【実施例】
【0020】
図1は
参考例に係る身体装着型冷却装置の全体構成を示す模式図である。この図において、1は身体装着型冷却装置の主要部を示し、この冷却装置1は薄型アルミ製箱形のケーシング2を備えている。ケーシング2内には2つのペルチェ素子(ペルチェモジュール)3,3が収容されており、仕切り壁4にて分離された2つの空間にこれらはそれぞれ配置されている。2つの空間には各ペルチェモジュール3,3と対向した位置に冷却用のファン5,5がそれぞれ配設されている。なお、各ペルチェモジュール3,3は下面(放熱面)に図示していないがアルミ製のヒートシンクが固定されている。これらヒートシンク(脚は櫛歯状)に対してファン5,5からの送風が行われる。すなわち、アルミ製の箱の側壁に形成した通気孔6から吸入した外部空気をヒートシンクの表面にあてて熱交換を行い温度が上昇した空気は反対側の側壁の排気孔7から外部に排出される冷却システムである。このファン駆動はコントロールユニット8により制御されるもので、コントロールユニット8はDC電源9からのモジュール3,3への通電をリレー10により制御する。すなわち、一方のモジュール3のONからOFFへの切り換えと同時に他方のモジュール3がONとなり、これを繰り返すことにより、それらのON時間を制御している。例えば30秒ごとにモジュール3,3のON・OFFを繰り返す。なお、11はAC/DCコンバータであり、外部交流電源を直流に変換し、各モジュールに供給する。室内での使用時を想定してある。DC電源9については、バッテリの他にも各種の態様を想定することができる。また、12は排熱用のパイプであって、高温の排気を身体とは別の方向に排出するために柔軟なチューブ様に構成されている。
【0021】
また、
図2においては、この装置の具体的構成をさらに示している。この図においては、アルミ製のケーシング(天板)14に対してウレタン板などの弾性材15を介して2つのペルチェモジュール3,3が一体として支持されている。すなわち、並設されているペルチェモジュール3,3は上下方向に移動自在に設けられており、上位置にてその上端部に配設されたアルミ製支持材16およびアルミ材(塊状または板状のアルミニウム)17,17を介して、その電極板(アルミナ基板)と上記天板14とを連結し(上記部材を介して接触し)これらの間での熱交換を可能としている。その下位置にては、天板14と電極板との直接の熱交換は不能に、天板14とアルミ材17,17とは離間した状態をとる。この上下動については図示していないがレバーにて上下動自在とされている。
なお、18、18は各モジュール3,3の下面にそれぞれ突設されたアルミ製のヒートシンクである。
19は底板であり弾性を有する素材、例えばプラスチック板、ウレタンシートなどで形成されているものとする。
【0022】
図3は、ケーシングアルミ板14に対してペルチェモジュール3を接近(接触)離隔動自在に構成した装置のその動作を説明するための図である。
図中の(A)の状態は、アルミ塊17が天板14と離間した状態を示す。(B)は、これらが接触した状態を示している。例えば冷却装置の不使用時、または、モジュールをOFFとした状態などでは離間した状態を選択し、モジュールを作動させる場合は接触した状態をとることにより、吸熱面からヒートシンクへの熱移動を可能とする。
換言すると、このアルミ塊17は、加温と冷却とを切り換えるスイッチとして機能させることができる。すなわち、ペルチェモジュールを加温用途に使用した場合(素子に流れる電流方向を冷却のそれとは逆とする)、アルミ塊17は天板14に接触させてペルチェモジュール3からの発熱をアルミ塊17,アルミ製ケーシング14を介して身体の特定部位に伝達することとなる。そして、これを冷却用途に切り換えるとき、アルミ塊17を例えば手動レバー操作により移動させて天板14から離間させるとともに、モジュール3への通電にて流れる電流方向を逆とする。この離間移動の結果、
アルミ塊17の温度は低下することとなる。そして、モジュール3に上記とは逆方向に通電することでアルミ塊17の温度はさらに低下して冷却モードとなる。天板14を介してアルミ塊17、モジュール3は身体の特定部位を冷却するものである。このように、加温冷却を繰り返すことにより当該部位の褐色細胞を燃焼させてダイエット効果を発揮させることができる。
【0023】
図4は、この発明の実施例2に係る身体装着型冷却装置を示す。
この実施例における冷却装置では、アルミ製ケーシング内を2室にセパレート(分割)して各室に6個のペルチェモジュール111,112,113,114,115,116をそれぞれ配置・収容した例である。合計12個の同一規格のペルチェモジュールによって、この冷却装置は構成されている。各室には一対のファン121,121がそれぞれ配置されており、温度、ON時間(通電時間)などを制御するコントロールユニットによりこれらのファンの駆動、またその回転数も制御されている。その他の構成は上記
参考例に係るそれと同等の構成とされる。
この実施例にあっては、これらのペルチェモジュール111,112,113,114,115,116のON/OFFの制御すなわちON時間(通電時間)の制御は、例えば
図5に示すように、例えば20秒間のONと残り時間のOFFとを繰り返すが、これらは順番に、交互に駆動されることとなる。この結果、冷却装置全体としてはアルミ製ケーシングの吸熱面を常に一定の冷却温度に保持することができる。1の素子111では、20秒間のONの後、残りの素子、例えば11個の素子のON時間の合計220秒間はOFF状態を維持する。このOFF状態においてモジュール11・・・のヒートシンクを介してそのジュール熱が排出されることとなる。なお、これらの時間制御については、ソフトウェアによる制御で代替することができる。すなわち、格納したプログラムによりCPUでの演算処理を実行して各モジュールにそのタイミングでON信号を出力することで、シーケンシャルな制御が可能となる。なお、ファンによる放熱では、いずれか1の素子がONとなる場合はその運転が連続して行われる。
【0024】
図6,
図7には、この発明の実施例3に係る冷却装置を示している。特にたすき状にベルトを装着部材とした例を示す。このベルト120は背中に冷却装置1を装着することを目的として構成したものである。冷却装置本体を布製袋に挿入して保持し、これを例えば面状ファスナによりベルトの任意の位置に固定するものである。
この結果、軽量な冷却装置本体の身体への装着が極めて容易となる。なお、ベルトに代えてジャケットにより冷却装置を身体に密着させる構成とすることもできる。
【0025】
以上の実施例にあっては、吸熱面であるアルミ製ケーシングの温度はセンサで測定し、放熱面であるヒートシンクのそれについても温度センサで検知する構成とすることができる。ペルチェモジュールにおいて通電により発生するジュール熱と身体を冷却するためのアルミ製ケーシングからの吸熱とが平衡に達しないように、温度に基づくON時間の制御を実行する。換言すると、ON時間(1個のモジュール)はそのモジュールのジュール熱が放熱されるのに充分な時間として設定される。
各ペルチェ素子のON時間(通電の時間)の制御においては、CPUを用いたPWM制御が好適である。
また、金属製ケーシングについては、例えばアルミニウムなどの熱伝導率が大きい金属板で作製されている。そのサイズは、例えば縦200mm、横100mm、厚さ20mmとする。その表側側面または裏側側面は緩やかに湾曲させることもできる。この湾曲側面により身体への密着性を高めるためである。さらにケーシング吸熱面とモジュール基板との間に弾性材を配設することにより、身体への密着性を高めることもできる。
さらに、この冷却装置は電流の向きを切り換えることにより(電源極性を反転させることにより)温熱装置としても機能する。つまり、冷却かつ温熱を切り換えて使用することもできる。特に、
参考例に係るアルミ塊17がアルミケーシングに接触または離間することで温冷の切り換えスイッチとして機能させることが可能となる。離間させることで離間前の熱の影響を受けることが少なくなる。加温モードから冷却モードへの切り換え時に有用である。