(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れた透明性を有するフェノールレゾール樹脂および該フェノールレゾール樹脂を含む導電性ペースト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、導電性ペーストの透明性の基準が高まっている状況に鑑み、鋭意検討を行ったところ、フェノールレゾール樹脂において、酸化の原因となるフェノール性水酸基を特定の基で保護することによって、導電性を低下させることなく、優れた透明性を有する導電性ペーストを提供することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)フェノール性水酸基とヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基とを有するフェノール化合物と、エポキシ基を2つ有するエポキシ化合物とを反応させることにより得られるフェノールレゾール樹脂、
(2)前記エポキシ基が、前記水酸基1当量に対し、0.5〜1.2当量である、前記(1)に記載のフェノールレゾール樹脂、
(3)重量平均分子量が300〜30000である、前記(1)または(2)に記載のフェノールレゾール樹脂、
(4)前記フェノール化合物が、下記式(I−a):
【化1】
[式中、Raは、下記式(IV−a)または(IV−b):
【化2】
(式中、
Zはアリーレン基を示し、
Rcはアルキル基またはアルコキシ基であり、
Rdは水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基であり、
Reは結合を表すか、或いは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、
mは0〜3の整数であり、
nは1〜2の整数である)である]
で表され、
前記エポキシ化合物が、下記式(II):
【化3】
[式中、Rbは有機基であり、Ep’はエポキシ基である]
で表され、
前記フェノールレゾール樹脂が、下記式(III−a):
【化4】
[式中、RaおよびRbは上述した通りであり、Epはフェノール性水酸基に対して開環付加したエポキシ基であり、Nは2〜50の整数である]
で表される、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフェノールレゾール樹脂、
(5)Raが下記式:
【化5】
[式中、Rc、Rd、mおよびnは上述した通りである]
で表される、前記(4)に記載のフェノールレゾール樹脂、
(6)前記フェノール化合物が、下記式:
【化6】
[式中、Raは、下記式(IV−c):
【化7】
(式中、
Zはアリール基を示し、
Rcはアルキル基またはアルコキシ基であり、
Rdは水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基であり、
mは0〜3の整数であり、
nは1〜2の整数である)である]
で表され、
前記エポキシ化合物が、下記式:
【化8】
[式中、Rbは有機基であり、Ep’はエポキシ基である]
で表され、
前記フェノールレゾール樹脂が、下記式(III−b):
【化9】
[式中、RaおよびRbは上述した通りであり、Epはフェノール性水酸基に対して開環付加したエポキシ基である]
で表される、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフェノールレゾール樹脂、
(7)Raが下記式:
【化10】
[式中、Rc、Rd、mおよびnは上述した通りである]
で表される、前記(6)に記載のフェノールレゾール樹脂、
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のフェノールレゾール樹脂と導電性物質とを含む導電性ペースト組成物、
(9)フェノール性水酸基とヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基とを有するフェノール化合物と、エポキシ基を2つ有するエポキシ化合物とを反応させることを含む、フェノールレゾール樹脂の製造方法
を、提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた透明性を有するフェノールレゾール樹脂および該フェノールレゾール樹脂を含んだ導電性ペーストを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明のフェノールレゾール樹脂は、フェノール性水酸基とヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基とを有するフェノール化合物と、エポキシ基を2つ有するエポキシ化合物とを反応させることにより得られる。
ここで、「フェノール性水酸基」とは、以下で説明するアリール基又はアリーレン基の炭素原子に結合する水酸基をいい、該アリール基およびアリーレン基はそれぞれ、フェニル基およびフェニレン基に限られない。例えば、フェノール性水酸基とは、アリール基がフェニル基である場合およびアリーレン基がフェニレン基である場合、ベンゼン環を形成する炭素原子に結合する水酸基をいう。更に、アリール基がナフチル基およびアリーレン基がナフチレン基である場合、ナフタレン環を形成する炭素原子に結合する水酸基も、「フェノール性水酸基」というものとする。
【0011】
本発明の第1の態様において、前記フェノール化合物は、下記式(I−a):
【化11】
で表される。
【0012】
上記式(I−a)中、Raは、下記式(IV−a)または(IV−b):
【化12】
で表される。
【0013】
上記式(IV−a)および式(IV−b)中、
Zは、アリーレン基を示し、
Rcはアルキル基またはアルコキシ基であり、
Rdは水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基であり、
Reは結合を表すか、或いは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、
mは0〜3の整数であり、
nは1〜2の整数である。
【0014】
Zは、置換または非置換のアリーレン基、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等であり、フェニレン基であることが好ましい。式(IV−a)において、Zがフェニレン基の場合、前記フェノール化合物の2つのフェノール性水酸基は互いにオルト位、メタ位、パラ位に位置し、パラ位に位置することが好ましい。また、式(IV−b)において、Zがフェニレン基の場合、前記フェノール化合物の2つのフェノール性水酸基はいずれも、ZのReに対する結合位置に対してパラ位に位置することが好ましい。
Zが置換アリーレン基の場合、置換基は例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基である。
【0015】
Raにおいて、各々のアリーレン基は−CH
2ORd基を、少なくとも1つ最大2個まで有する。
nが1の場合、即ち、アリーレン基が−CH
2ORd基を1つ有する場合には、アリーレンにおいて、−(CH
2ORd)基は、フェノール性水酸基に対してオルト位、パラ位に位置することが好ましい。
【0016】
Rdは、水素原子または炭素数が1〜4個のアルキル基(以下、「C1〜C4アルキル基」とも称する)である。炭素数が1〜4個のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基またはtert−ブチル基である。
Rdは好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基またはn−ブチル基であること、即ち、−CH
2ORd基が、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基またはn−ブトキシメチル基であることが好ましい。
【0017】
Raにおいて、各々のアリーレン基は、Rc基を有しても有さなくてもよい。
mが1の場合、即ち、アリーレン基がRc基を1つ有する場合には、該アリーレンにおいて、Rc基は、フェノール性水酸基に対して、オルト位、メタ位に位置することが好ましい。
【0018】
Rc基は、アルキル基またはアルコキシ基であり、炭素数1〜4個のアルキル基または炭素数1〜4個のアルコキシ基であることが好ましい。
炭素数1〜4個のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
炭素数1〜4個のアルコキシ基は例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基である。
【0019】
式(IV−b)において、2つのアリーレン基は、Re基を介して結合されている。
Re基は、アリーレン基とアリーレン基との結合を表すか、或いは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、特に、メチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシレン基、フルオレニレン基、ベンジレン基であることが好ましい。
【0020】
Re基がアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基の場合、1以上の置換基を有してもよい。置換基としては、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基等が挙げられる。
【0021】
Raは、好ましくは、下記式:
【化13】
[式中、Rc、Rd、mおよびnは上述した通りである]
で表される。
【0022】
前記フェノール化合物は、例えば、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾールフルオレンなどのヒドロキシメチル化合物またはアルコキシメチル化合物である。前記フェノール化合物は、好ましくは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールおよびビスクレゾールフルオレンのヒドロキシメチル化合物またはアルコキシメチル化合物であり、特に好ましくは、ビスフェノールAのヒドロキシメチル化合物またはアルコキシメチル化合物である。
【0023】
前記フェノール化合物は、市販品であってもよいし、公知の合成方法に従って作製されてもよい。
前記フェノール化合物は、−CH
2ORd基がヒドロキシメチル基である場合、目的のフェノール化合物の母核の構造を有するフェノール類と、ホルムアルデヒドとを反応させて得られる。また、−CH
2ORd基がアルコキシメチル基である場合、目的のフェノール化合物の母核の構造を有するフェノール類と、ホルムアルデヒドとを反応させて得られた化合物に、更にアルコールを反応させて得ることができる。ここで、アルコールの有する炭素数は、上記Rd基が有する炭素数と同じであり、Rd基に応じて、該アルコールを選択することができる。
例えば、ビスフェノールAのメトキシメチル体(以下、「BPAMOM」とも称する)は、ビスフェノールAとホルムアルデヒドとを反応させ、得られた化合物に更にメタノールを反応させることにより、作製することができる。
【0024】
前記エポキシ化合物は、下記式(II):
【化14】
[式中、Rbは有機基であり、Ep’はエポキシ基である]
で表される。
【0025】
エポキシ化合物は例えば、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂などのジヒドロキシベンゼン類のエポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂などのビスフェノール類のエポキシ樹脂;フタル酸型エポキシ樹脂、水添フタル酸型エポキシ樹脂、テレフタル酸型エポキシ樹脂、マレイン酸型エポキシなどのビスカルボン酸のエポキシ樹脂;1,4−ブタンジオール型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂などのジオール類のエポキシ樹脂;エチレングリコール型エポキシ樹脂、プロピレングリコール型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレン型エポキシ樹脂などのグリコール類のエポキシ樹脂である。中でも好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、水添フタル酸型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂である。
【0026】
エポキシ化合物は、EPICLON850(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、EPICLON830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、jER191P(水添フタル酸型エポキシ樹脂)、jERYX−4000(ビフェノール型エポキシ樹脂)、DENACOL EX−211、DENACOL EX−212(1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂)、DENACOL EX−711(テレフタル酸型エポキシ樹脂)、DENACOL EX−721(フタル酸型エポキシ樹脂)、DENACOL EX−810(エチレングリコール型エポキシ樹脂)、DENACOL EX−830(ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂(q=9))、DENACOL EX−861(ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂(q=22))、DENACOL EX−911(プロピレングリコール型エポキシ樹脂)、DENACOL EX−920(ポリプロピレングリコール型(q=3))等の市販品であってもよいし、公知の合成方法に従って作製されてもよい。エポキシ化合物を公知の合成方法に従って得る場合、例えば、対応する母核とエピクロロヒドリンとの反応によって合成してもよい。
【0027】
式(II)中、Ep’は例えば、下記式:
【化15】
で表される。
【0028】
エポキシ化合物が、ジヒドロキシベンゼン類のエポキシ樹脂の場合、式(II)中、Rbは、下記式:
【化16】
で表される。
【0029】
エポキシ化合物が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂またはビフェノール型エポキシ樹脂の場合、Rbはそれぞれ、下記式:
【化17】
[式中、Rfはアルキル基またはアルコキシ基であり、pは0〜2の整数である]
で表される。
Rf基は、アルキル基またはアルコキシ基であり、炭素数1〜4個のアルキル基または炭素数1〜4個のアルコキシ基であることが好ましい。
炭素数1〜4個のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
炭素数1〜4個のアルコキシ基は例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基である。
【0030】
エポキシ化合物が、水添フタル酸型エポキシ樹脂の場合、Rbは、下記式:
【化18】
で表される。
【0031】
エポキシ化合物が、フタル酸、マレイン酸およびテレフタル酸型のエポキシ樹脂の場合、Rbは、下記式:
【化19】
で表される。
【0032】
エポキシ化合物が、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂の場合、Rbは、下記式:
【化20】
【0033】
エポキシ化合物が、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂またはポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂の場合、Rbはそれぞれ、下記式:
【化21】
[式中、qは1〜30の整数である]
で表される。
【0034】
そして、上記フェノール化合物と上記エポキシ化合物とを反応させることにより得られる本発明のフェノールレゾール樹脂は、下記式(III−a):
【化23】
[式中、RaおよびRbは上述した通りであり、Epはフェノール性水酸基に対して開環付加したエポキシ基であり、Nは2〜50の整数である]
で表される。
【0035】
Epは、上記エポキシ基Ep’が、フェノール化合物が有するフェノール性水酸基に対して開環付加した構造を示す。
Nは、2〜50の整数であり、好ましくは5〜20の整数である。
【0036】
本態様のフェノールレゾール樹脂の重量平均分子量は、300〜30000である。重量平均分子量が前記範囲内にある場合には、バインダーとしてのハンドリング性に優れる。また、重量平均分子量は、好ましくは、粘度の観点から1000〜30000である。更に重量平均分子量は、3000〜15000が特に好ましい。
【0037】
本発明の第2の態様において、前記フェノール化合物は、下記式(I−a):
【化24】
で表される。
【0038】
上記式(I−b)中、Raは、下記式(IV−c):
【化25】
で表される。
【0039】
上記式(IV−c)中、
Zはアリール基を示し、
Rcはアルキル基またはアルコキシ基であり、
Rdは水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基であり、
mは0〜3の整数であり、
nは1〜2の整数である。
【0040】
Zは、置換または非置換のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基等の炭化水素基であり、好ましくはフェニル基である。Zが置換アリール基の場合、置換基は例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基である。
Raにおいて、アリール基は−CH
2ORd基を、少なくとも1つ最大2個まで有する。
nが1の場合、即ち、アリール基が−CH
2ORd基を1つ有する場合には、アリールにおいて、−(CH
2ORd)基は、フェノール性水酸基に対してオルト位、パラ位に位置することが好ましい。
【0041】
Rdは、水素原子または炭素数が1〜4個のアルキル基(以下、「C1〜C4アルキル基」とも称する)であり、炭素数が1〜4個のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基またはtert−ブチル基である。
Rdは好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基またはn−ブチル基であること、即ち、−CH
2ORd基が、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基またはn−ブトシキメチル基であることが好ましい。
【0042】
Raにおいて、各々のアリール基は、Rc基を有しても有さなくてもよい。
mが1の場合、即ち、アリール基がRc基を1つ有する場合には、アリールにおいて、Rc基は、フェノール性水酸基に対して、オルト位、メタ位に位置することが好ましい。
【0043】
Rc基は、アルキル基またはアルコキシ基であり、炭素数1〜4個のアルキル基または炭素数1〜4個のアルコキシ基であることが好ましい。
炭素数1〜4個のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
炭素数1〜4個のアルコキシ基は例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基である。
【0044】
Raは、好ましくは、下記式:
【化26】
[式中、Rc、Rd、mおよびnは上述した通りである]
で表される。
【0045】
前記フェノール化合物は、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、ナフトールなどのヒドロキシメチル化合物またはアルコキシメチル化合物であり、好ましくは、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノールのヒドロキシメチル化合物またはアルコキシメチル化合物である。
【0046】
前記フェノール化合物は、市販品であってもよいし、公知の合成方法に従って作製されてもよい。公知の合成方法に従って作製される場合、前記フェノール化合物は、第一態様において先述したのと同様の方法に従って作製される。
また、前記エポキシ化合物は、第一態様において説明したのと同じ構造を有する。
【0047】
そして、上記フェノール化合物と上記エポキシ化合物とを反応させることにより得られる本発明のフェノールレゾール樹脂は、下記式(III−b):
【化27】
[式中、RaおよびRbは上述した通りであり、Epはフェノール性水酸基に対して開環付加したエポキシ基である]
で表される。
【0048】
本態様のフェノールレゾール樹脂の重量平均分子量は、300〜30000である。重量平均分子量が該範囲にある場合には、バインダーとしてのハンドリング性に優れる。また、重量平均分子量は、好ましくは、粘度の観点から1000〜30000である。更に、重量平均分子量は、1000〜8000が特に好ましい。
【0049】
上記第一および第二態様で示した反応において、フェノール化合物のフェノール性水酸基とエポキシ化合物のエポキシ基とは、該フェノール性水酸基1当量に対してエポキシ基0.5〜1.2当量で反応することが好ましい。エポキシ基の範囲が前記範囲よりも低いと、得られたフェノールレゾール樹脂は着色しやすくなり、前記範囲を超えると、該樹脂がゲル化しやすくなる。また、該フェノール性水酸基1当量に対してエポキシ基0.6〜1.0当量の範囲で反応することが特に好ましい。
【0050】
上記反応は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基触媒、または、アンモニア水溶液、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機塩基触媒の存在下行われる。また、反応温度は、例えば30〜120℃、好ましくは50〜100℃である。反応時間は、例えば2〜10時間、好ましくは3〜8時間である。
また、上記反応の後、必要に応じて、中和、精製等の工程を行ってもよい。
【0051】
本発明のフェノールレゾール樹脂は、酸化の原因となる、フェノールレゾール樹脂のフェノール性水酸基を、特定の基によって保護することにより着色を防いでいるため、透明性に優れている。
【0052】
本発明の第二の側面は、上記フェノールレゾール樹脂と導電性物質とを含む導電性ペースト組成物に関する。
導電性物質は例えば、銀粒子、ニッケル粒子、酸化チタン粒子、酸化錫粒子、リン含有酸化錫粒子、アンチモン含有酸化錫粒子、酸化インジウム粒子、錫含有酸化インジウム粒子等の金属粒子、カーボンブラック、グラファイト等である。これらは、単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いても良い。特に導電ペーストが透明性を要求される場合では、酸化錫粒子、リン含有酸化錫粒子、アンチモン含有酸化錫粒子、酸化インジウム粒子、錫含有酸化インジウム粒子等の金属粒子が好適に使用される。
【0053】
導電性ペースト組成物が導電性物質を含む場合、該導電性ペースト組成物は、フェノールレゾール樹脂と導電性物質とを混練することによって調製される。
例えば、導電性ペースト組成物の硬化は、例えば120〜250℃、好ましくは150〜200℃の温度範囲で、例えば1〜4時間、好ましくは1〜3時間の時間行われる。
【0054】
上記の通り、フェノールレゾール樹脂は、フェノールレゾール樹脂のフェノール性水酸基を特定の基によって保護することにより、フェノール性水酸基の酸化に起因する着色を防いでおり、透明性に優れている。また、本発明のフェノールレゾール樹脂は、硬化収縮に寄与するヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を有しているため、導電性物質の密度を高くし、導電性ペースト組成物の導電性を十分に高く維持している。
以上のように、本発明の導電性ペースト組成物は、優れた透明性と導電性とを有することから、多岐に亘る用途に適用可能である。該導電性ペースト組成物は、特に電極、例えば、透明基板、タッチパネル用電極、フラットパネルディスプレイ用表示電極、薄膜太陽電池用電極および有機EL照明用電極等として使用される。
【実施例】
【0055】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0056】
(実施例)
(1)フェノール化合物の合成
1L3口フラスコにビスフェノールA57.1g、イオン交換水57.1g、37質量%ホルマリン121.6g、30質量%水酸化ナトリウム水溶液5.71gを仕込み、60度にて3時間反応させた。反応後、3質量%硫酸水溶液300gに反応液を滴下し、析出物を吸引濾過にて分離し、ビスフェノールAのヒドロキシメチル体(以下、「BPAML」という)の析出物を得た。
次いで、BPAML40gをメタノール460gに溶解し、p−トルエンスルホン酸5gを加え、還流条件にて8時間反応した。反応後、水酸化ナトリウムにて中和し、減圧濃縮にてメタノールを除去した。メタノール除去後、反応液を3質量%硫酸水溶液300gへ滴下し、析出物を吸引濾過にて分離し、ビスフェノールAのメトキシメチル体(以下、「BPAMOM」という)を得た。
【0057】
上記方法において、ビスフェノールAを、ビスフェノールF、ビスクレゾールフルオレン、ビフェノール、およびp−ターシャリーブチルフェノールに置き換えることによって、それぞれ、ビスフェノールFのメトキシメチル体(以下、「BPFMOM」という)、ビスクレゾールフルオレンのメトキシメチル体(以下、「BCFMOM」という)、ビフェノールのメトキシメチル体(以下、「BPMOM」という)およびp−ターシャリーブチルフェノールのメトキシメチル体(以下、「PTBPMOM」という)を得た。
また、上記方法において、ビスフェノールAをp−クレゾールに置き換え、第2段階目のメタノールとの反応を行わないことにより、p−クレゾールのヒドロキシメチル体(以下、「PCML」という)を得た。
【0058】
(2)フェノールレゾール樹脂の合成
500mL3口フラスコに上記(1)にて製造したBPAMOM 40.5g、EPICLON850 24.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)130gおよび30質量%水酸化ナトリウム水溶液4gを加え、80度にて6時間反応させた(フェノール性水酸基:エポキシ基の等量比=1:0.65)。反応後、シュウ酸にて中和し、イオン交換水200gを加え樹脂を沈殿させた。デカンテーションにより水層を除去し、さらに、イオン交換水200gにて洗浄を3回繰り返した。その後、PGME200gを加え、樹脂を溶解し、減圧濃縮にてPGMEと共に残留水を除去した。濃縮後、PGMEにて樹脂の固形分濃度を60質量%に調整した。GPCにより決定した、得られた樹脂の重量平均分子量(以下、「MW」という)は3520であった。
同様に、表1のフェノール化合物とエポキシ化合物とを、表1に示す仕込み比率で反応させ、それぞれ樹脂を得た。得られた樹脂のMWは、表1に示す通りである(表中、実施例2〜12参照)。
【0059】
(比較例1)
1Lフラスコにフェノール200g、50質量%ホルマリン191.5g、28質量%アンモニア水溶液10gを加え、還流条件で6時間反応させた。反応後、酢酸にて中和し、イオン交換水300gにて3回洗浄した。その後、PGME400gに溶解し、減圧濃縮にてPGMEと共に残留水を除去した。濃縮後、PGMEにてフェノールレゾール樹脂の固形分濃度を60質量%に調整した。GPCにより決定した、得られたフェノールレゾール樹脂のMWは4800であった。
【0060】
(比較例2)
PGMEによって、ポリエステル(三菱レイヨン社製FC−1895、MW12000)の固形分濃度が60質量%となるように調整した。
【0061】
得られた樹脂の各々について、下記の評価を行った。
[重量平均分子量の算出]
重量平均分子量は東ソー社製 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー HLC−8220 GPCを用いて測定した。重量平均分子量はポリスチレン標準にて換算した数値を用いた。
【0062】
[透過率の評価]
3.5インチガラスウェハー上に、実施例及び比較例で合成した樹脂をスピンコーターにて3μmの膜厚で塗布し、次いでホットプレートを用いて、120℃で3分間プリベークし、オーブンにて200℃、2時間熱硬化させ、硬化被膜をそれぞれ得た。得られた硬化被膜を日立製作所社製分光光度計U−3300にて500nmの透過率を測定した。
測定した透過率を以下の通り評価した。
◎・・・透過率90%以上、
○・・・透過率85%以上90%未満、
×・・・透過率85%未満。
【0063】
[可撓性の評価]
アルミニウム板上に、実施例及び比較例で合成した樹脂をバーコーターにて3μmの膜厚で塗布し、オーブンにて200℃、2時間熱硬化させ、硬化被膜をそれぞれ得た。得られた硬化被膜を外側にし、45°に折り曲げたときのヒビ割れの有無に基づき、可撓性を以下の通り評価した。
○・・・ヒビ割れ無し、
×・・・ヒビ割れ有り。
【0064】
[付着性の評価]
アルミニウム板上に、実施例及び比較例で合成した樹脂をバーコーターにて3μmの膜厚で塗布し、オーブンにて200℃、2時間熱硬化させ、硬化被膜をそれぞれ得た。得られた硬化被膜に1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、セロハンテープ試験を行い、付着性を以下の通り評価した。
○・・・全く剥がれない、
×・・・剥がれを生じた。
【0065】
[導電性の評価]
実施例及び比較例で合成した樹脂と銀粉末(平均粒径50μm、関東化学株式会社製)とを質量比10:90の割合にて混練し、導電性ペーストを作成した。作成した導電性ペーストをガラス板上で200℃×2時間硬化させて電極層とし、ADVANTEST社製のデジタルマルチメーター(R6581D)を用いて抵抗値を測定し、さらに膜厚、電極間距離を測定して比抵抗を算出した。算出した値に基づき、導電性を以下の通り評価した。
○・・・5×10
−5Ω・cm未満、
×・・・5×10
−5Ω・cm以上。
以上の評価結果を、表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1より、実施例1〜12に示す特定のフェノール化合物とエポキシ化合物とを反応させて得られたフェノールレゾール樹脂は、いずれも高い導電性を維持しつつ、85%以上の優れた透明性を有することが示された。また、実施例のフェノールレゾール樹脂を含んだ導電性ペーストを使用して成膜した硬化被膜は、可撓性にも優れていることが示された。そのため、該導電性ペーストを硬化して得られた被膜は、製造時および/または使用時に折り曲げに供される場合であっても好適に使用することができる。