(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている積載量算出装置は、測定箇所に応じた複数のレーザ距離計が必要となる。そのため、積載量の算出精度を高めようとすると、測定箇所を増やしてレーザ距離計を多数配置しなければならなかった。また、例えば、積載面に凹凸があるダンプトラックや積載面の断面がV字状のコンベアなど、平坦でない積載面を有する搬送装置に対応するには、積載面までの距離を測定するレーザ距離計をさらに多数配置しなければならなかった。そのため、装置構成が複雑であり、装置コストが高くなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、簡易な構成で精度よく体積を推定できる体積推定装置、体積推定システムおよび体積推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る体積推定装置は、搬送装置によって搬送される被搬送物の体積を推定する体積推定装置であって、前記被搬送物が載せられる前記搬送装置の搬送面上の三次元空間を撮影する深度カメラから画素毎に奥行き情報を含む深度画像データを取得する深度画像データ取得部と、前記深度画像データ取得部によって取得された前記搬送面に被搬送物が載せられていない空荷状態の前記深度画像データの画素の奥行き情報に基づいて、前記深度カメラから当該画素に対応する領域までの距離を空荷時距離として取得する空荷時距離取得部と、前記深度画像データ取得部によって取得された前記搬送装置の稼働中の前記深度画像データの画素の奥行き情報に基づいて、前記深度カメラから当該画素に対応する領域までの距離を稼働時距離として取得する稼働時距離取得部と、前記空荷時距離と前記稼働時距離とに基づいて前記被搬送物の体積を推定する体積推定部と、を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記空荷状態の前記深度画像データの画素(「画素A」という)についての前記空荷時距離に基づいて、この画素Aに対応する領域の面積を第1面積として取得し、かつ、前記搬送装置の稼働中の前記深度画像データにおける前記画素Aに対応する画素(「画素B」という)についての前記稼働時距離に基づいて、この画素Bに対応する領域の面積を第2面積として取得する面積取得部をさらに有し、前記体積推定部が、前記第1面積と、前記第2面積と、前記画素Aについての前記空荷時距離と、前記画素Bについての前記稼働時距離と、に基づいて、前記被搬送物の体積を推定す
る。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の他の一態様に係る体積推定装置は、搬送装置によって搬送される被搬送物の体積を推定する体積推定装置であって、前記被搬送物が載せられる前記搬送装置の搬送面上の三次元空間を撮影する深度カメラから画素毎に奥行き情報を含む深度画像データを取得する深度画像データ取得部と、前記深度画像データ取得部によって取得された前記搬送面に被搬送物が載せられていない空荷状態の前記深度画像データの画素の奥行き情報に基づいて、前記深度カメラから当該画素に対応する領域までの距離を空荷時距離として取得する空荷時距離取得部と、前記深度画像データ取得部によって取得された前記搬送装置の稼働中の前記深度画像データの画素の奥行き情報に基づいて、前記深度カメラから当該画素に対応する領域までの距離を稼働時距離として取得する稼働時距離取得部と、前記空荷時距離と前記稼働時距離とに基づいて前記被搬送物の体積を推定する体積推定部と、を有し、前記体積推定
部が、前記空荷時距離と、前記稼働時距離と、前記深度カメラの撮影方向と直交する基準平面までの基準距離と、に基づいて前記被搬送物の体積を推定する
ことを特徴とする。
【0011】
本発明において、前記空荷状態の前記深度画像データの画素(「画素A」という)についての前記空荷時距離に基づいて、この画素Aに対応する領域の面積を第1面積として取得し、かつ、前記搬送装置の稼働中の前記深度画像データの画素(「画素B」という)についての前記稼働時距離に基づいて、この画素Bに対応する領域の面積を第2面積として取得し、かつ、前記深度カメラで前記基準平面を撮影した場合の前記深度画像データの画素に対応する領域の面積を第3面積として取得する面積取得部をさらに有し、前記体積推定部が、前記第1面積と、前記第2面積と、前記第3面積と、前記画素Aについての前記空荷時距離と、前記画素Bについての前記稼働時距離と、前記基準距離と、に基づいて、前記被搬送物の体積を推定す
る。
本発明において、前記体積推定部が、前記基準距離と前記画素Aに対応する領域までの距離との差分値(「第1高さ」という)を取得し、前記基準距離と前記画素Bに対応する領域までの距離との差分値(「第2高さ」という)を取得し、前記画素Aについて、前記第1面積と前記第3面積と第1高さとを用いて四角錐台の体積を算出し、全ての前記画素Aについて算出した四角錐台の体積の合計値(「第1合計値」という)を算出し、前記画素Bについて、前記第2面積と前記第3面積と第2高さとを用いて四角錐台の体積を算出し、全ての前記画素Bについて算出した四角錐台の体積の合計値(「第2合計値」という)を算出し、第1合計値と第2合計値との差分値を前記被搬送物の推定体積とすることが好ましい。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様に係る体積推定システムは、搬送装置によって搬送される被搬送物の体積を推定する体積推定システムであって、前記被搬送物が載せられる前記搬送装置の搬送面上の三次元空間を撮影する深度カメラと、上記体積推定装置と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様に係る体積推定方法は、搬送装置によって搬送される被搬送物の体積を推定する体積推定方法であって、前記被搬送物が載せられる前記搬送装置の搬送面上の三次元空間を深度カメラで撮影して、画素毎に奥行き情報を含む深度画像データを取得し、前記搬送面に被搬送物が載せられていない空荷状態の前記深度画像データに基づいて、前記深度カメラから当該深度画像データの画素に対応する領域までの距離を空荷時距離として取得し、前記搬送装置の稼働中の前記深度画像データに基づいて、前記深度カメラから当該深度画像データの画素に対応する領域までの距離を稼働時距離として取得し、
前記空荷状態の前記深度画像データの画素(「画素A」という)についての前記空荷時距離に基づいて、この画素Aに対応する領域の面積を第1面積として取得し、かつ、前記搬送装置の稼働中の前記深度画像データにおける前記画素Aに対応する画素(「画素B」という)についての前記稼働時距離に基づいて、この画素Bに対応する領域の面積を第2面積として取得し、前記第1面積と、前記第2面積と、前記画素Aについての前記空荷時距離と
、前記画素Bについての前記稼働時距離とに基づいて前記被搬送物の体積を推定することを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様に係る体積推定方法は、搬送装置によって搬送される被搬送物の体積を推定する体積推定方法であって、前記被搬送物が載せられる前記搬送装置の搬送面上の三次元空間を深度カメラで撮影して、画素毎に奥行き情報を含む深度画像データを取得し、前記搬送面に被搬送物が載せられていない空荷状態の前記深度画像データに基づいて、前記深度カメラから当該深度画像データの画素に対応する領域までの距離を空荷時距離として取得し、前記搬送装置の稼働中の前記深度画像データに基づいて、前記深度カメラから当該深度画像データの画素に対応する領域までの距離を稼働時距離として取得し、前記空荷状態の前記深度画像データの画素(「画素A」という)についての前記空荷時距離に基づいて、この画素Aに対応する領域の面積を第1面積として取得し、かつ、前記搬送装置の稼働中の前記深度画像データの画素(「画素B」という)についての前記稼働時距離に基づいて、この画素Bに対応する領域の面積を第2面積として取得し、かつ、前記深度カメラで当該深度カメラの撮影方向と直交する基準平面を撮影した場合の前記深度画像データの画素に対応する領域の面積を第3面積として取得し、前記第1面積と、前記第2面積と、前記第3面積と、前記画素Aについての前記空荷時距離と、前記画素Bについての前記稼働時距離と、前記深度カメラから前記基準平面までの基準距離と、に基づいて、前記被搬送物の体積を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被搬送物が載せられる搬送装置の搬送面上の三次元空間を撮影する深度カメラから画素毎に奥行き情報を含む深度画像データを取得する。搬送面に被搬送物が載せられていない空荷状態の深度画像データの画素の奥行き情報に基づいて、深度カメラから当該画素に対応する領域までの距離を空荷時距離として取得する。搬送装置の稼働中の深度画像データの画素の奥行き情報に基づいて、深度カメラから当該画素に対応する領域までの距離を稼働時距離として取得する。空荷時距離と稼働時距離とに基づいて被搬送物の体積を推定する。このようにしたことから、深度カメラから取得した深度画像データは、画素毎に奥行き情報を含んでいるので、深度画像データを用いることで深度カメラから各画素に対応する領域までの距離を取得できる。そのため、各画素に対応する領域についての距離から被搬送物の高さを求めて、被搬送物の体積を推定することができる。したがって、簡易な構成で精度よく被搬送物の体積を推定できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る体積推定システムについて、
図1〜
図9を参照して説明する。本実施形態の体積推定システムは、搬送装置によって搬送される廃棄物の体積を推定するものである。もちろん、本発明は、これら以外にも、土砂などの体積の推定にも用いることができる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る体積推定システムを説明する図である。
図2および
図3は、
図1の体積推定システムが有するコンベアの平面図および断面図である。
図4は、
図1の体積推定システムが有する体積推定装置の機能ブロックを示す図である。
図5は、
図1の体積推定システムが有する深度カメラにより撮影される三次元空間を模式的に示す図である。
図6は、
図4の体積推定装置のコンピュータにおいて実行される本発明に係る処理(体積推定処理)の一例を示すフローチャートである。
図7は、空荷状態の深度画像データを用いて体積を算出する様子を模式的に示す図である。
図8は、コンベアの稼働中の深度画像データを用いて体積を算出する様子を模式的に示す図である。
図9は、空荷状態の深度画像データを用いて算出した体積およびコンベアの稼働中の深度画像データを用いて算出した体積から、被搬送物の体積を推定する様子を模式的に示す図である。
【0018】
本実施形態に係る体積推定システム1は、
図1〜
図3に示す搬送装置としてのコンベア50によって搬送される被搬送物Mの体積を推定するものである。
【0019】
コンベア50は、断面V字形状のレーン51を有し、搬送面であるレーン51の上面52に載せられた被搬送物Mを一方向(搬送方向F)に搬送する。コンベア50は、廃棄物処理場にある建屋の平らな床面Gに設置されている。コンベア50は、図示しない破砕機の下流に連なっており、破砕機によって破砕された廃棄物である被搬送物Mを上面52に載せて搬送する。コンベア50として、ベルト式コンベアやバケット式のコンベアなどの各種コンベアを採用可能である。
【0020】
図1〜
図3に示すように、体積推定システム1は、深度カメラ10と、体積推定装置20と、を有している。
【0021】
深度カメラ10は、コンベア50の上方に配置されており、レーン51の上面52に上下方向に対向している。深度カメラ10は、上面52上の三次元空間を撮影して深度画像データを生成する。具体的には、深度カメラ10は、上面52または上面52に載せられた被搬送物Mの表面で反射された超音波やレーザ光を検知して三次元空間内の撮影領域Rについて深度カメラ10の位置からの距離に係る情報(「奥行き情報」という)を取得し、画素毎に奥行き情報を含む深度画像データを生成する。深度カメラ10は、レーン51が搬送方向Fに進む速度に合わせて、撮影領域Rが重ならずかつ間隔をあけないように順次撮影する。
【0022】
深度画像データは、縦方向および横方向に並ぶ多数の画素により構成されており、詳細には多数の画素に対応するデータの集合である。本実施形態において、深度画像データは、例えば、各画素を奥行きに応じた濃淡で表したグレースケール画像である。深度画像データは、距離が近いほど淡く、距離が遠いほど濃くなるように、各画素について256階調の濃淡として表現する。深度画像データは、各画素を奥行きに応じた色で表したカラー画像であってもよい。深度画像データの縦方向は搬送方向Fに一致し、横方向はコンベア50を横切る方向に一致する。深度画像データは、画素毎に奥行き情報を含むデータであればよく、その視認態様は任意である。本実施形態において、深度画像データは、多数の画素が横方向に並ぶ列を複数有する(すなわち複数列)構成であるが、これ以外にも、多数の画素が横方向に並ぶ列を1つのみ有する(すなわち一列)構成であってもよい。
【0023】
図
5に、深度カメラ10により撮影される三次元空間を模式的に示す。深度カメラ10は、四角錐状の三次元空間の頂点(位置P0)に位置し、この三次元空間を撮影して深度画像データを生成する。三次元空間内で平面状の撮影領域R1、R2を撮影した場合を考えると、位置P0から距離L1離れた位置P1にある撮影領域R1は、位置P0から距離L2(L2<L1)離れた位置P2にある平面状の撮影領域R2より面積が大きい。そのため、撮影領域R1を撮影したときに生成される深度画像データD1の画素に対応する領域r1は、撮影領域R2を撮影したときに生成される深度画像データD2の画素に対応する領域r2より面積が大きい。このことは、1枚の深度画像データDにも当てはまる。すなわち、深度カメラ10から遠い位置を示す奥行き情報を含む画素に対応する領域は、深度カメラ10から近い位置を示す奥行き情報を含む画素に対応する領域より面積が大きい。したがって、深度画像データDの画素に対応する領域は、深度カメラ10からの距離に応じた面積を有することがわかる。撮影領域R1の深度画像データD1の画素(画素A)に対応する領域r1を下底とし、撮影領域R2の深度画像データD2における画素Aに対応する画素(画素B)に対応する領域r2を上底とし、深度カメラ10から画素Aまでの距離L1と深度カメラ10から画素Bまでの距離L2との差分値を高さとした四角錐台Tの体積を求めることで、撮影領域R1を撮影したときと撮影領域R2を撮影したときとの三次元空間内での体積の変化量を得ることができる。
【0024】
この原理を応用し、深度画像データを用いることにより三次元空間内にある被搬送物Mの体積を推定することができる。
【0025】
第1の体積推定方法を示す。(1)被搬送物Mがない状態を撮影した深度画像データD1および被搬送物Mがある状態を撮影した深度画像データD2を取得する。(2)深度画像データD1および深度画像データD2の各画素について、画素に含まれる奥行き情報に基づいて、深度カメラ10から当該画素に対応する領域までの距離を取得する。(3)深度カメラ10からの距離に基づいて深度画像データD1の画素(画素A)に対応する領域の面積(第1面積)を取得する。(4)深度カメラ10からの距離に基づいて深度画像データD2における画素Aに対応する画素(画素B)に対応する領域の面積(第2面積)を取得する。(5)画素Aに対応する領域までの距離と画素Bに対応する領域までの距離との差分値(高さ)を取得する。そして、(6)第1面積(下底面積)と第2面積(上底面積)と高さとを用いて、四角錐台の体積を算出する。(7)全ての画素について四角錐台Tの体積を算出して、これら体積の合計値を被搬送物Mの推定体積とする。なお、第1の体積推定方法において、深度カメラ10の画角が比較的狭い場合、深度画像データD1および深度画像データD2の画素に対応する領域の面積が全て同一であるものとして、上記高さ(すなわち、深度カメラ10からの距離)に基づいて簡易的に体積を推定してもよい。
【0026】
第2の体積推定方法を示す。第2の体積推定方法は、深度カメラ10の撮影方向と直交する基準平面をさらに用いて対象物の体積を推定する。基準平面は、深度カメラ10から基準距離だけ離れているものとする。(1)被搬送物Mがない状態を撮影した深度画像データD1および被搬送物Mがある状態を撮影した深度画像データD2を取得する。(2)深度画像データD1および深度画像データD2の各画素について、画素に含まれる奥行き情報に基づいて、深度カメラ10から当該画素に対応する領域までの距離を取得する。(3)深度カメラ10からの距離に基づいて深度画像データD1の画素(画素A)に対応する領域の面積(第1面積)を取得する。(4)深度カメラ10からの距離に基づいて深度画像データD2の画素(画素B)に対応する領域の面積(第2面積)を取得する。(5)基準平面を深度カメラ10で撮影した場合の深度画像データD3の画素に対応する領域の面積(第3面積)を取得する。(6)基準距離と画素Aに対応する領域までの距離と差分値(第1高さ)を取得する。(7)基準距離と画素Bに対応する領域までの距離との差分値(第2高さ)を取得する。(8)第1面積(上底面積)と第3面積(下底面積)と第1高さとを用いて、四角錐台の体積を算出する。(7)深度画像データD1の全ての画素について四角錐台の体積を算出して、これら体積の合計値(第1合計値)を算出する。(9)第2面積(上底面積)と第3面積(下底面積)と第2高さとを用いて、四角錐台の体積を算出する。(10)深度画像データD2の全ての画素について四角錐台の体積を算出して、これら体積の合計値(第2合計値)を算出する。(11)第1合計値と第2合計値との差分値を被搬送物Mの推定体積とする。
【0027】
なお、第2の体積推定方法において、深度カメラ10の画角が比較的狭い場合、深度画像データD1、深度画像データD2および深度画像データD3の画素に対応する領域の面積が全て同一であるものとして、上記第1高さおよび上記第2高さ(すなわち、深度カメラ10からの距離)に基づいて簡易的に体積を推定してもよい。このようにすることで、空荷状態の深度画像データD1の画素に対応する領域について基準距離Lgと空荷時距離L1との差分値(第1高さ)を演算し、稼働中の深度画像データD2の画素に対応する領域について基準距離Lgと稼働時距離L2との差分値(第2高さ)を演算することにより、空荷状態の深度画像データD1の画素と稼働中の深度画像データD2の画素との対応を考慮することなく、より簡易に被搬送物Mの体積を推定できる。
【0028】
本実施形態の体積推定装置20では、後者である第2の体積推定方法を採用し、深度カメラ10の位置P0から基準距離Lg離れた位置Pgにある床面Gを基準平面として用いる。
【0029】
体積推定装置20は、例えば、タブレット端末で構成されている。体積推定装置20は、パーソナルコンピュータなどで構成されていてもよい。体積推定装置20は、中央処理装置(CPU)であるコンピュータと、コンピュータの作業領域として用いられるメモリと、コンピュータに実行されるプログラムやデータを格納する記憶装置と、タッチパネル付ディスプレイと、を有している。また、体積推定装置20は、例えば、近距離無線や通信ケーブルなどにより深度カメラ10と通信する通信装置を有している。
【0030】
体積推定装置20のコンピュータは、記憶装置などに格納されたプログラムを実行することにより、深度画像データ取得部21、空荷時距離取得部22、稼働時距離取得部23、面積取得部24、および、体積推定部25として機能する。
【0031】
深度画像データ取得部21は、深度カメラ10によって生成された深度画像データを取得する。深度画像データ取得部21は、コンベア50の上面52に被搬送物Mが載せられていない空荷状態の深度画像データD1、および、コンベア50の稼働中の深度画像データD2を取得する。
【0032】
空荷時距離取得部22は、深度画像データ取得部21によって取得された空荷状態の深度画像データD1の画素の奥行き情報に基づいて、深度カメラ10から当該画素に対応する領域までの距離を空荷時距離L1として取得する。空荷時距離取得部22は、深度画像データD1が有する全ての画素について空荷時距離L1を取得する。
【0033】
稼働時距離取得部23は、深度画像データ取得部21によって取得されたコンベア50の稼働中の深度画像データD2の画素の奥行き情報に基づいて、深度カメラ10から当該画素に対応する領域までの距離を稼働時距離L2として取得する。稼働時距離取得部23は、深度画像データD2が有する全ての画素について稼働時距離L2を取得する。
【0034】
面積取得部24は、空荷状態の深度画像データD1の画素についての空荷時距離L1に基づいて、この画素に対応する領域の面積を第1面積S1として取得する。面積取得部24は、コンベア50の稼働中の深度画像データD2の画素についての稼働時距離L2に基づいて、この画素に対応する領域の面積を第2面積S2として取得する。面積取得部24は、深度カメラ10で基準平面である床面Gを撮影した場合の深度画像データD3の画素に対応する領域の面積を第3面積S3として取得する。面積取得部24は、深度画像データD1、深度画像データD2および深度画像データD3の全ての画素について、第1面積S1、第2面積S2および第3面積S3を取得する。
【0035】
面積取得部24は、深度カメラ10の位置P0からの距離を入力することにより、深度画像データD1、D2、D3の画素に対応する領域の面積を算出する関数を有している。または、面積取得部24は、深度カメラ10の位置P0からの距離と、深度画像データDの画素に対応する領域の面積とを関連付けて格納したテーブルを有していてもよい。本実施形態において、床面Gは平面であることから、深度画像データD3が有する全ての画素についての第3面積S3は同一としている。面積取得部24は、深度カメラ10による撮影において生じる深度画像データの歪み(例えば、レンズ形状の影響により、中心部分から周縁部にかけて樽形に変形したり、深度画像データの周縁部が引き延ばされたりする歪みなど)を補正して各画素の面積を取得するようにしてもよい。
【0036】
体積推定部25は、深度画像データD1の画素(画素A)についての第1面積S1と、深度画像データD2における上記画素Aに対応する画素(画素B)についての第2面積S2と、第3面積S3と、上記画素Aについての空荷時距離L1と、上記画素Bについての稼働時距離L2と、基準距離Lgと、に基づいて、被搬送物Mの体積を推定する。
【0037】
具体的には、体積推定部25は、基準距離Lgと画素Aについての空荷時距離L1との差分値を第1高さH1として取得する。体積推定部25は、画素Aについての第1面積S1を上底面積とし、第3面積S3を下底面積とし、第1高さH1を高さとして用いて、四角錐台T1の体積を算出する。体積推定部25は、深度画像データD1の全ての画素について四角錐台T1の体積を算出して、これら体積の合計値(第1合計値K1)を算出する。
【0038】
また、体積推定部25は、基準距離Lgと画素Bについての稼働時距離L2との差分値を第2高さH2として取得する。体積推定部25は、画素Bについての第2面積S2を上底面積とし、第3面積S3を下底面積とし、第2高さH2を高さとして用いて、四角錐台T2の体積を算出する。体積推定部25は、深度画像データD2の全ての画素について四角錐台T2の体積を算出して、これら体積の合計値(第2合計値K2)を算出する。
【0039】
そして、体積推定部25は、第2合計値K2から第1合計値K1を差し引くことにより、被搬送物Mの体積を算出する。
【0040】
また、体積推定装置20は、表示操作部26を有している。表示操作部26は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどからなる表示装置と、表示装置に重ねられたタッチパネルと、を有している。表示操作部26は、表示装置に表示された操作アイコンとタッチパネルと組み合わせたソフトウェアスイッチを有しており、このソフトウェアスイッチにより体積推定装置20を操作する。表示操作部26の表示装置には、例えば、深度画像データD1および深度画像データD2に基づく画像や、体積推定部25によって推定された被搬送物Mの体積が表示される。
【0041】
次に、上述した体積推定システム1の体積推定装置20のコンピュータにおいて実行される本発明に係る処理(体積推定処理)の一例について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
体積推定装置20のコンピュータは、深度カメラ10によってコンベア50の上面52に何も載せられていない(被搬送物Mが載せられていない)空荷状態を撮影することにより生成された深度画像データD1を取得する(S110)。深度画像データD1の各画素に対応する領域r1について空荷時距離L1および第1面積S1を取得する(S120、S130)。深度カメラ10で床面Gを撮影した場合の深度画像データD3の各画素に対応する領域r3について第3面積S3を取得する(S140)。深度画像データD1の各画素に対応する領域r1について、基準距離Lgと空荷時距離L1との差分値を算出して第1高さH1として取得する(S150)。第1面積S1(上底面積)と第3面積S3(下底面積)と第1高さH1(高さ)を用いて、四角錐台T1の体積を算出する(S160)。深度画像データD1の全ての画素について四角錐台T1の体積を算出するまで繰り返し(S170でN)、算出が終わると(S170でY)、これら体積の合計値(第1合計値K1)を算出する(S180)。
図7に、四角錐台T1の体積を算出する様子を模式的に示す。
図7の網掛け部分が、四角錐台T1の集合体である。
【0043】
次に、体積推定装置20のコンピュータは、コンベア50の稼働開始を待ち(S190でN)、コンベア50が稼働開始すると(S190でY)、深度カメラ10によって稼働中のコンベア50を撮影することにより生成された深度画像データD2を取得する(S200)。深度画像データD2の各画素に対応する領域r2について稼働時距離L2および第2面積S2を取得する(S210、S220)。深度カメラ10で床面Gを撮影した場合の深度画像データD3の画素に対応する領域r3について第3面積S3を取得する(S230)。深度画像データD2の各画素に対応する領域r2について、基準距離Lgと稼働時距離L2との差分値を算出して第2高さH2として取得する(S240)。第2面積S2(上底面積)と第3面積S3(下底面積)と第2高さH2(高さ)を用いて、四角錐台T2の体積を算出する(S250)。深度画像データD2の全ての画素について四角錐台T2の体積を算出するまで繰り返し(S260でN)、算出が終わると(S260でY)、これら体積の合計値(第2合計値K2)を算出する(S270)。
図8に四角錐台T2の体積を算出する様子を模式的に示す。
図8の網掛け部分が、四角錐台T2の集合体である。
【0044】
体積推定装置20のコンピュータは、第2合計値K2から第1合計値K1を差し引いて被搬送物Mの体積を算出する(S280)。
図9に、被搬送物Mの体積を算出する様子を模式的に示す。
図9の網掛け部分は、四角錐台T2からそれに対応する四角錐台T1を差し引いた四角錐台T3の集合体である。
【0045】
そして、体積推定装置20のコンピュータは、コンベア50が稼働停止するまで(S290でN)、S200〜S280を繰り返して被搬送物Mの体積を算出し、コンベア50が稼働停止すると(S290でY)、本フローチャートの処理を終了する。
【0046】
以上より、本実施形態の体積推定システム1によれば、被搬送物Mが載せられるコンベア50の上面52上の三次元空間を撮影する深度カメラ10から画素毎に奥行き情報を含む深度画像データD1、D2を取得する。上面52に被搬送物Mが載せられていない空荷状態の深度画像データD1の画素の奥行き情報に基づいて、深度カメラ10から当該画素に対応する領域までの距離を空荷時距離L1として取得する。コンベア50の稼働中の深度画像データD2の画素の奥行き情報に基づいて、深度カメラ10から当該画素に対応する領域までの距離を稼働時距離L2として取得する。空荷時距離L1と稼働時距離L2とに基づいて被搬送物Mの体積を推定する。このようにしたことから、深度カメラ10から取得した深度画像データD1、D2は、画素毎に奥行き情報を含んでいるので、深度画像データD1、D2を用いることで深度カメラ10から各画素に対応する領域までの距離(空荷時距離L1、稼働時距離L2)を取得できる。そのため、各画素に対応する領域についての距離から被搬送物Mの高さを求めて、被搬送物Mの体積を推定することができる。したがって、簡易な構成で精度よく被搬送物の体積を推定できる。
【0047】
また、空荷状態の深度画像データD1の画素(「画素A」という)についての空荷時距離L1に基づいて、この画素Aに対応する領域の面積を第1面積S1として取得する。コンベア50の稼働中の深度画像データD2の画素(「画素B」という)についての稼働時距離L2に基づいて、この画素Bに対応する領域の面積を第2面積S2として取得する。深度カメラ10で床面Gを撮影した場合の深度画像データD3の画素に対応する領域の面積を第3面積S3として取得する。そして、第1面積S1と、第2面積S2と、第3面積S3と、画素Aについての空荷時距離L1と、画素Bについての稼働時距離L2と、基準距離Lgと、に基づいて、被搬送物Mの体積を推定する。深度画像データD1、D2、D3は、深度カメラ10からの距離に応じて各画素に対応する領域の面積が変化する。すなわち、深度カメラ10に近いほど画素に対応する領域の面積が小さくなり、深度カメラ10から遠いほど画素に対応する領域の面積が大きくなる。そのため、深度カメラ10からの距離(空荷時距離L1、稼働時距離L2および基準距離Lg)に基づいて、深度画像データD1、D2、D3の画素に対応する領域の面積(第1面積S1、第2面積S2および第3面積S3)を取得し、これら面積を用いて被搬送物Mの体積を推定することで、推定精度を効果的に高めることができる。さらに、空荷状態の深度画像データD1の画素に対応する領域の第1面積S1と床面Gの深度画像データD3の画素に対応する第3面積S3とを演算し、稼働中の深度画像データD2の画素に対応する領域の第2面積S2と床面Gの深度画像データD3の画素に対応する第3面積S3とを演算することにより、空荷状態の深度画像データD1の画素と稼働中の深度画像データD2の画素との対応を考慮することなく、より簡易に被搬送物の体積を推定できる。
【0048】
上述した実施形態の体積推定システム1では、上記第2の体積推定方法を採用したものであったが、上記第1の体積推定方法を採用したものであってもよい。体積推定システム1において上記第1の体積推定方法を採用した場合に、体積推定装置20のコンピュータにおいて実行される本発明に係る処理(体積推定処理)の他の一例について、
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0049】
体積推定装置20のコンピュータは、深度カメラ10によってコンベア50の上面52に何も載せられていない(被搬送物Mが載せられていない)空荷状態を撮影することにより生成された深度画像データD1を取得する(T110)。深度画像データD1の各画素に対応する領域r1について空荷時距離L1および第1面積S1を取得する(T120、T130)。
【0050】
次に、体積推定装置20のコンピュータは、コンベア50の稼働開始を待ち(T140でN)、コンベア50が稼働開始すると(T140でY)、深度カメラ10によって稼働中のコンベア50を撮影することにより生成された深度画像データD2を取得する(T150)。深度画像データD2の各画素に対応する領域r2について稼働時距離L2および第2面積S2を取得する(T160、T170)。深度画像データD1の画素(画素A)に対応する領域r1についての空荷時距離L1と、深度画像データD2における画素Aに対応する画素(画素B)に対応する領域r2についての稼働時距離L2との差分値を高さHとして取得する(T180)。第1面積S1(下底面積)と第2面積S2(上底面積)と高さHを用いて、四角錐台Tの体積を算出する(T190)。深度画像データD2の全ての画素について四角錐台Tの体積を算出するまで繰り返し(T200でN)、算出が終わると(T200でY)、これら体積を合計して被搬送物Mの体積を算出する(T210)。
【0051】
そして、体積推定装置20のコンピュータは、コンベア50が稼働停止するまで(T220でN)、T150〜T210を繰り返して被搬送物Mの体積を算出し、コンベア50が稼働停止すると(T220でY)、本フローチャートの処理を終了する。
【0052】
このような構成によれば、空荷状態の深度画像データD1の画素(「画素A」という)についての空荷時距離L1に基づいて、この画素Aに対応する領域の面積を第1面積S1として取得する。コンベア50の稼働中の深度画像データD2における画素Aに対応する画素(「画素B」という)についての稼働時距離L2に基づいて、この画素Bに対応する領域の面積を第2面積S2として取得する。そして、第1面積S1と、第2面積S2と、画素Aについての空荷時距離L1と、画素Bについての稼働時距離L2と、に基づいて、被搬送物Mの体積を推定する。深度画像データD1、D2は、深度カメラ10からの距離に応じて各画素に対応する領域の面積が変化する。すなわち、深度カメラ10に近いほど画素に対応する領域の面積が小さくなり、深度カメラ10から遠いほど画素に対応する領域の面積が大きくなる。そのため、深度カメラ10からの距離(空荷時距離L1および稼働時距離L2)に基づいて、深度画像データD1、D2の画素に対応する領域の面積(第1面積S1および第2面積S2)を取得し、これら面積を用いて被搬送物の体積を推定することで、推定精度を効果的に高めることができる。
【0053】
また、上述した実施形態では、搬送装置としてのコンベア50によって搬送される被搬送物Mの体積を推定するものであったが、これ以外にも、例えば、
図11に示すように、ダンプトラック70の荷台71に積載された土砂などの堆積の推定に本発明の体積推定システムを適用してもよい。この構成においては、ダンプトラック70の荷台71の内面が搬送面に相当する。この構成においても、上述した体積推定システム1と同様の効果を奏する。
【0054】
上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態の構成に限定されない。前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明の範囲に含まれる。