【文献】
小澤りえ他,胃がん多発肝転移に対するプロパゲルマニウムの著効した1例,日本胃癌学会総会記事,2016年,88th,424ページ P2-48-2
【文献】
深沢肇 他,当教室における口腔癌に対するinterferon inducer(Ge-132)を使用した集学的治療,THE JOURNAL OF JAPAN SOCIETY FOR CANCER THERAPY,1991年,Vol.26, No.10,p.2238-2245,2238ページ要旨、2244ページ結語
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記標準化学療法が、S−1、5−フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、及びセツキシマブからなる群から選択される1以上の化学療法剤を使用した標準化学療法である、請求項1に記載の医薬。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔1.プロパゲルマニウムを含有する、癌患者の治療のための医薬の発明〕
本発明に係る医薬は、有効成分としてプロパゲルマニウムを含有する。プロパゲルマニウムは、以下の式:
[(O
1/2)
3GeCH
2CH
2COOH]
n
(式中、nは200〜900の整数を表す)
で示される有機ゲルマニウム化合物である。
プロパゲルマニウムは、以下の構造式:
【化1】
【0013】
[式中、Rは−CH
2CH
2COOHを表し、mは3−オキシゲルミルプロピオン酸プロピルエステル重合体の重量平均分子量から換算した重量平均重合度で、137±84(平均値±標準誤差3σ)の整数を表す。)]で示され、その最小構成単位が(O
1/2)
3GeCH
2CH
2COOHであり、実験式がC
6H
10Ge
2O
7にて示される8員環構造体(J.Pharm.Sci.,104,2482−2488,2015)であることが好ましい。プロパゲルマニウムは、特開2003−81843号公報等に記載されている方法により製造することができる。
【0014】
本発明の一態様は、有効成分としてプロパゲルマニウムを含有する、標準化学療法に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発癌患者の治療のための医薬である。
【0015】
本明細書において「標準化学療法」とは、それぞれの国又は地域において、人種等に合わせて標準化された種々の癌患者に対する化学療法を意味する。新たな医薬の開発等により、現時点における最新の標準化学療法は改訂及び/又は変更される可能性があるが、前記標準化学療法は、改訂及び/又は変更前後の標準化学療法ともに含むものとする。なお、前記標準化学療法には、免疫療法を含む。
【0016】
例えば、日本における最新の胃癌の前記標準化学療法としては、日本胃癌学会の胃癌治療ガイドライン第4版(日本胃癌学会編、2014年5月改訂)における
図8(切除不能な進行・再発胃癌に対する化学療法のアルゴリズム)に記載の化学療法が挙げられる。日本における前記標準化学療法には、HER2陰性胃癌に対する化学療法とHER2陽性胃癌に対する化学療法がある。ここでHER2とは、ヒト上皮細胞成長因子受容体2(Human Epidermal Growth Factor Receptor 2)を意味する。
【0017】
前記日本におけるHER2陰性胃癌に対する化学療法は、具体的には、一次治療でS−1(又はカペシタビン)とシスプラチン(又はオキサリプラチン)との併用投与、二次治療でドセタキセル又はパクリタキセルの単独投与、三次治療でイリノテカンの単独投与をそれぞれ行う治療方法、或いは、一次治療でS−1(又はカペシタビン)とシスプラチン(又はオキサリプラチン)との併用投与、二次治療でイリノテカンの単独投与、三次治療でドセタキセル又はパクリタキセルの単独投与をそれぞれ行う治療方法である。ここで「S−1」(「TS−1」とも称される)とは、テガフールとギメラシルとオテラシルカリウムとを有効成分とする医薬である。
【0018】
前記日本におけるHER2陽性胃癌に対する化学療法は、具体的には、一次治療でカペシタビン(又はS−1)とシスプラチン(又はオキサリプラチン)とトラスツズマブとの併用投与、二次治療でドセタキセル又はパクリタキセルの単独投与、三次治療でイリノテカンの単独投与をそれぞれ行う治療方法、或いは、一次治療でカペシタビン(又はS−1)とシスプラチン(又はオキサリプラチン)とトラスツズマブとの併用投与、二次治療でイリノテカンの単独投与、三次治療でドセタキセル又はパクリタキセルの単独投与をそれぞれ行う治療方法である。
【0019】
米国における最新の胃癌の前記標準化学療法としては、全米総合癌情報ネットワーク(National Comprehensive Cancer Network)の胃癌治療ガイドライン(J.Natl.Compr.Canc.Netw.,Vol.14(19),1286−1312,2016)におけるGAST−F(3 OF 11)中の「切除不能な局所性、再発性、転移性胃癌の体系的治療法」に記載の化学療法が挙げられる。具体的には、一次治療でフルオロピリミジン(5−フルオロウラシル又はカペシタビン)とシスプラチン(又はオキサリプラチン)との併用投与、二次治療でラムシルマブとパクリタキセルとの併用投与、或いはドセタキセル、パクリタキセル、イリノテカン、又はラムシルマブの単独投与をそれぞれ行う治療方法が推奨されている。
【0020】
欧州における最新の胃癌の前記標準化学療法としては、欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology)の胃癌治療ガイドライン(Ann.Oncol.,Vol.27(Suppl.5),v38−v49,2016)における
図1(胃癌の治療アルゴリズム)中の「切除不能又は転移性」に記載の化学療法が挙げられる。欧州における前記標準化学療法には、HER2陰性胃癌に対する化学療法、HER2陽性胃癌に対する化学療法、及び新たな医薬の臨床試験の検討がある。
【0021】
前記欧州におけるHER2陰性胃癌に対する化学療法は、具体的には、プラチナ製剤とフルオロピリミジンとを併用する治療方法である。前記欧州におけるHER2陽性胃癌に対する化学療法は、具体的には、トラスツムマブとシスプラチンと5−フルオロウラシル又はカペシタビンとを併用する治療方法である。
【0022】
以上に例示した各国又は地域における最新の胃癌の標準化学療法をまとめると、前記標準化学療法は、好ましくは「S−1、カペシタビン、5−フルオロウラシル、シスプラチン、オキサリプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、イリノテカン、トラスツズマブ、及びラムシルマブからなる群から選択される1以上の化学療法剤を使用した標準化学療法」と記載することができる。
【0023】
例えば、日本における最新の頭頚部癌の前記標準化学療法としては、日本頭頚部癌学会の頭頚部癌治療ガイドライン2018年版(日本頭頚部癌学会編、金原出版)のIII−A−2.がん薬物療法における2.再発・転移に対する化学療法を意味する。初回治療後の再発患者の治療方法の具体例としては、プラチナ製剤の単独投与、プラチナ製剤と5−フルオロウラシルとの併用投与、さらにはプラチナ製剤と5−フルオロウラシルとセツキシマブとを併用する治療方法が挙げられる。ここでプラチナ製剤としては、例えば、シスプラチン、カルボプラチンを挙げることができる。プラチナ製剤に対して不応症例の治療方法の具体例としては、ドセタキセル、パクリタキセル、S−1、又はニボルマブを単独で投与する治療方法が挙げられる。なお、近年は、シスプラチンの腎毒性軽減を目的に創製されたネダプラチンも使用される。
【0024】
米国における最新の頭頚部癌の前記標準化学療法としては、全米総合癌情報ネットワーク(National Comprehensive Cancer Network)の頭頚部癌治療ガイドライン(J.Natl.Compr.Canc.Netw.,Vol.15(6),761−770,2017)におけるCHEM−A 2 OF 5中の「体系的治療法の原理 再発・切除不能・転移性」に記載の化学療法が挙げられる。
【0025】
前記米国における頭頚部癌に対する標準化学療法としては、併用療法及び単独療法がある。併用療法の具体例としては、シスプラチン又はカルボプラチンと5−フルオロウラシルとセツキシマブとの併用投与、シスプラチン又はカルボプラチンとドセタキセル又はパクリタキセルとの併用投与、シスプラチンとセツキシマブとの併用投与、シスプラチンと5−フルオロウラシルとの併用投与、シスプラチン又はカルボプラチンとドセタキセルとセツキシマブとの併用投与、シスプラチン又はカルボプラチンとパクリタキセルとセツキシマブとの併用投与、カルボプラチンとセツキシマブとの併用投与、シスプラチンとゲムシタビンとの併用投与、及びゲムシタビンとビノレルビンとの併用投与が挙げられる。単独療法の具体例としては、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、セツキシマブ、ゲムシタビン、カペシタビン、アファチニブ、ペムブロリズムマブ、又はニボルブマブの単独投与が挙げられる。
【0026】
欧州における最新の頭頚部癌の前記標準化学療法としては、欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology)の頭頚部癌(扁平上皮癌)治療ガイドライン(Ann.Oncol.,Vol.21(Suppl.5),v184−v186,2010)における「treatment of recurrent or metastatic disease」及び頭頚部癌(上咽頭癌)治療ガイドライン(Ann.Oncol.,Vol.23(Suppl.7),vii83−vii85,2012)における「local, regional and matastatin recurrence」中に記載の化学療法が挙げられる。
【0027】
前記欧州における頭頚部癌(上咽頭癌)に対する標準化学療法は、具体的には、シスプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、カペシタビン、イリノテカン、ビノレルビン、イソスファミド、ドキソルビシン、又はオキサリプラチンを単独投与する治療方法、シスプラチンと前記シスプラチン以外の薬剤とを併用投与する治療方法が挙げられる。
【0028】
前記欧州における頭頚部癌(扁平上皮癌)に対する標準化学療法は、具体的には、多剤併用療法はシスプラチン又はカルボプラチンとセツキシマブと5−フルオロウラシルとの併用投与が推奨されており、単独療法はメトトレキサート又はセツキシマブの単独投与が推奨されている。
【0029】
以上に例示した各国又は地域における最新の頭頚部癌の標準化学療法をまとめると、前記標準化学療法は、好ましくは「S−1、5−フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、及びセツキシマブからなる群から選択される1以上の化学療法剤を使用した標準化学療法」と記載することができる。
【0030】
本明細書において「標準化学療法に不能又は不耐」とは、標準化学療法を実施したものの治療効果が認められなくなった場合、病状の悪化又は有害事象等により薬剤を投与することができなくなった場合、患者の病態により当初から標準化学療法を実施できない場合、標準化学療法による治療が極めて困難であるか又は実質的に不可能である場合等を意味する。
【0031】
本発明の医薬は、後述の試験例6において、本発明の医薬を投与された口腔癌患者の末梢血リンパ球の胃癌細胞に対するアポトーシス誘導能を投与前と比較して増強することが確認されたことから、種々の癌細胞に対して非特異的に抗腫瘍活性を示すと考えられ、種々の癌患者を治療の対象とすることが可能である。本発明の医薬において、治療の対象とすることのできる癌患者としては、例えば、胃癌患者、胆道癌患者、大腸癌患者、肝癌患者、膵癌患者、腎癌患者、前立腺癌患者、精巣癌患者、膀胱癌患者、乳癌患者、卵巣癌患者、結腸癌、直腸癌、頭頚部癌患者(口腔癌(舌癌)患者、上顎頭癌患者、咽頭癌(上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌)患者、喉頭癌患者、甲状腺癌患者、唾液腺癌(耳下腺癌、顎下腺癌)患者)、食道癌患者、肺癌患者、皮膚癌患者、子宮癌患者、脳腫瘍患者、多発性骨髄腫患者、肉腫患者、悪性リンパ腫患者、白血病患者等が挙げられる。これらの中でも、固形癌患者が好ましく、腺癌患者又は扁平上皮癌患者がより好ましい。
本発明の一態様としては、治療の対象とする癌患者は腺癌患者であり、中でも、胃癌、胆道癌、肝癌、膵癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、結腸癌、及び直腸癌の癌患者が好ましく、胃癌患者がより好ましい。また、本発明の別の態様としては、治療の対象とする癌患者は扁平上皮癌患者であり、中でも、口腔癌(舌癌)、咽頭癌(上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌)、喉頭癌、甲状腺癌、唾液腺癌(耳下腺癌、顎下腺癌)、食道癌、肺癌、皮膚癌、及び子宮癌の癌患者が好ましく、口腔癌患者がより好ましい。
【0032】
本明細書において「ECOGパフォーマンスステータス」とは、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)により、癌患者の活動度をスコア別に定めたものを意味する。ECOGパフォーマンスステータスのスコアは、具体的には以下のとおりである。
0:全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限なく行える。
1:肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる(例:軽い家事、事務作業)。
2:歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
3:限られた自分の身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4:全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす。
【0033】
本発明に係る医薬は、標準化学療法に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発癌患者の中でも少なくとも軽度の活動が可能なECOGパフォーマンスステータスが0又は1の患者により有効であり、これらの患者の治療のために用いることが好ましい。なお、ECOGパフォーマンスステータスが0又は1の患者は、医師の診断等により特定することができる。
【0034】
本明細書において「腹膜転移」とは、癌細胞が腹膜に転移することをいう。本発明に係る医薬は、標準化学療法に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発癌患者の中でも腹膜転移を有しない患者により有効であり、これらの患者の治療のために用いることが好ましい。また、本発明に係る医薬は、標準化学療法に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発癌患者の中でも、ECOGパフォーマンスステータスが0又は1であって、かつ腹膜転移を有しない患者に特に有効であり、これらの患者の治療のために用いることが特に好ましい。なお、腹膜転移を有しない患者は、医師の診断等により特定することができる。
【0035】
本発明に係る医薬は、癌患者の中でも、プロパゲルマニウム試験的投与終了後の腫瘍免疫リスクインデックス値が、3.5以下(好ましくは3.0以下)又はプロパゲルマニウム試験的投与前の該腫瘍免疫リスクインデックス値よりも低い数値の患者の治療のために用いることが好ましい。当該患者は、後述の〔2.癌患者におけるプロパゲルマニウムを含有する医薬による治療効果を評価する方法の発明〕に記載の評価方法における算出工程及び評価工程を行うことによって特定することができる。
【0036】
ここで「試験的投与」とは、医薬の有効性を予測するために、少数回の投与を行うことを意味する。試験的投与における投与期間は、患者の容体、状況に応じて、適宜設定することができるが、好ましくは20日間〜50日間程度の期間として、より好ましくは25日間〜45日間程度の期間として、さらに好ましくは28日間から42日間程度の期間として設定される。
【0037】
すなわち、本発明の一態様は、有効成分としてプロパゲルマニウムを含有し、プロパゲルマニウム試験的投与終了後の腫瘍免疫リスクインデックス値が、3.5以下(好ましくは3.0以下)又はプロパゲルマニウム試験的投与前の腫瘍免疫リスクインデックス値よりも低い数値である癌患者の治療のための医薬である。
【0038】
本発明に係る医薬を経口用固形製剤とする場合は、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤等とすることができ、また、糖衣、ゼラチン衣その他、医薬品に使用可能な物質及び形状のものであれば、必要により適宜コーティングすることもできる。さらに、必要に応じて、薬学的に許容される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤等の添加物を適宜組み合わせることができる。賦形剤としては、乳糖、ショ糖、デキストラン類等の糖類;ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子性物質;アルブミン等の天然性高分子物質等を使用することができる。
【0039】
本発明に係る医薬は、通常の製剤技術により経口用固形製剤以外にも、例えば、液剤、又はシロップ剤として経口的に、或いは注射剤、点眼剤、点鼻剤、座剤、又は軟膏剤として非経口的に投与することができる。本発明に係る医薬の製剤化は、特開2003−81843号公報等に記載の方法に従って実施することができる。
【0040】
本発明に係る医薬をヒトに投与する場合の投与量及び投与回数は、剤形、患者の症状、年齢、性別等に応じて適宜設定することができる。例えば、成人(体重60kg)に対する経口投与では、一日あたり1〜1000mg、好ましくは5〜500mg、より好ましくは10〜120mgを1回又は数回に分けて投与することができる。
【0041】
〔2.癌患者におけるプロパゲルマニウムを含有する医薬による治療効果を評価する方法の発明〕
本発明の評価方法は、癌患者におけるプロパゲルマニウムを含有する医薬による治療効果を評価する方法であって、プロパゲルマニウムの投与前及び投与終了後の前記癌患者における腫瘍免疫リスクインデックス値をそれぞれ算出する算出工程と、前記算出工程によって算出した結果に基づいて、前記癌患者における前記医薬の治療効果を評価する評価工程と、を含む。
【0042】
算出工程では、プロパゲルマニウムの投与前及び投与終了後の癌患者における腫瘍免疫リスクインデックス値をそれぞれ算出する。その算出方法は以下のようである。
【0043】
血中循環腫瘍細胞(Circulation Tumor Cell;CTC)は、原発腫瘍組織又は転移腫瘍組織から遊離し、血中へ浸潤した腫瘍細胞である。血中循環腫瘍細胞数の測定は、癌診断や癌治療効果の直接的な評価方法として捉えられており、種々の技術を用いた測定方法が開発されている。既存の血中循環腫瘍細胞測定法は、癌細胞におけるEpCAM(CD326)をマーカーとしたものがほとんどである。悪性度の高い血中循環腫瘍細胞の多くでは、EpCAMの発現が減弱又は消失していることが知られているため、既存の測定法では悪性度の高い血中循環腫瘍細胞を検出することができないという問題がある。これに対し、複数の細胞内ケラチンアイソフォームを組み合わせる方法ではほとんどの血中循環腫瘍細胞を検出できるが、偽陽性率が高くなるという問題がある。本発明者らは、ケラチン4、5、6、8、10、13及び18を認識するパンケラチン抗体を用い、これらのケラチンを細胞内に発現しているパンケラチン細胞を測定することで、ほとんどの血中循環腫瘍細胞を高い精度で検出できることを見出した。一方、宿主側の要因として、細胞障害性T細胞が腫瘍免疫において重要な役割を果たしていることが明らかになっている。そこで本発明者らは、癌患者の血中循環腫瘍細胞とT細胞中の細胞障害性T細胞の存在割合が腫瘍免疫におけるリスク指標になると考え、以下の式(I):
パンケラチン陽性細胞数(個)÷総T細胞中の細胞傷害性T細胞の存在割合(%)÷10 (I)
により算出される数値を「腫瘍免疫リスクインデックス値」として新たに定義した。この腫瘍免疫リスクインデックス値が大きくなるほど、腫瘍免疫におけるリスクが高いと評価できる。なお、個人差はあるものの、健常者における腫瘍免疫リスクインデックス値は通常1.0未満である。
【0044】
上記式(I)において「パンケラチン陽性細胞」とは、ケラチン4、5、6、8、10、13及び18に陽性かつCD45陰性の細胞を意味する。
【0045】
上記式(I)において「パンケラチン陽性細胞数」とは、末梢血単核球(PBMC)10000個中のパンケラチン陽性細胞の個数である。パンケラチン陽性細胞数は、癌患者から採取した末梢血から常法により末梢血単核球を調製し、得られた末梢血単核球の内部をパンケラチン抗体を用いて標識し、標識された末梢血単核球をフローサイトメトリで解析してパンケラチン陽性細胞を選択することにより算出することができる。
【0046】
上記式(I)において「T細胞」とは、T細胞受容体を有するリンパ球を意味し、「CD45陽性かつCD3陽性細胞」と同義である。上記式(I)において「細胞傷害性T細胞」とは、殺細胞活性を有するT細胞を意味し、「CD8陽性かつCD4陰性細胞」と同義である。
【0047】
上記式(I)において「総T細胞中の細胞傷害性T細胞の存在割合」とは、血中の総T細胞数を100%とした場合の細胞傷害性T細胞の存在割合を百分率で表した値である。総T細胞数又は細胞傷害性T細胞数は、例えば、癌患者から採取した末梢血から常法により末梢血単核球を調製し、得られた末梢血単核球の表面をT細胞の染色用抗体を用いて標識し、蛍光標識された末梢血単核球をフローサイトメトリで解析してCD45陽性かつCD3陽性細胞の集団又はCD8陽性かつCD4陰性細胞の集団を選択することにより算出することができる。
【0048】
評価工程では、算出工程によって算出した結果に基づいて、癌患者におけるプロパゲルマニウムを含む医薬の治療効果を評価する。具体的には、プロパゲルマニウム一定期間投与後の癌患者の腫瘍免疫リスクインデックス値が、3.5以下(好ましくは3.0以下)である場合又はプロパゲルマニウム投与前の該腫瘍免疫リスクインデックス値よりも低い数値である場合に、治療効果が期待できると評価する。ここで、前記プロパゲルマニウム一定期間投与後が、試験的投与後であれば、その先のプロパゲルマニウム投与による有効性を予測することができ、通常投与終了後であれば、それまでの投与が有効であったかどうかを、他の検査を行うことなく、判定することができる。
【0049】
本発明に係る評価方法において、治療効果を評価することのできる癌の種類に制限はなく、胃癌、胆道癌、大腸癌、肝癌、膵癌、腎癌、前立腺癌、精巣癌、膀胱癌、乳癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、頭頚部癌(口腔癌(舌癌)、上顎頭癌、咽頭癌(上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌)、喉頭癌、甲状腺癌、唾液腺癌(耳下腺癌、顎下腺癌))、食道癌、肺癌、皮膚癌、子宮癌、脳腫瘍、多発性骨髄腫、肉腫、悪性リンパ腫、白血病等の癌患者における治療効果を評価することができる。これらの中でも、本発明に係る評価方法は、好ましくは固形癌患者における治療効果を評価するために用いられ、より好ましくは腺癌患者又は扁平上皮癌患者における治療効果を評価するために用いられる。本発明に係る評価方法の一態様は、好ましくは腺癌患者における治療効果を評価するために用いられる。腺癌患者の中でも、好ましくは胃癌、胆道癌、肝癌、膵癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、結腸癌、及び直腸癌からなる群から選択される1以上の癌患者における治療効果を評価するために用いられ、より好ましくは胃癌患者における治療効果を評価するために用いられ、更に好ましくは標準化学療法に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発胃癌の患者における治療効果を評価するために用いられる。また、別の態様として、本発明に係る評価方法は、好ましくは扁平上皮癌患者における治療効果を評価するために用いられる。扁平上皮癌患者の中でも、好ましくは口腔癌(舌癌)、咽頭癌(上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌)、喉頭癌、甲状腺癌、唾液腺癌(耳下腺癌、顎下腺癌)、食道癌、肺癌、皮膚癌、及び子宮癌からなる群から選択される1以上の癌患者における治療効果を評価するために用いられ、より好ましくは口腔癌患者における治療効果を評価するために用いられる。
【実施例】
【0050】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
<試験例1>プロパゲルマニウム投与による標準化学療法に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発胃癌の治療効果
標準化学療法[胃癌治療ガイドライン第4版(日本胃癌学会編、2014年5月改訂)]に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発胃癌と診断された患者13例(P−1〜P−13)に、プロパゲルマニウム[商品名:セロシオン(登録商標)、株式会社三和化学研究所製]30mgを1日3回に分けて毎食後経口投与し、全生存期間(Overall Survival、以下「OS」ともいう)及び無増悪生存期間(Progression−free Survival、以下「PFS」ともいう)を評価項目として臨床試験を実施した。なお、本臨床試験は兵庫医科大学の倫理委員会の承認の下で実施した(倫ヒ 第1911号)。患者13例のECOGパフォーマンスステータス(以下「PS」ともいう)、OS及びPFSを表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
前記プロパゲルマニウムを投与した患者13例のOSの中央値は73日、PFSの中央値は49日であった。なお、患者P−5はプロパゲルマニウム投与開始後392日目において生存中である。
【0054】
一方、2009年から2011年に兵庫医科大学病院において標準化学療法に不応又は不耐で治癒切除不能な進行胃癌と診断され、苦痛を軽くするための緩和ケア(Best Supportive Care;以下「BSC」ともいう)を実施した62例について、医師より患者にBSCの説明がなされた時点からのOSの中央値は22日であった。また、
図1に示すBSC実施例とプロパゲルマニウム投与例のOSのカプランマイヤー生存曲線において、プロパゲルマニウム投与による有意な延命効果が認められた。
【0055】
<試験例2>PSの違いによる全生存期間の比較検討
前記プロパゲルマニウムを投与した患者13例及び上記BSCを実施した患者62例を、そのPSに応じて(A)0及び1、(B)2及び3の2群にそれぞれ分けて、これら2群について、プロパゲルマニウム投与例とBSC実施例のOSの中央値を比較した。その結果、PSが(A)0及び1の患者群では、BSC実施例のOSの中央値は23.5日であったのに対し、プロパゲルマニウム投与例のOSの中央値は163日で、BSC実施例と比較して約7倍生存日数を延長した。また、
図2に示すカプランマイヤー生存曲線においても、PSが(A)0及び1の患者群において、プロパゲルマニウム投与による有意な延命効果が認められた。他方、
図3に示すように、PSが(B)2及び3の患者群では、BSC実施例のOSの中央値が22日であったのに対し、プロパゲルマニウム投与例のOSの中央値が35日となり、BSC実施例と比較して生存日数を延長することが確認された。また、当該図のカプランマイヤー生存曲線においても、有意差は確認されなかったものの、プロパゲルマニウム投与による延命の傾向が認められた。
【0056】
<試験例3>腹膜転移の有無による全生存期間の比較検討
前記プロパゲルマニウムを投与した患者13例について、腹膜転移の有無によるOSの平均値を比較した(表2、
図4)。その結果、腹膜転移を有する患者8例のOSの平均値は81.1日であったのに対し、腹膜転移を有しない患者5例のOSの平均値は164.7日であり、腹膜転移を有しない患者例において有意な延命効果が認められた。また、前記プロパゲルマニウムを投与した患者13例を、そのPSに応じて(C)0及び1、並びに(D)2及び3の群にそれぞれ分けて、これら2群について、腹膜転移の有無によるOSの平均値を比較した(表2、
図4)。その結果、PSが(C)0及び1の患者群では、腹膜転移を有する4例のOSの平均値が139日であったのに対し、腹膜転移を有しない3例のOSの平均値が273日で、腹膜転移を有しない患者例で有意な延命効果が認められた。他方、PSが(D)2及び3の患者群では、腹膜転移を有する4例のOSの平均値が37.8日で、腹膜転移を有しない2例のOSの平均値が56.3日であり、有意差は確認されなかったものの、腹膜転移を有しない患者例で延命の傾向が認められた。
【0057】
【表2】
【0058】
<試験例4>プロパゲルマニウム投与による、標準化学療法に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発胃癌患者における肺転移巣における効果
前記プロパゲルマニウムを投与した患者13例中、プロパゲルマニウム投与前に肺転移が認められた患者P−5について、プロパゲルマニウム投与開始時、投与開始後35日目、85日目、及び357日目における肺の病巣部位を撮影した写真を
図5に示す。投与開始後35日目から縮小が見られ、357日目には瘢痕となっていることが確認された。
【0059】
これらの結果は、本発明の医薬が、標準化学療法に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発胃癌患者の治療に対して有用であり、特に転移巣においても有効であることを示している。
【0060】
<試験例5>プロパゲルマニウム投与前後の口腔癌患者、胃癌患者及び健常者における血中循環腫瘍細胞インデックス値の算出
標準化学療法に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発口腔癌と診断された患者4例(PG−1〜PG−4)、標準化学療法[胃癌治療ガイドライン第4版(日本胃癌学会編、2014年5月改訂)]に不応又は不耐で治癒切除不能な進行又は再発胃癌と診断された患者2例(PG−5及びPG−6)、及び健常者5例(PG−7〜PG−11)に、プロパゲルマニウム[商品名:セロシオン(登録商標)、株式会社三和化学研究所製]30mgを1日3回に分けて毎食後経口投与した。プロパゲルマニウム投与前、並びに投与開始後28日目及び56日目における癌患者(PG−1及びPG−3については投与前のみ、PG−5及びPG−6については投与前及び投与開始後28日目のみ)と健常者(いずれも投与前のみ)の末梢血7.5mLをBDバキュテイナ採血管で採取した後、これを遠心分離して(1500G、15分間)、末梢血単核球(PBMC)を得た。得られた末梢血単核球は、T細胞表面マーカーと細胞内ケラチンに対するマウスIgG抗ヒト抗体を用いて固定染色を行った。染色した細胞について、Spectral Cell Analyzer(SP−6800、SONY社製)を用い、フローサイトメトリによって解析した。
T細胞及び細胞傷害性T細胞については、生細胞のうち、CD45陽性かつCD3陽性細胞を分離してT細胞とし、さらにCD45陽性かつCD3陽性細胞のうち、CD8陽性かつCD4陰性細胞を分離して細胞傷害性T細胞とし、T細胞中の細胞傷害性T細胞の存在割合を算出した。
血中循環腫瘍細胞については、細胞内部に存在するサイトケラチンを標識するため、Perm Buffer試薬(#421403、BioLegend社製)を用いた後に、パンケラチン抗体(#4523、Cell Signaling社製)を用いて染色を行った。なお、血中循環腫瘍細胞はリンパ球より大きいため、フローサイトメトリを行う際には通常のリンパ球の選択時よりも広い範囲で細胞を選択した。Ghost Dye Violet 450による染色で陰性であった細胞を生細胞として選択した後、パンケラチン陽性細胞を血中循環腫瘍細胞とし、末梢血単核球10000個中のパンケラチン陽性細胞数を算出した。
上記算出したパンケラチン陽性細胞数及びT細胞中の細胞傷害性T細胞の存在割合を以下の式(I):
パンケラチン陽性細胞数(個)÷T細胞中の細胞傷害性T細胞の存在割合(%)÷10 (I)
に代入して腫瘍免疫リスクインデックス値を算出した。
算出した腫瘍免疫リスクインデックス値を表3に示す。なお、口腔癌患者4例(PG−1〜PG−4)については、全生存期間(OS)についても併せて表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
PG−2の口腔癌患者については、プロパゲルマニウム投与開始前の腫瘍免疫リスクインデックス値は0.27であった。プロパゲルマニウム投与開始後28日目の腫瘍免疫リスクインデックス値は1.70で病勢はコントロールされており、プロパゲルマニウムの投与は有効であった。
PG−4の口腔癌患者については、プロパゲルマニウム投与開始前の腫瘍免疫リスクインデックス値は2.07であった。プロパゲルマニウム投与開始後28日目及び56日目の腫瘍免疫リスクインデックス値はそれぞれ0.49及び1.77で、いずれの時点においても病勢はコントロールされており、プロパゲルマニウムの投与は有効であった。
PG−1及びPG−3の口腔癌患者については、プロパゲルマニウム投与開始後から、病勢が悪化して途中で投与を中止した。OSがそれぞれ39日及び36日であり、プロパゲルマニウムの投与は無効であった。
一方、2007年から2016年に兵庫医科大学病院において口腔癌と診断され、苦痛を軽くするためのBSCを実施した31例について、医師より患者にBSCの説明がなされた時点からのOSの中央値は46日であった。
有効例であるPG−2及びPG−4の口腔癌患者のOSは、それぞれ105日及び85日であり、プロパゲルマニウムの投与により、生存日数の延長が確認された。なお、PG−4の口腔癌患者は、病勢悪化に伴い化学療法介入を行ったため、OSは化学療法介入前の85日目とした。
【0063】
PG−5の胃癌患者については、プロパゲルマニウム投与開始前の腫瘍免疫リスクインデックス値は5.04であった。プロパゲルマニウム投与開始後28日目の腫瘍免疫リスクインデックス値は9.55に上昇し、病勢は進行していた。プロパゲルマニウムの投与は無効であった。
PG−6の胃癌患者については、プロパゲルマニウム投与開始前の腫瘍免疫リスクインデックス値は41.12であった。プロパゲルマニウム投与開始後28日目の腫瘍免疫リスクインデックス値は0.31で、病勢はコントロールされていた。プロパゲルマニウムの投与は有効であった。
なお、PG−5及びPG−6の胃癌患者については、患者本人の希望により、途中でプロパゲルマニウムの投与を中止した。
また、健常者については、プロパゲルマニウム投与開始前の腫瘍免疫リスクインデックス値の中央値は0.60であった。
以上より、癌患者におけるプロパゲルマニウムを含有する医薬による治療効果の評価において、腫瘍免疫リスクインデックス値を指標として用いることが有用であり、プロパゲルマニウム試験的投与終了後の腫瘍免疫リスクインデックス値が、3.5(好ましくは3.0以下)以下又はプロパゲルマニウム投与前の腫瘍免疫リスクインデックス値よりも低い数値であれば、プロパゲルマニウムを含有する医薬の治療効果が期待できると評価されることが確認された。
本試験例中での前記「病勢はコントロールされている」とは、患者の病状及び/又は病態が、プロパゲルマニウム投与前後で悪化していない状態を示す。各患者の病勢は、内視鏡検査、コンピューター断層撮影法(CT)検査、陽電子放射断層撮影(PET)−CT検査、磁気共鳴画像診断(MRI)検査、X線(X−P)検査、及び主要マーカーを含む血液生化学検査等の結果にもとづき主治医が判断した。
【0064】
<試験例6>プロパゲルマニウム投与後の口腔癌患者の末梢血単核球(PBMC)によるアポトーシス誘導活性の評価
ヒト胃癌細胞株MKN45をKurabira Orangeで蛍光標識したMKN45 KO細胞(1×10
4個)を35mmディッシュ内で10%FBS含有RPMI1640培地を用いて培養した(Day 0)。翌日(Day 1)、培地を10%FBS含有F12−K培地(2mL)に交換し、試験例5において、プロパゲルマニウム投与前、投与後28日目及び56日目におけるPG−4の口腔癌患者の末梢血より分離した末梢血単核球(1×10
6個)をF12−K培地(1mL)に懸濁したものを培養ディッシュに加え、さらにIncuCyte(登録商標) Caspase−3/7 Green Apoptpsis Reagent(Cat No.4440、Essen BioScience社製)3μLを加えて培養した。BioStation(Nikon社製)を用いて、10分毎に48時間タイムラプス撮影した(Day 1〜3)。48時間の撮影結果から動画を作成して、0、8、16、24、32、40及び48時間の時点における生存胃癌細胞(オレンジ色の蛍光有り)とアポトーシスが誘導された胃癌細胞(緑色の蛍光有り)の個数をそれぞれ算定した。細胞数の算定に際しては、48時間の時点で100〜150個の細胞数を対象とし、各時点において顕微鏡の200倍観察で4〜5視野の細胞を合算した。また、各時点において、培養ディッシュに接着し、かつ継続して観察可能な細胞のみを算定対象とし、少しでも撮影野から外れた細胞や重層化している細胞は算定対象から除外した。
各時点におけるアポトーシス誘導活性(%)を、以下の式(II):
{アポトーシスが誘導された胃癌細胞の数/(生存胃癌細胞の数+アポトーシスが誘導された胃癌細胞の数)}×100 (II)
を用いて算出した。
算出したアポトーシス誘導活性を、表4及び
図6に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
48時間の時点における、プロパゲルマニウムを投与された口腔癌患者の末梢血単核球によるアポトーシス誘導活性は、投与開始前の活性と比較して、投与開始後28日目で約3.1倍、投与開始後56日目で約3.7倍それぞれ増加した。すなわち、プロパゲルマニウムの投与により、末梢血単核球の癌細胞に対するアポトーシス誘導活性が上昇することが確認された。なお、このアポトーシス誘導活性は特定の癌細胞に特異的なものではなく、異種の癌細胞に対してアポトーシス誘導活性を示すことが確認された。