の本発明の抗体、或いは上述の本発明の核酸プライマー又は核酸プローブを含む、EIBSウイルスの検出用試薬(本発明の検出用試薬)を提供する。本発明の検出用試薬を用いることにより、容易に、上述の本発明の検出方法によりEIBSウイルスを検出することができる。
【0109】
本発明の抗体、或いは本発明の核酸プライマー又は核酸プローブは、通常、水もしくは適当な緩衝液(例:TEバッファー、PBSなど)中に適当な濃度となるように溶解されるか、あるいは凍結乾燥された状態で提供される。
【0110】
本発明の抗体、上述の本発明の核酸プライマー又は核酸プローブを、適切な支持体の上に結合して、提供してもよい。支持体としては、当該分野で通常用いられている支持体であれば特に限定されず、例えば、メンブレン(例えば、ナイロン膜)、ガラス、プラスチック、金属などが挙げられる。
【0111】
本発明の試薬は、測定方法に応じて、必要な他の成分を構成としてさらに含むキットとして提供されてもよい。
例えば、本発明の試薬が、本発明の抗体を含むものであれば、免疫学的手法の実施に使用する、標識二次抗体、発色基質、ブロッキング液、洗浄緩衝液、ELISAプレート、ブロッティング膜等をさらに含むことができる。
【0112】
本発明の試薬が、上述の本発明の核酸プライマー又は核酸プローブを含むものであれば、RT-PCR、ノザンブロッティング、in situ ハイブリダイゼーション、cDNAアレイ等の実施に使用する各種試薬を含むことができる。例えば、RT-PCRを測定に用いる場合には、本発明の試薬は、10×PCR反応緩衝液、10×MgCl
2水溶液、10×dNTPs水溶液、Taq DNAポリメラーゼ(5U/μL)、逆転写酵素等をさらに含むことができる。ノザンブロッティングやcDNAアレイを測定に用いる場合には、本発明の試薬は、ブロッティング緩衝液、標識化試薬、ブロッティング膜等をさらに含むことができる。in situ ハイブリダイゼーションを測定に用いる場合には、本発明の試薬は、標識化試薬、発色基質等をさらに含むことができる。
【0113】
刊行物、特許文献等を含む、本明細書に引用されたすべての参考文献は、引用により、それらが個々に具体的に参考として援用されかつその内容全体が具体的に記載されているのと同程度まで、本明細書に援用される。
【0114】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0115】
[実施例1:EIBSウイルスのゲノム構造の解析]
EIBSウイルスの単離
赤血球封入体症候群に罹病した養殖ギンザケから赤血球を採取し、その超音波破砕液を密度勾配超遠心分離法に供し、EIBSウイルス粒子を分離した。
【0116】
ゲノムRNAの塩基配列の決定
EIBSウイルス粒子のゲノムRNAをTRIzol試薬(ライフテクノロジーズ)を用いて抽出し、cDNAの合成をFull length amplification of cDNAs(FLAC)法により行った。このcDNAを鋳型としてPCRを行い、TOPO TAクローニングキット(ライフテクノロジーズ)を用いてPCR産物のライブラリーを作成した。ライブラリーからアトランダムに選択した300クローンのプラスミドを抽出し、組み込んだPCR産物の塩基配列を解析した。塩基配列の解析は、BigDye Terminator(ライフテクノロジーズ)を用いたサンガー法で行い、その反応産物を自動蛍光シーケンサー3130xl(ライフテクノロジーズ)で分析した。得られた各塩基配列の重複関係を遺伝子解析ソフトGENETYX-Mac(ゼネティックス)で明らかにし、EIBSウイルスの10本のゲノム分節の塩基配列を決定した。
【0117】
ポリペプチドへの翻訳領域
10本のゲノム分節の塩基配列についてオープンリーディングフレーム(ORF)解析を行った(表3)。各ORFにコードされていたタンパク質は、ウイルス粒子の形成に関わるタンパク質であった(
図1)。
【0118】
【表3】
【0119】
配列番号9で表されるRNA文節には、2つのORF(配列番号19及び配列番号20)が見出されたことから、このRNA文節については2通りのパターンで翻訳が生じる可能性が示された。
【0120】
EIBSウイルスの分類学的位置
lambda 3遺伝子(配列番号2)にコードされたアミノ酸配列(配列番号12)に基づく、EIBSウイルスと近縁ウイルスの遺伝的系統解析の結果、EIBSウイルスがPRVと異なる系統であり、新しい種であることが示された(
図2)。
【0121】
[実施例2:定量RT-PCR法によるウイルス検出へのオリゴヌクレオチドの利用]
配列番号1で表されるヌクレオチド配列を基に定量RT-PCR法のプライマーを設計した(表4)。EIBSウイルスのRNAに対する逆転写反応(RT)には、ReverTra Ace qPCR RT Kit(TOYOBO)を用い、リアルタイムPCRには、GeneAce SYBR qPCR Mixα Low ROX(ニッポンジーン)を使用した。反応条件は、1サイクル目(95℃、10分)、40サイクル(95℃、30秒→60℃、1分)に設定した。なお、測定時には外部標準(λRNA、タカラバイオ)の測定も行い、サンプル間のばらつきを標準化した上でEIBSウイルスのゲノムコピー数を算出した。
【0122】
【表4】
【0123】
設計したリアルタイムRT-PCRは、3.25E+7〜3.25E+0 コピーのプラスミドスタンダードに対して3.25E+1コピーまで十分に定量的な検出が可能であった(
図3)。
【0124】
EIBSが発生した養殖場からギンザケ血液をサンプリングし、抽出したRNAを定量RT-PCR法に供したところ、個体ごとに定量的なウイルス検出が可能であった(
図4)。
【0125】
[実施例3:ウェスタンブロット法による抗体検査への組換えタンパク質の利用]
EIBSウイルスのゲノム上にコードされた各遺伝子産物の組換えタンパク質が、抗体検査における抗原として利用できるか、ウェスタンブロット法により検討した。
配列番号1〜4及び6〜10の翻訳領域をRT-PCRにより増幅し、各RT-PCR産物を発現プラスミドベクターpET30にそれぞれ組換え、大腸菌を用いてHis-tag融合タンパク質を発現させた。発現された各タンパク質を、Ni アフィニティーカラムを用いて回収し、SDS-PAGEに供した。SDS-PAGE後、各発現タンパク質をPVDF膜に転写し、EIBS感染耐過魚及び未感染魚の各血清に対する反応を観察した。各発現タンパク質に反応するギンザケ抗体の検出には、ギンザケ抗体に対するモノクローナル抗体とHRP発色キット(Bio-Rad)を用いた。
【0126】
ウェスタンブロット法の結果、各組換えタンパク質に対するEIBS感染耐過魚の抗体の反応は、未感染魚より顕著に強かった(
図5)。このウェスタンブロット法は、発色の程度から容易に結果の判定ができたことから、抗体検査に利用できると考えられた。
【0127】
各組換えタンパク質の抗原性をウェスタンブロット法の結果を基に画像解析により検討した。解析では、画像解析ソフトCS Analyzer 3.0(ATTO)を用い、ウェスタンブロット法における発色反応を数値化して、各組換えタンパク質ごとの反応を比較した。その結果、配列番号10のゲノム文節中にコードされたσ1の組換えタンパク質(配列番号21)に対する反応が特に強く、EIBSウイルス感染歴の診断用の抗原として優れていることが示された(
図6)。
【0128】
[実施例4:ELISA法による抗体検査への組換えタンパク質の利用]
血液中のEIBSウイルスに対する抗体を測定することで、EIBSの感染歴を把握することができる。定量的な測定方法としてマイクロウェルプレート内で抗原抗体反応を行うELISA法がある。配列番号10にコードされているσ1の組換え融合タンパク質を抗原として用い、これに反応するギンザケ抗体をELISA法により定量した。
【0129】
トリス緩衝生理食塩水等で10倍に希釈したギンザケ血漿或いは血清(50μL)をELISAの供試料として用いた。EIBSが発生した養殖場のギンザケの血漿に対するELISAの結果を
図7に示した。発生から28日後には、EIBSに対する抗体の保有魚が確認され、40日後には殆どの個体で抗体の保有が検出された。この結果から、EIBSウイルスのゲノム上にコードされた各遺伝子産物の組換えタンパク質を用いて、免疫学的手法によりEIBSの感染歴を確認できることが示された。
【0130】
[実施例5:ワクチンへの組換えタンパク質の利用]
配列番号10中の翻訳領域にコードされた遺伝子産物σ1に対する組換えタンパク質を発現ベクターpColdTF DNAで作成した。この組換えタンパク質をギンザケに免疫し、4週間後にEIBSウイルスによる攻撃試験を行った。攻撃から28日後に、血液中のウイルス量を定量RT-PCR法で測定した。その結果を
図8に示した。未接種区よりウイルス量が低くなっている個体がσ1接種区で多く見られた。この組換えタンパク質をワクチンとして用いることで防御効果を示す可能性が考えられた。