【実施例】
【0071】
1.概要
<<試験A>>
金属シート体の大きさ(面積)や形状は、加熱効率と密接な関係があると考えられる。又、様々な形状のマイクロ波加熱用包装容器に対し金属シート体の面積や形状を変更しながら、加熱効率の評価を行った。
【0072】
実施例として、マイクロ波加熱用包装容器の形状に関し、以下の3つを評価している。
【0073】
・円形形状
・楕円形形状
・矩形形状
<<試験B>>
又、市販の商品をマイクロ波加熱用包装容器に移し替えて加熱効率の評価を行った。実施例としての評価は蓋体を有するマイクロ波加熱用包装容器と、封止フィルムが設けられたマイクロ波加熱用包装容器の2種類について行った。
【0074】
以下において各試験の結果を説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
2.試験の内容及び結果
<<試験A>>
<<試験A−1>>円形形状のマイクロ波加熱用包装容器に関する評価
(1)マイクロ波加熱用包装容器の準備
(1−1)実施例及び検討例について
各実施例及び検討例として、第1の実施の形態に準じたもの、すなわち、円形形状の収容部及び蓋体に対して、円形形状の金属シート体を取り付けたものを準備した。評価は、様々なサイズの金属シート体について行った。収容部、蓋体及び金属シート体の仕様はそれぞれ以下の通りである。
・収容部
実施例1−1〜実施例1−3及び検討例1−1共通で以下のものを準備した(
図2及び
図3も参照)。
【0075】
形状 :円形形状
容器外径(TO):φ150mm
容器口径(TI):φ142.2mm
底部外径(BT):φ134mm
深さ(VD) :40mm
容量 :490cc
備考 :コップ型成型、耐熱ペーパーコップ
・蓋体
実施例1−1〜実施例1−3及び検討例1−1共通で以下のものを準備した(
図4及び
図5も参照)。
【0076】
形状 :円形形状
全高(H1) :約16mm
突出高さ(H2):約8mm
備考 :透明PP製
・金属シート体
実施例1−1〜実施例1−3及び検討例1−1として以下のものを準備した(
図6も参照)。
【0077】
形状 :円形形状(各実施例等で共通)
寸法 :(実施例1−1)直径40mm(面積比:7.9%)
(実施例1−2)直径60mm(面積比:17.8%)
(実施例1−3)直径75mm(面積比:27.8%)
(検討例1−1)直径103mm(面積比:52.5%)
※面積比とは、容器口径(TIに対応)面積に対する金属シート体の面積の比である。
【0078】
備考 :厚さ6〜80μmのアルミシート
(1−2)比較例について
・[比較例1−1]
比較例1−1として
図2及び
図3に示すような円形形状の収容部を有し、蓋体なしのマイクロ波加熱用包装容器を準備した。尚、収容部の仕様は上述の実施例1−1等のものと同様である。
・[比較例1−2]
比較例1−2として
図2〜
図5に示すような円形形状の蓋体及び収容部を有するマイクロ波加熱用包装容器を準備した。尚、蓋体及び収容部の仕様は上述の実施例1−1等のものと同様である。
(2)試験方法
各実施例及び比較例における加熱試験は以下の手順で行った。
(i) まず、マイクロ波加熱用包装容器の収容部に、加熱試験用の供試体として、市販のホワイトソース(ハインツ日本株式会社製)を300g充填した(各実施例及び比較例1−2ではさらに蓋体により容器を密封した)。
(ii) 続けて、ホワイトソースを充填したマイクロ波加熱用包装容器を、業務用冷凍庫にて、−20℃の雰囲気下で5日間保持した。その後、上記供試体を、マイクロ波加熱装置(シャープ株式会社製、商品名:「RE−MA1−N」定格高周波出力1000W、フラットテーブル方式)により加熱試験を行った。
【0079】
尚、マイクロ波加熱装置の設定は、600Wの出力とした。加熱前の供試体に、各実施例及び各比較例の蓋を設置し、最初の加熱を行った。最初の加熱時間は、3分とした。
(iii) 供試体を加熱後、蓋を外して、加熱されたホワイトソースの温度を測定した。ホワイトソースの温度を測定した位置は、
図19において黒丸印で示す位置である。
【0080】
図19は、試験A−1における温度測定の位置を示す図である。具体的には、同図を参照して、マイクロ波加熱用包装容器の中央に温度計ch2を配置すると共に、温度計ch2の位置を含む直線K上において、温度計ch2から距離L11(=30.0mm)だけ離間した位置に温度計ch1を配置した。温度計ch1とは逆の側にも同様に温度計ch2から距離L11(=30.0mm)だけ離間した位置に温度計ch3を配置した。更に、温度計ch1の位置を通り、直線Kに直交する直線上において、温度計ch1から距離L12(=55.0mm)だけ離間した位置に温度計ch5を配置した。更に、温度計ch3の位置を通り、直線Kに直交する直線上において、温度計ch5の位置とは反対側に温度計ch3から距離L13(=55.0mm)だけ離間した位置に温度計ch4を配置した。尚、温度計ch1〜ch5それぞれは、容器の頂部から、深さL14(=20.0mm)の位置に配置している。
【0081】
使用した温度計は、K熱電対である。K熱電対を
図19の黒丸印で示す各位置に挿入し、30秒経過後の温度を記録した。
(iv) その後、上記供試体を電子レンジにて更に1分間、追加の加熱をした。
(v) (iv)の追加の加熱後、供試体について、上記の手順に従い温度を測定した。
【0082】
尚、喫食に適した温度を75℃と設定し(以下「喫食温度」と称する)、
図19の黒丸印で示す各供試体の各位置の温度全てが、喫食温度(75℃)以上に達するまで、追加の加熱及び温度測定を繰り返した。
【0083】
その結果、
図20〜
図25に示す測定結果が得られた。以下、各図を参照しながら各測定結果について順に説明する。
【0084】
図20は、比較例1−1の結果を示す図であり、
図21は、比較例1−2の結果を示す図であり、
図22は、実施例1−1の結果を示す図であり、
図23は、実施例1−2の結果を示す図であり、
図24は、実施例1−3の結果を示す図であり、
図25は、検討例1−1の結果を示す図である。
【0085】
まず、
図20を参照して、蓋体なしの場合の比較例1−1では、容器の端付近に配置した温度計ch4及び温度計ch5では、速やかな温度上昇が観測され、両方の測定点で4分後には喫食温度に到達した。一方、中央付近の温度計ch1〜ch3では、温度上昇が鈍く、7分後にようやく温度計ch1及び温度計ch3において喫食温度に到達し、温度計ch2に至っては、喫食温度に達するのに8分を要した。このため、各時間での計測温度を結んだ曲線は下に凸の形状となっており、時間とともに最も温度が高い計測点と最も温度が低い計測点との温度差が小さくなっていくような傾向が見受けられた。
【0086】
図21の(A)を参照して、通常の蓋体(すなわち、金属シート体を設けない蓋体のことを意味する。以下において同様。)の場合の比較例1−2においては、比較例1−1に比べると加熱効率や温度差について若干改善が見受けられるものの全体としては同じような傾向が見られた。各位置の温度がすべて喫食温度75℃以上に達するまでの時間(以下、「所要時間」と称する。そのように見做せると考えられる推計時間を含む)は、6分であった。
【0087】
図22の(A)を参照して、実施例1−1の場合は、各比較例と比べて、温度計ch2での加熱効率が改善されており、各時間での計測温度を結んだ曲線はW字形状となった。所要時間は、5分であった。
【0088】
図23の(A)を参照して、実施例1−2の場合は、実施例1−1と同様の傾向が見られた。特に温度計ch2での加熱効率は更に改善していた。結果として、所要時間は、5分であった。
【0089】
図24の(A)を参照して、実施例1−3の場合は、各位置での加熱のバラツキがかなり改善されており、より均一に加熱されていることが確認できた。所要時間は、4分であった。
【0090】
図25の(A)を参照して、検討例1−1の場合は、比較例1−1や比較例1−2のような下に凸のグラフ形状を示した。所要時間は、6分であった。
(3)評価方法
上記測定結果について、温度測定を行った各位置の温度がすべて喫食温度75℃以上に達するまでの時間が、比較例1−1及び比較例1−2のいずれよりも短縮されているか否かを評価した。
(4)結果
上述のようにして行った試験及び評価の結果を以下の表1に示す。
【0091】
【表1】
(1)「加熱時間」の列を参照して、各位置で計測した温度全てが、喫食温度75℃以上に達するまでの時間を示している。
【0092】
又、「蓋体なしとの差」の列を参照して、比較例1−1の加熱時間と対象となる実施例の加熱時間との差を記載している。
【0093】
更に、「通常の蓋との差」の列を参照して、比較例1−2の加熱時間と対象となる実施例の加熱時間との差を記載している。
【0094】
最後に、「評価」については、「通常の蓋との差」において加熱時間が1分短縮されたものについて“〇”印、1分を超えて短縮されたものについて“◎”印を記載している。一方、「通常の蓋との差」において、加熱時間の短縮が確認できなかったものについて“△”印、加熱時間が延びたものについて“×”印を記載している。
(2)その結果、まず、比較例1−1は、「加熱時間」が、8分であった。又、比較例1−2は、「加熱時間」は、6分であり、比較例1−1と比べて2分短かった。
【0095】
これに対して、実施例1−1及び実施例1−2は、いずれも、「加熱時間」が5分であり、「蓋体なしとの差」及び「通常の蓋との差」は、それぞれ−3分及び−1分となった。従って評価は、“〇”としている。
【0096】
又、実施例1−3は、「加熱時間」が4分であり、「蓋体なしとの差」及び「通常の蓋との差」は、それぞれ−4分及び−2分となった。従って評価は、“◎”としている。
【0097】
又、検討例1−1は、「加熱時間」が6分であり、「蓋体なしとの差」及び「通常の蓋との差」は、それぞれ−2分及び0分となった。従って評価は、“△”としている。
<<試験A−2>>楕円形形状のマイクロ波加熱用包装容器に関する評価
(1)マイクロ波加熱用包装容器の準備
(1−2)実施例及び検討例について
各実施例として、第2の実施の形態に準じたもの、楕円形形状の収容部及び蓋体に対して、楕円形形状の金属シート体を取り付けたものを準備した。評価は、様々なサイズの金属シート体について行った。収容部、蓋体及び金属シート体の仕様はそれぞれ以下の通りである。
・収容部
実施例2−1、実施例2−2及び検討例2−1、検討例2−2共通で以下のものを準備した(
図7及び
図8も参照)。
【0098】
形状 :楕円形形状
容器外径:179mm×120mm(長軸×短軸)(TOL×TOS)
容器口径:152mm×102mm(長軸×短軸)(TIL×TIS)
底部外径:140mm×90mm(長軸×短軸)(BTL×BTS)
深さ(VD) :30mm
容量 :310cc
備考 :紙のプレス成形により製作
・蓋体
実施例2−1、実施例2−2及び検討例2−1、検討例2−2共通で以下のものを準備した(
図9及び
図10も参照)。
【0099】
形状 :楕円形形状
全高(H1) :約22mm
突出高さ(H2):約12mm
備考 :OPS(二軸延伸ポリスチレン)製
・金属シート体
実施例2−1、実施例2−2及び検討例2−1、検討例2−2として以下のものを準備した(
図11も参照)。
【0100】
形状 :楕円形形状(各実施例等で共通)
寸法 :(実施例2−1)98mm×48mm(LL×SL)(面積比:30.0%)
(実施例2−2)109.0mm×59.0mm(LL×SL)(面積比:41.4%)
(検討例2−1)116.0mm×66.0mm(LL×SL)(面積比:49.4%)
(検討例2−2)133.0mm×83.0mm(LL×SL)(面積比:71.3%)
※面積比とは、容器口径(TIに対応)面積に対する金属シート体の面積の比である。
【0101】
備考 :厚さ6〜80μmのアルミシート
(1−2)比較例について
・[比較例2−1]
比較例2−1として
図7及び
図8に示すような収容部を有し、蓋体なしのマイクロ波加熱用包装容器を準備した。収容部の仕様は上述の実施例2−1等のものと同様である。
・[比較例2−2]
比較例2−2として
図7〜
図10に示すような楕円形形状の蓋体及び収容部を有するマイクロ波加熱用包装容器を準備した。蓋体及び収容部の仕様は上述の実施例2−1等のものと同様である。
(2)試験方法
上記<<試験A−1>>の場合と同様、マイクロ波加熱用包装容器に、ホワイトソースを300g充填し、上記と同様の操作により、温度を測定した。
【0102】
尚、比較例2−1以外の各実施例、各検討例及び比較例2−2ではさらに蓋体により容器を密封した。
【0103】
又、手順(iii)でホワイトソースの温度を測定した位置は、
図26において黒丸印で示す位置である。
【0104】
図26は、試験A−2における温度測定の位置を示す図である。具体的には、同図を参照して、マイクロ波加熱用包装容器の中央に温度計ch2を配置すると共に、温度計ch2の位置を含み長軸方向に延びる直線K上において、温度計ch2から一方側に距離L21(=30.0mm)だけ離間した位置に温度計ch1を配置した。更に直線K上において温度計ch1から一方側に距離L22(=38.0mm)だけ離間した位置に温度計ch5を配置した。又、温度計ch2の他方側においても同様に距離L21だけ離間した位置に温度計ch3を配置し、更に距離L22だけ離間した位置に温度計ch4を配置した。尚、温度計ch1〜ch5それぞれは、容器の頂部から、深さL23(=14.8mm)の位置に配置している。
【0105】
その結果、
図27〜
図32に示す測定結果が得られた。以下、各図を参照しながら各測定結果について順に説明する。
【0106】
図27は、比較例2−1の結果を示す図であり、
図28は、比較例2−2の結果を示す図であり、
図29は、実施例2−1の結果を示す図であり、
図30は、実施例2−2の結果を示す図であり、
図31は、検討例2−1の結果を示す図であり、
図32は、検討例2−2の結果を示す図である。
【0107】
まず、
図27を参照して、蓋体なしの場合の比較例2−1では、容器の端付近に配置した温度計ch4及び温度計ch5では、速やかな温度上昇が観測され、両方の測定点で4分後には喫食温度に到達した。又、中央に配置した温度計ch2でも、ある程度速やかに温度が上昇し、5分後には喫食温度に到達した。これに対して温度計ch1及び温度計ch3では、温度上昇が鈍く、7分後にようやく喫食温度に到達した。各時間での計測温度を結んだ曲線はWの字形状となった。
【0108】
図28の(A)を参照して、通常の蓋の場合の比較例2−2においては、比較例1−1に比べると加熱効率や温度差について若干改善が見受けられるものの全体としては同じような傾向が見られた。所要時間は、6分であった。
【0109】
図29の(A)を参照して、実施例2−1の場合は、中央付近の温度上昇のほうが、両端付近の温度上昇よりも早く、グラフは上に凸の山形となった。各比較例と比べて、中央付近における加熱効率が改善されており、所要時間は、約4.5分であった。
【0110】
図30の(A)を参照して、実施例2−2の場合は、実施例2−1と概ね同様の傾向が見られた。所要時間は、5分であった。
【0111】
図31の(A)を参照して、検討例2−1の場合は、比較例2−1及び比較例2−2と比べると、中央の温度計ch2における加熱効率の改善が見受けられたものの、温度計ch2と温度計ch1及び温度計ch3との間で、加熱効率にバラツキが生じる傾向が見受けられた。結果として、所要時間は、6分であった。
【0112】
図32の(A)を参照して、検討例2−2の場合は、概ね検討例2−1と同様の傾向が見受けられた。結果として、所要時間は、略6分であった。
(3)評価方法
上記<<試験A−1>>の場合と同様、上記測定結果について、温度測定を行った各位置の温度がすべて喫食温度75℃以上に達するまでの時間が、比較例2−1及び比較例2−2のいずれよりも短縮されているか否かを評価した。
(4)結果
上述のようにして行った試験及び評価の結果を以下の表2に示す。
【0113】
【表2】
(1)各列の記載については、上記<<試験A−1>>の場合と同様である。
(2)その結果、まず、比較例2−1は、「加熱時間」が、7分であった。又、比較例2−2は、「加熱時間」は、6分であり、比較例2−1と比べて1分短かった。
【0114】
これに対して、実施例2−1は、「加熱時間」が4.5分であり、「蓋体なしとの差」及び「通常の蓋との差」は、それぞれ−2.5分及び−1.5分となった。従って評価は、“◎”としている。
【0115】
又、実施例2−2は、「加熱時間」が5分であり、「蓋体なしとの差」及び「通常の蓋との差」は、それぞれ−2分及び−1分となった。従って評価は、“〇”としている。
【0116】
更に、検討例2−1及び検討例2−2は、いずれも、「加熱時間」が6分であり、「蓋体なしとの差」及び「通常の蓋との差」は、それぞれ−1分及び−0分となった。従って評価は、“△”としている。
<<試験A−3>>矩形形状のマイクロ波加熱用包装容器に関する評価
(1)マイクロ波加熱用包装容器の準備
(1−1)実施例及び検討例について
各実施例及び各検討例として、第3の実施の形態に準じたもの、矩形形状の収容部及び蓋体に対して、矩形形状の金属シート体を取り付けたものを準備した。評価は、様々なサイズの金属シート体について行った。収容部、蓋体及び金属シート体の仕様はそれぞれ以下の通りである。
・収容部
実施例3−1、検討例3−1〜検討例3−3共通で以下のものを準備した(
図12〜
図14も参照)。
【0117】
形状 :矩形形状
容器外径:175mm×122mm(長辺×短辺)(TOL×TOS)
容器口径:164mm×113mm(長辺×短辺)(TIL×TIS)
底部外径:148mm×98mm(長辺×短辺)(BTL×BTS)
深さ(VD) :25mm
容量 :380cc
備考 :紙のプレス成形により製作
・蓋体
実施例3−1、検討例3−1〜検討例3−3共通で以下のものを準備した(
図15及び
図16も参照)。
【0118】
形状 :矩形形状
全高(H1) :約25mm
突出高さ(H2):約11mm
備考 :OPS製
・金属シート体
実施例3−1、検討例3−1〜検討例3−3として以下のものを準備した(
図17も参照)。
【0119】
形状 :矩形形状(各実施例等で共通)
寸法 :(実施例3−1)105.0mm×51.0mm(LL×SL)(面積比:30.0%)、角部曲率半径:5.0mm(R)
(検討例3−1)115.0mm×61.0mm(LL×SL)(面積比:40.9%)、角部曲率半径:3.5mm(R)
(検討例3−2)125.0mm×71.0mm(LL×SL)(面積比:51.5%)、角部曲率半径:8.5mm(R)
(検討例3−3)139.0mm×85.0mm(LL×SL)(面積比:67.8%)、角部曲率半径:15.5mm(R)
※面積比とは、容器口径(TIに対応)面積に対する金属シート体の面積の比である。
【0120】
備考 :厚さ6〜80μmのアルミシート
[実施例3−2]及び[実施例3−3]
これらの実施例として、第3の実施の形態において、金属シート体を、楕円形形状に変更したものを準備した。収容部、蓋体の仕様は上述の実施例3−1等のものと同様である。
・金属シート体
(実施例3−2)109.0mm×59.0mm(LL×SL)(面積比:30.4%)
※実施例2−2のものと同等のものである。
【0121】
(実施例3−3)116.0mm×66.0mm(LL×SL)(面積比:36.2%)
※検討例2−1と同等のものである。
(1−2)比較例について
・[比較例3−1]
比較例3−1として
図12〜
図14に示すような収容部を有し、蓋体なしのマイクロ波加熱用包装容器を準備した。収容部の仕様は上述の実施例3−1等のものと同様である。
・[比較例3−2]
比較例3−2として
図12〜
図16に示すような矩形形状の蓋体及び収容部を有するマイクロ波加熱用包装容器を準備した。蓋体及び収容部の仕様は上述の実施例3−1等のものと同様である。
(2)試験方法
上記<<試験A−1>>の場合と同様、マイクロ波加熱用包装容器に、ホワイトソースを300g充填し、上記と同様の操作により、温度を測定した。
【0122】
尚、比較例3−1以外の各実施例、各検討例及び比較例3−2ではさらに蓋体により容器を密封した。
【0123】
又、手順(iii)でホワイトソースの温度を測定した位置は、
図33において黒丸で示す位置である。
【0124】
図33は、試験A−3における温度測定の位置を示す図である。具体的には、同図を参照して、マイクロ波加熱用包装容器の中央に温度計ch2を配置すると共に、温度計ch2の位置を含み長辺方向に延びる直線K上において、温度計ch2から一方側に距離L31(=30.0mm)だけ離間した位置に温度計ch1を配置した。更に直線K上において温度計ch1から一方側に距離L32(=38.0mmだけ離間した位置に温度計ch5を配置した。又、温度計ch2の他方側においても同様に距離L31だけ離間した位置に温度計ch3を配置し、更に距離L22だけ離間した位置に温度計ch4を配置した。尚、温度計ch1〜ch5それぞれは、容器の頂部から、深さL33(=13.5mm)の位置に配置している。
【0125】
その結果、
図34〜
図41に示す測定結果が得られた。以下、各図を参照しながら各測定結果について順に説明する。
【0126】
図34は、比較例3−1の結果を示す図であり、
図35は、比較例3−2の結果を示す図であり、
図36は、実施例3−1の結果を示す図であり、
図37は、検討例3−1の結果を示す図であり、
図38は、検討例3−2の結果を示す図であり、
図39は、検討例3−3の結果を示す図であり、
図40は、実施例3−2の結果を示す図であり、
図41は、検討例3−3の結果を示す図である。
【0127】
まず、
図34を参照して、蓋体なしの場合の比較例3−1では、容器の端付近に配置した温度計ch4及び温度計ch5では、速やかな温度上昇が観測され、両方の測定点で5分後には喫食温度に到達した。又、中央に配置した温度計ch2でも、ある程度速やかに温度が上昇し、6分後には喫食温度に到達した。これに対して温度計ch1及び温度計ch3では、温度上昇がやや鈍く、7分後にようやく喫食温度に到達した。比較例2−1との比較からいえば、各時間における最大温度と最小温度との差は小さかった。各時間での計測温度を結んだ曲線は7分後の結果を除き概ねWの字形状となった。
【0128】
図35の(A)を参照して、通常の蓋体の場合の比較例3−2においては、比較例1−1に比べると加熱効率について若干改善が見受けられるものの全体としては同じような傾向が見られた。所要時間は、5分であった。
【0129】
図36の(A)を参照して、実施例3−1の場合は、比較例3−1及び比較例3−2と比べて、中央付近、特に温度計ch2における加熱効率が改善されており、所要時間は、5分であった。
【0130】
図37の(A)を参照して、検討例3−1の場合は、比較例3−1及び比較例3−2と比べて温度計ch2において速やかな温度上昇が見受けられたものの、実施例3−1と比べると全般的に温度上昇が鈍くバラツキも見受けられた。結果として、所要時間は、6分であった。
【0131】
図38の(A)を参照して、検討例3−2の場合は、検討例3−1と比べて更に温度上昇のバラツキが見受けられ、結果として、所要時間は、7分であった。
【0132】
図39の(A)を参照して、検討例3−3の場合は、検討例3−2と同様の傾向が見受けられ、結果として、所要時間は、7分であった。
【0133】
図40の(A)を参照して、実施例3−2の場合は、実施例3−1と同様の改善が見受けられ、所要時間は、5分であった。
【0134】
図41の(A)を参照して、実施例3−3の場合は、実施例3−2と同様の傾向が見受けられ、所要時間は、略5分であった。
(3)評価方法
上記<<試験A−1>>の場合と同様、上記測定結果について、温度測定を行った各位置の温度がすべて喫食温度75℃以上に達するまでの時間が、比較例3−1及び比較例3−2のいずれよりも短縮されているか否かを評価した。
(4)結果
上述のようにして行った試験及び評価の結果を以下の表3に示す。
【0135】
【表3】
(1)各列の記載については、上記<<試験A−1>>の場合と同様である。
(2)その結果、まず、比較例3−1は、「加熱時間」が、7分であった。又、比較例3−2は、「加熱時間」は、6分であり、比較例3−1と比べて1分短かった。
【0136】
これに対して、実施例3−1は、「加熱時間」が5分であり、「蓋体なしとの差」及び「通常の蓋との差」は、それぞれ−2分及び−1分となった。従って評価は、“〇”としている。
【0137】
又、検討例3−1は、「加熱時間」が6分であり、「蓋体なしとの差」及び「通常の蓋との差」は、それぞれ−1分及び0分となった。従って評価は、“△”としている。
【0138】
更に、検討例3−2及び検討例3−3は、いずれも、「加熱時間」が7分であり、「蓋体なしとの差」及び「通常の蓋との差」は、それぞれ0分及び+1分となった。従って評価は、“×”としている。
【0139】
更に、実施例3−2及び実施例3−3は、いずれも、「加熱時間」が5分であり、「蓋体なしとの差」及び「通常の蓋との差」は、それぞれ−2分及び−1分となった。従って評価は、“〇”としている。
【0140】
実施例3−1の金属シート体の形状は、容器開口の形状とは相似形の矩形であるのに対して、実施例3−2及び実施例3−3の金属シート体の形状は、楕円であり、容器開口の形状とは相似形ではない。しかしながら、実施例3−2及び実施例3−3では、容器開口の形状と相似形の矩形の場合と同様の加熱効率が得られたと言える。
<<試験B>>
<<試験B−1>>楕円形形状のマイクロ波加熱用包装容器
(1)マイクロ波加熱用包装容器の準備
(1−2)実施例について
・[実施例4−1]
実施例2−1等と同等の構成のもの、すなわち、第2の実施の形態に準じ、楕円形形状の収容部及び蓋体に対して、楕円形形状の金属シート体を取り付けたものを準備した。尚、収容部、蓋体及び金属シート体の仕様については、実施例2−1と同様である。
・[実施例4−2]
図7及び
図8に示すような収容部を有し、収容部の上方部分に封止フィルムを設け、封止フィルムの上面に金属シートを設けるものを準備した(封止フィルムについては第4の実施の形態も参照)。尚、収容部及び金属シート体の仕様については、実施例2−1と同様である。
(1−2)比較例について
・[比較例4−1]
比較例2−1と同様の構成のもの、すなわち、収容部を有し、蓋体なしのマイクロ波加熱用包装容器を準備した。尚、収容部の仕様についても、上述の比較例2−1と同様である。
・[比較例4−2]
比較例2−2と同等の構成のもの、すなわち、楕円形形状の蓋体及び収容部を有するマイクロ波加熱用包装容器を準備した。尚、蓋体及び収容部の仕様についても、上述の比較例2−2と同様である。
・[比較例4−3]
図7及び
図8に示すような収容部を有し、この収容部の上方部分に封止フィルムを設けるものを準備した。収容部の仕様については、上述の比較例2−1等と同様である。
(2)試験方法
マイクロ波加熱用包装容器の収容部に、株式会社ニチレイ社製「蔵王えびグラタン」(容量:210g;パッケージ記載の加熱時間:4分(600W))の内容物を移し替え、蓋体又は封止フィルムにより密封したのち、上記<<試験A−1>>等の場合と同様の手順により、温度を測定した。尚、温度の測定位置に関しては<<試験A−2>>の場合と同様である。
【0141】
その結果、
図42に示す測定結果が得られた。
図42は、試験B−1の測定結果を示すグラフを表した図である。グラフに示す凡例において「封止フィルムのみ」(四角印)が比較例4−3に対応し、「蓋体のみ」(三角印)が比較例4−2に対応し、「封止フィルムに貼り付け」(バツ印)が実施例4−2に対応し、「蓋体に貼り付け」(*印)が実施例4−1に対応し、「蓋体なし」(丸印)が比較例4−1に対応する。
【0142】
具体的には、比較例4−1が喫食温度に達するまで4分以上に掛かったのに対して、実施例4−2は3分程度であり、実施例4−1については更に3分を切る結果となった。このように、比較例4−1に対しては、実施例4−1及び実施例4−2共に1分以上の短縮となった。又、実施例4−1及び実施例4−2は、比較例4−2及び比較例4−3と比較しても喫食温度までの加熱時間の短縮を達成している。
【0143】
更に、実施例4−1及び実施例4−2は、パッケージ記載の加熱時間:4分と比べても、約1分の短縮を達成している。
【0144】
このように、えびなどの具材を含み不均一な食材に関しても、本実施例による効果が確認できた。
<<試験B−2>>円形形状のマイクロ波加熱用包装容器
(1)マイクロ波加熱用包装容器の準備
(1−2)実施例について
・[実施例5−1]
実施例1−1等と同等の構成のもの、すなわち、第1の実施の形態に準じ、円形形状の収容部及び蓋体に対して、円形形状の金属シート体を取り付けたものを準備した。尚、収容部、蓋体及び金属シート体の仕様については、実施例1−3と同様である。
・[実施例5−2]
第4の実施の形態(
図18)に準じたもの、すなわち、
図2及び
図3に示すような収容部を有し、収容部の上方部分に封止フィルムを設け、封止フィルムの上面に金属シートを設けるものを準備した。尚、収容部及び金属シート体の仕様については、実施例1−3と同様である。
(1−2)比較例について
・[比較例5−1]
比較例1−1と同様の構成のもの、すなわち、収容部を有し、蓋体なしのマイクロ波加熱用包装容器を準備した。尚、収容部の仕様についても、上述の比較例1−1と同様である。
・[比較例5−2]
比較例1−2と同等の構成のもの、すなわち、円形形状の蓋体及び収容部を有するマイクロ波加熱用包装容器を準備した。尚、蓋体及び収容部の仕様についても、上述の比較例1−2と同様である。
・[比較例5−3]
図2及び
図3に示すような収容部を有し、この収容部の上方部分に封止フィルムを設けるものを準備した。収容部の仕様については、上述の比較例1−1等と同様である。
(2)試験方法
マイクロ波加熱用包装容器の収容部に、日清製粉グループの日清フーズ株式会社製「マ・マー 弾む生パスタ 海老とほうれん草のグラタン」(容量:220g;パッケージ記載の加熱時間:5分30秒(600W))の内容物を移し替え、蓋体又は封止フィルムにより密封したのち、上記<<試験A−1>>等の場合と同様の手順により、温度を測定した。尚、温度の測定位置に関しては<<試験A−1>>の場合と同様である。
【0145】
その結果、
図43に示す測定結果が得られた。
図43は、試験B−2の測定結果を示すグラフを表した図である。グラフに示す凡例において「封止フィルムのみ」(菱形印)が比較例4−3に対応し、「蓋体のみ」(四角印)が比較例4−2に対応し、「封止フィルムに貼り付け」(三角印)が実施例4−2に対応し、「蓋体に貼り付け」(バツ印)が実施例4−1に対応し、「蓋体なし」(丸印)が比較例4−1に対応する。
【0146】
具体的には、比較例5−1が喫食温度に達するまで4.5分以上に掛かったのに対して、実施例5−1及び実施例5−2共に3分を切る結果となった(グラフでは喫食温度と実施例5−1及び実施例5−2との交点については不図示)。このように、比較例5−1に対しては、実施例5−1及び実施例5−2共に約2分の短縮となった。又、実施例5−1及び実施例5−2は、比較例5−2及び比較例5−3と比較しても喫食温度までの加熱時間の短縮を達成している。
【0147】
更に、実施例5−1及び実施例5−2は、パッケージ記載の加熱時間:5分30秒と比べても、約2分30秒の短縮を達成している。
【0148】
このように様々な容器形状又は具材に関し本実施例の効果が確認できた。