特許第6704612号(P6704612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジテック株式会社の特許一覧

特許6704612エレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータ
<>
  • 特許6704612-エレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータ 図000002
  • 特許6704612-エレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータ 図000003
  • 特許6704612-エレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータ 図000004
  • 特許6704612-エレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータ 図000005
  • 特許6704612-エレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータ 図000006
  • 特許6704612-エレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータ 図000007
  • 特許6704612-エレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータ 図000008
  • 特許6704612-エレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータ 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704612
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】エレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/02 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   B66B7/02 E
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-237266(P2017-237266)
(22)【出願日】2017年12月11日
(65)【公開番号】特開2019-104575(P2019-104575A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195431
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 史樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊史
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−182289(JP,A)
【文献】 実開昭54−148809(JP,U)
【文献】 特開平04−118361(JP,A)
【文献】 実開平02−075320(JP,U)
【文献】 国際公開第2015/029182(WO,A1)
【文献】 特開昭63−097586(JP,A)
【文献】 特開2017−206334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/02
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内に上下方向に延設されるガイドレールを保持するエレベータ用ガイドレール保持装置であって、
前記ガイドレールを保持する複数のレールクリップと、
前記レールクリップを固定するレールブラケットと、
前記レールブラケットを固定する建物側ブラケットと、
前記レールブラケットと前記建物側ブラケットとを固定し、締結部材が挿入される中空部を有するスプリング部材と、を含み、
前記レールブラケットが、前記建物側ブラケットに固定されるため、前記締結部材を挿入するためのレールブラケット貫通孔を有し、
前記建物側ブラケットが、前記レールブラケットを固定するため、前記締結部材を挿入するための建物側ブラケット貫通孔を有し、
前記スプリング部材の平面視の直径が、前記レールブラケット貫通孔及び前記建物側ブラケット貫通孔の平面視の直径より長く、
前記レールブラケット貫通孔と前記建物側ブラケット貫通孔とに、前記スプリング部材が挿入され
前記スプリング部材の前記中空部に前記締結部材が挿入されるエレベータ用ガイドレール保持装置。
【請求項2】
前記レールブラケットは、前記レールブラケット貫通孔が設けられたレールブラケット取付部を有し、
前記建物側ブラケットは、前記建物側ブラケット貫通孔が設けられたブラケット側取付部を有し、
前記レールブラケット貫通孔と前記建物側ブラケット貫通孔とに挿入される前記スプリング部材は、前記レールブラケット取付部上面及び前記ブラケット側取付部下面の少なくともいずれか一方より突出する請求項1記載のエレベータ用ガイドレール保持装置。
【請求項3】
前記スプリング部材の中空部は縦方向に貫通し、横方向に溝部を有する請求項1又は2記載のエレベータ用ガイドレール保持装置。
【請求項4】
前記溝部が、側面視において直線状又は波状である請求項3記載のエレベータ用ガイドレール保持装置。
【請求項5】
請求項1乃至4記載のいずれか一項に記載のエレベータ用ガイドレール保持装置を備えるエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ用ガイドレールに係るガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エレベータのガイドレールは、主ロープによって上下動するかご又は釣合錘を、昇降路内において、上下方向に案内する。
【0003】
当該ガイドレールは、昇降路壁に上下方向に間隔をあけて列設状態で固定された複数のレールブラケット各々に、当該レールブラケットごとに設けられたレールクリップにより取り付けられている
【0004】
一般的にレールブラケットは、建物にアンカー又は溶接にて固定された建物側ブラケットに対して固定されている。
【0005】
そして、レールブラケットと建物側ブラケットは、振動・騒音防止のために、溶接して動かないように固定されている。
【0006】
特許文献1では、壁側金具に締結されたレール側金具のずれを防止するために、それぞれの部材が溶接して接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−133884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エレベータがガラス張りの構造にされる場合等、据え付けする際に火気厳禁で据え付け作業を行わなければならない場合がある。
【0009】
そのため、レールブラケットは、建物側ブラケットに対して溶接により固定することができないという問題がある。
【0010】
また、接着剤が用いられることも考えられるが、接着剤が用いられる場合、接着強度の問題、また、経年劣化による問題がある。
【0011】
また、レールブラケットと建物側ブラケットを一つの部材とすることも考えられるが、この場合、設置場所の位置ずれに対応し難いという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、火気を使用しなくてもレールブラケット等のガイドレール保持装置をしっかりと固定することである。
【0013】
本発明の他の目的は、レールブラケット等のガイドレール保持装置の建物側への固定に係る作業性を良好にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る第1の局面のガイドレール保持装置は、昇降路内に上下方向に延設されるガイドレールを保持するエレベータ用ガイドレール保持装置であって、
前記ガイドレールを保持する複数のレールクリップと、
前記レールクリップを固定するレールブラケットと、
前記レールブラケットを固定する建物側ブラケットと、
前記レールブラケットと前記建物側ブラケットとを固定するスプリング部材と、を含み、
前記レールブラケットが、前記建物側ブラケットに固定されるためのレールブラケット貫通孔を有し、
前記建物側ブラケットが、前記レールブラケットを固定するための建物側ブラケット貫通孔を有し、
前記レールブラケット貫通孔と前記建物側ブラケット貫通孔とに、前記スプリング部材が挿入されるエレベータ用ガイドレール保持装置である。
【0015】
このようなものであれば、スプリング部材の弾性機能によって、スプリング部材とレールブラケット貫通孔との間で隙間が生じにくく、また、スプリング部材と建物側ブラケット貫通孔との間でも隙間が生じにくい。
【0016】
したがって、レールブラケットと建物側ブラケットとの間でぐらつきが生じにくい。
【0017】
このようなものであれば、溶接をしなくてもしっかりとレールブラケットが建物側ブラケットに固定される。
【0018】
また、作業者は、レールブラケット貫通孔と建物側ブラケット貫通孔とにスプリング部材を挿入すればよく、作業が容易である。
【0019】
なお、「ブラケット」とは、取付用金具を表し、側面断面視が略L字形状に限定されず、どのような形状であってもよい。
【0020】
本発明に係る第2の局面のガイドレール保持装置は、第1の局面に係るガイドレール保持装置であって、前記スプリング部材は中空部を有し、
前記中空部に締結部材が挿入されるエレベータ用ガイドレール保持装置である。
【0021】
このようなものであれば、スプリング部材がレールブラケット貫通孔及び建物側ブラケット貫通孔から抜け落ちることがない。
【0022】
また、レールブラケットと建物側ブラケットとの上下方向のぐらつきが生じにくい。
【0023】
そのため、溶接をしなくてもしっかりとレールブラケットが建物側ブラケットに固定される。
【0024】
本発明に係る第3の局面のガイドレール保持装置は、第1の局面又は第2の局面に係るガイドレール保持装置であって、前記スプリング部材の中空部は縦方向に貫通し、横方向に溝部を有するエレベータ用ガイドレール保持装置である。
【0025】
スプリング部材がこのようなものであれば、溝部の幅分の弾性機能を有する。
【0026】
本発明に係る第4の局面のガイドレール保持装置は、第2の局面又は第3の局面に係るガイドレール保持装置であって、前記締結部材がボルトであるエレベータ用ガイドレール保持装置である。
【0027】
このようなものであれば、スプリング部材の中空部に締結部材であるボルトを挿入し、当該ボルトをナットで螺合することができる。
【0028】
したがって、ボルト及びナットでスプリング部材を固定しているため、スプリング部材がレールブラケット貫通孔及び建物側ブラケット貫通孔から抜け落ちにくい。
【0029】
したがって、レールブラケットと建物側ブラケットとの間でぐらつきが生じにくい。
【0030】
また、このようなものであれば、溶接をしなくてもしっかりとレールブラケットが建物側ブラケットに固定される。
【0031】
本発明に係る第5の局面のガイドレール保持装置は、第1の局面乃至第4の局面に係るエレベータ用ガイドレール保持装置を備えるエレベータである。
【0032】
このようなエレベータであれば、火気を使用することができないところであってもレールブラケット等のガイドレール保持装置を設置することができる。なお、火気が使用できるところで本発明が用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施形態に係るエレベータの斜視図。
図2】本実施形態に係るエレベータの側面視概略図。
図3】本実施形態に係るエレベータ用ガイドレールが取り付けられた構造の部分斜視図。
図4】本実施形態に係るエレベータ用ガイドレールが取り付けられた構造の部分斜視図。
図5】同エレベータ用ガイドレールが取り付けられた構造のxy平面の平面図。
図6】同エレベータ用ガイドレールが取り付けられた構造のA−Aの部分断面図。
図7】本実施形態に係るスプリング部材の斜視図。
図8】第2実施形態に係るスプリング部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係るエレベータ用ガイドレール保持装置及びこれを備えるエレベータの実施形態に関して図面を参照しながら説明する。
【0035】
(エレベータ100)
図1及び図2に示すように、エレベータ100において、昇降路下部には巻上機200が設置されている。
【0036】
巻上機200の駆動シーブ210に巻き掛けられた主ロープ220の一端部は、かご230に取り付けられている第1かごシーブ232及び第2かごシーブ233を経由して昇降路内に固定されている。
【0037】
また、主ロープ220の他端部には釣合い錘240に取り付けられている釣合い錘シーブ241を経由して昇降路内に固定されている。
【0038】
巻上機200のモータ(図示しない)によって駆動シーブ210が回転駆動されると、これに伴って主ロープ220が走行する。そして、これに伴って第1かごシーブ232及び第2かごシーブ233が取り付けられているかご230が、かごガイドレール300aに案内されて昇降路内を昇降する。
【0039】
同様に、主ロープ220の走行に伴って、釣合い錘シーブ241が取り付けられている釣合い錘240が、釣合い錘ガイドレール300bに案内されて昇降路内を昇降する。
【0040】
主ロープ220の走行の向きは、第1シーブ211及び第2シーブ212によって変化する。
【0041】
エレベータ100には、かご230の昇降速度が所定速度を超過したことを機械的に検知する調速機400が設けられている。調速機400のガバナシーブ410とガバナシーブ410の下方に位置するテンションシーブ500との間には、無端状のガバナロープ600が巻き掛けられている。
【0042】
ガバナロープ600は、テンションシーブ500により主ロープ220と平行に緊張した状態で張架されている。このガバナロープ600の一部は、かご230側に備えた非常止め装置231を作動させる非常止めレバー250に固定されている。
【0043】
このため、ガバナロープ600は、かご230の昇降に同期してかご230と同速度で走行する。このとき、ガバナロープ600の走行速度と同速度で回転させられるガバナシーブ410の回転速度を調速機400が検出することで、昇降中のかご230の速度超過が検知される。
【0044】
かご230の昇降速度が定格速度(所定速度)の大きさを超える第1の速度になると、主ロープ220の巻上機200を構成するモータ(図示しない)にブレーキがかけられる。
【0045】
モータ(図示しない)にブレーキがかかってもかご230が停止しない場合、第1の速度を超える所定の第2の速度になると、ガバナシーブ410のトリップレバー(図示しない)による可動掴み(図示しない)の支持が解除され、可動掴みによってガバナロープ600の走行が停止する。
【0046】
そして、ガバナロープ600に固定されている非常止めレバー250がガバナロープ600に引っ張られる格好で、相対的に引き上げられる。その結果、非常止め装置231が作動する。
【0047】
非常止め装置231が作動することによっても、かご230が停止しない場合、かご230は、下方に配置されているオイルバッファ700である第1オイルバッファ700aに衝突する。第1オイルバッファ700aは、かご230の衝撃を吸収して、かご230を停止させる。
【0048】
釣合い錘240の下方にもオイルバッファ700である第2オイルバッファ700bが配置されている。第2オイルバッファ700bは、釣合い錘240が落下した場合、釣合い錘240の落下による衝撃を吸収して、釣合い錘240を停止させる。
【0049】
(ガイドレール300)
本実施形態では、かごガイドレール300aと釣合い錘ガイドレール300bとは構成が同じであるため、以後「ガイドレール300」として説明する。
【0050】
図3に示すように、ガイドレール300は、複数のガイドレール部材310を連結して構成される。ガイドレール部材310aとガイドレール部材310bとは、連結部材(図示しない)によって連結される。他のガイドレール部材310も同様である。
【0051】
ガイドレール部材310の上端部は、凸部が形成されており、ガイドレール部材310の下端部は、凹部が形成されている。そして、ガイドレール部材310aの凹部に、ガイドレール部材310bの凸部が嵌め込まれる。その状態で、連結部材(図示しない)により、ガイドレール部材310aとガイドレール部材310bとが連結される。
【0052】
連結部材(図示しない)とガイドレール部材310とは、ボルト(図示しない)により固定される。他のガイドレール部材310と連結部材(図示しない)とも同様にボルト(図示しない)により固定される。
【0053】
ガイドレール部材310は、平面視略T字形状であり、レール部311と、後述するレール保持装置320に保持される被保持部312と、を含む。レール部311には、かご230に取り付けられているガイドローラユニット(図示しない)が嵌められる。
【0054】
ガイドレール300は、複数のレールブラケット330及びレールクリップ340によって昇降路内に取付けられる。具体的には、ガイドレール部材310の被保持部312がガイドレール保持装置320に保持されることにより、ガイドレール300は昇降路内に取り付けられる。
【0055】
つまり、ガイドレール部材310の被保持部312が、レールブラケット330及びレールクリップ340に保持されることにより、ガイドレール300は、昇降路内に取付けられる。
【0056】
(ガイドレール保持装置320)
<第1実施形態>
ガイドレール保持装置320は、ガイドレール300を保持するレールブラケット330及びレールクリップ340と、
レールブラケット330を固定する建物側ブラケット350と、を含む。
【0057】
図3乃至図5に示すように、レールブラケット330及びレールクリップ340は、ガイドレール300を保持する。
【0058】
そして、レールブラケット330は、建物側ブラケット350に取り付けられている。そして、建物側ブラケット350は、昇降路内に固定されている。
【0059】
具体的には、本実施形態では、ガイドレール300(ガイドレール部材310)は、レールブラケット330とレールクリップ340により挟持されて保持される。
【0060】
つまり、レールクリップ340は、ガイドレール300をレールブラケット330に対してy軸正方向側に押し付けて保持する。
【0061】
なお、レールクリップ340のみでガイドレール300を保持するような構成であってもよい。
【0062】
レールブラケット330は、本実施形態ではyz平面視略L字状の部材であり、z軸方向に延伸するレールクリップ取付部331と、
y軸方向に延伸し、建物側ブラケット350に取り付けられるレールブラケット取付部332と、を含む。
【0063】
レールクリップ取付部331には、貫通孔である第1貫通孔331aと、第1貫通孔331aよりx軸負方向側に配置されている貫通孔である第2貫通孔331bと、が設けられている。
【0064】
レールブラケット取付部332には、レールブラケット貫通孔である第1レールブラケット貫通孔332aと、第1レールブラケット貫通孔332aよりx軸負方向側に配置されているレールブラケット貫通孔である第2レールブラケット貫通孔(図示しない)と、が設けられている。
【0065】
レールクリップ340は、第1レールクリップ341と、第1レールクリップ341よりx軸負方向側に配置される第2レールクリップ342と、が含まれる。
【0066】
なお、第2レールクリップ342は、第1レールクリップ341と同様の構成であるため省略又は簡略して説明する。
【0067】
第1レールクリップ341は、ボルトである第1ボルト343を通すための貫通孔(図示しない)が設けられている。
【0068】
第1ボルト343は、第1レールクリップ341の貫通孔(図示しない)と、レールクリップ取付部331の貫通孔(図示しない)とに通され、第1ナット345によって螺合される。
【0069】
第2レールクリップ342も第1レールクリップ341と同様に、ボルトである第2ボルト344を通すための貫通孔(図示しない)が設けられている。
【0070】
第2ボルト344は、第2レールクリップ342の貫通孔(図示しない)と、レールクリップ取付部331の貫通孔(図示しない)とに通され、第2ナット346によって螺合される。
【0071】
建物側ブラケット350は、本実施形態ではyz平面視略L字状の部材であり、y軸方向に延伸し、レールブラケット330が取り付けられる
【0072】
建物側ブラケット350は、レールブラケット330が取り付けられるブラケット側取付部351と、
昇降路内の壁面側に取り付ける建物側取付部352と、を含む。
【0073】
ブラケット側取付部351には、建物側ブラケット貫通孔である第1建物側ブラケット貫通孔351aと、第1建物側ブラケット貫通孔351aよりx軸負方向側に配置されている建物側ブラケット貫通孔である第2建物側ブラケット貫通孔(図示しない)と、が設けられている。
【0074】
建物側取付部352には、貫通孔である第3貫通孔352aと、第3貫通孔352aよりx軸負方向側に配置されている貫通孔である第4貫通孔352bと、が設けられている。
【0075】
レールブラケット330のレールブラケット取付部332に設けられている第1レールブラケット貫通孔332aと、建物側ブラケット350のブラケット側取付部351の第1建物側ブラケット貫通孔351aとには、スプリング部材である第1スプリング部材361aが挿入される。
【0076】
同様に、レールブラケット330のレールブラケット取付部332に設けられている第2レールブラケット貫通孔(図示しない)と、建物側ブラケット350のブラケット側取付部351の第2建物側ブラケット貫通孔(図示しない)とには、スプリング部材である第2スプリング部材(図示しない)が挿入される。
【0077】
建物側ブラケット350の建物側取付部352の第3貫通孔352a及び第4貫通孔352bには、アンカーボルトが挿入され、建物側ブラケット350が昇降路内に固定されている。
【0078】
(ブラケット固定部360)
ブラケット固定部360は、レールブラケット取付部332の第1レールブラケット貫通孔332a、及び、建物側ブラケット350の第1建物側ブラケット貫通孔351aに挿入されるスプリング部材である第1スプリング部材361aと、
第1スプリング部材361a内に挿入される締結部材である第3ボルト364と、
第3ボルト364に螺合されるナットである第3ナット366と、を含む。
【0079】
また、ブラケット固定部360は、レールブラケット取付部332の第2レールブラケット貫通孔(図示しない)、及び、建物側ブラケット350の第2建物側ブラケット貫通孔(図示しない)に挿入されるスプリング部材である第2スプリング部材(図示しない)と、
第2スプリング部材(図示しない)内に挿入されるボルトである第4ボルト365と、
第4ボルト365に螺合されるナットである第4ナット(図示しない)と、を含む。
【0080】
第1スプリング部材361aと第2スプリング部材(図示しない)は、構成が同じであるため、以後必要な場合を除き「スプリング部材361」として説明する。
【0081】
図7に示すように、スプリング部材361は、z軸方向に延伸し、xy平面視で略C字状の形状である。スプリング部材361の例としては、スプリングピンが挙げられる。
【0082】
スプリング部材361は、xy平面視において略中央部がz軸方向に貫通している中空部362と、
中空部362がx軸方向に開口している溝部363と、を含む。
【0083】
スプリング部材361のz軸方向に延伸する溝部363は、yz平面視において、直線状、波状等どのような形状であってもよい。
【0084】
このような形状により、スプリング部材361は、xy平面において弾性機能を有する。
【0085】
スプリング部材361のxy平面視の直径は、第1レールブラケット貫通孔332a、第2レールブラケット貫通孔(図示しない)、第1建物側ブラケット貫通孔351a及び第2建物側ブラケット貫通孔(図示しない)の直径より若干長くなっている。
【0086】
スプリング部材361が貫通孔に挿入されると、スプリング部材361と貫通孔の内壁とが密着する。
【0087】
したがって、第1スプリング部材361aが第1レールブラケット貫通孔332a及び第1建物側ブラケット貫通孔351aに挿入され、第2スプリング部材(図示しない)が第2レールブラケット貫通孔(図示しない)及び第2建物側ブラケット貫通孔(図示しない)に挿入されることにより、レールブラケット330が、建物側ブラケット350に対して、xy平面方向に動きにくくなる。
【0088】
これにより、レールブラケット330が建物側ブラケット350に対して溶接されなくても、レールブラケット330が振動しにくい。また、振動による騒音も生じにくい。
【0089】
本実施形態では、スプリング部材361の中空部362に締結部材であるボルトが挿入され、ナットで固定されている。
【0090】
具体的には、第1レールブラケット貫通孔332a及び第1建物側ブラケット貫通孔351aに挿入された第1スプリング部材361aの中空部362である第1中空部362aには、ボルト(締結部材)である第3ボルト364が挿入されている。
【0091】
第3ボルト364には、ナットである第3ナット366が螺合されている。なお、第3ボルト364とレールブラケット330との間には、ワッシャー等が嵌められている。
【0092】
また、第3ナット366と建物側ブラケット350との間にもワッシャー等が嵌められている。
【0093】
同様に、第2レールブラケット貫通孔(図示しない)及び第2建物側ブラケット貫通孔(図示しない)に挿入された第2スプリング部材(図示しない)の中空部362である第2中空部(図示しない)には、締結部材である第4ボルト365が挿入されている。
【0094】
第4ボルト365には、ナットである第4ナット(図示しない)が螺合されている。なお、第4ボルト365とレールブラケットとの間には、ワッシャー等が嵌められている。
【0095】
また、第4ナット(図示しない)と建物側ブラケット350との間にも、ワッシャー等が嵌められている。
【0096】
スプリング部材361の中空部362にボルトが挿入され、ナットで固定されることにより、スプリング部材361が、レールブラケット330及び建物側ブラケット350にしっかりと固定される。
【0097】
したがって、レールブラケット330は、建物側ブラケット350に対してz軸方向に動きにくくなる。
【0098】
これにより、レールブラケット330を建物側ブラケット350に対して溶接しなくても、レールブラケット330が振動しにくい。また、振動による騒音も生じにくい。
【0099】
<第2実施形態>
第2実施形態は、スプリング部材361の溝部363とは異なる形状の溝部367を表している。第1実施形態と同様の構成については、省略又は簡略して説明する。
【0100】
図8に示すように、スプリング部材361は、第1実施形態と同様に、xy平面視において略中央部がz軸方向に貫通している中空部362と、
中空部362がx軸方向に開口している溝部367と、を含む。
【0101】
溝部367の形状はyz平面視において波形である。このような形状であっても、スプリング部材361は、xy平面において弾性機能を有する。
【0102】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。
【符号の説明】
【0103】
100…エレベータ
230…かご
240…釣合錘
300…ガイドレール
300a…第1ガイドレール
300b…第2ガイドレール
310…ガイドレール部材
311…レール部
312…被保持部
320…ガイドレール保持装置
330…レールブラケット
331…レールクリップ取付部
332…レールブラケット取付部
332a…第1レールブラケット貫通孔(レールブラケット貫通孔)
340…レールクリップ
350…建物側ブラケット
351…ブラケット側取付部
351a…第1建物側ブラケット貫通孔(建物側ブラケット貫通孔)
352…建物側取付部
360…ブラケット固定部
361a…第1スプリング部材(スプリング部材)
362…中空部
363…溝部
364…第3ボルト(ボルト、締結部材)
365…第4ボルト(ボルト、締結部材)
366…第3ナット(ナット)


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8