特許第6704592号(P6704592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704592ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液および成形材料用の混合粉体ならびにこれらの製造方法
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  • 特許6704592-ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液および成形材料用の混合粉体ならびにこれらの製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6704592
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液および成形材料用の混合粉体ならびにこれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/12 20060101AFI20200525BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20200525BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20200525BHJP
   C08K 3/30 20060101ALI20200525BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20200525BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20200525BHJP
   C08J 3/16 20060101ALI20200525BHJP
   C08J 3/205 20060101ALI20200525BHJP
   C09D 127/12 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   C08L27/12
   C08L79/08 Z
   C08K3/22
   C08K3/30
   C08L29/04 B
   C08K3/32
   C08J3/16CEW
   C08J3/205
   C09D127/12
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-98015(P2019-98015)
(22)【出願日】2019年5月24日
【審査請求日】2019年9月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390015679
【氏名又は名称】ジャパンマテックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519188835
【氏名又は名称】荻野 秀
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】塚本 勝朗
(72)【発明者】
【氏名】塚本 浩晃
【審査官】 横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2018/181631(WO,A1)
【文献】 特開2007−269878(JP,A)
【文献】 特開2011−184694(JP,A)
【文献】 特許第6402283(JP,B2)
【文献】 特開2018−034503(JP,A)
【文献】 特開2019−018575(JP,A)
【文献】 特開2016−138188(JP,A)
【文献】 特開2016−210886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
C08J 3/16
C08J 3/205
C09D 127/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、過硫酸カリウムと、リン酸を含むことを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液。
【請求項2】
前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライドおよびビニルフルオライドからなる群から選択されるモノマーの重合体または共重合体からなるフッ素樹脂微粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の混合水性分散液。
【請求項3】
ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、過硫酸カリウムと、リン酸を含むことを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体。
【請求項4】
前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライドおよびビニルフルオライドからなる群から選択されるモノマーの重合体または共重合体からなるフッ素樹脂微粒子であることを特徴とする、請求項に記載の混合粉体。
【請求項5】
水に過硫酸カリウムを添加し、過硫酸カリウム水溶液を調製する工程と、
ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、前記過硫酸カリウム水溶液とを混合する工程とを含み、前記ポリイミドは、リン酸エタノール溶液と混合された後、乾燥され粉体となったポリイミド−リン酸混合粉体であることを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液の製造方法。
【請求項6】
前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライドおよびビニルフルオライドからなる群から選択されるモノマーの重合体または共重合体からなるフッ素樹脂微粒子であることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の製造方法により製造されたポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を乾燥させる工程を含むことを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液および混合粉体ならびにこれらの製造方法に関し、より詳しくは、有機溶媒を使用しなくても、優れた取り扱い性(安全性、環境負荷、設備費等)ならびに優れた接着性能および耐熱性能を備えた水系のポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合分散液およびこの分散液から製造された混合粉体ならびにこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリイミドとPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂の混合物が知られている。
この混合物は、低摩擦係数を有し、非粘着性、耐薬品性、耐熱性等の特性に優れているので、食品工業用品、フライパンや鍋等の厨房器具、アイロン等の家庭用品、電気工業用品、機械工業用品等の表面加工に広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フッ素系樹脂の分散状態を均一にコントロールしたポリイミド前駆体溶液組成物、この組成物により得られる耐熱性、機械特性、低誘電率化、低誘電正接化などの電気特性、加工性に優れるポリイミド、ポリイミドフィルム、その製造方法、そのポリイミドフィルムを用いた回路基板、カバーレイフィルムが開示されている。
【0004】
より具体的には、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤とを含み、カールフィッシャー法による水分量が5000ppm以下であるフッ素系樹脂の非水系分散体と、ポリイミド前駆体溶液と、を少なくとも含むことを特徴とするフッ素系樹脂含有ポリイミド前駆体溶液組成物が開示されている。
【0005】
特許文献1によれば、フッ素系樹脂の分散状態を均一にコントロールしたポリイミド前駆体溶液組成物、この組成物により得られる耐熱性、機械特性、摺動性、絶縁性、低誘電率化、低誘電正接化などの電気特性、加工性に優れるポリイミド、ポリイミドフィルム、および、それらの製造方法、並びに、そのポリイミドやポリイミドフィルムを用いた回路基板、カバーレイフィルム、絶縁膜、配線基板用相関絶縁膜、表面保護層、摺動層、剥離層、繊維、フィルター材料、電線被覆材、ベアリング、塗料、断熱軸、トレー、シームレスベルトなどの各種ベルト、テープ、チューブなどが提供されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−210886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来から、ポリイミドとフッ素樹脂を混合した混合物が、コーティング剤等、種々の用途に用いられている。
しかしながら、従来の混合物は、例えば、特許文献1に記載されるように、ポリイミドとフッ素樹脂を均一に分散させるために、溶媒として有機溶媒を使用している。
有機溶媒を使用しているため、混合物の取り扱い性(安全性、環境負荷、設備費等)に問題があった。
それゆえに、取り扱い性に優れる、有機溶媒を使用しないポリイミドとフッ素樹脂の混合水性分散液が求められている。
【0008】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、有機溶媒を使用しなくても優れた接着性能および耐熱性能を備えた水系のポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合分散液およびこの分散液から製造された成形材料用の混合粉体ならびにこれらの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、過硫酸カリウムとを含むことを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液に関する。
【0010】
請求項に係る発明は、リン酸をさらに含むことを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液に関する。
【0011】
請求項に係る発明は、前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライドおよびビニルフルオライドからなる群から選択されるモノマーの重合体または共重合体からなるフッ素樹脂微粒子であることを特徴とする、請求項に記載の混合水性分散液に関する。
【0012】
請求項に係る発明は、ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、過硫酸カリウムとを含むことを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体に関する。
【0013】
請求項に係る発明は、リン酸をさらに含むことを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体に関する。
【0014】
請求項に係る発明は、前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライドおよびビニルフルオライドからなる群から選択されるモノマーの重合体または共重合体からなるフッ素樹脂微粒子であることを特徴とする、請求項に記載の混合粉体に関する。
【0015】
請求項に係る発明は、水に過硫酸カリウムを添加し、過硫酸カリウム水溶液を調製する工程と、
ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、前記過硫酸カリウム水溶液とを混合する工程とを含むことを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液の製造方法に関する。
【0016】
請求項に係る発明は、前記ポリイミドは、リン酸エタノール溶液と混合された後、乾燥され粉体となったポリイミド−リン酸混合粉体であることを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液の製造方法に関する。
【0017】
請求項に係る発明は、前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライドおよびビニルフルオライドからなる群から選択されるモノマーの重合体または共重合体からなるフッ素樹脂微粒子であることを特徴とする、請求項に記載の製造方法に関する。
【0018】
請求項に係る発明は、請求項5または6に記載の製造方法により製造されたポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を乾燥させる工程を含むことを特徴とする、ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液が、ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、過硫酸カリウムとを含むことから、ポリイミドとフッ素樹脂が均一に分散した水性の混合分散液を提供することができる。
また、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液が、アルミナと過硫酸カリウムを含むことから、優れた接着性能および耐熱性能を備える分散液とすることができる。
それゆえに、有機溶媒を使用しなくとも、優れたコーティング特性を有するポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液とすることができる。
さらに、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液は、有機溶媒を含まないため、優れた取り扱い性(安全性、環境負荷、設備費等)を有する。
【0020】
請求項に係る発明によれば、ポリイミド−フッ素樹脂混合水性分散液が、リン酸をさらに含むため、より分散性に優れ、より優れたコーティング特性を有するポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液とすることができる。
【0021】
請求項に係る発明によれば、フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライドおよびビニルフルオライドからなる群から選択されるモノマーの重合体または共重合体からなるフッ素樹脂微粒子であるため、より優れたコーティング特性を有するポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液とすることができる。
【0022】
請求項に係る発明によれば、ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体が、ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、過硫酸カリウムとを含むことから、ポリイミドとフッ素樹脂が均一に混合された、高耐熱製品等の幅広い製品に使用できる成形材料を提供することができる。
また、ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体が、アルミナと過硫酸カリウムを含むことから、優れた耐熱性能、加工性、および成形性を備える混合粉体とすることができる。
【0023】
請求項に係る発明によれば、ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体が、リン酸をさらに含むため、より均一に混合された、より優れた加工性および成形性を備える混合粉体とすることができる。
【0024】
請求項に係る発明によれば、フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライドおよびビニルフルオライドからなる群から選択されるモノマーの重合体または共重合体からなるフッ素樹脂微粒子であるため、より優れた耐熱性能、加工性、および成形性を備える混合粉体とすることができる。
【0025】
請求項に係る発明によれば、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液の製造方法が、水に過硫酸カリウムを添加し、過硫酸カリウム水溶液を調製する工程と、ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、前記過硫酸カリウム水溶液とを混合する工程とを含むことから、ポリイミドとフッ素樹脂が均一に分散した水性の混合分散液を製造することができる。
また、ポリイミドとフッ素樹脂に加えて、アルミナと過硫酸カリウムを混合する工程を含むことから、優れた接着性能および耐熱性能を備える分散液を製造することができる。
それゆえに、有機溶媒を使用しなくとも、優れたコーティング特性および優れた取り扱い性を有するポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を製造することができる。
【0026】
請求項に係る発明によれば、ポリイミドは、リン酸エタノール溶液と混合された後、乾燥され粉体となったポリイミド−リン酸混合粉体であることから、有機溶媒を含まない水溶液に対する分散性を高めることができ、より分散性に優れ、より優れたコーティング特性を有するポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を製造することができる。
【0027】
請求項に係る発明によれば、フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライドおよびビニルフルオライドからなる群から選択されるモノマーの重合体または共重合体からなるフッ素樹脂微粒子であることから、より優れたコーティング特性を有するポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を製造することができる。
【0028】
請求項に係る発明によれば、ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体の製造方法が、請求項5または6に記載の製造方法により製造されたポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を乾燥させる工程を含むことから、ポリイミドとフッ素樹脂が均一に混合された、高耐熱製品等の幅広い製品に使用できる成形材料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係るポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を用いた碁盤目試験の結果を示す図である。
図2】比較例のポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を用いた碁盤目試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液(以下、単に混合水性分散液と称する)の好適な実施形態について説明する。
【0031】
混合水性分散液は、ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、過硫酸カリウムとを含む。
また、混合水性分散液は、PVAおよび/またはリン酸をさらに含んでいても良い。
【0032】
ポリイミド(PI)は、分子構造中にイミド結合を有する重合体からなる樹脂である。
混合水性分散液に用いるポリイミドは特に限定されず、例えば、無水ピロメリット酸等の芳香族四価カルボン酸無水物の反応等により得られる高分子量重合体からなる樹脂等が挙げられ、当業者に自明のものであればいかなるものでも用いることができる。
また、混合水性分散液に用いるポリイミドは、使用済みのポリイミドを粉砕してリサイクルしたものでも良く、未使用のものでも良い。
ポリイミドの形状は特に限定されないが、混合水性分散液中で浮遊分散状態を長期間保ちやすいという観点から、微粒子であり粒子の大きさが1μm〜100μmの範囲にあることが望ましい。
ポリイミドの含有量は、混合水性分散液に対して、10重量%〜40重量%であることが望ましく、15重量%〜30重量%であることがより望ましい。
【0033】
混合水性分散液に用いるフッ素樹脂は特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライドおよびビニルフルオライドから選択されるモノマーの重合体または共重合体からなる樹脂微粒子である。
これらのうちで水に分散するものが、混合水性分散液の調製に用いられる。
フッ素樹脂の形状は特に限定されないが、混合水性分散液中で浮遊分散状態を長期間保ちやすいという観点から、微粒子であり平均分子量が1×10〜1×10の範囲にあり、粒子の大きさが100〜500nmの範囲にあることが望ましい。
フッ素樹脂の含有量(フッ素樹脂固形分の含有量)は、混合水性分散液に対して、20重量%〜60重量%であることが望ましく、30重量%〜50重量%であることがより望ましい。
【0034】
混合水性分散液に用いるフッ素樹脂は、上記の通り、特に限定されないが、例えば、A−1:ダイキン製、ポリフロンD−111(PTFE固形分:60重量%、平均分子量:2×10〜1×10、粒子の大きさ:0.25μm、pH:9.7)、A−2:旭硝子製、AD911E(PTFE固形分:60重量%、平均分子量:2×10〜1×10、粒子の大きさ:0.25μm、pH:10)、A−3:三井フロロ製、31−JR(PTFE固形分:60重量%、平均分子量:2×10〜1×10、粒子の大きさ:0.25μm、pH:10.5)等を用いることができる。
なお、粒子の大きさとは、PTFE一次粒子の平均粒子径を指す。
【0035】
混合水性分散液は、アルミナを含む。
本発明におけるアルミナとは、酸化アルミニウム[組成式:Al]、無定形水酸化アルミニウム、ギブサイト、バイアライト[組成式:Al(OH)]および/またはベーマイトやディアスポア[組成式:AlOOH]のアルミニウム酸化物微粒子を包含する。
アルミナは、混合水性分散液中で浮遊分散状態を長期間保ちやすいという観点から、微粒子の粒子の大きさが5〜4500nmの範囲にあることが望ましい。
アルミナの含有量は、混合水性分散液に対して、1重量%〜10重量%であることが望ましく、3重量%〜7重量%であることがより望ましい。これは、アルミナの含有量が1重量%未満であると、アルミナに起因する接着性能および耐熱性能を混合水性分散液に十分に付与することができず、10重量%を超えてもそれ以上の効果の付与は望めないためである。
混合水性分散液にアルミナを含有させることによって、優れた接着性能および耐熱性能を備える混合水性分散液とすることができる。
【0036】
また、アルミナゾルのアルミナの形状は特に限定されず、板状、柱状、繊維状、六角板状等、いかなる形状であってもよい。
アルミナゾルが繊維状の場合のアルミナは、アルミナの繊維状結晶である。より具体的には、アルミナの無水和物で形成されたアルミナファイバー、水和物を含むアルミナで形成されたアルミナ水和物ファイバー等が挙げられる。
【0037】
混合水性分散液に用いるアルミナは、特に限定されないが、例えば、アルミナゾル−10A(Al換算重量%:9.8〜10.2、粒子の大きさnm:5−15、粘度25℃,mPa/s:<50、pH:3.4−4.2、川研ファインケミカル製)、アルミナゾル−A2(Al換算重量%:9.8〜10.2、粒子の大きさnm:10−20、粘度25℃,mPa/s:<200、pH:3.4−4.2、川研ファインケミカル製)、アルミナゾル−CSA−110AD(Al換算重量%:6.0〜6.4、粒子の大きさnm:5−15、粘度25℃,mPa/s:<50、pH:3.8−4.5、川研ファインケミカル製)、アルミナゾル−F1000(Al換算重量%:4.8〜5.2、粒子の大きさnm:1400、粘度25℃,mPa/s:<1000、pH:2.9−3.3、川研ファインケミカル製)、アルミナゾル−F3000(Al換算重量%:4.8〜5.2、粒子の大きさnm:2000−4500、粘度25℃,mPa/s:<1000、pH:2.7−3.3、川研ファインケミカル製)等が挙げられ、当業者に自明のアルミナゾルであれば、いかなるものでも用いることができる。
【0038】
混合水性分散液に用いるアルミナは、上記の通り、特に限定されないが、水酸基(OH基)を有するアルミナの微粒子を用いることが望ましい。
OH基を有するアルミナを用いることにより、アルミナのOH基による化学的な結合力(接着力)が増加するため、より優れた接着性能を混合水性分散液に付与することができる。
【0039】
また、アルミナの代わりに、あるいはアルミナに加えて、他の金属酸化物微粒子を添加しても良い。
他の金属酸化物微粒子としては、特に限定されないが、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化セリウムまたは酸化スズ等を用いることができる。
アルミナの代わりに、あるいはアルミナに加えてこれらの金属酸化物微粒子を添加することにより、アルミナのみを添加した場合とは異なるコーティング特性を有するポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を製造することができる。
【0040】
混合水性分散液は、過硫酸カリウムを含む。
過硫酸カリウムは、OH基を含有する化合物であるため、混合水性分散液に含まれるOH基の数を増加させることができ、OH基による化学的な結合力(接着力)が増加するため、混合水性分散液に優れた接着性を付与することができる。
過硫酸カリウムの含有量は、混合水性分散液に対して、0.1重量%〜5重量%であることが望ましく、1重量%〜3重量%であることがより望ましい。これは、過硫酸カリウムの含有量が0.1重量%未満であると、過硫酸カリウムに起因する接着性能を混合水性分散液に十分に付与することができず、5重量%を超えてもそれ以上の効果の付与は望めないためである。
【0041】
また、過硫酸カリウムの代わりに、あるいは過硫酸カリウムに加えて、他のOH基を含有する化合物を添加しても良い。
他のOH基を含有する化合物としては、特に限定されないが、酢酸、安息香酸、フェニルホスホン酸、あるいはベンゾイル等を用いることができる。
【0042】
混合水性分散液は、PVA(ポリビニルアルコール)をさらに含んでいても良い。
PVAは以下に示す構造式を有しており、多くのOH基を含有している。
そのため、混合水性分散液に含まれるOH基の数を増加させることができ、OH基による化学的な結合力(接着力)が増加するため、混合水性分散液に優れた接着性を付与することができる。
また、PVAは、混合水性分散液に配合された後でも安定に混合水性分散液中に存在し、その接着性が低下する虞が少ない。
そのため、混合水性分散液の優れた接着性を長期間に亘って安定に維持することができる。
PVAの含有量は、混合水性分散液に対して、0.5重量%〜10重量%であることが望ましく、3重量%〜6重量%であることがより望ましい。これは、PVAの含有量が0.5重量%未満であると、PVAに起因する接着性能を混合水性分散液に十分に付与することができず、10重量%を超えてもそれ以上の効果の付与は望めないためである。
【0043】
【化1】
【0044】
混合水性分散液は、リン酸をさらに含んでいても良い。
リン酸は、OH基を含有する化合物であるため、混合水性分散液に含まれるOH基の数を増加させることができ、OH基による化学的な結合力(接着力)が増加するため、混合水性分散液に優れた接着性を付与することができる。
リン酸の含有量は、混合水性分散液に対して、0.1重量%〜5重量%であることが望ましく、1重量%〜3重量%であることがより望ましい。これは、リン酸の含有量が0.1重量%未満であると、リン酸に起因する接着性能を混合水性分散液に十分に付与することができず、5重量%を超えてもそれ以上の効果の付与は望めないためである。
【0045】
リン酸は、混合水性分散液に使用するポリイミドの前処理のために使用しても良い。
ポリイミドを、リン酸を含有するリン酸エタノールに添加して混合し、その後エタノールを蒸発させることにより、ポリイミド−リン酸混合粉体が得られる。
ポリイミド−リン酸混合粉体は、ポリイミド単体よりも、水系溶媒により容易に分散することができる。
【0046】
なお、混合水性分散液は、上記した構成要素以外にも、混合水性分散液を改質するためにその他の添加物等を含有していてもよい。
添加物としては、例えば、溶剤、粘着付与剤、可塑剤、硬化剤、架橋剤。希釈剤、充填剤、増粘剤、顔料等が挙げられるが、これに限定されず、混合水性分散液の性質を改質するために通常用いられ、当業者に自明のものであれば、いかなるものでも用いることができる。
【0047】
以下、混合水性分散液の製造方法について説明する。
【0048】
混合水性分散液の製造方法は、水に過硫酸カリウムを添加し、過硫酸カリウム水溶液を調製する工程と、ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、前記過硫酸カリウム水溶液とを混合する工程とを含む。
混合水性分散液の製造方法は、前処理工程として、ポリイミドをリン酸エタノール溶液と混合し、その後乾燥させてポリイミド−リン酸混合粉体を調製する工程を含んでいても良い。
なお、これらの工程において、混合方法、混合温度、混合時間は特に限定されず、混合水性分散液を製造でき、従来から用いられている混合方法であれば、いかなるものでも用いることができる。
【0049】
過硫酸カリウム水溶液は、水に固形の過硫酸カリウムを添加することで調製される。
より具体的には、水に過硫酸カリウムの量が1重量%となるように過硫酸カリウムを添加し、その後水が沸騰しない程度に加熱して過硫酸カリウムを溶解し、過硫酸カリウム水溶液を調製する。
【0050】
ポリイミドは、水系溶媒に溶け難い場合がある。
そのため、ポリイミドの水分散性を向上させるために、混合水性分散液を調製する前に、ポリイミドを前処理することが望ましい。
前処理工程は、ポリイミドを、リン酸エタノール溶液と混合して、その後混合液を乾燥させて水分を蒸発させ、ポリイミド−リン酸混合粉体を製造することを含む。
ポリイミド−リン酸混合粉体を用いることにより、ポリイミド単体を用いた場合よりも、ポリイミドの水分散性を大きく向上させることができ、より容易に本発明に係る混合水性分散液を製造することができる。
なお、この前処理工程を行わなくとも、本発明に係る混合水性分散液を製造できることは言うまでもない。
【0051】
調製した混合水性分散液は、水分を蒸発させることでポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体とすることができる。
ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体は、ポリイミドとフッ素樹脂が均一に混合され、且つ優れた接着性および耐熱性を付与するアルミナと過硫酸カリウムを含んでいるため、高耐熱製品等の幅広い製品に使用できる優れた成形材料として用いることができる。
【0052】
ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体は、本発明に係るポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を乾燥させ、水分を蒸発させることにより製造される。
なお、ポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体を製造するための乾燥方法は特に限定されず、本発明に係るポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液の水分を蒸発させ粉体とすることができる方法であればいかなる方法を用いても良い。
【実施例】
【0053】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって限定されるものではない。
【0054】
<碁盤目試験>
本発明に係る水性分散液のコーティング剤としての性能を、碁盤目試験により確認した。
実施例および比較例の構成および製造方法は以下の通りである。
【0055】
(実施例)
実施例の組成は以下の通りである。
ポリイミド粉体(カプトン(登録商標)Hタイプ(東レ・デュポン株式会社製)):20重量%
PTFEディスパージョン(PTFE−D;ダイキン工業社製):73.5重量%
アルミナゾル(Al−L7;多木化学社製):5重量%
過硫酸カリウム:1重量%
リン酸:0.5重量%
【0056】
実施例は以下のように調製した。
1.ポリイミド粉体をリン酸1%エタノール溶液(pH5)に添加して混合し、その後エバポレーターにて水分を蒸発させ、ポリイミド−リン酸混合粉体を調製した。
2.純水に過硫酸カリウムが1重量%となるように過硫酸カリウムを添加し、95℃に加熱して過硫酸カリウムを溶解して過硫酸カリウム水溶液を調製した。
3.ポリイミド−リン酸混合粉体、PTFEディスパージョン、アルミナゾル、および過硫酸カリウム水溶液を混合し、実施例(ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液)を製造した。
【0057】
(比較例)
比較例の組成は以下の通りである。
ポリイミド粉体(カプトン(登録商標)Hタイプ(東レ・デュポン株式会社製)):20重量%
PTFEディスパージョン(PTFE−D;ダイキン工業社製):75重量%
アルミナゾル(Al−L7;多木化学社製):5重量%
【0058】
比較例は以下のように調製した。
1.ポリイミド粉体、PTFEディスパージョン、およびアルミナゾルを混合し、比較例を製造した。
【0059】
(試験方法)
碁盤目試験は以下の通りに実施した。
1.実施例および比較例を、夫々恒温振とう機で、60℃、2時間攪拌した。
2.攪拌した実施例および比較例を、バーコーターを用いて、2mm×2mmのアルミ板(夫々、n=2)に塗工してサンプルを調製した。
3.サンプルを、80℃で30分、150℃で30分、250℃で60分、350℃で60分の順で焼成した。
4.焼成したサンプルを用いて、JIS K5600 5−6に規定される碁盤目試験(クロスカット法)を行った。
【0060】
(試験結果)
碁盤目試験の結果を図1図2に示す。
図1は、本発明に係るポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液(実施例)を用いた碁盤目試験の結果を示す図である。図2は、比較例のポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液を用いた碁盤目試験の結果を示す図である。
図1に示す如く、アルミ板に塗工した実施例は、塗料の乗りが良好であり、且つ塗膜のはがれは小さなものにとどまり、優れた接着性を有していることがわかった。
一方、図2に示す如く、アルミ板に塗工した比較例は、塗料の乗りは良好であったが、アルミ板の大部分で塗膜がはがれており、接着性が低いことがわかった。
【0061】
碁盤目試験の結果から、ポリイミドとPTFEとアルミナゾルのみを含む比較例は、接着性能が非常に低く、実用に耐えない程度であることがわかった。
一方で、ポリイミドとPTFEとアルミナゾルと過硫酸カリウムとリン酸とを含む実施例は、優れた接着性能を備えていることがわかった。
これは、過硫酸カリウムとリン酸(とりわけ、過硫酸カリウム)が、そのOH基の働きによって、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液の接着性能を増加させているためであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係るポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液によれば、ポリイミド−フッ素樹脂混合水性分散液が、ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、過硫酸カリウムとを含むことから、ポリイミドとフッ素樹脂が均一に分散した水性の混合分散液を提供することができる。
また、ポリイミド−フッ素樹脂混合水性分散液が、アルミナと過硫酸カリウムを含むことから、優れた接着性能および耐熱性能を備える分散液とすることができる。
それゆえに、有機溶媒を使用しなくとも、優れたコーティング特性を有するポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液とすることができる。
さらに、ポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液は、有機溶媒を含まないため、優れた取り扱い性(安全性、環境負荷、設備費等)を有する。
それゆえに、本発明に係るポリイミド−フッ素樹脂からなる耐熱含浸剤かコーティング剤、または塗料用の混合水性分散液は、鍋、釜、フライパン等の耐熱塗料、編物、織物、ガラス布材、炭素繊維、炭化繊維などの耐熱含浸剤、その他種々の製品のコーティング剤・塗料として好適に用いられる。
【0063】
また、本発明に係るポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体によれば、ポリイミド−フッ素樹脂混合粉体が、ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、過硫酸カリウムとを含むことから、ポリイミドとフッ素樹脂が均一に混合された、高耐熱製品等の幅広い製品に使用できる成形材料を提供することができる。
また、ポリイミド−フッ素樹脂混合粉体が、アルミナと過硫酸カリウムを含むことから、優れた耐熱性能、加工性、および成形性を備える混合粉体とすることができる。
それゆえに、本発明に係るポリイミド−フッ素樹脂からなる成形材料用の混合粉体は、軸受、摩擦材、すべり支承、防蝕材、絶縁材等、その他種々の高耐熱製品のモールド粉体として好適に用いられる。
【要約】
【課題】有機溶媒を使用しなくても、優れた取り扱い性(安全性、環境負荷、設備費等)ならびに優れた接着性能および耐熱性能を備えた水系のポリイミド−フッ素樹脂混合分散液およびこの分散液から製造された混合粉体ならびにこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るポリイミド−フッ素樹脂混合水性分散液およびポリイミド−フッ素樹脂混合粉体は、ポリイミドと、フッ素樹脂と、アルミナと、過硫酸カリウムとを含む。
【選択図】図1
図1
図2