特許第6704597号(P6704597)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704597界面活性剤を利用して改良したリグノセルロースの同時糖化発酵方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704597
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】界面活性剤を利用して改良したリグノセルロースの同時糖化発酵方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/10 20060101AFI20200525BHJP
   C13K 1/02 20060101ALN20200525BHJP
【FI】
   C12P7/10
   !C13K1/02
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-519930(P2017-519930)
(86)(22)【出願日】2014年12月29日
(65)【公表番号】特表2017-536100(P2017-536100A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】CN2014001188
(87)【国際公開番号】WO2016077942
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】201410668100.1
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】張宗超
(72)【発明者】
【氏名】劉秀梅
(72)【発明者】
【氏名】毛燎原
【審査官】 松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0271894(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/095781(WO,A1)
【文献】 W.G.Lee,Biotechnology Letters,1996年,Vol.18, No.3,pp.299-304
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 7/10
C13K 1/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレングリコールを添加することにより、前処理したセルロース基質を解毒処理せずに、連続酵素糖化並行発酵を直接行い、
前処理したセルロースを基質とし、まずセルラーゼ、ポリエチレングリコール、pH緩衝液を添加し、高温条件下で予備分解を一定時間行い、その後、温度を低下させ、出芽酵母を添加し、同時糖化エタノール発酵を行って生産し、
発酵系において、前記セルロースおよび緩衝液の固液比が0.1〜0.3g/mLであり;前記緩衝液に対する前記ポリエチレングリコールの濃度が0.1250〜0.2525g/mLであり;セルラーゼの添加量が10〜30FPU/原料1gであり;出芽酵母の細胞濃度が0.5×10〜1.8×10個/mLであり;
前記予備分解の温度が50℃、予備分解の時間が2〜24時間であり;同時糖化エタノール発酵の温度が30〜39℃であり;同時糖化エタノール発酵の時間が16〜96時間、150〜300rpmであることを特徴とする、
ポリエチレングリコールで改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法。
【請求項2】
ポリエチレングリコールを添加することにより、前処理したセルロース基質を解毒処理せずに、連続酵素糖化並行発酵を直接行い、
前処理したセルロースを基質とし、まずセルラーゼ、pH緩衝液を添加し、高温条件下で予備分解を一定時間行い、その後、温度を低下させ、ポリエチレングリコール、出芽酵母を添加し、同時糖化エタノール発酵を行って生産し、
発酵系において、前記セルロースおよび緩衝液の固液比が0.1〜0.3g/mLであり;前記緩衝液に対する前記ポリエチレングリコールの濃度が0.1250〜0.2525g/mLであり;セルラーゼの添加量が10〜30FPU/原料1gであり;出芽酵母の細胞濃度が0.5×10〜1.8×10個/mLであり;
前記予備分解の温度が50℃、予備分解の時間が2〜24時間であり;同時糖化エタノール発酵の温度が30〜39℃であり;同時糖化エタノール発酵の時間が16〜96時間、150〜300rpmであることを特徴とする、
ポリエチレングリコールで改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法。
【請求項3】
前記ポリエチレングリコールの分子量が200〜8000であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエチレングリコールで改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法。
【請求項4】
前記pH緩衝溶液が、酢酸−酢酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸−リン酸ナトリウム緩衝液または硫酸溶液であり、pH緩衝溶液のpHが4.0〜5.5であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエチレングリコールで改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法。
【請求項5】
前記pH緩衝溶液のpHが4.8であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエチレングリコールで改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法。
【請求項6】
前記ポリエチレングリコールの濃度が0.125g〜0.18g/mLであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエチレングリコールで改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法。
【請求項7】
前記発酵系におけるセルロースおよび緩衝液の固液比が0.125g/mLであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエチレングリコールで改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法。
【請求項8】
前記発酵系におけるセルラーゼの濃度が30FPU/原料1gであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエチレングリコールで改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法。
【請求項9】
前記発酵系における出芽酵母の細胞濃度が0.8×10〜0.96×10個/mLであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエチレングリコールで改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法。
【請求項10】
前記予備分解の時間が8〜12時間であり;同時糖化エタノール発酵の温度が33℃、同時糖化エタノール発酵の時間が72時間であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエチレングリコールで改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス原料を分解し、発酵工程によりバイオマスエタノールを生産する分野に関し、具体的に、界面活性剤で改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法に関する。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギーが日増しに枯渇し、環境汚染が日増しに深刻化するのに伴い、再生可能なクリーンエネルギーであるバイオマスエタノールの開発および利用は、人々の広範な関心を集めている。従来のエタノール発酵は、糖またはデンプンを原料とするが、両者はいずれも主に食物に由来する。穀物を原料としたバイオマスエタノールの生産は、すでに世界の穀物の安全に対して脅威となっており、その他の原料を穀物の代わりにすることは必然的な流れである。リグノセルロースは自然界で最も豊富で廉価な再生可能資源であり、その主要成分のセルロース、ヘミセルロースは、潜在的なバイオマスエタノールの生産原料であり、リグノセルロースを利用したバイオマスエタノールの生産は、世界各国で研究の焦点となっている。リグノセルロースからのバイオマスエタノールの生産は、前処理、酵素分解、発酵の3つの工程を経るが、バイオマスの前処理過程で、弱酸、フルフラールおよび5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)、フェノール系化合物などの有害物質が生じる。これらの化合物は、出芽酵母に対して強烈な阻害作用を示し、これにより酵母菌の正常な成長およびその後の発酵過程に影響を及ぼす。
【0003】
したがって、前処理したリグノセルロース加水分解液の解毒処理は、明らかに重要である。現在、文献で報告されている解毒方法は主に、洗浄による解毒、物理的解毒(真空濃縮ガスストリッピング法、膜分離法)、化学的解毒(石灰中和、活性炭吸着、イオン交換、溶媒抽出)、生物的解毒を含む。例えばBioprocess Biosyst Eng(2013)36:659〜666は活性炭吸着法を採用し、フルフラール、HMF、レブリン酸などの発酵阻害剤が酵母細胞の成長速度に及ぼす影響について考察している。カナダ再発行特許第102226204号明細書は、リグノセルロースのエタノール発酵液の解毒方法を開示している。処理しようとする糖液中に可溶性電解質塩を添加した後、加熱することにより恒温の原料液が得られ、膜モジュールにより膜蒸留を行って、糖液中における後の発酵に対して阻害作用を示す物質を除去する。しかし、洗浄による解毒、物理的解毒、化学的解毒などの方式は大量の水資源を消費し、設備投資コストが高く、工程が複雑であり、さらに解毒効果は劣り、糖分の損失は深刻である。Yanling Yuは生物的解毒法(Bioresource Technology,2011,102(8):5123〜5128)を報告している。アスペルギルス・ニデュランス(FLZ10)を利用して、トウモロコシの茎の蒸気爆発液に対して生物的解毒処理を行い、その後、出芽酵母を利用して同時糖化発酵を行うと、エタノール濃度は34g/Lに達する。該方法は、アスペルギルス・ニデュランスの設備投資、培地用試薬およびエネルギー消費を増加させる必要がある。したがって、工程が簡単で、コストが低く、効果が良好な解毒方法の開発は、リグノセルロースエタノール工業において非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】カナダ再発行特許第102226204号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Bioprocess Biosyst Eng(2013)36:659〜666
【非特許文献2】Yanling Yu,Bioresource Technology,2011,102(8):5123〜5128
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、既存のバイオマスの前処理過程で生じる有害物質が、後の発酵過程に対して阻害作用を示すことに対し、界面活性剤で改良し、リグノセルロースを原料とした連続糖化並行発酵法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を実現するため、本発明の界面活性剤で改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法(SSCF)は、前処理したセルロース基質を解毒処理せずに、連続酵素糖化並行発酵を直接行う。前記界面活性剤は予備分解の前に添加するか、または予備分解の後に添加するかを選択することができる。
【0008】
界面活性剤を予備分解の前に添加することを選択した場合の具体的な工程について、原料である前処理したセルロースを基質とし、まずセルラーゼ、水溶性界面活性剤、pH緩衝液を添加し、高温条件下で予備分解を一定時間行う。その後、温度を低下させ、出芽酵母を添加し、同時糖化エタノール発酵を行って生産する。
【0009】
界面活性剤を予備分解の後に添加することを選択した場合の具体的な工程について、前処理したセルロースを基質とし、まずセルラーゼ、pH緩衝液を添加し、高温条件下で予備分解を一定時間行う。その後、温度を低下させ、界面活性剤、出芽酵母を添加し、同時糖化エタノール発酵を行って生産する。
【0010】
前記発酵系において、前処理したセルロースおよび緩衝液の固液比は0.1〜0.3g/mLであり、前記水溶性界面活性剤の濃度は0〜0.4g/mLである。セルラーゼの添加量は10〜30FPU/原料1gであり、出芽酵母の細胞濃度は0.5×10〜1.8×10個/mLである。
前記予備分解の温度は50℃、予備分解の時間は2〜24時間である。同時糖化エタノール発酵の温度は30〜39℃であり、同時糖化エタノール発酵の時間は16〜96時間、150〜300rpmである。
【0011】
前記界面活性剤は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリジメチルシロキサン、トゥイーンのうち少なくとも1種である。
【0012】
前記水溶性界面活性剤は、好ましくはポリエチレングリコールであり、分子量は200〜8000、好ましくは200〜2000である。
【0013】
前記pH緩衝溶液は、酢酸−酢酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸−リン酸ナトリウム緩衝液または硫酸溶液であり、pH緩衝溶液のpHは4.0〜5.5である。
【0014】
前記pH緩衝溶液のpHは、好ましくは4.8である。
【0015】
前記水溶性界面活性剤の濃度は、好ましくは0.125g〜0.18g/mLである。
【0016】
前記発酵系における前処理したセルロースおよび緩衝液の固液比は、好ましくは0.125g/mLである。
【0017】
前記発酵系におけるセルラーゼの添加量は、好ましくは20FPU/原料1gである。
【0018】
前記発酵系における出芽酵母の細胞濃度は、好ましくは0.6×10〜0.96×10個/mLである。
【0019】
前記予備分解の時間は、好ましくは8〜12時間である。同時糖化エタノール発酵の温度は、好ましくは33℃、同時糖化エタノール発酵の時間は、好ましくは72時間である。
【0020】
具体的なSSCFの過程を図1図2および図3に示す。
【0021】
既存技術は前処理したセルロースを原料とし、まずセルラーゼ、pH緩衝液を添加し、高温条件下で予備分解を一定時間行う。その後、温度を低下させ、出芽酵母を添加し、同時糖化エタノール発酵を行って生産する。図1に示す通りである。
本発明の界面活性剤で改良したリグノセルロースの連続糖化並行発酵法SSCFの過程は、図2および図3に示す通りである。
【発明の効果】
【0022】
既存技術に対して、本発明の利点は次の通りである。本発明は、界面活性剤を添加することにより、前処理したセルロース基質を解毒処理せずに、連続酵素糖化並行発酵を直接行うことができる。グルコースの損失を低下させる、生産工程を簡略化する、設備投資を低下させる、水消費を減少させる、エタノール生産量を上昇させる、などの面において、経済的、効果的、実現可能に応用する将来性を有する。本発明は、初めて界面活性剤の添加を利用し、早生ポプラを解毒せず、連続糖化並行発酵を行い、エタノールを生産する。エタノール濃度および収率は大幅に上昇し、リグノセルロースエタノールの生産過程における総コストを効果的に低下させた。
【0023】
例えば、蒸気爆発で前処理を行った早生ポプラの濃度を15%、同時糖化発酵の時間を96時間とすると、界面活性剤を添加しないときのエタノール収率、濃度はそれぞれ22%および7.0g・L−1であるが、1.5g・mL−1の界面活性剤を添加後のエタノール収率および濃度は、それぞれ75%および24.0g・L−1に達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、純水中でのSSCFの操作過程である。
図2図2は、界面活性剤で改良したSSCFの操作過程1である。
図3図3は、界面活性剤で改良したSSCFの操作過程2である。
図4図4は、蒸気爆発した早生ポプラを解毒しないSSCF過程の酵素分解効率に対する、様々な濃度のPEG−1000の影響である。
図5図5は、蒸気爆発した早生ポプラを解毒しないSSCF過程のエタノール収率に対する、様々な濃度のPEG−1000の影響である。
図6図6は、蒸気爆発した早生ポプラを解毒しないSSCF過程のエタノール濃度に対する、様々な濃度のPEG−1000の影響である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、具体的実施例を組み合わせて、本発明についてさらに記載するが、本発明の保護範囲は実施例に制限されず、下記実施例および明細書に記載する内容は、本発明の原理の説明に過ぎない。本発明の主旨および範囲を逸脱しない前提の下、本発明は各種の変更および改良を行うこともでき、これらの変更および改良はいずれも保護を要求する本発明の範囲内にある。本発明が要求する保護範囲は、添付の特許請求の範囲およびその同等物により画定される。
【0026】
他に、説明すべきこととして、以下の各実施例中の発酵液における各成分の含量測定は高速液体クロマトグラフ(Agilent1260)を用いる。リグノセルロース基質の投入量に基づいて、その転化率、エタノール収率を計算し、発酵液中のエタノールの質量、活性水およびpH液の体積に基づいて、エタノール濃度を計算する。
【0027】
クロマトグラフ条件:イオン交換カラム、カラム温度65℃、示差屈折率検出器、検出器50℃;移動相5mM HSO、流速0.6ml/min、サンプル注入量25μL。
【0028】
本発明の実施例において、前記前処理方法は蒸気爆発法である。
【実施例】
【0029】
実施例1
前処理した早生ポプラ粉末1.5gを基質とし、まずpH値が4.86の緩衝液10.5mL、セルラーゼ0.2mLを添加し、50℃条件下で予備分解を4時間行う。その後、温度を33℃まで低下させた後、出芽酵母を添加して細胞濃度を0.8×10個/mLに保持し、SSCF発酵を72時間行う。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表1に示す。
【0030】
実施例2
前処理した早生ポプラ粉末1.5gを基質とし、まずpH値が4.86の緩衝液10.5mL、セルラーゼ0.2mL、界面活性剤2.0gを添加し、50℃条件下で予備分解を4時間行う。その後、温度を33℃まで低下させた後、出芽酵母を添加して細胞濃度を0.8×10個/mLに保持し、SSF発酵を72時間行う。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表1に示す。表中のデータから、PEG−1000を添加すると、酵素分解率はほとんど変化しないが、エタノール収率および濃度は倍近く上昇することがわかる。
【0031】
実施例3
実施工程は、酵母の細胞濃度が0.96×10個/mLであることを除いて、実施例1と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表1に示す。表中のデータから、純水の系で酵母の細胞濃度を増加させても、酵素分解効率、エタノール収率および濃度はほとんど変化しないことがわかる。
【0032】
実施例4
実験工程は、細胞濃度が0.96×10個/mLであることを除いて、実施例2と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表1に示す。表中のデータから、PEG−1000が存在する系で、酵母の細胞濃度を増加させても、酵素分解効率、エタノール収率および濃度はほとんど変化しないことがわかる。
【0033】
実施例5
実験工程は、緩衝液の体積を12.0mLに増加させることを除いて、実施例1と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表1に示す。表中のデータから、純水の系で基質濃度を低下させても、酵素分解効率、エタノール収率および濃度はほとんど変化しないことがわかる。
【0034】
実施例6
実験工程は、緩衝液の体積を12.0mLに増加させることを除いて、実施例2と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表1に示す。表中のデータから、PEG−1000が存在する系で、基質濃度を低下させると、酵素分解効率、エタノール収率および濃度は明らかに改善することがわかる。
【0035】
実施例7
実験工程は、緩衝液の体積を10.0mLに減少させることを除いて、実施例1と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表1に示す。表中のデータから、純水の系で基質濃度を高めても、酵素分解効率、エタノール収率および濃度はほとんど変化しないことがわかる。
【0036】
実施例8
実験工程は、緩衝液の体積を10.0mLに減少させることを除いて、実施例2と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表1に示す。表中のデータから、PEG−1000が存在する系で、基質濃度を高めると、酵素分解効率、エタノール収率および濃度は明らかに低下することがわかる。
【0037】
表1:前処理した早生ポプラ粉末の連続酵素糖化並行発酵
【0038】
【表1】
【0039】
実施例9
実験工程は、セルラーゼの使用量が0.3mLであることを除いて、実施例5と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表2に示す。表中のデータから、純水の系でセルラーゼの使用量を高めると、酵素分解効率は少し上昇するが、エタノール収率および濃度はほとんど変化しないことがわかる。
【0040】
実施例10
実験工程は、セルラーゼの使用量が0.3mLであることを除いて、実施例6と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表2に示す。表中のデータから、PEG−1000の系でセルラーゼの使用量を高めると、酵素分解効率、エタノール収率および濃度はいずれも上昇することがわかる。
【0041】
実施例11
実験工程は、前処理した早生ポプラの予備分解を50℃条件下で8時間行うことを除いて、実施例9と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表2に示す。表中のデータから、純水の系で並行発酵時間を延長させると、酵素分解効率は上昇するが、エタノール収率および濃度はほとんど変化しないことがわかる。
【0042】
実施例12
実験工程は、前処理した早生ポプラの予備分解を50℃条件下で8時間行うことを除いて、実施例10と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表2に示す。表中のデータから、PEGの系で並行発酵時間を延長させると、酵素分解効率、エタノール収率および濃度はいずれも改善することがわかる。
【0043】
実施例13
実験工程は、前処理した早生ポプラの予備分解後に、PEG−1000を添加することを除いて、実施例12と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表2に示す。表中のデータから、界面活性剤の添加順序は発酵効率に対して明らかな影響を及ぼさないことがわかる。
【0044】
実施例14
実験工程は、PEG−1000の添加量が3.0グラムであることを除いて、実施例10と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表2に示す。結果から、PEG−1000の使用量が多すぎると、SSCF過程の効率が低下し、酵素分解効率、エタノール収率および濃度はいずれも低下することがわかる。
【0045】
表2:前処理した早生ポプラ粉末の連続酵素糖化並行発酵
【0046】
【表2】
【0047】
実施例15
実験工程は、前処理した早生ポプラの予備分解の時間が24時間であることを除いて、実施例11と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表3に示す。表中のデータから、純水の系でSSCF過程の時間を増加させても、エタノール収率および濃度は改善されないことがわかる。
【0048】
実施例16
実験工程は、前処理した早生ポプラの予備分解の時間が24時間であることを除いて、実施例12と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表3に示す。表中のデータから、PEG−1000が存在する系で、SSCF過程の時間を増加させても、エタノール収率および濃度は改善されないことがわかる。
【0049】
実施例17
実験工程は、緩衝液の体積を10mLに減少させることを除いて、実施例15と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表3に示す。表中のデータから、純水の系でSSCF過程の基質濃度を増加させても、エタノール濃度は改善されないことがわかる。
【0050】
実施例18
実験工程は、緩衝液の体積を10mLに減少させることを除いて、実施例12と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表3に示す。表中のデータから、PEG−1000が存在する系で、SSCF過程の基質濃度を増加させると、エタノール収率および濃度は大幅に低下するが、依然として純水の系の結果より高いことがわかる。
【0051】
表3.前処理した早生ポプラ粉末の連続酵素糖化並行発酵
【0052】
【表3】
【0053】
実施例19
実験工程は、発酵温度が36℃であることを除いて、実施例16と同じである。早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表4に示す。表中のデータから、PEG−1000が存在する系で、SSCF過程の温度を適当に上昇させると、エタノール収率および濃度を効果的に上昇させることができることがわかる。
【0054】
実施例20
実験工程は、発酵温度が39℃であることを除いて、実施例16と同じである。早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表4に示す。表中のデータから、PEG−1000が存在する系で、SSCF過程の温度を上昇させると、エタノール収率および濃度を効果的に上昇させることができることがわかる。
【0055】
実施例21
実験工程は、界面活性剤PEG−200(2.0g)を添加することを除いて、実施例16と同じである。酵素分解率、エタノール濃度のデータを表4に示す。表中のデータから、PEG−200はエタノール収率および濃度を上昇させることができることがわかる。
【0056】
実施例22
実験工程は、界面活性剤PEG−400(2.0g)を添加することを除いて、実施例16と同じである。酵素分解率、エタノール濃度のデータを表4に示す。表中のデータから、PEG−400はエタノール収率および濃度を上昇させることができることがわかる。
【0057】
実施例23
実験工程は、界面活性剤PEG−4000(2.0g)を添加することを除いて、実施例16と同じである。グルコース転化率、エタノール収率および濃度のデータを表4に示す。表中のデータから、PEG−4000はエタノール収率および濃度を上昇させることができることがわかる。
【0058】
実施例24
実験工程は、界面活性剤ポリエチレングリコールメチルエーテル(2.0g)を添加することを除いて、実施例16と同じである。グルコース転化率、エタノール濃度のデータを表4に示す。
【0059】
実施例25
実験工程は、界面活性剤ポリエチレングリコールジメチルエーテル(2.0g)を添加することを除いて、実施例16と同じである。グルコース転化率、エタノール濃度のデータを表4に示す。
【0060】
表4 前処理した早生ポプラ粉末の連続酵素糖化並行発酵
【0061】
【表4】
【0062】
実施例26
前処理した早生ポプラ粉末1.5gを基質とし、まずpH値が4.86の緩衝液12.0mL、セルラーゼ0.3mL、界面活性剤0〜2.0gを添加し、50℃条件下で予備分解を24時間行う。その後、温度を33℃まで低下させた後、出芽酵母を添加して細胞濃度を0.8×10個/mLに保持し、SSCF発酵を72時間行う。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを図4、5、6に示す。図中のデータから、PEG−1000を添加すると、酵素分解率にほとんど影響はなく、エタノール収率および濃度は、PEG−1000の濃度の増加に伴って次第に増加することがわかる。
【0063】
実施例27
前処理した早生ポプラ粉末1.5gを基質とし、pH値が4.86の緩衝液12mL、セルラーゼ0.3mLを添加し、50℃条件下で予備分解を4時間行う。その後、温度を33℃まで低下させ、界面活性剤PEG−1000を1.5002g、細胞濃度が0.8×10個/mLの出芽酵母を添加し、SSCF発酵を72時間行う。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表5に示す。表中のデータから、実施例10および実施例12と比較して、PEG−1000の添加順序は、酵素分解効率、エタノール収率および濃度に明らかな影響を及ぼさないことがわかる。
【0064】
実施例28
実験工程は、PEG−1000の添加量が2.0039gであることを除いて、実施例27と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表5に示す。
【0065】
実施例29
実験工程は、予備分解が8時間であることを除いて、実施例27と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表5に示す。
【0066】
実施例30
実験工程は、予備分解が8時間、界面活性剤PEG−1000の添加量が2.0103gであることを除いて、実施例27と同じである。前処理した早生ポプラの酵素分解率、エタノール収率および濃度のデータを表5に示す。
【0067】
表5:前処理した早生ポプラ粉末の連続酵素糖化並行発酵
【0068】
【表5】
図1
図2
図3
図4
図5
図6