特許第6704619号(P6704619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704619シート排出装置、画像形成システムおよびシート後処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704619
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】シート排出装置、画像形成システムおよびシート後処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/30 20060101AFI20200525BHJP
   B65H 29/58 20060101ALI20200525BHJP
   B65H 31/24 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B65H31/30
   B65H29/58 B
   B65H31/24
【請求項の数】6
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2015-251971(P2015-251971)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-114626(P2017-114626A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(72)【発明者】
【氏名】松木 悟
【審査官】 五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−204270(JP,A)
【文献】 特開2004−026481(JP,A)
【文献】 特開2006−256728(JP,A)
【文献】 特開2012−001370(JP,A)
【文献】 特開2015−105170(JP,A)
【文献】 特開2012−082069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00
B65H 29/00
B65H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載するための第1のトレイと、
前記第1のトレイ上にシート束を形成するシート束形成手段と、
を備え、
前記シート束形成手段は、
前記第1のトレイ上に、1束目のシート束を形成すると共に、当該1束目のシート束の上で且つ当該1束目のシート束とオフセットした状態で積載された2束目のシート束を形成し、
前記第1のトレイ上に前記1束目のシート束と前記2束目のシート束とを形成する際に、それぞれのシート束で複数回に小分けして前記シート束を構成するシートを分割排出し、
前記1束目のシート束の1回目に分割排出するシートの小分け枚数を、前記2束目のシート束の1回目分割排出するシートの小分け枚数より少なくする
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記シート束形成手段は、
搬送されてきたシートの枚数が予め定められた小分け枚数となるまでシートを一時的に保持するバッファ部と、
前記バッファ部に保持されたシートを前記第1のトレイに排出する排出機構とを有することを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
シートを搬送するための搬送パスをさらに備え、
前記バッファ部は、前記搬送パスを介して搬送されてきたシートを一時的に積載するための第2のトレイであることを特徴とする請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
シートを搬送するための搬送パスをさらに備え、
前記バッファ部は前記搬送パスから分岐するように形成された分岐パスであることを特徴とする請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項5】
シートを搬送するための搬送パスをさらに備え、
前記バッファ部は前記搬送パスを介して搬送されてきたシートを一時的に積載するための第2のトレイであり、
前記排出機構は、前記搬送パスを介して搬送されてきた前記1束目のシート束の最初のシートを前記1回目に分割排出されるシートとして前記第1のトレイに排出し、前記第2のトレイに一時的に積載されたシートを前記2回目以降に分割排出されるシートとして前記第1のトレイに排出する
ことを特徴とする請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項6】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段で画像が形成されたシートを積載するための第1のトレイと、
前記第1のトレイ上にシート束を形成するシート束形成手段と、
を備え、
前記シート束形成手段は、
前記第1のトレイ上に、1束目のシート束を形成すると共に、当該1束目のシート束の上で且つ当該1束目のシート束とオフセットした状態で積載された2束目のシート束を形成し、
前記第1のトレイ上に前記1束目のシート束と前記2束目のシート束とを形成する際に、それぞれのシート束で複数回に小分けして前記シート束を構成するシートを分割排出し、
前記1束目のシート束の1回目に分割排出するシートの小分け枚数を、前記2束目のシート束の1回目に分割排出するシートの小分け枚数より少なくする
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート排出装置、画像形成システムおよびシート後処理装置に係り、特に、シートを積載するための第1のトレイとこの第1のトレイ上にシート束を形成するシート束形成手段とを備えたシート排出装置、シートに画像を形成する画像形成手段と該シート搬出装置とを備えた画像形成システム、並びに、シートを一時的に積載するための処理トレイとこの処理トレイ上にシート束を形成するシート束形成手段とを備えたシート後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成システムの分野では、スタックトレイ(排出トレイ)上にシート束を形成するシート排出装置やシート後処理装置(フィニッシャ)が広く知られている。この種の装置では、シートに綴じ処理を行わずにスタックトレイ上にシート束を形成する際に、シート束同士をオフセットして積載するジョグ仕分け(ソートともいう。)がなされる場合がある。
【0003】
このようなジョグ仕分けモードでは、スタックトレイ上に1枚ずつ排出されるシートに対し、シート束毎にスタックトレイ全体をシート搬送方向と交差する方向に移動させていた。しかしながら、ジョグ仕分けモードにおいて、スタックトレイ全体を移動させるためには高トルクのモータが必要となる。
【0004】
このため、例えば、特許文献1には、スタックトレイ上にシート束を形成する際に、処理トレイを用いて複数回に小分けしてシート束を構成するシートを分割排出する技術が開示されている。具体的には、例えば、原稿が14枚の場合に、5枚、5枚、4枚に小分けして分割排出している。この技術は、スタックトレイ上に積載されるシート束の整合性を高めるとともに、スタックトレイ全体を移動させるような高トルクモータを必要としない点で優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3051685号(段落「0081」、「0082」参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、シート束を構成するシートを処理トレイからスタックトレイに小分けにして分割排出する場合でも、小分けしたシートの枚数が多いと(上記例に則すれば5枚)、小分けした1回目のシートのうちスタックトレイに接触する最下シートにズレが生じる場合がある。
【0007】
この現象はシートとスタックトレイ表面の摩擦係数の差によって生じ、小分けしたシート枚数が多くなるほどシートの自重で摩擦が大きくなり、季節やシート排出装置等の設置環境も影響する。また、シートの種類が変わり摩擦係数が変わった場合に、1つのジョブ(例えば、ジョグ仕分けにより所定原稿枚数によるコピー束を複数部スタックトレイ上形成する処理)でスタックトレイ上に最初に排出されるシート束のうち最下シートについても同様の現象が生じると考えられる。さらに、スタックトレイに限らず装置内部に配された処理トレイでも同様の問題が生じる。
【0008】
本発明は上記事案に鑑み、トレイ上の最下シートにズレを生じないシート排出装置、画像形成システムおよびシート後処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、シート排出装置であって、シートを積載するための第1のトレイと、前記第1のトレイ上にシート束を形成するシート束形成手段と、を備え、前記シート束形成手段は、前記第1のトレイ上に、1束目のシート束を形成すると共に、当該1束目のシート束の上で且つ当該1束目のシート束とオフセットした状態で積載された2束目のシート束を形成し、前記第1のトレイ上に前記1束目のシート束と前記2束目のシート束とを形成する際に、それぞれのシート束で複数回に小分けして前記シート束を構成するシートを分割排出し、前記1束目のシート束の1回目に分割排出するシートの小分け枚数を、前記2束目のシート束の1回目分割排出するシートの小分け枚数より少なくする、ことを特徴とする。
【0010】
第1の態様において、シート束形成手段は、搬送されてきたシートの枚数が予め定められた小分け枚数となるまでシートを一時的に保持するバッファ部と、バッファ部に保持されたシートを第1のトレイに排出する排出機構とを有していてもよい。この態様では、シートを搬送するための搬送パスをさらに備え、例えば次の3つの形態を採ることができる。
【0011】
すなわち、(1)バッファ部を、搬送パスを介して搬送されてきたシートを一時的に積載するための第2のトレイとする形態、(2)バッファ部を、搬送パスから分岐するように形成された分岐パスとする形態、(3)バッファ部を、搬送パスを介して搬送されてきたシートを一時的に積載するための第2のトレイとし、排出機構は、搬送パスを介して搬送されてきた最初のシートを1回目に分割排出されるシートとして第1のトレイに排出し、第2のトレイに一時的に積載されたシートを2回目以降に分割排出されるシートとして第1のトレイに排出する形態。なお、上記(2)の形態において、排出機構は、分岐パスに一時的に保持されたシートを、分岐パスに搬送されてきたシートの搬送方向とは逆方向にスイッチバック搬送して第1のトレイに排出するか、または、分岐パスに搬送されてきたシートの搬送方向とは逆方向にスイッチバック搬送し搬送パスを介して第1のトレイに排出するようにしてもよい。
【0012】
また、第1の態様において、シート束形成手段は、第1のトレイ上に1つのジョブのうちの1束目のシート束を形成する際に、複数回に小分けしてシート束を構成するシートを分割排出するようにしてもよい。
【0013】
さらに、第1の態様において、第1のトレイ上のシートの有無を検出する検出手段を備え、シート束形成手段は、前記検出手段が前記第1のトレイ上にシートがないことを検出した後に排出する1束目のシート束を形成する際に、複数回に小分けして前記シート束を構成するシートを分割排出し、前記1束目の1回目に分割排出されるシートの小分け枚数が、2束目の最初に排出されるシート束の枚数より少なくなるように分割排出するようにしてもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、画像形成システムであって、シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段で画像が形成されたシートを積載するための第1のトレイと、前記第1のトレイ上にシート束を形成するシート束形成手段と、を備え、前記シート束形成手段は、前記第1のトレイ上に1束目のシート束を形成する際に、複数回に小分けして前記シート束を構成するシートを分割排出し、1束目の1回目に分割排出されるシートの小分け枚数が2束目の最初に排出されるシート束の枚数より少ない、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シート束形成手段が第1のトレイ上に1束目のシート束を形成する際に、複数回に小分けしてシート束を構成するシートを分割排出し、その際、1束目の1回目に分割排出されるシートの小分け枚数が、2束目の最初に排出されるシート束の枚数より少なくするので、1回目に分割排出される小分けシートの最下シートにズレが生じない、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が適用可能な第1実施形態の画像形成システムの正面図である。
図2】第1実施形態の画像形成システムを構成するシート後処理装置の正面図である。
図3】シート後処理装置の要部拡大正面図である。
図4】シート後処理装置のシート搬送路を模式的に示す説明図である。
図5】第1および第2フラッパガイドの動作説明図であり、(A)は第1および第2フラッパガイドの定常状態、(B)は第1フラッパガイドが定常状態から時計廻りに回動した状態、(C)は第2フラッパガイドが定常状態から時計廻りに回動した状態を示す。
図6】処理トレイ、側縁整合部材およびシートの関係を示す説明図である。
図7】ステープラユニットの移動機構の斜視図である。
図8】ステープラユニットの説明図である。
図9】排出機構の説明図であり、(A)は処理トレイに積載されたシート束の状態、(B)は第1トレイに向けてシート束を排出中の状態、(C)は第1トレイにシート束を排出する直前の状態を示す。
図10】画像形成システムの制御部のブロック図である。
図11】第1トレイ上にジョグ仕分けされたシート束が積載された状態を模式的に示す説明図である。
図12】第1実施形態において後処理制御部のMCUが実行するジョグ仕分け処理ルーチンのフローチャートである。
図13】第1実施形態において第1トレイ上に1束目のシート束を形成する場合に1回目の小分けシートが分割排出される際の排出機構の動作説明図であり、(A)は排出直前の状態、(B)は排出中の状態、(C)は排出が完了した状態を示す。
図14】第1実施形態において第1トレイ上に1束目のシート束を形成する場合に2回目の小分けシートが分割排出される際の排出機構の動作説明図であり、(A)は排出直前の状態、(B)は排出中の状態、(C)は排出が終了した状態を示す。
図15】第2実施形態の画像形成システムを構成するシート後処理装置のシフト機構を示す斜視図である。
図16】第2実施形態において第1トレイ上に1束目のシート束を形成する際の小分け処理での動作状態説明図の一部であり、(A)はその1、(B)はその2、(C)はその3を示す。
図17】第2実施形態において第1トレイ上に1束目のシート束を形成する際の小分け処理での動作状態説明図の一部であり、(A)はその4、(B)はその5、(C)はその6を示す。
図18】第2実施形態において第1トレイ上に1束目のシート束を形成する際の小分け処理での動作状態説明図の一部であり、(A)はその4と同じ動作状態、(B)はその7、(C)はその8を示す。
図19】第3実施形態において第1トレイ上に1束目のシート束を形成する際の1回目の小分けシートの排出動作の説明図であり、(A)はその1、(B)はその2、(C)はその3を示す。
図20】第3実施形態において第1トレイ上に1束目のシート束を形成する際の2回目以降の小分けシートの排出動作の説明図であり、(A)はその1、(B)はその2、(C)はその3を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明が適用可能な画像形成システムの第1の実施の形態について説明する。なお、本実施形態の画像形成システムは、シートに画像を形成する画像形成装置Aと、画像が形成されたシートに後処理を施すシート後処理装置Bとで構成されている。
【0018】
<構成>
[画像形成装置]
1.機構部
図1に示すように、画像形成装置Aは、画像形成ユニットA1とスキャナユニットA2とフィーダユニットA3とで構成されている。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1に設置面(例えば床面)に設置するための据付脚25が設けられており、装置ハウジング1内に給紙部2と画像形成部3と排紙部4とが内蔵されている。なお、図1に示す画像形成ユニットA1は静電印刷機構を採用したものである。
【0019】
給紙部2は、複数サイズのシートを収容するカセット2a〜2cで構成され、指定されたサイズのシートを給紙経路6に繰り出す。このため、装置ハウジング1にはカセット2a〜2cが着脱可能に配置され、各カセットには内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出すピックアップローラが内蔵されている。給紙経路6には、カセット2a〜2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラ7と、経路端部に各シートを先端揃えするレジストローラ対8が設けられている。
【0020】
なお、給紙経路6には大容量カセット2dと手差しトレイ2eが連結されており、大容量カセット2dはオプションユニットとして大量に消費するサイズのシートを収容するように構成され、手差しトレイ2eは分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシート等の特殊シートが供給可能に構成されている。
【0021】
画像形成部3は、ドラムやベルト等の感光体9と、感光体9に画像データに従ってビームを照射する発光器10と、現像器11(ディベロッパ)と、クリーナ(不図示)とが感光体9の周囲に配置されている。図示のものはモノクロ印刷機構を示し、感光体9に発光器10で光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーインクを付着する。
【0022】
そして、感光体9への画像形成タイミングに合わせて給紙経路6からシートを画像形成部3に送り転写チャージャ12でシート上に画像を転写し、排紙経路14に配置されている定着ユニット(ローラ)13で定着する。排紙経路14には排紙ローラ15と排紙口16とが配置されており、後述するシート後処理装置Bにシートを搬送する。
【0023】
スキャナユニットA2は、原稿を載置するためのプラテン17と、プラテン17に沿って往復動するキャリッジ18と、キャリッジ18に搭載された光源と、プラテン17上の原稿からの反射光を光電変換部19に案内する縮小光学系20(ミラー、レンズの組み合わせ)と、走行プラテン20とで構成されている。光電変換部19は光電変換した画像データを制御部のメモリ(図10、符号96参照)に出力する。なお、走行プラテン20はフィーダユニットA3でシートが搬送される場合に用いられ、フィーダユニットA3で搬送中のシートの画像を、所定の読取位置に位置付けられたキャリッジ18と縮小光学系20を介して光電変換部19で読み取る。
【0024】
フィーダユニットA3は給紙トレイ22と、給紙トレイ22から送り出したシートを走行プラテン21に案内する給紙経路23と、走行プラテン21を介して読み取られた原稿を収容する排紙トレイ24で構成されている。
【0025】
また、画像形成装置Aは、画像形成装置Aの状態等を表示するとともに、オペレータが所望するシートサイズ、給紙すべき給紙カセット、部数等の指定(入力)が可能なタッチパネル(不図示)を有している。なお、画像形成ユニットA1は、上述の静電印刷機構に限らず、オフセット印刷機構、インクジェット印刷機構、インクリボン転写印刷機構(熱転写リボン印刷、昇華型リボン印刷など)等の印刷機構も採用可能である。
【0026】
2.制御部
さらに、画像形成装置Aは、画像形成装置Aの全体を制御するとともに、シート後処理装置Bの制御部と通信する制御部(以下、シート後処理装置Bの制御部と区別するため本体制御部という。)を備えている。
【0027】
図10に示すように、本体制御部90は、CPU、ROM、RAM等を内蔵するMCU91を有している。MCU91は、画像形成部3の動作を制御する画像形成制御部92と、給紙部2の動作を制御する給紙制御部93と、上述したタッチパネルを制御するタッチパネル制御部94に接続されている。
【0028】
また、MCU91は、給紙経路6、排紙経路14およびシートの両面に画像を形成するために給紙経路6と排紙経路14との間を結ぶデュープレックス経路等に配された複数のセンサに接続されている。さらに、MCU91は、LAN接続を可能とする通信制御部95、バッファとして機能する大容量メモリ96や、不図示のインターフェースを介して上述したスキャナユニットA2やフィーダユニットA3にも接続されている。
【0029】
[シート後処理装置]
1.機構部
図1および図2に示すように、シート後処理装置Bは、装置ハウジング27に設置面に設置するための据付脚が設けられており、上流側に位置する画像形成装置Aと略同一の高さ寸法を有している。また、シート後処理装置Bの搬入口26は画像形成装置Aの排紙口16に連結される位置に形成されている。
【0030】
図2に示すように、シート後処理装置Bは、上から順に、装置ハウジング27から突出するように設けられた第3スタックトレイ(以下、第3トレイと略称する。)71、第1スタックトレイ(以下、第1トレイと略称する。)49、第2スタックトレイ(以下、第2トレイと略称する。)61を有している。なお、第1トレイ49には、発光素子と受光素子で構成され第1トレイ49上のシートの有無を検出する反射型の第4センサS4が内蔵されている。
【0031】
(1)シート搬送路
シート後処理装置Bは、装置ハウジング27内を略水平方向に横断する直線状のシート搬入経路28を有している。シート搬入経路28はシート搬送路の基幹経路をなしている。シート搬入経路28には、一側端に上述した搬入口26が、他側端に排紙口35が形成されている。
【0032】
図4は、シート搬送路を模式的に示したものである。図4ではシート搬入経路28を太線で示している。搬入口26の近傍には、シートをシート後処理装置B内に搬入するための搬入ローラ29が配置されており、排紙口35の上流側には正逆転可能な排紙ローラ36が配置されている。
【0033】
シート搬入経路28は搬入ローラ29の下流側に第1分岐点D1を有しており、この第1分岐点D1を始点としてシート搬入経路28から分岐した第3搬送パス30が形成されている。第3搬送パス30はその終点に排紙口72を有しており、この排紙口72を介してシートが第3トレイ71上に排出される。さらに、シート搬入経路28は第1分岐点D1の下流側に第2分岐点D2を有しており、この第2分岐点D2を始点としてシート搬入経路28から分岐した第2搬送パス32が形成されている。
【0034】
また、シート搬入経路28の排紙口35の延長線上には、シート搬入経路28を搬送されてきたシートを第1トレイ49側にさらに搬送するための第1搬送パス31が形成されている。上述したように排紙ローラ36は正逆転可能なため、排紙ローラ36を正転駆動させることで第1搬送パス31を介してシートを第1トレイ49側に搬送したり、排紙ローラ36を逆転駆動させることでシートをスイッチバック搬送してシート後端を上述したシート搬入経路28の第2分岐点D2に向けて逆搬送することが可能である。さらに、第1搬送パス31は装置ハウジング27のトレイ側端部に相当する位置に第3分岐点D3を有しており、この分岐点D3を始点として第1搬送パス31から分岐し斜めに傾斜した第2スイッチバックパス31bが形成されている。
【0035】
図4では、第1および第2スイッチバックパス31a、31bを顕在化するために、第1トレイ49に向けてシートを搬送する経路を第1搬送パス31、シートをスイッチバック搬送する経路を第1スイッチバックパス31a、第3分岐点D3を介してシートをスイッチバック搬送する経路を第2スイッチバックパス31bとして示しているが(図3等でも同じ。)、第1スイッチバックパス31aの一部はシート搬入経路28と重複し、第2スイッチバックパス31bは第1搬送パス31と一体の経路である。なお、上述した第2分岐点D2は第1スイッチバックパス31aのパス端に設けられている。
【0036】
上記のように、シート搬入経路28および第1搬送パス31を略水平方向に配置し、第3搬送パス30および第2搬送パス32を概ね鉛直方向に配置することによって、装置のスリム化が可能となる。
【0037】
上述したシート搬入経路28および第1〜第3搬送パス30、31、32には、それぞれの経路に沿って種々の部材が配置されている。以下、それらの部材を経路毎に説明する。
【0038】
(2)シート搬入経路28
図3に示すように、シート搬入経路28には、搬入口26の下流側に、発光素子と受光素子とを有する透過型の第1センサS1が配置されている。第1センサS1と搬入ローラ29の間には、図示しないパンチモータを駆動させることで搬入されたシートの後端部にパンチ穴を穿孔するパンチユニット50が配置されている。
【0039】
パンチユニット50はその下部にラック(不図示)を有している。このラックに噛合するピニオン(不図示)を不図示のユニット移動モータで回転させることで、パンチユニット50はシート搬送路28と直交する方向に移動可能に構成されており、シートサイズに応じた適正位置での穿孔処理が行われる。なお、パンチ穴の位置精度を高めるために、シートの側端縁をセンサで検出して穿孔位置を割り出した後に穿孔処理するようにしてもよい。シート搬入経路28を挟むパンチユニット50の下方には、パンチユニット50による穿孔処理で生じたパンチくずを受けるくず箱51が装置ハウジング27に着脱可能に装着されている。
【0040】
上述した第1分岐点D1、第2分岐点D2には、それぞれ第1フラッパガイド(以下、第1フラッパと略称する。)33、第2フラッパガイド(以下、第2フラッパと略称する。)34が配置されている。第1、第2フラッパ33、34は、支持軸を中心にその先端部が回動してシート搬送方向を変更(選択)可能な構成で、それぞれの支持軸は進退可能なプランジャを有する電磁ソレノイドに連結されている。なお、第1、第2フラッパ33、34の回動源としてミニモータを用いるようにしてもよい。
【0041】
図5(A)は、第1、第2フラッパ33、34を駆動する電磁ソレノイドがともに通電されない定常状態(オフ状態)を示したものである。この状態では、シートはシート搬入経路28を排紙口35に向けて搬送される。一方、図5(B)に示すように、第1フラッパ33を駆動する電磁ソレノイドに通電されると(オン状態)、第1フラッパ33は時計廻りに回動する。これにより、シートはシート搬送経路28から第3搬送パス30に案内される。このとき、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドはオフ状態のままである。また、図5(C)に示すように、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドに通電されると(オン状態)、第2フラッパ34は時計廻りに回動する。これにより、シートは第1スイッチバックパス31a(シート搬送経路28)から第2搬送パス32に案内される。このとき、第1フラッパ33を駆動する電磁ソレノイドはオフ状態のままである。
【0042】
図3に示すように、第2フラッパ34の下流側には発光素子と受光素子とを有する透過型の第2センサS2が配置されており、第2センサS2の下流側に上述した排紙ローラ36が配置されている。
【0043】
なお、上述した搬入ローラ29は駆動ローラ(図3の上側)とこの駆動ローラに圧接する従動ローラ(図3の下側)で構成されており、駆動ローラにはギアを介して不図示の第1搬送モータ(ステッピングモータ)の回転駆動力が伝達される。また、排紙ローラ36は駆動ローラ対36a、36bで構成されており、駆動ローラ対36a、36bにはギアを介して正逆転可能な不図示の第2搬送モータ(ステッピングモータ)の回転駆動力が伝達される。
【0044】
(3)第1搬送パス31(および第2スイッチバックパス31b)
図3に示すように、上述した第3分岐点D3には、従動ローラ48と正逆転可能な昇降ローラ41とが配置されている。昇降ローラ41は従動ローラ48に圧接する作動位置と離間した待機位置との間で上下動可能に構成されている。昇降ローラ41は、シートがシート搬送経路28、第1スイッチバックパス31a(図4に示す矢印31aも参照)を搬送されるときは待機位置に位置付けられ、シートが第1トレイ49に排出される際や第2スイッチバックパス31b(図4に示す矢印31bも参照)を搬送されるときは作動位置に位置付けられる。なお、昇降ローラ41および従動ローラ48は第2スイッチバックパス31b上でのシート搬送やシート束の逆搬送を行う機能も有するが、この点については後述する(項目(3−1)、(3−4)参照)。
【0045】
第2スイッチバックパス31bにはシートを一時的に積載するための処理トレイ37が配置されている。処理トレイ37はシート搬送経路28(搬送第1搬送パス31)を介して搬送されてきたシートを、第1トレイ49に排出する前に一時的に保持するバッファとして機能する。処理トレイ37の一側(下流側)にはシート束に綴じ処理を施すステープラユニット47が配置されている。上述したように第2スイッチバックパス31bは傾斜しているため、この第2スイッチバックパス31bに配された処理トレイ37、ステープラユニット47も傾斜して配置されている。この結果、シート搬入経路28の排紙口35と処理トレイ37との間には段差(落差)が形成されている。
【0046】
なお、処理トレイ37は、下流側の第1トレイ49との間で排紙口35を介して送られたシートをブリッジ支持する。換言すれば、排紙口35から送られたシートは、その先端部を下流側の第1トレイ49上にまたは第1トレイ49の最上シートの上に、後端部を処理トレイ37上に跨って支持される。
【0047】
(3−1)シート搬入機構
排紙口35と処理トレイ37との間に段差が形成されていることから、第1搬送パス31(および第2スイッチバックパス31b)には、シートを処理トレイ37に搬入するためのシート搬入機構が設けられている。
【0048】
シート搬入機構は、上述したように作動位置で従動ローラ48に圧接して第2スイッチバックパス31b上でシートを処理トレイ37(規制部材38)側に搬送する昇降ローラ41、シートを第2スイッチバックパス31b方向に移送するように回転するパドル回転体42、シートを処理トレイ37側に案内するシートガイド部材44、シートの上面を押さえるシート押さえ部材45、シートを処理トレイ37側に搬送する掻き込み回転体46で構成されている。
【0049】
また、装置フレームに軸支された回転軸36x(排紙ローラ36aのローラ軸)を中心に揺動可能に構成された揺動ブラケット43が設けられており、この揺動ブラケット43に昇降ローラ41とパドル回転体42の回転軸が軸支されている。揺動ブラケット43には図示しない昇降モータの駆動力が伝達されることで、揺動ブラケット43に取り付けられた昇降ローラ41とパドル回転体42とが上述した待機位置と作動位置との間で上下動する。
【0050】
昇降ローラ41とパドル回転体42には上述した不図示の第2搬送モータからの駆動力が伝達され、昇降ローラ41は正逆転し、パドル回転体42は逆転する。すなわち、昇降ローラ41は作動位置において従動ローラ48と圧接して逆転でシートを処理トレイ37側に搬送し、パドル回転体42は逆転でシートを第2スイッチバックパス31b方向に移送する。また、昇降ローラ41は作動位置において従動ローラ48と圧接して正転でシート束を処理トレイ37側から第1トレイ49に逆搬送するが、この点については後述する(項目(3−4)参照)。
【0051】
シートガイド部材44は昇降ローラ41と掻き込み回転体46との間に配置されている。また、シートガイド部材44は図3に示す退避位置(点線位置)とガイド位置(実線位置)との間上下動し、排紙口35からシートが搬出されるときには退避位置に位置し、シート後端が排紙口35を通過した後にシート後端を処理トレイ37上に案内する。このため、シートガイド部材44は不図示の第2搬送モータを駆動源とする図示しない駆動機構に連結されており、排紙口35から処理トレイ37上にシート後端を案内するタイミングに応じて上下動する。
【0052】
シート押さえ部材45は板状部材で、掻き込み回転体46(本実施形態では図3の正面側および背面側に2つ配置されている。)の一側に(正面側の掻き込み回転体46では正面側に、背面側の掻き込み回転体では背面側に)それぞれその先端側が位置付けられるように配設されており、排紙ローラ36bのローラ軸に自重により揺動可能に取り付けられている。つまり、シート押さえ部材45は図3の奥行き方向で位相がずれるようにその先端側が掻き込み回転体46の両側に位置付けられている。このため、シート押さえ部材45は処理トレイ37上のシート積載枚数が多くなるにつれて反時計廻り方向に回動する。なお、掻き込み回転体46にも上述した不図示の第2搬送モータからの駆動力が伝達される。
【0053】
(3−2)整合機構
図6に示すように、処理トレイ37には、搬送されてきたシートを整合する整合機構が配置されている。整合機構は、シート後端(第2スイッチバックパス31b搬送方向先端)を突き当て規制する規制部材38と、シート側縁を押圧して基準(例えばセンタ基準)位置に整合する側縁整合部材39とで構成されている。
【0054】
図3および図6に示すように、規制部材38はシート後端を突き当て規制する断面略コ字状のストッパ片で構成されている。規制部材38は後述するように処理トレイ37(第2スイッチバックパス31b)に沿って往復動可能に構成されており(項目(3−4)参照)、整合機構の一部として機能する場合にはホームポジション(図3図6に示す位置)に位置付けられる。このため、規制部材38がホームポジションに位置付けられているかを検出するリミットセンサ(不図示)が配置されている。
【0055】
一方、側縁整合部材39は、図6に示すように、処理トレイ37に搬送されてきたシートの幅方向(シート搬送方向と直交する方向)を挟む両側(図6の左右)に互いに対向するように配置された一対のフロント整合部材39F(装置正面側)、リア整合部材39R(装置背面側)で構成されている(以下、両者を総称する場合は整合部材という。)。
【0056】
整合部材39F、39Rは処理トレイ37の紙載面37a(図3参照)から上方に突出した板状部材であり、シートの側縁に当接する規制面39xを有している。整合部材39F、39Rは、センタ基準で搬送されてきたシートを整合する場合に、シートサイズに応じて予め定められた待機位置とシートを押圧して整合する整合位置との間で往復動する。これにより、待機位置よりシート側縁から離れたホームポジションと整合位置との間で往復動させるより移動距離が短くなり、整合処理時間を短縮することができる。
【0057】
また、シート束をオフセットする場合に、奇数束目(例えば、1束目)のシート束を処理トレイ37上で形成するときは、上述したように、処理トレイ37に搬送されてくるシートを1枚毎に整合部材39F、39Rを待機位置から整合位置に移動させることでセンタ基準のシート束を形成し、偶数束目(例えば、2束目)のシート束を処理トレイ37上で形成するときは、上述した整合位置を左右いずれかに予め定められた所定距離ずつシフトさせて処理トレイ37に搬送されてくるシートを1枚毎に整合部材39F、39Rを待機位置からシフトさせた整合位置に移動させることでシート束を形成する。この例は一例で、種々のシフト方法が知られており、そのようなシフト方法を用いてもよい。また、サイド基準で整合してもよく、シート束をオフセットする場合に、奇数束目のシート束をセンタ基準で整合し、偶数束目のシート束をサイド基準で整合するようにしてもよい。
【0058】
整合部材39F、39Rは、規制面39xが互いに接近方向または離間方向に移動するように処理トレイ37に支持されている。すなわち、処理トレイ37には表裏を貫通するスリット溝(不図示)が形成されており、このスリット溝を介して整合部材39F、39Rが摺動可能に構成されている。
【0059】
また、整合部材39F、39Rは処理トレイ37の背面側で複数のガイドコロ80(レール部材であってもよい。)で摺動可能に支持され、ラック81が一体形成されている。左右のラック81にはピニオン82を介して整合モータM1、M2が連結されている。整合モータM1、M2は正逆転可能なステッピングモータで構成され、図示しないポジションセンサで整合部材39F、39Rをそれぞれ位置検出し、その検出値を基準に各整合部材を左右いずれの方向にも、指定された移動量で位置移動できるように構成されている。
【0060】
なお、図示のラック−ピニオン機構によることなく、整合部材39F、39Rをタイミングベルトに固定し、このベルトを左右往復動させるモータにプーリで連結する構成を採用するようにしてもよい。
【0061】
(3−3)ステープラユニット
図3に示すように、処理トレイ37の一側には、整合機構で整合されたシート束に対しシート束の後端部側をステープル処理するステープラユニット47が配置されている。ステープラユニット47は処理トレイ37の紙載面37aの後端部に沿って移動可能に構成されている。
【0062】
図3に示すように、装置フレーム27aには、走行レール53と走行カム54とが形成されている。一方、ステープラユニット47には、走行レール53と係合する第1転動コロ83と、走行カム54と係合する第2転動コロ84が設けられている。また、ステープラユニット47は、装置フレーム27aのサポート(支持)面と係合するボール状の滑動コロ85を有している(図3の正面側および背面側の2箇所)。さらに、ステープラユニット47は装置フレーム27aの底面と係合するガイドコロ86を有しており、装置フレーム27aからのステープラユニット47の浮上を防止している。
【0063】
このため、ステープラユニット47は、装置フレーム27aに滑動コロ85とガイドコロ86で移動可能に支持され、第1転動コロ83が走行レール53、第2転動コロ84が走行カム54に沿って回転しながら走行レール53と走行カム54に沿って移動可能である。
【0064】
図7はステープラユニット47の移動機構を示したものである。ステープラユニット47は、ギアプーリ58a、58b間に張架されたタイミングベルト59に固着しており、正逆転可能な駆動モータM3の駆動力がギアプーリ58aに伝達されることで、処理トレイ37の紙載面37aの後端部に沿って往復動する。
【0065】
図8に示すように、ステープラユニット47はシート後処理装置Bとは別にユニット構成されている。すなわち、ステープラユニット47は、ボックス形状のユニットフレーム47aを有しており、ユニットフレーム47aに揺動可能に軸支持されたドライブカム47dと、ドライブカム47dを回動させる駆動モータM4とがユニットフレーム47aに配設されている。
【0066】
ステープラヘッド47bとアンビル部材47cは対向配置されており、ステープラヘッド47bは付勢スプリング(不図示)により上方の待機位置から下方のステープル位置(アンビル部材)に向けて上下動するように構成されている。また、ユニットフレーム47aには針カートリッジ52が着脱可能に装着されている。
【0067】
シート束に綴じ処理を行う場合には、駆動モータM4でドライブカム47dを回動させ、付勢スプリングに蓄勢する。回転角度が所定角度に達するとステープラヘッド47bは勢いよくアンビル部材47c側に向けて下降する。この動作でステープル針はコ字状に折り曲げられた後にシート束に刺入される。そしてその先端はアンビル部材47cで折り曲げられシート束が綴じ処理される。
【0068】
なお、上記では綴じ処理にステープラユニット47を例示したが、ステープラユニット47に代えて針を用いないエコ綴じユニットを用いるようにしてもよく、ステープラユニット47とエコ綴じユニットの両方を用いるようにしてもよい。このような詳細は、例えば、特開2015−124084号公報に開示されている。また、同公報には、左コーナ綴じ、右コーナ綴じ、マルチ綴じ等を行う際の走行レール53や走行カム54の詳細も開示されている。
【0069】
(3−4)排出機構
また、処理トレイ37には、積載されたシート束(整合機構で整合されたシート束またはその後ステープラユニット47で綴じ処理されたシート束)を第1トレイ49に排出する排出機構が配置されている。排出機構は、処理トレイ37に積載されたシート束を押し出すように移送するコンベア部と、シート束をニップして搬出するローラ部とで構成されている。
【0070】
上述したシート搬入機構がシートを1枚ずつ第2スイッチバックパス31bに沿って処理トレイ37に搬送するのに対し、この排出機構は処理トレイ37に積載されたシート束を第2スイッチバックパス31bに沿って図4に示す矢印31bとは逆方向に搬送するものである。
【0071】
図9に示すように、コンベア部は、処理トレイ37に沿って上流側に位置する整合位置(綴じ位置)から下流の第1トレイ49側に移送するための規制部材38と、規制部材38を移動させるコンベアベルト38vと、コンベアベルト38vを駆動させる正逆転可能な駆動モータM5(ステッピングモータ)とで構成されている。なお、規制部材38はコンベアベルト38に固着している。また、ローラ部は、従動ローラ48と、作動位置に位置付けられ従動ローラ48と圧接する昇降ローラ41とで構成されている。
【0072】
図9(A)は、処理トレイ37に積載されたシート束(整合機構で整合されたシート束またはその後ステープラユニット47で綴じ処理されたシート束)の状態を示している。このとき、コンベア部を駆動させる駆動モータM5は停止しており、ローラ部の昇降ローラ41は待機位置に位置付けられている。排出機構により処理トレイ37に積載されたシート束を第1トレイ49に排出する際は、図示しない昇降モータの駆動力で昇降ローラ41を従動ローラ48と圧接する作動位置に位置付け、不図示の第2搬送モータの駆動力で昇降ローラ41を正転駆動させるとともに、駆動モータM5を正転駆動させる。
【0073】
図9(B)は、第1トレイ49に向けてシート束を排出中の状態を示し、シート束が規制部材38の位置移動と、ローラ部(昇降ローラ41、従動ローラ48)の回転で下流側に搬送される状態を示している。なお、規制部材38は上述した2つの掻き込み回転体46の間を移動する。また、図9(C)は、第1トレイ49にシート束を排出する直前の状態を示し、シート束はローラ部の回転で下流側の第1トレイ49に徐々に(低速で)送られる。このとき、規制部材38は駆動モータM5の逆転駆動により、ホームポジションに位置付けられる。そして、第1トレイ49へのシート束の搬送(排出)が終了すると、昇降ローラ41は図示しない昇降モータの駆動力で待機位置に位置付けられる。
【0074】
(4)第2搬送パス32
図2および図3に示すように、第2搬送パス32には、上述した第2分岐点D1の近傍に搬送ローラ55が配置されており、搬送ローラ55の下流側に発光素子と受光素子とを有する透過型のセンサS3が配置されている。搬送ローラ55は駆動ローラ対で構成されており、駆動ローラ対にはギアを介して上述した不図示の第2搬送モータの回転駆動力が伝達される。図2に示すように、センサS3の下流側かつ第2搬送パス32の終点(パス端となる位置)には、不図示の第2搬送モータの回転駆動力で駆動する搬出ローラ62が配置されている。
【0075】
搬出ローラ62の下方には、第2搬送パス32を介して送られてきたシートを部揃え集積して、中央を綴じ処理して内折りする製本処理部60が配置されている。なお、以下では、製本処理部60によるこの処理を「マガジン仕上げ処理」と呼ぶこととする。
【0076】
製本処理部60は、シートを束状に集積するガイド部材66と、ガイド部材66上の所定位置にシートを位置決めする規制ストッパ67と、規制ストッパ67で位置決めされたシートの中央を綴じ処理する中綴じユニット63と、中綴じユニット63による綴じ処理後にシート束の中央を中心に折り合わせる折り処理機構(折りローラ64、折りブレード65)とで構成されている。製本処理部60を構成する各部材は概ね鉛直方向に配置されている。
【0077】
中綴じユニット63には、特開2008−184324号公報、特開2009−051644号公報等で開示されているように、ヘッドユニットとアンビルユニットとでシート束を挟んだ状態でシート中心線に沿って位置移動させて綴じ処理する構成が採用されている。
【0078】
また、折り処理機構には、図2に示すように、互いに圧接した折りローラ64に巻き込まれるシート束の折り目に折りブレード65を挿入して折りローラ64の転動で折り合わせる機構が採用されている。このような折り処理機構も特開2008−184324号公報、特開2009−051644号公報等に開示されている。
【0079】
本実施形態の折り処理機構について付言すれば、図2に示すように、折り位置Yには、シート束を折り合わせる折りローラ64と、折りローラ64のニップ位置にシート束を挿入する折りブレード65とが配置されている。折りローラ64は、シート束を折り曲げながら回転方向に移送するため、ゴムローラなどの比較的摩擦係数の大きい材料で形成された一対の駆動ローラで構成されている。折りローラ64はガイド部材66の湾曲または屈曲した突出側に位置しており、シート束を挟んで対向するナイフエッジを有した折りブレード65が進退可能に構成されている。
【0080】
なお、中綴じユニット63のヘッドユニットは図示しない中綴じモータで駆動し、折りローラ64は図示しない折りモータで駆動する。また、規制ストッパ67は不図示の移動モータの駆動力でシートサイズに応じた所定位置に位置付けられ、折りブレード65は図示しない折りモータの駆動力で進退する。
【0081】
折りローラ64の折りブレード65とは反対側には、製本処理部60でマガジン仕上げ処理されたシート束を排出する排出ローラ69が配置されている。排出ローラ69の回転駆動力も図示しない折りモータから供給される。装置ハウジング27には排出ローラ69の下流側に不図示の排紙口が形成されており、この排紙口を介してマガジン仕上げ処理されたシート束が第2トレイ61に排出される。なお、図2では、製本処理の頻度が比較的低いことから、第2トレイ61が折り畳まれ(第2トレイ61の先端側が上方に回動した状態)規制ストッパ67がホームポジションに位置した状態を示している。
【0082】
(5)第3搬送パス30
図2に示すように、第3搬送パス30には、その中間部に搬送ローラ77が配置されており、排紙口72の上流側に排紙ローラ78が配置されている。搬送ローラ77および排紙ローラ78は駆動ローラと従動ローラとで構成されており、その回転駆動力は上述した不図示の第1搬送モータから供給される。従って、第3搬送パス30はストレート排紙専用のシート搬送路である。
【0083】
2.制御部
さらに、シート後処理装置Bは、シート後処理装置Bの全体を制御する制御部(以下、本体制御部90と区別するため後処理制御部という。)を備えている。図10に示すように、後処理制御部97は、CPU、ROM、RAM等を内蔵するMCU98を有している。MCU98はアクチュエータ制御部99に接続されており、アクチュエータ制御部99は上述したモータや電磁ソレノイド等の各種アクチュエータに接続されている。また、MCU99は、S1〜S4等のセンサにも接続されている。
【0084】
なお、後処理制御部97のMCU98は本体制御部90のMCU91と通信し、MCU91から後処理モード情報、シートサイズ情報、ジョブ終了情報等のシート後処理装置Bでの制御処理に必要な情報を受け取る。
【0085】
<処理モードおよび特色>
次に、シート後処理装置Bの(後)処理モードおよび1ジョブの概念、並びに、シート後処理装置Bの特色について説明する。
【0086】
1.処理モードおよび1ジョブの概念
シート後処理装置Bは、a)穿孔処理モード、b)ジョグ仕分けモード、c)綴じ処理モード、d)製本処理モード、および、e)ストレート排紙モード(プリントアウトモードと呼ばれることもある。)の5つの処理モードを有している。
【0087】
これらの処理モードについて簡単に説明すると、a)穿孔処理モードはパンチユニット50でシート後端にパンチ穴を穿孔して第1トレイ49に排出するモードであり、b)ジョグ仕分けモードはステープラユニット47によるステープル処理を行わずにシート束毎にオフセットされた状態で第1トレイ47上にシート束を積載する処理であり、c)綴じ処理モードはステープラユニット47でシート束後端部をステープル処理して第1トレイ49に排出するモードであり、d)製本処理モードは製本処理部60でマガジン仕上げ処理して第2トレイ61に排出するモードであり、e)ストレート排紙モードはシート後処理装置Bに搬入されたシートをそのまま第3トレイ71に排出するモードである。なお、ジョグ仕分けモードおよび綴じ処理モードでは穿孔処理モードとの併用が可能である。
【0088】
図11は、第1トレイ49上にジョグ仕分けされたシート束が積載された状態を示したものである。図11では、第1トレイ49上に4つのシート束が、奇数束目のシート束と偶数束目のシート束とが互いにオフセットされた状態で積載された例を示している。
【0089】
これらのモードは、画像形成装置Aのタッチパネルを介して、または、LANに接続されたコンピュータを介して指定される。その際、上記いずれの処理モードにおいても、部数(シート束数)の指定がなされることがある。部数が指定される場合(1部を超える場合)には(とりわけ上記b)〜d)の処理モードでは)、1部を構成するシート枚数(コピーの場合は原稿枚数と同じ。)の情報が必要となる。
【0090】
1部を構成するシート枚数は一般にオペレータにより入力されることはないが、画像形成装置Aの本体制御部90は、MCU91がメモリ96に格納された画像データの数やLANを介してコンピュータから受信したヘッダ情報を参照することにより、その枚数を把握することができる。このため、本体制御部90は、指定された処理モードを表す情報(例えば、ジョグ仕分けモード)、並びに、その属性情報として部数および1部を構成するシート枚数の情報を後処理モード情報として後処理制御部97に報知する。なお、1部のみの場合には部数の指定がなされない場合が多く、また、1部のみの場合には後処理制御部97は1部を構成するシート枚数の情報も不要である。つまり、1部のみの場合には属性情報は不要である。逆にいえば、処理モードは指定されているが、属性情報がない(部数の指定がない)場合には1部とみなせばよい。また、ジョグ仕分けモードにおいて「部数」は「シート束数」を意味する。
【0091】
一方、上記a)、e)の処理モードでは、後処理制御部97は、画像形成装置Aから搬送されるシートを1枚ずつ処理すればよいため、上述した属性情報(部数、1部を構成するシート枚数)がなくても処理可能である。この場合には、後処理制御部97は、本体制御部90から画像形成装置A側でのジョブの終了を表すジョブ終了情報(図10参照)を受信することでシート後処理装置B側でのジョブ終了(画像形成システムでのジョブ完了)を把握することができる。
【0092】
以上により、シート後処理装置Bにおける1ジョブの概念も定まる。すなわち、上記b)〜d)の処理モードでは、指定された処理モードに従って指定された部数を処理することであり、上記a)、e)の処理モードでは指定された処理モードに従ってジョブ終了情報を受信した後の最後のシートまで処理することである。
【0093】
2.シート後処理装置Bの特色
シート後処理装置Bの特色は、第1トレイ49上に1束目のシート束を形成する際に、複数回に小分けしてシート束を構成するシートを分割排出する。その際、1束目の1回目に分割排出されるシートの小分け枚数が、2束目の1回目に分割排出されるシートの小分け枚数より少なくなるように分割排出することである。ただし、1束の枚数が後述する設定枚数よりも少ない場合、1束目は分割排出を行い、2束目以降は分割排出を行わずにシート束を排出する。この場合でも、1束目の1回目に分割排出されるシートの小分け枚数が、2束目に排出されるシート束の枚数よりも少なくなる(この場合は、2束目のシート小分け回数が1回となる)。なお、このように分割排出する理由は、1束目のシート束を構成するシートのうち、第1トレイ49の表面に直接接触する最下シートが第1トレイ49の表面とシートの摩擦係数の差によって他のシートとのズレが生じるおそれがあるため、そのズレを防止するためである。
【0094】
具体的には、後処理モード情報が例えば「ジョグ仕分けモード(部数:4部、1部を構成するシート枚数:12枚)」の場合に、第1トレイ49上で1束目のシート束を形成するときは、例えば、1枚−5枚−5枚−1枚、2枚−5枚−5枚、3枚−4枚−5枚、4枚−3枚−5枚、2枚−2枚−4枚−4枚等に分割して第1トレイ49に排出する。そして、2束目以降のシート束を形成するときは、例えば、5枚−5枚−2枚となるように分割して第1トレイ49に排出する。また、1束目が1枚―5枚―5枚―1枚の場合は、2束目以降が2枚―5枚―5枚としてもよい。なお、1部を構成するシート枚数が6枚の時に、1束目のシート束を、2枚―4枚、3枚―3枚、4枚―2枚と分割排出し、2束目を5枚―1枚や(1回で)6枚と排出するようにしてもよい。
【0095】
上記特色に従えば、第1トレイ49上で1束目のシート束を形成するときに1枚−11枚の2回で分割排出し、2束目〜4束目のシート束を形成するときに12枚を1回で排出するようにしてもよい。しかしながら、この態様では、装置の信頼性を確保するため、駆動源として高トルクのモータが必要となる。逆に、分割排出されるシートの小分け枚数の最大値が小さければ、適正コストの(低トルクの)モータを用いても信頼性を確保できる。このような観点から、本実施形態では、分割排出されるシートの小分け枚数の最大値を5枚に設定している(以下、「設定枚数」という。)。なお、この5枚は一例であり、本発明はこれに制限されるものではない。
【0096】
<動作>
次に、第1実施形態の画像形成システムの動作について本体制御部90のMCU91、後処理制御部97のMCU98を主体として説明する。なお、各構成部材の個別動作ついては既に述べたため、全体動作およびその制御を中心に説明する。
【0097】
[画像形成装置]
オペレータによりタッチパネル上のスタートボタンが押下されると、MCU91は、タッチパネル制御部94を介してタッチパネルから入力された情報を取り込み、スキャナユニットA2に原稿を読み取らせその画像データをメモリ96に出力させる。そして、後処理制御部97のMCU98に上述した後処理モード情報およびシートサイズ情報を送信する。
【0098】
次いで、MCU91は、給紙制御部93を介して、オペレータが所望する給紙カセットのピックアップローラを回転させてシートを繰り出すとともに、給紙経路6上の搬送ローラ7を駆動させる。これにより、繰り出されたシートは給紙経路6をレジストローラ対8に向けて搬送される。レジストローラ対8の上流側にはセンサ(不図示)が配置されており、このセンサで搬送されるシートの先端が検出された後、所定時間、レジストローラ対8を回転停止状態に維持する。これにより、シートの先端揃えが行われる。
【0099】
MCU91は、上記所定時間経過後、レジストローラ対8や他の搬送ローラを回転駆動させるとともに、画像形成制御部92を介して画像形成部3を構成する各部を作動させシートに画像を形成して排紙経路14を経て排紙口16から排出させる。そして、画像形成装置A側での処理が終了すると、MCU98に上述したジョブ終了情報を送信する。なお、MCU91は画像形成部3の動作に先立って、オペレータの指定に従ってフィーダユニットA3やスキャナユニットA2を作動させて原稿の画像データを取得し(メモリ96に格納し)、取得した画像データに従って画像形成部3がシートに画像を形成するように画像形成制御部92を制御する。
【0100】
[シート後処理装置]
1.処理モード把握
一方、MCU98は、MCU91から後処理モード情報、シートサイズ情報を受信するまで待機し、これらの情報を受信すると、(後)処理モードが上述したa)〜e)のいずれであるか(複数の場合もある。)を把握し、オペレータから指示された後処理を実行する。
【0101】
すなわち、後処理モード情報を参照して、ジョグ仕分けモードか否かを判断し、肯定判断のときは後述するジョグ仕分け処理を行い、否定判断のときは綴じ処理モードか否かを判断する。この判断が肯定のときは後述する綴じ処理を行い、否定のときは穿孔処理モードか否かを判断する。肯定判断のときは後述する穿孔処理を行い、否定判断のときは製本処理モードか否かを判断する。この判断が肯定のときは後述する製本処理を行う。一方、ストレート排紙モードの場合はオペレータがそのような(ストレート排紙モードである旨の)指定をしないことが多いため、この判断が否定のときはストレート排紙モードが指定されたものとみなして後述するストレート排紙処理を行う。
【0102】
2.ジョグ仕分け処理
(1)小分け枚数決定
MCU98は、ジョグ仕分け処理(図12参照)において、まず、後処理モード情報の属性情報(部数、1部を構成するシート枚数)を参照して第1トレイ49上に分割排出するための小分け枚数を決定する小分け枚数決定処理を実行する(S102)。なお、上述した設定枚数(5)の情報は予めMCU98のROMに格納されておりRAMに展開されているものとして説明する。
【0103】
MCU98は、最初に、1束目のシート束を構成する1回目の小分け枚数を決定する。すなわち、属性情報の(1部を構成するシート枚数:X)が設定枚数(5)以上か否かを判断し、肯定判断のときは1束目のシート束を構成する1回目の小分け枚数を2(枚)とする。なお、この1回目の小分け枚数は設定枚数(5)未満であれば任意に設定可能であるが、ここでは具体的に説明するために2(枚)を例示した。
【0104】
次に、1束目のシート束を構成する2回目の小分け枚数を決定する。MCU98は、前回の残りの枚数を算出し(X−2)、この前回の残りの枚数(X−2)が設定枚数(5)を超えるか否かを判断する。肯定判断のときは2回目の小分け枚数を設定枚数(5)とし、否定判断のときは2回目の小分け枚数を前回の残りの枚数(X−2)とする。また、肯定判断のときは同様に3回目以降の小分け枚数も決定する。
【0105】
一方、1束目のシート束を構成する1回目の小分け枚数を決定する際の判断が否定のときは(属性情報の(1部を構成するシート枚数:X)が設定枚数(5)未満)、1束目のシート束を構成する1回目の小分け枚数を1(枚)とする。この場合には、1束目のシート束を構成する2回目の小分け枚数は(X−1)となり、小分け回数を2回として第1トレイ49に排出して1束目のシート束を形成することとなる。
【0106】
上述の例に則して属性情報が(1部を構成するシート枚数:12)の場合には、1束目のシート束を構成する1回目の小分け枚数は2(枚)、2回目の小分け枚数は5(枚)、3回目の小分け枚数は5(枚)となる。従って、小分け回数を3回として2枚−5枚−5枚を第1トレイ49に排出して1束目のシート束を形成することとなる。
【0107】
次に、MCU98は、2束目以降のシート束を構成する1回目の小分け枚数を決定する。1束目のシート束を構成する1回目の小分け枚数を決定する際の判断が肯定のときは(属性情報の(1部を構成するシート枚数:X)が設定枚数(5)以上)、2束目以降のシート束を構成する1回目の小分け枚数を設定枚数(5)とする。次いで、2束目以降のシート束を構成する2回目の小分け枚数を決定する。MCU98は、前回の残りの枚数を算出し(X−2)、この前回の残りの枚数(X−2)が設定枚数(5)を超えるか否かを判断する。肯定判断のときは2回目の小分け枚数を設定枚数(5)とし、否定判断のときは2回目の小分け枚数を前回の残りの枚数(X−2)とする。また、肯定判断のときは同様に3回目以降の小分け枚数も決定する。
【0108】
一方、1束目のシート束を構成する1回目の小分け枚数を決定する際の判断が否定のときは(属性情報の(1部を構成するシート枚数:X)が設定枚数(5)未満)、2束目以降のシート束を構成する1回目の小分け枚数を属性情報の(1部を構成するシート枚数:X)とする。従って、この場合には2束目以降は小分け回数が1回となる。
【0109】
上述の例に則して、属性情報が(1部を構成するシート枚数:12)の場合には、2束目以降のシート束を構成する1回目の小分け枚数は5(枚)、2回目の小分け枚数は5(枚)、3回目の小分け枚数は2(枚)となる。従って、小分け回数を3回として5枚−5枚−2枚を第1トレイ49に排出して2束目以降のシート束を形成することとなる。
【0110】
(2)処理部数判断
次いで、MCU98は、奇数束目の処理か否かを判断する(S104)。肯定判断のときは、1束目の処理か否かを判断する(S106)。このような判断は、後処理モード情報の属性情報(部数)を参照して、処理部数毎にカウンタでカウントすることにより行うことができる。これに代えてまたはこれとともに、(MCU91から後処理モード情報を受信した後に)第1トレイ49に内蔵された第4センサS4の出力を監視し、第1トレイ49上にシートがない場合に、1束目の処理と判断してもよい。つまりMCU98は、第4センサS4の出力によって第1トレイ49上にシートが無いと判断した後(直後)に形成するシート束については1束目の処理と判断し、1回目の小分け枚数を2枚(その後の小分け枚数の最大値よりも小さい値の枚数)とセットし、その次の束(2束目)の最初に排出するシート束の枚数を上記2枚よりも多い枚数にセットする。両者を併用する際には、(MCU91から後処理モード情報を受信した後に)第1トレイ49に内蔵された第4センサS4の出力を監視し、第1トレイ49上にシートがある場合に、MCU91にその旨を報知するようにしてもよい。この報知を受けたMCU91はタッチパネル制御部94を介してその旨をタッチパネルに表示してもよい。
【0111】
(3)第1小分け処理
MCU98は、上記(2)処理部数判断において、1束目の処理と判断(S106で肯定判断)したときには、第1トレイ49上に1束目のシート束を形成する第1小分け処理を実行する(S108)。なお、以下の説明では、把握を容易にするために、上述の例に則して、3回に小分けして2枚−5枚−5枚を第1トレイ49に排出して1束目のシート束を形成する場合について説明する。
【0112】
(3−1)搬送・積載処理
MCU98は、アクチュエータ制御部99を介して不図示の第1搬送モータを駆動させる。これにより、搬入ローラ29は回転を開始する。このとき、第1、第2フラッパ33、34を回動させる電磁ソレノイドはオフ状態のままである(図5(A)参照)。なお、穿孔処理モードも併せて指定されている場合には(上記1.処理モード把握で把握済み)、MCU98はシートサイズ情報に従って、アクチュエータ制御部99を介して不図示のユニット移動モータを作動させパンチユニット50をシート搬送経路28と直交する所定位置に位置付け(パンチ処理の準備をし)、第1センサS1からの出力を監視する。
【0113】
第1センサS1がシート搬送経路28に搬入されたシートの先端を検出すると、MCU98はアクチュエータ制御部99を介して不図示の第2搬送モータを正転駆動させる。これにより、排紙ローラ36は正転を開始する。また、MCU98は第1センサS1がシート搬送経路28にシートが搬入されたことを検出する度に枚数をカウントする。
【0114】
MCU98は、穿孔処理モードが併せて指定されている場合には、第2センサS2がシート先端を検出するまで待機し、第2センサS2がシート先端を検出してからさらに所定ステップ数、不図示の第1、第2搬送モータを駆動させた後、不図示の第1、第2搬送モータの駆動を停止させる。これにより、シート搬送経路28を搬送中のシートは、排紙ローラ36および搬入ローラ29にニップされて停止した状態となる。このとき、シート先端は排紙口35を越えて第1搬送パス31上に位置している。
【0115】
MCU98はアクチュエータ制御部99を介して図示しないパンチモータを駆動させることでパンチユニット50にパンチ処理を行わせ、パンチ処理が終了すると、不図示の第1、第2搬送モータを駆動させシートをさらに下流側に搬送する。一方、穿孔処理モードが指定されていない場合には、第2センサS2がシート後端を検出した後も不図示の第1、第2搬送モータの駆動を停止させることなくシートをさらに下流側に搬送する。
【0116】
次に、第2センサS2がシート後端を検出すると、MCU98はシートサイズ情報に従って、アクチュエータ制御部99を介して整合モータM1、M2を駆動させ、整合部材39F、39Rをホームポジションまたは前回のジョブの際に位置付けられた待機位置から今回のジョブのシートサイズに応じた待機位置へ移動させる。そして、第2センサS2がシート後端を検出してからシートサイズに応じた所定ステップ数、不図示の第1、第2搬送モータをなおも駆動させた後、不図示の第2搬送モータの駆動を停止させる(不図示の第1搬送モータはパンチ処理がある場合を除いてジョブ終了まで駆動し続ける。)。このとき、シート後端は排紙ローラ36によるニップを離れて排紙口35から飛び出し、シート先端は第1トレイ49上に置かれた状態となる。
【0117】
次いで、MCU98は、不図示の第2搬送モータを逆転駆動させるとともに、図示しない昇降モータも逆転駆動させる。これにより、昇降ローラ41は待機位置から作動位置に移動して(パドル回転体42も同じ。)従動ローラ48に圧接した状態で逆転し、シートガイド部材44は図3に示した退避位置からガイド位置に移動する。これにより、シートはその先端側(第2スイッチバックパス31b後端側)を昇降ローラ41と従動ローラ48に挟まれ、その後端側(第2スイッチバックパス31b先端側)をシートガイド部材48でガイドされ第2スイッチバックパス31b上を規制部材38に向けて搬送される。その際、シート搬入機構を構成する他の部材(<構成>[シート後処理装置]1.機構部、項目(3−1)参照)も、シート先端が、第2スイッチバックパス31b上を規制部材38に向けて搬送されるように補助する。
【0118】
MCU98は、昇降ローラ41が従動ローラ48に圧接した時点(作動位置に位置した時点)から所定ステップ数、なおも不図示の第2搬送モータを逆転駆動させた後駆動を停止させる。これにより、シート後端がホームポジションに位置する規制部材38に突き当たり、シートは処理トレイ37に搬入される。次いで、図示しない昇降モータを正転駆動させて昇降ローラ41を作動位置から待機位置に移動させるとともに、不図示の第2搬送モータを正転駆動させてシートガイド部材44を図3に示した退避位置に移動させた後、両モータの駆動を停止させる。
【0119】
次に、MCU98は、整合モータM1、M2を駆動させ、整合部材39F、39Rを上述した待機位置からシートサイズに応じて予め定められた整合位置に移動させる。これにより、処理トレイ37上で後端が規制部材38に突き当て規制されたシートの側縁が整合部材39F、39Rの規制面39xで押圧されシートは例えばセンタ基準で整合される。MCU98は、整合機構によるシートの整合が終了すると、次のシートの整合に備え整合部材39F、39Rを待機位置に移動させる。
【0120】
以上の搬送・積載処理により、1束目のシート束を構成する1回目の小分けシート(2枚)のうちの1枚目のシートが処理トレイ37上に整合・積載される。次に、MCU98は、1束目のシート束を構成する1回目の小分けシートのうちの2枚目のシートを、以上と同様の搬送・積載処理により、処理トレイ37上に整合・積載させる。これにより、上述の例に則すれば、1回目の小分けシート(2枚)が処理トレイ37上に積載されたことになる。図13(A)はこの状態を示したものである。
【0121】
(3−2)排出処理
MCU98は、1回目の小分けシート(2枚)が処理トレイ37上に積載されると、図示しない昇降モータを逆転駆動させ昇降ローラ41を作動位置に位置付け、アクチュエータ制御部99を介して不図示の第2搬送モータおよび駆動モータM5をともに正転駆動させて、処理トレイ37上に積載された1回目の小分けシート(2枚)を、第1トレイ49に向けて(第2スイッチバックパス31bの逆方向に)排出する。図13(B)は第1トレイ49に向けて1回目の小分けシートを排出中の状態、図13(C)は第1トレイ49への1回目の小分けシートの排出が完了した状態を示したものである。
【0122】
上述したように、この小分けシートを第1トレイ49に排出中に、小分けシートの後端を押す規制部材38と、昇降ローラ41および従動ローラ48とは協働して第1トレイ49に向けて小分けシートを排出するが、規制部材38が小分けシートの後端を押すのは途中までであり、その後、規制部材38はホームポジションに戻され、昇降ローラ41および従動ローラ48が小分けシートを第1トレイ49に排出する(<構成>[シート後処理装置]1.機構部、項目(3−4)参照)。
【0123】
このため、MCU98は、ホームポジションから途中までに相当する所定ステップ数、駆動モータM5を正転駆動させた後、逆転駆動させ上述したリミットセンサの出力を参照して駆動モータM5を停止させる。これにより、規制部材38はホームポジションに位置付けられる。また、MCU98はシートサイズに応じた所定ステップ数、不図示の第2搬送モータを正転駆動させた後、駆動を停止させる。そして、第1トレイ49への1回目の小分けシート(2枚)の排出が完了した後に、図示しない昇降モータを逆転駆動させ、昇降ローラ41を待機位置に位置付ける。これにより、第1トレイ49上への1回目の小分けシート(2枚)の排出処理が終了する。なお、MCU98は、この時点で(小分けシートの排出処理が終了する度に)上述した小分け枚数決定処理(S102)で決定した小分け回数の処理が完了したかを判断し、否定判断のときは次の小分け回数の処理を実行し、肯定判断のときは第1小分け処理を終了する(S114に進む。)。
【0124】
次に、MCU98は、1束目のシート束を構成する2回目の小分けシートを、上述した搬送・積載処理および排出処理と同様に実行して、第1トレイ49に排出させる。上述した例に則すれば、2回目の小分けシートの枚数は5(枚)のため、搬送・積載処理では5枚のシートを処理トレイ37上に積載し、排出処理では処理トレイ37に積載された5枚のシートを第1トレイ49上の1回目の小分けシートの上に排出する。そして、MCU98は、1束目のシート束を構成する3回目の小分けシート(5枚)を、上述した搬送・積載処理および排出処理と同様に実行して、第1トレイ49に排出させる。
【0125】
図14(A)は1回目の小分けシート(2枚)が第1トレイ49に排出された後の2回目の小分けシート(5枚)が第1トレイ49に排出される直前の状態、図14(B)は2回目の小分けシート(5枚)を排出中の状態、図14(C)は2回目の小分けシート(5枚)の排出が終了した状態を示している。
【0126】
上述した例に則すれば、1束目のシート束を構成する3回目の小分けシートの第1トレイ49への排出完了により、MCU98が実行する第1小分け処理は終了する。続いて、MCU98は、次に処理すべきシート束(2束目のシート束)があるか否かを判断する(S114)。上述した例に則すれば、部数(シート束数)は4のため、肯定判断されることになる。MCU98は、肯定判断のときは、上述した部数判断処理に従って、奇数束目の処理か否かを判断する(S104)。今回は2束目の処理のため、否定判断されることになる。MCU98は、否定判断のときは、第1トレイ49上に偶数束目のシート束を形成する第2小分け処理を実行する(S110)。
【0127】
(4)第2小分け処理
上述した例に則すれば、偶数束目は(2束目以降は)3回に小分けして5枚−5枚−2枚とすることが上述した小分け枚数決定処理(S102)で決定済みである。第2小分け処理において、第1小分け処理との相違は、(A)5枚−5枚−2枚を第1トレイ49に排出してシート束を形成する点、(B)ジョグ仕分けのため処理トレイ37上で小分けシートを構成する各シートをシフトさせる点である。上記(A)については第1小分け処理での説明と重複するためその説明を省略し、上記(B)について説明する。
【0128】
第1小分け処理の搬送・積載処理で、MCU98は、整合モータM1、M2を駆動させ、整合部材39F、39Rを待機位置から整合位置に移動させてシートを例えばセンタ基準で整合させるのに対し、第2小分け処理の搬送・積載処理では、MCU98は、第1小分け処理の搬送・積載処理での整合位置を左右いずれかに予め定められた所定距離ずつシフトさせて(図11に示した例では図6の左側にシフトさせて)処理トレイ37に搬送されてくるシートを1枚毎に整合部材39F、39Rを待機位置からシフトさせた整合位置に移動させることで処理トレイ37上でシートを整合させる。
【0129】
MCU98は、第2小分け処理が終了すると、次に処理すべきシート束(3束目のシート束)があるか否かを判断し(S114)、肯定判断のときは、奇数束目の処理か否かを判断する(S104)。この判断が肯定のときは、1束目の処理か否かを判断する(S106)。上述した例に則すれば、3束目のシート束の処理のため、その判断は否定となる。MCU98は、否定判断のときは、第1トレイ49上に3束目のシート束を形成する第3小分け処理を実行する(S112)。
【0130】
(5)第3小分け処理
上述した例に則すれば、3束目(2束目以降)の処理は、3回に小分けして5枚−5枚−2枚とすることが上述した小分け枚数決定処理(S102)で決定済みである。第3小分け処理において、第1小分け処理との相違は、5枚−5枚−2枚を第1トレイ49に排出してシート束を形成する点のみであり、第1小分け処理での説明と重複するためその説明を省略する。
【0131】
MCU98は、第3小分け処理が終了すると、次に処理すべきシート束(4束目のシート束)があるか否かを判断し(S114)、肯定判断のときは、奇数束目の処理か否かを判断する(S104)。上述した例に則すれば、4束目(偶数束目)のシート束の処理のため、その判断は否定となる。MCU98は、第1トレイ49上に4束目のシート束を形成するために、上述した第2小分け処理を実行する(S110)。
【0132】
(6)終了処理
次いで、MCU98は、次に処理すべきシート束があるか否かを判断する(S114)。上述した例に則すれば、4束目のシート束までの処理は終了したので、その判断は否定となる。MCU98は、否定判断のときは、MCU91からジョブ終了情報を受信済みかを確認してモータ等のアクチュエータを停止させ(S116)ジョグ仕分け処理を終了する(ジョグ仕分け処理ルーチンを終了する。)。
【0133】
3.綴じ処理
綴じ処理と上述したジョグ仕分け処理とは、次の4点で相違する。
【0134】
(A)ジョグ仕分け処理の後処理モード情報が上述した例に則して「ジョグ仕分けモード(部数:4、1部を構成するシート枚数:12)」であるのに対し、綴じ処理の後処理モード情報は例えば「綴じ処理モード(部数:4、1部を構成するシート枚数:12、綴じ方法:2箇所綴じ)」と属性情報に「綴じ方法」が追加される。この「綴じ方法」もオペレータによって画像形成装置AのタッチパネルからまたはLANに接続されたコンピュータを介して入力される。「綴じ方法」には上述した特開2015−124084号公報にも開示されているように左コーナ綴じ、右コーナ綴じ、マルチ綴じ(上記「2箇所綴じ」を含む。)等種々の綴じ方法が知られており、シート後処理装置Bでもそのような綴じ処理も行うことができるが、以下では説明を簡単にするために「綴じ方法」として「2箇所綴じ」が指定されたものとして説明する。なお、オペレータが「綴じ方法」を指定(特定)しない場合もあり、その場合には例えば「2箇所綴じ」が指定されたものとみなすようにしてもよい。
【0135】
(B)ジョグ仕分け処理が1部(1シート束)を処理する際に上述した小分け処理を行うのに対し、綴じ処理ではそのような小分け処理は行われない。すなわち、搬送・積載処理(2.ジョグ仕分け処理、項目(3−1))において処理トレイ37上に1部を構成する全てのシート(上記例に則すれば12枚)が整合・積載され、排出処理(同項目(3−2))において1部を構成する全てのシートが第1トレイ49に一挙に排出される。
【0136】
(C)ジョグ仕分け処理が偶数束を構成する各シートを整合する場合に処理トレイ37上でシフトさせるのに対し、綴じ処理ではそのようなシフトは必要ではない(奇偶部を問わず1部を構成する全てのシートを例えばセンタ基準で整合してもよい。)。
【0137】
(D)ジョグ仕分け処理ではステープル処理が行われないのに対し、綴じ処理ではこのステープル処理が上述した搬送・積載処理と排出処理との間で行われる。
【0138】
以下では、相違点(A)〜(D)を中心に、MCU98がMCU91から上述した後処理モード情報(「綴じ処理モード(部数:4、1部を構成するシート枚数:12、綴じ方法:2箇所綴じ)」)を受信したものとして説明する。なお、シートサイズと「綴じ方法」とに対応した綴じ位置のテーブルがMCU98のROMに格納されておりRAMに展開されているものとする。
【0139】
MCU98は、属性情報の「1部を構成するシート枚数:12」を参照して、処理トレイ37上に1部目を構成するシートが12枚となるまで上述した搬送・積載処理を繰り返し、1部目を構成する全てのシートが処理トレイ37上に(例えばセンタ基準で)整合・積載されると、ステープラユニット47によるステープル処理を実行する。
【0140】
すなわち、MCU98は、上述したテーブルを参照して、アクチュエータ制御部99を介して駆動モータM3(図7参照)を駆動させてステープラユニット47を最初の綴じ位置に移動させ、駆動モータM4(図8参照)を駆動させてステープラヘッド47bをアンビル部材47cに向けて降下させる。これにより、シート束に対する2箇所綴じのうちの1箇所目の綴じ位置でのステープル処理が終了する。次いで、MCU98は、上述したテーブルを参照して、駆動モータM3を駆動させてステープラユニット47を2箇所目の綴じ位置に移動させ、駆動モータM4を駆動させてステープラヘッド47bをアンビル部材47cに向けて降下させる。これにより、処理トレイ37上で整合・積載されたシート束の後端部に対するステープル処理が終了する。
【0141】
次に、MCU98はステープル処理され処理トレイ37上に積載されたシート束を上述した排出処理と同様に第1トレイ49に排出する。この排出動作は図9を参照して既に説明したとおりである。次いで、MCU98は次に処理すべき部数があるか判断し、肯定判断のときは上記処理を繰り返し、否定判断のときはMCU91からジョブ終了情報を受信済みかを確認しモータ等のアクチュエータを停止させ綴じ処理を終了する。
【0142】
4.穿孔処理
穿孔処理についてはその一部をパンチ処理として上述したジョグ仕分け処理(項目(3−1))で説明済みである。このため、パンチ処理が終了した後の制御について説明する。なお、後処理モード情報が「穿孔処理モード」で属性情報は含まれていない場合を例として説明する。
【0143】
MCU98は、パンチ処理が終了すると、停止状態にある不図示の第1、第2搬送モータを駆動させシートをさらに下流側に搬送する。MCU98は、第2センサS2がシート後端を検出してから所定時間経過後に、図示しない昇降モータを逆転駆動させ、不図示の第2搬送モータの正転駆動で正転状態にある昇降ローラ41を待機位置から作動位置に位置付ける。これにより、シートは昇降ローラ41および排紙ローラ36で第1トレイ49に向けて搬送される(図19(B)参照)。
【0144】
MCU98は、第2センサS2がシート後端を検出してからシートサイズに応じて予め定められたステップ数、不図示の第2搬送モータをなおも正転駆動させた後、駆動を停止させる。これにより、パンチ処理されたシートが第1トレイ49上に排出される(図19(C)参照)。その後、MCU98は図示しない昇降モータを正転駆動させ昇降ローラ41を待機位置に位置付ける。
【0145】
以上により、第1トレイ49上へのシートの排出処理が終了する。次に、MCU98は、MCU91からジョブ終了情報を受信したか否かを判断し、否定判断のときは上記処理を繰り返し、肯定判断のときはジョブ終了情報を受信した後の最後のシートを同様に処理しモータ等のアクチュエータを停止させて穿孔処理を終了する。
【0146】
5.製本処理
上記と同様に、後処理モード情報が「製本処理モード(部数:4、1部を構成するシート枚数:12)」の場合を例として説明する。
(1)搬送・集積処理
MCU98は、アクチュエータ制御部99を介して不図示の第1搬送モータを駆動させる。これにより、搬入ローラ29は回転を開始する。このとき、第1、第2フラッパ33、34を回動させる電磁ソレノイドはオフ状態のままである(図5(A)参照)。
【0147】
第1センサS1がシート搬送経路28に搬入されたシートの先端を検出すると、MCU98はアクチュエータ制御部99を介して不図示の第2搬送モータを正転駆動させる。これにより、排紙ローラ36は正転を開始する。また、MCU98は第1センサS1がシート搬送経路28にシートが搬入されたことを検出する度に枚数をカウントする。
【0148】
次に、MCU98は、第2センサS2がシート後端を検出すると、不図示の第2搬送モータ駆動を停止させる。このとき、シート先端は第1トレイ49の上方に延在し、シート後端部は排紙ローラ36にニップされた状態となる。
【0149】
次いで、MCU98は、アクチュエータ制御部99を介して第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドに通電しオン状態とする。これにより、第2フラッパ34は時計廻りに回動し図5(C)に示す状態となる。また、不図示の移動モータを駆動させホームポジションまたは前回のジョブの際に位置付けられた待機位置に位置する規制ストッパ67(図2参照)をシートサイズに応じて定められた今回の待機位置に移動させる。
【0150】
続いて、MCU98は、不図示の第2搬送モータを逆転駆動させる。これにより、排紙ローラ36、搬送ローラ55、排出ローラ62は逆転駆動し、シートはその後端を先端として上述した第2分岐点D2を介して第1スイッチバックパス31aから第2搬送パス32内に搬入される。
【0151】
次に、MCU98は、第3センサS3がシート先端(第2搬送パス32搬送方向後端)を検出すると、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドをオフ状態とする。これにより、第2フラッパ34は反時計廻りに回動し図5(A)に示す状態となる。続いて、MCU98は、第3センサS3がシート先端を検出してから予め定められたステップ数、不図示の第2搬送モータをなおも逆転駆動させた後、駆動を停止させる。これにより、シートは排出ローラ62のニップを離れ(第2搬送パス32から排出され)ガイド部材66内でシート後端(第2搬送パス32搬送方向先端)を待機位置に位置付けられた規制ストッパ67で規制(支持)された状態となる。
【0152】
以上の搬送・集積処理により、1部目を構成する1枚目のシートがガイド部材66内に集積される。MCU98は、属性情報の1部を構成するシート枚数を参照して、そのシート枚数(12)がガイド部材66内に集積されるまで、上記と同様の搬送・集積処理を実行する。
【0153】
(2)中綴じ処理
MCU98は、搬送・集積処理が終了すると(12枚のシートがガイド部材66内に集積されると)、中綴じ処理を実行する。すなわち、不図示の移動モータを駆動させて、規制ストッパ67を上述した待機位置から集積されたシートの中央が中綴じユニット63の綴じ位置に相当する位置に移動させる。そして、アクチュエータ制御部99を介して図示しない中綴じモータを駆動させヘッドユニットによりシートの中央の1箇所または複数箇所をステープル処理させる。
【0154】
(3)折り処理
MCU98は、中綴じ処理が終了すると、不図示の移動モータを駆動させて、中綴じ処理されたシート束の中央が折り位置Yに位置するように規制ストッパ67を移動させ、アクチュエータ制御部99を介して図示しない折りモータを駆動させる。これにより、シート束の内折り側に折りブレード65が挿入されシート束は折りローラ64に低速で巻き込まれながら内折りされ、次いでその先端側は排出ローラ69に支持される。MCU98は、中綴じ処理されたシート束が折りローラ64に巻き込まれ規制ストッパ67による支持を離れた時点で、次の処理に備えて不図示の移動モータを駆動させ規制ストッパ67を上述した待機位置に位置付けた後、不図示の移動モータを停止させる。
【0155】
(4)排出処理
MCU98はなおも図示しない折りモータを駆動させ、マガジン仕上げ処理されたシート束の後端が排出ローラ69によるニップを離れた後にその駆動を停止させる。これにより、マガジン仕上げ処理されたシート束は湾曲した案内板にガイドされ落下するように不図示の排紙口を介して第2トレイ61に排出される。
【0156】
(5)終了処理
次いで、MCU98は、次に処理すべき部数があるか否かを判断し、肯定判断のときは上記(1)〜(4)の処理を繰り返し、否定判断のときはMCU91からジョブ終了情報を受信済みかを確認しモータ等のアクチュエータを停止させて製本処理を終了する。
【0157】
6.ストレート排紙処理
後処理モード情報が「ストレート排紙処理」で属性情報は含まれていない場合を例として説明する。なお、上述したように、後処理モード情報自体がオペレータにより入力されない場合もあり、そのような場合には後処理モード情報が「ストレート排紙処理」であるものとみなされる。
【0158】
まず、MCU98は、アクチュエータ制御部99を介して不図示の第1搬送モータを駆動させる。これにより、搬入ローラ29、搬送ローラ77、排紙ローラ78は回転を開始する。また、MCU98は、アクチュエータ制御部99を介して第1フラッパ33を駆動する電磁ソレノイドに通電しオン状態とする。これにより、第1フラッパ33は時計廻りに回動し図5(B)に示す状態となる。従って、搬入口26を介してシート搬送経路28に搬入されたシートは第3搬送パス30終点の排紙口72を経て第3トレイ71に排出される。
【0159】
MCU98は、MCU91からジョブ終了情報を受信したか否かを判断し、否定判断のときは不図示の第1搬送モータの駆動および第1フラッパ33を駆動する電磁ソレノイドのオン状態を維持し、肯定判断のときはジョブ終了情報を受信した後の最後のシートが第3トレイ71に排出されてから不図示の第1搬送モータの駆動および第1フラッパ33を駆動する電磁ソレノイドへの通電を停止させてストレート排紙処理を終了する。
【0160】
(第2実施形態)
次に、本発明が適用可能な画像形成システムの第2の実施の形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態で例示したジョグ仕分け処理において、小分けシートを一時的に保持するバッファを、処理トレイ37に代えて第2搬送パス32としたものである。なお、第2実施形態以下の実施形態において、第1実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0161】
<構成>
図15に示すように、本実施形態のシート後処理装置Bは、排紙ローラ36のローラ軸をシフトさせるシフト機構を有している。すなわち、排紙ローラ36を構成する駆動ローラ対36a、36bのローラ軸がブラケット76に軸支されている。ブラケット76にはラック75が固定されており、ラック75はピニオン74と噛合している。ピニオン74は正逆転可能な駆動モータM6(ステッピングモータ)のモータ軸に嵌着されている。駆動モータM6は装置フレーム27bに固定されたモータ取り付け台73に取り付けられている。このため、駆動モータM6を正逆転させることで、排紙ローラ36はローラ軸ごと図15に示す左右いずれの方向(矢印参照)にも指定された移動量でシフト可能である。
【0162】
<動作>
本実施形態のジョグ仕分け処理と第1実施形態のジョグ仕分け処理との同異は次のとおりである。第1実施形態のジョグ仕分け処理において(1)小分け枚数決定処理、(2)処理部数判断および(6)終了処理は本実施形態でも同じであり、(3)第1小分け処理(S108)、(4)第2小分け処理(S110)および(5)第3小分け処理(S112)での処理内容のみが相違している。このため、本実施形態においても、MCU98は図12に示したジョグ仕分け処理ルーチンを実行する。以下では、第1実施形態と同様に、後処理モード情報が「ジョグ仕分け処理モード(部数:4、1部を構成するシート枚数:12)で、第1小分け処理では3回に小分けして2枚−5枚−5枚を、第2および第3小分け処理では3回に小分けして5枚−5枚−2枚を第1トレイ49に排出して1束目のシート束を形成する場合について説明する。
【0163】
(1)第1小分け処理
MCU98は、1束目の処理と判断(S106で肯定判断)したときには、第1トレイ49上に1束目のシート束を形成する第1小分け処理を実行する(S108)。
【0164】
MCU98は、不図示の第1搬送モータを駆動させ搬入ローラ29を回転させる。このとき、第1、第2フラッパ33、34を回動させる電磁ソレノイドはオフ状態のままである(図5(A)参照)。なお、穿孔処理モードも併せて指定されている場合には、MCU98はシートサイズ情報に従って、不図示のユニット移動モータを作動させパンチユニット50をシート搬送経路28と直交する所定位置に位置付け、第1センサS1からの出力を監視する。
【0165】
第1センサS1がシート搬送経路28に搬入されたシートの先端を検出すると、MCU98は不図示の第2搬送モータを正転駆動させることで、排紙ローラ36を正転させる。また、MCU98は第1センサS1がシート搬送経路28にシートが搬入されたことを検出する度に枚数をカウントする。
【0166】
MCU98は、穿孔処理モードが併せて指定されている場合には、第2センサS2がシート先端を検出するまで待機し、第2センサS2がシート先端を検出してからさらに所定ステップ数、不図示の第1、第2搬送モータを駆動させた後、不図示の第1、第2搬送モータの駆動を停止させ、パンチモータを駆動させることでパンチユニット50にパンチ処理を行わせる。パンチ処理が終了すると、不図示の第1、第2搬送モータを駆動させシートをさらに下流側に搬送する。一方、穿孔処理モードが指定されていない場合には、第2センサS2がシート後端を検出した後も不図示の第1、第2搬送モータの駆動を停止させることなくシートをさらに下流側に搬送する。図16(A)はこの状態を示したものである。
【0167】
次に、MCU98は、第2センサS2がシート後端を検出すると、不図示の第2搬送モータの正転駆動を停止させる。このとき、シート先端は第1トレイ49の上方に延在し、シート後端部は排紙ローラ36にニップされた状態となる。次いで、MCU98は、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドをオン状態とさせ、不図示の第2搬送モータを逆転駆動させる。これにより、排紙ローラ36、搬送ローラ55、排出ローラ62は逆転駆動し、シートはその後端を先端として第1スイッチバックパス31aから第2搬送パス32に向けて搬送される。
【0168】
MCU98は、第3センサS3がシート先端を検出してから所定ステップ数、不図示の第2搬送モータをなおも逆転駆動させた後、駆動を停止させる。これにより、シートは搬送ローラ55にニップされた状態となり、シート先端(搬送方向後端)は上述した第2分岐点D2に位置付けられる。そして、MCU98は、シート搬送経路28に次(2枚目)のシートが搬入され第1センサS1がその先端を検出するまで待機する。図16(B)は、シート搬送経路28に次にシートが搬入された直後の状態を示したものである。
【0169】
MCU98は、第1センサS1がシート搬送経路28に搬入された次のシートの先端を検出すると、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドをオフ状態とする。これにより、第2フラッパ34は反時計廻りに回動し図5(A)に示す状態となる。MCU98は、第1センサS1がシート搬送経路28に搬入された次のシートの先端を検出した後、その先端が第2分岐点D2に至るタイミングで不図示の第2搬送モータを正転駆動させる。このタイミングは不図示の第1搬送モータを駆動するドライバ(アクチュエータ制御部99)のステップ数をカウントすることで把握することができるが、本実施形態ではそのステップ数が予めMCU98のROMに格納されRAMに展開されているため、MCU98は第1センサS1が次のシートの先端を検出した後の第2分岐点D2に至るタイミングが把握可能である。図16(C)は第2搬送モータが正転駆動した直後の1枚目のシートの先端と2枚目のシートの先端とが整合された(合わせられた)状態を示したものである。
【0170】
1枚目および2枚目のシート、換言すると、1束目のシート束を構成する1回目の小分けシート(2枚)は、不図示の第1搬送モータの駆動による搬入ローラ29の回転動作並びに不図示の第2搬送モータの正転駆動による排紙ローラ36および搬送ローラ55の正転動作で先端が整合された状態で第1搬送パス31上を搬送される。図17(A)はこの状態を示したものである。
【0171】
MCU98は、第2センサS2が1回目の小分けシートの後端を検出してから所定時間経過後に、図示しない昇降モータを逆転駆動させ、不図示の第2搬送モータの正転駆動で正転状態にある昇降ローラ41を上述した作動位置に位置付ける。これにより、1回目の小分けシート(2枚)は昇降ローラ41および排紙ローラ36で第1トレイ49に向けて搬送される。図17(B)はこの状態を示したものである。
【0172】
MCU98は、第2センサS2が1回目の小分けシートの後端を検出してからシートサイズに応じて予め定められたステップ数、不図示の第2搬送モータをなおも正転駆動させた後、駆動を停止させる。これにより、1束目のシート束を構成する1回目の小分けシート(2枚)が第1トレイ49上に排出される。図17(C)はこの状態を示したものである。その後、MCU98は図示しない昇降モータを正転駆動させ昇降ローラ41を待機位置に位置付ける。
【0173】
以上により、第1トレイ49上への1回目の小分けシート(2枚)の排出処理が終了する。なお、第1実施形態の第1小分け処理と同様に(2.ジョグ仕分け処理、項目(3−2)参照)、MCU98は、この時点で(小分けシートの排出処理が終了する度に)上述した小分け枚数決定処理(S102)で決定した小分け回数の処理が完了したかを判断し、否定判断のときは次の小分け回数の処理を実行し、肯定判断のときは第1小分け処理を終了する(S114に進む。)。
【0174】
次に、MCU98は、1束目のシート束を構成する2回目の小分けシート(5枚)を、上述した処理と同様に実行して、第1トレイ49に排出させる。以下では、3枚目以降の処理について説明する。
【0175】
図18(A)は図17(A)と同じ状態を示したものである。MCU98は、第2センサS2がシート(1枚目および2枚目)後端を検出すると、不図示の第2搬送モータの正転駆動を停止させ、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドをオン状態とさせて不図示の第2搬送モータを逆転駆動させる。これにより、排紙ローラ36、搬送ローラ55、排出ローラ62は逆転駆動し、シート(1枚目および2枚目)はその後端を先端として第1スイッチバックパス31aから第2搬送パス32に搬入される。
【0176】
MCU98は、第3センサS3がシート先端を検出してから所定ステップ数、不図示の第2搬送モータをなおも逆転駆動させた後、駆動を停止させる。これにより、シート(1枚目および2枚目)は搬送ローラ55にニップされた状態となり、シート先端(搬送方向後端)は第2分岐点D2に位置付けられる。そして、MCU98は、シート搬送経路28に3枚目のシートが搬入され第1センサS1がその先端を検出するまで待機する。図18(B)は、シート搬送経路28に3枚目のシートが搬入された直後の状態を示したものである。
【0177】
MCU98は、第1センサS1がシート搬送経路28に搬入された3枚目のシートの先端を検出すると、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドをオフ状態とする。これにより、第2フラッパ34は反時計廻りに回動し図5(A)に示す状態となる。MCU98は、第1センサS1がシート搬送経路28に搬入された3枚目のシートの先端を検出した後、その先端が第2分岐点D2に至るタイミングで不図示の第2搬送モータを正転駆動させる。図18(C)は第2搬送モータが正転駆動した直後の3枚目のシートの先端と1枚目および2枚目のシートの先端とが整合される直前の状態を示したものである。
【0178】
1枚目〜3枚目のシートは、不図示の第1搬送モータの駆動による搬入ローラ29の回転動作並びに不図示の第2搬送モータの正転駆動による排紙ローラ36および搬送ローラ55の正転動作で先端が整合された状態で第1搬送パス31上を搬送される。MCU98は、以上の処理を繰り返し、1回目の小分けシートを構成する4枚目および5枚目のシートも同様に先端を整合させ、1回目の小分けシート(2枚)の場合と同様に、2回目の小分けシート(5枚)を第1トレイ49上の1回目の小分けシート(2枚)の上に排出させる。そして、MCU98は、上記と同様に、1束目のシート束を構成する3回目の小分けシート(5枚)を第1トレイ49上の2回目の小分けシート(5枚)の上に排出させる。
【0179】
以上により、MCU98が実行する第1小分け処理は終了する。続いて、MCU98は、次に処理すべきシート束(2束目のシート束)があるか否かを判断する(S114)。上述した例に則すれば、部数(シート束数)は4のため、肯定判断されることになる。MCU98は、肯定判断のときは、上述した部数判断処理に従って、奇数束目の処理か否かを判断する(S104)。今回は2束目の処理のため、否定判断されることになる。MCU98は、否定判断のときは、第1トレイ49上に偶数束目のシート束を形成する第2小分け処理を実行する(S110)。
【0180】
(2)第2小分け処理
第2小分け処理において、第1小分け処理との相違は、(A)5枚−5枚−2枚を第1トレイ49に排出してシート束を形成する点、(B)ジョグ仕分けのため偶数束目(例えば、2束目)のシート束を構成する小分けシートを小分けシート単位でシフトさせる点である。上記(A)については第1小分け処理での説明と重複するためその説明を省略し、上記(B)について説明する。
【0181】
例えば、2束目のシート束を構成する1回目の小分けシート(5枚)は、不図示の第1搬送モータの駆動による搬入ローラ29の回転動作並びに不図示の第2搬送モータの正転駆動による排紙ローラ36および搬送ローラ55の正転動作で先端が整合された状態で第1搬送パス31上を搬送される(図17(A)も参照)。
【0182】
MCU98は、第2センサS2が1回目の小分けシート(5枚)の先端を検出してからシートサイズに応じて定められた所定ステップ数、不図示の第2搬送モータを正転駆動させた時点で、アクチュエータ制御部99を介して駆動モータM6(図15参照)を所定ステップ数、例えば正転駆動させ排紙ローラ36のローラ軸をシフトさせることで、搬送中の1回目の小分けシート(5枚)をシフトさせる(例えば、図11に示した例では図15の右側にシフトさせる。)。このシフトは1回目の小分けシート(5枚)の先端部が昇降ローラ41と従動ローラ48とでニップされる前に完了する必要があるが、不図示の第2搬送モータの駆動を停止させて停止状態で1回目の小分けシート(5枚)をシフトさせ、不図示の第2搬送モータを再度正転駆動させるようにしてもよい。その後、MCU98は、1回目の小分けシート(5枚)が排紙ローラ36のニップ搬送を離れた後に、駆動モータM6を所定ステップ数、例えば逆転駆動させることで、排紙ローラ36のローラ軸をシフト前の位置に戻させる。
【0183】
なお、上記では2束目のシート束を構成する1回目の小分けシート(5枚)について説明したが、MCU98は、偶数束目のシート束を構成する各小分けシート(上記例に則すれば、2束目および4束目の1回目〜3回目の小分けシート)についても同様のシフトを実行する。
【0184】
MCU98は、第2小分け処理が終了すると、次に処理すべきシート束(3束目のシート束)があるか否かを判断し(S114)、肯定判断のときは、奇数束目の処理か否かを判断する(S104)。この判断が肯定のときは、1束目の処理か否かを判断する(S106)。上述した例に則すれば、3束目のシート束の処理のため、その判断は否定となる。MCU98は、否定判断のときは、第1トレイ49上に3束目のシート束を形成する第3小分け処理を実行する(S112)。
【0185】
(3)第3小分け処理
第3小分け処理において、第1小分け処理との相違は、5枚−5枚−2枚を第1トレイ49に排出してシート束を形成する点のみであり、第1小分け処理での説明と重複するためその説明を省略する。
【0186】
MCU98は、第3小分け処理が終了すると、次に処理すべきシート束(4束目のシート束)があるか否かを判断し(S114)、肯定判断のときは、奇数束目の処理か否かを判断する(S104)。上述した例に則すれば、4束目(偶数束目)のシート束の処理のため、その判断は否定となる。MCU98は、第1トレイ49上に4束目のシート束を形成するために、上述した第2小分け処理を実行する(S110)。
【0187】
(第3実施形態)
次に、本発明が適用可能な画像形成システムの第3の実施の形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態で例示したジョグ仕分け処理において、1束目のシート束を構成する少なくとも1回目の小分けシートを、第1搬送パス31を介して第1トレイ49に排出し、それ以外の小分けシートを処理トレイ37から第1トレイ49に排出するものである。つまり、ストレート排出と処理トレイ38によるバッファ排出とを組み合わせたものである。
【0188】
<動作>
以下では、第1実施形態のジョグ仕分け処理と同様に、後処理モード情報が「ジョグ仕分けモード(部数:4、1部を構成するシート枚数:12)」で、設定枚数が5(枚)とされているものとして説明する。なお、本実施形態でのMCU98の制御は、上述した第1および第2実施形態のMCU98の制御から明らかなため、その説明を省略する。
【0189】
小分け枚数決定処理(図12、S102も参照)では、1束目のシート束を構成する1回目の小分け枚数を1枚に設定する。上記例では、1枚−5枚−5枚−1枚の4回の小分け回数で小分けシートを第1トレイ49に排出することになる。
【0190】
すなわち、(a)1束目のシート束を構成する1回目の小分けシート(1枚)は第1搬送パス31から第1トレイ49に排出し、(b)1束目のシート束を構成する2回目以降の小分けシート(5枚または1枚)は第1実施形態と同様にシートを一時的に保持するバッファ機能を有した処理トレイ37を介して第1トレイ49に排出する。
【0191】
図19は、上記(a)において、第1トレイ49上に1束目のシート束を形成する場合に、1回目の小分けシート(1枚)を、第1搬送パス31から第1トレイ49に排出する際の排出動作の説明図である。
【0192】
すなわち、図19(A)は1回目の小分けシートの先端が排紙口35から飛び出した状態を示したものである。この状態では、昇降ローラ41は待機位置に位置付けられている。図19(B)は1回目の小分けシートが作動位置に位置付けられた昇降ローラ41および排紙ローラ36で第1トレイ49に搬送(排出)されている状態を示したものである。図19(C)は1回目の小分けシートが第1トレイ49上に排出された状態を示したものである。なお、この後、不図示の第2搬送モータの駆動が停止されることで昇降ローラ41および排紙ローラ36は正転を停止し、昇降ローラ41は図示しない昇降モータの正転駆動で待機位置に位置付けられる。
【0193】
図20は、上記(b)において、第1トレイ49上に1束目のシート束を形成する場合に、2回目の小分けシート(5枚)を、処理トレイ37を介して第1トレイ49上の1回目の小分けシートの上に排出する際の排出動作の説明図である。
【0194】
すなわち、図20(A)は排出直前の状態、図20(B)は排出中の状態、図20(C)は排出終了の状態を示しており、第1実施形態(2.ジョグ仕分け処理、項目(3−2))で説明した図14(A)〜(C)の1回目の小分けシートの枚数(2枚)が1枚である点で相違しているのみである。
【0195】
なお、上記では、第1トレイ49上に形成される1束目のシート束の整合性を高めるために、1束目のシート束を構成する1回目の小分けシートを1枚−5枚−5枚−1枚とした例を説明したが、処理スピードを高めるために、1束目のシート束を構成する1回目の小分けシートを例えば1枚−1枚−5枚−5枚とし、1回目の小分けシート(1枚)および2回目の小分けシート(1枚)を第1搬送パス31から第1トレイ49に排出し、3回目の小分けシート(5枚)および4回目の小分けシート(5枚)を処理トレイ37を介して第1トレイ49に排出するようにしてもよい。
【0196】
(効果等)
次に、上記実施形態の画像形成システムの効果等についてシート後処理装置Bの効果等を中心に説明する。
【0197】
上記実施形態のシート後処理装置Bでは、第1トレイ49上に1束目のシート束を形成する際に、複数回に小分けして1束目のシート束を構成するシートを分割排出し、その際、1束目の1回目に分割排出されるシートの小分け枚数が、2束目の最初に排出されるシート束の枚数より少なくなるように分割排出(搬送)する。このため、従来技術では、1束目のシート束を構成するシートのうち、第1トレイ49の表面に直接接触する最下シートが第1トレイ49の表面とシートの摩擦係数の差によって他のシートとのズレが生じるおそれがあるが、上記実施形態のシート後処理装置Bによれば、そのズレを防止することができる。
【0198】
また、第2実施形態のシート後処理装置Bでは、シート搬送路(第1パス32、シート搬送経路28、第2搬送パス32)を利用して第1トレイ49上にシート束を形成するので、第1実施形態と比べモータ(例えば、不図示の第2搬送モータ)にトルクの小さいものを用いることができる。また、処理トレイ37を必ずしも必要とせず、シート搬入機構を昇降ローラ41と従動ローラ48に簡素化することができる。このため、シート搬送路の配置自由度を高めることができる。
【0199】
なお、上記実施形態では、ジョグ仕分け処理において第1トレイ49上にシート束を形成する例を示したが、本発明はジョグ仕分け処理に拘わらず、1束のシート束のみを形成する場合を含めトレイ上にシート束を形成する場合一般に適用可能である。また、第1実施形態で例示した整合部材39F、39Rは図6に示す左右いずれの方向にも指定された移動量で位置移動でき、第2実施形態で例示したシフト機構でも排紙ローラ36はローラ軸ごと図15に示す左右いずれの方向にも指定された移動量でシフト可能なため、第1トレイ49上で3つ以上のシート束をオフセットされた状態で積載するソート処理を行うことも可能である。
【0200】
また、上記実施形態では、第1トレイ49(排出トレイ)上にシート束を形成する例を示したが、本発明はこれに制限されず、装置内部に配置された処理トレイにも適用可能である。この場合には、処理トレイの複数化を防止するために、小分けシートを一次的に保持するバッファとして、第2実施形態で示した第2搬送パス32のように、シート搬送経路28から分岐した分岐パスを用いるようにしてもよい。
【0201】
そのような分岐パスでは、第2実施形態で示したように、搬送パス(シート搬送経路28)を介して分岐パス(第2搬送パス)に搬送されてきたシートをその搬送方向とは逆方向にスイッチバック搬送し搬送パス(シート搬送経路28)を介して第1トレイ49に排出する態様でもよいし、上述した第2分岐点D2を例えば第3分岐点D3に位置付けることで(図4も参照)、分岐パスに搬送されてきたシートの搬送方向とは逆方向にスイッチバック搬送して第1トレイ49に排出する態様であってもよい。さらに、分岐パスを第2分岐点D2から処理トレイ37側に傾斜させ、搬送パスを介して分岐パスに搬送されてきたシートをその搬送方向に沿ってそのまま処理トレイ37に排出するようにしてもよい。この態様では、分岐パスから処理トレイ37へのシート排出と処理トレイ37から第1トレイ49へのシートないしシート束排出をスムーズに行うため、例えば、処理トレイ37の角度を変更する角度変更機構を備えるようにしてもよい。
【0202】
また、第2実施形態では、上述したようにシート搬送路の配置自由度を高めることができるが、処理トレイ37を設けない場合には、ステープラユニット47によるステープル処理を行うことができないため、第2搬送パス32にシートを搬送し、中綴じユニット63でシート束の隅部(後端部)をステープル処理するようにしてもよい。
【0203】
さらに、第1実施形態では、偶数束目を構成する小分けシートを整合部材39F、39Rで整合する際に、小分けシートの各シートを1枚ずつシフトさせる例を示したが、例えば、小分けシートの各シートを例えばセンタ基準で整合しておき、第1トレイ49に搬送する前に小分けシートを一挙に整合部材39F、39Rでシフトさせるようにしてもよい。
【0204】
そして、第1実施形態で例示した整合部材39F、39Rとは異なり整合部材が1方向しか整合できない場合や第2実施形態で例示したシフト機構を有しない場合には、スタックトレイを搬送直交方向に移動させジョグ仕分けやソートを行うようにしてもよい。
【0205】
なお、本実施形態では1束の枚数が設定枚数(5枚)未満の場合でも1束目の分割排出を行っている態様を示したが、シート束の枚数が所定枚数(例えば2枚)以下の場合はシートのズレが起きにくいため、分割排出する必要がない。よって、1束の枚数が所定枚数以下の場合は分割排出を行わずに1束目も2束目以降も同じ枚数で束排出を行うようにしてもよい。言い換えると、1束の枚数が所定枚数(例えば3枚)以上の場合、1束目は必ず分割排出をして、1回目に分割排出されるシートの小分け枚数が2束目の最初に排出されるシート束の枚数(1回で排出完了する場合と、分割排出の1回目の小分け枚数)よりも少なくなるようにシート束の排出枚数を設定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0206】
以上述べたとおり、本発明は、トレイ上の最下シートにズレを生じないシート排出装置、画像形成システムおよびシート後処理装置を提供するものであるため、シート排出装置、画像形成システムおよびシート後処理装置の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0207】
3 画像形成部(画像形成手段)
28 シート搬送経路(搬送パス)
32 第2搬送パス(バッファ部、分岐パス)
36 排紙ローラ(シート束形成手段の一部、排出機構の一部)
37 処理トレイ(バッファ部、第2のトレイ)
38 規制部材(シート束形成手段の一部、排出機構の一部)
38v コンベアベルト(シート束形成手段の一部、排出機構の一部)
41 昇降ローラ(シート束形成手段の一部、排出機構の一部)
49 第1スタックトレイ(第1のトレイ)
A 画像形成部(画像形成システムの一部)
B シート後処理装置(画像形成システムの一部)
M5 駆動モータ(排出機構の一部)
S4 第4センサ
図1
図2
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