(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704600
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法
(51)【国際特許分類】
C25D 5/56 20060101AFI20200525BHJP
C23C 14/14 20060101ALI20200525BHJP
C23C 18/20 20060101ALI20200525BHJP
C23C 18/30 20060101ALI20200525BHJP
C23C 18/34 20060101ALI20200525BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20200525BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20200525BHJP
H05K 3/38 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
C25D5/56 B
C25D5/56 A
C25D5/56 Z
C23C14/14 D
C23C18/20 A
C23C18/30
C23C18/34
C25D7/00 G
H05K3/18 A
H05K3/18 G
H05K3/38 A
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-501411(P2017-501411)
(86)(22)【出願日】2016年7月14日
(65)【公表番号】特表2017-534747(P2017-534747A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】CN2016090073
(87)【国際公開番号】WO2017016395
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2017年2月24日
【審判番号】不服2018-17490(P2018-17490/J1)
【審判請求日】2018年12月28日
(31)【優先権主張番号】201510454505.X
(32)【優先日】2015年7月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517005880
【氏名又は名称】蘇州衛鵬機電科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】孟月東
(72)【発明者】
【氏名】常鵬
(72)【発明者】
【氏名】蔡剛強
【合議体】
【審判長】
亀ヶ谷 明久
【審判官】
平塚 政宏
【審判官】
大熊 幸治
(56)【参考文献】
【文献】
特表平10−507228(JP,A)
【文献】
特開昭63−111180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00 - 7/12
C23C 14/00 - 14/58
C23C 18/00 - 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法であって、
1)ポリイミドフィルムを真空環境内に置き、有機アミンの容量結合放電により生成されるプラズマを使用して処理する工程と;
2)工程1)で得られたポリイミドフィルムを真空環境内に置き、金属塩溶液にバブリングした窒素ガスの容量結合放電により生成されるプラズマを使用して前処理する工程と;
3)真空スパッタリングメッキまたは無電解メッキを採用して、工程2)で得られたポリイミドフィルムを予備メッキ処理し、厚さが100ナノメートルより薄い銅膜を得る工程と;
4)電気メッキ法により銅膜を必要な厚さまで厚くする工程と;を含む方法。
【請求項2】
工程1)および工程2)において、前記容量結合放電の出力密度は>0.1W/cm3であり、放電領域の電場強度>5.0kV/mを満たし、容量結合放電の気圧範囲が30Pa〜80Paであることを特徴とする、請求項1に記載のポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法。
【請求項3】
工程1)のプラズマ処理時間が5〜10秒であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法。
【請求項4】
工程2)のプラズマ処理時間が10〜30秒であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法。
【請求項5】
工程1)および工程2)の真空環境の圧力が20Pa以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法。
【請求項6】
前記有機アミンが脂肪族アミンであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法。
【請求項7】
前記金属塩が銅塩、パラジウム塩またはニッケル塩であり、前記金属塩が水に溶解することを特徴とする、請求項1または2に記載のポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法。
【請求項8】
前記金属塩溶液が、金属塩および脱イオン水で調製した溶液であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法。
【請求項9】
前記金属塩溶液が硫酸銅および脱イオン水で調製した溶液であり、両者の質量比は1:2より大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載のポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法。
【請求項10】
工程3)で無電解メッキにより銅膜を予備メッキするとき、溶液のpH値が5〜6であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリイミド製無接着剤型フレキシブルプリント基板の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロエレクトロニクスの回路基板材を作製する技術分野に属し、具体的にポリイミドの表面処理方法および回路基材の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超薄の無接着剤型フレキシブルプリント基板は、マイクロエレクトロニクス業界の開発の傾向となっている。フレキシブル基板の基材および銅箔の結合方式に基づいて、フレキシブル基板は接着剤型フレキシブル基板と、無接着剤型フレキシブル基板とに分けることができる。構造に基づいて分類する場合、片面フレキシブル基板、両面フレキシブル基板、多層フレキシブル基板、リジッドフレックス基板などに分けることができる。無接着剤型フレキシブル基板の価格は、接着剤型フレキシブル基板よりかなり高いが、その柔靱性、銅箔および基材の結合力、ランドの平面度などのパラメータは、接着剤型フレキシブル基板より良好である。銅箔の厚さが薄いほど、その耐折性は良好であり、チップオンフレックス(COF)に有利である。
【0003】
現在、無接着剤型フレキシブルプリント基板(FPCB)の基材の製造方法は3種ある。
1、スパッタリング/電気メッキ法(Sputtering/Plating):該方法はポリイミド(PI)フィルムを基材とし、真空スパッタリングコーティングを利用してPIフィルム上に金属を1層メッキしてから、電気メッキ(Electroplating)を行い、銅層を厚くする。この方法の利点は、超薄の2層型フレキシブル基板を生産することができることであり、銅膜の厚さは3〜12マイクロメートルに達する。他に、両面が異なる厚さのフレキシブル基板を生産することもできる。
【0004】
2、キャスティング法(Casting):該方法は銅箔を基材とし、合成したポリイミド樹脂をダイヘッドで押し出して巻き取る銅箔に塗布する。オーブン乾燥およびイミド化(Imidization)した後、2層型フレキシブル基板が形成される。該方法は片面フレキシブル基板に多く用いられるが、両面フレキシブル基板の基材を製造するのは難しい。
【0005】
3、ラミネーション法(Lamination):該方法は、非熱可塑性のPIフィルムをコア層のベースフィルムとし、熱可塑性PIフィルムを表層のベースフィルムとし、さらに銅箔で覆う。短時間の熱間圧延により、イミド化、高温ラミネート処理して、2層型フレキシブル基板が形成される。
【0006】
上記方法におけるキャスティング法およびラミネーション法はいずれも銅箔を基材とする必要がある。銅箔の厚さを5マイクロメートル以下にするのが難しく、マイクロエレクトロニクス業界の開発の傾向における、FPCの超薄化に対する要求を満たすのは難しい。
【0007】
スパッタリング/電気メッキ法は、超薄のFPCを実現することができる。しかし、ポリイミドフィルムは表面粗さが低く、化学的に不活性であり、この影響を受けて、スパッタリングで堆積させた銅膜はたびたび剥離強度が低くなる。また該方法の技術的障壁は高く、現在依然として研究段階である。
【0008】
2014年の科技日報および各大手ウェブサイトは、復旦大学材料科学学部の楊振国教授のグループが、両面フレキシブルプリント基板を製造する「プリント−吸着−触媒付加法」の新しい工程を開発したことを転載により報告した。この新しい工程の核心は、専用のイオン吸着インクを開発したことである。このイオン吸着インクは、樹脂基板と導電メッキの銅との間の接続層として、無電解メッキ反応を触媒することができる。このうちのアミノ基、カルボキシル基、水酸基など特殊な基は、回路基板の基材とメッキ層との間の界面接着力を顕著に向上させることができ、これはエコ、低コスト、大規模な、またロールツーロールによるフレキシブルプリント基板の製造に、新しい手段を提供することができる。しかし、このイオン吸着インクを、樹脂基板と導電メッキの銅との間の接続層とする手法は、接着剤型フレキシブル基板の工程における接着剤(粘着剤)を代替しただけであり、本質的には樹脂を必要とするフレキシブル基板である。
【0009】
中国特許第101684554A号は、ポリイミドフィルムの無電解銅メッキ液およびその無電解銅メッキ方法を開示している。しかし、該特許では、最も重要なパラメータ、つまり銅膜およびポリイミドフィルムの剥離強度の測定を行っていない。事実上、ポリイミドフィルムを洗浄処理するだけの場合、真空スパッタリングメッキまたは無電解メッキに関わらず、その金属膜およびポリイミドフィルムの剥離強度はいずれも基準に達しない。
【0010】
以上の技術的背景に関する分析に基づくと、超薄のポリイミド(PI)製無接着剤型フレキシブルプリント基板の基材の作製技術におけるボトルネックは、ポリイミドフィルムおよび銅膜(スパッタリング法または無電解メッキ)の剥離強度の問題であることを確認することができる。該技術的ボトルネックは、未だ良好に解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】中国特許第101684554A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この技術的ボトルネックに対して、本発明は、超薄のポリイミド(PI)製無接着剤型フレキシブルプリント基板(FPCB、フレキシブル基板ともいう)の基材を作製する方法を提供している。該方法は、ポリイミドフィルムに対してプラズマ表面改質処理を行い、その後、真空スパッタリングメッキまたは無電解メッキ(無電解銅メッキともいう)を行い、厚さが100ナノメートル以下の緻密な銅膜をメッキする。最後に銅膜に電気メッキを行って必要な銅膜の厚さまで厚くして、剥離強度が高い、超薄の無接着剤型フレキシブルプリント基板の基材を製造する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明で提供するポリイミドの表面処理方法は以下を含む。
1)ポリイミドフィルムを低真空環境下に置き、有機アミンの容量結合放電により生成されるプラズマを使用して処理し、ポリイミドフィルムを処理する。
2)工程1)で得られたポリイミドフィルムを低真空環境内に置き、金属塩溶液にバブリングした窒素ガスの容量結合放電により生成されるプラズマを使用してポリイミドフィルムを前処理する。
3)真空スパッタリングメッキまたは無電解メッキを採用して、工程2)で得られたポリイミドフィルムを予備メッキ処理し、厚さが100ナノメートルより薄い緻密な銅膜を得る。
4)電気メッキ法により銅膜を必要な厚さまで厚くする。
【0014】
好ましくは、前記低真空容量結合放電の出力密度(電源出力/(電極面積×2つの電極の間隔))は>0.1W/cm
3であり、放電電圧は放電領域の電場強度(放電電圧/電極の間隔)>5.0kV/mを満たし、容量結合放電の気圧範囲は30Pa〜80Paである。このように、エッチングおよびグラフト効果を保証することができる。
【0015】
前記有機アミンガスの結合放電で生成されるプラズマでポリイミド表面を処理することにより、その表面でアミノ基をグラフトすることを実現して、その表面のエッチングおよび粗化を実現することができる。
【0016】
好ましくは、前記有機アミンは脂肪族アミンである。より好ましくは、前記有機アミンはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミンまたはヘキシルアミンであり、前記アミン類の異性体は同様に本発明に適用される。
【0017】
好ましくは、工程1)のプラズマ処理時間は5〜10秒である。前記金属塩溶液にバブリングした窒素ガスの容量結合放電で生成されるプラズマでポリイミド表面を処理することにより、前記ポリイミドフィルムの表面で水酸基、スルホン酸基などの活性基をさらにグラフトすることができ、同時に金属元素が堆積する。前記気体は窒素ガスである。窒素ガスを選択するのは、ポリイミドの水素結合供与体を消費し、無電解メッキ時の水素ガスの発生を減少させ、メッキ膜の結合力を向上させるためである。
【0018】
好ましくは、工程2)のプラズマ処理時間は10〜30秒である。
【0019】
好ましくは、工程1)および工程2)のバックグラウンド真空環境の圧力は20Pa以下である。
【0020】
好ましくは、前記金属塩は銅塩、パラジウム塩またはニッケル塩であり、前記金属塩は水に溶解する。前記金属塩は硝酸塩、硫酸塩、塩化物でよい。前記溶液の濃度は相応する金属塩の飽和溶液または希釈溶液でよく、その濃度は高いほど良い。前記金属塩を処理すると、ポリイミド表面に、後続処理により結晶過程に類似した結晶核が形成される。したがって、当業者は必要に応じて適した濃度を選択することができる。
【0021】
好ましくは、前記金属塩溶液は、相応する金属塩および脱イオン水で調製した溶液である。
【0022】
本発明の1つの実施例において、工程2)で硫酸銅溶液(硫酸銅:脱イオン水≧1:2)にバブリングした窒素ガスを注入して、プラズマ放電処理を10〜30秒行う。銅元素、水酸基、スルホン酸基の活性基は、硫酸銅溶液に由来する。
【0023】
本発明の1つの実施例において、工程2)で脱イオン水を用いて希釈したパラジウム液(パラジウム液:脱イオン水≧1:7)にバブリングした窒素ガスを注入して、プラズマ放電処理を10〜30秒行う。ここでパラジウム液は、パラジウム濃度が4000mg/リットルの硫酸パラジウム溶液である。
【0024】
本発明の1つの実施例において、工程2)で脱イオン水を用いて希釈した塩化ニッケル溶液(塩化ニッケル:脱イオン水≧1:5)にバブリングした窒素ガスを注入して、プラズマ放電処理を10〜30秒行う。
【0025】
好ましくは、前記真空スパッタリングメッキまたは無電解メッキにより、ポリイミド表面に50〜100ナノメートルの厚さの銅膜が堆積するように予備メッキを行う。
【0026】
より好ましくは、無電解メッキにより銅膜をメッキするとき、溶液のpH値は6より低く、好ましくは5〜6である。
【0027】
本発明の方法は、接着剤を必要としない(無接着剤型)だけでなく、工程を簡略化し、労働力を減少させ、コストを低下させることができる。さらに環境汚染を減少させることができ、超薄の無接着剤型フレキシブルプリント基板の製造に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の超薄の無接着剤型フレキシブルプリント基板を作製、製造する概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下は本発明の実施例である。本発明を説明するためだけに用いられ、本発明を制限するものではない。
【0030】
図1を参照されたい。本発明の超薄の無接着剤型フレキシブルプリント基板を作製する概要図である。
図1において、ポリイミドフィルムはプラズマチャンバ内に位置し、巻取装置は巻取4および巻出3を含み、巻取機の回転速度によってポリイミドフィルム2の放電処理時間を制御する。
【実施例】
【0031】
実施例1
(1)中国万達集団が生産したポリイミドフィルムロール(厚さは12.5、25、50μmの3規格)を低真空プラズマ発生装置のチャンバの巻取装置に取り付け、20Pa以下まで真空吸引する。メチルアミンガスを通して放電し、プラズマが生成され、ポリイミドフィルムのエッチングおよびアミノ基のグラフト処理を行う。巻取機の回転速度を制御し、ポリイミドフィルムがプラズマ放電領域を通過する時間を5〜10秒の間にする。プラズマ放電の出力密度(電源出力/(電極面積×2つの電極の間隔))は>0.1W/cm
3であり、放電電圧は放電領域の電場強度(放電電圧/電極の間隔)>5.0kV/mを満たす。プラズマのエッチング効率を上昇させるため、アルカリ性のメチルアミンガスによる放電を採用し、耐アルカリ性でないポリイミドを処理する。放電気圧範囲は30Pa〜80Paである。
【0032】
(2)メチルアミンの供給を停止し、引き続き吸引して真空度を20Paより低くする。硫酸銅溶液(硫酸銅:脱イオン水≧1:2)にバブリングした窒素ガスを注入して、プラズマ放電処理を10〜30秒行う。機械を停止して空気を入れ、ポリイミドフィルムロールを取り出す。密封包装し、次のスパッタリングメッキまたは無電解メッキの工程に入る。
【0033】
(3)商用の真空スパッタリングコーティング機を利用して、プラズマ処理したポリイミドフィルムに対して真空スパッタリングにより銅膜をメッキする。次の工程の電気メッキで厚くするとき、電解液がポリイミドフィルムを損傷しないようにするため、真空スパッタリングでメッキする銅膜の緻密性を高くする必要がある。好ましくは、スパッタリングによりメッキする銅膜の厚さは50〜100nmである。
【0034】
(4)電気メッキ法を利用して、スパッタリングメッキによる銅層を厚くする。電気メッキの時間を調節することにより、銅膜のメッキ層の厚さを制御し、任意の厚さの銅膜を作製することができる。
【0035】
表1は、PIフィルムをプラズマ処理した後の表面粗さである。平均粗さ(Ra)値から、プラズマ処理していない元の状態と比較して、プラズマ処理したPIフィルムの表面粗さは明らかに増加し、処理時間の増加に伴って増加していることがわかる。プラズマの処理時間は10秒以上であり、平均粗さは40%〜65%増加した。PIフィルムの表面粗さの上昇は、銅膜のスパッタリングメッキ/無電解メッキにおける結合力の増加に非常に有利である。表2は、3種の厚さのPIフィルムを様々な時間でプラズマ処理した後に、スパッタリングメッキした銅膜の剥離強度の測定値である。測定結果から、PIフィルムの厚さは処理の効果に影響を及ぼさないことがわかる。プラズマ処理していないPIフィルムは、銅膜がメッキされない。プラズマ処理すると、メッキした銅膜およびPIの結合力は良好であり、剥離強度は>8.0N/cmで、業界の標準(7.5N/cm)より高い。プラズマ処理時間が20秒より長いと、効果は良好であるが、すでに低下した傾向があるため、好ましいプラズマ処理時間は5〜20秒である。表3は、様々な銅膜の厚さにおける剥離強度の測定値である。プラズマ処理時間は10秒であり、スパッタリングによりメッキしてから電気メッキで厚くする。該技術により作製したフレキシブル基板の銅膜の厚さが、結合力に影響を及ぼさないことを結果は示している。
【0036】
表1.ポリイミドフィルム(PIフィルム)をプラズマ処理した後の表面粗さ
【0037】
【表1】
【0038】
表2.ポリイミドフィルム(PIフィルム)を様々な時間でプラズマ処理した後、スパッタリングメッキした銅膜の剥離強度
【0039】
【表2】
【0040】
表3.様々な銅膜の厚さにおける剥離強度
【0041】
【表3】
【0042】
実施例2
実施例1の工程(1)と同じである。
【0043】
実施例1の工程(2)と同じである。
【0044】
(3)プラズマ処理したポリイミドフィルムに直接無電解メッキ(無電解銅メッキ)を行う。ポリイミドフィルムはアルカリ耐性ではないため、希酸に安定である。通常の無電解銅メッキ工程における無電解メッキ液のpH値は、12.5〜13であるが、無電解メッキ液がポリイミドフィルムを損傷させて、無電解銅メッキ膜の剥離強度が低下するのを防止するため、pH値が低い無電解メッキ液を調製する必要があり、例えばpH値は5前後である。次の電気メッキで厚くする工程のとき、電解液がポリイミドフィルムを損傷させないようにするため、無電解メッキによる銅膜の緻密性を高くする必要があり、好ましくは無電解メッキによる銅膜の厚さは50〜100nmである。
【0045】
(4)実施例1の工程(4)と同じである。
【0046】
表4は、ポリイミドフィルム(PIフィルム)のプラズマ処理を10秒行った後、無電解銅メッキを行い、さらに電気メッキにより厚くした後、測定した銅膜およびPIフィルムの剥離強度である。実施例2で作製したフレキシブル基板の品質は、実施例1に匹敵するが、製造コストはさらに低下する。
【0047】
表4.無電解銅メッキおよび電気メッキにより厚くした銅膜の剥離強度
【0048】
【表4】
【0049】
実施例3
本実施例における工程(2)のプラズマ放電ガスは、脱イオン水で希釈したパラジウム液(パラジウム液:脱イオン水≧1:7)にバブリングした窒素ガスであり、さらにプラズマ放電処理を10〜30秒行う。パラジウム液は、パラジウム濃度が4000mg/リットルの硫酸パラジウム溶液である。これ以外は実施例1と同じである。
【0050】
実施例4
本実施例における工程(2)のプラズマ放電ガスは、脱イオン水で希釈した塩化ニッケル溶液(塩化ニッケル:脱イオン水≧1:5)にバブリングした窒素ガスであり、さらにプラズマ放電処理を10〜30秒行う。これ以外は実施例1と同じである。
【0051】
以上の記載は本発明の技術案の好ましい実施例に過ぎず、本発明の出願を制限するものではない。本技術案の実質的内容を基に行う修正、同等の置換および簡単な改良などはいずれも、本発明の保護範囲内に包含されるべきである。
【符号の説明】
【0052】
1 プラズマチャンバ
2 ポリイミドフィルム
3 巻出
4 巻取
5 正電極
6 負電極