特許第6704654号(P6704654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6704654-建設機械 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704654
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/03 20060101AFI20200525BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20200525BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B60R16/03 J
   E02F9/00 C
   H02J7/00 303B
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-156119(P2016-156119)
(22)【出願日】2016年8月9日
(65)【公開番号】特開2018-24293(P2018-24293A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−308328(JP,A)
【文献】 特開2015−178733(JP,A)
【文献】 特開2011−046482(JP,A)
【文献】 特開2003−063771(JP,A)
【文献】 特開2003−028045(JP,A)
【文献】 特開2012−215149(JP,A)
【文献】 特開2002−254976(JP,A)
【文献】 特開2015−217736(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0163829(US,A1)
【文献】 中国実用新案第204547884(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/03
B60R 16/04
E02F 9/00
H02J 7/00
F03D 1/00−80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車両に載置して輸送される建設機械において、輸送時に走行風によって発電を行う風力発電装置と、該風力発電装置によって発電された電力を蓄えるバッテリーと、前記風力発電装置で発電された電力、又は、前記バッテリーに蓄えられた電力の何れかを負荷に供給するための制御器とを備えていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記建設機械は、下部走行体の上部に上部旋回体を旋回可能に設けたベースマシンと、前記上部旋回体の前部に、前後方向に倒伏可能に設けられたリーダと、該リーダに沿って昇降する作業装置とを備えた杭打機であって、前記ベースマシンに前記風力発電装置を取り付けるとともに、前記リーダの上端部に前記負荷となるライトを取り付けたことを特徴とする請求項1記載の建設機械。
【請求項3】
前記風力発電装置を前記ベースマシンに着脱可能に取り付けたことを特徴とする請求項2記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関し、詳しくは、搬送車両に載置して輸送する建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、建設機械は、例えば杭打機では、小型のものは組み立てた状態のままリーダを倒して搬送車両に載置して輸送され、大型のものは、下部走行体、上部旋回体、リーダ、バックステーなどを分解して搬送車両にそれぞれ載置して輸送されている(例えば、特許文献1参照。)。また、トラック等の搬送車両では、走行風によって発電を行う風力発電装置を取り付けたものがあり、その発電電力を利用して、省エネ化を図ったものがあった(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−178733号公報
【特許文献2】特開2015−217736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような建設機械では、特許文献2の搬送車両のように、風力発電を利用して負荷に電力を供給するものはなく、走行風の有効利用が望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、搬送車両に載置して輸送する際に、走行風を利用して発電を行うことができる建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の建設機械は、搬送車両に載置して輸送される建設機械において、輸送時に走行風によって発電を行う風力発電装置と、該風力発電装置によって発電された電力を蓄えるバッテリーと、前記風力発電装置で発電された電力、又は、前記バッテリーに蓄えられた電力の何れかを負荷に供給するための制御器とを備えていることを特徴としている。
【0007】
また、前記建設機械は、下部走行体の上部に上部旋回体を旋回可能に設けたベースマシンと、前記上部旋回体の前部に、前後方向に倒伏可能に設けられたリーダと、該リーダに沿って昇降する作業装置とを備えた杭打機であって、前記ベースマシンに前記風力発電装置を取り付けるとともに、前記リーダの上端部に前記負荷となるライトを取り付けると好ましい。さらに、前記風力発電装置を前記ベースマシンに着脱可能に取り付けると好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の建設機械によれば、搬送車両に載置して輸送される際に、走行風によって風力発電装置で発電された電力を、制御器を介してライトやモータ等の負荷に供給することができる。また、走行風によって風力発電装置で発電された電力を、制御器を介してバッテリーに蓄電することができ、建設機械が走行風を受けていない状態であっても、蓄電された電力を負荷に供給することができる。
【0009】
また、杭打機に前記風力発電装置を取り付け、リーダの上端部に負荷となるライトを取り付けたことにより、リーダを後方に倒して杭打機を搬送車両で夜間に輸送する際に、風力発電装置で点灯するライトが搬送車両の前部上方に配置され、対向車両から搬送車両に載置された杭打機の上限を視認することができ、走行風を利用しながら輸送時の安全性の向上を図ることができる。
【0010】
さらに、風力発電装置をベースマシンに着脱可能に取り付け、杭打機で杭打ち作業を行う際に、例えばリーダの上部位置などの任意の位置に風力発電装置を付け替えることにより、杭打ち作業の最中でも効率よく風力発電を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1形態例を示す輸送状態の建設機械の説明図である。
図2】同じく発電システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2は、本発明を杭打機に適用した一形態例を示している。この杭打機11は、下部走行体12の上部にベアリングを介して上部旋回体13を旋回可能に設けたベースマシン14と、上部旋回体13にリーダサポート15を介して起伏可能に設けられた上部リーダ16と、上部旋回体13の前端部に設けられて前記上部リーダ16の下部に連結される下部リーダ17と、下部リーダ17及び上部リーダ16に沿って昇降する作業装置18と、上部リーダ16の上端部に設けられたトップシーブブロック19と、上部旋回体13の前後左右に設けられたジャッキ20とを備え、ベースマシン14には、風力により発電させる発電システム21が取り付けられている。
【0013】
発電システム21は、杭打機11を輸送する際に走行風によって発電を行う風力発電装置22と、風力発電装置22によって発電された電力を蓄えるバッテリー23と、風力発電装置22で発電された電力、又は、バッテリー23に蓄えられた電力の何れかを負荷24に供給するための制御器25を備えている。
【0014】
上述の杭打機11を輸送する際には、図1に示されるように、下部リーダ17の部分に作業装置18を下降させた後、上部リーダ16を後方に倒し、トップシーブブロック19を水平状態にすることにより、下部走行体12を作動させて、杭打機11を低床トレーラ30の荷台に自力で上げて輸送可能となる。輸送時には、走行風により風力発電装置22で発電され、発電された電力を制御器25を介して、例えば、上部リーダ16の上端部に設けられたライト26(負荷)に供給することができる。このライト26は、低床トレーラ30に杭打機11を載置させた際に、低床トレーラ30の前部上方に配置され、杭打機11を夜間に搬送する際に、点灯させたライト26により、対向車両から低床トレーラ30に載置した杭打機11の上限を視認することができ、輸送時の安全性の向上を図ることができる。
【0015】
また、走行風により風力発電装置22で発電された電力を、制御器25を介してバッテリー23に蓄電することができ、杭打機11が走行風を受けていない状態であっても、蓄電された電力を負荷に供給することができ、例えば、輸送後に杭打機11を作業姿勢にする際に、トップシーブブロック19を回動させるモータ(負荷)に電力を供給することができる。
【0016】
なお、本発明の建設機械は、上述の形態例のように小型の杭打機に限るものではなく、下部走行体、上部旋回体、リーダ、バックステーなどを分解して搬送車両に載置して輸送する大型の杭打機にも適用することができる。さらに、杭打機に限るものではなく、搬送車両に載置して輸送される建設機械であれば、どのようなものにも適用することができる。また、風力発電装置で発電された電力を利用する負荷も任意であり、さらには、建設機械のバッテリーに充電することもできる。また、風力発電装置をベースマシンに着脱可能に取り付けることもでき、建設機械で作業を行う際に、風力発電装置を取り外すことにより、建設機械の作業性を良好に確保することができ、風力発電装置を任意の位置に付け替えることにより、建設作業の最中でも効率よく風力発電を利用することができる。
【符号の説明】
【0017】
11…杭打機、12…下部走行体、13…上部旋回体、14…ベースマシン、15…リーダサポート、16…上部リーダ、17…下部リーダ、18…作業装置、19…トップシーブブロック、20…ジャッキ、21…発電システム、22…風力発電装置、23…バッテリー、24…負荷、25…制御器、26…ライト、30…低床トレーラ
図1
図2