特許第6704575号(P6704575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6704575
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】身体装着型冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 21/02 20060101AFI20200525BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20200525BHJP
   A61F 7/10 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   F25B21/02 A
   A41D13/005 103
   A61F7/10 332
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-184460(P2019-184460)
(22)【出願日】2019年10月7日
【審査請求日】2019年10月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316014401
【氏名又は名称】アンプレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】都留 俊洋
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3180367(JP,U)
【文献】 特開2014−209809(JP,A)
【文献】 特開2012−013238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 21/02
A41D 13/005
A61F 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のスペックの複数個のペルチェモジュールを備え、それらの吸熱面が装着部材により身体に直接にまたは衣服を介して間接に面接触するとともに、各ペルチェモジュールからはヒートシンクとファンとを有する冷却ユニットにより放熱する構成とした身体装着型冷却装置であって、
上記各ペルチェモジュールは、独立してON/OFF駆動され、いずれか1のペルチェモジュールがONのときは、残りの全てのペルチェモジュールはOFFとされるとともに、
1のペルチェモジュールがONからOFFとなり、残りのペルチェモジュールが順番にONとなる場合、それらのON時間の総和にあって、当該1のペルチェモジュールのON時間に発生したジュール熱が、上記冷却ユニットによって排出されるよう、1のペルチェモジュールのON時間が設定された身体装着型冷却装置。
【請求項2】
上記冷却ユニットによる放熱は上記ファンを駆動して行う請求項1に記載の身体装着型冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は身体装着型冷却装置、詳しくは複数のペルチェ素子を用いた身体装着型冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の冷却装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。これは、人体に装着できる人体冷却具であって、いわゆるベスト形状を呈している。このベストの内布と外布との間に保水層を形成し、保水層内の水の蒸発潜熱により人体を冷却する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015―52188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の人体冷却具にあっては、保水層の水の蒸発は衣類を介しての人体表面温度に依存するため、冷却効果としては不十分であり、また、保水層への水の供給を行うことが面倒であるという問題点を有していた。
そこで、発明者は、鋭意研究の結果、複数のペルチェ素子を用い、これらを交互にONとすることにより、一定時間の十分な冷却効果を得られることを知見し、この発明を完成するに至った。
【0005】
この発明は、軽量で十分な冷却効果を得られる身体装着型冷却装置を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、同一のスペックの複数個のペルチェモジュールを備え、それらの吸熱面が装着部材により身体に直接にまたは衣服を介して間接に面接触するとともに、各ペルチェモジュールからはヒートシンクとファンとを有する冷却ユニットにより放熱する構成とした身体装着型冷却装置であって、上記各ペルチェモジュールは、独立してON/OFF駆動され、いずれか1のペルチェモジュールがONのときは、残りの全てのペルチェモジュールはOFFとされるとともに、1のペルチェモジュールがONからOFFとなり、残りのペルチェモジュールが順番にONとなる場合、それらのON時間の総和にあって、当該1のペルチェモジュールのON時間に発生したジュール熱が、上記冷却ユニットによって排出されるよう、1のペルチェモジュールのON時間が設定された身体装着型冷却装置である。
ペルチェモジュールは、ペルチェ素子と呼ばれる半導体素子を用いて、電子の働きで冷却効果を得るものである。その構成は、半導体素子がP型、N型を一対単位としてこれを直列に接続して、一対の電極板の間に配置し、さらにこれら電極板(セラミック板)の冷却面(吸熱面)を対象物に接触させて使用する。
ペルチェモジュールを使用した冷却システムは、冷却ユニット、温度コントローラ、DC電源(または室内電源を使用可能とするためのAC/DCコンバータ)にて構成されている。冷却ユニットは、ペルチェ素子の放熱側セラミック板に直接連結したヒートシンク(アルミ製)と、空冷用のファンとを備えることができる。
そして、例えばアルミ製の箱内に複数個のペルチェモジュールを配設し、それらの吸熱面がアルミ壁に接触させる構成とし、装着ベルトなどによりこのアルミ製の箱を身体に直接にまたは衣服を介して間接に面接触させることにより、当該接触部位を冷却する構成としてある。
ここで、ON時間とは、ペルチェモジュールに対してスイッチがONとされて電源から通電がなされ、この通電がOFFとされるまでの時間を言う。ペルチェモジュール(ペルチェ素子)は通電からの冷却開始(温度低下)までの立ち上がりが速く、短時間の通電においてはそのジュール熱が大きくなり難い傾向となっている。
装着部材としては、例えばベルト、ジャケット、ベストなどで身体の対象部位に応じて選択することができる。例えば背の中央部を冷却する場合は、たすき形状のベルトなどが好適である。
【0007】
上記複数のペルチェモジュールは、例えば金属製のケーシング内に保持され、上記冷却ユニットは、これらのペルチェモジュールに連結されたヒートシンクと、この金属製ケーシング内から外部に空気を排出するファンとを有し、上記装着部材によりこの金属製のケーシングが身体または衣服に面接触する。
ペルチェモジュールは、上述のように一対の対向する電極板の間に半導体素子を配置したものであり、これら複数のペルチェモジュールの各吸熱面が金属製ケーシング表面に接触するように配置してある。なお、冷却ユニットを構成するファンはDC電源により駆動する。
【0008】
ペルチェ素子への通電時間(ON時間)については、ペルチェモジュールの吸熱面の温度を検知し、この温度が設定値を越える事が無いようにON時間を設定することができる。上記複数のペルチェ素子は同じスペックのものを使用し、一定のON時間ごとに切り替えて使用される。すなわち、5個の素子を使用する場合は、4個の素子のON時間の総和が1個のペルチェ素子の吸熱面の温度降下に要する時間となる。例えばON時間が30秒であれば、120秒が温度降下に使用される時間となる。これはファン駆動による冷却ユニットが素子から放熱を行う時間である。
【0009】
上記ON時間は、例えば吸熱面の温度と放熱面とのそれとの温度差に基づいて設定される。また、ON時間(ペルチェモジュール1個に対する通電時間)は、当該ペルチェモジュールの吸熱面と放熱面との温度差を測定し、これに基づいて短縮、延長する構成とすることもできる。一定の温度差を維持することで冷却効果を保持する。冷却装置全体としての冷却効果を発揮できるためである。長時間の使用によっては放熱面の温度が降下しにくくなった場合、ON時間を短縮すること、および、冷却効果を高めるためのファンの運転を制御する(ファン回転数を上げるなど)。
【0010】
上記ペルチェモジュールに印加される電圧はそのペルチェモジュールの最大電圧の50%〜60%とすることができる。
ヒートシンクの大きさはペルチェモジュールの3倍程度の大きさ(一辺の長さ)を有することが好ましい。ペルチェ素子が40mm角であれば、ヒートシンク(例えばアルミ製)のそれは40mm角とし、櫛歯状の脚を伸ばす構成とする。ファンは、ヒートシンクの大きさ(断面)の70%程度の口径のものが好ましい。電源はペルチェモジュールの最大電圧の50〜80%、特に50〜60%が好ましい。さらに温度コントローラはPWMタイプを用いる。ON・OFF制御も可能である。温度コントロールが不要な場合は、DC電源とペルチェモジュールとを直結する構成となる。なお、安全性の観点からヒューズを電源素子間に介在させることもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記冷却ユニットによる放熱は上記ファンを駆動して行う請求項1に記載の身体装着型冷却装置である。
また、例えば上記複数のペルチェモジュールはその吸熱面がアルミニウム板に接触し、その放熱面と吸熱面の温度差を一定に保持するよう、上記ON時間を短縮し、または、ファンの回転数を高めるようにすることができる。
例えば上記ペルチェモジュールは金属製の支持部材に支持され、この支持部材により上記金属製ケーシングに対して接触または離間可能に設けられている。
この支持部材は金属製ケーシングに対してペルチェモジュールを接触する位置と、離間する位置との2位置を取り得る構成とする。接触した場合は冷却効果(対象物からの吸熱)を発揮できるが、離間した場合はその効果は発揮されずに金属製ケーシングの温度は雰囲気温度に戻ることとなる。なお、この支持部材による可動とした構成は、例えばレールとスライダとを採用することで可能である。すなわち、金属製ケーシングから離間する方向にレールを配置し、ペルチェモジュールをこのレール上を動くスライダに連結する構成である。また、複数個のスライダを設けて各モジュールを個別に可動としても良く、複数のモジュールを一体として可動とする構成としてもよい。
【0012】
なお、ペルチェ素子は板状(平面状)であって、その一面が吸熱部分として作用するとき、その他面は発熱部分として作用する。
このペルチェ素子は、ペルチェ効果を発揮する板状の半導体素子である。ペルチェ効果とは、異なる2種類の金属の接合部に直流電流を流すと、一方の金属から残りの他方の金属に熱が移動することである。つまり、一方の面が吸熱し、反対面に発熱が起こる。電流の極性を逆転させると、その関係が反転する。高精度の温度制御に適している。一定温度での冷却を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜2に記載の発明によれば、複数個のペルチェモジュールは、順番にONとされる。すなわち2個のペルチェモジュールを備える場合は、交互にONとする。各ペルチェモジュールのON時間は、このON時間においてそのペルチェモジュールに発生するジュール熱が、上記冷却ユニットによる放熱される時間に基づいて設定される。この結果、各ペルチェモジュールに熱が蓄積されて、放熱効果が低下し、吸熱効果が低下することを防ぐものとなる。すなわち、ジュール熱の発生を抑制するとともに、その放熱を速やかに行うことにより、冷却効果を維持し、長期使用に耐える冷却装置として用いることができる。
【0014】
特に、金属製ケーシングにペルチェモジュールを保持させる構成とする場合は、当該身体装着型冷却装置の身体への装着が容易となる。
【0015】
例えば吸熱面と放熱面の温度差に基づいてON時間を適切に設定することができ、冷却効果を長期に亘り発揮する態様とすることができる。これはペルチェモジュールの耐久性を保持することにもつながる。
【0016】
さらに、その印加電圧を最大電圧の50〜60%とすると、そのペルチェモジュールによる冷却効果を長期に亘り発揮することができる。
【0017】
例えばペルチェモジュールを金属製支持部材に支持させるとともに、これを金属製ケーシングに対して接近離隔可能に構成することで、その接触時にのみペルチェモジュールを駆動してその効果を発揮する。すなわち、非接触時(離間状態)におけるモジュール自体の温度の低下効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の参考例に係る身体装着型冷却装置の全体構成を示す概略図である。
図2】この発明の参考例に係る身体装着型冷却装置の側面視した場合の模式図である。
図3】この発明の参考例に係る身体装着型冷却装置の作用を説明するための要部を示す模式図である。
図4】この発明の実施例2に係る身体装着型冷却装置の全体構成を示す模式図である。
図5】この発明の実施例2に係る身体装着型冷却装置の各ペルチェモジュールのON時間を示すタイムチャートである。
図6】この発明の実施例3に係る身体装着型冷却装置をその装着ベルトとともに示す概略図である。
図7】この発明の実施例3に係る身体装着型冷却装置を着用した場合の状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施例を、図面を参照して具体的に説明する。
【実施例】
【0020】
図1参考例に係る身体装着型冷却装置の全体構成を示す模式図である。この図において、1は身体装着型冷却装置の主要部を示し、この冷却装置1は薄型アルミ製箱形のケーシング2を備えている。ケーシング2内には2つのペルチェ素子(ペルチェモジュール)3,3が収容されており、仕切り壁4にて分離された2つの空間にこれらはそれぞれ配置されている。2つの空間には各ペルチェモジュール3,3と対向した位置に冷却用のファン5,5がそれぞれ配設されている。なお、各ペルチェモジュール3,3は下面(放熱面)に図示していないがアルミ製のヒートシンクが固定されている。これらヒートシンク(脚は櫛歯状)に対してファン5,5からの送風が行われる。すなわち、アルミ製の箱の側壁に形成した通気孔6から吸入した外部空気をヒートシンクの表面にあてて熱交換を行い温度が上昇した空気は反対側の側壁の排気孔7から外部に排出される冷却システムである。このファン駆動はコントロールユニット8により制御されるもので、コントロールユニット8はDC電源9からのモジュール3,3への通電をリレー10により制御する。すなわち、一方のモジュール3のONからOFFへの切り換えと同時に他方のモジュール3がONとなり、これを繰り返すことにより、それらのON時間を制御している。例えば30秒ごとにモジュール3,3のON・OFFを繰り返す。なお、11はAC/DCコンバータであり、外部交流電源を直流に変換し、各モジュールに供給する。室内での使用時を想定してある。DC電源9については、バッテリの他にも各種の態様を想定することができる。また、12は排熱用のパイプであって、高温の排気を身体とは別の方向に排出するために柔軟なチューブ様に構成されている。
【0021】
また、図2においては、この装置の具体的構成をさらに示している。この図においては、アルミ製のケーシング(天板)14に対してウレタン板などの弾性材15を介して2つのペルチェモジュール3,3が一体として支持されている。すなわち、並設されているペルチェモジュール3,3は上下方向に移動自在に設けられており、上位置にてその上端部に配設されたアルミ製支持材16およびアルミ材(塊状または板状のアルミニウム)17,17を介して、その電極板(アルミナ基板)と上記天板14とを連結し(上記部材を介して接触し)これらの間での熱交換を可能としている。その下位置にては、天板14と電極板との直接の熱交換は不能に、天板14とアルミ材17,17とは離間した状態をとる。この上下動については図示していないがレバーにて上下動自在とされている。
なお、18、18は各モジュール3,3の下面にそれぞれ突設されたアルミ製のヒートシンクである。
19は底板であり弾性を有する素材、例えばプラスチック板、ウレタンシートなどで形成されているものとする。
【0022】
図3は、ケーシングアルミ板14に対してペルチェモジュール3を接近(接触)離隔動自在に構成した装置のその動作を説明するための図である。
図中の(A)の状態は、アルミ塊17が天板14と離間した状態を示す。(B)は、これらが接触した状態を示している。例えば冷却装置の不使用時、または、モジュールをOFFとした状態などでは離間した状態を選択し、モジュールを作動させる場合は接触した状態をとることにより、吸熱面からヒートシンクへの熱移動を可能とする。
換言すると、このアルミ塊17は、加温と冷却とを切り換えるスイッチとして機能させることができる。すなわち、ペルチェモジュールを加温用途に使用した場合(素子に流れる電流方向を冷却のそれとは逆とする)、アルミ塊17は天板14に接触させてペルチェモジュール3からの発熱をアルミ塊17,アルミ製ケーシング14を介して身体の特定部位に伝達することとなる。そして、これを冷却用途に切り換えるとき、アルミ塊17を例えば手動レバー操作により移動させて天板14から離間させるとともに、モジュール3への通電にて流れる電流方向を逆とする。この離間移動の結果、アルミ塊17の温度は低下することとなる。そして、モジュール3に上記とは逆方向に通電することでアルミ塊17の温度はさらに低下して冷却モードとなる。天板14を介してアルミ塊17、モジュール3は身体の特定部位を冷却するものである。このように、加温冷却を繰り返すことにより当該部位の褐色細胞を燃焼させてダイエット効果を発揮させることができる。
【0023】
図4は、この発明の実施例2に係る身体装着型冷却装置を示す。
この実施例における冷却装置では、アルミ製ケーシング内を2室にセパレート(分割)して各室に6個のペルチェモジュール111,112,113,114,115,116をそれぞれ配置・収容した例である。合計12個の同一規格のペルチェモジュールによって、この冷却装置は構成されている。各室には一対のファン121,121がそれぞれ配置されており、温度、ON時間(通電時間)などを制御するコントロールユニットによりこれらのファンの駆動、またその回転数も制御されている。その他の構成は上記参考例に係るそれと同等の構成とされる。
この実施例にあっては、これらのペルチェモジュール111,112,113,114,115,116のON/OFFの制御すなわちON時間(通電時間)の制御は、例えば図5に示すように、例えば20秒間のONと残り時間のOFFとを繰り返すが、これらは順番に、交互に駆動されることとなる。この結果、冷却装置全体としてはアルミ製ケーシングの吸熱面を常に一定の冷却温度に保持することができる。1の素子111では、20秒間のONの後、残りの素子、例えば11個の素子のON時間の合計220秒間はOFF状態を維持する。このOFF状態においてモジュール11・・・のヒートシンクを介してそのジュール熱が排出されることとなる。なお、これらの時間制御については、ソフトウェアによる制御で代替することができる。すなわち、格納したプログラムによりCPUでの演算処理を実行して各モジュールにそのタイミングでON信号を出力することで、シーケンシャルな制御が可能となる。なお、ファンによる放熱では、いずれか1の素子がONとなる場合はその運転が連続して行われる。
【0024】
図6図7には、この発明の実施例3に係る冷却装置を示している。特にたすき状にベルトを装着部材とした例を示す。このベルト120は背中に冷却装置1を装着することを目的として構成したものである。冷却装置本体を布製袋に挿入して保持し、これを例えば面状ファスナによりベルトの任意の位置に固定するものである。
この結果、軽量な冷却装置本体の身体への装着が極めて容易となる。なお、ベルトに代えてジャケットにより冷却装置を身体に密着させる構成とすることもできる。
【0025】
以上の実施例にあっては、吸熱面であるアルミ製ケーシングの温度はセンサで測定し、放熱面であるヒートシンクのそれについても温度センサで検知する構成とすることができる。ペルチェモジュールにおいて通電により発生するジュール熱と身体を冷却するためのアルミ製ケーシングからの吸熱とが平衡に達しないように、温度に基づくON時間の制御を実行する。換言すると、ON時間(1個のモジュール)はそのモジュールのジュール熱が放熱されるのに充分な時間として設定される。
各ペルチェ素子のON時間(通電の時間)の制御においては、CPUを用いたPWM制御が好適である。
また、金属製ケーシングについては、例えばアルミニウムなどの熱伝導率が大きい金属板で作製されている。そのサイズは、例えば縦200mm、横100mm、厚さ20mmとする。その表側側面または裏側側面は緩やかに湾曲させることもできる。この湾曲側面により身体への密着性を高めるためである。さらにケーシング吸熱面とモジュール基板との間に弾性材を配設することにより、身体への密着性を高めることもできる。
さらに、この冷却装置は電流の向きを切り換えることにより(電源極性を反転させることにより)温熱装置としても機能する。つまり、冷却かつ温熱を切り換えて使用することもできる。特に、参考例に係るアルミ塊17がアルミケーシングに接触または離間することで温冷の切り換えスイッチとして機能させることが可能となる。離間させることで離間前の熱の影響を受けることが少なくなる。加温モードから冷却モードへの切り換え時に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明は、ペルチェ素子により冷却を行う技術として有用である。
【符号の説明】
【0027】
2 ケーシング、
3 ペルチェモジュール(ペルチェ素子)
5 ファン、
18 ヒートシンク。
【要約】      (修正有)
【課題】給水不要で長期の冷却が可能とした軽量な身体装着型の冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置は、複数個のペルチェモジュール3を備え、装着ベルトでそれらの吸熱部が身体に直接にまたは間接に接触させた構成とする。各ペルチェモジュールは放熱を行う冷却ユニットを備える。各ペルチェモジュールは、順番にONとされる。ONにより身体を冷却する。各ペルチェモジュールのON時間の設定は、そのモジュールに発生するジュール熱が、その冷却ユニットによって放熱される時間に基づいて行われる。各モジュールによる冷却効果を維持する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7